2005年度地理A本試験解説

2005年地理A本試験

 

第1問

ほとんど地理Bの問題だよな~しかもちょっと簡単って感じ。とくに問3なんて気候に関する上手な問題でこんなんが地理Aで出題されたことあるか?問5以降はやや地理Aテイストが強まるものの難しいわけではない。全問正解を狙ってください。

 

問1 緯線を問う問題は最近地理Bでもちょこちょこ登場しているんで、この北緯40度線も大事なのかな~。まぁ、いざとなれば世界全図を探して、調べればいいよね(第5問問1Aの図を見れば、ちょっと古い時代の地図なんでちょっと信頼性に欠けるかもしれないけれど、まあ思いっきりそこに「40」って書いてあるわけで・笑)。ま、とりあえずヨーロッパにおける北緯40度のラインは中学地理でも登場するし、知っておいてもいいかな。

 

問2 河川は地理Bでも頻出。センター試験に「都市は出ないが、河川は出る」というお約束。

図がひっくり返っているんでわかりにくいけれど、それぞれの河川名の判定をしていこう。Aについえは、中国のやや南部を流れているようだ。河口付近にはシャンハイが位置し、この河川は長江である。

Bは固有名詞はどうでもいい。シベリアの寒冷地域を北流し北極海に注ぐ河川であることさえ認識できれば十分。

Cも固有名詞は不要。最低限、西アジアの乾燥地域を流れている川であることがわかればいい。このように乾燥地域を貫く川を何というか。それは外来河川。

以上のことからア~ウを判定する。

アはわかりにくい。保留。

イのキーワードは「氷雪の融雪」。寒冷地域を流れている河川ということでBが該当。「春には上流部から」とあるがこれはどうしたことだろう。Bの川は南部に位置する上流部の方が融解が早く、まだ凍結している北部の下流部へと水が流れていくために氾濫を起こしてしまい、周囲一帯大規模な洪水に見舞われるケースが多々ある。

ウは「流域の多くは乾燥地域になっている」に注目。湿潤地域に水源を発し乾燥地域を貫流する河川、そう、まさしく典型的な外来河川としてCを挙げよう。

消去法によりアがAの長江となる。

せっかくなので、もっとじっくりと文章を味わってみよう。

まずアから。「源流域と河口の標高差は6000mを超え」とある。源流域はチベット高原で標高はかなり高い。「流域には多くの水力発電所が建設されている」についても、中国南部は降水量の多いところであり、いくつものダムが建設され水力発電がさかんに行われていることは容易に想像できるだろう。「下流域は水深が深く」はよくわからないが、古来より大型船舶が航行できる水運の要衝としても重要であったことは確か。「運河によって他の大河川流域とも結ばれており」とあるが、これははるか古代(隋の時代)に建設された黄河との運河(ター運河)のことだろうか。しかし黄河は泥を含む濁流であまり水運が発達していないことからもこの運河がどれくらい重要なものかは知らないが(っていうかどうでもいいか・笑)。

次いでイについて。「標高200m未満の平原」というからにはかなりの低平な地形である。広大な西シベリア低地のことだろう。「最上流部には4000mを超える山もみられる」そうだがよくわからない(モンゴル高原やアルタイ山脈のことかな)。このB川はオビ川といい、流域に油田やガス田が分布していることでも有名なので知っておいてもいい(それよりもロシアの原油・天然ガス産出の統計は確認しておいてね)。

ウについて。主にこの河川はイラクを流れている。まさに乾燥地域(っていうか砂漠)。「源流域」は図を見る限りトルコ東部の山岳地帯のようで、こちらは標高も高く、降水量も多少はあるようだ(そもそも降水があるからこそ、河川流量が十分となり、乾燥地域を流れても干上がらない「体力」が付くのだ)。「中・下流域の氾濫源には肥沃な土地」とあるが、これはイラクのメソポタミア平原のこと。氾濫源というのは河川中・下流域に広がる低地のことであるが、ここを中心として古代文明が栄えたことはみんなも知っているだろう。この河川の名前はチグリス・ユーフラテス川(合流してからはシャトルアラブ川ともよばれるが)。

 

問3 非常におもしろい問題。むしろ地理Bでこうしたパターンの問題を作ってくれたらいいのに!?ま、僕が模試を作る際には思いっきりパクらせてもらいましょう(笑)。

まず図で3つの都市の位置を確認。ほぼ同一緯線上に位置する。原則として緯度が同じならば気温に関する条件は同じとなる。だって、気温を決めるものって太陽光線なわけだし、緯度が同じならば太陽高度や太陽が地平線の上に出ている時間など太陽に関する条件は同じで、つまり年間を通じ同じだけの太陽エネルギー(受熱量)を受け取ることになるからね。

