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2014.04.24
2014年度地理B追試験解説[第1問]
たつじんオリジナル解説[2014年地理B追試験]
解答数は36個だが、2つの解答を求める問題が一つあるため、問題数は35問。また第2問については冒頭にリード文が設けられており、近年では珍しい形である。
第1問 世界の自然環境
第1問が自然環境に関する大問であるのはいつものパターン。ただし、問1で植生が大きくフューチャーされていたり、何らかの形の気候グラフが問われていない点が目新しい。
問1 [インプレッション]冒頭で植生の問題!形式も含め、目新しい。土壌についても言及されており、どちらで考えてもいいと思う。
[解法]植生と土壌と両方のヒントが示されているので、じっくり考えてみよう。ヒントが多い問題だからこそ、直感で解いてはいけない。
最も気になるのはツンドラ(ツンドラ土)。ツンドラというのは、通常は雪氷に覆われ、短い夏の間だけ地表面に地衣や蘚苔が繁茂する荒地のことで、北極海や南極海沿岸などに典型的にみられる。まずエが外れる。エの北端のノルウェー南部は偏西風や暖流(北大西洋海流)の影響によって緯度に比して温暖であり、決してツンドラではない。温帯に含まれ、都市も立地している。
さらにポイントは熱帯林とラトソル。これは赤道に近い低緯度地域にみられる植生と土壌である。これによりアが外れる。アの南端はメキシコ中部であるが、この地域には乾燥気候が広がる(例えばメキシコシティなど、降水量が少ないことが特徴の都市である)。中緯度高圧帯の影響によって少雨となることも考慮しよう。
そして最後のポイントとして亜寒帯針葉樹林(タイガ)とポドゾルがある。これは冷帯の植生と土壌。針葉樹は冷涼な地域にみられ、とくにシベリアやカナダには樹種が単純な(例えばモミだけ、あるいはトウヒだけ、といったように)森林が広がり、タイガと呼ばれている。冷帯は蒸発量が少なく、水分が地下に浸透する際に色素を溶脱し、灰白色の土壌が形成される。これがポドゾル。冷帯の特徴として冬季の極端な低温がある。冬季の平均気温が極めて低く、湖沼や河川、海岸などの凍結がみられるのが冷帯。海洋からの影響が強い地域(海洋性気候)ではこのような事象は生じず、冷帯気候となる絶対的な条件として大陸の影響が強い(大陸性気候)ことが上げられる。南極を除けば(南極は寒帯気候であり、冷帯より寒冷。そもそも植生がみられず、土壌も大陸氷河の下に隠れている)、高緯度地域に陸地がほとんど存在しない南半球においては冷帯気候も分布せず、タイガやポドゾルもみられない。このことからウが消える。
残ったイが正解!消去法かよ、疲れた(笑)。
[アフターアクション]これ、難しいわ。消去法で徹底的に考えた。君たちは最低限「南半球に冷帯は存在しない」だけは知っておいて、冷帯が存在しないのだから、冷帯の土壌であるポドゾルも存在しないのだ。
問2 [インプレッション]河川流量を問う問題は定番ネタであるものの、本問はちょっと雰囲気が異なる。問1に続いて難問ですよ!
