2022年地理B本試験【第5問】解説

<第5問問1>

[ファーストインプレッション]

一応地形図?問題なのかな。最近の地形図問題は易化が著しく、本問のその典型。ただ、僕の場合、左右盲なので、このように問題文中に左右の文字が出てくると緊張する。さらに東と西の区別もあまりつかないので(地理の先生なのに、東西がわからないのですよ)、こちらも慎重に判定しないと。思わぬ落とし穴があるぞ。

[解法]

文章中に左右な東西南北など、反対語を作りやすい言葉が多く含まれているね。ちょっとややこしく感じるけれど、逆にいえば、ターゲットとなる言葉は限定されているはずだ。一つ一つの方向に注意して検討していけば無問題なんじゃないかな。

選択肢1から。市街地というのは「苫小牧駅」周辺のことだと思う。市役所もあるし。これはフェリーの近づく方向からみれば「左側」だね。誤り。

選択肢2について。勇払駅を探す。東というから、苫小牧駅とは反対方向で、地図の外側に出てしまう方向(これもしっかり読み取らないと)。左側は内陸の方向か。「弁天沼」はたしかにそちらの方向にある。「ウトナイ湖」はどうなんだろう。内陸側といえば内陸側だが、それにしてはちょっと遠すぎないか。むしろ「左後ろ」という感じだし、それに水面は見えるのか?ウトナイ湖を見ようとするなら、勇払駅から西(というか北西)に向かう列車に乗り、右手に確認した方がいいんじゃないか。ちょっとこれは保留にしておこうか。

選択肢3。「沼ノ端駅のそば」の国道ってどこだ?国道は二本線なのね。たしかに駅に接するように二本線がある。でもこれってすぐに三叉路に突き当たってしまうね。直線距離は短い。ただ、その突き当たりの目の前に濃い色で示された部分があって、これは「湿地」だね。これ、確実に成分じゃないの?選択肢2よりそれっぽい。これが正解でしょう。

選択肢4。「苫小牧中央インターチェンジ」から西に向かうってことは沼ノ端駅方面かな。市街地は(選択肢1でも述べたように苫小牧駅周辺や市役所付近が市街地だと思う)はるか後方で、左後ろって感じ。樽前山に至っては果たして見えるのだろうか。右後ろに遠い。誤りだね。っていうか、ここまで書いて気づきましたが、「左後ろ」じゃなくて「右後ろ」、「右後ろ」じゃなくて「左後ろ」やん。どっちしても間違ってるからいいんですが、ホント、僕って左右が全然わからないんですよ。いちいち確認しても、自信をもって左を右に、右を左にって言い切ってしまう。困ったもんですわ。

[ちょっと一言]

これ、左右盲にはキツい問題だな。手汗かいた(苦笑)

<第5問問2>

[ファーストインプレッション]

河口付近の地形がどのように作られているかの問題。過去に出題されたことがないわけではないけれど、見慣れない問題であることには間違いなく、ちょっと苦しいかも。しっかり考えて欲しいな。簡単な問題ではないと思います。

[解法]

図より文章優先で考える。空欄(ア)について。(ア)は砂を運ぶものである。選択肢は「沿岸流」と「潮汐」。沿岸流は局地的にみられる海水の流れで、沖合から海岸に向かう海水の「縦」の流れが「波」ならば、海岸に並行に流れる「横」の流れが「沿岸流」。たしかにこれによって運ばれる砂はあるだろうね。

一方の「潮汐」は潮の満ち引き。干潮と満潮のことだね。もちろんこれも海水の巨大なパワーの源であり、潮汐の力を使った発電方式も実用化されている。でも、砂を運ぶことについて考えた場合、これが該当するのかどうか。単なる海水面の上下運動であり、砂を運ぶものとはちょっと思えないのだが。(ア)は沿岸流と判定していいだろう。

さらに(イ)。河川の流量が大幅に減少する理由。普通に考えれば降水量の減少なんだが、どうなんだろう。選択肢は夏季と冬季。なるほど、北海道ならば雪が多いから冬の降水量は多いかもしれないね。ただ、次の問3の図3を見る限り、苫小牧は太平洋に面しており、ここって雪は少ないんじゃないか。みんなは日本列島が世界有数の豪雪地帯となる理由は知っているね。シベリアから吹き出した冷たい風が日本海上空で水蒸気を含み、日本列島にぶつかる。地形性降雨によって日本列島の日本海側に分厚い雲が形成され、低温であるため降水が雪となるのだ(正確には、雪のまま地上まで達するって感じかな。そもそも雲は氷の塊であり、要するにそのまんまの状態なら雪。これが上空から降り落ちる際に溶けてしまい水になって雨になる。冬は地上付近も低温であるため、氷(雪)が溶けず、そのままの状態で地面まで達するということ)。

