[地理総合・探究]2025年/本試験<第4問>解説
たつじんオリジナル解説[地理総合・探究]2025年/本試験 |
<[地理総合・探究]2025年/本試験・第4問問1解説>
[ファーストインプレッション]ずいぶん普通の問題だなという印象。共通テストになっても従来のセンター試験の形式を引き継いでいる問題はかなり多い。ただ、今回はいよいよ「震災後の原発」がテーマとされた点に驚かされる。震災も歴史の一部となったということだろうか。同時代の当事者は社会的事象についてその時点で判断はできないのだが、それが過去のものとなり、歴史的な事物になってこそより客観的な見方ができるようになる。震災とその影響は、現代の(さらに未来の)我々の社会にどのような影響を及ぼすのだろうか。
[解法]「エネルギー源の多様化」だが内容的には「発電量」の問題だね。厳密には「エネルギー」と「発電」は異なるので注意。前者には自動車のガソリンや鉄鋼業のための石炭燃焼なども含まれる。
候補となる国は三つ。日本、中国、ドイツ。発電方式は火力、原子力、水力、新エネルギー。そして指標は2010年から2019年までの発電量の増加率。これらをみて、キミは何を思うか。問題の意図はどこにあるのだろう。出題者はどういった目的をもってこの問題を作り、そして君たちに課しているのだろう。
たとえば中国はもちろんポイント。発電量は経済規模(GNI)に比例するのだから、発電量の増加率は経済成長(GNIの伸び率)に比例する。経済成長の著しい中国こそ、表中の値は高くなるはずだ。
でも、カンのいいみんなならばもっと違う箇所に気づいたよね。そう、2010年代以降の日本の原子力発電である。2011年日本列島は東北地方太平洋沖地震による東日本大震災に見舞われた。これに伴うフクシマの原発事故を契機として日本では原子力利用に対する慎重論があらわれ、多くの原発は稼働を停止させた。現在は一部の原発では稼働再開しているものの、2010年までの規模に比すればごくわずかなものだ。本問が「2010年」、「日本」、「原発」を扱っている以上、日本においてほぼ原子力発電がみられなくなったことが最大のテーマとされていることは間違いない。表中の「原子力」の値が「-79」と大きく低下しているイが日本とみていいのではないだろうか。
2010年までは国内総発電量の3割程度を占めていた原子力発電だが、ほぼその全てが失われた。「-79」という数値はつまりおおよそ「8割減」ということだ。原子力発電所が再稼働が極めて困難になっている現在日本において、この「8割減」という数字は十分に考えられるものではないか。
原子力発電が壊滅した状況の一方で、足りない電力を補うため火力発電所がフル稼働することになる。天然ガスを中心としたエネルギー資源の輸入が増えたことで、それまで黒字を常に維持してきた日本の貿易も一時的に赤字となってしまった。火力発電の値がブーストされている(9%の増加)点も日本の電力供給の事情と一致しているのではないか。
ちなみに日本は実は再生可能エネルギーによる発電については世界基準からするとかなり遅れた段階になる。私たちの生活レベルでは太陽光や風力が広く普及しているように見えるかもしれないが、それは全くの誤りで、日本は再生可能エネルギー発電の後進国なのである。もちろん再生可能エネルギーの利用については是非が問われるものであり、みんなの中にも反対派はいるだろう。しかし世界基準でいえばもはや再生可能エネルギーは「当たり前」のものであり、今さらのその利用の是非が問われるレベルのものではない。世界は明らかに再生可能エネルギーによる発電へとシフトしている。それを知らないのは我々日本人だけなのだ。
残ったアとウについては判定は容易だろう。はじめにも言ったように発電量の伸びは経済成長と比例する。大きく値を伸ばしているアが中国である。全ての発電方式が大きく伸びているが、とくに目覚ましいのは再生可能エネルギーだろうか。現在中国は世界最大の太陽光発電量、風力発電量を誇っている。なお火山国ではないので地熱の利用は見られない。水力については世界最大規模のサンシャダム(長江)が本格稼働したことが大きい。水力発電量も世界最大。
ウがドイツである。ここではとくに火力の減少に注目して欲しい。先進国では脱工業および脱炭素が進み、とくに石炭の使用は抑えられつつある。ドイツでも工業生産は落ち(鉄鋼や自動車の世界での生産順位は急落している)、火力発電量も減っている。それでもGNIは増え、1人当たりGNIは高くなっているのだから、先進国において工業生産やエネルギー消費が経済成長とは関係なくなりつつあるのがわかる(中国となど発展途上国とは対照的)。
[アフターアクション]みんなの中には「再生可能エネルギーには反対。原発を推進するべきだ」と考える人も多いと思う。もちろん現状での国の政策としては原発は推進されているし、再生可能エネルギーに否定的な政党が支持を高めている背景もあるので、それは尊重すべき意見ではある。ただ、地理という科目の姿勢としてはやはり「原発は懐疑的」なものであるし「再生可能エネルギーは推進されるべき」ものである。世界基準で考えれば原発はすでに先進国においては放棄されるべきという見方が主流であり、そもそも地震の多い火山国である(しかも2011年には事故を起こしてしまった)日本では不利な電源方式である。原発については「ネガティブ」な存在とみなされている。その一方で再生可能エネルギーについては現時点ですでに世界の主要電源方式であるとすら考えられている。日本でもかなり再生可能エネルギーの利用が進んでいるとみんなは思っているかもしれないけれど、世界基準でみればまだまだ少ない。フィンランドやアイスランドのような小国、中国やインドのような発展途上国の方が再生可能エネルギーの利用には積極的であるのだ。日本ではとくに太陽光発電(メガソーラー)にはネガキャンが張られている側面もあるが、もはや世界はその是非を問うレベルではない。太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの利用が「当たり前」の段階にあるのだ。いつまでも「原発推進、再生可能エネルギーの否定」なんて言っていてはダメだと思うんですけどね。どんなもんなんでしょう。
