2026年地理総合、探究[本試験]第2問・解説

2026地理総合探究本試験

第2問 問1 解説

青森県・津軽平野の地域調査です。五所川原市・つがる市・弘前市の農業産出額に占めるア〜ウ(米・野菜・果実のいずれか)の割合を組み合わせます。

正解は②(米=ア、野菜=ウ、果実=イ)

文章は全部読まず、キーワードと地図・写真を対応させます。

まず地図で位置を押さえる

岩木川は南から北へ流れ、十三湖を経て日本海へ出ます。

  • 弘前市 … 内陸側。津軽平野の南部、山麓
  • 五所川原市 … 岩木川の下流域(飛び地あり)
  • つがる市 … 海岸部。岩木川本流との関係は相対的に薄い

陰影図で起伏を確認し、川の流れを追うことが第一のポイントです。

資料1の3枚を単語で拾う

地理の問題文は行間を読む必要はありません。短い文でもキーワードをはっきり掴みます。

1枚目
「岩木川の下流域は、かつては農作業時に腰まで沈むほどの低湿地」
→ 
低湿=水田。米です。五所川原がここに当たります。

2枚目
「津軽平野の海岸付近に広がる砂丘では、1970年代に大規模な農地造成」
→ 
つがる市(海岸)。砂丘は樹木の根が安定しにくく、大規模な果樹園は造りにくいです。鳥取砂丘のらっきょう、オランダ沿岸のチューリップのように、野菜・球根類のイメージです。写真も野菜畑に見えます。

3枚目
「山麓などでは、この地域の特産品であるリンゴが大規模に生産」
→ 
弘前。青森りんごの中心です。

表とつなげる

ア

イ

ウ

その他

五所川原市

48.6

39.4

7.4

4.6

つがる市

37.4

12.8

34.9

14.8

弘前市

5.8

89.0

3.4

1.8

  • 弘前で突出している イ → 果実(リンゴ)
  • つがるだけで高い ウ → 野菜(砂丘の造成農地)
  • 五所川原で最も高い ア → 米(岩木川下流の低湿な水田)

五所川原はイ(果実)も約4割ありますが、低湿地の記述と「アが最大」で米と確定できます。弘前は平野でも山麓なので水田がゼロではありませんが、主体はリンゴです。

まとめ

市

地形

作物

記号

五所川原

岩木川下流の低湿地

米

ア

つがる

海岸の砂丘

野菜

ウ

弘前

内陸・山麓

果実(リンゴ)

イ

答え ②

残すのは次の2点です。

  1. 岩木川は南→北へ流れ、下流の低湿地が水田
  2. 海岸砂丘=野菜、山麓=リンゴ

文章はストレートに読み、写真・地図・表をキーワードで結ぶ問題です。


 

第2問 問2 解説

津軽平野のため池とハザードマップです。空欄カ(ため池の形態)とキ(破線の意味)の組み合わせを選びます。

正解は②(カ=谷口を堰き止めて、キ=浸水までの時間)

灌漑は乾燥地域だけの話ではありません。日本でも田植え期は水を大量に使うため、一時的に足りなくなることがあります。奈良盆地や瀬戸内のように雨自体が少ない地域ではため池文化が発達しますが、それ以外でも稲作のためにため池が使われます。

カ:ため池のつくり方

選択肢は2通りです。

  • 谷口を堰き止めて … 谷を流れる川を土手で止め、等高線に沿ったダム湖型
  • 平坦な土地を堤で囲んで … 平地に四方の土手を築き、プール型

図は山がちです。東が高く西が低いので、水は東から西へ流れます。ため池の西端には道路が走り、その西側に短いケバケバした線(土崖の記号)が並びます。北の斜面にも同じ記号があります。つまり、平野と山地の境に土手を盛り、谷口を堰き止めて水を溜めた形です。岸線が直線的なところは後年の護岸工事の可能性がありますが、原型は谷止めのダム湖型です。

