2026年地理総合、探究[本試験]第5問・解説

2026地理総合探究本試験

第5問 問1 解説

1970年と2020年の人口密度と1人当たり穀物生産量から、アフリカ・北アメリカ・南アメリカ・ヨーロッパを判別します。問うのは南アメリカです。

注:北アメリカ=米+カナダ。ヨーロッパ=旧ソ連を含まない。

正解は④

面積は50年で変わらないので、人口密度の増え方=人口の増え方です。先に密度から切ります。

人口密度で切る

1970年

2020年

増え方

①

97.4

114.3

ほぼ横ばい

②

12.6

20.7

約1.6倍

③

12.4

46.7

約3.8倍

④

10.9

24.2

約2.2倍

③の増え方が突出しています。自然増加がいちばん高いアフリカです(目安は年2%前後)。③=アフリカ。

①はもともと密度が高く、ほとんど増えていません。旧ソ連を除いたヨーロッパは、モンスーンアジアに次ぐ稠密地域です。ロシアの広大な低密度地帯が入らないので、数値は高めに出ます。①=ヨーロッパ。

残りは北米と南米です。人口増加の目安は、

  • アフリカ 約2%
  • 南アジア 約1.5%
  • ラテンアメリカ 約1%
  • 北米・オセアニア 約0.5%
  • 日本・ヨーロッパ 0%前後(減少も)

南米の方が北米より増えます。④(10.9→24.2)が南米、②(12.6→20.7)が北米です。北米は先進国としては増加率が高めですが、ラテンアメリカほどではありません。

1人当たり穀物で確認

この欄は本問では必須ではありませんが、輸出入の感覚とつながります。

1970年

2020年

読み

① ヨーロッパ

0.40

0.57

輸出できる水準

② 北米

0.94

1.32

突出。企業的穀物農業

③ アフリカ

0.17

0.16

人口増に生産が追いつかず輸入

④ 南米

0.28

0.58

伸びが大きく、輸出地域へ

北米は人口密度が低く、トウモロコシ・小麦・大豆を商業的に大規模生産します。1人当たりが1トンを超えるのは輸出そのものです。GDPに占める農業の割合は低いのに輸出は大きい、という先進国型です。

アフリカは農業が経済を支えますが、中心はカカオ・コーヒー・天然ゴム・綿花などの商品作物(モノカルチャー)です。主食の穀物は足りず輸入します。人口は急増しているのに1人当たりは横ばい、というのが③です。

南米は大豆などを伸ばし、0.28→0.58と倍増してヨーロッパ並みの輸出可能な水準になっています。

緑の革命でアジアの穀物が大きく伸びた話は、この4地域にはアジアが入っていないので使いません。

まとめ

地域

決め手

①

ヨーロッパ

高密度・増加わずか(旧ソ連除外)

②

北アメリカ

低密度・1人当たり穀物が突出

③

アフリカ

密度が約4倍。穀物は低いまま

④

南アメリカ

増加はアフリカの次。穀物は倍増

答え ④

残す型は次の2点です。

  1. 密度の変化=人口増加率。面積は変わらない
  2. 1人当たり穀物が高い=輸出、低い+人口急増=輸入(アフリカ)

 


 

第5問 問2 解説

横軸=当該国出身の国外居住者(出て行った人)、縦軸=当該国における外国人居住者(入ってきた人)です。単位は実数(万人)です。割合ではなく実数なので、国の人口規模も効きます。

ア〜ウは UAE・インドネシア・フランス。日本の点が補助です。

正解は②(UAE=ア、インドネシア=ウ、フランス=イ)

先に型を置く

国際移動の基本は1人当たりGNIの差です。

  • 出て行く国=所得の低い発展途上国
  • 入ってくる国=所得の高い国、仕事がある国

加えて、この図は実数なので人口の桁が違います。

  • UAE:数百万人規模の小国
  • フランス:約7,000万人
  • インドネシア:2億人超

カタールなど西アジアの産油国が「砂漠なのに密度が高い」と出るのは、国土が狭いからです。UAEも同じ型です。外国人労働者が国民人口に匹敵する、あるいは上回ることもあります。

点の読み取り

日本は、国外居住者が約100万人、国内の外国人居住者が約300万人です。先進国なので「出て行く人は少なく、入ってくる人は多い」側です。

ウは国外居住者が約500万人、国内の外国人は約50万人です。出て行く方が圧倒的に多い発展途上国型。人口の大きなインドネシアがこれです。出稼ぎ先の一つが湾岸産油国です。インドも原油輸入と出稼ぎで西アジアとつながっています。

