2019年地理B本試験[第6問]解説

2019年地理B本試験第6問                                     

 

毎回恒例地域調査の大問。今回は宮崎県がテーマになっているね。宮崎県は初登場。近年はいずれの年度もこの地域調査の大問は易化が進み、全問正解が十分に狙える。とくに以前は難問もみられた地形図問題だが、最近のものは特別な知識も必要ではなく、非常に解きやすいものばかり。ぜひとも得点源にして欲しい大問である。

唯一の心配は時間との戦いになるところか。第1問から順番に解いている人ならば、この第6問に来るまでにそれなりの時間を費やしてしまい。残された時間が極めて少ない!なんていう状況にも。時間的余裕=メンタルの余裕をもちたい受験生ならば、この第6問を先に片付けてしまうという戦法は十分に使える。

 

<2019年地理B本試験第6問問1>

 

[インプレッション]地理の先生には鉄道好きが多いようですが(僕は違いますよ・笑)、意外にセンターでは鉄道ネタの問題ってほとんどないんですよね。私大や国公立二次では結構あるんですが。その貴重な例外的な問題が本問です。ちょっと面白いんじゃない?

 

[解法]「問題文が長い場合はそこにヒントがある」が鉄則。本問もそれに倣っているね。「1969年当時は東海道新幹線しかなくて」ということは、逆にいえば、その時点ですでに東海道新幹線は開通しており、関東と近畿は短時間での移動が可能だったということ。さらに「大阪から宮崎までは鉄道で長い時間がかかった」ってすでに言ってしまってるもんね(笑)。ヒントというか、直接的な答えみたいなものでしょ。これは。

では、表を参照しよう。まずアから。1969年の段階でかなり所要時間が短くなっている。ただし、2016年にかけての短縮化はさほど進んでいない。1969年の段階で新幹線が整備されている「水戸市」へのルートがこれに該当するだろう。大阪から東京まで新幹線で移動し、そこから在来線に乗り換える。水戸に直接達する新幹線はないので、現在の所要時間はイには劣っている。

そのイだが、こちらは短縮化が著しい。現在は3都市中、最短の時間で大阪から到着することができる。山陽新幹線(新大阪〜博多)と九州新幹線(博多〜鹿児島中央)が、1969年から2019年の間に開通し、これを利用しての移動が考えられる。「佐賀市」に該当。佐賀市には現時点では直接新幹線は乗り入れていないが、九州新幹線自体は佐賀県内も通過しており(新鳥栖駅がある)、在来線を利用した佐賀市へのアクセスは悪くないはずだ。イとウを比較し、時間の短いイが佐賀市。

残ったウが宮崎市である。1969年の「13時間28分」とう時間からも「大阪から宮崎までは鉄道で長い時間がかかったよ」というセリフに説得力がある。九州新幹線は福岡〜佐賀〜熊本〜鹿児島の西九州を縦断し、東日本の宮崎市はその沿線から離れている。鹿児島中央まで新幹線で行き、そこから在来線に乗り換えるルートになるのではないか、というか、そもそも鉄道は利用せず、空路が中心になるだろう、空港も市街地から近い、正解は①となる、

 

[難易度]★

 

[最重要リンク]鉄道の開通前後の比較というトピックは、2012年地理B追試験第5問問2で登場。図を読解すれば解答にたどり着く考察問題で、難易度は低かった。交通手段ごとの所用時間に関する問題は、ちょっと古いが2003年地理B追試験第5問問1。新潟市内から佐渡島までの、フェリー、超高速船、飛行機による所要時間や運賃、便数など。こちらも考察問題であり、解答は困難ではない。

 

[今後の学習]鉄道ネタではあるけれど、鉄道に関する知識はもちろん必要ではなく、文章からヒントを導き解答するパターン。時間をかければ(というか、時間もさほどかからないか・笑)絶対に解ける問題。

 

<2019年地理B本試験第6問問2>

 

[インプレッション]地域調査ではこうした観光ネタが取り上げられることが多い。定番問題ですね。また、問題文も長く、グラフも複数使われているので、その中に多くの手がかりが隠されているはず。丁寧に解こう。

