2026年地理総合、探究[第2問]解説
2026地理総合探究追試験
第2問 問1 解説
山口県周南地域(周南市・下松市・光市)の調査です。光市の海岸で、図1のA〜Cから矢印の方向を撮ったのが写真ア〜ウです。
正解は②(A=ア、B=ウ、C=イ)
写真判定は、矢印を延長して視線の真正面を決めてから、写真を縦横に4分割して見ます。縦線で左右、横線で手前と奥です。センター・共通テストのこの型は、真正面(中央)が厳しく効きます。
見方
- 矢印をまっすぐ延ばし、先端の先に何があるかを地図で確認する
- 写真の中央に縦線を引き、左が海か陸か、右が海か陸かを見る
- 横線を引き、手前と奥を分ける
- 等高線の山頂が、中央・左・右のどこに来るかを合わせる
用紙を回して、矢印の向きを自分の視線に揃えると左右を間違えにくくなります。
A=ア
Aの矢印はまず海に入り、奥が陸地(岬・半島)です。手前が海、真正面も海、水平線の向こうに陸地があります。等高線の高まりは、Aから見て右側です。
アは手前から中央まで海が続き、向こうに半島が見え、片側が高くなっています。真正面が海なのはアだけです。イは中央に島・岬がかかり、ウは中央が山の入口で、海は左側に寄っています。
B=ウ
Bの矢印は海をほとんど通らず、延長すると山頂の等高線(閉曲線)に当たります。正面は山の頂上です。写真の中央に線を引いて、いちばん高い山が中央付近にあればBです。
ウは中央が陸地と海の境に近く、左側が海、右側が山、山頂がほぼ中央にあります。矢印の先端と合います。
C=イ
Cの矢印の先は、海へ突き出した岬です。地図では左手前が陸地、右手前が海、先端付近に防波堤と港の記号、道路が込み入った集落があります。フェリー航路は判定に使いません。
イは左手前から中央へ陸地(岬)が伸び、右手前が海、奥に街が広がっています。岬の先端と港の集落が、Cの視線と一致します。
組合せ
A | B | C | |
① | ア | イ | ウ |
② | ア | ウ | イ |
③ | イ | ア | ウ |
④ | イ | ウ | ア |
⑤ | ウ | ア | イ |
⑥ | ウ | イ | ア |
答え ②
残す型
- 矢印を延長し、真正面を先に決める。中央が海か山かでAとBが分かれる
- 4分割は左右(海と陸)と手前・奥。等高線の山頂が中央か端か
- Aは手前が海で奥が岬、Bは正面が山頂、Cは岬の先に港と集落
第2問 問2 解説
周南市中心部の新旧地形図です。左が1960年発行の5万分の1(原寸)、右が現在の地理院地図です。画面上に縮尺はなく、500mの目盛りがあります。紙の地形図と違い、地理院地図は拡大縮小が自由なので、距離のメモリで範囲を合わせます。左右の図の範囲が同じなら、右も5万分の1相当です。
下線①〜④から誤りを一つ選びます。地形図は最初から全部見ず、文章で怪しいものだけ地図に戻します。
正解は②
徳山市と近隣自治体が2003年に合併して周南市になった、という前段は問題ありません。
① 埋立てと工場 正しい
沿岸は工業地域として発展し、新旧を比べると海が埋まり、工場ができています。海岸線がコンクリートで固められた直線になっているのが埋立てです。土砂で浅い海を陸にし、工業用地や造船に使います。陸地が増えたこと自体は図で分かります。
対義語が干拓です。干拓は農業用地が多く、コンクリートで固める埋立てとは用途が違います。本試験の沿岸で陸地が増え湖が小さくなっている例は干拓側です。今回の文章は「埋立て」と書いてあるので、ここは誤りにしません。作問するなら「干拓によって工場がつくられた」が引っかけになります。
② 市役所の郊外移転 誤り
市役所が中心市街地から郊外へ移った、が誤りです。記号は二重丸です。新旧で位置は少し動いて見えますが、建て替え程度で、郊外ではありません。駅に近く、建物も密集した徳山の中心市街地のままです。
郊外は、都市構造で昼間人口が少ない住宅側を指します。市役所はバス・鉄道のアクセスが要る行政施設なので、中心に残るのが普通です。ロードサイドに出るのは大型店で、駅前商店街がシャッター通りになっても、市役所まで郊外へ出る理由はありません。
③④は判定不要
②が明確な誤りなので、③④は深く切る必要はありません。内容は次のとおりです。
③ 正重地区から辻地区にかけて市街地化が進んだ、は家と道路が増えた、で足ります。市街地化は高層ビルができることではなく、家が建ち並ぶことです。都市化は人口が増え住宅ができること、と単純に置いてよいです。
④ 周南バイパスは、中心市街地を通過する自動車を抑制するのが目的、で問題ありません。色のついた道路が国道です。旧国道は市役所前を通り、沿道に市街地ができて渋滞します。バイパスはそこを避け、市街地の外側を通します。国道の色がバイパス側に移っているのも、その付け替えです。
地図記号で残すもの
土地利用(田・畑・果樹園・針葉樹・広葉樹)はよく出ます。建物記号の多くは出ません。工場の歯車記号と県庁の楕円、桑畑は現行図からなくなり、工場は施設名で書きます。出たことがあるのは灯台(問1の岬側)と発電所・変電所です。変電所は送電線をたどると着きます。今回の図に送電線はありません。市役所は二重丸だけ押さえておけば足ります。
水部は灰色(実際は青)で、池や庭園も上から見た写真として読みます。高低は標高で土地の傾きを見ます。
答え ②
残す型