しかしそうはいっても、気温を決定付けるものはそんな太陽からの受熱量だけでないからおもしろい。海洋と大陸の比熱の違いや海流、そして風(偏西風や貿易風のような惑星風、さらにとくにアジアの気候に影響を与える季節風など)さまざまな要因によって気温の違いが表れることとなる。

図1参照。その位置からそれぞれの地点の気温の様子を想像するのは容易だろう。

ユーラシア大陸の中央部に位置し、最も大陸性気候が顕著に見られるウルムチでは気温年較差は極大となるはず。「固体は比熱が小さく、温まりやすく冷めやすい」ことを考えれば、太陽からの受熱量が大きい夏季はすぐに気温が上昇し、逆に冬季は気温が極端に下がってしまう。ここで図2参照。最も気温年較差が大きいクをウルムチと考える。年間降水量は200mmとかなり少ないが(日本では平均1500mm)、これはウルムチが海洋から遠く離れた内陸部であり、大気中にそもそも水分が少ないことから当然のことと考える。

ウラジオストクとリスボンはともに沿岸部に位置し、同じような気候が見られるのではないかと一瞬思う。しかし決してそんなことはない。ともに風の影響によって、気温に違いが生じる。

とくにウラジオストクに注目。日本と同じく極東アジア地域に含まれることからも想像できるように、この付近一帯ではモンスーン(季節風)の影響が強い。冬季はシベリア内陸部に高気圧が発生し、ここから吹き出す風によって北西からの季節風が卓越する。夏季は気圧配置が逆転し、風向も反対となる(南東風)。ただでさえ寒い冬に北風が吹くのだから、よりいっそう冷やされることとなり、冬季の気温はかなり下がる。一方、夏は南から風が吹きかなり気温が上昇することが想像できる。また、この時の風は海から吹き込む風であり、豊富な降水をこの地にもたらすことになるのではないか。以上より、図2においてキをウラジオストクと考える。気温年較差は30℃に達し、これはいわば「準大陸性気候」ともいうべきものだろう。沿岸部に位置するものの、大陸の影響が極めて強い気候パターン(大陸に発生する高気圧の影響が強いのだ)。降水量は多いようだが、これは夏季に南西の日本海の方向から湿った風が大量に吹き込むため、雨の多い天気となるからだろう。

残ったカがリスボン。こちらは季節風の影響もなく、典型的な海洋性気候がみられる。液体である海は比熱が大きい(温まりにくく、冷めにくい)ので、気温の季節的変化は小さくなる傾向がある。降水量はやや少なめであるが、ヨーロッパの南部地域はこのぐらいである。というのも、夏季に北上する中緯度高圧帯に覆われ、乾季を迎えるため、その分だけ年間の降水量が少なくなるのだ(地中海性気候というもの)。蛇足かもしれないが、とくにこのリスボンの沿岸は寒流が南下しており、その作用で大気が安定しやや降水が少なくなっているということも、知っておいていいかもしれない。

関連問題を挙げておこう。ウラジオストクの気候グラフは01B追第1問問1に登場。やはりここでも季節風が気候に与える影響を考えて解答するパターンとなっている。

ウルムチについては、02B本第5問問1で登場。ここでもほぼ同緯度における3地点間の気候の違いについて問われている。内陸部のウルムチは気温年較差が大きく、降水量が少ない。

リスボンについては直接取り上げられてはいないが、類似した気候が見られる都市としてサンフランシスコの出題がある。03B追第1問問2参照。サンフランシスコは北アメリカ大陸西岸の北緯35度付近の都市であるが、気温年較差は10℃に満たず、年間降水量も500mm程度。「大陸西岸、緯度35度」という共通のパターンを持つ都市であるため、気候も似たようなパターンを示す。

 

問4 永久凍土の問題と思いきや、実は農作物の問題である点がおもしろい。センター試験ってこういうパターン多いね。

①過去問そのまま。00B追第2問問5選択肢①参照。

②これについてはよくわからない。なるほどそんなこともあるのかなあとも思う。

③これも不明。しかしたしかにそういった利用法はできそうだ。

④トウモロコシは比較的温暖な地域でのみ栽培されるもの。日本だと北海道ってイメージがあるかもしれないが、そもそもわが国ではほとんど栽培されていないのだから(しかも北海道の夏っていうのは米も栽培できるほどに高温であったりするのだから)あまり参考にならない。世界最大のトウモロコシ生産国である米国ではコーンベルトとよばれる五大湖南部の温帯地域が主生産地であり、ヨーロッパでも北部では分布せず南部が栽培地域(主な栽培地域はフランス南部や地中海沿岸、ハンガリー盆地やルーマニアなど)。中国においては、華北の小麦栽培地域と華中の稲栽培地域との中間エリアがトウモロコシの栽培地域。

