たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

2026年地理総合[本試験]第4問・解説

2026地理総合本試験

第4問 問1 解説

図1は1人当たりエネルギー供給量(石油換算、キロリットル)と1人当たり二酸化炭素排出量(トン)の散布図です。白丸が1991年、黒丸が2021年。ア〜ウはアメリカ合衆国・韓国・フランスのいずれかです。

正解は⑥(アメリカ=ウ、韓国=イ、フランス=ア)

まず「1人当たり」と「供給」

両方とも人口で割った値です。国の大きさやGNIの実数では切れません。人口規模が効くのは貿易量のような実数問題です。

「エネルギー供給」は消費と同じ意味です。使っている量です。食料供給も「食べている量」です。地理の定番の言い換えなので、実数と取り違えないようにします。

原則、エネルギーを多く使えばCO₂も多く出ます。点はおおよそ の比例線上に並び、その線に沿って30年でどう動いたかを見ます。

動きで韓国を切る

先進国は脱炭素・脱工業(製造業からICTへ)で、供給も排出も下がります。アとウは比例線に沿って左下へ動いています。

イだけ右上へ上がっています。1991年の韓国はまだ高度成長の途上で、先進国の仲間入り前です。1970〜80年代の韓国の成長は必須知識で、1991〜2021年は供給・排出とも増える側です。いま(2021年以降)は下がり始めている可能性はありますが、この期間は上昇です。

よって イ=韓国。

水準でアメリカとフランスを分ける

残りはどちらも低下ですが、高さで分かれます。

資源国は国内供給に余裕があり、1人当たり供給も高くなります。ロシアやカナダはGNIの割にエネルギー消費が大きい典型です。アメリカは原油産出が世界首位で、北米(カナダ・メキシコ湾岸を含む)全体が産油地域です。輸入も多いですが、パイプラインでつながった域内の出入りが大きく、供給の余裕は残っています。脱炭素は進んでも水準は高い。これが ウ=アメリカです。

フランスは自前の化石燃料に乏しく、原発依存と欧州全体の脱炭素・脱工業で、もともと低く、さらに下がっています。これが ア=フランスです。

国全体のエネルギー消費の目安は、GNI順(米・中・独・日・印)に近く、中国が1位、アメリカが2位です。ロシアは資源の余裕で上位に入ります。本問は1人当たりなので、この実数順位はそのまま使いません。

組合せ

アメリカ

韓国

フランス

①

ア

イ

ウ

②

ア

ウ

イ

③

イ

ア

ウ

④

イ

ウ

ア

⑤

ウ

ア

イ

⑥

ウ

イ

ア

答え ⑥

残す型

  1. 1人当たり供給=消費。人口規模では切らない
  2. 1991→2021で上がるのは、当時まだ成長途上の韓国
  3. 下がる2国は水準で分ける。資源に余裕があるアメリカが高く、原発・脱炭素のフランスが低い

 

 


 

第4問 問2 解説

図2は、アメリカ本土の1991〜2020年の平均降水量を、1901〜2000年(20世紀)の平均を100とした指数で示したものです。下線部①〜④のうち適当でないものを選びます。

濃い色が105以上(増)、やや濃いグレーが100〜105、薄いグレーが95〜100、白が95未満(減)です。

正解は①

温暖化で全体が増えた、とは読めません。降るところはより降り、降らないところはより降らなくなっています。

①が誤り

アメリカ中央の西経100度付近が、年降水量およそ500mmのラインです。ここが半乾燥(プレーリー、地形名はグレートプレーンズ)で、木は生えず草が腐植になる肥沃土(プレーリー土、チェルノーゼムと同型)です。企業的穀物農業の小麦地帯になります。

このラインの東は湿潤、西は原則として乾燥です。図の西側、とくに南西部(グランドキャニオン、コロラド川流域)は95未満が広く、20世紀平均より減っています。乾燥帯が他地域より増加著しい、は図と逆です。