[解法]Aを当てないといけない。例えばBはすごく簡単。Bのような寒冷地域を流れている河川は春(初夏)の融雪・融氷期に一気に増水する。冬季は凍結しているため、流量は最小。④がBになるのは簡単に判定できる。
さて、それに対してAはどうなんだろうか。難しい問題だからこそ、深読みはせず(そんなにセンター試験はひねくれたテストではないよ)素直に考えよう。Aはアアマゾン川だろうか、熱帯雨林の広がる低地を流域に収めている。赤道直下のエリアであり、年間を通じ降水量は多いだろう。高温の地域であるので、融雪や融氷、凍結といった要素は考慮する必要がなく、降水量と流量をそのまま対応させればいい.年間を通じて渇水期がなく、流量も比較的安定している②が正解となる。
CやDはいずれも乾燥地域を流れる外来河川であり、とくに降水量が少ない時期には流量が激減する。モンスーンの影響によって夏季に降水量が多い地域を流れるCが③、南半球の初夏に融雪によって流量がやや増加するDが①となる。
[アフターアクション]Bが④であることをしっかり覚えておいて!こっちのネタの方が使えるはず。
問3 [インプレッション]うわー、これ、おもしろいわ。ちょっと厄介だけど、解答可能と思う。消去法で考える方がベターかな。
[解法]熱帯低気圧の発生のための最大の条件、それは海水温。一般に海水温が27度以上の海域においてのみ熱帯低気圧は発生する。ただし、転向力が働かない赤道直下においては生じないことも知っておくといいかも。ただし本問の場合は赤道直下のエリアはないので、この条件は無視していいね。
海水温にこだわるならば、2つの海域において妥当でないことがわかる。南アメリカ大陸の太平洋岸、アフリカ大陸の大西洋岸はそれぞれ寒流が流れており(寒流とは高緯度方向から低緯度方向へと冷たい海水を運ぶ流れ)海水温は低い。熱帯低気圧の発生海域としてKとLは不適であり、残った2つが正解となる。
[アフターアクション]海流の流れは第4問でも登場している。同じネタが出題されることは珍しくないものの、元々の出題率がとくに高いわけでもない海流ネタが連発されたことにはちょっと驚き。それだけ大事だってことでもあるんだけどね。
問4 [インプレッション]大地形の問題。このように大地形が文章の形で出題されるときは難問になるパターンが多いのだが、本問はどうだろう?細かいことは聞かれないものの、確実は知識は必要となる。
[解法]①;地溝について。アフリカ地溝帯はプレートの広がる境界である。誤文。同じ「溝」であっても、地溝は広がる境界、海溝は狭まる境界。
②;アンデス山脈は新期造山帯。古生代に造山運動を受けたのは古期造山帯であり、該当しない。誤文。もちろん「古生代から現在まで」数億年間にわたり継続して活発な造山運動を受けているような地域は存在しない。
④;ヨーロッパの火山は、イタリアなど地中海沿岸とアイスランド(大西洋中央海嶺)。東ヨーロッパ平原にはみられない.誤文。
正解は消去法で③。楯状地の説明であるが、とくに知らなくていい。
[アフターアクション]「楯状地」なんていうマイナーなものが解答になっているというめずらしいパターン。でもこれについて特別な知識はいらないと思う。とりあえず安定陸塊(6億年以上前につくられた地形)であることだけ知っておけばいい。本問にしても消去法で解くべき問題。
問5 [インプレッション]見慣れない図が登場。不穏な空気だが?はてさてどんな問題なのだろう。
[解法]ちょっと読み取りにくい図だな。海面の高さっていうのは、現在と比較してっていう意味だよね。つまり15000年前は現在より100mほど海面が低かったということで、海水が少なかった時代ってことだね。氷河期で大陸氷河が発達していたことが想像できればいい。
で、氷河期の地球を想像して欲しいんだけど、いわゆる「グレートジャーニー」が生じた。モンゴロイド(黄色人種)のユーラシア大陸からアメリカ大陸への移動がみられたのだが、これは現在のベーリング海峡が陸化していたために、徒歩によって行われたのだ。このことを考えるに、1万5千年間(つまり氷河期)の世界において、現在の浅海底は陸化し、人々が歩くことによって移動や交流をしていたという歴史があるのだ。「現在大陸だなになっている範囲」はむしろほとんどが陸地だったんじゃないか。
[アフターアクション] いや、これ、難しいや。たしかにちょこちょこ氷河期に陸地がつながっていたっていうネタは登場しているんだが、それにしても解答は困難。氷河期という時代について、もっと授業で取り上げていこうかな。ここが盲点になっている気がする。
問6 [インプレッション]マングローブの問題か。環境破壊ネタなら一般常識で解けるかな。
[解法]あ、簡単じゃないですか。エビの養殖池の拡大だよね。実際、ベトナムやインドネシアからのエビの輸入は増加しているわけで、その多くはマングローブ林の破壊の上に成り立っている。図は関係なかったね。
[アフターアクション]マングローブの問題は結構よく出てくる。熱帯の干潟にみられる植生で、河口付近の汽水域にしばしばみられる。満潮時は樹木の頭まで海水につかり、干潮時には根までが海面上に現れる。泥地で豊富な生態系を有しているが、近年はエビの養殖池の開発などにより失われるものも多い。
2014.04.23
『東京難民』観ました
2014.04.23
久々に大分に降り立って
大分市民に媚びるわけではないけれど、全国いろんな街をめぐったたつじん的には、住むなら大分だ な、と。公共施設や官公庁などが駅から歩ける範囲に揃っていて、ショッピングや飲食にも不自由しない。また、今日職員さんとしゃべったんですが、これまで 何もなかった駅南地区が再開発され、住宅地や道路などの整備により、さらに利便性が増すよう。JRの駅を中心とした都市計画がはっきりしている点におい て、大分市は効率的な街づくりがうまく進められていると思います。
2014.04.23
授業スタート!
