2020年地理B追試験[第6問]解説

[30]2020年地理B追試験[第6問問1]

 

夏の気温には大きな差がないので、冬の気温に注目するのがいいだろう。1月の最低気温を比較して、アが2.8℃、イが1.7℃、ウが−1.0℃。海陸の比熱の違いによって、太陽からの受熱量の小さい時期には内陸部でこそ気温が低下する。ウを内陸部の伊賀市とみて問題ないだろう。図をみると山地の中に位置し、もしかして標高も高いのかも知れない。その分だけ気温が下がっていることも考えられる。

残ったアとイだが、この2地点で大きく異るのは降水量。日本全体の平均降水量については「1500」ミリという値で知っておこう。アはそれより少なく、イは明らかに多雨である。

日本列島全体の降水量を考えた場合、少雨となるのは北海道と中央高地、瀬戸内である。いずれも年間の降水量は1000ミリほど。

北海道は冷涼であるため大気中の水蒸気が少なく、上昇気流も生じにくい。また台風の襲来や梅雨もない。

長野県や岐阜県北部(飛騨地方)、山梨県などの中央高地は、周辺を高峻な山脈によって囲まれ、海から隔てられている。全体の降水量も少ない。

瀬戸内も中央高地と似た地形条件。夏の季節風は四国山脈によって、冬の季節風は中国山地によって、それぞれ遮られ、水分が十分に届かない。例えば岡山県は「晴れの国」として知られ、香川県ではため池が多く作られている。

このことを考えると、瀬戸内地方に近く、やはり太平洋や日本海から山地によって隔てられている大阪市において降水量が少ないと予想できるのではないか。瀬戸内の典型的な気候ほど降水量が少ないわけではなく、それでも1300ミリほどはあるのだが、しかし日本の平均値そしてイの値に比べ少ないことは間違いない。アが大阪市であり、正解は②。

残ったイが鳥羽市。沿岸部にあり、気温年較差が小さい。冬でも比較的暖かく、夏も厳しい高温とはならない。降水量は多め。太平洋に面し、夏の南東季節風によって湿った空気がもたらされ、地形性降雨を生じているのだ。

なお、鳥羽市の南方、三重県南部で和歌山県境に近い沿岸部に尾鷲(おわせ)という都市がある。年降水量が4000ミリに達する「国内最多雨」地域。やはり南西からの季節風の影響による降水がみられる。

 

 

[31]2020年地理B追試験[第6問問2]

 

まず都市構造を確認。君たちは「都市圏」という言葉を知っているかな。「都市圏=通勤圏」だったね。「都市圏=都心部+郊外」という式でも表される。都心部は企業オフィスや官公庁が集まり、さらにはデパートなど高級品を扱う店舗も立地。「昼間人口>夜間人口」という数式で考えよう。

一方、「郊外」は都心部への通勤者が居住。「昼間人口<夜間人口」のバランスとなる。地価が高いのが都心部、安いのが郊外(最も安いのは、都市圏の外側だが)。

では問題に注目。

「大型小売店」は広い面積を有し、駐車場のスペースも広いんじゃないかな。これは「郊外」に多いでしょう。本図においては「中心商店街」が「都心部」であり、そこに多くの事業所が集まっているはず。主要駅もあり、さらに多くの鉄道も集まっていることから、まさに地域の中心地であろう。そこから離れたAこそ「郊外」とみていいと思う。大型小売店のみ多い①がA。

さらに「バス路線」であるが、これは一般に都心部を中心に発達するもの。主要駅の前にバスターミナルがあり、そこから各地へとバスが運行されている様子が想像される。バス路線が多い②と④がBとCのいずれかとなり、残った③がDとなる。なるほど、こちらは「土産品店数」がとくに多い。「主な神社」の参道であり、土産物店が軒を連ねているのだろう。

最後に、BとCを判定してみよう。これが②と④のいずれかとなるのだが、②は大型小売店が一つのみ。逆に④は土産品店が多い。商店街は古くからの小さな店が多いのではないか。こういったところに大型小売店が一つだけドカンとあるっていうのはちょっとイメージと違う。それに対し、Cは駅に接している。駅ビルのような形でデパートがあるのかも知れない。そういった街は多いんじゃないかな。④がBとなり、正解のCは②が該当。

 

<スイマセン。。。>

 

これ。Cの正解は④でしたね。最初に解いた時(You Tubeにあります。こちらの解説は初見で作成しています。https://youtu.be/IaTB8IAg5b8 )は当たっていたんですけどね。面目ないです。

たつじん先生ですら(?)繰り返して解いても間違う時があるということで、みなさんの過去問演習の際の教訓としてください。

なるほど、むしろバス路線が大切だったんですね。駅前にこそバスターミナルがあり、ここから四方八方に路線が発せられている。例えば駅前に17路線のバス停があり、このうち、Bの商店街の方向に向かうものが11路線、それ以外のAやDなどに向かうものが6路線って感じなんですかね。これ、辻褄が合うな。

