2002年度地理A追試験解説
たつじんオリジナル解説[2002年地理A追試験] |
(カテゴリー1;地理A的な問題。単なる用語の意味を問うもの。民族宗教についての難問。意味不明の問題)10・12・17・20・21
(カテゴリー2;地理A的ではあるが、地理B的な解き方もできる。本来なら地理A的な知識問題としてつくられているのだろうが、地理B的な視点もある)9・13・16
(カテゴリー3;地理Bで出題されてもおかしくない。ただしその場合はちょっと妙な問題だなという印象は残る。地理B的な知識問題)1・3・4・11・15・18・19
(カテゴリー4;完全な地理B問題。思考問題になっている)2・5・6・7
第1問 そのまま地理Bの問題にできる。海嶺の位置を問う問題は興味深い。
問1 暖かい海にすむ魚を探す。タラ・ニシン・マスは寒海魚の代表例。暖海魚はカツオのみ。水温が高い海は酸素・プランクトンともに少なく栄養に乏しいが、カツオは広い範囲を回遊することで栄養不足を補っている。
問2 サンゴ礁の島モルディブは最高点の標高がわずか2mであり、近い将来、地球温暖化による海水面上昇によって国土が水没するといわれている。同じような危機に瀕する島は太平洋など他の海域にも多い。
2;オゾンホールは極周辺。とくに南極上空のオゾン層には巨大な穴が空いている。ニュージーランドやオーストラリアでは紫外線を防ぐために日中のサングラス着用は欠かせない。皮膚ガンの危険があるため外出もできるだけ控える。
問3 海溝の位置は必須。太平洋周辺に集中。よってこのインド洋西部に存在するものは海溝ではなく、海嶺である。プレートの広がる境界。
問4 Pはマダガスカル、Qはスリランカ。ともにセンター過去問で問われたことがある。
1;モンスーンアジアに位置するスリランカではもちろん稲作が行われている。マダガスカルもアジア以外では珍しい稲作地域。マレー系の民族が住んでいる。
2;サイクロンはインド洋で発生する熱帯低気圧。南アジアのスリランカはこの被害を受けると思われる。熱帯低気圧は低緯度地域の大陸東岸海域で発生するので、マダガスカルもその発生域に含まれているとみていい。
3;スリランカは旧イギリス領。マダガスカルは旧フランス領。
4;茶の主な輸出国としてはスリランカとケニアが挙げられる。いずれもイギリス植民地時代にプランテーションがひらかれ、紅茶を飲む習慣のある本国輸出用の茶が栽培されたという歴史がある。マダガスカルについてはイギリスとは関係ない国であるし、茶の栽培はとくに行われていないと考えていいのではないか。温暖で多雨な気候や、山がちの地形は茶の栽培に適しているのだが。
問5 7月の気温が高い1と3が北半球。1月の気温が高い2と4が南半球。よって1と3がアーメダバードかマスカット、2と4がアンタナナリボかナイロビ。ナイロビの方が低緯度であるため、季節による気温の変化は少ないだろう。気温年較差の小さい4がナイロビ。やや大きい2がより高緯度側に位置するアンタナナリボ。
ちなみに赤道に近いわりにナイロビの気温は低い(20℃に満たない程度)が、これはこの都市が高原上に位置しているから。ホワイトハイランドとよばれる高原にイギリス人が建設した都市がナイロビ。付近には茶のプランテーション。
問6 OPECの加盟国は必ず知っておかないといけない。2が該当。
インドはヒンドゥー教徒の割合が高いので、インドが外れている1がイスラム教。
東アフリカ地域は世界で最も貧困な地域である。よって4が低所得国となる。
残った3が人口密度の高い国。インドやパキスタンなど人口大国が含まれているのは納得だろう。
第2問 地理A的な問題が並ぶ。第3問ほどは難しくないが。
問1 おもしろい。考えてみよう。
問2 A;00B本第5問を参照してみよう。
B;これは難しいかもしれない。マングローブがヒントになって、低緯度の海岸地域と考えられる。7のフロリダ半島に該当。湿地帯が広がり、ワニがとくに多いそうだ。
問3 ベルギーは多言語国家。北半のフラマン人はオランダ語に類するフラマン語を使用し、南半のワロン人はフランス語に似たワロン語を話す。ともにベルギーの公用語で、とくに首都ブリュッセルはバイリンガル地区となっている。
問2 1;米国とカナダの国境は分かるだろうか。
2;サンベルトとは北緯37°よる南側の地域。
3;五大湖南岸(コーンベルト)から西経100°に沿う大平原(グレートプレーンズ)にかけて広がる草原をプレーリーという。
4;太平洋岸メキシコ国境の州カリフォルニア州と、南東の半島からなるフロリダ州の位置はしばしば聞かれるので必ず知っておこう。
問5 最大のポイントはオリーブ。地中海沿岸地域に生産が集中する作物である。よってXがスペインに該当。タイとロシアについては、暑い気候と寒い気候で考えればいいだろう。ジャガイモがあるYがロシア、ココナッツのZがタイ。
問6 これはわからない。どうでもいいだろう。
第3問 参考にならない難しい問題が多い。特定の地名や時差に関する問題は地理Bでは出題されない。
問1 タイはどの国の植民地にもならなかったのだから、バンコクはイギリスの植民地ではない。
問2 東京は東経135°であり、ロンドンとの時差は9時間。東京が15時ならば、ロンドンの時刻はそれから9時間をマイナスした6時。それに所用時間の12時間を加える。
問3 不要。
問4 1;日本と米国との交流はさかんなのだから、北海道や九州の人々が米国にほとんど行かないとは思えない。彼らは地方の空港から東京や大阪の大規模な空港に移動し、そこで国際便に乗り換えるのだろう。
2;この文章は意味が通じていない。北海道や東北にもビジネスマンはいるのだから。この地域でアセアンへの直行便がないのはビジネス需要とは関係ない。
3;在日韓国人の数は大阪府でとくに多い。韓国との交流は他の地域に比べさかんであるとみていいだろう。
4;中国行きは最少が1で最大が71、ヨーロッパは最少が0で最大が135。
この時点で選択肢1・2・4が誤文となるので、消去法的に3と5が正解となる。
問5 これは難しい。九州から便数が多いXが台湾であるとは思うのだが、オーストラリア・ニュージーランドとハワイの差がわからない。
日本人観光客はおそらくハワイの方が多いとは思うので、全体の便数の多いYがハワイだろうか。
問6 1;EUの加盟国は必ず知っておくこと。スイスは加盟していない。
2;イギリス・デンマーク・ドイツ・オランダ・オーストリアはゲルマン民族の国。フランス・イタリアはラテン民族の国。
3;ヨーロッパで英語を公用語とするのはイギリスとアイルランド。
4;難しい。イギリスとヨーロッパ大陸部には1時間の時差がある。