2008年度地理A本試験解説
2008年度 地理A 本試験 [解説]
<第1問>
問1 地球を球体としてイメージしよう。東京から真西の方向は、インド方面となる。Cが正解。地理A特有の問題であり、地理Bでは不要。
問2 西経123度なので、この地域の標準時子午線は西経120度の経線だろう。東経135度の経線を標準時子午線とする日本は、世界標準時に比べ9時間早い。これを「GMT(世界標準時)+9」という。東京が2月1日8時ならば、世界標準時であるロンドンは、1月31日23時である。
経度差15度で1時間の時差に相当。よって西経120度ならば「GMTー8」である。ロンドンが1月31日23時の時、H地点は1月31日15時である。
問3 緯度と気温年較差は原則として比例。赤道に近いRが正解。
問4 イが海溝。太平洋の外周に沿って海溝が発達している。フィリピン海溝であるj。
問5 200カイリ排他的経済水域。200カイリ漁業専管水域と同じ。200カイリは370km。沿岸から370kmの範囲においては、漁業や資源開発について沿岸国が優先的な権利を有する。
問6 1万分の1の地図は国土基本図。都市内部の建物や道路の状況を表現。1が正解。
問7 海流は、北半球で時計回り、南半球では反時計回り。そもそも回転していない3はカット。南半球が明らかな時計回りになっている2と4も消える。1がそれっぽいでしょ?
問8 カはヨーロッパ的である。ハンガリーが該当。キはニュージーランドの先住民のマオリ。顔に入れ墨をほどこす伝統がある。クはタイ。きらびやかな衣装。
<第2問>
問1 人口移動のセオリーは「1人当たりGNIの低いところから高いところ」だが、これは直接統計を覚えておくべき。「韓国→日本」、「日本→アメリカ合衆国」のベクトルを意識して、以下の4つの指標の統計を頭に入れておく。
・登録外国人数(日本国内の外国人)・・・韓国・朝鮮人が多い。
・日本への入国者数(日本に入ってくる外国人)・・・韓国からが多い。
・海外在留邦人(外国に住んでいる日本人)・・・アメリカ合衆国が多い。
・日本人の出国先(海外に出かける日本人)・・・アメリカ合衆国へ行く人が多い。
これを念頭に入れて本問を考える。韓国は「日本への旅行者数」が最大の3に該当。
なお「日本人旅行者数」が最大の1はアメリカ合衆国。
問2 良い問題ではないなあ。解答は難しくはないが。世界界は2。古い時代の人口移動に関する問題だが、全部「農業」目的と考えていい。
問3 今度は海外に住んでいる日本人の問題。問1とは区別しておく。
ポイントは「留学」。1人当たりGNIの低い国から高い国へと向かうベクトルが最もはっきりしている指標。アジアとアフリカは経済レベルの低い地域であり、留学目的での移動はすくないだろう。留学生が向かうなら、1人当たりGNIの高い北アメリカ。Bが「留学生・研究者・教師」に該当。
「民間企業従業者」については日系企業を考えれば良いだろう。日系企業の進出数は、1位中国、2位アメリカ合衆国、3位タイで、アジアが多い。アジアで割合の高いAが「民間企業関係者」。
残ったCが「政府関係職員」。アフリカで値が大きいが、これはどうでもいい。そもそもアフリカに住んでいる日本人はほとんどいないので。
問4 貿易総額なので、輸出と輸入を考えないといけないが、輸出は1位・アメリカ合衆国、2位・中国、3位・韓国、輸入は1位・中国、2位・アメリカ合衆国、3位・韓国。よって最大の値のPが中国、次点のQが韓国。残ったRがサウジアラビア。原油など輸入は多いが、人口の多い国でもなく、輸出は小さい。
問5 1が正解。地理A特有の問題。3の加盟国なんかボクも知りません(笑)。
問6 1;石炭。国内の産出量は減少している。
2;木材の輸入先は、カナダ、ロシア、アメリカ合衆国、マレーシアなど。北アメリカや東南アジアである。正解。
3;米の輸入は自由化されていない。米については、最低輸入量の受け入れ(ミニマムアクセス)によって国内消費量の5%を輸入するよう義務づけられているが、これには高い関税がかけられている。
4;日本の漁獲量は減少している。70年代のオイルショックや200カイリ漁業専管水域の設定による遠洋漁業の衰退など。現在は水産物の輸入は多く、中国などから輸入。
問7 BSEの問題だね。かつてはアメリカ合衆国からさかんに輸入していたが、アメリカ合衆国産の牛肉から危険部位が発見されたため、輸入が一時凍結されていた。Yがアメリカ合衆国。その後、オーストラリアがわが国最大の牛肉輸入先になっている。Xがオーストラリア。残ったZが中国。中国とタイからの鶏肉の輸入が減少しているが、これ鳥インフルエンザの影響かな。
<第3問>
