2024年地理B本試験[第5問]解説

【第5問問1】

[ファーストインプレッション]日本の気候に関する問題だね。日本の場合、日本海側の気候がテーマとなる場合が多く、本問もそれに該当するんじゃないかな。

 

[解法][解法]まずは「日照時間」に注目しよう。昼間(日の出から日の入りまで)のうち、太陽に照らされた時間のこと。たとえば、地球上に雲が存在しないながら、夏(7月を中心とした時期)は北へ向かうほど日照時間は長くなり(地軸が傾いているので、高緯度側ほど夏は昼が長くなるね)、冬(1月を中心とした時期)は北に向かうほど日照時間は短くなる(昼が短くなる)。

最近の過去問で、こういった緯度による日照時間の違いがテーマとなる問題が問われたが、しかし今回は日本の、しかも中国地方の限定された範囲。緯度差もほとんどないし、緯度による昼の長さの違いは意識しなくていい。地球儀スケールで考えた場合こそ、緯度による昼の長さの違いは明確に表れるだろう。日本地図のレベルでは考えなくていい。

 

よって、ここでの日照時間は「雲」の存在のみ考えればいい。時期は「1月」である。冬の季節に雲が多くなるところってどこだろう?基本的に冬は気温が低く、大気が収縮し気圧が上がり、また飽和水蒸気量も小さいため大気中に含まれる水分が少ないため雲そのものが生じにくい。しかし、日本は地球の気候の「特異点」である。冬にこそ降水量が多い、つまり雲ができやすいところがあるよね。

それが日本列島の日本海側の地域。キーワードは「地形性降雨」だね。降水パターンは4つあり、一つ目が「対流性降雨」。地面が強く熱せられ、激しい上昇気流を生じる。一時的な降雨であるスコールや夕立など。二つ目が「低気圧性降雨」。高気圧の間に気圧の谷が生じ、そこに周辺から空気が吹き込む。上昇気流が生まれ、雲が生じる。これが巨大化したものが熱帯低気圧。三つ目が「前線性降雨」。寒気団と暖気団がぶつかり、冷たい空気の上に暖かい空気が乗る(両者は密度が違うので混ざることはない)。薄く横に広がる前線という雲が生じ、薄曇りの天気となる。梅雨前線が例。そして四つ目が「地形性降雨」。風が吹けば雨が降るっていうやつだね。水分を含んだ湿った風が山脈へと吹き込み、斜面に沿って高度を上げることで冷却され、雲を結ぶ。「風上側斜面で多雨になる」というかたち。世界中のいろいろな風が吹く地域でみられ、例えば偏西風がぶつかることでノルウェーなどヨーロッパの大西洋沿岸が多雨となり、同じく南半球でも偏西風帯のニュージーランド西岸やチリ南部も雨が多い。貿易風の影響でマダガスカル東岸も多雨地域で稲作が行われている。

季節風の影響の方が有名かな。インド半島西岸のムンバイでは、夏はインド洋から湿った風が入り込み極端な降水がみられるね。冬は大陸内部から乾いた風が噴き出すことで、雨季と乾季の明瞭な気候がみられる。インドシナ半島西岸(ミャンマー)も同じような降水パターン。

日本はどうだろうか。日本は東アジアの季節風帯に含まれ、夏は太平洋からの南東季節風、冬はユーラシア大陸内部からの北西季節風が卓越する。それぞれ太平洋高気圧(小笠原気団)やシベリア高気圧の影響。

本来ならシベリア高気圧から吹き出す風は大陸内部であるので水分に乏しく、雲は生じない。シベリアや中国東北部では冬の降水量はほぼゼロ。これが大陸性気候の典型的なパターン。でも、先ほども述べたように日本は地球の気候の「特異点」なのだ。大陸から吹き出した乾いた風は、日本海上空を通過する際に大量の水分を蓄える。日本海は暖流(対馬海流)の影響で水温が高く、豊富な水蒸気を上空へと供給しているのだ。この湿った空気が日本列島の「背骨」にぶつかる。新期造山帯(変動帯)の日本はその中央を背骨のように高峻な山脈が走行している(これを脊梁山脈という)。山脈にぶつかり持ち上げられた空気は雲となり、風上斜面側(つまり日本海側)に降水をもたらす(この降水にはもちろん雨も雪も含まれる)。日本海側の地域だからこそ、雲に覆われる時間が長く、日照時間も短いと考えよう。1月の日照時間がとくに短いウが浜田市だろう。

