2024年共通テスト地理A本試験解説
たつじんオリジナル解説[2024年地理A本試験] |
[1]図2が省略されているので推測するしかないのだが、問題文に「火山の北側が緩斜面となった様子」とある。なるほど、火山山頂からみて北に向かっては等高線が間隔が広く描かれている。緩い斜面となっていることが読み取れる。東側や南側の斜面は等高線が密であり、急斜面になっているのとは対比。この緩斜面がはっきり見えているのはAの方だね。Bは矢印のすぐ先の丘陵(等高線から土地の盛り上がりを読み取ろう)。が邪魔になって、この斜面の全体は見えないような気がする。図2はAから見た眺めなんじゃないかな。
さらに湖について考えよう。アの「大規模に陥没した火口」とあるが、これはカルデラだね。ただ、この地形図を見る限り、火山の山頂は等高線が幾重にも重なって「凸」状の地形となっているし、陥没しているようには見えない(陥没していたら明確な「凹」となっているはず)。そうなるとイが怪しいかな。火山からの噴出物(土砂)によって川が堰き止められ「天然のダム」となることはある。栃木県日光の中禅寺湖が例なので画像検索でもしてみては?男体山からの噴出物による「堰き止め湖」である。
問題文を検討してみると「噴火の際に山体が大規模に崩壊」したことによって「北側が緩斜面となった」とある。つまり元々は東側や南側と同じく急斜面であったのだ。そこに土砂が流れ込むことによって傾斜がなだらかになってしまったということなのだろう。つまりこの北麓を覆っている土砂は「新しい」のだ。
Aの湖を見ると、南西側に河川の流れがある。等高線などから判断して、この河川は南西から北東に向かって流れているようだ。水源は周囲を山地で囲まれた凹地に形成された小さな湖。Aの方向へと流下している。ただ、ここ
でちょっと想像してほしいのだが、この河川はもともとは東方向(Bの矢印がある方向)に流れる河川だったのではないか。そしてBの湖の手前で南へと屈曲し、火山の東麓を流れながら、図の南側へと流れていく(河川の流れを示す「流下方向」の矢印があるね)。
ここで注目してほしいのは、既に述べたように火山の北斜面には火山から噴出した土砂が堆積していること。火山の北に沿って河川が流れていたはずなのだが、それが土砂によって「堰き止め」られてしまった。そのため本来なら南側へと流れるはずの河川水が行き場を失い、大きな湖を形成するに至ったのだ。その湖こそAの矢印が描かれている水域だろう。「堰き止め湖」がつくられたのだ。「河道の一部」が「崩壊した山体」すなわち土砂によって塞がれた。cはイが該当する。
アのカルデラ湖ならば、火口を中心とした円形になることが多く、火口から離れた場所にできたこの湖には該当しないだろう。
[2]GISについては「コンピュータグラフィックによる地図」と考えればいい。地図からは読み取れない住民構成などの情報は判定不可。「平均年齢」はもちろんわからない。まず1が誤り。さらに2についても、商店と地形の関係からおおまかな商圏は判定できるかもしれないが(例えば、山や河川の手前と反対側では利用する店が異なるなど)、しかしその範囲に住む人口まではわからない。2も誤り。さらに消火栓の数から火災の発生件数もさすがにわからないだろう。4も誤りで、正解は3。
[3]1923年の図が興味深い。図の左側に描かれている集落に注目しよう。「上条」という文字が描かれている左側に集落(周囲がグレーで着色されているが、これは「屋敷林」を有する家屋であり、古い住居はこのように周辺に樹木が植えられていることが多い)があり、「カギカッコ」のような形になっている。これを集落Aと呼ぼう。Aの北から西に沿って白い部分があるが、これは「田」の記号があることから水田と思われる。低地であるはず。この水田を挟んで、北に集落B、さらに集落C(○の地図記号がみられるが、これは町役場だろうか)、そして南西側に集落D。BからDは一連の集落になっている。「A」と「B・C・D」の間にはあたかも回廊(廊下)のように細長く水田がみられ、この部分が低地になっていることがわかる。一方で、こういった低地(氾濫原という)では集落はやや盛り上がった微高地(野球でピッチャーが投げるマウンドを考えたらいいね)、すなわち「自然堤防」上に自然発生する。この箇所の地形を想像するに、かつてはこの細長い「回廊」を河川が流れていたのではないか。洪水のたびに土砂が周辺へと流れ出し、河川沿いに堆積。自然堤防がつくられた。自然堤防上は水捌けも良く、家屋がいくつもつくられた。AからDの集落はいずれも自然堤防上に自然発生したもの。