このようにトウモロコシについては「比較的温暖な気候を好み、米と小麦の中間的な生育条件を持つ」というように頭にインプットしておくこと。そうすればこの問題においても失点はない。ここはトウモロコシよりも冷涼な気候を好む作物、小麦あるいは大麦などに入れ替えれば文意は通る。

またさらに「集約的」という言葉に注目してもいい。「集約的」とはアジアやヨーロッパのように人口密度が高い地域においてみられるパターン。土地生産性が高い(1ha当たりの収量が大きい)ていねいな農業形態。永久凍土が広がるようなシベリアの奥地でそんな集約的な農業が行われているだろうか。そもそもそんなに人も住んでおらず、土地も余っているだろうし、ていねいな農業すら行う必要はないだろう。ここは「集約的」というよりむしろ「粗放的」とする方がベターだろう。

 

問5 毎年一問ぐらいは出題されている土壌ネタではあるけれど、地理Bの方で姿を見ないなと思っていたら地理Aの方に登場していました。でも何となくだけど雰囲気がちょっとセンターっぽくない気もするんだが、それってやっぱり地理A特有のノリか!?

まず選択肢に注目。砂漠土、チェルノーゼム(黒色土)、ツンドラ土、ポドゾルとある。これらはいずれも「成帯土壌」というもの。気候帯に沿って分布している。つまり降水量や気温(ようするに蒸発量ということだ)のバランスによって形成された土壌である。今回は取り上げられていないが、これと対する言葉として「間帯土壌」というものがあり、これは限られた範囲に分布するもので、火山などの影響によって形成されたもの。レグールやテラローシャなどはこっち。

おおまかに、熱帯=ラトソル、乾燥帯(砂漠)=砂漠土、やや乾燥=黒色土(チェルノーゼム、プレーリー土、パンパ土)、冷帯=ポドゾル、寒帯(ツンドラ)=ツンドラ土、とインプットしておけばいい。

①ツンドラ土。ツンドラというのはドイツ語で「苔」の意味。通常は凍結しているのだが、夏のみ表面の氷雪が解けて、地面が顔を出す。その短い夏を惜しむかのように、地面いっぱいにじゅうたんのように色とりどりの苔(蘚苔・地衣類)が敷き詰められる。そんな地域に分布する土壌はツンドラ土。北極海沿岸。

②ポドゾル。冷帯の広い範囲。

③チェルノーゼム。黒海(場所わかるかな~)北岸ウクライナからロシア南部、カザフスタン北部へと帯状に分布している。冷帯と乾燥帯の中間で、降水量と蒸発量のバランスが絶妙なので肥沃な土壌となる(説明は後で)。

④砂漠土。中央アジアの砂漠地帯。

ではここからは、ツンドラ土は置いといて、ラトソル、砂漠土、黒色土、ポドゾルについて簡単な説明。

まず君たちに知っておいてほしいのが「湿潤」と「乾燥」の定義。湿潤とは「降水量>蒸発量」のことで、乾燥とは「降水量<蒸発量」のこと。例えば熱帯は湿潤。気温が高いので蒸発量は多いけれど、それ以上に降水も豊かであるので全体的なバランスとしては湿潤となる。同じく冷帯も湿潤。こちらは熱帯地域ほど降水が多いわけではない。とくに冬季ともなると大気が収縮し高気圧となり、全く降水がない地域さえある。ただしこういったところは低温であるため蒸発量も極めて少なくなり、こちらも全体のバランスからみれば湿潤となる。

ゆえに「熱帯;湿潤」「冷帯;湿潤」となり、「熱帯の土壌=ラトソル」「冷帯の土壌=ポドゾル」なので、つまりラトソルとポドゾルはともに湿潤土壌となるわけだ。

しかしここで落とし穴。我々の常識では水分の多いところは農業に適すると思ってしまう。だが、それは違う。水分が多いと、本来土壌の中に含まれている養分というのは水溶性なので、それらが全部流し出されてしまう。とくに熱帯のポドゾルはその傾向が顕著で、降水が多いだけに土中にほとんど栄養分が残されない(焼畑農業を行うのはそれが理由)。

