たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

2026年地理総合、探究[第4問]解説

2026地理総合探究追試験

第4問 問1 解説

日本を含む国の農水産物の自給率です。自給率は国内生産量÷国内供給量×100で、食用以外を含み、重量ベース、2022年です。穀類に大豆は含みません。アとイがイギリスとインドネシア、AとBが穀類と野菜類です。問うのはイギリスと野菜類の組合せです。

正解は②(イギリス=ア、野菜類=B)

カロリーベースの自給率は出ません。品目別に見ます。

日本の品目でAとBを切る

米は約95%です。国内で足りていますが、ミニマムアクセスで一部を輸入するため100にはなりません。生産は年約1000万トン、国内消費は約800万トンで、輸入分も加わり余ります。小麦は約15%、トウモロコシはほぼ0%です。国内消費量が一番大きいのは飼料・油用のトウモロコシなので、穀類でまとめると約30%まで下がります。米が高いことと、穀類全体が低いことは別です。

野菜は新鮮なものが要るので国内が高く、近郊農業か、トラックで運ぶ輸送園芸です。輸入するとしても中国など近い国です。目安は約8割で、種類が増えると平均は下がります。図の日本で、Aが約30%、Bが60〜80%です。Aが穀類、Bが野菜類です。

肉類・魚介類・果実類は種類が多いので平均され、日本では50%前後に寄ります。できるものは国内で作り、できないものは輸入します。リンゴを台湾へ出すのは、暑い地域でリンゴができないからです。日本がバナナを輸入するのも、沖縄以外では栽培しにくいからです。食料不足とは別の話です。

ア=イギリス

果実で切ります。寒いイギリスでは果実がほとんどできません。魚介類も、食文化として多くありません。ヨーロッパの食生活は穀類と肉、それに芋があれば足ります。野菜と果実の輸入は、冷涼でできないものを入れているだけです。アがイギリス、イがインドネシアです。

先進国の食料自給が低く、途上国が高い、という読みにはしません。小麦やトウモロコシは、アメリカ・カナダ・オーストラリアから日本やメキシコへ出ています。ヨーロッパからアフリカへの小麦もあります。基本は、食料の輸出国が先進地域側です。

組合せ

イギリス

野菜類

①

ア

A

②

ア

B

③

イ

A

④

イ

B

答え ②

残す型

  1. 日本の穀類約30%は、米約95%・小麦約15%・トウモロコシほぼ0の平均。米不足ではない
  2. 野菜は新鮮さで国内が高い。果実は寒地ではできない
  3. 果実が極端に低い方がイギリス

 


 

第4問 問2 解説

大豆とトウモロコシは、食用だけでなく飼料や工業原料にもなります。図2は、2000年の生産量を100とした2020年の指数と、2020年の輸出率です。カとキが大豆かトウモロコシ、DとEが中国かブラジルです。中国に台湾・ホンコン・マカオは含みません。問うのは大豆とブラジルの組合せです。

正解は②(大豆=カ、ブラジル=E)

アルゼンチンは判定に使いません。中国は輸入側、ブラジルは輸出側、とだけ置きます。

ブラジルの貿易の移り方

かつてはコーヒーのモノカルチャーでした。その後、鉄鉱石と工業化で、鉄鋼・自動車・機械の輸出が増えました。いまも自動車も鉄鉱石も落ちてはいません。それに加えて、最大の貿易品目が大豆になり、沿岸の原油が2位クラスまで増えています。水力は発電の中心ですが、割合は5割程度まで下がり、太陽光やサトウキビの絞りかすも入っています。

大豆の畑は、まずブラジル高原北部のセラードです。1960年にブラジリアができた荒れ地で、日本も協力して開拓し、トウモロコシと大豆の畑に変わりました。南部のサンパウロ周辺は、テラローシャのコーヒー地帯です。需要がさらに増えると、畑はアマゾンの熱帯林側へ広がります。

大豆は根が硬く、硬い土壌でも栽培できます。熱帯のラトソルは、雨で有機分が流出し、金属分が地表に残って固く、樹木や一般の作物には向きません。大豆はその土地を砕きながら広がります。アマゾンの減少は、大豆畑、牛の牧場、鉱山、道路が中心です。焼畑は再生力を超えた場合に限ります。東南アジアはアブラヤシ、有用樹種の商業伐採、マングローブの消失が中心で、原因は別です。ブラジルは石炭国ではないので、酸性雨で熱帯林が減った、という選択肢は誤りです。

カ=大豆、E=ブラジル

中国は大豆の原産地ですが、生産は伸びていません。食の変化、食用油、家畜飼料で需要が増え、ブラジルから輸入しています。図のDは生産指数が100を少し超える程度で、輸出率は低いです。これが中国です。

Eは指数が400近くまで上がり、輸出率も高いです。アメリカを超えて生産も輸出も多いのがブラジルの大豆です。カのEがこの位置です。キはトウモロコシで、アメリカの輸出率が20%を切っています。