 

さらに気温に注目しよう。最寒月の平均気温がマイナスになる北海道に対し、本州以南では基本的には1月であっても平均気温はさほど下がらない。例えば東京の1月平均気温については5℃で頭に入れておくといい。だから1月の平均気温についてアの5.4℃やウの6.2℃については西日本としては納得できる値だと思う。でもちょっとだけ気にある数字があるよね。それがイの1.9℃。これ、さすがにちょっと低すぎないか?東京が5℃であることを考えると、東北地方のような寒さ。

ただ、ここで一つポイントがあるのだ。先ほど「本州以南では1月平均気温はマイナスにならない」と述べたが、これはあくまで「普通の地域」に限定される。普通の地域とは、都市が一般的に立地する「平野」であり、標高は低い。標高の高さによる気温の低下を考えるならば、本州以南でも冬の気温がとくに低くなる地点は存在する。どうだろうか。この図を見る限り、三次市は内陸部に位置し、陰影から判断するし山間部の標高が高いところに立地しているのではないか。標高が高い分だけ、低地に位置する浜田市や広島市(これらは沿岸部に位置するので標高が低いと判断できる)より気温は下がるだろう。イが三次市となる。

 

【第5問問2】

[ファーストインプレッション]こういった問題っておもしろいよね。パズルみたいだし、考えれば必ず解けるんじゃない?ああでもない、こうでもないって考えるのは楽しい。さらにテーマ的にも身近な生活に密着したものであり、自分に置き換えてみるといろいろと興味深い発見もある。良問の予感。

 

[解法]購買活動に関する問題。選択肢は「衣料品・身の回り品」、「娯楽・レジャー」、「食料品」である。こういった問題では対比的に用いられる言葉に「買い回り品」・「最寄り品」がある。買い回り品はいわゆる高級品や耐久消費財のことで、「回る」とは「選ぶ」ということ。頻繁に買うものではなく、値段が高いこともあって、購入には慎重になる。十分に選んでから買うということだ。耐久消費財とは、一回買ったらしばらく買い替える必要のないもので、例えば電化製品を考える。たくさんの家電量販店を回って、最も性能がいいもの、最も安いものを買うよね。多くの家電量販店が集中している、都心のターミナル駅周辺をイメージするといいだろう。高級品については宝飾品やブランドの服。こちらもやはり都心のデパートやセレクトショップで売られているものだろう。交通のアクセスがよく、周辺から多くの買い物客を集めやすい都心部にこれらの店舗は立地しているね。それに対し、「最寄り品」は日用雑貨や生鮮食料品のこと。スーパーマーケットやコンビニを考える。これは都心部や郊外を問わず、人が住んでいれば必ず近くに店舗は存在し、また大都市圏に限らず、人口が少ない農村地域であってもスーパーやコンビニは立地している。人が住んでいれば「どこにでも」これらの店は存在するのだ。そして人々は徒歩や自転車で近くの店に買い物に行く(とはいえ、農村地域では自動車を使わなければスーパーやコンビニまで行けないという人も多いんだろうけれど)。

 

さて、このことを頭に入れて、さらに選択肢を検討しよう。気になるのは「衣料品・身の回り品」と「食料品」。ここでの衣料品は決して値段の高いものではなく、むしろ日用品に近いと思う。身の回り品も同じような感じだよね。ただ、「食料品」こそ生鮮品も含み、より毎日買うものになっているんじゃないかな。衣料品は毎日買うものではないけれど、食料品は毎日スーパーに通って購入する。先ほどの「買い回り品←→最寄品」という対比を考えるならば、より「最寄り品」的な性格を有しているのは食料品であり、人々は徒歩や自転車で近所のスーパーに買い物に行く。遠くまで買い物に行くことは稀であり、「購買・利用先が自地区である場合の割合」が25%以上である市町村の数が多いカが食料品なんじゃないか。もちろん一部には自動車で幹線道路沿の大型店舗で食料品を買う人もいるだろうけれど、衣料品に比べればその頻度は低いと思われる。

 