だから実は湿潤土壌は肥沃ではない。しかしだからといって乾燥しすぎていたらそもそも植物が育たない。このことから、論理的に理解できるだろうか?決して湿潤ではなく、そして乾燥しすぎてもいない、降水量と蒸発量とのバランスが絶妙な「半乾燥」地域にこそ、肥沃な土壌が分布するのだ。正解には「分布する」というより「形成される」「育まれる」とした方が適切かもしれない。完全な乾燥ではないので草は生育する(樹木は無理だが)。そしてそれが枯れ、腐植となって堆積する。ただし雨は多くないのでそれらが流されることがない。何代も草の生育、腐植化を繰り返すことによって、肥沃な土壌がその場に積み重なることとなる。このようにして黒色土は作られ(黒色は腐植の色)、北米でも南米でもユーラシアでも、いずれも湿潤地域と乾燥地域の間の半乾燥地域にこの土壌は広がっているのだ。

最後に砂漠土だが、実はこれも黒色土と同じ理由で肥沃。ただしそもそも雨が降らないから農作物が育たないわけで、宝の持ち腐れなのだが(笑)。化学的性質はアルカリ性。土中から表土へと持ち上げられる中にそういった物質が含まれているらしい。ま、簡単に言えば「乾燥=アルカリ性」と考えていいってことだけれども。だから実は黒色土というのも弱アルカリ性だったりするんだけどね。

さらにおまけ。温帯地域に分布する代表的な土壌は褐色森林土で、わが国の土壌もこれ。弱酸性の土壌である。どちらかといえば湿潤なので、実はあまり肥沃ではない。しかし日本では水稲作が主であり、これは水田に流し込む水が栄養分にあふれていればいいわけで、土壌の肥沃度とは関係ない。かくして日本では土の肥沃さを気にすることなく農業が行われているというわけだ。なかなかうまくできてますなあ。

 

問6 「マングローブ」「塩類集積」なんていうおいしいキーワードが満載!

①自然地理的なキーワードつまり植物の種類に注目。マングローブは熱帯。

②標高3000mを超えるということはかなりの内陸部。こんな地域で人口増加しているのだろうか。そもそも中国といえば、沿岸部に押し寄せる出稼ぎ労働者の出身地である内陸部の人口減少が大きな社会問題の一つとなっているはず。

③土壌の塩類集積は乾燥地域のキーワード。いわゆる塩害というやつ。スウェーデンはまさか乾燥じゃないでしょ?降水はそれなりにあるだろうし、冷涼な国だから蒸発量は少ないよね。「降水量>蒸発量」である湿潤地域のはずだ。

④消去法的にこれが答え。ちょっと知識っぽいけれど(チェルノブイリがウクライナの地名っていうのは普通の人だと知らないよね)、過去問でも登場しているし、そこは問題ないかな。とりあえず02B追第4問問6を参照しておいてください。

②に補足。中国はたしかに酸性雨の被害の激しいところだが、その中心となる原因物質は「窒素酸化物」ではなく「硫黄酸化物」。窒素酸化物は主に自動車の排気ガスに含まれているが、中国では一部の地域(富裕な沿岸部など)を除き、さほど自動車は普及していないため、窒素酸化物の排出量も多くない。それに対し、硫黄酸化物は石炭に含まれる硫黄が燃焼することによって発生し、石炭の使用量が多い中国においてはこちらが原因となる酸性雨の発生が顕著。とくに燃焼効率の悪い旧式の国営工場(しかもそういった工場には、先進国の近代的な工場とは異なり排出した硫黄酸化物を取り除く脱硫装置が備えられていないことが多い)が多いため、むやみやたらと硫黄酸化物が空中へとまき散らされることになるのだ。このことからも選択肢②の誤りは指摘できるだろう。「酸性雨」は中国のキーワードだが、「窒素酸化物」はそうではない。

④に補足。チェルノブイリ原発による放射能汚染がとくにひどかったのは、偏西風の影響で放射能が押し流された、隣国ベラルーシといわれている。しかしもちろんチェルノブイリ周辺が最大の汚染地区の一つには間違いなく、ウクライナでも「環境汚染がみられる」とみて間違いない。

問7 国の位置やキャラクターは頭に入っているかな。中国以外は中小国ばかりだけれど、センター試験ではやたらと登場する国ばかりなので問題ないでしょう。なじみの常連さん(笑)優待ツアーみたいなもんですわ~