本問の本体は環境問題というより、この500mmラインで東西が分かれる、という中学レベルの知識です。高校ではそこに小麦・企業的穀物まで乗せます。

残りの下線は妥当

② カはカリフォルニアです。地中海性でもともと雨が少なく、ブドウ(雨が少ない方が実が締まる)に向きます。オレンジや野菜は水が要るので、雨の少ないカリフォルニアで作るなら灌漑が前提です。フロリダは暖流沿岸で雨が多く、灌漑なしでもオレンジが成り立ちます。スペイン南部のオレンジも、乾燥地に水を引いた灌漑です。塩害・塩類集積のリスクは残ります。②は図の増加とは別に、立地として正しいです。

③ キは五大湖南側のコーンベルト(イリノイ、アイオワなど)です。大豆・トウモロコシと豚・牛を組み合わせる混合農業です。五大湖は凍結し、シカゴ付近が気候帯の境なので、寒帯側・温帯側・半乾燥の小麦が集まる集散地にもなります。ケッペンの記号は出なくても、ホイットルセーの農業区分は場所ごと出ます。五大湖南=混合農業、は図を見ながら固定します。

④ クはメキシコ湾岸です。ハリケーンの数の増加が降水量変化の一因、と本文にあります。増えたかどうかは図だけでは断定できませんが、本問では①が明確に誤りなので④は残します。正しい選択肢として出た以上、湾岸のハリケーン増加は知識として置いておきます。太平洋は台風、インド洋はサイクロン、大西洋・メキシコ湾はハリケーン(ニューオーリンズの被害)です。

末尾の「環境変化に合わせた水利用」は、持続可能性=環境に適応した利用、という読みで問題ありません。

まとめ

下線

判定

① 乾燥帯の方が降水量増加が著しい

不適(南西部は95未満で減少)

② カ=灌漑で柑橘・野菜

適切(カリフォルニア)

③ キ=大豆・トウモロコシと家畜の混合農業

適切(コーンベルト)

④ ク=湾岸ハリケーンの増加が一因

適切として残す

答え ①

残す型

  1. 西経100度・年500mmで、東が湿潤、西が乾燥。小麦帯はその境
  2. カリフォルニアのオレンジは灌漑。ブドウとは水の要り方が違う
  3. 混合農業は「何か」より「五大湖の南」で出る


 

第4問 問3 解説

写真1はインドネシアのジャカルタです。Aは水辺の掘っ立て小屋(スラム)、Bは都市中心部の渋滞です。下線xとyの正誤の組合せを選びます。

正解は①(x正・y正)

AとBの正誤は独立です。片方を誤りと決めても、もう片方が自動で正しくなるわけではありません。明らかな誤り以外は正として読み、迷ったら「正・正」に倒すのがこの型のコツです。誤っているものを探す問題(問2のような「適当でないもの」)とは読み方が逆です。

x スラムと衛生的な水

Aは洪水の起きやすい、居住条件の悪い場所にできたスラムです。インフラは道路・橋・港だけでなく、上下水道・電気・都市ガス、広くは学校・病院も含みます。

写真の水辺の家では下水道は期待できず、生活排水は川へ垂れ流しです。衛生的な水へのアクセスが課題、は自然な読みで、明確な誤りはありません。xは正。

ジャカルタは地盤沈下が深刻で、人口集中も重なり、首都機能の移転が進められています。背景はジャワ島の過密です。熱帯の典型土壌はラトソル(鉄・アルミニウムが表面に集まり、農業に向かない)で、ほかの島は焼畑が中心です。ジャワは火山が多く、火山灰が母材になります。灰そのものは肥沃ではありませんが、鉄板のようなラトソルよりは土壌が残り、腐植が積もって稲作ができます(関東ロームに近いイメージ)。雨も通年なので、田植えから収穫までの約4か月を年3回回せます。土地生産性が高く、人口が集中する島になります。

y 渋滞とバス専用レーン

Bは中心部の深刻な渋滞です。輸送が滞り、排ガスで大気汚染になる、という前段は問題ありません。

yは「定時性・速達性のためバス専用レーンが導入された」です。写真だけでは断定しにくいですが、左側通行の内側レーンにバスらしい車両が並び、言われれば専用レーンに見えます。否定できないので正として読みます。yは正。

