たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

2026年地理総合、探究[本試験]第6問・解説

2026地理総合探究本試験

第6問 問1 解説

ドナウ川・ナイル川・メコン川について、源流から河口までの気候帯(熱帯・乾燥帯・温帯・寒帯)の並びア〜ウを対応させます。図1の流域図は著作権で省略されていますが、図2の帯だけで解けます。

注意:出ているのはケッペンの気候区(西岸海洋性など)ではなく、中学範囲の気候帯です。

正解は②(ドナウ=ア、ナイル=ウ、メコン=イ)

外来河川から切る

ナイルは四大古代文明の外来河川です。外来河川は「乾燥地域を流れる川」で、源流が湿潤、途中〜下流が乾燥、という型です。乾燥地から川はほとんど発しません。蒸発が降水を上回る場所では、原則として川が生まれないからです。

図2で乾燥帯になり得るのは、源流ではなく途中から河口まで長く続く帯だけです。それがウの斜線部分です。ウの上流側は別の帯(黒塗り)で、赤道直下の湿潤=熱帯です。

よって ウ=ナイル(上流熱帯 → 下流乾燥)。

外来河川の定番は、黄河・インダス・ティグリス=ユーフラテス・ナイル、加えてニジェール・コロラド・マリーです。

残りは下流で切る

イは下流が熱帯です。メコンは東南アジアを流れ、下流のカンボジア〜ベトナムは熱帯です。上流はチベット高原側で、図では別の帯(寒帯寄り・高山)になります。氷雪の寒帯そのもの(グリーンランド・南極)から流れ出すわけではありませんが、非農業的な高冷地として読めます。

イ=メコン

アはずっと同じ帯です。ドナウは中部〜南東ヨーロッパの温帯を流れます。北部ヨーロッパの亜寒帯までは主な河道が入りません。

ア=ドナウ

国際河川について

本文は3川を「国際河川」と呼びます。厳密には、複数国を流れるだけでなく、沿岸国の自由航行が条約で定められた川です。ドナウとメコンは河川輸送の幹線です。ナイルは本流にダムがあり、船の通し方が他2川と同じではありません。本問では3川まとめて国際河川と書いてあるので、判定には使いません。外来河川の知識で足ります。

組合せ

ドナウ

ナイル

メコン

①

ア

イ

ウ

②

ア

ウ

イ

③

イ

ア

ウ

④

イ

ウ

ア

⑤

ウ

ア

イ

⑥

ウ

イ

ア

答え ②

残す型

  1. 気候帯(熱帯・乾燥・温帯・寒帯)は出る。気候区は出にくい
  2. 乾燥帯は源流になりにくい → 長い乾燥帯=外来河川=ナイル
  3. 下流が熱帯=メコン、一本調子の温帯=ドナウ

寒帯は北半球に偏る、乾燥は蒸発>降水、という中学の定義もそのまま使えます。


 

第6問 問2 解説

写真カ・キはハルツーム(ナイル)とプノンペン(メコン)のどちらか、文章A・Bも同様です。問うのはプノンペンの写真と文章です。

正解は①(写真カ+文章A)

都市名を知らなくても、川と宗教と「内戦」で足ります。

写真:モスクがある方がナイル側

キにはドーム屋根と複数の塔があります。これがモスク(イスラムの礼拝所)です。ドームの下は大広間、塔(ミナレット)は1日5回の礼拝を呼びかける場所です。メッカのカアバ周辺は規模が大きすぎて屋根が乗らない例外ですが、一般のモスクはこの2点で見分けます。

ナイル中下流はアラブ世界で、イスラムが主です。ハルツームはスーダンの首都ですが、国名が分からなくても「ナイル=エジプト周辺=アラブ=モスク」でキに置けます。

カは東南アジアの街路景観です(バイクなど)。メコン流域の大陸部(インドシナ)は仏教圏です。

東南アジアの宗教は大きく二つに分けます。

  • 大陸部(メコン・チャオプラヤなどの沖積平野)=稲作が成り立つ → 余剰で托鉢を支えられる → 仏教(タイ・ミャンマー・ベトナム・カンボジア)
  • 島嶼部(マレーシア・インドネシア)=香辛料交易の海の道 → アラブ商人が港市に広めた → イスラム