問1 1;アメリカ合衆国西部は乾燥地域。「上流部での降水」は少ない。
2;五大湖は冬季は凍結する。五大湖南岸の都市シカゴが冷帯気候(札幌と似た気温)であると知っておこう。
3;「銅山」ではなく「炭田」。古期造山帯で石炭が豊富に埋蔵されている。
以上より、4が正解。
問2 3が正解。ミシシッピ川河口の「L」字型の州がルイジアナ州。ルイ国王の名にちなむ。同州の港湾都市ニューオーリンズも、フランスの都市オルレアンにちなんで名付けられた。
問3 ア;「トルティーヤ」はメキシコの料理。トウモロコシを主食としている数少ない国。
イ;「米」で判断していいだろう。ベトナム。魚醤もよく知られている。
ウ;「豚」「ジャガイモ」でドイツ。混合農業の国である。
問4 正解は2。サンベルトが発展したのは「第二次世界大戦後」。
1の文章が古い時代のもの。2と3が新しい時代のもの。4はもっと新しい。再生がみられる「衰退していた工業都市」の例がピッツバーグ。製鉄所の跡地に先端産業を誘致。
問5 1;Sに該当。「牧草地」「乳製品」は酪農のキーワード。アメリカ合衆国の酪農地帯は、五大湖沿岸からニューイングランド地方にかけて。
2;Qに該当。ネブラスカ州(北)からカンザス州(南)にかけてグレーになっている。アメリカ合衆国最大の小麦生産州のカンザス。「降水の少ない大平原」とあるが、この地域は年降水量500mm程度であり、ブレーリーからグレートプレーンズへの大平原が広がっている。
3;Rが該当。アメリカ合衆国の南部は綿花地帯(コットンベルト)。ただし近年は大豆など作付けされる混合農業地域へと変化しつつある。
4;Pに該当。カリフォルニア州は「西経35度・大陸西岸」で、地中海性気候が現れる。夏季乾燥した気候の中、地中海式農業が営まれている。
問6 カはXのサンフランシスコ。港街には坂の街が多いが、サンフランシスコもその例。
キはYのシカゴ。「農畜産物の集散地」である。
クはZのワシントンDC。計画的につくられた政治都市であり、整然とした街路区画を持つ。
問7 4が正解。「3割以上」ではないよね。
問8 3が正解。通信販売はメディアが発達した先進国。
<第4問>
問1 3が正解。図を見ればわかる問題だが、せっかくなので分析を。
合計特殊出生率は、1人の女性が一生涯に生む子どもの数の平均で、この値が「2.1」を下回ると将来的に人口が減少すると言われているが、現在日本やヨーロッパの多くの国で、この値は大きく落ち込んでいる。
原則として人口増加率と比例する指標である。1人当たりGNIと人口増加率は、一部の例外を除き(この例外が大事なんだが。後述)、反比例するので、合計特殊出生率も1人当たりGNIに反比例するといっていい。
この重要な例外の一つが中国。世界最大の人口大国である中国は、1人当たりGNIが極めて低い。しかし、主要民族である漢民族に対し一人っ子政策という産児制限を課しているため、出生率が低く、人口増加率も世界平均を下回っている。合計特殊出生率もそれに呼応して低い。
問2 2が正解。ブラジルは水力発電主の国。ブラジルと同様に国内の発電のほとんど全てを水力発電に依存している国には他にノルウェーがある。
問3 アはCに該当。中国は世界最大の石炭国であるが、そのため人口が集中し、産業が集積しているCの地域では石炭燃焼による硫黄酸化物の発生が顕著で、酸性雨の被害も大きい。
ウはBに該当。「砂漠化」は乾燥地域のキーワード。草原が失われ、植生なしの状態となる。内陸部の乾燥地域に該当。
残ったイはロシアのA。針葉樹林が広がっていると考えられる。
問4 ごめんなさい。。。これ、わかりません(涙)。
問5 ODAの問題は、地理Bで出題された場合にはGNIとの関係で問われることが多いが、地理Aは供与される地域がポイントなる。日本は自国と経済的な関係が強い地域へと主にODAを供与する。カが中国など東アジア、キがイランなど西アジア。クの南アジアとはあまり交流がない。
問6 3が正解だと思う。間違っているポイントがない。
2は「伝統的な農業技術にもとづく」が誤り。緑の革命は、近代的な科学技術を用いての自給作物生産拡大がポイントである。
4は原子力発電に関する取り組みが誤り。スウェーデンではたしかに原子力発電も現時点で行われているが、それが拡大される方向にはない。ヨーロッパではすでに脱原発の動きとなっている。未だに先進国の中で積極的に原子力発電の割合を高めていこうとしているのは日本ぐらいなもの。
<第5問>
問1~6 地理Bと共通。
問7 アは原爆ドームがみられる。「平和記念公園」のAが該当。
ウには橋がいくつかみられる。Bに該当するとみていいだろう。
消去法でイはC。