さらに言えば、商店街はコンビニやらドラッグストアなど、住民ための商品いわゆる「最寄品」を扱う店ばかりでしょうから、観光客相手の「みやげ品」のお店は普通ありませんよね。いやぁ、面目ない。みんなの方がスムーズに問題を解けたのではないでしょうか。こういった問題、もっと深くいろいろ考えて解くべきでした。一回解いていたからと油断したたつじんでした。ホントにスイマセン。

 

 

[32]2020年地理B追試験[第6問問3]

 

地形図問題はまず文章を先に読み、ある程度の見当をつけてから取り掛かるのがコツ。正解率も上がるし、何より時間の節約になるね。

では各選択肢の下線部から「誤り選択肢になりそうな」ものを探してみよう。

まず①から。「斜面に新たに道路が整備される」とある。時代が新しくなれば道路が整備されるのは当たり前だろうから、ここでのポイントは「斜面」。もしも新しい道路があったとして、それが平坦な地形の上にあるのか、斜面上なのかをチェックする。

さらに②。「鳥羽市の中心市街地と幅員の広い道路でつながっており」とある。「幅員」とは「横はば」のこと。これは漢字から十分に推測できると思う。ある集落を通る道路が、その地域の「中心市街地」とつなげられてつくられることは当然のことだね。とくにここには公共施設が立地しているようで(下線部がないのでこの部分は正文。公共施設があることには間違いがない)、そこへのアクセスを考えれば、当然道路はつくられるべき。

そして③。こちらは「1930年に集落があったルートを通っている」に下線部。そもそも集落をつぶして道路なんか作るものだろうか。もちろん、翁道路を作る際に家屋が移転を強いられる(そのため土地の価格が上がって大儲けする!?)なんて話はよく聞くものであり、この選択肢が絶対的に誤っているとは判断できないけれど、ちょっと怪しいなとは思う。さらにここには「標高100m以下の地域では」とある。このようにわざわざ範囲を指定しているということも、さらに怪しく思えるよね。この選択肢を重点的にチェックしていこう。

最後に④。この時点で③が怪しいなと決めつけてしまっているので判断の目が曇ってしまっているのだが(笑)油断せずに判定していこう。「隣接する斜面を削って造成されている」となり、その主語は「浜辺付近を通る幅員の広い道路の西側にあり、私鉄の北側に沿った平地」であり、具体的な方法として「入り江を埋め立て」とある。かなり具体性の高い選択肢である。こういった具体的な説明を伴った文章もまた[誤り選択肢]の可能性は高い。③が解答ではなかった場合は次にこの選択肢を検討しよう。

というわけで真っ先に判定するのは選択肢③である。

まず「有料道路」を探してみよう。道路の中央に「点」が描かれた道路である。

図の西端(鳥羽商船高専付近)から鳥羽港方面に向かい、そのまま海岸に沿って南下する道路は有料道路ではないので注意。これは中心に点が描かれていない。着色された道路は「国道」である。他の道路とも交差点によって交わっており、一般道であることがわかる。それに対し、図の南西端から北北東の方向に向かって走る道路に注目してみよう。こちらこそ、道路の中央に点が描かれ、「有料道路」であることが分かる。山地の中を走行している間は他の道路と交わっておらず、その終着点において国道と交差している。おそらくここに料金所があって、出入り口となっているのだろう。

さて、この道路について「標高100m以下」の地域を探さないといけない。これは1930年の図の方がわかりやすいね。まずこの地形図が「5万分の1」であることを確認。等高線(主曲線)の間隔は高度20mであり、5本ごとに引かれている太い等高線(計曲線)は100mごとである。図の中央部に「197」という数字がある。横に小さな点があるね。これが「独立標高点」。その地点の標高を表している。この点をとりまく等高線が180mのものだろう。そこから外側に一つずつたどっていって、100mの等高線がやや太く描かれていることがわかる。

なるほど、2008年の図でも同じ箇所に「197」という数字がみられるようであるし、やはり同じところに太い等高線が描かれている。これが100mであるので、これより低いところ、すなわち北側の地域に注目すればいい。

この有料道路はそのまま北へ伸び「鳥羽」という文字をかすめて、国道と合流している(先の述べたようにここに料金所があるのだろう)。同じ場所を1930年の図で確認すると、あれ?ここには何も集落などないではないか。これより③を誤りとする。この道路は、そもそも誰も住んでいない山地や森林の中に開かれたものなのだ。

 

 

[33]2020年地理B追試験[第6問問4]

 