このシステムに従って考えれば、日本列島でも雪が降る地域は日本海側に限られ、太平洋側には乾いた風が吹き下ろすことになる。苫小牧もそんな「太平洋側」の地域である。冬の降水量は少ないだろう。

また北海道が「冷帯」気候であることも考慮に入れていいかも知れない。冷帯とは気温年較差が大きく、夏は高温となるが(北海道は米作など農業がさかんだね)、冬は極端な低温となる。河川も凍結することを考えると、降水量に関係なく、流量はわずかになるんじゃないか。(イ)は「冬季」と考える。

さらに(ウ)だが、「冬には、河川よりも海の運搬・堆積作用の方が(ウ)」とある。冬は河川の流量が減少するわけだから当然のように運搬・堆積作用は小さくなるね。海の力の方が大きくなると考えていいんじゃない?(ウ)は「大きく」が該当し、正解は3。

ここまでの過程で気づいたとは思いますが、実は僕はこの問題の解答を導く際に図2は全く見ていない。これはこれでダメとは思うのですが、ただ、こういった問題を解く場合に図やグラフの読み取りに気を取られて、肝心な文章の読解が弱いっていう人がいる。問題そのものは文章の正誤を問うたり、空欄を適語で補充うする問題だったりする(本問のように)。解答のカギがダイレクトに含まれているのは、間違いなく「文章」の方だと思いませんか。問題は直接的に解く。そのためには文章を直接読み込むことを大切にして欲しいと思います。

[ちょっと一言]

今、図を見たんですが、これ、わかりにくいね(苦笑)

<第5問問3>

[ファーストインプレッション]

また出た!実数と割合の問題。こればっかじゃないの?共通テストで重視されるようになった思考力の正体は「実数と割合の区別」なのだ。

[解法]

本問ももちろん文章から読んでいく。怪しい選択肢ってズバリどれだと思う?僕はもちろん選択肢4だと思うわけです。「割合が高い」っていう点が気になる。割合が高いかどうかを判定すればいいし、それは計算によって簡単に求められる。1の「内湾」、2の「近い」、3の「平坦」なども重要なワードであることに間違いないが、やっぱり数字に基づき、(主観的ではない)客観的な判断ができる言葉にこそ我々は反応するべきなのだ。苫小牧港と室蘭港を比べている「比較の構造」があるのを読み取る。

「フェリーを除いた海上貨物取扱量」を見てみよう。苫小牧港が50(百万トン)、室蘭港が20(百万トン)。このうち、「国内の移出入:海外との輸出入」は、苫小牧港が「30:20」、室蘭港が「10:10」。海外との輸出入の割合は、苫小牧港が「20/50=0.4」(40%)、室蘭港が「10/20=0.5」(50%)。海外との貿易の占める割合が高いのは、室蘭港だね。この選択肢が誤り。

一応、1から3も検証していこうか。室蘭港の周囲は複雑な地形であり、これは山地が沈降したものだろうか(こういった地形を「溺れ谷」と言います。溺れ谷が連続することでリアス海岸となります)。深い入江である内湾が形成され、波が静かであり天然の良港になる。正文ですね。

天然の良港といえば、第4問ではエスチュアリーの説明もちょっとしたよね(っていうか、第1問でもエスチュアリーの問題があったような。この時点ではまだ第1問の解説は作っていないのです)。エスチュアリーは河口のラッパ状の入江で、これもやはり波が静かであるため天然の良港となる。天然の良港となる条件にはもう一つあり、それは水深が深いこと。水深が十分でないと、大型船舶が入港した際に船底が海底にぶつかって、座礁してしまうよね。室蘭の図をみてわかるように、周囲は山地で斜面に囲まれている。この急傾斜が海底まで続いているので、この内湾は水深も深くなっている。一方で、エスチュアリーについては周辺は低平な地形で本来なら海底も浅いはず。でも、それが実は違っていて、エスチュアリーはかなり特殊な地形。河口のラッパ状の入江は沈降によってできたもので、この部分だけ「凹んで」いるのだ。水深が深く、川に沿って大型船舶が遡ることも可能。イギリス南部のテムズ川がこのパターンだね。河口から数十キロ離れたロンドンまで貿易船が遡上し、ロンドンのテムズ川沿いは港になっている。