授業スタート!土曜の授業では楽しさのみが先走ったわけだが、今日についてはもっと冷静な感じで。
慎重に授業を進めようという気持ちが一点、今日授業に出てくれている生徒たちの何割かは来週はいないのだろうなという冷めた見方がもう一点。
聞くところによると、裏番組の科目のいくつかが理系にとって重要な科目で、しかも週にこの時間にしか開講されていないものもあるんだそうだ。
時間割がそうなっているなら仕方ない、ほとんどの生徒にとってはどうしてもそちらを優先して受講することになるよね。
なるほど、こういう時のためのDVDなんだろうが、あいにくボクは今年はDVDを担当していないのも悔しいところ。
ライブ授業にどれだけの生徒が集まってくれるのか予想もつかないが、現実問題として、廃講にならない程度の数がキープできればそれで御の字かな。
さて、授業後は多くの生徒が質問に来てくれてありがたかったものの、全員がメンズだったというオチはついとります(笑)
2014.04.22
中国の戸籍問題
2014年度地理B追試験より。興味深い問題シリーズ。次の文の正誤判定を求める問題が問われていました。
中国では、都市部における労働力需要を満たすため、農村から都市への移動が奨励されている。
受験生にはちょっと難しいネタではあるのですが、これは誤文なのです。中国では都市戸籍と農村戸籍が厳密に管理されていて、例えば農村戸籍の者が出稼ぎのために都市に居住したとしても、いくつかの行政サービスや社会保険の適用外となってしまうようで(それでも出稼ぎ者は多いんですけどね)。
でも最近はこうした都市戸籍と農村戸籍の間の差別って結構緩和されているなんていう話もあるし、農村から都市への転籍も比較的頻繁に行われているそうで。今ネットで検索して中国の戸籍問題に関するトピックをいくつか読んだのですが、やはり以前とは状況が変化しているそう。
そういう意味では、この問題は決してアップ・トゥ・デートではないわけで、結局「過去の真実」を言及するにとどまってしまう。もちろん、学問的真実ではなくテストに出る形を教えるのが我々の仕事なのだが、その落としどころというか、どうやって折り合いをつけていくかっていうことに、頭を悩ませるんだな。
2014.04.21
2014年度追試験解説
今日明日とヒマなので、早速ですが2014年度地理B追試験の解説と作ります。サイトの方にアップ(PDF含め)はもう少し後になりますが、とりあえずできた分からブログに上げていきます。校正はまだしていませんので、誤字脱字はかなりあると思いますが、おいおい修正していきますので、今回はご容赦!ということで。
2014.04.21
たつじんオリジナル解説 2014年度地理B追試験[第4問]
たつじんオリジナル解説 2014年度地理B追試験[第4問]
第4問 太平洋地域の地誌
今回の地誌問題のテーマは「太平洋」。ずいぶん広い範囲が取り上げられたものだが、かつてはインド洋っていうテーマもあったし、とくにめちゃめちゃなこともないかな。工業に特徴のある国が少なく、どうしても自然地理に出題が偏るのは致し方無し。第1問でスルーされていた気候グラフも、こちらでは登場している。
問1 [インプレッション]海流は必須ネタ。しかし暖流や寒流の影響などではなく、単に流れ方を問うとはシンプル。ボーナス問題ですね。
[解法]海流は風(恒常風)によって生じる。低緯度海域では貿易風の影響によって海水は東から西に運ばれ、中緯度では偏西風によって西から東へと流れる.北半球では時計回り(高緯度に小さな環流があるので、厳密には「8」の字だが)、南半球では反時計回りになる。
[アフターアクション]かつて海流の流れ方は地理Aではっきりと問われたことがある。地理Bでは流れ方そのものより、寒流(例えば南アメリカ大陸西岸に沿うペルー海流)と暖流の区分がよく問われていた。流れ方も重要であるが、寒流と暖流の区分にも注意しておこう。高緯度から低緯度へと冷たい海水を運ぶのが寒流で、夏季冷涼な気候、少雨気候の原因となる。低緯度から高緯度へと暖かい海水を運ぶのが暖流で、冬季温暖な気候、多雨気候の原因となる。