- 誤りを一つ選ぶ問題は、怪しい下線だけ地図で確認する
- 埋立ては直線の人工海岸と工場。干拓は農業用地
- 市役所(二重丸)は中心市街地に残る。郊外へ出るのは大型店
第2問 問3 解説
徳山下松港(周南市から光市)の貨物を、品目別の割合で示しています。統計は2022年です。縦が国内か国外か、横が運び出す側(輸出・移出)か運び入れる側(輸入・移入)かです。外国との取引は輸出・輸入、国内は移出・移入と呼びます。
問うのは国内への移出です。
正解は①
ヒントは資料の2文です。加工工場があることと、石炭を一時貯蔵して国内のほかの港へ移出することです。
横軸 運び出すか、運び入れるか
国内自給率の高い資源を使い、加工する工場が立地しています。原料を入れ、製品を出す港です。化学薬品とセメントは工業製品なので、①と③が運び出す側(輸出・移出)です。石油化学コンビナートもあるので、化学薬品は石油製品側も含みます。
②は石灰石が中心、④は石炭・ガソリン・ナフサ・原塩です。原料なので、運び入れる側(輸入・移入)です。
運び出す(輸出・移出) | 運び入れる(輸入・移入) | |
品目 | 化学薬品・セメント | 石灰石、石炭、ナフサ、原塩 |
該当 | ①と③ | ②と④ |
縦軸 国外か、国内か
石炭は輸入品です。④に石炭の割合が大きいので、④は国外からの輸入です。ガソリン・ナフサ・原塩も輸入原料と矛盾しません。③は④と同じ列なので、国外への輸出です。
石炭はここで止めたあと、国内のほかの港へ移出する、と資料に書いてあります。石炭が出てくる運び出す側が①です。④で入れ、①で国内へ出す、という流れです。
②は石灰石が中心で、国内からの移入です。国内自給率の高い資源が石灰石です。山口では秋吉台に近い宇部・山陽小野田がセメントの産地で、県内の短い距離でこの港へ運んでいる、と読みます。①と③のセメントは、その石灰石を加工した製品です。国内へも国外へも出します。
4つの位置
国内 | 国外 | |
運び出す | ① 移出(石炭・セメント・化学薬品) | ③ 輸出(セメント・化学薬品) |
運び入れる | ② 移入(石灰石) | ④ 輸入(石炭・ナフサ・原塩) |
国内への移出は①です。④が国外からの輸入と分かれば、石炭の移出は対角の①に決まります。
答え ①
残す型
- 輸出・輸入は国外、移出・移入は国内
- 製品(化学薬品・セメント)が運び出す側、原料が運び入れる側
- 石炭は④で輸入し、①で国内のほかの港へ移出する。石灰石は国内自給で、宇部・小野田から移入
第2問 問4 解説
沿岸部と、内陸部・島嶼部を比べた資料です。資料3は2010〜2020年の人口増減メッシュと、2020年の医療機関です。資料4は新幹線・高速道路のインターチェンジと、1970年を100とした人口推移です。会話文の下線①〜④から誤りを一つ選びます。
正解は③
図を全部追う前に、文章で怪しい下線を決めてから地図に戻します。海岸は南側です。問1の位置図と資料4に、新幹線の駅とインターチェンジがあります。
メッシュの読み方
黒く塗ったメッシュが増えたところ、白が減少または変化なし、黒枠が人口0になったところです。何も描かれていないのは、もともと人が住んでいないメッシュです。黒枠は、いた人がいなくなったメッシュで、山間部に目立ちます。
過疎は人口が減るだけでなく、高齢者の割合が上がり、社会生活が維持しにくくなった集落です。割合がさらに高いと限界集落になります。70〜80歳が中心の集落は、20年後には死亡・転出・施設入所で誰もいなくなる可能性があります。そうなると過疎ではなく廃村で、公共サービスを提供する相手がいなくなります。図の黒枠は、その手前の状態です。
①②は正しい
工業の発展とともに住宅地が開かれた、という前段は高度経済成長期からの人口増です。
① 2000年以降、下松市に比べて周南市と光市の減少が顕著、はグラフどおりです。下松は1970年を100とした指数が上がっています。市の人口規模そのものは周南より小さく、増えたのは指数です。
② 2010年からの10年で増えたメッシュは、周南市と下松市の境界付近の海に近い地域、も図と合います。増加メッシュがそこに固まっています。新幹線の駅やインターチェンジに近く、幹線道路も整備された沿岸です。内陸部・島嶼部は減り、人口0のメッシュもあります。
③ インターチェンジ周辺に病院 誤り
病院は黒丸で、病床20床以上です。白丸が一般診療所(20床未満)、星が巡回診療所(週1〜2回の公営)です。灰色が市街地です。
病院は市街地に集中し、市街地以外にはほぼありません。インターチェンジは徳山と下松のあいだ、および光市の北側にあります。光市北部の周南との境には一般診療所がいくつかありますが、病院はありません。高速道路のインターチェンジは市街地の外にあり、その周辺に病院が集まっている、とは読めません。車で通院する人がいても、病院は人口の多い市街地に立地します。
④は否定しない
巡回診療所は、内陸部や島嶼部の住民が医療を受けやすくするため、で問題ありません。山間部に医療機関がまったくないわけではありませんが、常設の病院ではなく巡回です。
答え ③
残す型
- 黒塗りは増加、黒枠は人口0。無印はもともと無人
- 2000年以降の減少は周南・光。増加メッシュは周南と下松の境界の海側
- 病院は市街地。インターチェンジ周辺に集中している、が誤り