残るアとイは、どちらも国内の外国人居住者が約800〜900万人と大きい受け入れ国です。UAEとフランスの判別は「自国民が国外に何人住んでいるか」です。

  • ア:国外居住者は数十万人とごく少ない
  • イ:国外居住者は200〜300万人ある

UAE人そのものの総数が少ないので、国外に住むUAE人も少なくなります。一方フランスはEU域内で人の移動が自由です(シェンゲン、人・物・サービスの自由移動)。ドイツやスペインへ働く・転勤する感覚は、日本で県をまたぐのに近い面があります。自国民の国外居住が相対的に多いのはフランスです。

よってア=UAE、イ=フランス、ウ=インドネシア。

組合せ

UAE

インドネシア

フランス

①

ア

イ

ウ

②

ア

ウ

イ

③

イ

ア

ウ

④

イ

ウ

ア

⑤

ウ

ア

イ

⑥

ウ

イ

ア

答え ②

残す型

  1. 実数の移動図は「人口規模」と「1人当たりGNI」を同時に見る
  2. 湾岸産油国=外国人労働者が国内に非常に多い/自国民の国外居住は少ない
  3. EU=受け入れも送り出しも両方ある(域内移動)
  4. 東南アジアの大国=送り出し超過

日本の点を先に見て「先進国は受け入れ超過」と置くと、ウが途上国だとすぐ決まります。

 

 


 

第5問 問3 解説

自然増加率の推移(A〜C)と人口ピラミッドの変化(カ〜ク)から、メキシコの組合せを選びます。3か国はフィンランド・メキシコ・マリです。

正解は⑤(B+キ)

現在値だけで足ります。1950年は戦後直後で、今と状況が違いすぎます。

自然増加率の目安

年率の目安を先に置きます(テストは2020年止まり)。

  • アフリカ 約2%
  • 南アジア 約1.5%
  • ラテンアメリカ 約1%(世界平均に近い)
  • 北米 約0.5%
  • 日本・ヨーロッパ 0%前後

最新では東アジアも減少に入っていますが、本問の時点では東アジアはまだ0.5%前後です。

グラフの2020年付近を見ると、

  • A 高いまま(3%前後) → マリ(アフリカ)
  • B 下がってきたがまだプラス → メキシコ(ラテンアメリカ)
  • C 0付近〜マイナス → フィンランド(ヨーロッパ)

ラテンアメリカは経済成長で平均寿命が伸び、高齢者割合が上がると出産世代の比重が下がり、出生率も自然に下がります。特別な例外ではなく、人口転換の途中です。

ピラミッドは底辺だけ見る

形の名前(ピラミッド型・つりがね型・つぼ型)は覚えなくて構いません。人間の寿命には上限があるので、見るのは0〜4歳の底辺です。

仮に100歳まで均等なら、5歳階級は男女合わせて約10%が目安です。

2020年の底辺のイメージは次のとおりです。

0〜4歳の幅

読み

カ

狭い(男女各2%前後)

少子・高齢。フィンランド

キ

中くらい(男女各4〜5%)

落ち着いてきたが子どもはまだいる。メキシコ

ク

広い(5歳階級で10%近い)

多産。マリ

カは高齢者の層が厚いヨーロッパ型、クは裾の広いアフリカ型、キがその中間です。メキシコは増加率が下がり、構成も安定に向かっています。

過去の3枚を全部追う必要はありません。2020年の底辺と、増加率の現在値を対応させれば足ります。

組合せ

メキシコ=増加率B+ピラミッドキ → ⑤

A

B

C

カ

①

④

⑦

キ

②

⑤

⑧

ク

③

⑥

⑨

参考対応は、マリ=A+ク、フィンランド=C+カ です。

残す流れ

経済成長 → 医療・栄養の改善 → 平均寿命の延伸 → 高齢者割合の上昇 → 出産世代の比重低下 → 出生率・自然増加率の低下

これが人口転換です。メキシコはその途中、フィンランドは終点、マリはまだ高い段階、と置けます。

 


 

第5問 問4 解説

ニューヨーク都市圏とデトロイト都市圏について、中心都市と周辺地域の職業別就業者割合です。E/Fがどちらの都市圏か、凡例サ/シが「管理的・専門的職業」か「生産・輸送職」かを判別します。

問うのはニューヨーク都市圏と生産・輸送職の組合せです。

正解は②(ニューヨーク=E、生産・輸送職=シ)