問2 [インプレッション]ここで気候グラフか!しかもハイサーグラフ。オーソドックスではあるけれど、読み取りに注意。とくに今回のように北半球と南半球が混在している場合は気をつけないと。
[解法]まず南半球を判定しよう。明らかに7月を中心とした時期が高温(つまり夏)である③は除外する。北半球中緯度のサンフランシスコと思われる。残った3つのうちでも①と④は気温年較差が極めて小さく、低緯度地域であると考えられる(原則として緯度と気温年較差は比例するので)。これがグアムとラパスだろう。残った②が、南半球中緯度のオークランドとなる。
[アフターアクション]サンフランシスコとかラパスとか、非常に特徴的な都市の気候グラフが問われているのだが、そんなことには全く無関係に、単に南半球の中緯度地域の気候を特定しさえすればいい。気温年較差がもちろん重要なキーワードになっているのだが、それ以外はハイサーグラフ自体の読解が最大のポイントっていうこと。
問3 [インプレッション]食文化だが、明確なキーワードが含まれている。一般常識に近い問題でもあるんだが、それだけに逆に難しかったりするのかな。
[解法]アはアザラシで決定でしょ。最も寒冷な地域のKが該当。エスキモー(イヌイット)でしょうか。
ウがわかりやすい。ぜひトルティーヤは覚えておこう。メキシコの主食の一つであり、トウモロコシ(メキシコが原産地といわれている)を原料としている。Mが該当。
残ったウがLとなる。タロイモやヤムイモは熱帯の多雨地域に適応。焼畑農業など、
[アフターアクション]トルティーヤ、覚えておいていいかも。メキシコ=トウモロコシ=トルティーヤ(あるいはタコス)。食文化は意外に出題されるので、ベタに覚えておいた方がいい可能性もある。
問4 [インプレッション]産業に関する問題。太平洋地域は結構マイナーだから厳しいかもね。
[解法]これ、結構難しいんだよね。①の「カボチャ」って実は超重要キーワード。本来野菜は国内自給率が高く、輸入するとしても中国や韓国など近隣国からが中心なのだが、カボチャだけは例外。表皮が厚く、保存や輸送が容易であるため、南半球からの輸入量が増加している。ただ、ここでは「激減」ってあるんだよね。これ、悩むなぁ。トンガだけに限定してみるともしかしてそういう可能性も無きにしもあらず。ニュージーランドなど他の輸入先もあることだし。ひとまず保留としておきましょうか。
そして②を見る。なるほど、ナウルか。えっ、ニッケルだって?いや、太平洋地域でニッケル鉱の産出に特徴があるのはニューカレドニア島。オーストラリア大陸東方のサンゴ海に浮かぶ島で、フランスの一部である。ナウルで採掘される鉱石資源は「リン鉱」なのだ。リンはモロッコなど北アフリカ諸国で広く採掘される鉱石資源で、化学肥料の原料となる。ただし、太平洋の小さな島国であるナウルでも実は多く採掘されている(採掘されていた)のだ。「過剰な採掘」はどうでもいい。「ニッケル鉱石」が誤りで、正しくは「リン鉱石」である。
②が解答なので、③と④はどうでもいいです。
[アフターアクション]ナウルのリン鉱はかつて地理Aで一回出題されたのみ。地理Bではモロッコやチュニジアの資源として登場した例がある程度。追試特有の問題ということで、あまり意識しなくていいんじゃないかな。それに①の「輸出量が減少」とか②の「過剰な採掘」とか、ちょっとあいまいで判定に困る部分については、読み飛ばしてしまえばいいよね。明確なキーワードにしっかり反応していこう。
第4問問5[23]
[インプレッション]ネタとしては結構メジャーで、模試でもしばしば取り上げているんだけれども、こうしてグラフで登場すると新鮮な気がするね。グラフをみたら分かる問題と思いきや、「適当でない」ものを選ぶ誤文判定問題、どこかに間違いワードが入っているはずなのだ。
[解法]グラフが提示された問題。こうした問題には2つのパターンがあって、グラフをそのまま読み取るパターン。何の事前知識がなくても、各選択肢の内容とグラフの数値を対象されて観察していけば、自ずと解答が導き出せる問題。もう一つは、ちょっとした知識が含まれているパターン。とくにこうした誤文判定問題に多く、明らかな誤りワードが含まれている。それを間違い探しのように、全体の中から拾い出せばいいのだ。さらにいうならば、こうした誤りワードは得てして、問題そのもののテーマとは関係ない事も多い。さて、本問はどちらのパターンだろうか。