 

[解法]この手の考察問題は、問題文やグラフをしっかりと解読し、その中からヒントを読みとることが最大のポイントになるはずなんだが。。。本問はそのパターンではありませんでしたね、もっと簡単(笑)。基礎的な知識によって解くことができる。

もちろん答えは③だね。「冬季」の季節風の風向は「南東」ではない。日本を含む東アジア全域はこの時期「西高東低」の気圧配置となる。寒冷なシベリアでは大気が収縮し高気圧が発生、相対的に太平洋海上の気圧は低くなる。大陸からの北西風が卓越し、日本海側では豪雪、太平洋側では乾いた風が吹き下ろす。」南東」から季節風が吹くのは夏だね。

他の選択肢についてはとくに疑問はないと思う。①と②は図から読み取ることができる。④についても、6月は九州から本州の梅雨の時期と一致しており、これも問題ないだろう(沖縄や南西諸島なら5月、北海道なら梅雨はない)。

 

[難易度]★★

 

[最重要問題リンク]季節ごとの観光客数の変化をテーマとした問題が、2015年地理B本試験第5問問6で問われている。こちらは図をそのまま読み取る問題。だからこそめんどくさいとも言えるんだけどね(苦笑)

 

[今後の学習]一見すると考察問題っぽいんだが、実はちょっとした知識を使う問題だった。とはいっても難解な知識ではなく、日本の気候の特徴を理論的に理解しておけばもはや常識というネタ。季節風の風向は科学的な話題でもあり、理系諸君には解きやすかったんじゃないかな。

それにしても2月に県外からの観光客が増えるのが何故なんかなと思ったら、プロ野球のキャンプ地があるんだね。極端なデータやなぁ、おもしろいや。こういう「気づき」があるのが地域調査の興味深い点ですね。

 

<2019年地理B本試験第6問問3>

 

[インプレッション]地形図と写真を組み合わせた出題形式は珍しく、新傾向といえるかもしれない。しかし、問題そのものは写真の内容から判断するというより、シンプルな文章正誤となっており、むしろオーソドックスなのかな。地形図も海岸付近を描いているが、これもよくみられるもの。従来の考え方を応用すれば十分に解答できる予感がするが。

 

[解法]地形図問題。写真が使われているが、そちらの判定は不要のようだ、あくまで地形図メインで解いていけばいい。文章からキーワードを拾っていく。

まず①から。「切土や盛り土」とある。Aのゴルフ場はなるほどほぼ平坦な地形の上に乗っているようだ。ゴルフ場の範囲には等高線はほとんどみられない。しかし、その周囲はどうだろうか?等高線が幾重にも走行し、高度差のある丘陵状の地形であることがわかる。

こういった地形環境において、ゴルフ場のある場所のみがもともと平坦だった可能性はあるか?かつて丘陵だった場所で、ある部分は土地を削って(切土)、ある部分は土をかぶせて(盛り土)、人工的に平坦な土地を造成したのではないか。①は納得。これは正しい。

さらにB。ここでは「黒潮」という言葉がある。おっと、これは地形図からは判定できないね。写真からももちろん判定できず、知識に頼らないといけない。でもこれは中学レベル(いや、小学校レベル?)の知識ではあるよね。日本列島の太平洋岸を暖流である日本海流が北上(正確には九州から本州の形状に沿っているので、南西から北東へ向かって、というところだろうか)している。宮崎県はその影響が現れる典型的な地域であり、なるほど、この流れに沿って南洋から種子が運ばれることもあるだろう。「ヤシの実」という歌では「名も知らぬ遠き島より流れ寄るヤシの実ひとつ」なんていう歌詞もある。これも正しいでしょう。