やがて河川が改修され、堤防建設によって現在のような流れとなり、こちらの「かつて河川だった部分」は干上がってしまい、回廊状の低地となった。水田として利用されるが、自然堤防はそのまま残り、集落も立地している。1971年、2020年と都市化の中でこういった伝統的な風景は失われつつあるが、それでも小さな道路の形状などにかつての河川や自然堤防の名残はみられる。
さてどうだろうか。注目してほしいのは選択肢3。たしかに高度経済成長の時期に図の西端のエリアに工場が設けられているようだが、これは自然堤防上だろうか。いや、そうではないね。自然堤防はすでに見たようにA~Dの集落が立地する地形が該当。工場は自然堤防につくられたものではない。この選択肢が誤り。工場がつくられたのは、河川からみて自然堤防の向こう側に広がる低地。「後背湿地」だね。洪水時には自然堤防を乗り越えた河川水がこの低地にまで達し、なかなか水が引くことがない。水田としては適しているが、地盤がゆるいため家屋の建設には向かない。一方で未開発であるがゆえに広大な土地を確保しやすく、高度経済成長期以降はこのような大規模施設の開発には適している。
[4]「光合成=植物の成長」と考える。都市部では植物が少なく、Dがク。Eは水田であり、稲の成長期に光合成量が多い。Eがキ。Fは針葉樹林であり、とくに落葉もしないことから年間を通じて(ただし、この自治体はEの図にあるように「新潟」のようなので、冬は雪に閉ざされ光合成はできないだろうが)光合成が行われているカに該当。
[5]写真に説明がないが、一般にこういった写真は「温度が低いところほど白く」示されている。雲は氷の塊であることはよく知られているね。「雲=低温」であるので、もちろん白く示される。それ以外には大陸内部にも注目。大陸性気候によってシベリア内部は氷点下20~40度の猛烈な寒気に見舞われる。冬のユーラシア大陸内陸部もはっきりとした白になっている。もちろん注目するべきはL。
ポイントは2点。一つはユーラシア大陸。極めて寒冷であるため、全体が白くなっている。もちろんこれは雲ではないので注意してね。高気圧によって下降気流が卓越し、また内陸部であるため大気中の水分も少ない。宇宙から肉眼で見たら、視界を遮る雲がないので、地面までダイレクトに見ることができる。雲一つない高気圧がこの地域を支配している様子を考えよう。もちろん季節は冬。
もう一つのポイントは雲。シベリア高気圧から吹き出す季節風すなわち寒気は日本海上空で水分を蓄え、日本列島にぶつかる。日本海では北西から南東に向かって筋状の雲をつくっている。季節風の風向と一致しているね。そして日本列島の日本海側には分厚い雲が確認できる。水分を含んだ寒気が山脈を駆け上がり、冷却され分厚い雲となる。日本海側地域が上空から目視できないほどの雲に覆われるのはもちろん冬。日本列島の日本海側地域は世界有数の豪雪地帯。「大雪」がキーワードでLはサとなる。
Kは台風だろうか。「強風」でKが該当。Jは東西に雲が広がる。梅雨前線であり、「前線」のスが該当。
[6]4が誤り。タワーZは「3メートル未満」ではあるが、浸水が予想されている。
[7]家畜の統計を考えてみよう。羊も豚も市域頭数は中国とインドが2トップ。人口が多い国であり、家畜の飼育頭数も多い。アとイのいずれでも割合の高いaが「アジア」となる。よってbは「ヨーロッパ」。
羊は乾燥気候に適応した家畜である。ヨーロッパは全域が湿潤であり、乾燥気候はみられない。また豚については混合農業に対応する家畜であるが、ヨーロッパの広い範囲では混合農業が行われている。豚の排泄物を肥料とする農業がみられた。ヨーロッパの値が高いアが豚である。
イは羊である。外来種としてオーストラリアやニュージーランドには羊が持ち込まれた歴史がある。