メコン本流のプノンペンは前者なので、モスクのキではありません。カ=プノンペン、キ=ハルツーム。

国際河川として押さえるなら、ドナウ・ライン・エルベに加え、メコンとアマゾンです。メコンは本流にダムがなく沿岸国の航行がしやすい川です。アマゾンはペルー(海岸砂漠/アンデス/アマゾン低地の三層)からブラジルへ流れます。

文章:内戦=カンボジア=プノンペン

A「20年以上の内戦で建物が破壊され、再建と経済特区への外資」
ASEAN
各国にキャラを付けるなら、カンボジアは内戦です。プノンペンはカンボジアの首都。経済特区も東南アジアの外資受け入れとつながります。

B「古くから交易・文化の拠点。石油でインフラを進めたが政情不安」
交易はイスラム商人のキーワードにもなります。石油・政情不安はスーダン(南スーダン分離後の油田も含む)側の話として読めます。サハラ周辺のオアシス交易(岩塩、トンブクトゥなど)まで広げなくても、Bはハルツーム側です。

よってプノンペン=カ+A。

組合せ

写真

文章

①

カ

A

②

カ

B

③

キ

A

④

キ

B

答え ①

残す型

  1. ドーム+複数の塔=モスク=イスラム=ナイル中下流
  2. カンボジア=内戦。ASEAN10か国は国名と一言キャラを付ける

島嶼部のイスラムは「海の香辛料交易」、大陸部の仏教は「米が余る托鉢」と対にしておくと、写真問題に強いです。

 


 

第6問 問3 解説

オーストリアを挟んで、ドナウ沿いの国境を通過する貨物量と輸送手段です。サ/シが上流側(ドイツ)か下流側(スロバキア・ハンガリー)か、D/Eが自動車か船舶か。問うのは上流側と船舶の組合せです。

通過だけの貨物は除き、発着の合計です。

正解は④(上流側=シ、船舶=E)

輸送はまず自動車

旅客でも貨物でも、原則は自動車が最大です。船舶・鉄道・航空・パイプラインより自動車です。

唯一よく出る例外は、日本の大都市圏の旅客で鉄道(通勤電車)の比重が高いこと。貨物まで鉄道最大にはなりません。本問は貨物なので、例外は使いません。

国際河川と書いてあるので船に目が行きやすいですが、対象は「オーストリアと隣国の貿易」です。ドナウを使った通過貨物は集計から外れています。隣国間の陸の物流が本体です。

円グラフではDが6〜7割、Eはサで16%、シでは3%です。大きいDが自動車、小さいEが船舶です。鉄道は中間の斜線です。

量の大きい方がドイツ

貿易量は完全比例ではありませんが、経済規模(GNI)にだいたい従います。ドイツは人口約8,000万、GNIは世界上位です。スロバキアは約500万、ハンガリーは約1,000万で、東欧として1人当たりもドイツより低い。二つ合わせてもドイツの足元です。

シは4,200万トン、サは2,300万トン。大きいシが上流のドイツ側です。

ヨーロッパの人口の目安も置いておくとよいです。独・英・仏・伊・西は大きく、ポーランドもそこそこ、ルーマニア約2,000万、あとは1,000万前後かそれ以下、という感覚です。

組合せ

上流側

船舶

①

サ

D

②

サ

E

③

シ

D

④

シ

E

答え ④

残す型

  1. 輸送(旅客・貨物とも)=自動車が最大。例外は日本大都市圏の旅客鉄道
  2. 国際河川でも「その国の発着貨物」は陸が本体になりやすい
  3. 貿易量の大小は隣国のGNI・人口で見る

船舶が3%しかない下流側(サ)は、ドナウ航路があっても自動車に押されている、と読めます。

 

 


 

第6問 問4 解説

3つの国際河川流域の国について、水資源の国外依存度(自国で使う水のうち、国外起源の割合)を示した図です。下線部①〜④のうち適当でないものを選びます。

正解は②

外来河川のナイルが読みの軸です。上流は湿潤、下流エジプトは砂漠なのに人口約1億をナイルの水で支えています。依存度が極めて高い典型です。

②が誤り

「流域と国土の重複が小さい国ほど、国外依存度が高い」ではありません。

重複が小さい=その川の流域は国土の一部だけ、という意味です。代表がケニアです。赤道直下の高原で雨は十分あり、ナイル流域は国土の北端だけです。自国内の降水で水を賄えるので、国外依存度は低い(図でも薄い階級)。