さらに③。ここでは「高潮」というキーワード。高潮の反対語には津波という言葉があるのだが、それとの対比で考えてみたらいいんじゃないかな。津波は入り込んだ入江の奥でこそ、とくに高い波となり大きな被害をもたらす。なるほど、Cの場所はなめらかな海岸線であり(ただ、砂浜ではなく、岩石海岸すなわち磯浜なので「なめらか」とはちょっと言えないかも知れないが、とりあえず入江でないことは事実)、津波被害は考えにくいかな。それではやっぱり高潮なんだろうか。しかし、ここで気になるのが標高。海岸線と撮影地点との間に等高線が3本ほどみられ、この地点の標高は60メートル(5万分の1地形図であることは問題文で述べられている。5万分の1地形図における等高線の間隔は20m)である。果たしてそんな高所にまで被害を及ぼす高潮があるだろうか。高潮とは「低気圧による海面上昇」である。激しい上昇気流や、周囲から吹き込む風の影響によって海水面が「少しだけ」持ち上げられる。ただ、この「少しだけ」というのが曲者で、バングラデシュのような低地、イタリア・ベネチアのような砂州上の都市においては致命的な被害となる。逃げ場所がなく、周囲一帯が浸水し、なかなか水も引かない。単なる洪水とは違った規模の大きな災害に発展する可能性がある。数メートルの海面上昇をなめてはいけない。

これをふまえて考えると、Cの地点に高潮の被害が生じるかどうかということなのである。標高60メートル。この高度まで海水面が上昇し、道路が冠水することがありえるか。津波であっても、ここまで高い波となるのは稀であろう。というか、細くて険しい谷でこそ津波は奥まで(高くまで)這い上ってくるのだから、こうした滑らかな海岸線でそれはありえないだろう。

一応写真を確認しても、この道路は高台のようなところを走っており、海面ははるか左手の斜面の下である。③を誤りとしていいのでは。この道路が多雨の季節に通行止めになるとすれば、それは土砂崩れなど山地斜面特有の災害によるものだと思う。

残った④についてはどうか。D付近では海岸は全て「護岸」されているが(海岸に沿って、小さな半円が連続して描かれているのがわかるだろうか。これは「塀」すなわち「垂直の壁」であり、コンクリートによって護岸工事がなされている様子を表している)、浅海部には「隠顕岩」の記号がみられる。これは波の高低によって海面上に現れたり消えたりする岩のことで、岩石海岸にはよく見られるもの。この地域も護岸工事がなされる前は岩石海岸(磯浜)だったのだろう。

また、この隠顕岩については「岩礁」の範囲とイコールと考えて欲しい。岩礁とは、干潟の岩石ヴァージョンで(干潟は砂地)、干潮時は海岸線が後退し、隠顕岩の部分まで海面上となるが、満潮時には海岸線まで海面下となってしまう。磯での海釣りを経験したことのある人ならわかるだろう。干潮時に陸地だった部分が満潮時には海となってしまう。調子に乗って磯の先端の方で海釣りをしていて、気づくと満潮になって、岸に帰れないみたいなこともあるんじゃない?笑

いずれにせよ、この海岸はもともと岩石海岸であり、浅い海底も岩石(磯)となっているわけだね。こうした岩石地形が形成される要因は「波の侵食」。波が海底や沿岸の岩石(本文では「砂岩」と「泥岩」とあるが、岩であることに間違いないよね)を削って、このような地形になったはず。これがもし砂浜だったら、同じ波の作用であっても、土砂の「運搬」と「堆積」作用によるもの。砂州や沿岸州などがそうした作用によってつくられたもの。

「隠顕岩=岩礁(磯浜)=波の侵食」と考えて妥当と思う。これも正文。

本問は、土地の高低差や起伏を読み取ることが重要であり、センター特有の地形図問題であった。地図記号が問われてないことにも注目。学校や寺院などの地図記号はセンターでは重要ではない。その一方で、岩と砂の判定が重要だったりするのだから、本当、センターって変わった試験だと思うな。

 

[難易度]★★★

 

[最重要問題リンク]災害と高度を結びつける問題って実は最近よく出題れている。共通テストの試行問題が手に入る人はぜひ参照して欲しいんだが(大学入試センターのサイトからダウンロードできるとは思うよ)、2018年試行問題第5問問4が面白い。市街地の中に組み上げられた縁台のような防災施設。高所に逃げることが必要である災害に対する備えではあるんだが、具体的にどんな災害に対応するものだろう。