対になるのが奈良盆地のパターンです。平坦地に四方の堤を築き、集落とセットで小さなため池が点在します。雨が少ない盆地でよく出ます。山がちな場所では、今回のように谷を止める型の方が一般的です。

地形図で「ため池」が出たら、まず山側を探し、等高線に沿ったダム湖状の水面と土崖記号を確認してください。愛知県の地形図(2016年頃)でも、ため池の有無や消失が問われています。

キ:破線は何の等値線か

文には「決壊時の浸水深や浸水までの時間などが示されている」「ため池から離れた破線ほど値が大きくなる」とあります。

浸水深なら、水深は土地の低さで決まります。水面は水平なので、窪地は深く、高い斜面は浅くなります。同じ平坦な水田を何重もの破線が同心円状に囲む形にはなりません。

図の破線はため池から外側へ、距離に応じて何重にも広がっています。決壊した水が徐々に広がり、近い線までが先、遠い線までが後、という時間経過です。離れるほど値が大きくなる、とも一致します。よってキは浸水までの時間です。

明治に決壊したため池もある、とあるとおり、土手が崩れるリスクは現実にあります。現在は護岸が入り、ハザードマップも整備されています。

まとめ

空欄

内容

根拠

カ

谷口を堰き止めて

山地・等高線に沿った水面、西側の土崖(土手)

キ

浸水までの時間

平坦地を距離順に囲む破線。離れるほど値が大きい

答え ②

残す記号と対比です。

  • 土崖の短いケバ線=人工の土手
  • 谷止めダム湖型(山がち) ↔ 四方堤のプール型(奈良盆地など平坦地)


 

第2問 問3 解説

十三湖のシジミ漁です。下線部①〜④のうち誤りを一つ選びます。地形図・空中写真だけでなく、汽水湖・干拓・資源管理・地理的表示までつながる複合問題です。

誤りは④。答えは④

① 汽水湖(正しい)

十三湖は淡水と海水が混ざり合う汽水湖です。岩木川の水が入り、日本海ともつながっています。

シジミは塩分に対応できる貝で、波の静かな入り江や湖で漁が行われます。同型の例は次のとおりです。

  • 島根県の中海・宍道湖(砂州で海と区切られた潟湖。過去に出題あり)
  • 天橋立の内側の阿蘇海(砂州で入り江がほぼ塞がれた形)

もともと海だった場所が砂の堆積で区切られ、川の淡水が混ざる。浅いことも多く、この「浅さ」が後の干拓や人工島とも結びつきます。ベネチアも潟の浅さを利用して杭を打ち、人工島の上に市街をつくりました。

② 土地造成で陸地の形が変わった(正しい)

1948年と1955年の空中写真を比べると、南東部が明らかに変わっています。1948年は自然地形、1955年は堤防を築いて内側を排水した干拓です。潟は浅いので、堤防を回して水を抜く干拓がしやすい、というのがポイントです。写真を見れば十分判断できます。

③ ジョレンの網目で小さい個体を獲らない(正しい)

ジョレンは網状のかご型の漁具です。網目を規定以上に広くすると、小さいシジミはこぼれ落ちます。これから成長する個体を残し、乱獲を防ぐ資源管理です。「持続可能」は、環境に適応した形で漁を続ける、と読み替えればよいです。

乱獲の怖さは他地域でも出ます。ペルー・チリ沖のアンチョビは飼料・油脂向け輸出が中心で、取りすぎると漁獲が急減します(エルニーニョだけが理由ではありません)。北西アフリカ(モロッコ・モーリタニア)のタコも、日本などへの輸出需要に対して保全意識が追いつかず、漁獲が大きく振れることがあります。小さい個体を残す知恵は、漁獲を毎年安定させるための基本です。

④ 低価格販売が目的(誤り)