<[地理総合・探究]2025年/本試験・第4問問2解説>
[ファーストインプレッション]
うわっ、ウェーバーの工業立地論ですか。なんとなく難しそうだなぁ。でもそもそも地理でそんなに難しい内容は問われないし、この理論についても自分のわかる範囲で考えていけば十分だと思います。工業とはいえ要するに「金儲け」なので、経済原則に沿って考えれば問題の意味も見えてくるでしょう。
[解法]ウェーバーの工業立地論などと大袈裟に述べているけれど、こういった資料が多く与えられている場合、資料をそのまま読むことによって正解に達するケースが多い。今回の問題もとくに大丈夫なんじゃないかな。
何が問われているのか考えてみよう。登場しているのは「醤油製造」、「石油精製」、「ワイン製造」。ちょっとわかりにくいかな。「工業立地論」とあるので、それぞれの工業がどういった場所に立地するのかまず考えてみよう。
イメージしやすいのはワイン製造なんじゃないかな。日本でも山梨や長野などブドウ産地において地場産業としてワインの醸造が行われているように思える。工業立地でいえば「原料地指向型」だろうか。原料が得られるところで成り立つ工業。食品工業の中にはこのように原料地指向型となるものがある。果汁を絞ることによって得られる飲料であったり(愛媛のポンジュースなんか有名だよね)、水産物が得られる地域の缶詰工業など。
さらに石油精製はどうかな。これは原油の産出地域でこそ成り立ちそうな工業だが、日本においては石油化学コンビナートが臨海部の港湾に接して設けられていることからも想像できる。原油は比較的輸送しやすい品目であるので、日本のような輸入に依存する国においては輸入に適した臨海部に立地する。臨海立地である。原料産地からも消費地(大都市)からも比較的離れている。
残った醤油製造は何だろうか。これは全く見当がつかない。ただ、石油精製が「原料産地でもなく市場でもない」工業であり、ワイン製造が「原料地指向」型工業であることを考えると、醤油製造は「市場(都市)指向型」の工業になるのではないか。このパターンにはビール工業があるね。原料(大麦)と製品(ビール)を比べた場合、ビールの方が重い(輸送コストが高い)。よって原料産地から大麦を輸送し、都市においてビールに加工する「市場立地型」工業となるわけだ。どうだろう?醤油もこれに近いんじゃないかな。
醤油に関する文章を読んでみよう。「大豆を煮て小麦を混ぜ、食塩と水を加えて発酵させる」とある。原料は「大豆と小麦、食塩」である。解説文にあるように「水」はどこでも得られる。農村であろうと、都市部であろうと。醤油は生活必需品ともいえる身近な食品である。大都市でこそ消費量が多い。つまり人口の多き都市でこそよく売れるのである。原料と製品(醤油)との重量を比べてみれば。水が入る分だけ製品の方が重い。つまり輸送コストが大きい。農業地域(あるいは外国)から大豆と小麦、食塩を都市部まで運んで、そこで醤油に加工した方が輸送の手間は軽減されるのではないか。原料のままで運んで、都市部で醤油にする。つまり「市場指向型」工業が成り立っているのだ。
これを(1)から(3)の文章に当てはめる。(3)に「消費地の近くに立地する方が有利である」とある。これを「醤油製造」とみていいのではないか。「原料指数が1よりかなり小さい場合」とあるが、これについても検討してみよう。原料指数は「特定の産地でのみ産出される原料の重量」を「製品の重量」で割ったものである。前者が分子、後者が分母。醤油の重量に対し、「特定の産地でのみ産出される原料の重量」の割合が小さい。つまり「どこでも得られる原料の重量」が大きいということ。この「どこでも得られる原料の重量」というのは醤油の場合、水のことなんじゃないかな。大豆や小麦、食塩が軽いのに対し、水は重い。ただし水はどこでも得られるので、どうせならば醤油がよく売れる大都市の近くで作ったほうが輸送コストが節約できる。醤油は市場指向型工業となり、Cが該当する。
ではその逆の「原料地指向型」はどうだろう?これについてはワイン製造が該当するのではないかと仮定してみる。(1)に注目しよう。「原料産地の近くに立地する方が有利」とある。原料地指向型工業である。この典型的な例としてしばしば取り上げられるものに「セメント工業」や「パルプ工業」がある。セメントの原料は石灰石であるが、これは製品であるセメントより重く、かさばる。輸送コストは「原料>製品」であり、原料産地で加工してから市場である都市へと輸送した方がいい。原料地指向型工業である。木材を原料とするパルプも同様。こちらも重量は「木材>パルプ」であり、木材産地の近くで先にパルプに加工してから運んだ方がいい。
ここまでは「重量」という言葉を用いているが、要するに「運びにくさ(運びやすさ)」である。木材の場合は枝や葉が付いており、さらに幹の中でもパルプの原料としては使いにくいような木の皮など余分なものが多くついているよね。少なくともこれらを全部取り除いてしまってからの方が輸送しやすい。「重量」という言葉の中には、実際の「重さ」だけではなく「体積」や「余分なものの存在」も含まれている。
これを考慮するとブドウとワインの関係がわかりやすいんじゃないかな。もちろんブドウからワインがつくられるのだが、正確には「ブドウの果肉」の部分だよね。樹木から実を採取した際の枝や茎の部分、あるいは皮、さらには種は当然不要。これらを取り除いて果肉(ワインの種類によっては皮を使うこともあるが)の部分だけを樽に入れ発酵させることでワインが醸造される。
こうして考えるとセメントとパルプ、ワインって共通項が多いと思わないかな?