また、津波と高潮の違いに注目した問題も多い。ちょっと昔の問題で入手しにくいかもしれないので、問題をそのまま抜粋しておく。

 

(2004年地理B本試験第5問問7)

カオルさんたちは、松本盆地周辺に多数の活断層が分布していることを知った。活断層について述べた文として下線部が誤っているものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

 

① 活断層の活動は、地震を起こすとともに、地層だけでなく地表面も変形させることが多いので、地形によって活断層の位置がわかる可能性がある

② 活断層の活動によって地震が発生した場合、内陸の湖でも高潮が発生する可能性がある

③ 活断層は、将来地震を起こすおそれがあり、活断層の近くでは、地震時の強い振動によって、建築物に大きな被害が出る可能性がある

④ 古い史料の記述から、活断層の活動によって、いつ地震が発生したかを推定できる可能性がある

 

「地震=津波、低気圧=高潮」というセオリーを使った問題になっているね。

 

[今後の学習]これ、結構難しかったんじゃないかな。高潮に関する正確な理解が必要になる。単に高潮と津波を反対語として捉えて判定するだけの問題ではない。

高潮とは「低気圧による海面上昇」のことであり、数メートル程度海水面が持ち上がることで、低地に浸水被害をもたらす。そうした被害を具体的にイメージできれば、Cのような高所で高潮被害が生じるわけがないと分かる。

また、今回は隠顕岩の存在から、現在御願されている部分がもともと岩石海岸であることを読み取ることができたが、岩石海岸がそのまま登場している地形図として。2010年地理B本試験第1問問6があるので、参照してみよう。沿岸は岩石海岸である。そしてこの地形は「侵食」によって形成された。

逆に「堆積」によって形成された地形が登場しているのは2017年地理B本試験第1問問6。ベネチアの市街地は土砂が堆積した地形の上に乗る。こちらの問題で登場している「砂州」は「沿岸流で運ばれた品や泥」が堆積したもの。沿岸流は、海岸線に並行して生じる海水の流れ(波が海岸線に垂直の方向に生じる海水の動きであるのと対照的)。またこちらの図では「三角州」も登場しているが、これは河川の囲んだ土砂(砂泥)が河口付近の浅い海底に堆積したもの。さらに「干潟」も描かれている。こうした三角州や砂州が見られる地域では海底も砂地となり、沿岸の浅い海底は干潟となる。干潮時は海面上、満潮時は海面下である砂地(泥地)の部分。

岩と土砂の違いはセンターで極めてよく問われるので注意しよう。

 

さらにおまけ。Dの写真って実に面白い。これ、青島海岸の「鬼の洗濯板」ってやつだよね。なるほど、地形図ではこのように隠顕岩の記号で表されるのか、納得だな。この写真のように岩石がはっきり見えているのは干潮時の光景だと思う。満潮になったら全面が海になってしまうわけだな。面白いもんだ。

 

<2019年地理B本試験第6問問4>

 

[インプレッション]そもそも図が見にくいんやなぁ。まぁ、図の読み取りが難しい分、問題そのものは簡単であることを期待します。考察問題のようでもあるし、難易度は低そうだな。

 

[解法]新課程ではGISが大きく取り上げられるようで、こういったコンピュータを用いた図は今度も多く出題されるとは思う。本来カラーで示された図を、試験用に白黒に修正しているだけに、ちょっと見にくい図ではあるけれど、慣れていかないといけないかな

まず①から。「市街地」というのがどこかはっきりしないが、市役所(二重円)もみられるし、1976年時点で建物用地になっているエリアを市街地とみていいと思う。なるほど、その周囲の広い範囲に農地がみられる。これらが現在はどうなっているだろう。2014年には多くの農地が建物用地に変化しており、とくに大淀川の南岸や河口付近でその傾向は顕著。①は正文でしょう。

