2026年地理総合[本試験]第3問・解説
2026地理総合本試験
第3問 問1 解説
図1は気象観測地点の上位30位(黒丸)です。A/Bが夏(6〜8月)か冬(12〜2月)、ア/イが降水量か風速です。問うのは夏の風速です。
正解は①
1枚決まれば残りは自動的に決まります。いちばんわかりやすいのは冬の降水量です。
④が冬の降水量
日本の冬は、シベリアからの北西季節風が日本海の暖かい海上で水蒸気を拾い、列島に当たって地形性の降水(雪を含む)を落とします。日本海側が高、太平洋側が低、という型です。
④は山形・新潟・石川・福井から鳥取・島根の一部まで、日本海側が広く黒丸です。これが冬の降水量です。
よって イ=降水量、B=冬。反対側が夏の風速なので A=夏、ア=風速 → ①。
残りの読み(確認用)
風速は季節差が降水量ほど極端ではありません。冬の日本海側でやや強まる地点はありますが、決め手にはしません。内陸で風が弱い、は①〜④のすべてに出るので、判別材料になりません。日照時間の瀬戸内のような「一目でわかる空白」も今回はありません。
③(イの夏=夏の降水量)は、九州・四国南部・紀伊半島南部など台風の通り道が上位です。北海道がおしなべて低いのは梅雨の影響が弱いため、と読めます。6〜8月なので梅雨+台風の型です。
ア(①②)は沿岸に点が散る風速分布です。平均か最大かは問題文にありませんが、判定には不要です。
対応
A(夏) | B(冬) | |
ア(風速) | ① 夏の風速 | ② 冬の風速 |
イ(降水量) | ③ 夏の降水量 | ④ 冬の降水量 |
答え ①
残す型
- 冬の日本海側=雪込みの多降水。太平洋側は少ない
- 夏の多降水は南西日本の台風・梅雨ルート
- 風速は内陸弱・沿岸強だが、季節の切れ味は降水より弱い
先に④を冬降水と置けば、夏の風速は反対のマス目①です。
第3問 問2 解説
河川の勾配
D〜Fは日本の河川の縦断面(河口からの距離と標高)です。文カ〜クと対応させます。
正解は①(D=カ、E=キ、F=ク)
侵食と堆積は対です。急なら削る、緩なら積もる。流路も地形に縛られます(盆地・狭窄)。
グラフの型
- D:約50kmで標高約1,600mから海面へ落ちる。短い急流
- E:300km超。上流は急、中流から河口までなだらか
- F:上流は急 → 中流でいったん平坦(堆積) → また急になる(山間へ再突入)
Fの「中折れ」が盆地です。盆地を出たあと狭窄部を再び下ります。
文との対応
カ「急峻な山岳を源流とし、侵食が卓越する区間の割合が大きい」
短い急勾配=D。
キ「中流域から河口まで、堆積が卓越する区間が続く」
長い下流平野型=E。
ク「中流域の堆積が卓越する区間に流出し、その後再び山間部を流れる」
盆地を通ってまた山に入る=F。
D | E | F | |
① | カ | キ | ク |
② | カ | ク | キ |
③ | キ | カ | ク |
④ | キ | ク | カ |
⑤ | ク | カ | キ |
⑥ | ク | キ | カ |
答え ①
残す型:短い急流=侵食/長い下流平坦=堆積/途中の平坦→再急=盆地+狭窄。
第3問 問3 解説
サ〜セの4枚(いずれも約1km四方)のうち、シについて述べた文を選びます。過去にも氷河とカルストを並べる型が出ています。
正解は③
4枚の読み
サ(氷河・カール)
2,885m・2,786mなど高峰。南西が高く北東が低い。等高線がスプーン状に湾曲し、湾の内側が谷(低い)。山岳氷河が山肌を丸く削った圏谷(カール)です。日本に現成の大きな氷河はほぼありませんが、最終氷期には3,000m級に山岳氷河がありました。カタカナ(カール・ホルン・モレーン)は出なくても、「丸くえぐられた谷」で足ります。④の文がこれです。
シ(カルスト)