(1)については「原料指数が1よりかなり大きい」とある。製品としてのワインの重量より、茎や皮、種まで含まれた「特定の産地でのみ産出される原料」であるブドウ本体の重量の方が大きいんじゃないかな。つまりこの指数については1を上回ることになる。(1)のAを「ワイン製造」としてみよう。
ではその反対を考えよう。つまり(3)だね。「原料指数が1よりかなり小さい」とある。先ほどのセメント・パルプ工業と反対なのだから、こちらはビール工業かな。原料は輸送しやすいのに対し、製品は輸送しにくい。ビールについて言うならば、原料である大麦やホップは軽くて運びやすい(輸送コストが小さい)のに対し、製品であるビールは水の重量の分だけ重くなるし運びにくい(輸送コストが大きい)。原料を第消費地である都市にまで運んでから加工した方がコスト安で済む。
これと同じものとして醤油製造を考えよう。原料は大豆と小麦。「水を加えて」とあるが、水はどこでも得られるものである(なおこれを「普遍原料」と呼ぶ)。大豆と小麦を東京の近くまで運んで醤油に加工する。その場で東京の人々に売ってしまえばいいよね。「消費地の近くに立地する方が有利である」工業として醤油製造がある。( C )は「醤油製造」に該当する。
残った石油精製については( B )でいいんじゃないかな。(2)の文章を確認。原料指数が1の場合、原料と製品の重量(輸送コスト)がほぼ同じ。原料産地で加工してから輸送しても、原料の状態で輸送して市場で加工しても変わらない。例えば日本では石油化学コンビナートは臨海部にあるよね。これは原料の原油くを輸入に適しているということだ。輸入に適した港湾に接してその加工施設がある。原料産地である西アジアではなく、市場(大消費地・都市)に近い日本国内でガソリンや重油などの石油製品がつくられている。これに対し、近年はサウジアラビアでも石油化学工業が発達し、プラスチックの世界的な生産国となっている(生産量世界第3位。日本より上位)。サウジアラビアで製造されたプラスチックはヨーロッパなど大市場へと送られている。サウジアラビアで原油が産出されているということはこのパターンは原料地指向型。原料の原油と製品の石油製品とで輸送コストが変化しないので、原料産地から消費地までのどの地点に工場が立地しても大丈夫ってことだね。
[アフターアクション]工業立地の問題って共通テスト以降とても良く出題されているよね。やはり理論に立脚するジャンルであり、完成度の高い思考問題をつくりやすいんだろうね。これに類する問題として2012地理B第1日程第2問問3・問4あたり研究しておいてくださいね。
<[地理総合・探究]2025年/本試験・第4問問3解説>
[ファーストインプレッション]おっ、この問題か!これ、今回最も印象に残った問題。最初に見た時は「なんてシンプルな問題なのだ」と思ったのだけれど、実際に解いてみてその深さに気付いた。これ、めっちゃ難しいぞ。問題を解く際には「知識」と「知性」が必要になります。知識は学校の勉強で得られるものであり、普通はこれさえあればテストは乗り切れると思うよね。でも実はそうじゃないのだ。少なくとも地理という科目においては。地理は「生活」の科目でもあります。生活の中で得られた様々な体験を自らの「知性」に結びつける。決して机の前に座って得られた知識だけが地理の理解度を上げるのではない。日常の生活を充実して送っている人こそが高い知性を得るのであって、それが地理の深い学びに昇華されるのです。本問はまさにそういった問題としてベストの存在です、
[解法」「卸売業販売額」に関する問題。卸売業とは流通・物流の拠点となる地域で発達し、その販売額については「3大都市」で値が大きくなる。全国の卸売業販売額の総計に対し「東京・40%、大阪・20%、名古屋10%」が集中するイメージ。国内の全ての商品のうち4割が東京で取引され、2割が大阪、1割が名古屋。とくにこの場合、「都市圏」ではなく「都市(都心部)」である点にも注意。卸売業を扱う業者(例えば商社など)は都心部にオフィスを構えることが多く、流通業による収益は都心部に位置する都市(東京・大阪・名古屋)に計上される。商品を留め置く倉庫や流通基地は(面積に余裕がある)郊外に置かれることもあるが、あくまで「額」は都心部に集中するのだ。
さらに卸売業販売額にはもう一つの法則がある。それは「地方中枢都市」で発達するというセオリーだ。地方中枢都市はいわば「地方の首都」であり、流通・物流の拠点の一つとなる。北海道なら札幌、東北地方なら仙台、中国地方ならば広島、九州地方ならば福岡がこれに当たる。東京から運ばれてきた商品が仙台を経由し東北地方の各地に送られるイメージ。人間の体に喩えれば、心臓である東京から仙台まで大動脈がつながり、そこからさらに毛細血管によって東北地方全体に血液がくまなく流れていく。これら4つの都市(およびそれを含む県)では人口当たりの卸売業販売額が高くなる。なお、その一方で郊外に該当する神奈川や千葉では卸売業は発達しにくい。経済機能が都心部(東京)に集まっているため、企業活動がそもそも活発ではないのだ。卸売業販売額は昼夜間人口比率に比例しているとも言える。三大都市(都心部)や地方中枢都市で高く、郊外では低い値となる。