ただ、日本ではエスチュアリーのような地形はない。だから「周辺が山地ならば港湾に適し、平地ならば港はできにくい」のである。

このセオリーがわかってから選択肢3をみると面白いよ。室蘭とは違って、苫小牧周辺は平野であり、つまり海が浅かった。波を防ぐ地形もないので、港湾に適する地形ではない。だからこそ、「人工港」が作られたのだ。低平な砂浜海岸を、内陸の方向に掘り込んで行き、十分な水深を作り出した上で港湾とする。これが「掘り込み港」だね。海の方向に土地を広げていく「埋め立て」とは反対の形であることが分かるかな。これによって港湾が成立し、周辺に臨海型の工業施設が立地していく。日本の他の掘り込み港としては鹿島(茨城県)や新潟があるが、とくに鹿島が有名かな。茨城県の太平洋沿岸には砂浜海岸が広がり、そもそも港には適さない(サーフィンが盛んっていうイメージは持ちやすいよね。遠浅の砂浜海岸だからサーフィンができる)。高度経済成長期に、大規模工事によって掘り込み港をつくって、製鉄所や石油化学コンビナートを立地させた。21世紀の現在なら、環境への問題を考えてこんな大規模工事(というか大規模自然破壊)なんかできるわけないけれど、当時の日本っていろんな意味で「狂って」いたんだろうね。とにもかくにもこうした「掘り込み港+臨海型工業」の組み合わせは日本各地にみられるわけだ(世界ではユーロポートがこれに近い形だね。そっちはライン川の河口を拡張し、掘り込んでいるんだけど)。

ここで選択肢3をみてみよう。本来港湾に適さない砂浜海岸だけれども、掘り込み港がつくられたらちょっと話は変わってくる。そこには広大で平坦な土地が広がっているのだ。「巨大な倉庫や工場」を作りやすかったっていうメリットは、苫小牧や鹿島、そして新潟でもみられたことなんだろうね。3も正文。

2については問題ないんじゃないかな。地図も示されているし。僕は室蘭と苫小牧って両方とも臨海部の工業都市っていうキャラが重なってイメージしていたんだけど、札幌との位置関係ってこんなに違うんだね。苫小牧は比較的札幌に近いけど、室蘭ってはるか遠くなんだなぁ。

[ちょっとひとこと]

計算しましょう。地理は数字の学問です。

<第5問問4>

[ファーストインプレッション]

あ、これ、日本地理やね。それもまあまあ難易度高めの。こういった問題ができなくて「今から日本地理をやらないと」とは思わないように。こういった知識は中学生までの段階で十分につけておかないといけないし、今さら間に合いません。残酷なことを言うようだけど、誤解しないでね。細かいことばかりに気にしてメンタルを病むより、思い切ってできない問題は捨ててしまった方がサッパリとして気持ちよく勉強できる。本問ができなかった人は、中学時代までの自分を恨んで(笑)先に進んでいこう。君たちの多くは理系なんだから、中学時代にそもそも社会科を勉強していなかったのは当たり前。むしろ、社会科なんていうどうでもいい科目をキチンと捨てられて、本当に価値のある数学や理科のような理系科目に関心を持てたことはラッキーなことだと思うよ。世界を変えるのは理系です。僕の人生最大の過ちは文系に進んでしまったこと。理系、素晴らしいじゃないか。

[解法]

苫小牧市の工業を問う問題。これ、中学地理(つまり日本地理)の知識が必要なんじゃない?解いてみようか。

最も特徴的なのはCかな。「北海道の製造品出荷額に占める苫小牧市の割合」(以後、「北海道に占める苫小牧市の割合」)は1971年、2018年ともに低い値。「苫小牧市の製造品出荷額に占める各業種の割合」(以後、「苫小牧市に占める各業種の割合」)も高い割合を占めているとは言えず、苫小牧市の主産業ではない。これって何だろう?