原産地と主産地はずれます。キャッサバはブラジル原産でナイジェリアが多い、天然ゴムはブラジル原産で東南アジア、コーヒーはアフリカ原産でブラジル、大豆はアジア原産でブラジル、サトウキビはニューギニア方面が原産です。トウモロコシは南米原産で、中国の生産は多い側です。

発展 アメリカのトウモロコシ

キのアメリカは指数120程度です。母数が大きいので、拡大は小さくありません。輸出率が20%を切っているのは、国内でバイオエタノールに回しているからです。日本のトウモロコシ自給はほぼ0で、飼料と油のためにアメリカから入ります。メキシコではトルティーヤの主食です。アメリカ国内の中心は飼料と、増えている燃料用です。ブラジルのサトウキビ、マレーシアのアブラヤシと同じ、バイオマス燃料の型です。

組合せ

大豆

ブラジル

①

カ

D

②

カ

E

③

キ

D

④

キ

E

答え ②

残す型

  1. ブラジルの輸出の中心は大豆。相手は中国。原油も上位
  2. セラード開拓からアマゾン側へ畑が広がる。東南アジアの減少原因(アブラヤシ)とは別
  3. 中国は原産地でも生産は伸びない。アメリカのトウモロコシは国内の燃料用で輸出率が下がる

 


 

第4問 問3 解説

貿易品を、生産段階で素材・中間財・最終財に分けた資料です。中間財は、生産の途中で生まれた加工品や部品で、ほかの商品の材料になります。最終財は、そのまま消費される完成品です。資料1は主な国・地域間の輸出額(矢印の太さ)と、そのうち中間財の比率(色)です。統計は2016年、『通商白書』などにより作成されています。中国に台湾・ホンコンは含みません。サ〜スは日本・アメリカ合衆国・中国です。

正解は⑥(日本=ス、アメリカ合衆国=シ、中国=サ)

シ=アメリカ合衆国

先に貿易収支を見ます。シは、どの相手からも入る矢印の方が太く、輸入側です。アメリカは貿易赤字が基本なので、シがアメリカです。

貿易額はGNIの大きさにほぼ比例します。GNIはアメリカ、中国の順で、貿易額は中国、アメリカの順になる年もありますが、この2か国が上位であることは変わりません。日本は2010年に名目GDPで中国に抜かれ、いまは数倍の差があります。1980年代は日本が2位で、アメリカとの差はいまより小さかった、という対比だけ残します。

サ=中国、ス=日本

残る2つのうち、矢印が太いのがサです。EUとの取引も太いですが、量ではサの方が大きいです。サは輸出側が太く、ほぼ黒字です。これが中国です。スは矢印が細く、日本です。EUとの矢印は1000億ドル未満で、ほとんど取引がありません。

中間財の色で流れが確認できます。スからサへ、つまり日本から中国へは中間財の比率が高く、部品の輸出です。長野県は情報通信機器の国内生産が1位で、パソコンやスマホの完成品ではなく、中に入る部品のイメージです。半導体は台湾・日本・韓国で作られ、精密部品も日本を含む周辺から中国へ送られます。統計上のパソコン・スマホ・タブレットの生産1位が中国でも、中身は別です。

サから出る矢印は、中間財が40%未満です。完成品の割合が高い、ということです。中国は部品を輸入して組み立て、アメリカ・EU・日本へ完成品を出しています。車ならタイヤやガラス、スマホなら半導体・メモリー・ボディが中間財、完成した車やスマホや冷蔵庫が最終財です。

発展 日本とEU

量は少ないので、生活に必須の取引ではありません。近年の出題は、量ではなく単価の高い品です。フランスなどからのチーズやバター、ボジョレー・ヌーヴォー、イタリアのサルデーニャ、イベリコ豚のようなブランド品です。欧州の豚はポーランド・ドイツ・スペインが多く、混合農業の有機的な循環とは別に、少量・高付加価値の輸出があります。しじみの地域ブランドと同じ型です。

組合せ

日本

アメリカ合衆国

中国

①

サ

シ

ス

②

サ

ス

シ

③

シ

サ

ス

④

シ

ス

サ

⑤

ス

サ

シ

⑥

ス

シ

サ

答え ⑥

残す型

  1. 輸入側が太いのがアメリカ。赤字で切る
  2. 矢印が太く、出す側が黒字なのが中国。中間財40%未満は完成品
  3. 日本は細い。中国向けは部品(中間財)が高い


 

第4問 問4 解説

製品の経済的用途で貿易品を分けた資料です。金額ベースで、『数字でみる日本の100年』などにより作成されています。タとチが輸出か輸入、GとHが1970年か2020年です。問うのは輸出と2020年の組合せです。