組合せ

x

y

①

正

正

②

正

誤

③

誤

正

④

誤

誤

答え ①

残す型

  1. 正誤の組合せは「明らかな誤り以外は正」。迷ったら正・正
  2. ジャカルタの水辺スラムは洪水+上下水道不足
  3. ジャワだけ稲作が年3回できるのは、火山灰土壌と通年の雨。ラトソル地域とは別

 

 

 

 


 

(以下追加説明です。参考にしてください)

①(x正・y正)が正解になる理由

問3は、写真A・Bの説明文の下線xとyが、どちらも事実として成り立つかを問うています。①は「両方とも正しい」です。片方が正しければもう片方が誤り、という関係はありません。

xが正しい理由

Aはジャカルタの水辺に並ぶ掘っ立て小屋です。問題文が先に「洪水の起きやすい、居住条件の不利な場所のスラム」と書いてあり、xはその結果を述べています。

ジャカルタ北部は低湿な海岸低地で、地盤沈下が進んでいます。地下水のくみ上げと軟弱地盤が重なり、海抜より低い地区もあります。雨季の豪雨と高潮・高波が重なると、川沿い・海岸沿いはすぐ浸水します。そういう土地は地価が低く、流入人口の受け皿になります。水上・水辺の集落(カンポン)は、その典型です。

そこでは上下水道が行き届きません。

  • 飲料水は水道本管がなく、井戸・購入水・雨水に頼る
  • 井戸は地盤沈下と塩水化で水質が悪い
  • トイレも水洗でなく、生活排水は川や水路へ直接出る
  • 洪水のたびにその水が家の中に戻る

「インフラ整備が不十分で、衛生的な水へのアクセスが課題」は、写真の立地から読んでよい内容です。否定する材料はありません。

背景まで置くと、ジャワ島だけ人口が極端に多い理由にもつながります。熱帯の典型土壌はラトソルで、鉄やアルミニウムが表面に残り農業に向きません。ジャワは火山灰が母材で、通年多雨なので稲が年3回近く取れます。土地生産性が高く人口が集中し、首都ジャカルタにさらに人が集まります。地盤沈下と過密が首都機能移転の理由にもなっています。

yが正しい理由

Bは中心部の車列です。前段の「渋滞が輸送を妨げ、排ガスで大気が汚れる」は、ジャカルタの日常そのものです。自動車が急増し、道路容量が追いついていません。

yの「バスの定時性・速達性のために専用レーンを入れた」も、ジャカルタでは事実です。2004年にトランスジャカルタ(BRT、バス高速輸送)が導入され、一般車と分けた専用レーンを走らせています。狙いが定時性と速達性です。渋滞の中でもバスだけは遅れにくく、鉄道を新設するより安く大量輸送できます。写真の車列の端に、一般車と区切られたバスらしい列が見えるのも、この専用レーンと矛盾しません。

インドネシアは左側通行なので、専用レーンは道路の端(進行方向から見て左寄り)に取られることが多いです。写真だけで路線名までは断定できませんが、「専用レーンがある」こと自体は否定できません。

なぜ両方正なのか

下線

写真

中身

判定

x

A 水辺の家

洪水常襲地のスラムで、上下水道がなく衛生的な水が課題

正

y

B 車列

渋滞・排ガスへの対策として、定時性・速達性のためのバス専用レーン

正

組合せは次のとおりです。

x

y

①

正

正

②

正

誤

③

誤

正

④

誤

誤

xを誤りにするには「水辺スラムなのに衛生的な水は問題ない」と言わねばならず、写真と合いません。yを誤りにするには「専用レーンはない/目的が定時性・速達性ではない」と言わねばならず、トランスジャカルタの導入目的と矛盾します。どちらも落とせないので①です。

迷ったときに「正・正」へ倒すのは、この型の解き方です。中身としては、xは立地から、yはジャカルタのBRTから、それぞれ独立に正しい、と押さえておけば足ります。


 

