2021年地理A共通テスト第1日程解説

たつじんオリジナル解説【2021年共通テスト地理A・第1日程】          

 

【1】③

果樹園と田の土地利用記号。標高を示す「11.6」という数値も近くにあり、やや小高い地形であることが分かる。

 

【2】①

自然堤防は河川沿いの微高地。標高はわずか(断面図からその「低さ」はわかる。せいぜい1〜2mほどの高さ)。洪水時に河川から土砂が流れ出し、そのまま河川沿いに堆積。自然堤防上の地点はFであり、特徴はa。目の粗い土砂から成り立ち、「水はけ」が良い。建物がこの上につくられる。

 

【3】④

J;午前8時(通勤ラッシュ時)も午後2時も時間が変わらない。鉄道と思われる。北部の都市を通過している点も、鉄道路線であることが想像される。

KとLは、所要時間が長いKが一般道のみ、速く移動できるLが一部で高速道路を利用しているとみられる。一般道はラッシュ時には混雑するようで、時間が余分にかかっている(53分)。

図4ではLの経路は、Xから一旦南に進み、そこから西に向かうほぼ直線状の道路を通過し、やがて右折してYに向かう。この直線状の区間が高速道路なのではないか。

 

【4】②

人口は「実数」であり「絶対的な値」。②の階級区分図は「割合」、「相対的な値」を表現する際に用いる。

 

【5】⑤

まずキから。山地に近くRが該当。さらにクは、周囲で土砂災害や浸水の危険性があることからPに該当。Pは等高線から判定するに、小さな丘のような地形。残ったカがQ。

 

【6】②

GISは地理情報システム。コンピュータ上で数地を解析・分析する。そのデータを地図上に表現する。

①;建物の種類を示した地図を用い、公共施設を特定する。コンピュータ上の地図を利用。

③;それぞれの人の位置と自宅の位置を地図中で示す。その距離を測定し、徒歩の速度から2地点間の移動時間を計算する。

④;これはレイヤーと呼ばれる機能。地図の重ね合わせ。複数の地図をコンピュータ上で重ね合わせて、情報を示す。

①・③・④がそれぞれコンピュータ上での地図による作業。②の「ステッカーの作成」はコンピュータ上の地図とは関係ない。

 

【7】④

A;ケニアが含まれ、茶。B;ナイジェリアでキャッサバ。C;ブラジルが首位でサトウキビ。

 

【8】①

「ブランド化」により品質の高いものが世界中に流通するが、それは決して安いものではない。

 

【9】②

E;ヨーロッパでよく飲まれており、コーヒー。F;こちらも比較的ヨーロッパで飲まれている。イギリスなど紅茶を飲む国もある。茶。G;こちらはヨーロッパの値がゼロ。キャッサバ。

知っておくべき原産地・・・「茶・米;東アジア・南アジア」、「小麦;西アジア」、「コーヒー;東アフリカ(エチオピア)」・「天然ゴム・キャッサバ・ジャガイモ・トウモロコシ・カカオ;新大陸」

米と茶に関してはアジアのイメージがあるだろう。小麦=西アジア、コーヒー=東アフリカだけ覚えておいて、それ以外は新大陸の南北アメリカとシンプルに考えてしまう。

 

【10】③

クの「入植者」より、植民地支配された地域と考えられ、クが南米のNとなる。キは「社交」という言葉がいかにもヨーロッパという雰囲気だね。英国貴族かな。これがL。カは中華料理でM。

 

【11】①

aは「世界」なのだから、「インド」や「イタリア」のタ。bについては「食べ物が様々なルートで伝播し」がポイント。寿司は日本の料理だが、それが世界中に伝播。現地の食材や食習慣と組み合わされ「特有の食べ物」が生まれた。マが該当。「タピオカミルクティー」がキャッサバと紅茶の組み合わせであるように、カルフォルニアロールはアボカドと寿司の組み合わせだね。

 

【12】③

企業の独占が続けば価格は高くなるね。多くの企業が競合することでサービスは向上し、価格も適正なものに調節される。「穀物メジャー」の独占で、穀物が「安価」になるわけはない。

 

【13】⑤

南アジアは「西で少雨、東で多雨」。最も西に位置するAは降水量が少なくウに該当。赤道に近く年間通じて降水量が多い(最少月でも100mmに近い)イがB。雨季と乾季は明瞭だがやや降水の多いアがC。

E州は降水量が少なく、小麦の栽培。

 

【14】③

図を参照。「耕地面積」は変化がないが、「〜灌漑面積の割合」は上昇し、それにともない「生産量」も増加。

緑の革命を考えよう。近代的な農業技術の導入により穀物の生産が拡大した。伝統的な農業による在来種ではなく、品種改良された高収量品種米が栽培され、生産性が上がった。

 

