たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう
2026地理総合追試験
第4問 問1 解説
地球的課題です。図1のア〜エの周辺の環境問題で、下線部が適当でないものを選びます。白地図なので、海岸線と湖岸線で位置を取ります。
正解は③
①は正しい ア=アマゾン
アンデス山脈が大陸の西端、太平洋岸を走るので、東側がアマゾン川の流域、アマゾン盆地です。熱帯雨林が生育します。減少の原因は、大豆畑の拡大、牛の放牧地、鉄鉱石などの資源採掘、アマゾン横断道路です。焼畑そのものは休耕を置けば持続的ですが、休耕を短くして火入れを続けると森林は減ります。放牧地や農地の大規模な開発で熱帯林が減少している、は当たりです。
②は正しい イ=サヘル
アフリカ大陸の西端はセネガルのベルデ岬です。そこから東へ帯状に伸びるのがサヘルで、北緯10〜15度、サハラ砂漠の南の草原です。砂漠化はテストでは進行中、で足ります。
人為的な要因は四つです。過放牧は、家畜が根こそぎ草を食べ、植生がなくなることです。本試験のモンゴルで、カシミヤ用にヤギを増やすと砂漠化を防ぐ、は誤りです。過伐採は薪炭材で、木の日陰がなくなると水が地下に浸透せず、地域の水分が保てません。過耕作は休耕の短縮や、草地にしか向かない土地までの農地化で、地力を使い果たします。過灌漑は不適切な灌漑で、地下水の塩分が地表に上がり、水酸化カルシウムや水酸化ナトリウムが表面を覆って強アルカリになり、作物が生えなくなります。
自然的な要因の方が影響は大きい、とも言われます。乾燥は降水量と蒸発量のバランスで、ここでは気候変動による干ばつ、降水量の減少で足ります。温暖化で蒸発量が増えることも乾燥を強めます。過放牧・過耕作や干ばつで砂漠化が進行している、は当たりです。
③が誤り ウ=中央アジア、アラル海
黒海、カスピ海、アラル海が東西に並びます。カスピ海からアラル海方面が中央アジアで、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギス、タジキスタンです。国名は追わなくて足ります。ユーラシアの内陸で雨が少なく、天山山脈などの湧き水がオアシスになり、オアシス都市を結ぶ交易路がシルクロードです。アラブ商人がイスラームを伝えました。北へ行くとチェルノーゼムの半乾燥、ウの南側は気温が高く完全な乾燥です。
カスピ海もアラル海も内陸湖です。蒸発が強く、海へ出る前に水が消えます。カスピ海は海面より低く、死海と同じです。水に溶けた塩分が煮詰まり、塩分濃度が高くなります。アラル海は天山山脈とパミール高原からアムダリヤ川、シルダリヤ川が注ぎ、川の流量と蒸発が釣り合って成立していました。旧ソ連の自然改造で綿花の灌漑に川の水を使い、流入が減って縮小しました。干拓で湖を小さくしたのではありません。
結果は、塩分濃度の上昇、魚がいなくなる漁業の衰退、港町の消失です。旧湖底の細かい土砂が露出し、塩を含んだ砂が風で農地へ飛んで塩害になり、肺に入って健康被害も出ます。コーヒー豆ではありません。下線部が違います。
④は正しい エ=ヒマラヤ・チベット
位置は地図上やや北に見えますが、ヒマラヤ山脈、チベット高原です。緯度は高くなくても、山頂は氷と雪です。赤道直下のキリマンジャロも標高約6000mなら雪があり、アンデスも4000〜6000mで雪と氷、アルプスやアトラス山脈も同じです。富士山は4000mに届かず、夏には溶けます。本試験のメコン川が寒帯から流れ出す、はチベット高原です。山頂の雪氷が解けて麓の氷河湖に入り、決壊して下流域で洪水になる、はあり得ます。氷河湖自体は普通の湖です。
判定
地点 | 下線部 | |
① | アマゾン | 正しい。大豆と放牧地 |
② | サヘル | 正しい。過放牧・過耕作と干ばつ |
③ | アラル海 | 誤り。綿花であってコーヒーではない |
④ | ヒマラヤ | 正しい。氷河湖の決壊 |