①「白夜」や北極圏あるいは南極圏のみで生じる自然現象。ノルウェー。

②「北部山岳」はアルプス山脈。イタリアはヨーロッパで「火山」のみられる数少ない国(ちなみにアルプスには火山はないよ。イタリア半島南部や島などに火山は分布しているのだ)。

③さまざまな自然景観がみられるということで国土面積の広い中国が該当。

④「世界最高峰」ていうのはヒマラヤ山脈にあるエベレスト(現地名称チョモランマ)のことだよね。ネパールです。

 

第2問

こちらは地理Aテイストがやや強い。でもいかにも難問っていうのはないから大丈夫。むしろ地理Bっぽい問7あたりで失点の可能性も。1問ロスぐらいで乗り切ってください。しかし、民族宗教や人口移動、土壌、そして高床式家屋といい、ネタがやたらカブっているような気がするんだが。ちょっと作りが雑すぎやしないか!?(受験者少ないから別にかまわないんやけどね)

 

問1 いかにも地理Aといった問題。

①ちょっと判別しにくいけれど、肌の色は白いようだし、針葉樹や雪(だよね?)もみられることから比較的冷涼な地域なんじゃないかな。ドイツ。

②こちらは温暖な地域のような気がする。右手に半分だけ写っている植物見てもそう思うよね。肌の色はやや濃く、この地域の先住民族インディオ(黄色人種)とみていいのでは(あるいは白人との混血メスチソかもしれないけどね)。原色(っていうか白黒写真だからわからんけどさ~、それっぽくない?)の衣装もインディオの伝統的なもの。メキシコ。

③これは日本じゃないっすか?

④黒人、サバンナ。ガーナだよね。

 

問2 宗教に関する問題。でも決して難しくないので、地理B受験者でも解けると思うよ。

①ま、そうでしょ。

②これはセンター頻出ネタでもあるし、ぜひとも知っておいてほしいな。メキシコ国境沿いの諸州なんかとくにヒスパニックの割合が高まっているんだよね。ロサンゼルスの中心部なんて英語使えないみたいやで!

③これも正解。せっかくなんで「黒人多数、白人少数」というのは知っておくべき。多数派の黒人が選挙権を得たからこそ、この国では黒人大統領も誕生したわけだ。でも、今だに財は少数の白人たちが独占している。豊かな白人と貧しい黒人。政治的な平等は必ずしも経済的な平等ではない。

④もちろんヒンドゥー教ですね。問題ないっしょ。

 

問3 ちょっと珍しいタイプの問題パターンだけど、基本的な事項だし手ごわくはないね。

①パンパは南アメリカ。ウルグアイからアルゼンチンにかけて。パンパという名称がそのまま出題されたことは初めてだけれども、パンパ土に代表される黒色土に関する問題はしばしば登場しているから、そちらでインプットしておいたらいいでしょう。黒色土の説明は後ほど。

②また土壌ネタ。何だか多いな~。でもこちらは間帯土壌っていう局地的にしか分布しない土壌。インドでオリーブなわけないっしょ?もちろん「綿花」に変えてくださいな~。おっと、問2に引き続きインドネタでした。

④カタカナ言葉ってセンター試験ではほとんど出題されないけれど、熱帯低気圧だけは別。これは出題例が多い。アラビア海っていうのはインド洋の北西部の海域で、もちろんこちらは「サイクロン」。ハリケーンっていうのはカリブ海やメキシコ湾を中心とした北アメリカ周辺に発生する熱帯低気圧のことだね。

参考までに、北太平洋が台風、南太平洋がウィリーウィリーですな。

以上より消去法にて③が正解。ちなみに第4問問2で冷害が出題されてんねんけど、ネタかぶってるやん。っていうかこの地理A、やたらそういうの多いぞ!?

黒色土・・・成帯土壌の一種。半乾燥土壌。具体的にはチェルノーゼム、プレーリー土、パンパ土など。さほど降水量が多くなく、かといって蒸発量もキツくない、両者が絶妙のバランスを保っているエリアに形成される。森林が発達するほど湿潤ではないが、極端に乾燥するわけでもないので、草ならば十分に生育できる。その草が枯れ落ち腐植となるのだが、降水量が多ければそれらは水溶して流れてしまうところ、さほど雨が降らないため重厚な腐植層がそこに積み重なっていくことになる。このように「植物は生えるが、栄養分は流されない」バランスであるからこそ、この一帯は肥沃な穀倉地帯となるのだ。「黒色」とはこの腐植層の色である。

ちなみにたとえ色は黒くともレグール土は黒色土とはいわない。黒色土とはあくまで成帯土壌なのだ。レグールは間帯土壌。

 