【15】④

「小麦」は少雨地域であり、東南アジアは該当しない。また「羊」も乾燥地域で飼育される家畜。一方、香辛料(スパイス)については現在のインドネシア東部で得られ、交易の対象となっていた。インド洋からインドネシアに至る交易の道は「海のシルクルード」あるいは「スパイスロード」と呼ばれ、アラブ商人たちによって香辛料が西方へともたらされた。この際、インドネシアにイスラームが伝えられている。

 

【16】④

インド人の主な動物性タンパク源は「牛乳」と乳製品。「1人当たり年間供給量」が大きいJが「牛乳」。一方で、インドでは一般に肉類の摂取は避けられており、値が小さいKとLが「家禽の肉」と「牛肉」のいずれかとなる。ただし、近年、鶏肉についてはタブー視されなくなってきており、急速な消費拡大がある。「指数」が大きいKがブロイラー(肉鶏)の「家禽の肉」。牛は、神聖視する考えが根強く、値は伸びていない。

 

 

【17】①

高温多湿であるので「通気性」。インドは綿花の栽培が多く、綿織物の世界的な生産国である。「綿織物」と考えられる。

 

【18】④

どうなんだろう?図5も表2も、農村部の人口増減を示すデータは全くみられないのだが。

 

【19】①

世界経済における日本の地位は低下し、日本の港湾が含まれているBが古い年代の2000年。中国の経済成長はめざましく、現在は世界の貿易や物流の中心となっている。Aで中国の港湾が多いアが「1〜5位」。

 

【20】⑤

イギリスとイタリアは同じヨーロッパで位置が近く、人的交流の活発。値が大きいキとクの組合せがイギリスとイタリア。よってカがオーストラリア。

オーストラリアから見て、旧宗主国であり同じ英語圏であるイギリスの方がイギリス寄り関係が深いと考えられる。キがイギリス。

なお、ヨーロッパにおける観光は「北から南」。冷涼な北部の国から、夏のリゾート地として地中海沿岸の国への観光客が多い。イギリスからイタリアへ向かう矢印がとくに太く描かれている。

 

【21】③

Jがブラジル。出入国法の改正(日系人に限り単純労働者としての入国が可能。ブラジルには日系のブラジル人が多い)により1990年代初頭に国内のブラジル人は急増した。以降は停滞もしくは減少。彼らの多くは自動車工場で働いたのだが、日本国内の製造業の停滞によって、帰国するブラジル人も少なくなかった。一方のKがベトナムとなる。

Nがブラジル。自動車工業の集積する愛知県や静岡県、群馬県でとくに多くなっている。残ったMがベトナム。

 

【22】②

「1次エネルギー」とは石炭や石油、天然ガスのこと。単に「エネルギー」としていい。「1人当たりエネルギー消費量」は原則として、1人当たりGNIに比例。経済レベルの高い国は、それだけエネルギーを多く使う生活をしている(1次エネルギー消費量とGNIが比例すると考えてもいい。経済規模が大きい国は、多くのエネルギーを消費する)。ただし、例外があり、エネルギー産出量が多い国においてはそもそも省エネの概念がなく、過度な資源の多消費が目立つ。1人当たりGNIに比して1人当たりエネルギー消費量の多い国にロシアやサウジアラビアがある。

1人当たりGNIは、「中国<サウジアラビア<ドイツ<アメリカ合衆国」。この順位を1人当たり1次エネルギー消費量に当てはめ、①が中国、②がサウジ、③がドイツ、④がアメリカ合衆国となるが、前述の例外(エネルギー産出国における多消費)を考慮すると、サウジアラビアの順位がさらに上がる可能性がある。つまり、ドイツは1人当たりGNIで考えるならば③だが、サウジアラビアが上位となるならば②であるとも考えられる。さて、②と③、いずれがドイツだろう。

 

【23】④

「家族計画」は出生率の抑制であり、人口増加率の低下。「過放牧〜大規模灌漑」は人口増加などによる食料増産の必要性からなされること。サは不適となり、Pにはシが該当。

「植生の減少」により、土壌を支える植物の根がなくなる。土壌侵食や土壌流出が生じる。また「地下水位の上昇」により地表付近まで地下水が満ち、塩分を溶かし込む。それ毛細管現象により地表面まで持ち上がり、水分は空中に蒸発するが、塩分のみ地表面に集積。塩害を引き起こす。

 

【24】③

これはフェアトレードだね。「公正な取引」。発展途上国で生産される一次産品(例えばカカオ)を原料とする製品(同じくチョコレート)を相場より高い価格で買い、過分となった収益を発展途上国の農民や子どもたちの生活改善に還元する。

 

【25】〜【30】は地理B第1日程と共通の問題。