(カ)の判定。(カ)から飛来する「砂」の被害とある。図の中で砂がたくさんあるのはどこだろうか。さらに風が強く吹く可能性があるのはどこだろう。それはもちろん沿岸部の砂浜海岸だね。海岸は大きく「砂浜海岸」と「岩石海岸(磯浜)」に分かれるが、図を見る限り、海岸線はなめらかな形状となっている。これは砂浜とみていいんじゃないか。岩石海岸ならもっとゴツゴツとして形になっているはず。海岸付近から風によって砂が飛んでくる。その被害を避けるための「防砂林」としてこれらの樹木が植えられたのだろう。海岸の方向は「東側」である。

続いて(キ)の判定。わかりやすいので安乗地区と比較しよう。国府地区と安乗地区は「総人口に占める65歳以上の人口割合」はほとんど同じ。それでいて、「総世帯数に占める3世代世帯割合」は国府が低く、安乗で高いことが明確。つまり、国府地区では、その子や孫の世代と一生に暮らしていない「高齢者のみ」の世帯の割合が高いということ。安乗地区ならば、3世代世帯がよくみられ、高齢者は若い世代と一緒に暮らすことがより一般的なのだろうが、国府地区ではそうなっていない。なるほど「別の家屋に住み、家計も分離する慣行」があることが、数字の上からもはっきり読み取れる。高齢者のみの世帯の割合は国府地区で「高い」ものとなっている。正解は③。

 

 

[34]2020年地理B追試験[第6問問5]

 

(シ)から判定しよう。「筏式」には「一定の水深が必要」とある。図に等深線が描かれているので判定は容易と思う。伊雑ノ浦の水深は浅く、的矢湾には水深の深いところもある。(シ)は「的矢湾」である。

さらに(サ)。海女漁業は的矢湾と外洋に面したところで経営体の数が多くなっている。一方で、深い入り江となっている伊雑ノ浦の周辺にはほとんど経営体がみられない。「外洋側」とみて問題ないだろう。正解は②。

なお、ここでは「岩礁」にも注目して欲しい。岩礁とは浅い海底で、干潮時には海面上、満潮時には海面下となるところであり、海底は岩となっている。いわゆる「磯浜」。これに対比的な言葉に「干潟」がある。こちらも浅い海底で、やはり干潮時には海面上、満潮時には海面下となるところだが、海底が「砂泥」となっている点が異なっている。岩礁が温暖な海域にあった場合。それは「サンゴ礁」である可能性が高い。

岩礁は岩石海岸であるので、波の侵食によって形成される。波の力によって海岸が削られ、岩石がむき出しになるのだ。このような強い波がみられるところはどこだろうか。伊雑ノ浦のような入り江ならば波は静かであり、侵食は進まないだろう。やはり外洋に面した海岸の方が磯浜となりやすいし、岩礁も発達するだろう。

 

 

[35]2020年地理B追試験[第6問問6]

 

地形図問題の一種と考える。図は後回しにして、選択肢の文章から先に読んでみよう。

①は「標高10m以上の地域にある」。これは等高線から判定は容易だろう。津波の高さを考えれば、10m未満の場所が避難場所になることはないんじゃないかな。

②は「幅員3m未満の道路を通る必要がある」。これも数字で判定できる。ちょっと逃げにくい。避難経路としてはこうした道は通らないように気をつけないと。

③には「行き止まりの道路もあり」とある。これは避難経路としては不適当。こうした通行困難な道路を示すこともハザードマップの役割の一つ。

④は「東側の海岸以外からの津波が到達する」。なるほど、他にも海岸線が存在しているのだろうか。津波は「波動」であるので、ぐるっと反対方向に回り込んだ波動が伝わることもある。太平洋側で生じた地震によって、日本海側で津波が観測されることもある。

選択肢①について検討しよう。自治会指定の避難場所は14箇所あるようだ。このうち、北東部の一つとPの西側の一つが標高10mより低いところにあるだけで、他は全て10m以上。「大半」とみてもいいんじゃないかな。とりあえず正文としておこうか。

選択肢②について。図の西部の海に面したところに公民館がある。この地域は東側だけでなく、西側も海に囲まれているのだ。公民館から南東の方向にPがある。公民館から北の道路に出て、東に向かってからすぎに南に曲がる。しばらくまっすぐ行って、避難所(標高10m未満のところにある)の手前を左に折れて、道なりに進むとPに到着する。全て幅員3m以上の道路を通ることになる。幅員3m未満の道路は通行しない。②が誤り。

選択肢③について。図の中央部に郵便局がある。周辺の道路は入り組んでいて、行き止まりのものもある。正文。

選択肢④について。海の部分は図の東と西にみられ、さらに北西部にも水路のような形で海が存在する。津波は海底地震による波動だが、直接波動が沿岸に達することもあれば、大きく回り込んで反対方向の海岸にもその力が及ぶことがある。正文。