「十三湖産大和しじみ」として地理的表示保護制度(GI)に登録し、他産地と差別化する、とあります。これはブランド化です。安売りのためではありません。

GIは産地と品質を守り、高く売れる付加価値をつける制度です。フランスワインやスペインのイベリコ豚と同じ発想で、「安いから買う」ではなく「価値を認めて高い値段で買う」側に立ちます。共通テストでも地域ブランド・高品質化は繰り返し出ています。第1問のカシミヤ需要も、同じ「高級原料への需要」の流れです。

まとめ

下線

内容

判定

①

汽水湖=淡水と海水が混ざる

正しい

②

空中写真で南東部の干拓が分かる

正しい

③

広い網目で小型個体を残す(乱獲防止)

正しい

④

GI登録は低価格販売が目的

誤り(ブランド化・差別化)

答え ④

残す知識は次の3点です。

  1. 汽水湖・潟湖(十三湖、宍道湖・中海、阿蘇海)
  2. 潟は浅い → 干拓しやすい
  3. GI・地域ブランド=安売りではなく品質で差別化する制度

 

 


 

第2問 問4 解説

青森りんごの輸出先と、台湾の月別輸入グラフです。空欄サ(東南アジアへの輸出量の増減)とシ(日本の凡例)の組み合わせを選びます。

正解は②(サ=増加、シ=B)

サ:東南アジアへの輸出量は増えたか

表1は割合です。割合は相対値で、実数(絶対量)の大小とは一致しません。ここを取り違えないことが本問の核です。

まず台湾は東南アジアではありません。ASEANの中核10か国(シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、ブルネイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー)を押さえておきます。国数が少ない地域は、南米と同様に国名そのものが出ます。

表から東南アジアだけ拾うと、

  • 2008〜2010年:タイ1.4%+インドネシア0.4% ≒ 1.8%
  • 2018〜2020年:タイ3.0%+ベトナム1.0%+シンガポール0.8% ≒ 4.8%

割合だけ見ても上がっています。さらに本文に「総輸出量は約1.4倍」とあります。基準年を100とすると、

  • 旧:100 × 0.018 = 1.8
  • 新:140 × 0.048 = 6.72

実数でも明らかに増加です。サは増加。

参考に台湾だけ見ると、割合は91.1%→68.9%と下がっています。しかし母数が1.4倍なので、140 × 0.689 ≒ 96.5。基準年の91.1よりやや増えています。地位(シェア)は下がっても量は横ばい〜微増、という読みができます。割合と実数を分けて見る練習になります。

シ:AとBのどちらが日本か

図2は台湾の月別輸入量。アメリカは既出、A・Bが日本とチリです。手がかりは北半球と南半球の収穫期です。

アメリカ(北半球)の動き:

  • 6〜8月はほぼゼロ
  • 10〜12月(とくに11月)がピーク
  • 春先にかけて減る

りんごは秋収穫です。保存はききますが、収穫後すぐに出荷する動きがグラフに出ます。日本も北半球なので、同じ秋〜冬ピークになるはずです。

Bは10〜1月に高く、アメリカと同型。よってB=日本。

Aは5月がピークです。南半球の秋が北半球の春なので、チリです。南米南部(チリ、アルゼンチン)はりんご産地として知られます。雨がやや少ない方が糖度が上がりやすい、という果樹の一般論ともつながります。

同じ試験のCO₂グラフ(アラスカ/ハワイ/ニュージーランド)や南米の雨温図も、北半球と南半球の季節のずれを問うています。

まとめ

空欄

内容

根拠

サ

増加

東南アジアのシェア上昇 × 総量1.4倍→ 実数増

シ

B

北半球の秋冬ピーク(アメリカと同型)

答え ②

残すのは次の2点です。

  1. 割合(相対)と実数(絶対)は別物。シェアが下がっても量は増えることがある
  2. 青果物の輸出入グラフは、南北半球の収穫期のずれで読む

台湾は暖地でりんごが育ちにくいため、日本がバナナを輸入するのと逆向きの関係になっています。輸出の約9割が青森産、という数字もセットで覚えておくとよいです。