2012年地理B追試験[第1問問3]解説

[第1問問3]③

気温で考える。最もわかりやすいのはL。年平均気温は10℃ほど。3地点中最も冷涼であり、これは札幌に等しい(最暖月平均気温25℃、最寒月平均気温マイナス5℃)。ア~ウのうち最も高緯度に位置するウが該当、緯度も北海道に近い。

残ったJとLだが、ここはJに注目して欲しい。年平均気温が30℃というのは、異常な暑さ。日本なら那覇(沖縄)であっても年平均気温は20℃ほど(最暖月平均気温は25℃、最寒月平均気温は15℃)。赤道直下のシンガポールでも周囲が海に囲まれていることもあり、ここまで高温とはならない。

このような異常な高温が生じるのは大陸内部の乾燥地域である。大陸性気候。年間の寒暖差は大きいものの、夏の気温がとくに高くなるため、通年の平均値を釣り上げている。夏の日中も昼と夜とで大きく気温が異なるのだが、こちらもやはり昼の気温がとりわけ高くなるために、平均の気温が押し上げられている。夜は20℃も切るような涼しい気温となるようだが(*)、日中の気温が40℃に達することもあり、夏の日の平均気温は30℃に達する。Jは大陸内部のイとなる。

残ったLがア。ここは年平均気温が20℃をやや下回る程度であり、ちょうど日本(本州から沖縄にかけて)と同じ感じかな。海に面し、大陸内部ほど夏の気温が極端に上がるわけではないことを考えれば妥当だろう。でも、緯度のわりにはちょっと低めかも?イの地点は緯度的には10~15度ぐらいで、日本付近で言えば台湾より低緯度で、フィリピンぐらい。それなのに日本とほぼ平均気温が変わらないってちょっとおかしいかな。実はここは寒流が沿岸を流れているのですね。寒流は「クーラー」なので夏の気温が下がる。これによって通年の平均気温も引き下げられるわけだ。

以上より正解は3でした。年平均湿度は全く考慮する必要はない(というか、湿度については過去問にも登場したことがないので、全くわからない)。

(*)参考までに日本の夏は「熱帯夜」と呼ばれ、気温は25℃より下がらない。空気中に水分が多い日本では、その水分が温度を維持する働きがあり、夜も気温が下がりにくいのだ。それに対し、空気が乾いている乾燥地域では、夜は気温が急激に低下する。