標高約300m。閉じた等高線の内側にケバ(崖)や矢印があり、内側が凹です。石灰岩が酸性の雨水(CO₂を含む)で溶食され、凹地が点在します。ドリーネという語は共通テストではほぼ出ません。秋吉台が定番で、地下には鍾乳洞ができます。③の文がこれです。
ス(V字谷)
900mから619mへ、中央が低く等高線が密。河川が山地を削った深い谷です。①の文。
セ(山頂の湿地・緩斜面)
高峰の頂部が平坦で湿地記号、周囲は急斜面。②の文。判別の本命ではありません。
閉じた等高線は「山」とは限らず、内側のケバ・矢印があれば凹地です。ここがカルスト判定の要点です。
文と地形
文 | 内容 | 図 |
① | 河川侵食・斜面崩壊のV字谷 | ス |
② | 湿地の発達した緩斜面 | セ |
③ | 雨水浸透で石灰岩を溶食 | シ |
④ | 氷河がスプーン状にえぐった谷 | サ |
問われているのはシなので ③。
範囲はいずれも1km四方、地理院地図です。紙の2万5千分の1より、距離を直接書く出題が増えています。縮尺計算は本問では不要です。
残す型
- 湾曲した等高線の内側が低ければカール(氷河)
- 閉じた線の内側にケバがあれば溶食凹地(カルスト)
- 中央が深く線が密ならV字谷
シ=カルスト=③、いちばん残すのはサの氷河地形の等高線の読みです。
第3問 問4 解説
図4は避難施設と浸水想定区域です。タ/チが洪水か高潮か。図5は条件a〜cのいずれかで施設をGIS判定した結果(○=該当、×=非該当)です。問うのは洪水の図と図5の条件の組合せです。
正解は⑥(洪水=チ、条件=c)
災害という独立ジャンルがあるわけではなく、地図の読みと気候・地形の知識を重ねる問題です。
津波と高潮は別物
どちらも「高い波」ですが原因が違います。
- 津波:海底地震(とくに海溝型)で海面が持ち上がり、重力で崩れて四方へ伝わる波。陸上の地震では起きません
- 高潮:巨大な低気圧(台風など)による海面上昇。上昇気流と周囲から吹き込む風で海水が持ち上がる。高さは数十cm〜数mでも、沿岸低地では致命的です(バングラデシュ型)
本問は高潮側です。津波は出てきません。
タ=高潮、チ=洪水
高潮は沿岸低地です。標高100m級の山地までは来ません。タは海岸沿いの低地に浸水域が集中しています。
チは内陸の河川沿いに浸水域が伸び、鉄道付近まで届きます。川沿いなら内陸でも洪水は起きます。よって タ=高潮、チ=洪水。
条件a・bは図5と合わない
施設は約12か所。図5は○6・×6です。
- a「タ(高潮)の想定区域外」
北西の3点はタではいずれも区域外なのに、図5では○○×。一致しません - b「チ(洪水)の想定区域外」
北西はチでは内1・外2で図5の○○×に一見近いが、南東の×2つはチでは区域外。全体の内外数も合いません
単独条件では図5は再現できません。
条件c=両方の区域外
cは「aかつb」、つまり高潮にも洪水にもかからない地点だけが○です。
×は次の3パターンすべてを含みます。
- 高潮は外だが洪水は内
- 洪水は外だが高潮は内
- 両方とも内
図5の×を図4と照合すると、この3種がそろいます。北西の×は高潮OK・洪水NG、中央〜南西の×は両方NG、南東の×は高潮NG・洪水OK、といった具合です。○は両方のグレーの外です。
避難所としては「高潮も洪水も避けられる場所」がcの意味です。
組合せ
洪水 | 条件 | |
① | タ | a |
② | タ | b |
③ | タ | c |
④ | チ | a |
⑤ | チ | b |
⑥ | チ | c |
答え ⑥
残す型
- 津波=海底地震、高潮=低気圧の海面上昇
- 沿岸低地=高潮、河川沿い内陸=洪水
- GISの「両方満たす」の×には、片方だけアウトと両方アウトが混ざる
図を1点ずつ内外判定すれば解けます。論理の場合分けが本問の核です。