メコン源流側の中国も同じです。チベット高原からメコンは出ますが、中国国土に占める流域はごく一部で、国内の他流域で水を賄えます。依存度は低いです。

逆に依存度が高いのは、流域との重複が大きく、かつ自前の雨が少ない下流国(エジプト)です。「重複が小さい → 依存が高い」は図と逆です。

コンゴ民主共和国やドナウ沿いのウクライナなども、流域が国土の端だけ、という例として地図で確認しておくとよいです。

残りの下線は妥当

① どの流域にも、70%以上(濃い黒)から30%未満まで混在しています。図をそのまま読めば足ります。

③ メコンは上流(中国・ラオス支流のダムなど)で灌漑・発電の用水需要が増え、下流の農業に制約が出ています。外来河川でなくても、上流取水は下流を圧迫します。ティグリス=ユーフラテス(トルコのダム→ イラク)が同型の典型です。

④ ナイルそのものです。上流国の開発が下流の供給減につながり対立しました。グランドエチオピアンルネサンスダムなどが念頭にあります。近年は流域国間の協定の動きもあります。

ドナウの途中発電所 → 河口湿地・三角州への土砂供給減、という指摘も本文にあります。デルタ縮小はミシシッピなど他問とも重なります。

国際河川(自由航行の条約河川)と外来河川(乾燥地を貫く川)は別概念です。水争いの本丸は外来河川の上流取水です。

まとめ

下線

判定

① 70%以上〜30%未満が混在

適切(図どおり)

② 流域重複が小さい国ほど依存が高い

不適(ケニア・中国は重複小で依存低)

③ メコン上流の用水増→ 下流農業に制約

適切

④ ナイル上流開発→ 下流供給減で対立

適切

答え ②

残す型は次のとおりです。

  1. 国外依存が高い=自前の雨が少なく、川の水を他国起源で使う(エジプト型)
  2. 流域が国土の端だけの国は、必ずしも依存が高くない(ケニア・中国型)
  3. 上流ダム・灌漑は、外来河川でなくても下流を縛る

 

 


 

第6問 問5 解説

河川J〜Lはドナウ・ナイル・メコンのいずれか。流域国の1人当たりGDP(地理ではGNIと同じと思ってよい)の平均値と変動係数です。問うのはメコン川の記号と、空欄xに入る語句です。

変動係数は大きいほど国間格差が大きい、と注にあります。過去(1995)より現在(2023)の平均値で先に切ります。

正解は④(メコン=K、x=チ 域内での国際分業)

現在値で3川を当てる

2023年の平均値は次のとおりです。

平均値(ドル)

読み

J

27,729

ヨーロッパ。東欧でも世界平均より高い

K

4,878

東南アジア。人口の厚いインドネシアが4,000ドル前後

L

1,355

アフリカ。北アフリカは相対的に高いが流域全体は低い

よって J=ドナウ、K=メコン、L=ナイル。

アフリカはサハラ以南が特に低く、古着輸入など第4問の流れともつながります。東南アジアはシンガポールやマレーシアが高くても、ボリュームゾーンは中所得です。ドナウ流域はEUを含むので一段上です。

変動係数は2023年でJとKが近く、Lは0.73で横ばいです。判定の主材料にはしません。

xは単一通貨ではない

JとK(ドナウとメコン)では変動係数が下がり、国間格差が縮小しています。背景として地域の経済協力があります。

  • ドナウ側の多くは EU
  • メコン側の多くは ASEAN(AFTAなどの域内自由化)

空欄の選択肢は、

  • タ 単一通貨の導入 → ユーロはEUだけ。ASEANにはない
  • チ 域内での国際分業 → 両方にある

両方で起きているのはチです。本社・研究開発を高所得国に、組立を賃金の低い国に置く、部品を国をまたいでつなぐ、という形です。EUではドイツ本社と東欧工場、ASEANではシンガポールやマレーシアの部品とインドネシアなどの組立、が典型です。昔の「完成品を国ごとに作り分ける」国際分業より、工程そのものを国境で分ける形が普通になっています。

タを入れるとメコン側が成立しません。

組合せ

メコン

x

①

J

タ

②

J

チ

③

K

タ

④

K

チ

⑤

L

タ

⑥

L

チ

答え ④

残す型

  1. 時系列表は現在の絶対値で切る
  2. 1人当たりGDPの目安:欧州高/東南アジア中/アフリカ低
  3. EUとASEANの共通項は域内分業。単一通貨はEUだけ

変動係数の低下=経済協力で格差が縮んだ、という本文の読みもセットで残します。

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