ここで3つの業種をチェック。「食料品」、「石油製品・石炭製品」(以後「石油製品」)、「パルプ・紙・紙加工品」(以後「パルプ」)。さて、このうち、最も「各地に分散する」傾向がある工業種って何だろう?「北海道に占める苫小牧市の割合」がAやBは極めて高い割合になっているが、これは特定の都市にこの工業が集中するってことだよね。それに対し、Cは北海道全体に分散しているんだと思う。

僕はこれは「食料品」だと思うんだわ。農産物や畜産物、水産物の加工品はそれぞれの生産地に工場が立地するんじゃないか。あるいは、ビール工業が典型的だが、人口が多い消費地にも工場立地がみられる。市場立地型の工業ってやつだね。原料の大麦より、製品のビールの方が重くて運びにくいので、消費地である都市に工場が立地する。

このような事情を考えると、食料品の工場って他の業種に比べ「分散」する傾向が強いんじゃないかな。とくに苫小牧市はさほど人口も多くないだろうし(人口が多ければ市場立地型の食料品工場が成立)、農産物や水産物の産地でもないだろう(港はあるけれど、新しい時代にできた港だし、漁業で栄えているわけでもないと思うよ)。「苫小牧市に占める各業種の割合」が低いのも納得。Cが食料品でしょう。

AとBは対照的。とくに「苫小牧市に占める各業種の割合」がわかりやすい。Aは過去から現在にかけて大きく地位が低下したのに対し、Bは今や押しも押されぬ苫小牧市の主産業になっている。シンプルに考えて「Aは古い工業、Bは新しい工業」とみていい。新しいってことはもしかして、苫小牧市の港と関係あるんじゃない?問3の会話文の中にいろいろとヒントがあるね。苫小牧市港は「1963年に大規模な掘り込み式の港湾」として整備されたとある。1971年はまだこの港湾ができてから間もない。さらに「苫小牧港が整備されて以降、港湾に関連する産業も成長しました」というセリフも。港湾があるからこそ、他地域から船舶によって何かを輸送してこそ、成り立つ産業って何だろう?それは「臨海指向型」の工業を考えればいいんじゃないか。原材料を輸入に依存して、巨大な設備において製品を作り出す工業。そう、それは「鉄鋼業」と「石油化学工業」だよね。原料である鉄鉱石や石炭、原油は輸入に依存する。港湾に接して大規模な製鉄所や製油所などを設けることで、鉄鋼生産や石油製品の生産の拠点となる。1971年以降急増し、現在苫小牧市の主要な業種となっているBは「石油製品」なんじゃないだろうか。6が正解。

パルプは軽工業に含まれる業種であるし、現在は停滞しているとみていいんじゃないか。この表をみるとおもしろいんだが、Aについては「苫小牧に占める各業種の割合」の値が大きく減少(54.1→9.6)であるのに、「北海道に占める苫小牧市の割合」はほとんど変化はない。これ、どういうことかわかるかな?北海道全体での生産額そのものが減少しているということなのだ。一方で、Bの方は順調に生産額が伸びている。Aが旧来の産業(つまり軽工業)、Bが高度経済成長期以降に伸びてきた重工業ということになる(っていうか、世界的には今は重工業ですら衰退(重工業の中心は発展途上国)の段階であり、先進国は脱工業で先端産業に移っているんですけどね。日本は周回遅れです)。

[ちょっとコメント]

ん?苫小牧市の産業に関する知識がなくても解けたんじゃないか。知識がなくても思考力で何とかなる?

<第5問問5>

[ファーストインプレッション]

人口ピラミッドの問題は2つ目だね。共通テストは思考力重視と言い切っているだけに、問題のバリエーションが狭まっている気がする。過去問演習の深さが勝負を分けているね。

[解法]

「資料1中の地区dと地区e」とあるけれど、これは問1や問2の図で場所が示されているわけではなく、苫小牧市のどこに実際にあるのかはわからないわけだね。では資料1から直接キーワード(キーピクチャー?)を拾ってみよう。

まず写真そのものから。地区dは集合住宅のアパートみたい。あまり広そうな感じはしないね。地区eは一戸建て。こちらは広そう。各世帯が自動車を置くスペースを持ち、庭も広そうだね。

さらに文章部分。地区dは「市中心部」であり「社員用住宅」なんだそうだ。「工場従業員とその家族向け」の「団地」。おそらく十分は広さはないだろう。

地区eは「郊外」の「戸建て」であり、写真からも判定できたけれど「車」についても説明されているね。

さて、この「社員向けの団地」と「郊外の一戸建て」だけど、それらはカとキのいずれかだろう?カは20年間の間に大きな変化があり、反対にキはほとんど変化がない。これ、君たちはどちらの方が「不思議だな」って思う?普通なら「なぜ変わったんだろう」ということでカの方を不思議に思うかも知れないんだが、でも20年という経年を考えればこのような変化はむしろ当たり前。本当に不思議なのは、ほとんど変化のないキの方なのだ。

カが普通って言ったのは意味はわかるよね。住民が継続して住み、そのまま20年分歳をとったのだ。当時の「40~44」歳が現在の「60~64」歳になった。X年がビフォー(1995年)、Y年がアフター(2015年)と考えると納得でしょ?