このことを踏まえて卸売業販売額がどれに該当するか考えてみよう。例えば北海道に注目してみる。札幌を含む北海道は北日本の中心として卸売業が発達しているはずだ。北海道の値が大きいクこそが卸売業販売額になるんじゃないか。なるほど、九州では福岡の値も大きくなっている。
ただ、ここでちょっと気になるのだが、卸売業販売額についてはたしかに地方中枢都市で高い値になるはずなのだが、それ以上に三大都市こそ流通業の中心となることを考えないといけない。つまり東京都、愛知県、大阪府の値が極めて大きいことをイメージする。
さてそう考えるとどうなんだろう?クはたしかに北海道や福岡など「地方中枢都市」の機能を有する都道府県で値が大きい。しかしだからといってこれを卸売業販売額と考えるのは早計だろう。卸売業販売額については「地方中枢都市」より「三大都市」での値が大きいことこそ最大の特徴であるはずだ。
そうなるとはっきりと特徴が現れているものがあるね。もちろんそれはキ。北海道や福岡の値は大きくないけれど、三大都市のキャラクターを有する東京都、愛知県、大阪府で圧倒的な量を占めている。これこそ卸売業販売額の条件を満たしているのではないか。
ここでちょっと考えて欲しいのだが、今回取り扱われている商品は「繊維・衣服」だよね。低価格の労働集約型工業による製品であり、国内では繊維工業や衣類縫製業は衰退している。衣服のほとんどは輸入に依存している。海外から船舶によって輸送されており、その行き着く先は大消費地である東京圏(東京港)、名古屋圏(名古屋港)、大阪圏(大阪港)なんじゃないか。生活物資を輸入する大きな港湾を有し、衣服が多く輸入されている。国内にそれらが流通する際にはこれら3つの都市(都府県)が流通の中心となる。巨大な3つの「心臓」から日本国中に張り巡らされた「毛細血管」によって衣服という血液が全身に送られるのだ。キを「卸売業販売額」としよう。
なお、卸売業販売額についてはもう一つポイントがあって、それは「郊外では発達しない:ということ。郊外には物流センターとなる倉庫などの施設が高速道路のインターチェンジ付近に設けられており流通業自体は盛んなのかもしれないが、お金を取り扱う企業の機能は都心部に集中しているため「販売額」は例えば東京圏ならば東京都のみに集中する。郊外である神奈川県や千葉県、埼玉県ではその値は極めて小さくなる。郊外の商店は都心部にある卸売業者から証印を仕入れている、というイメージを持っておくといいね。
ではさらに「小売業販売額」について。一般に小売業販売額は人口に比例する。一人一人がお店に行ってお財布を開いて(最近はスマホ決済もありますが)商品を買うことをイメージする。1人が年間に購入する商品の金額にはさほど差はないはずだ。もちろん富裕層と貧困層とで使うお金は違うんだろうが、平均値や中央値を考えてみればどの地域もさほどの差はないはず。多少の物価の違いはあってもそれが極端な差に結びつくことはないだろう。人口規模が大きいところで値が大きいところが小売業販売額で、おおよそ人口と比例していることを考える。都道府県別の人口ランキングは、1位東京都、2位神奈川見、3位大阪府、4位愛知県であり、これに千葉県や埼玉県、兵庫県など大都市圏の周辺の県が続き、さらに北海道や福岡県など地方中枢都市を有する道県の人口規模も大きい。これについてはクが該当するとみていいだろう。クについては先ほど北海道の値が大きいことを指摘したが、北海道で人口が大きいことを考えれば「人口=小売業」の法則とも整合性がある。
残ったカが「製造品出荷額」だろう。そもそも日本では衣服工業はほとんどないので、全体の金額も小さいはず。その中でもアパレル産業が集まる愛知県や岐阜県、伝統的な繊維産地である石川県や京都府(加賀友禅や西陣織など)、ジーンズで有名な岡山県、タオルが名産の愛媛県などで値が大きくなっているね。おっと、これらの日本地理の情報は必須というわけではないから、知らなかったとしても心配しないでね。知らなくても本問は十分に解ける。日本地理の知識は中学までの学習で身につけるもの。地理で必要とされる知識は中学レベルまでなのだ。
(*)これ以外に明確な地方中枢都市というわけではないがかつてセンター試験では「金沢」や「高松」も登場したことがある。金沢は北陸三県の中で最も規模が大きく地方中枢都市的な機能が集中。高松は四国の中では松山に次ぐ人口第2位の都市だが、岡山を介して本州と連結しており物流や流通の中心となりやすい。これら2つの都市では卸売業が発達(人口当たりの卸売業販売額が周辺地域より大きい)。