さらに②。これも問題ないんじゃないかな。1976年の図で「日向灘」と書かれている沿岸だよね。かつては単純な海岸線(自然の地形だったと思われる)が、現在は掘削および埋め立てがなされ、さらに沖合に防波堤のような人工物が伸びている。「港湾」とみていいんじゃないかな。北から船舶が入港し、海岸と埋立地の間の岸壁に着く。南東からの風(夏の季節風)を防ぐ工夫もなされている。

③について。かつて空港の周辺は農地や「その他」が多かった。現在は「建物用地」が増えている。正文だね。

そして④。ここでは「森林」が話題とされている。ひときわ濃い色で塗られているので図中でも目立っている。1974年では沿岸部(北東部)と内陸部(南西部)にそれぞれ大きな森林分布地域がみられる。2014年では内陸部の森林は大きく面積が減少しているものの、沿岸部はさほど変化がない。この選択肢あ誤りで、正解となる。海岸沿いの森林は防風林(防砂林)として人工的に植えられたものだろうか。現在でもほぼ昔のままの姿を保っている。その一方で、内陸部の森林は一部が伐採され、住宅地(建物用地)などに転用されている。

 

[難易度]★

 

[最重要問題リンク]ちょっと昔の問題だが、面白いので入手可能ならばぜひ参照して欲しい。2005年地理B本試験第5問問6である。

本問と同じようにGISによって土地利用の変化を示した図が使われており、そしてやはり本問と同じようにやや見にくい図である(センター試験もカラー印刷にするべきだと思うよ)。

「農地」が減少している様子はしっかり読み取るべきであるし、幹線道路沿いに商業施設がつくられていることも図から判定する。常識の範囲の知識で解答は十分に可能なのだが、とにかく見にくい図をいかに読み取るかという点に努力を要する。農地が減っているとは言っても、そう極端に減っているわけでもない(それは本問の宮崎市周辺についても同じことが言えるけどね)。

 

[今後の学習]典型的な考察問題。非常に興味深い点が2つ。

こうした考察問題においては、選択肢④が答えであることが多く、本問もそれに倣っている。選択肢を①から読んでいって、最後に答えにたどり着くというパターン。①は正文、②も正文、あれ、③も正しいぞ、では答えは④なんちゃうか?って読み進めていくと、やっぱり④が違っていた(つまり解答)という結論にたどり着く。これ、この手の問題には極めて多かったりするので覚えておくといいよ。でも、だからといって選択肢④から逆に読み進めていくというやり方はおすすめしないな。もし解答が①から③の間にあった時に対応しにくくなるし、また選択肢自体が①から順に読み進めていくことによってこそ理解しやすいように作ってあることが普通。時間がかかってもいいから、確実に文章を読み込んで解答を導こう。

さらに、これは文章正誤問題全体に言えることだが、「比較の構造」が含まれている文は誤文となりやすい。本問ならば真っ先に選択肢④の「内陸部より海岸部」という比較だね。比べるべき対象がはっきり示されているにだから、考えやすい。森林の伐採が進んでいるのは、内陸部かのか、海岸部なのか。常にこういった比較の構造に注意して問題を解く習慣をつけておこう。

 

<2019年地理B本試験第6問問5>

 

[インプレッション]このタイプの問題は過去にも佐賀県や北海道十勝地方をテーマにしたものが出題されていたが、いずれも難問だったんだよね(涙)。本問は簡単だといいのですが。。。

米については低地、シイタケについては山地、野菜については価格が高い、ということで考えていけば大丈夫かと思います。

 

[解法]市町村ごとの農産物の生産の問題。このパターンの問題はこれまでにも多く出題されてきた。今回は産出額すなわち収益性がポイントになっているようだ。

選択肢を検討していこう。「乾燥シイタケの産出量」とある。シイの木に菌種をつけシイタケを栽培する。乾燥シイタケ自体は加工品ではあるが、シイタケの栽培値付近で加工されると思っていいんじゃないかな。山間部が中心だと思う。