答え ③
残す型
第4問 問2 解説
穀物の需要と供給です。図2は生産量と消費量の地域別割合で、2019年、FAOSTATにより作成されています。ヨーロッパにはロシアを含み、北アメリカはアメリカ合衆国とカナダです。カとキは生産量と消費量、AとBはアジアとアフリカです。消費量とアフリカの組合せを選びます。
正解は②(消費量=カ、アフリカ=B)
先進国で穀物が余り、発展途上地域で足りない、が基本です。探究追試の第4問でイギリスの食料自給率が低く、インドネシアが高く見えたのは、品目が果実など特定のものだからです。穀物全体を見ないと、発展途上地域は食料に余裕がある、と読み違えます。
A=アジア、B=アフリカ
穀物は米、小麦、トウモロコシが主で、量が多いのはトウモロコシです。米と小麦は主穀なので、人口の大きい地域で生産も消費も大きくなります。米も小麦も1位が中国、2位がインドです。両グラフでいちばん太いAがアジア、残ったBがアフリカです。
カ=消費量
アフリカは農業が主産業で、GDPに占める農業の割合は高いです。アメリカは農業の地位が低くても農産物の輸出国です。アフリカが作っているのはカカオ、天然ゴム、サトウキビのような商品作物で、主食の穀物ではありません。プランテーションで売った金で穀物を買う構造で、ヨーロッパの植民地支配の経済的な理由でもあります。
Bを比べると、キでは細く、カでは太くなっています。細い方が生産、太い方が消費です。消費から生産を引いた分を輸入しているので、カが消費量、キが生産量です。ヨーロッパと北アメリカは逆で、キの方が厚く、輸出しています。アジアは西アジアの乾燥地域や日本のトウモロコシ輸入で消費がやや厚い一方、タイ、ベトナムは米を輸出し、インドは緑の革命で生産が増えました。かつての米の輸入国はインドネシア、フィリピン、バングラデシュで、現在はコートジボワールやガーナも輸入しています。農業国でも主穀が足りません。
日本の穀物自給率は全体で約30%でも、米はほぼ100%です。米で生きていけるアジアと、穀物そのものがないアフリカは違います。
組合せ
消費量 | アフリカ | |
① | カ | A |
② | カ | B |
③ | キ | A |
④ | キ | B |
答え ②
残す型
第4問 問3 解説
アフリカの経済です。図3のサ〜スは、1人当たりGNI、2009年から2019年のGDPの増加率、原油産出量のいずれかで、島嶼国とデータなしを除いた上位10か国です。1人当たりGNIと原油産出量は2019年、World Development Indicatorsなどにより作成されています。階級区分ではなく、上位10か国を塗っただけの図です。
正解は⑥(1人当たりGNI=ス、GDPの増加率=シ、原油産出量=サ)
1人当たりGNIと増加率は割合なので、本当は高い・中くらい・低いで塗れます。原油産出量は実数なので、同じ階級区分に混ぜられず、上位10か国になっています。
サ=原油産出量
アフリカ全体は工業化が進んでおらず、自動車やハイテクで稼ぐ国は例外です。南アフリカは唯一の工業国で、輸出の上位には白金もあります。経済を支えているのは鉱産資源、とくに原油です。
見るのはアルジェリアとナイジェリアです。どちらも石油が取れ、OPECに入っています。ガボン、赤道ギニア、コンゴ共和国も入りますが、名前は追いません。アンゴラはアフリカで産出が多く、OPECを抜けています。リビアは出にくくなっています。覚えるのはアルジェリアとナイジェリアです。
アルジェリアは旧フランス領で、ヨーロッパ向けに原油と天然ガスを出します。面積はアフリカ最大です。ナイジェリアはギニア湾の奥で、人口がアフリカ最大、約2億人です。多部族で、石油をめぐる内戦のあと、英語を公用語にし、港町ラゴスから内陸へ首都を移しています。
サはアルジェリアもナイジェリアも塗られています。原油産出量です。
ス=1人当たりGNI