①の判定。20世紀初頭ならば1901年や1921年だろうか。たしかにイギリス生まれが大半を占めている。「旧宗主国イギリス」という部分も間違いではない。正文でしょう。
②の判定。そもそも第二次世界大戦が何年に終わったか知らないといけないね。意外とこういうのを知らない人っているんじゃない?1945年なのです。だから第二次世界大戦後っていえば厳密には1947年なんだけれど、広く捉えれば1961年とか1971年も含まれると思う。両年度のデータを観察すれば、イギリス以外のヨーロッパ生まれの数は増加している(なお、ここでは「増加」といっているので、実数で考えること。選択肢①のように「大半を占める」という場合は割合を考えなくてはいけない)。これも正文かな。
③の判定。あっ、ここで間違いを見つけた!それは白豪政策についての記述。いや、白豪政策自体は正解ですよ、ここで問題になっているのはその年代。白豪主義政策が撤廃されたのは「1990年代」ではなく、「1970年代」。よってこれが誤りとなって、③が正解!地理は世界史じゃないんだから、こんな年代が出題されるのはおかしいって?いや、もちろんその考えはその通りなんだけれど、白豪主義政策については実は年代が重要視される。ヨーロッパ以外からの移民を制限する白豪政策については国際的な非難が大きく、1970年代に撤廃され、当時勃発していたベトナム戦争からの難民を受け入れた経緯がある。1990年代に撤廃されたのは南アフリカの人種隔離政策であるアパルトヘイト。この両者は似て異なるものであるので、とくに撤廃の年代については混乱しないでおこう、
すでに③が正解であるので④については検討の必要はないが、とりあえず。1901年の値は80万ほどであろうか。2010年の値は600万に達しようとしている。6倍以上である。
[アクターアクション]移民数の変化の話と思いきや、白豪主義政策の撤廃の年代に関する問題だったわけだ。このようにセンター試験というのは、正面から話題を振ってこない、変化球が得意な試験なのだ。
問6[24]
[インプレッション]定番の貿易に関する問題。最重要はマレーシアかな。ニュージーランドの貿易はセンター史上初登場。気をつけましょう。
[解法]マレーシアという国のキャラクターをしっかり整理しておく。人口3000万人程度の小国ながら、非常に工業力があり、電気機械の生産が多い。ただしこの国は単なる工業国ではなく、農業(アブラヤシの栽培からのパーム油の生産)や鉱業(原油や天然ガスの産出。とくに天然ガスについてはわが国にとって上位輸出国となっている)の面においても優れており、農業および鉱工業においてバランスがとれた国となっているのだ。このことをふまえて考えると、やはりXの「天然ガス」に目が行く。日本の主な天然ガスの輸入地域は東南アジアであり、国でいうならブルネイ、インドネシア、そしてマレーシアなのだ。Xがマレーシア。
さらにニュージーランドについて。この国ははっきりとした農畜産国であり、鉱工業の面においては特筆するべきことはない。そもそも人口が500万人に満たないという極端な小国であり、経済規模(GNIが目安)も小さい。原則としてGNIと貿易額は比例し、その観点からするとわずか「2768」しか輸出額がないZをニュージーランドと考えるのは妥当だろう。貿易品目に酪農製品もあるし。
残ったYがカナダ。こちらは人口3000万人で、なるほどニュージーランドに比べ輸出額は圧倒的に多い。ただし、同じ3000万人のマレーシアと比べるとその値は半分以下。カナダはNAFTAの一員であり、アメリカ合衆国とのつながりがとくに強い。輸出の大半はアメリカ合衆国相手のものであり、日本向けの輸出は相対的に少なくなっている。日本向けの主な輸出品目に、資源(石炭)や農畜産物(肉類)、木材があるが、これはいずれも納得だね、