問4 で、これもまたカブってないかい?高床式の住居ネタだよ。第1問問4では永久凍土地域の建築方式として取り上げられていたよね。

もちろんこちらはそういった地中の融解とは関係なく、通気性や衛生環境を求めてのもの。熱帯アジア特有の住居だよね。しかし極端な寒冷地域とこういった熱帯湿潤地域でともに家屋が高床式になるのは、意味合いが違うとはいえ、おもしろいことだよね。

 

問5 留学生が圧倒的に多いAは中国でオッケイでしょう。これはセンター過去問でもしばしば登場しているネタであるし、君たちも実際の生活の中で見聞きしたりしてるんじゃないかな。

理論的な話をしてしまえば、留学生は経済レベルの低い地域からの流入が多く、とくに経済レベルの低い中国から経済レベルの高い日本への流れが圧倒的。これに対し韓国はそれなりに経済レベルも高く、さほどの流れでもない。Bが該当。

マレーシアは、経済レベルは韓国より低いが(1人当たりGNIは、韓国が約10000$/人、マレーシアが約3000$/人)、国の規模が小さく(人口規模は韓国が約4500万人、マレーシアが約2000万人)さらに日本との位置的・経済的・文化的つながりがさほど大きくないことを考えれば、留学生の数が少ないCがこの国に該当するとみて間違いないだろう。

 

問6 えっ!?問2に続いてまた宗教ネタ?いくら地理Aだからってこれはないんじゃない?作りが雑なんだよな~

とりあえず東南アジアの宗教はマストということで。

フィリピン・・・カトリック(かつての宗主国スペインの影響)

ベトナム・・・仏教(隣国中国の影響)

ラオス・カンボジア・ミャンマー・タイ・・・仏教(東南アジア大陸部には仏教が広まる。男子が出家して托鉢を行うという習慣のある仏教は、食料事情の悪い地域では普及しにくい。インドシナ半島は高温湿潤な米作地域であり、自然環境的に仏教が広まりやすい)

シンガポール・・・仏教・道教・儒教など(中国系住民が多数を占める)

マレーシア・ブルネイ・インドネシア・・・イスラム教(「海のシルクロード」。かつて香料などの交易を目的として多くのアラブ商人がこの地を訪れ、イスラム教が広められた。身分差別がなく平等をうたうイスラム教は、交易ルート沿いに分布地域が広がっている)

東ティモール・・・カトリック(かつての宗主国ポルトガルの影響)

当然、Pがタイ、Qがフィリピン、Rがインドネシア。

 

問7 なかなか歯ごたえのある人口移動の問題。地理Bの問題としてもかなりの高レベル。

①植民地の問題。インドやバングラデシュは旧イギリス領。だから「フランス」を「イギリス」に改めるか、「インド~南アジア諸国」を「アルジェリアやモロッコなど北アフリカ諸国」と改めればいい。ちなみに1960年代というのは戦後復興期で、日本もそうだけれども、出稼ぎ労働者(日本の場合は国際的な移動ではなく、地方から東京や大阪などへの移動だが)が多く生じた。

②70年代アラブ産油国が発動した石油戦略によって(原油価格の高騰化)によって、世界中はオイルショックの大不況に陥ったわけだが、もちろんそれとは逆に世界中の富がこのペルシア湾岸の産油国に集中した。この時代、これらの国々では空前の建設ブームが起き、近隣の「石油を持たない」国々から出稼ぎ労働者が多数流入した。「エジプト」や「パキスタン」はいずれも石油を持たない国(エジプトは多少は持っているが、もちろんペルシア湾岸の産油国には敵わない)であり、この選択肢の文が説明するように、それぞれ労働者の出身国の一つであった。

③「ハワイやヨーロッパ」を「ブラジルやペルー」に改めれば正文。そもそもヨーロッパには日本から移民はほとんどいなかった。ハワイには多数いたが(現在でも日系人の割合はハワイ全人口の4分の1程度)、ただし彼らはあくまで高所得の「米国人」であり、日本に出稼ぎにやってくるとは思えない。「日系人が多く存在し、さらに経済レベルが低い国」だからこそ日本へと出稼ぎにやってくるのだ。

④これは難しいね。ただしちょっと考えてほしい。韓国は経済レベルも高い(1人当たりGNI約10000$/人)のだから、わざわざ太平洋を越えてまで移民しなくても自分の国で暮らせばいいし、それで不便はないと思う。それに中国に比べれば圧倒的に人口規模も小さい(約4500万人)わけで、それが移民の数において上回っているというのはちょっとありえないんじゃないかな。