[8]ヤクはヒマラヤ山脈やチベット高原で、搾乳や荷役の家畜として遊牧されている。資料1の図はインドや中国の値が低く、アフリカでの値が大きい。ヤクとは考えられず、「ラクダ」が該当する。
ラクダは乾燥気候に適応した家畜であり、砂漠やステップ(草原)に分布する。4が正解。
図を確認すると、アフリカのサヘル地帯で多くのラクダが飼育されていることがわかる。サヘル地帯はサハラ砂漠の南側に広がる草原(ステップ)地域である。気候グラフはkサヘル地帯の典型的なもの。低緯度であるため、全体的に気温は高く、そして気温年較差は小さい。降水量は少なめでトータルとしては乾燥気候となるが(降水量<蒸発量)、夏は北上する熱帯収束帯の影響で降水が多く(スコール)、冬は南下する亜熱帯高圧帯の影響で少雨。
[9]統計そのままの問題。主な統計は頭に入れておかないといけないし、とくに首位の国は要チェック。牛の飼育頭数の上位はブラジルとインド(ただし乳牛であり、食肉にはならない)。アメリカ合衆国は飼育頭数の順位こそ世界3位であるが、牛肉の生産は1位。つまり、1頭あたりから得られる肉の量は大きいということ。フィードロットでの肥育が盛ん)。
今回の選択肢の中では「牛の飼育頭数はブラジルが最大」を知っておかないといけない。統計はガチ知識なので、必ず知っておく。2020年の飼育頭数が最大であるKがブラジル。それに次ぐJがアメリカ合衆国。
文章は、サがアメリカ合衆国。「肥育」がポイント。フィードロットで濃厚飼料を与えられ、太らされる。シはフランス。「混合農業」はヨーロッパで広く行われる(アメリカ合衆国のコーンベルトもそうなんだけどね)。「山岳地域」はフランス南東部のアルプス地域か。季節によって乳牛に放牧地を移動する「移牧」が行われているが、移牧は「酪農」の一種であり、乳製品がつくられる。スがブラジルだろう。「森林破壊」はアマゾンの熱帯林への放牧地の拡大による。「豆」についてはブラジルが世界最大の大豆生産国であることを考えよう。
[10]1970年の時点で最大の値のPを日本と考えていいだろう。この時点では中国でも経済成長はみられない(改革開放政策は1980年)。日本では高度経済成長による近代化で食の欧米化が進み、肉の消費量が増えた。Qが中国だろうか。「2000年代」の急成長がキーワード。Rがインドなのはわかりやすいね。殺生を忌み嫌う文化がある。文章もhが該当。
ただ、本問はちょっと甘いなっていう気がします。タについては「一般的な知識」としてhを問題なく選択できたとは思いますが、実はこれ、ちょっと違う。インドで牛肉を食さないのは「宗教上」の理由ではない。ヒンドゥー教はインドの歴史の中では新しい宗教であり、ヒンドゥー教が成立以前から牛を神聖視(そして肉を食さない)考え方はあり、厳密には宗教とは無関係。この部分は「伝統的な考え方によって」とするべきなのだ。
さらにいえば、gも決して間違ってはいない。インドは貧困層が多く、彼らが経済的な理由で肉を買うことができないこともインド全体で肉類の供給が少ない理由の一つ。そもそも本問では「肉類」全体の話であり、牛に限定したものではない。インドでは鶏肉の消費は増えつつあり、「特定の肉類」つまり牛の肉を食べないことが直接的に全体の肉類の供給量の少なさに結びつくものではない。「牛がダメなら鶏肉を食べたらいいじゃないの」っていう、マリー・アントワネットのようなセリフが思い浮かぶわけだが。
[11]写真がないので判定ができないが、文章のポイントのみ。最も重要なのはX。これ、「ティピー」ってやつだね。カナダからアメリカ合衆国にかけてに居住しているネイティブアメリカン(アメリカインディアン)の伝統的なテント式の住居。ぜひとも画像検索しておいてください(最近はアウトドアブームで個人用のティピーってのも売ってるみたい)。
Yはモンゴルのゲル(中国ではパオ)のことだね。「羊毛のフェルト」はキーワード。こちらも画像検索しておいてください。Zは不明。
[12]一瞬選択肢1が誤りかと思ったんだけど、「ほとんど」が気になるよね。これが「完全に」だったり「全く」のような断言口調なら「さすがにそれは言い過ぎでしょ」と思えるんだけど「ほとんど」だからね。世界中探せば、ちょっとぐらいはこのような文化があるだろう。