燃料は原油・石油精製品・石炭で、中心は原油です。資本財は、工場に据えて生産に使い続ける機械です。消費財は生活のために買うもので、使えばなくなる食料などが直接消費財、長く使う家電や自動車が耐久消費財です。耐久消費財は買い回り品で、値段が高く、選んで買います。

正解は②(輸出=タ、2020年=H)

1970年は「昔」ではなく、高度経済成長の成熟期です。1960年代に臨海部へ製鉄所と石油化学コンビナートができ、1970年もその延長です。本試験第4問問2の化学繊維(1967年と2021年)と同じ時期で、岡山・山口・愛媛など瀬戸内が事業所の上位に出ます。倉敷水島と山口の徳山が代表です。安い石油を輸入し、化学繊維や鉄鋼、そこから自動車や家電を作る加工貿易が、この時期の型です。成長が止まったきっかけの一つが、石油価格の急騰(オイルショック)です。

チ=輸入

日本は原料の輸入国です。工業用原料・燃料の割合が大きい方が輸入です。チはGで約7割、Hでも約4割あります。タは約4割と約25%で、こちらが輸出です。

H=2020年

輸入側の耐久消費財で切ります。Gではほとんどなく、国内で賄っていました。Hでは割合が数倍に上がります。家電・自動車・衣類を、国内生産から輸入に切り替えた結果です。食料・直接消費財は減っていません。資本財も増えていますが、判定は耐久消費財だけで足ります。

背景は国際分業の変化です。かつての垂直貿易は、先進国が工業製品を出し、途上国が原料・燃料・食料を出す型でした。水平貿易は、先進国どうしが自動車と航空機を出し合う型です。いまは、研究開発が先進国、部品が新興工業国、組み立てが途上国、と工程が国境を越えます。問3の通り、日本は中間財を中国へ出し、完成品を輸入しています。輸出では自動車は残りますが、輸入の中身は耐久消費財が増えた側が2020年です。

組合せ

輸出

2020年

①

タ

G

②

タ

H

③

チ

G

④

チ

H

答え ②

残す型

  1. 原料・燃料が大きい方が輸入。1970年は石油化学コンビナートの加工貿易
  2. 輸入の耐久消費財が跳ねる方が2020年。完成品を入れる側に変わった
  3.  

水島・徳山は1960年代。オイルショックで安い石油の時代が終わる


 

第4問 問5 解説

知識集約型産業は、手を使う製造から頭を使う産業への転換です。脱工業は農業や資源採掘に戻ることではなく、ICTなど付加価値の高い側へ移ることです。製造業の割合低下や、エネルギー消費・CO₂の減少も、この転換と重なります。図3は国際特許の出願件数(法人は本社所在地、中国は台湾を含まない)で、1995〜2023年、WIPOの資料です。図4は2023年度の日本の技術輸出額か技術輸入額で、世界に占める割合が1%以上の国・地域です。技術は特許・実用新案・ノウハウなど、研究開発の成果です。

会話では、日本に当てはまるのがJ、日本の技術輸出額を示した方がKです。受け取る使用料は支払う使用料の数倍、とあります。

正解は⑤(J=ム、K=x)

ム=日本

1995年の段階で極端に低いのがマです。中国の改革開放は1980年頃からで、1995年はまだ出願が少ない側です。その後、2010年頃から急伸し、いまはトップです。国が大きいことも件数に出ます。

1995年時点でトップなのがミで、アメリカです。その後も上位ですが、中国に抜かれています。残りがムで、日本です。韓国・ドイツよりは上です。韓国は情報通信、ドイツは輸送機器の出願が多い、と会話にあります。

x=技術輸出

技術は、1人当たりGNIの高い側から低い側へ出る、と置きます。日本が受け取る相手にインド・東南アジア・インドネシアが入る方が輸出です。中国はGNIの総額は大きいですが、1人当たりはまだ発展途上の枠です。アメリカやヨーロッパにも出しています。

輸入はアメリカとヨーロッパが中心で、先進地域から買う側です。図のyがこちら、xが輸出です。会話の「数倍」と整合します。

発展 量産までつながるか

ペロブスカイト太陽電池は、横浜の大学で研究開発された技術です。日本発でも、量産と商品化は中国側で進み、太陽光パネルの設置シェアが議論になっています。特許を持っていても、商業化に結びつかなければ成長にはつながりにくい、という対比です。

組合せ

J(日本)

K(技術輸出)

①

マ

x

②

マ

y

③

ミ

x

④

ミ

y

⑤

ム

x

⑥

ム

y

答え ⑤

残す型

  1. 1995年にほぼゼロで急伸するのが中国。当時トップがアメリカ。残りが日本
  2. インド・東南アジアが入る方が日本の技術輸出。アメリカ・ヨーロッパ中心が輸入
  3. 脱工業は知識集約への転換。特許件数と、受け取る使用料は別の指標

 

表示:PC