より経済状態の厳しい中国(1人当たりGNI約1000$/人)から自由の国アメリカを志してやってくる移民は後を絶たず、しかも国自体の人口規模が極端に大きい(約13億人)なのだから、移民してくる人口は中国全体からみればわずかな割合かもしれないが、それが実数となるとかなりの多さになるとみておかしくないだろう。

 

第3問

用語を問う問題なんかもあったりしてちょっと手ごわい感触もある。2問ロスまでに収めたいね。問2なんかはおもしろいパターンやなぁと感心する。

 

問1 うわっ、いきなり中学の定期試験みたいな問題(笑)。でも、こういう日本の地名が出てくる問題って正解率低かったりするよね。がんばってください(笑)。

①「集積回路(IC)」「精密機械(原則として電気を使わない機械。時計やカメラなど)」の特徴は「軽量高付加価値」。つまり値段が高いにも関わらず軽くて運びやすい。航空機のような本来コスト高になってしまう輸送手段を用いても十分に採算は取れるのだ。Cの空港が該当。

②「衣類」「石油」を輸入し、「自動車」を輸出。「衣類」の輸出は③と重なり「石油」は④と共通するので、この港湾を特徴付けるものは「自動車」の輸出。つまり周辺で自動車工業がとくに発達しているということなのだ。トヨタ=豊田市=愛知県ということで、同県に位置する港湾であり名古屋港のBに該当。ちなみに横浜港のある神奈川県でもやや内陸部を中心に自動車工業が発達する(こちらはニッサン)。

③「食料品」の輸入に注目すると良さそうだ。食べ物の需要があるということは人口が集積する大都市に違いない。大都心が含まれるAに該当。

④「鉄鉱石」を輸入して「鉄鋼」を輸出、「石油」を輸入して「化学薬品」を輸出。つまり製鉄所や石油化学コンビナートが立地しているということ。岡山県倉敷市の水島港や茨城県の鹿島港のDに該当。

関連問題として00B追第1問問4がある。倉敷や豊田の工業が取り上げられている。

 

問2 一見するとオーソドックスな問題であるが、実は貿易の問題としては新しいパターン。今まではむしろ貿易品目が選択肢となって、それらがどの国から輸入されているかが表となっているものが一般的だった(99B本第3問問5みたいにね)。ちょっと戸惑うけれどもじっくり腰をすえて観察していけば難しくはないよ。

まずインドネシアから。日本がこの国から輸入している品目のうちで代表的なものは天然ガス、合板(原木ではなく加工材)、エビなど。よってこれらが含まれる(エビは「魚介類」)①がインドネシア。

さらに中国。やはり衣類が代表的なところだろう。よって2位に「衣類」がランクインしている④を中国とする。「魚介類」については不審なところはないはず。中国は世界最大の漁獲量を誇る国であるし、わが国へとかなりの量が輸出されていたとしてもおかしくはない(ウナギが主だろうか)。

米国からの主な輸入品といえば、工業製品がまず頭に思い浮かぶかもしれないが、それより米国が世界最大の農産物輸出国であり、わが国も食料供給の多くをこの国に依存していることを考えなくてはいけない。よってここではやはり「肉類」に注目したい。わが国の肉類輸入相手国第1位はまさに米国である。また「航空機」もポイントとなっている。世界的にみて航空機の生産国は限られており、とくに米国はその過半を生産する世界最大の航空機国。日本では造っておらず、これが輸入品目の上位に来ることは当然納得できること。

よって消去法的に②が韓国となる。工業製品が中心となっているが「鉄鋼」がランクインしている点が興味深い。韓国がわが国の代表的な鉄鋼輸入先であることを知っておいてもいいかもしれない。

本問は②と③の判定が難しいような気がする。ただし問題としてはインドネシアを指摘したらいいだけなので、難易度は低かっただろう。

 

問3 これはなかなか難しいね~

①どうだろう?不明。保留。

②海外旅行先1位は米国。実際には本土ではなく、グアムやハワイが多いのだが。

③在日韓国・朝鮮人の存在を考える。朝鮮半島に国籍を有する人々が最も多い。

④これは全く否定する場所がないでしょ。

以上より④が正解。①については全然わからない(涙)のだが、それ以外は統計や過去問が問題を解くカギとなっているのでそちらを確認しておくこと。

統計としては、日本人の海外渡航先(海外旅行先と同義と考えておけばいい)を調べる。米国が1位で、ヨーロッパに行く人数は全体としては少ないが、その中でも日本人の行き先はイタリアが多く、フランスはさほどでもない。

関連問題としては、()、99B追第2問問2などを参照しよう。移民法が改正されたことにより、ブラジルやペルーなど日系人が多く、さらに経済レベルの低い国からの、外国人労働者の流入が近年増加していることを知っておく。

っていうか、この問題も第2問問7と微妙やけどカブってるよなぁ(笑)。地理Aってそんなにネタ不足なのか!?