さらに「キュウリ」の作付面積」。なるほど、宮崎県は野菜の促成栽培で名高い地域。ビニルハウスで促成栽培した野菜を都市へと出荷する。主に高速道路を用いトラックで輸送。キュウリやトマト、ピーマンなど小さくで価格の高い輸送に適した野菜すなわち園芸野菜が中心。このような農業を「輸送園芸農業」ともいうね。園芸農業の一種だが、その特徴は「土地生産性が極めて高い」こと。狭い土地でも高い収益を上げることができる。米など穀物に比べれば野菜の価格って高いからね。燃料を使って栽培し、遠方まで輸送しても採算は取れる。「耕地面積当たり農業産出額」と関係が深いことがわかるんじゃないかな。

そして「早場米の作付面積」。早場米とはあるが、単に「米」と考えていいよね。水田が開かれるのは低湿地。シイタケの産地と対照的にこちらは平野部で栽培されるはず。

以上のことを頭に入れて図を見ていこう(このように、いきなり図を見るのではなく、まず選択肢を読み込んでおおよその傾向を捉えてから考えた方がいいよ)。

図1を参照。宮崎県の中でもとくに山深い地域は北西部。標高が高くなっているのがわかる。なるほど、キはこの地域に生産が集中している。これが「乾燥シイタケ〜」とみていいんじゃないか。

カとクは似ている。ここは「〜農業産出額」と対応させよう。「〜農業産出額」において「高位」である5つの市町村はいずれも野菜栽培が中心なのではないか。ん?でも、この5つの自治体こそカとクではほとんど差がないぞ。最も西側の市町村ではカとクのいずれでも円が付けられていない。ここはよほど耕地が狭く、それゆえに「耕地面積当たり〜」の値が高くなっているだけなのかも。

では、ここでカとクを直接比較してみよう。なるほど、海岸沿いに目を移し、北から3つめの市町村に注目すると、カでは5%ほどの大きさの円がみられるが、クでは極小の円。同じく最南端の市町村でもカの値が大きい(10%に近い)のに対し、クでの値は小さい。この両地域が「〜農業産出額」では「低位」になっている点に注目。おそらく収益性の低い作物の栽培が中心であり、耕地当たりの収入が低くなっているのだ。米と野菜、さて果たして収益性が高いのはどちらか、要するに、より高く販売されるものってどれだ?稲作の方が農業機械(田植え機や稲刈り機など)を導入しやすく、省力化が計りやすいということもヒントになるね。その点、野菜はまだまだ手作業に頼らないといけない部分も多い。

さらに言えば、野菜を栽培するビニルハウスが必要とする面積に比べ、水田の面積はかなり広い。野菜栽培が「集約的」(土地生産性が高い)ならば、稲作は「粗放的」(土地生産性が低い)とも言える。

以上のことを総合して考えれば、収益性は間違いなく「野菜>米」であり、「〜農業産出額」が低い市町村で広く栽培されているカこそ米であると考えられる。消去法でクが野菜。正解は④。

 

[難易度]★★★

 

[最重要リンク]同じパターンの問題がよく問われている。地域調査ネタとしては極めて一般的といえるね。

いくつか同タイプの問題を挙げてみよう。

2011年地理B本試験第6問問5。佐賀県内の大麦、水稲、ミカンの生産に関する問題。山地と平地という地形の違いだけではなく、生産量自体にも注目する必要があった。難問。

2015年地理B本試験第6問問4。北海道十勝地方の米、ジャガイモ、乳牛それぞれの農家の戸数を示した図について考察する問題。やや曖昧な選択肢もあり、簡単ではない。

2017年地理B追試験第6問問4。茨城県北部の稲、雑穀、肉牛の農家の戸数。これは難しい!農家の戸数そのものに注目すれば何とか解けるのかも知れないが。

それからちょっと面白いので、2014年地理B追試験第2第2問問3も参照してみよう。

「農業産出額当たりのエネルギー使用量」が高い県に宮崎県が含まれている。このエネルギーについては「農業施設に使用される光熱費など」と問題文中に注釈が付されている。ビニルハウスでの野菜の促成栽培にはエネルギーがかかるのだ。でも、それだけのコストを費やしても採算が取れるのだから、やはり野菜は収益性が高い作物といえるね。