それに対し、キはおかしいじゃないか。1995年(これがXだってのは決定でいいよね)のボリュームゾーンは5~14歳と35~44歳であり、これ、20年後の2015年(Y)も「同じ」なのだ。

でも、「同じ」であっても「同じでない」のはわかるよね。1995年に40歳だった人は2015年には60歳だ。キのXの「40~44」とYの「40~44」は「同じ人」じゃない。つまり住民が入れ替わっているのだ。

どうだろう?20年単位で住民が入れ替わる可能性が高いのは、社宅である団地なのか、それとも一戸建てなんだろうか。これは言うまでもないんじゃない?転勤や退職などで社宅を去る家族は多いと思うよ。そしてそこにまた新しい社員とその家族が入居してくるのだ。キが地域dであることは明確なんじゃないかな。

もう片方のカが地域eになる。こちらは永続的に住民がその家に居住している。年齢層がそのまま20歳分アップしているね。ただ、こういった地域では高齢化が進み、子供の数が極端に少なくなっていることにも注目。かつて開発されたこうした郊外の住宅地は「新しい町=ニュータウン」と呼ばれたね。しかし、21世紀に入ってそうしたニュータウンは年老いていく。やがてオールドタウンとなり、その少子高齢化による衰退が問題視されている。人口減に伴う各種サービスの低下や経済活動の停滞など。ただ、そのことは本問の内容とはまた別の話ではありますか。

さらに地区dの説明分には「空き部屋もいくつかある」というのも、入れ替わりが激しい中で新たな入居者がいない状況を表しているのだろうね。会社の規模が縮小し、社員の数が減った影響なのかも知れないけど。

[ちょっとコメント]

「冬に洗濯物を乾かせるよう、ベランダに覆いがつけられている」とか「北向きの玄関には、屋根や多いのある家が多い」って何だったろう?問題に関係あった?伏線投げっぱなしやな。

<第5問問6>

[ファーストインプレッション]

第3問問2の図に似てるな。でも、最初から決めつけないで、じっくりと観察していこう。先入観が一番の敵。

[解法]

図は後回しにして文章から読み解いていく。

まず(E)から。「空き店舗や空き地が増えたり、街に来る人が減少」しているのだそうだ。「街」っていう漢字からも雰囲気が伝わってくるね。もともとは栄えていた市街地だったのに、近年は衰退が激しい。いわゆる「シャッター通り」みたいなものを僕は想像したけれど、みんなはどうかな。

人口変化を見ると、市役所周辺が「減少または変化なし」で、おそらく人口減少が顕著なのに対し、苫小牧港の北側には「増加」が目立つ。とくに「1995年の人口が0その後増加」もみられ、かつては原野だったのだろうか。少なくともかつての市街地っていう雰囲気はないね。(E)は「市役所の西」とみていいだろう。

では(F)について。こうした人口減少の問題解決にどんな取り組みが考えられるか。タとチの2つの文章がある。ここでかなり気になるキーワードに「郊外」がある。「市役所の西」は苫小牧市全体からみれば市街地の中心部に近く、「都心部」だよね。これとは対照的な「郊外」にショッピングセンターを作ってしまったらどうなるだろう。とくに大型の駐車場も備えられているならば、そちらに客がさらに奪われる結果になり、シャッター通りはさらに干からびるだけだ。そして、その郊外に「大規模なマンション」が建設されたら、そちらに転居する人も多いだろうし、市外から転入してきた人々も新しく住むエリアとして都心部は選ばない。タは決定的に誤っているので、チが正しい。正解は2。

[ちょっとコメント]

解法では触れなかったけど、チの文章ってなるほどって思うね。「予約に応じて運行するバス」ってタクシーみたいなもんでしょ。これからこういうものが増えるのだろうか。コスト的にはかなり厳しくなるんじゃないかって思うけどね。