[アフターアクション]実はこれ、間違えかけた(苦笑)。解法でも説明しているようにまず北海道に注目しちゃったんですよね。「北海道の値が大きいのが卸売業販売額だ!」と決めつけてしまって。でも、いざ答えを出そうとしたらちょっとおかしい。東京・愛知・大阪が極端に大きいのって何だろう?あ、こっちが卸売じゃないかって、その時初めて気づいた。
ではなぜ卸売業販売額なのにキでは北海道はなぜ小さいんだろう?という疑問が生じたわけだが、これについては上記のように衣服が基本的には輸入が多い品目であり、大消費地である三大都市圏の港に最初に持ち込まれるからじゃないかっていう予測を立てた。これは「知識」ではなく、普段の生活の中で得られた「知性」による思考だよね。教科書から得られる情報だけではなく、そこに自分の生活体験も交えて知性を磨く。そうした過程があってこそ初めて、本問を解くことができるのだ。
<[地理総合・探究]2025年/本試験・第4問問4解説>
[ファーストインプレッション]コロナ禍の時代に観光に関する問題とは大胆な!コロナ禍の影響が大きく統計に現れてしまい、まともなデータにならないんじゃないか。それとも逆にコロナ禍であることを利用して考える問題なのか。いずれにせよ観光に関する問題ってかなり珍しい。観光そのものより「人口移動」の観点から解く問題なのかも知れない。
[解法]観光業に関する問題は珍しい。とはいえ、近年はインバウンド需要により日本でも観光業が国を支える財源として重要性を増しているのだから、今後はより注目される出題ジャンルになるのかも知れない。
テーマは国際観光収支。収入はいわゆるインパウンド。たとえば海外の観光客が日本にやってきて「お金を落とす」こと。支出は例えば日本人による海外旅行。日本では1980年代から大きく海外旅行者が増えたけれど、最近はどうなんだろうね。ポイントになるのは支出の方で、その国の「規模」を考慮して欲しい。最もわかりやすいのは人口であり、例えば人口が少ない国ならば「自国からの海外旅行者数」も少ないのだから、人口に比例する傾向は明らか。さらに言えば、たくさんお金があればその分だけお金を使う余裕があるのだから、個人あるいは国全体の経済力にも注視して欲しい。個人ならば1人当たりGNI、国全体ならばGNI。こういった指標の存在も考慮しながら解き進めて行こう。
選択肢は日本、スペイン、タイ、ドイツ。人口は「日本>ドイツ>タイ>スペイン」の順。1人当たりGNIはドイツや日本、スペインで高く、タイで低い。GNIも想像できると思うが「日本>ドイツ>スペイン>タイ」の順。タイが例外的な立ち位置であることはわかるね。
そうなると支出はどうだろうか。人口もさほど大きくなく、さらに言えば経済力が小さいので、例えば外国に旅行に行ったとしても1人当たりが使う金額ってあまり大きくならないんじゃないか(1人当たりGNI=賃金水準であることを忘れないで)。そうなると支出の値が格段に低い3がタイになるんじゃないかな。
さらに支出に注目。2だげが飛び抜けて多い。これはどういうことか?たしかに人口とGNIは日本が最大だけれども、次点のドイツとさほど差があるわけでもない(人口は日本が1.2億、ドイツが8千万人。GNIは日本が世界第3位、ドイツが第4位)。なぜ2で支出が極めて大きくなるのか。支出が高くなる要因を他に考えないといけない。支出が多いということはその分だけ外国への旅行者が多いということ(とくに日本とドイツは1人当たりGNIがあまり変わらないので、1人当たりが使う金額もさほど差はないはず。両国を比べた場合、単純に外国旅行者数が多い方が支出も多いと考えていいだろう)。
ポイントは日本とドイツにおいて、どちらがより「外国への旅行がしやすい」国であるかということ。ここでピンと来た人が多いんじゃないかな。日本は島国であり、外国への旅行へは航空機を使わないといけない(船舶も考えられるが少数派でしょう)。そもそも外国への旅行を「海外」旅行というわけで、海の超えての移動だからハードルは高い。
それに対しドイツはどうだろう。多くの国との国境や山や川であり、陸続きである。日本に比べれば外国への移動へのハードルが低い。さらにいえばEUを中心としたヨーロッパにおいては国境におけるパスポート提示が省略されている。「ヒト」の移動がモノやサービス、資本と同様に自由となっているのだ。ハイウェイをドライブしていて、気がついたら国境を超えていたなんてこともあるだろうし、物価の安い隣の国まで日用品を買いに出かけることもあるだろう。日本に比べれば外国への旅行者は多いと考えられ、その分だけ支出も多くなるのではないだろうか。②をドイツとし、これが正解。