誤りは2でしょう。ハラールを知っている人も多いんじゃないかな。ハラールフードを提供している店にはその表示がある。地理は多様性の科目である。移民を受け入れるかどうかっていうのは微妙な問題なのだが、地理という科目においてはすでに「移民受け入れは当たり前」として、その次の段階として多文化共生の必要性が謳われている。
3;家畜の過放牧、薪炭材の過剰な伐採、土地に負荷をかける過耕作、塩害の原因となる過剰な灌漑はいずれも人為的な砂漠化の原因。
4;これはよくわからないけれど、アルプスの移牧の景観などが該当するのかな。
[13]アフリカ大地溝帯を考える。南北方向に断層が走り、地溝がみられる。火山も分布している。1が該当するんじゃないかな。図のやや左手に縦方向に走る高まりの地形がみられる。断層に沿って形成された山脈だろうか。そしてその山脈の東側には「回廊」のような溝状の地形があり、これが地溝に該当するのではないか。いくつか突起もみられ、これは火山と思われる。
2はA。東から西へと新期造山帯のアトラス山脈が走行(こちらは火山はない)。3はエかな。古期造山帯のドラケンスバーグ山脈であり、ややなだらかな山地が広がる。残った3がイなのかな。不明だが。
[14]カがBに該当。「乾燥」がカギ。アフリカ大陸南西岸は寒流の影響で大気が安定し少雨となる。
クがCに該当。「緯度35度付近・大陸西岸」は地中海性気候。夏に亜熱帯高圧帯に覆われ乾燥する。「細くて硬い葉」は硬葉樹。硬葉樹は、常緑広葉樹の仲間でオリーブなど。乾燥に強い。
[15]aはエジプト。サハラ以北の北アフリカはアラブ系の人々が住む。アラブ系はアフリカ・アジア語族であるが、インド・ヨーロッパ語族と同じコーカソイド(白色人種)。ヨーロッパやインドの人々と同じような顔立ちである。写真はないが、Eにはそういった人々が描かれているのではないか。また、アラブ系の人々が使うアラビア語は独自の文字を有する。同じく写真にはそれも示されているのでは。
Bはケニア。赤道直下の国であるが、アフリカ大地溝帯(問1でも登場していたね)に沿う高原・火山国。サハラ以南のアフリカはネグロイドが分布し、アフリカ系の人々が住む。写真Fの子供たちがそれに該当する。なお、ケニアはスワヒリ語と英語が使用されるが、いずれもローマアルファベット表記。
[16]産業構造の高度化を考える。経済成長するほどに第1次産業就業人口割合は低下し、第3次産業就業人口割合は上昇する。人々が低所得の仕事を離れ、高所得の仕事で働くことになる。1991年と2019年を比べ、値が上昇しているKが第3次産業、低下しているLが第1次産業。
今度はタとチの2019年を比較しよう。チの方が第1次産業就業人口割合が高い。1人当たりGNIと第1次産業就業人口割合は反比例する。貧困な地域でこそ農業に従事する人々の割合が高いと考えていいと思う。西部アフリカと南部アフリカを比較するが、南部アフリカにはアフリカ最大の工業国である南アフリカ共和国が含まれ、こちらは経済レベルが高い(1人当たりGNIが高い)と考えていい。貧困な地域は西部アフリカであり、これがチに該当。西部アフリカは乾燥気候に覆われ産業が未発達であるだけでなく、フランスなどの植民地支配によって商品作物の栽培が強制され、経済成長に結びつかない地域である。第1次産業就業人口割合は高いものの、それは決して農業が盛んであることを意味するのではなく(世界で最も農業が盛んなアメリカ合衆国は第1次産業就業人口割合は極端に低いよね)、生産性の低い農業が行われ、人々は食べるものにも苦しんでいるということなのだ。
[17]Qのナイジェリアは人口が多く(2億人を超える)、円が大きいマとなる。Pのモロッコは乾燥地域に位置し、人口が都市に集まる傾向が強い(砂漠には人は暮らせない)。またヨーロッパとの経済関係も強力で工業化が進むなど都市での経済活動が活発である。都市人口が多いムが該当。
Rはケニアの南の国だが、ケニアのように熱帯草原が広がっているのではないか。近代化も進まず農村人口が多い。