 

問4 さらに変な問題。でも簡単だからいいか。

アは米国で成立したスポーツだから野球でしょ。イは太平洋の島国でさかんなんでラグビー。ウはヨーロッパなのでサッカー。何だか意図がよくわからない問題ですな(笑)。

 

問5 なかなか凝った問題やね~。じっくり解きましょう。中国と韓国で悩むかもね。

こうした問題を解くコツは、まず「現在のデータのみに注目」すること。カならば、姉妹都市は東日本に集中し、その数も多くない。これはロシアと見ていいんじゃないかな。3か国中では最も日本との関係が薄く、さらに姉妹都市にしても近隣の東日本の諸都市に限定されると思って不自然な点はないだろう。

さらにキとクについて。キは圧倒的に西日本に集中し、クは東西日本平均していることに加え、その数が非常に多い。国の規模を考え、クを中国、キを韓国としてみたがどうだろう?韓国と姉妹都市を締結している東日本の都市が少なすぎるのは気になるところだが。

で、このように「代入」してみたところで、さらに検討していこう。ここからは過去にさかのぼっていく。キもクも、70年代、80年代、90年代と順調に増加しているので、ちょっとわからない。しかし実は重要なポイントがその前に隠されているのだ!それは「60年代」。クは60年代に日本と姉妹都市関係を締結した都市がゼロ!これってどういうことだと思う?理由は簡単。当時、日本と中国は国交がなかったからだよ。つまり日本にとって中国は「国」として扱われていなかったということで、もちろんこうした公式な関係を樹立なんて不可能だったわけだ(例えば現在日本と北朝鮮は国交がないわけだが、北朝鮮の都市と姉妹都市になっている日本の都市なんてあると思うかな?)。

このことが決め手となって、クを中国と判定し、残ったキを韓国と判定する(しかし、さっきも言ったけど、あまりに東日本が少ないな。ま、韓国自体小さな国だし、そんなもんなんかな)。

ちなみに日本と中国が国交を樹立したのは70年代に入ってから。友好の証としてパンダが寄贈されたのは有名な話(っていうか君たちは知らないか。誰かに聞いてください)。

 

問6 いかにも地理Aって感じの問題ですな。ワシントン条約が正解。

過去に出題例があるものはナショナルトラスト運動。これは国際条約とか政府間の政治的な動きとかそういうんじゃないて、あくまで民間レベルの話。開発が進みそうな地域の環境を守るために、個人個人がお金を出し合って、誰も手が出せない状態にしてしまうっていうこと。政府も私有地なら勝手に開発できないからね。もともとはイギリスで始められた運動。でも日本でもさかんになっているよ。

 

問7 これもまさに地理A的。そういや去年はG8(主要国首脳会議。米国・日本・ドイツ・フランス・イギリス・イタリア・カナダ・ロシア)が出てたなあ。地理Bではこんなの出題されないでしょ。

正解はAPEC(エイペック)で、説明はシの通り。ただ、加盟している国が多すぎて(しかもあまりに広い範囲に散らばっていて)たいしたまとまりもないのが現状。ぶっちゃけ、機能してないでしょ(笑)。一応、加盟国を書いておくんで一部のマニアックな人は覚えといたら。何の役にも立たないけど。

日本、韓国、中国、ホンコン、台湾、ASEAN(フィリピン・ベトナム・ラオス・カンボジア・タイ・ミャンマー・マレーシア・シンガポール・ブルネイ・インドネシア)、パプアニューギニア、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、ペルー、NAFTA(メキシコ・米国・カナダ)、ロシア。

OECDというのは別名「先進国クラブ」とよばれる団体で、主な先進国は加盟している。説明はサ。

加盟国はよく覚えてないけれど、先進国クラブっていうくらいだから、中国やフィリピンは入ってないでしょ。おそらくロシアも入ってない(でもこの国、ちゃっかりしてるところあるから実は入っていたりして・笑)。ちなみに日本は入ってます。で、韓国は先進国ではないけれど、入ってます(っていうか、これがこの組織のアバウトなところで、メキシコも入ってるし、実はポーランドとかハンガリーも入っていたりするのだよ。わけわからんよね~)。