GNIの総額は実数で、原油産出とほぼ比例します。1人当たりGNIはそれを人口で割った割合なので、人口に反比例します。総額が大きくても、人口が大きければ1人当たりは下がります。
ナイジェリアは原油が取れ、GNIの総額も大きいのに、人口が大きい分だけ1人当たりは上位10か国に入りません。北アフリカのアラブ系は1人当たりが高く、サハラ以南は低い、という型にも合います。スはナイジェリアが白く、アルジェリアが塗られています。1人当たりGNIです。南アフリカが塗られているのも、工業の付加価値で説明できます。
シ=GDPの増加率
残りが2009〜2019年の増加率です。もとが小さい国ほど率は上がりやすく、地図だけでは国を特定しにくいです。ルワンダは1990年代のフツとツチの内戦で荒廃したあと、国外で学んだ人々が戻り、復興の途中にあります。韓国が朝鮮戦争のあと、日本が第二次世界大戦のあと急速に復興した型に近く、増加率の図に入っていても不思議ではありません。国が小さいので、判定の軸にはしません。
組合せ
1人当たりGNI | GDPの増加率 | 原油産出量 | |
① | サ | シ | ス |
② | サ | ス | シ |
③ | シ | サ | ス |
④ | シ | ス | サ |
⑤ | ス | サ | シ |
⑥ | ス | シ | サ |
答え ⑥
残す型
第4問 問4 解説
消滅の危機にある少数言語です。写真①〜④は言語に関する取り組みで、保護や振興を目的としたものを選びます。消えないように守り、こういう言語があると示すことです。使うのは少数民族なので、その権利の尊重でもあります。
正解は④
①は違う ピクトグラム
歩道や自転車の絵で、使用言語に関係なく通じます。言語を超えた表現で、地球上から言語がなくなっても意味は通ります。少数言語を守る方向ではなく、言語そのものを重視していません。
②と③は違う 主要言語
国際機関のサイトは英語、フランス語、スペイン語です。使用人口の多い言語で、話者数がいちばん多いのは中国語ですが、この三つは世界で広く使われます。日本語の方がこれらより話者は少なく、世界がこの三つだけになれば日本語も要らなくなります。少数言語には優しくありません。
日本の駅の通路標識に英語を併記するのも、主要言語の話です。少数言語ではありません。
④が正しい マオリ語
ニュージーランドの紙幣に、英語とマオリ語が記載されています。マオリ語は公用語の一つですが、使用人口は少ない少数言語です。
ニュージーランドは人口約500万人で、面積のわりに人口密度が低い国です。英語を使い、乳製品と肉のイメージがありますが、牧場はもとからではありません。マオリの島で、天敵がいないため飛べない鳥がおり、森林が広がっていました。イギリスが来てマオリを迫害し、木を切って牧草地にしました。気温の年較差が小さく、年間を通して牧草が育つ気候が、植民地として重視された理由です。羊と牛を入れ、企業的牧畜が始まりました。
マオリは当初、少数民族として扱われましたが、権利は回復し、公用語になっています。カナダの公用語は英語とフランス語で、イヌイット語を使う自治区はあっても国の公用語ではありません。オーストラリアは多文化でも公用語は英語だけです。先住民の言語が公用語になっているのがニュージーランドです。ボリビアやペルーでアイマラ語、ケチュア語が公用語になっている例はほかにもあります。日本は憲法で公用語が決まっていません。
紙幣にマオリ語を載せるのは、少数言語の保護と振興です。
判定
内容 | 判定 | |
① | ピクトグラム | 言語がなくても通じる |
② | 英・仏・西のサイト | 主要言語 |
③ | 駅に英語 | 主要言語 |
④ | 紙幣のマオリ語 | 少数言語の公用語化 |
答え ④
残す型
Copyright (C) ts9ts9ts.cloud-line.com All Rights Reserved.