[18]2000年の段階で発展途上地域であるアフリカでは電話は普及していない。2と4がアフリカの電話。ただし、それ以降の伸び方が違う。固定電話は電話線などのインフラ整備のコストが高く、設置が進まない。それに対し、携帯電話は電波塔を作れば広い範囲で利用が可能であり、そもそも便利だよね。発展途上地域でも広く普及していく。2が携帯電話で4が固定電話。
1が先進国の携帯電話、3が先進国の固定電話(こんなに減っているのか!)。
[19]サウジアラビアが含まれているDがわかりやすい。原油に関する国際組織であり、「特定の天然資源」からウに該当。OPECなんじゃないかな。石油輸出国機構。
さらにアの「経済成長」は発展途上国のキーワード。東南アジアのE。アセアンでしょう。東南アジア諸国連合。
残ったFがイ。「貿易障壁が緩和」されたので、たとえばアメリカ合衆国からメキシコへと工場が多く進出している。最近の過去問で「メキシコでテレビの生産が多い」という話題が登場したが、労働力の安価なメキシコに組み立て工場が進出している。
[20]おもしろい問題だね。日本と西アジアの貿易を考える。西アジアから日本へは大量の原油が輸出されている一方で、西アジアは経済規模(人口)の大きい地域ではないので、さほど多くのものを日本から輸入しているわけでもないだろう。西アジアから日本への輸出が多く、日本からの輸入は少ない。これを日本を中心とした視点にすると、「日本は西アジアからの輸入は多く、西アジアへの輸出は少ない」となるね。明らかな「輸入>輸出」となっている1が正解。1980年から2018年にかけて割合が低下しているが、これは3の値が大きく上昇したため、相対的に値が下がっているだけだろう(実数としてはむしろ増えているかも。世界全体の貿易額は常に増えている。これをグローバル化というのだ)。3は拡大する中国の経済規模を考え、東アジアとなるだろう。
4は北アメリカかな。日本からの輸出の方が多くなっていることがポイント。アメリカ合衆国を相手とする貿易は、日本の輸出超(黒字)、アメリカ合衆国の輸入超(赤字)。
残った2がアフリカかな。経済規模(GNI)も小さく、市場規模、貿易額ともに小さい。日本との経済関係も強くない。
[21]超名作ですね!今回の全30問中のベストを選べといえば迷わずこの問題になります。
問題そのものは簡単。3が誤りだね。たしかに火力発電量は少なくないものの、それが最大の発電量を占めている時間帯はそう多くない。たとえば6月3日深夜から4日の未明にかけては火力発電の割合が極めて高い(総発電量40ギガワット、火力発電20ギガワット)のに対し、8日の昼ごろは値が極小となる(総発電量70ギガワット、火力発電10ギガワット)。「どの時間帯でも最大の発電量を占めている」わけではない。これが誤り。
なお、この問題から得られる情報は極めて多い。一つ一つ確認していこうか。
1)原子力発電はベース電源となる。原子力発電量は全日程を通じほぼ一定。原子炉を稼働させたらそれをストップすることが困難だけでなく、発電量の調整も難しい。よって原子力発電を行うならば、常に一定の発電量が維持されることを前提として他の発電方法とのバランスをとらないといけない。原子力発電をその国の基礎的な発電方式とし、電力需要の上下に合わせ、他の発電方式を補完的な位置付けとする。日本が原子力発電を主要電源に位置付けるのはこれが理由。現在数多くの原子力発電所が国内に存在し、それをいかに活用するかを考えている。他の電源をメインとし、足りない部分を原子力で補うという形の発電は、上述の理由によって不可能。結局選択肢は2つで、原子力発電を主力とし、他の発電方式はあくまでサブ的な位置付けにするというパターン。そしてもう一つは思い切って原子力発電を全廃し、再生可能などに力を入れる。以前の考え方ならば、自然環境に左右される再生可能エネルギーに依存することはリスクが高かったが、現在は技術も進歩し、複数の種類の再生可能エネルギーを組み合わせることで電力の安定供給は可能となっている。事故の危険性もあり、またそもそもウランがいずれ枯渇する原子力発電こそ、むしろ不安定でコスト高とも言えるのだが。。。みなさんはどう考えるだろうか。原子力施設の誘致によって地方へと補助金が巡り、それが地方再生に一役買っているという側面もあるため、一概に否定はできないとも言えるかもしれない。