 

[今後の学習]これまでの同パターンの問題に比べ、解答に達する明確な根拠があるので、(容易とは言わないが)解いていて面白い問題だったと思う。推理小説のような雰囲気と言ったら言い過ぎか。シイタケが山間部で米が低湿地であるという自然条件のみでなく、米が安く野菜が高いという経済的な概念も含んだ問題であり、その点も実にセンターらしい。最南端の市町村の農業が盛んでありながら収益性が低いことが最大のポイントだったんだが、そこが見つけられるかどうかってことだね。

 

<2019年地理B本試験第6問問6>

 

[インプレッション]口蹄疫という特殊な話題が取り上げられているが、逆にこうしたパターンは問題そのものは簡単だったりする。本問もそうなんじゃないかな。会話文の空欄2カ所を埋める問題でややこしい韻書だけど、よく考えたらそれぞれの空欄の選択肢は2つずつしかないし、普通の4択の問題より簡単だと思うよ。

 

[解法]図と写真、さらには長い会話文と、問題のいたるところにヒントが隠されているような感じがするね。では詳しくみていこう。

話題は口蹄疫による畜産被害。特殊な話題であるだけに、かえって知識は不要に思う。

まず(サ)から。「感染して広がる」とある。農場同士がより近接していた方が感染しやすいのは間違いないだろう。(サ)は「高い」でいいと思う。

そして(シ)だが、こちらは「国道以外の場所」の消毒ポイントを探せばいい。どこがあるだろう?北部はみな国道に沿っている。南部に国道から離れた場所にも消毒ポイントが見受けられる。そもそも南部の方が国道が少ないわけだが。南部の口蹄疫確認月は主に「6月」。なぜ確認月が遅い方が国道以外の場所にも消毒ポイントが多いのかよくわからないが、図から読み取れる真実はこれである。

よって②が正解。

 

[難易度]★

 

[最重要問題リンク]資料が与えらえ、会話文中の二つの空欄について、それぞれ二つずつの選択肢が与えられているというパターン。2014年地理B第6問問6がほぼ同じパターン(問題番号も同じだ!)。資料を活用し、一つの結論を導くという、地域調査本来のあり方が問題の主眼となっている。ラスト問題であるので、第1問から順番に解く受験生ならば時間との戦いになってしまい、ちょっと焦るかも?でも簡単だから確実に得点しよう。

 

[今後の学習]僕自身全く口蹄疫に関する知識がないので、本問を解く際にも素直に図や文章を参考にするしかなかったのだが、それが適切な解法だったんじゃないかな。テーマが難しい問題だからこそ、ヒントはその中にある。考察問題の代表例であるし、とくに本問の難易度は低かったと思う。ラストの問題でもあるし、制限時間が迫っていて焦る気持ちもあるかもしれないが、それでも落ち着いて、正確に図や文章を読み取るメンタルの強さが必要だね。

 

(すいません、、、)

 

難易度★としておいて自分が間違っているですから世話ないですよね(涙)めっちゃケアレスでした。。。こんなん見たらわかるやん。答え、①やん。国道から離れた内陸部にも消毒ポイントがあるのって斜線で示された「4月」の範囲ですよね。都農町の。

一方、点々で示された「6月」は、たしかに南部などに国道から外れた消毒ポイントもありますが、全体的には国道沿いが多い。アァ、本当にしょうもないミスでした。早い段階でみつかったところこそ消毒ポイントの密度が高く、後から広がった地域については国道を押さえてけば大丈夫って感じなんでしょうね。

やっぱ地域調査の大問は簡単だけど時間をかけてしっかり考えないといけない問題が多い。雑に舐めてかかるとたつじん先生ですら(?)ミスるってことだよね。皆さんは他山の石としてくださいませませ。重ねて。申し訳ありませんでした。反省です。

 

 

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