なるほど、そうすると1と4とで支出の値があまり変わらないのも納得。本来なら人口もGNIも大きい日本がスペインを支出額で圧倒するように思えるのだが、ドイツ同様にスペインもEUの一員である。「外国への旅行」がより身近なものであり、国境を越えての買い物も一般的に行われている。スペインの支出の値が国の規模に比して大きい(日本と同じレベル)であるのは彼がEU域内にあるからだ。
[アフターアクション]以上のように支出だけで解けてしまう(というか、支出だけで解くのが適切)のだが、今後の参考にもなりそうなので収入にも注目しておこうか。
ここで注目するべきはもちろんスペインであり、そしてヨーロッパにおける観光行動の特徴。ヨーロッパの観光の季節は「夏」。涼しい高緯度地域から温暖な低緯度地域への移動。地中海沿岸のリゾート地へとバカンス客が訪れる。家族での長期滞在がヨーロッパの観光スタイル。夏でに気温が低い北部ヨーロッパからの流出がメインだが、人口の多いドイツをぜひチェックしておこう。涼しいドイツを去り、長期休暇によってスペインやフランス、イタリアの地中海沿岸地域で夏を過ごす。ドイツの支出が多いことに対応し、スペインの収入が多くなっているね。ドイツ人がこれらの収入をもたらしているのだ。
<[地理総合・探究]2025年/本試験・第4問問5解説>
[ファーストインプレッション]これ、おもしろい問題だね。「ファブレス企業」は新課程になって大きく取り上げられるようになった新しい概念。組み立てなどの生産を外注し、自企業は研究と開発に特化する。いわゆる「頭を使う」産業であり、先進国の新しいモデルと言える。そもそも経済レベルが高く、賃金水準も高いことが先進国である大前提なのだから、機械組み立てなどの単純労働に依存する業種はコスト的に不利益になる。日本もとっとと自動車工業を外国に出してしまったらいい。国内から工場が海外移転すると「産業の空洞化」と嘆いてとにかく悲観的になってしまうけれど、それはむしろ「いいこと」なのだということを我々日本人は認識しないといけない。いつまでも「手」をつかう工業ではいけないのだ。より付加価値の高い、「頭」を使う産業へと進化しないといけない。台湾ではすでにファブレス企業が主流となっている。海峡を挟んだ中国へと生産の拠点を移動させている。
[解法]ファブレス企業は現代の重要キーワード。「ファブ」つまり生産施設が無い(レス)なのだ。「サプライチェーン」とは部品の供給体制のこと。スマートフォンを製造する際にさまざまな部品が必要となるのだが、それらをいかに供給し、そして組み立て工場へと運ぶのか、そして完成した製品を市場へと運ぶことも当然大切。そもそも工業というのは「作って終わり」ではないからね。それを計画し研究し設計し部品を用意し製品を組み立てそれを売る。多くの人や企業、そして国が関わっている巨大な「プロジェクト」なのだ。
そういったことを考えながらこちらの図を眺めてみて欲しいのだが、それは後回しにして先に問題を解いてしまおうか。文章を読んで、下線部のうちからちょっと怪しいところをピックアップする。もちろん対比的な表現や反対語を持つ言葉に注目する。それをひっくり返すことで誤り選択肢になるよね。文章を読むだけで答えを類推できるような感覚を身につけて欲しい。
選択肢1から。「多大な設備投資を必要とする製造部門を切り離している」とある。これこそまさにファブレス企業が「ファブ(生産施設)レス(廃止)」たる所以。E社本体から「発注」の矢印が出ているね。矢印の先は「部品製造」や「組立」。つまりE社は研究開発のみを行い、完成品の組み立てどころか部品製造の段階でもすでに他社へと生産を投げ出している。これほどまでに割り切って研究開発に特化しようとするメーカー側の考え方に注目して欲しいのだ。もう「手」は使わなくていい。「頭」だけで勝負し、全ての生産は外注してしまえばいい。1は正文だろう。
選択肢2。「商品開発やマーケティングに業務を特化し」とある。商品開発やマーケティングは「頭」を使う産業。どちらかといえば第三次産業にカテゴライズされると思う。収益性の低い第二次産業(製造部門)を切りして、収益性の高い第三次産業にシフトする。こういった大胆な方向転換こそ経済成長のためには必要なんだと思う。これも正文だね。
選択肢3。今度はファブレス企業とは反対に部品製造や組立など生産部門を請け負う企業に関する話。w~zまでの企業(っていうか図では「工場」と書かれているね)はおそらくE社以外からもこういった生産の委託を受けているんじゃないかな。w~zの工場がE社以外の、さらに言えば複数のいろいろな国の企業から、生産委託をされていたとしてもおかしいことではない。これも正文でしょう。なお、こういった生産に特化した企業(工業)をEMSという。Electronics Manufacturing Servicesの略で、電子機器の製造を専門に請け負う企業のこと。