2)火力発電は発電量のコントロールが容易。「一旦動けば止められない」原発に比べると、火力発電は柔軟である。図からわかるように、時間単位で発電量を調整することができ、柔軟な発電計画を実施できる。化石燃料に依存するというデメリットはあるが、石炭の採掘可能年数はウランより長く、資源の枯渇の懸念は原子力発電ほど深刻ではない。また火力発電所は都市近郊につくられやすく、送電のロスが少ない(第消費地から遠く、送電の際に多くの電力が失われる水力発電や原子力発電などとは状況が異なる)。化石燃料を燃焼させることで、酸性雨の原因物質(硫黄酸化物)を排出し、さらには二酸化炭素の排出も多いが、こちらは実はさほど問題になっていない。すでに日本では脱硫が徹底し、発電所や工場からの排煙には硫黄酸化物は含まれない(中国などはまだまだ硫黄酸化物の排出が多いため、偏西風によって日本上空でもそれらが観測されることはあるが)。また近い将来、二酸化炭素についても液化して地中に廃棄することで、待機中への放散は防がれるようになるそうだ。個人的には火力発電には未来があると思っています。
3)風力発電や太陽光発電はかなり変動の幅が大きく、自然環境に依存するエネルギー資源の供給の不安定さは電力不足の原因ともなりかねない。ただし、こちらも将来的には十分に対策されるであろう。実際、曇りの日や夜間にも発電できるような太陽光パネルは既に実用化されている(日本の大学で技術が開発され、大規模生産は中国企業による)。
4)電力は一部が輸出・輸入される。ヨーロッパのように狭い地域に多くの国が密集している場合、送電網は国境を超えて張り巡らされ、電力の貿易も一般的に行われている。ドイツにおいても「発電量>需要量」となる時間帯(電力は輸出される)、「発電量<需要量」となる時間帯(電力は輸入される)がみられる。周辺国との電力の貿易がなされていることが想像される。
なお、隣国のフランスは原子力発電が主の国であるため、発電量の調整が難しい。しばしばフランスでは発電量が過剰となり、周辺国への輸出も行われている。電力需要はこの図からもわかるように時間帯や季節によって変動が激しいのだが、そのなかで発電量をコントロールしにくい点が原子力発電の短所の一つとなっている。
5)将来的には蓄電が重要な課題となる。電力が余る場合は、それが周辺国へと輸出されない限り、廃棄されてしまうので、電力を「蓄える」ことが大切である。現在、蓄電の技術は日々向上しており、その象徴的なものが「EVカー」である。電気自動車が完全に優れているとは思わないが(水素燃料者やバイオマスカー、アンモニアカーなど他にも優れた技術はある)、ただ電気自動車を「動く蓄電池」として使えるというメリットはある。EVカーが普及し、電力が余りやすい時間帯に積極的に充電し、余剰となる電力をそこで消費してしまうという方法はある。これによりさらなる電力の有効利用が図られる。
6)ドイツは平坦な国土を有する国であり、水力発電はあまり行われない。とくにライン川など大きな河川もあるが、それらは大型船舶が航行するため、途中に発電用のダムを建設できない。ただし、日本は現在も国内の電力需要の10%ほどは水力発電によるもの。例えば日本がもし人口1000万人の国ならば、国内の電力需要の全てを水力で賄えるということになる。原子力発電同様、発電量の変化が少ないので、ベース電源として利用できる。
7)「その他」は何の発電か分からないが、例えばバイオマスだろうか。バイオマスは固形化されたバイオコークス、液体のアルコール燃料となるバイオエタノール、気体のバイオガスがあるが、もちろんそれ以外にも木材を直接燃料とすることも考えられる。フィンランドでは豊富な森林から得られた(間伐材など)木質ペレットが火力発電の燃料になっている。
ドイツの隣国デンマークでは豚の排泄物からガスを得て、それを火力発電に利用している。ドイツでも同じようなことが行われているのだろうか。こちらは他の再生可能エネルギーとは違い、自然条件による発電量の増減は少ない。なお、ドイツは火山国ではないので、地熱による発電は考えにくい。