[アフターアクション]とにかくニュージーランドの初登場に驚いた。主な国の輸出品目についてはベタに知っておくべきなので、当然ニュージーランドも。この国の最大の貿易品目は、乳加工品に代表される「酪農製品」である。多くの国と違って、工業製品や資源、あるいは商品作物がトップに来ないことが最大の特徴。本問ではZの輸出品目としてアルミニウムがあるが、ニュージーランドは水力発電の盛んな国であり、一部ではアルミニウムの製錬も行われている。木材についても、そもそも温帯の国なので森林に恵まれていないわけではないのだ。ニュージーランドに牧場(草原)のイメージがあるかもしれないが、それは本来の森林をイギリス人たちが伐採し、牧場に変えてしまったため。大きな自然破壊が植民地時代には行われていたのだ。
いずれにせよ。絶対に覚えておくのは酪農製品であり、一応アルミニウムと木材も輸出されている、というぐらいに覚えておいてください。
2014.04.18
2014追試験より
今、今年のセンター追試験の分析をしているのですが、全体の解説はまた後日アップするとして、ちょっと興味深い問題が。
最近のトレンドとして原発や再生可能エネルギーに関する問題の出題率が高くなっているわけで、こうした側面からも地理という科目の重要性は高いように思います。その中で今回はこういった選択肢が登場。
全体の問題は省略しますが(興味ある人は大学入試センターのホムペからダウンロードしてください)、要するに次の文章の下線部の正誤判定をせよということ(下線が引けないので、カッコで示しています)。
アメリカ合衆国では1980年代後半から(石油の)生産量の減少傾向が続いているが、これは「原子力エネルギーへの依存度が高まったため」である。
これ、わかります?要するにスリーマイル島の話なんですが、原発事故以来アメリカ合衆国は新規の原発の着工は行われていないんです。この事実に照らし合わせて考えれば、この選択肢については「依存度は高くなっていない」ということで誤文となります。アメリカで石油の生産量が減少したのには他の理由があるんでしょう。
このようにアメリカやヨーロッパで20世紀後半以降、原子力発電所の建設は進められておらず、むしろ脱原発の流れにあるんですよ。これは意外と日本では知られていないことじゃないですか?フクシマの悲劇にぶち当たるまで、日本が原発を拡大する方向にあったのと対照的ではありませんか。
教科書ではこの「欧米の脱原発」ネタは語られていません。あえていえばフランスが原子力への依存度が高いっていう話題だけですが、これについてはまた後日どこかでお話しします。もちろん地理学習者の中にも原発推進派・容認派はいると思いますが、しかしセンター地理の世界観の中では原発はネガティブな意味しか有さないことを知っておくべきでしょう。
2014.04.18
遺伝子組み換え(追加)
先ほどのURLが無効かもしれません。
http://www.i2m.co.jp/NaturalLife/index.php?FrontPage
こちらが正解です。
2014.04.18
遺伝子組み換え
http://www.i2m.co.jp/NaturalLife/index.php?cmd=read&page=%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90%E7%B5%84%E3%81%BF%E6%8F%9B%E3%81%88%E4%BD%9C%E7%89%A9%E3%81%AE%E5%8D%B1%E9%99%BA%E6%80%A7&word=%E8%B1%86%E8%85%90%20%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90%E7%B5%84%E3%81%BF%E6%8F%9B%E3%81%88
意外と知られていないんでしょうか。遺伝子組み換え作物については、国内の(商業的)栽培は禁じられているのですが、輸入に関しては制限がないのです。もちろんこれを使って加工された食品には表示義務があるのですが、レストランなどで使われたら我々は知るすべがありません。
ちなみにこの話題はセンター地理でも出題されています。「わが国は遺伝子組み換え作物の輸入は行われていない」という選択肢、これ、誤りです。