最後に選択肢4について。「部品製造の工場と製品の消費地が近接する」傾向にあるとのこと。図を参照しよう。部品製造の企業は上述のw~zの工場。これは「製造」の枠内にあり、これは「外部の企業への製造委託」である。とくに安価な労働力が得られることを考えると、中国のような低賃金の国に位置するのではないか。それに対しこちらの図では「販売」の枠線も設けられている。販売を担当する企業(E社の直営店も含まれている)が商品を市場に流通させる。こういった販売企業は消費地となる地域(巨大なマーケットを有する国や大都市)に立地しているのではないか。製造部門が「安価な労働力が得られる(1人当たりGNIが低い)」国・地域に位置する優位性を持つのに対し、こういった販売部門は「巨大な市場を有する(GNIが大きい)」国・地域に位置する優位性を持つ。両者の立地条件が違うのだから、むしろ「遠隔」となる可能性もあるのではないか。必ずしも「近接」することにメリットがあるわけではない。この選択肢が誤りであり、正解となる。
[アフターアクション]ファブレス企業は日本では一般的ではないかもしれない。しかし、世界ではこれがむしろ主流の傾向にあるのだ。いつまでも工場を所有することもデメリットを、日本のような経済レベルの高い国(つまり賃金水準の高い国)は考えないといけない。最近、日常のニュースの中でも「生産性」という言葉が幅を効かせるようになった。一般に第二次産業より第三次産業の方が生産性が高い。先進国では第二次産業から第三次産業への産業構造への転換が進んでいる。日本においても製造部門(つまり第二次産業)を切り捨て、研究開発に特化(つまり第三次産業)するべきフェイズに入っていると言えるだろう。いつまでも「自動車工業がお家芸」ではダメっていうこと。
ファブレス企業とEMS企業の組合せが典型的にみられる国・地域として「台湾・中国」がある。経済レベルの高い台湾の企業が研究開発およびマーケティングを専門的に行い(つまりファブレス企業である)、海峡を接したアモイ(中国沿海部の都市。経済特区である)のEMS企業に生産を受託する。アモイで生産された製品はそこから世界中へと「メイド・イン・チャイナ」として輸出されている。中国はたしかに世界最大の工業国だが、研究開発も含めれば100%完全に中国製というわけでもない(みんなが使っているApple製品も「メイド・イン・チャイナ」ではあるのだが「デザインド・バイ・カリフォルニア」なわけだね。
繰り返すけれど世界で一般的な「ファブレス+EMS」ではあるけれど、日本では全く広まっていない。もちろん工場を全て海外に移すとなれば国内での産業の空洞化や失業問題が生じてしまうのだが、それを必然的な「痛み」として乗り越えていかなければ日本の国際的な立ち位置の向上はない。それとも世界との交流をシャットアウトして、あくまで国内に工場をとどまらせようというのか。今さらながら「鎖国」をしてしまうのも一つの手ではあるのだが。。。
<[地理総合・探究]2025年/本試験・第4問問6解説>
[ファーストインプレッション]さらに工業、そして国際分業。この辺りが最近の問題のトレンドなんだろうね。ジャンル分けとしては形式的には「貿易」なのかも知れないけれど、内容的には完全に工業だよね。「中間財」や「最終財」という言葉が初登場でちょっと面食らう。これらの言葉の意味を正しく噛み砕いていけば回答は難しくないと思う。登場している国も日本と中国とアメリカ合衆国なので、国ごとのキャラクター付けは容易なんじゃないかな。
[解法]貿易に関する問題とされているが、工業の問題と思って解こう。キーワードは「中間財」と「最終財」。これらの言葉の意味を考えないといけない。
表には「貿易収支」が示されている。定義は表の下に。「(輸出額-輸入額)÷(輸出額+輸入額)×100」とある。数式から考えることも大事だけれども、さらに「正の値は貿易黒字、負の値は貿易赤字を示す:という文言が大きな手がかりになる。例えばアメリカ合衆国は世界最大の貿易赤字の国であり、この数式の分子(輸出額-輸入額)はマイナスになる。「輸出額+輸入額」はどの国も正の数なので、アメリカ合衆国におけるこの数式の値はマイナスである。日本は長く貿易黒字だったが、東日本大震災を契機に天然ガスなどの輸入が増え(原子力発電がほぼ無くなる。火力発電メインに)一時的に貿易赤字に。現在も輸出額と輸入額の値は拮抗している。この数式の値はゼロに近いのではないか。それに対し中国は輸出が好調で、大幅な貿易黒字を計上している。こちらの数式についても大きなプラスとなっているはずである。これらのような見当をつけてその先を考えてみよう。