8)スマートグリッドの利用。たとえば中国のシェンチェンなどはスマートシティとして知られている。都市において必要となる電力需要を計算し、それを多様な発電方式に割り振ることで最も効率化された発電が行われる。従来は困難であった送電システムであるが、現在はICT技術の発達によってそれを制御でき、前述のシェンチェンなどすでに実用化されている。
スマートグリッドの最大の長所は、本来不安定な発電量しか得られない発電方式をベース電源にできるということ。自然環境に左右される太陽光発電や風力発電をメイン電源とする。そして、それらによる発電が困難となった時間帯のみ火力発電所を稼働させ、化石燃料による発電を行う。火力発電量は最低限必要な分だけにとどまることになり、化石燃料の使用量も抑えられる(また、上述しているように、個人的には化石燃料の使用はむしろ推奨されるべきと考えている。石炭は長く枯渇しないし、硫黄酸化物や二酸化炭素の大気中への排出も技術によって防ぐことができる)。もちろんこれに水力やバイオマス発電も組み合わせてていいし、あるいは自宅での発電も近年はさかんに行われる(天然ガスを利用した家庭用発電機など)。電力が過剰となったらEVカーに充電すればいい。原子力発電などをベース電源として、他の発電方式をあくまで補助として行うというシステムはたしかに手堅いものではあるが、コンピュータ制御によって多くの発電方式を分散し、負担を分け合うことによって発電の効率化が可能となる。これがスマートグリッドである。この方式が普及すれば、さらに再生可能エネルギーによる発電が主流となるのではないか。
どうだろうか。ずいぶんと長く説明してしまったが、このスマートグリッドという方式を使えば、発電の新たな未来が見えてくるし、特定の発電方式に依存しないことでさらに発電量の安定化が可能となる。先にも述べたように原子力発電はベース電源となる「安定」した発電方式のはずだったのだが、実際日本で原発がストップしたことがあるので、もはや最も「不安定」な発電方式とも言うべきものかも知れない。世界全体のエネルギー供給の考え方は新しい局面に達している。スマートグリッドの導入によって、より環境に優しい、そして安定した効率的な電力供給が行われることを期待して止まない。
[22]圧倒的な人口規模を有するのはアジア。年少人口も老年人口も当然多い。Qがアジアとなる。消去法でQがアフリカ。
世界的に考え平均寿命は伸びている。今後とくに増えていくのは高齢者だろう。世界人口の高齢化が進む。老年人口の増加を考え、aが65歳以上である。
[23]先進国の食料問題にフードロスがある。大量の食料が食卓に溢れ、人々は高カロリーによる生活習慣病に苦しみながら、さらに廃棄される食品も多い。消費段階の廃棄量が目立っているXが先進地域のヨーロッパ。
果実・野菜のうち、とくに野菜は鮮度が重要であり、輸送している際に腐敗の可能性もある。流通段階で失われるのでは。一方、乳製品は冷蔵設備を整えれば腐敗の可能性はない。冷蔵・冷凍によって輸送時(流通時)のロスはなくなる。ヨーロッパにおいて流通段階の廃棄がないカが乳製品で、一部が流通時に廃棄されるキが果実・野菜。
なお、アフリカでは冷蔵設備が十分でなく保存が難しい。こちらは乳製品の流通時のロスが少なくない。
[24]円の大きさや数から絶対量を考える。ODA総額が小さいように図から読み取れるシがスペイン。経済規模(GNI)がアメリカ合衆国や日本よりも小さく、その分だけODA総額も小さいだろう。なお、旧植民地である中有南米諸国への供与が行われている(ペルーなど)。
日本は経済的なつながりが強いアジア地域への供与が大きい。スが日本である。インフラを整備し、やがて日本企業が進出しやすいような土台作りを行う。
残ったサがアメリカ合衆国。イスラエル(ユダヤ民族の国。アメリカ合衆国にはユダヤ系の人々が多く、経済的な関係も強い)への供与が多いという特徴があるが、この図でもそうなっているように見える(他の国と重なってしまってよくわからないけどね)。