第4問 問4 解説

図3のE〜Gは、世界全体に占める割合が1%以上の国だけを円の大きさで示したものです。中身は日系企業の拠点数(2022年)、海外で活動する日本のNGO団体数(2021年)、日本のODA供与額(2017〜2021年平均)のいずれかです。

正解は⑤(日系企業=G、NGO=E、ODA=F)

地理総合は地理AのNGO・ODAと、地理Bの日系企業進出を両方引き継いでいます。切る順番は、日系企業の絶対数、ODAのアジア集中、残りがNGOです。

G=日系企業の拠点数

経済規模の大きいアメリカと中国が、拠点でも1位・2位です。貿易相手もこの2国が上位です。

3位がテストの本命で、タイです。GNI順ならドイツやインドが上がりそうですが、日系企業の中心は製造業で、安価な労働力を求めて東南アジアへ出ます。伸び率ならベトナム・フィリピン・インドネシアが目立ちますが、絶対数はタイが多いです。Gの円はアメリカ・中国が大きく、タイも目立つ、という読みです。

タイは人口約7,000万人、1人当たりGNIは東南アジアでは中位(講義では約7,000ドル)です。マレーシアは人口約3,000万人で約1万ドル。シンガポール(中継貿易)とブルネイ(天然ガス)は別格なので、覚える本体はマレーシアとタイです。

工業化の波は、1980年代の韓国・台湾(NIES)→1990年代のマレーシア・タイ→中国→いまはベトナムなどへ戻っています。東南アジアは4段で見ます。

  1. シンガポール・ブルネイ(高所得・別格)
  2. マレーシア・タイ(1990年代から工業化)
  3. インドネシア・フィリピン・ベトナム(いま伸びている)
  4. カンボジア(内戦)・ミャンマー(軍事政権)・ラオス(内陸)

タイは1990年代に日本の工場が多く入り、いまも自動車が中心です。生産は世界の上位に入り、経済規模の割に多い国です。バンコク周辺に部品工場が集まり、洪水でサプライチェーンが止まったこともあります。部品は関税なしで往来し、完成車は日本へ戻るほか、西アジア向けにタイから出るルートもあります。日本の自動車輸入ではドイツに次いでタイが入ってきます。

F=ODA供与額

ODAは政府開発援助です。政府が行い、先進国から途上国へ、開発(インフラ)が本体です。

日本のODAはアジアに偏ります。道路・港・空港・工業団地を先に作り、そのあと日本企業が進出しやすくする、資源(インドネシアの天然ガス・原油・石炭など)を開発する、というつながりです。安い賃金だけでは、政情・教育・都市インフラがなければ工場は出ません。

Fはアジア限定に近く、インド・バングラデシュ・インドネシア・フィリピン・ベトナムが大きく、タイ・カンボジア、資源関係の西アジアにも円があります。アフリカは一部(ケニアなど)です。中国へもかつては多く、都市・港・工業団地が企業進出の足がかりでした。いまは経済大国になった中国への供与はほぼありません。

Eはアフリカにも円が散るので、ODAではありません。

E=NGO団体数

残りがNGO(非政府組織)です。サハラ以南など貧困地域にも団体があり、政府の治安・警察や巨大ダムはしません。草の根の教育・医療・井戸・農業指導が中心です。大規模土木はODA側です。最近のODAは教育・医療にも広がっているので、「ODAは開発だけ」と切りすぎない方が安全です。NGOでないものとして、治安維持と巨大土木、を置いておきます。本問ではE・F・Gが決まれば、NGOの細かい分布は後回しで足ります。

組合せ

日系企業

NGO

ODA

①

E

F

G

②

E

G

F

③

F

E

G

④

F

G

E

⑤

G

E

F

⑥

G

F

E

答え ⑤

残す型

  1. 日系企業の拠点はアメリカ・中国、3位はタイ(自動車、1990年代からの工場)
  2. 日本のODAはアジア集中。インフラと資源開発で、企業進出の下地になる
  3. NGOは政府でも巨大土木でもない。教育・医療・井戸・農業指導

 

 

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