選択肢となっている工業製品は「家庭用電気機械」と「輸送機械」。輸送機械はもちろん自動車だね。家庭用電気機械がテレビや洗濯機、冷蔵庫のような類と思えば、価格的には「家庭用電気機械<自動車」であることがわかる。徹底的に低賃金国で組み立てられる必要があるのは家庭用電気機械の方。自動車は比較的労働賃金コストが高い国でもつくられる傾向がある。生産統計で考えてみればいずれも中国が世界最大の生産国であるのは当然だが、それでも自動車についてはアメリカ合衆国や日本の順位も比較的高い(自動車生産台数は第1位中国、第2位アメリカ合衆国、第3位日本、第4位インドの順)。
「中間財」と「最終財」のイメージも持ちやすいのではないか。最終財はもちろん製品。完成品としてのテレビや冷蔵庫、そして自動車。そう考えれば中間財の意味もわかりやすいね。これは部品と考えていいと思う。部品の中には精密機械も含まれるだろうし、高い技術力や研究開発を要するものもあるはず。一方で、こうした部品(中間財)から製品(最終財)をつくるために必要なのは単純労働力。単なる「組み立て」である。
これらを踏まえて表を解析していこう。最もわかりやすいのは「アメリカ合衆国=赤字」ということではないかな。最終財に注目してみるとシではJもKもマイナス(赤字)となっている(一般機械については今回は無視してしまいましょう)。シをアメリカ合衆国と判定するのは容易。アメリカ合衆国は世界最大の自動車輸入国でもあったりする。電気機械も同様に輸入が多いのだろう。メキシコに工場が進出し、低賃金の労働力によって組み立てている。
これによりサが中国となる。ちょっとおもしろい傾向があるね。先ほど中国については世界最大の貿易黒字国とは言ったけれど、ここではJについては値がマイナスになっておりこの品目は輸入していることがわかる。これ、何だろう?中国は「世界の工場」として圧倒的な工業生産力を誇っているのだが、同時に「世界の市場」としてマーケットとしての購買力も大きい。GNIの成長とともに国内市場も巨大化したのだ。中国向けの商品の生産も世界規模で拡大している。
ここで注目するべきは日本である。Jについては中間財も最終財も輸出国となっている(値がプラスとなっている。つまり輸出額の方が大きい)。Kはいずれもマイナスとなっているのとは対照的である。これ、どういった意味なんだろう?みんなはもう分かったよね。電気機械と自動車、果たして日本において輸出産業として重要なのはどちらなのだろう?
これについては十分に推測できるんじゃないかな。日本の主産業として自動車工業がある。世界第3位の自動車生産台数を誇ると同時に輸出産業としても極めて重要で、自動車輸出台数は世界有数。日本の最終材の値はJがプラス(つまり輸出が多い)でKがマイナス(輸入が多い)。国内の多くの電化製品がメイド・イン・チャイナであり輸入品が一般的であるのに対し、国内を走る自動車はほぼ国産。こちらが輸入が多いとは思えず、むしろ日本車は世界各地に輸出されているはずだ。Jが自動車で輸送機械、Kが家電と考えていいんじゃないかな。
[アフターアクション]中間財と最終財について判別する必要はなかったが、せっかくなので考えてみよう。J(輸送機械=自動車)についてみてみると、日本は中間財(部品)も最終財(自動車)も輸出国、中国は中間財は輸出しているが製品は輸入、アメリカ合衆国はいずれも輸入。日本は自動車部品の開発が盛んであり、そして自動車工場も多くが国内にとどまっている。アメリカ合衆国はその反対で、国内の自動車産業は衰退ぎみ(でmこれはいいことなのだ。産業構造の転換によって知識集約型の先端産業が主力となっているのだから)。中国は部品の生産が多く、世界最大の自動車生産国であるのだが、それ以上に国内市場が活性化し販売台数が極めて多い。たくさんつくってもそれだけでは国内需要をカバーできず、さらに輸入もしているということ。中国は今や「世界の工場」であるばかりではなく「世界の市場」でもあるのだ。
Kの家電は、アメリカ合衆国については自動車と同じ傾向。やはりアメリカ合衆国では製造業は「国外」へと出してしまっているのだろうね。以前メキシコでテレビの生産が多いという話題が出題されたことがあるが、アメリカ合衆国から自動車だけでなく(メキシコは世界有数の自動車生産国)電気機械も工場も多く進出している。
日本では中間財、最終財ともにマイナス。自動車工業に比べると使用する部品の数も少なくさほど高い研究開発も不要。比較的国内に残る自動車メーカー(トヨタや日産、ホンダなど)に比べると、国内の電気機械メーカー(東芝や日立、パナソニックなど)はほぼ衰退している。サンヨーやNECのように海外企業に買収されたものもある。
中国では中間財も最終財も輸出産業となっている。中国メーカーはさらに巨大化し、一部は日本企業をも買収している。世界中に「メイド・イン・チャイナ」があふれている。