手がかりは少なくてよいです。デトロイト=自動車工業、これ一本で足ります。2021年の共通テストでもデトロイトは出ています。

都市の型

  • ニューヨーク:世界都市。金融・文化・国連本部。管理・専門職とサービスが多い
  • デトロイト:自動車工業都市。中心都市そのものが工場都市。近年は衰退の話もありますが、製造業の比重は残る

生産・輸送職は製造業(と物流)です。

グラフの読み

Eは中心都市と周辺の構成がよく似ています。差が小さい都市圏です。

Fは中心と周辺の差が大きいです。とくに一方の凡例(シ)が、中心都市で高く、周辺で低い。もう一方(サ)はその逆で、周辺の方が高い。

デトロイトの中心は工場が集まる市本体です。周辺より生産・輸送の割合が高くなるのが自然です。それがFのシです。

よって

  • F=デトロイト都市圏
  • シ=生産・輸送職
  • サ=管理的・専門的職業(デトロイトでは周辺側に寄る)
  • E=ニューヨーク都市圏(中心も周辺もホワイトカラー寄りで差が小さい)

ニューヨークは中心に本社・専門職が集まりますが、本問の「住民の職業」は通勤先も含むため、圏全体が管理・専門とサービスで均質に近い、と読めます。決め手はあくまで「Fの中心だけシが高い=デトロイトの工場」です。

農林漁業・建設は中心都市で低い、サービスは中心で高い、はどちらでも起きうるので、主判定には使いません。

組合せ

ニューヨーク

生産・輸送職

①

E

サ

②

E

シ

③

F

サ

④

F

シ

答え ②

残す型

  1. デトロイト=中心都市で製造業(生産・輸送)が高い
  2. ニューヨーク=圏全体が管理・専門・サービス寄り
  3. 中心と周辺の差が大きい方が工業都市圏

都市名が出なくても、機能(自動車/世界都市)でグラフの凸を対応させます。

 


 

第5問 問5 解説

都道府県別の3枚の階級区分図(タ・チ・ツ)を、第一次産業就業者割合・平均通勤・通学時間・持ち家住宅割合に対応させます。

正解は③(第一次=チ、通勤・通学時間=タ、持ち家=ツ)

大都市圏(とくに東京)の広がりから先に切ります。

平均通勤・通学時間=タ

都市圏は実質的に通勤圏です。都心(昼間人口が多い)と郊外(夜間人口が多い住宅地)を合わせて一つの圏になります。

東京の場合、23区を都心とみると、圏は県境を超えます。神奈川東部、埼玉南部、千葉西部、茨城のつくば側までが日常の通勤圏です。半径50kmなら電車で1〜2時間は普通です。京阪神なら奈良・滋賀、中京なら愛知周辺も同じです。

地方の県庁所在地は圏が小さく、会社や学校の近くに住めます。島根のように松江と浜田が別圏で、県内を何時間も通う必要がありません。

したがって、三大都市圏の周辺都府県で高くなる図が通勤時間です。それがタです。

第一次産業就業者割合=チ

出荷額の上位は、近郊野菜の千葉・茨城と、畑作・畜産の北海道、宮崎・鹿児島です。ただし「就業者割合」は出荷額そのものではなく、他産業が薄い県でも高く出ます。長野・和歌山・四国が濃くなるのも、製造業が相対的に弱いからです。

北海道は食料自給率が高く、九州南部は畜産が厚い。三大都市圏の都府県は第一次の割合が低い。この分布がチです。

持ち家住宅割合=ツ

大都市圏は地価が高く賃貸・マンションが多いので、持ち家率は低くなります。地方は土地に余裕があり持ち家が高くなりやすいです。

ピンポイントで覚えるなら富山です。1住宅あたり延べ床面積が大きく、持ち家を重視する土地柄としてよく出ます。

北海道は密度が低いのに持ち家が低めに出ることがあります。人口の4割前後が札幌に集まり、札幌の賃貸が道全体の率を下げる、という読みです。必須ではありません。

残ったツが持ち家です。

組合せ

第一次

通勤時間

持ち家

①

タ

チ

ツ

②

タ

ツ

チ

③

チ

タ

ツ

④

チ

ツ

タ

⑤

ツ

タ

チ

⑥

ツ

チ

タ

答え ③

残す型

  1. 都市圏=通勤圏。巨大な圏だけ県境を超えて時間が伸びる
  2. 第一次の「割合」は出荷額1位県と一致しない(他産業の薄さも効く)
  3. 持ち家は大都市で低く、地方で高い。富山は面積・持ち家の定番

都心は昼間人口、郊外は夜間人口、という対もセットで押さえておきます。