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2014.02.28

2014年度京大入試問題に関するコメント

ちょっと時間があったので、二次試験は専門外ですが、京大の問題にザッと目を通してみました。

 

[1]地形図読解

満点を取るべき試験でもないし、全体で7割を取ることを目標とするならば、決して難易度が高い問題が並んでいるわけでもない。しかし、やっぱり論述が手強いなという印象。というか、実は、簡単すぎて逆にしんどい(笑)。海岸沿いの森林の役割は何ですか?と問われ、一言で「防風林」と答えれば十分正解になるのに、それを50字でダラダラ説明しないといけないという苦しさがそこにある。結局、地理の論述って「決まった言い方」をいくつ覚えるかが肝要なんだが、この問題にしても3文字で説明できる言葉について「内陸の集落や耕地を強風や風雪、飛び砂の被害から守るために植えられた防風・防雪・防砂林である」のように長々と決まり文句を連ねないといけない。地理は他の科目ほど高度な知識が問われるわけではないので、知識の習熟よりこうした定型文をいくつ「暗記するか」かが重要なのだな。思考力の求められる「センター」地理との違い。

 

[2]食料需給

なるほど、発展途上国のモノカルチャー経済、フェアトレード、フードマイレージに関するネタが問われており、アップ・トゥ・デートな雰囲気がある。こういった話題はボクは授業でも積極的に取り上げているし、問題提起もしている。興味をもっている生徒がすごく多い分野でもあるし、問題として非常に適切に思う。我々教える立場の人間こそ、より深く勉強していかないとこういったトピックには対応できないよね。がんばりましょう!

 

[3]宗教

宗教は盲点となりやすいジャンルではあるが、文系で時間的に余裕がある受験生ならばそんな弱音は吐いてはいけないね。ここも(というか全部そうなんだけど)論述問題はほとんどが「定型文」なので、ネタをいくつ覚えておくかがポイント。よく言う話なんだけれど、論述問題こそ自由度はなく、暗記するだけだったりする。カシミール問題なんかホントそのまま書かないといけないんだわ。唯一ラストの問題だけがちょっと時事的な内容を含む(フランスの公立学校ではイスラム女子学生のベールの着用を制限した、というトピック)ものだったんだけど、模範解答みたらそれには触れてなかったな。そういう書き方もあるんだろうけれど、ボクならそうした具体例に触れた模範解答を作るかなって感じ。センターでも登場した話題であるし、そんなに無理じゃないと思う。

 

[4]ユーラシア地誌

これも難しくない。もちろんセンターレベルではないけれど、適切な勉強法を行っていれば、十分に解答には辿り着いただろう。地誌分野だけあって、若干地名的な知識も必要にはなってくるんだが、それは私大の過去問で習熟すればいい。ただ一つ、農業に関する論述が問われている部分があって、それをホイットルセー農牧業区分の用語を用いてしっかり説明できたかどうかが、本問の分水嶺なんじゃないかな。こちらはセンターでも必須のネタ。

 

以上、極めてオーソドックスで非常に優れた問題が並んでいると思う。ベーシックな部分はセンター対策の勉強(これは授業でとればいい)。地誌に関する部分は私大の過去問で学習(これは自分で勉強できるでしょう)。そして論述については定型文を片っ端から覚えていく(これは講師が一年かけて添削してあげたらいい)。さすが、京大。簡単だからこその、素晴らしい試験問題。

 

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