2015年度地理B本試験[第6問]問5 解説

問5 [インプレッション] 前半の植生については簡単な知識があれば十分。それより後半の自給率の計算がちょっとややこしい気がするが、どんなもんなんだろう。

[解法] 「混合林」が出題された例は2009年にある(*)。でも、それは意識しなくていいと思う。ここでは小学校の理科の知識がそのまま登場。樹木は寒冷な方から温暖な方にかけて「針葉樹→落葉広葉樹→常緑広葉樹」の順に変化する。本問ではすでに「針葉樹」というワードは登場しているので、それがヒントになる。いきなり針葉樹から常緑広葉樹に飛んだらおかしいよね。針葉樹から落葉広葉樹に次第に移り変わっていく様子を考えばいい。両者が混在しているのだ。サは「落葉広葉樹」。
さらに、ここからは計算。自給率とは、国内消費量に対する国内生産量の割合のこと。例えば、100トンの小麦を消費するとして、しかし国内生産が10万トンだけだったら国内自給率は10%になってしまう。残りの90%分は輸入に頼っているわけだ。
これを本問に当てはめてみよう。2002年の自給率は「16920÷89195」で表される。同じく2012年は「20318÷70769」で算出される。
両者を計算してみよう。 「16920÷89195=0.1896」で、2002年の自給率は19.0%となる。また「20318÷70769=0.2871」で、2012年の自給率は29%。なるほど、国内自給率は上昇してる。シは「上昇」が入る。
もっとも、国内消費量が減っているのに国内生産量が増加しているのだから、計算するまでもなく自給率は上昇していることがわかるんだけどね。いちおう完璧を期すために計算してみました。「木材の自給率なんて低下してるに決まってるやん」なんて誤った先入観で解いてしまった生徒は間違える。数字が表されているのだから、ちゃんと計算しましょう。算数、大事だね。
(*)第1問問6。よかったら参照してみよう。ヨーロッパ中央部の植生について「落葉広葉樹と針葉樹が混じり合った森林」であることが問われる。これはもちろん「混合林」。関東地方以北の東日本でみられる植生。

[アフターアクション] 第5問問2もそうなんだけど、単純に計算によって答えを求める問題がいくつか出題されている。地理の問題としてはどうかと思うけれど、センター地理の問題としてはふさわしいのだ。センター地理の基本は、数に対するセンスだからね。
ところで、木材の自給率が上昇していることを疑問に思ったキミ、これについてはさほど深く考える必要はないよ。小麦もそうだったりするんだけど、意外に国内自給率が上昇している品目は多い。農畜産物や水産物、そして木材にしても、日本の自給率が低下しつづけているってことはなかったりする。