さらに「娯楽・レジャー」について考えようか。こちらは「非日常」の世界と言っていいんじゃないかな。過去問で「都市圏」の定義について出題されたことがあるので、紹介しておこう。2002年地理B追試験第2問問6である。

 

都市の影響が日常的に及ぶ範囲を都市圏という。この都市圏のおおよその範囲を設定する場合、その範囲として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

 

1中心都市に居住する人々が行楽に出かける範囲

2中心都市のホテルに宿泊する人々が居住する範囲

3中心都市の公立中学校に通学する生徒が居住する範囲

4中心都市の事業所に勤務する人々が居住する範囲

 

どうだろうか。いうまでもなく答え(正文)は4だね。「都市圏=通勤圏」であり、都心部に立地する官公庁や企業のオフィスに通勤する人々が住む範囲が郊外を加えた都市圏である。

ただ、他の選択肢にも注目して欲しい。3の公立中学校は、「最寄品」的な性格を有する施設である。日本全国を学区が覆っているわけで(日本の国土で、どの公立中学校の学区に含まれていない場所はない)、人が住んでいるところには必ず公立中学校がある。徒歩や自転車で通う生徒がほとんどである。スーパーやコンビニと同じ特徴を持っているね。都心部や郊外、都市圏外といった区分けは関係なく、都市圏の定義とも切り離された存在である。

さらに2もわかりやすいね。毎日毎日通勤する人々が住む範囲が都市圏なのだ。朝に郊外の自宅を出て、夜に都心部の会社から帰宅する。1日の中での人口流動がみられるのだ。その日のうちに帰宅できない人がホテルに泊まるのであって、(終電を逃すといったような特別な状況もあるけれど、、、)通勤圏=都市圏に住む人ならば都心部のホテルを利用することはないね。

 

最も注目して欲しいのは選択肢1なのだ。「行楽」という言葉があるね。これ、「娯楽・レジャー」と重ならないかな?「都市圏=通勤圏」ということは日常停な行動の範囲ということ。月曜日から金曜日までのウィークデイは、郊外に住む会社員は郊外と都心部との往復を毎日繰り返している。人々の行動範囲は都市圏の範囲に限られている。

でも、土日はどうだろう?せっかくの休日なのだから、自宅でゴロゴロしていてもいいけれど(笑)せっかくなら遠くまで出かけようってこともあるんじゃない?その際の移動の範囲は都市圏を飛び越えるはず。たとえ都市圏の中心部に住んでいる人であっても、自家用車や特急電車を使って観光地への旅行を楽しむこともあるよね。「行楽」そして「娯楽・レジャー」の範囲は日常の行動範囲である都市圏を越え、より広い範囲に広がっている。これを図2に当てはめてみよう。そういった非日常の行動範囲は、自分の住む市町村どころか島根県すら越え、広島県に達することもあるんだろう。「自治区」が25%以上である市町村が皆無であり、広島市へと向かう矢印も多くみられるキこそ「娯楽・レジャー」になるんじゃないか。

 

よって残ったクが「衣料品・身の回り品」となる。身の回り品って具体的に何のことかわからないので、衣料品だけを考えてみるけれど、旧大田市域、旧江津市域、旧浜田市域、旧益田市域といった、その地域のける中心地でも買い物が多いようだ。自地区の人が買い物をするだけでなく、周辺の市町村からも多くの買い物客を集めている(矢印が入り込んでいる)。おそらく大きなショッピングセンターがこれらの旧市域にはみられるのだろう。比較的市街地が発達し、それぞれの地域の中心的な役割を果たすエリアなのではないか。とくにこういった地方においては自家用車が人々の足であり、幹線道路沿いなどにこういったショッピングセンターが設けられていることが想像できる。「毎日」買い物に出かけるスーパーやコンビニでの食料品の購入に対し、こちらは「月に一回」程度の衣服の購入と考えれば、隣の町まで自動車を走らせ、買い物に出かけるという購入活動。十分に納得できるね。

 

最後に。。。ちょっとタネ明かし的になってしまうけれど、問題の注釈のところに「娯楽・レジャーは旅行などを指す」とあるよね。「旅行」なんだから遠いところで当たり前でしょ。だから「自地区」の割合が高い市町村がないキが旅行すなわち娯楽・レジャーって簡単にわかってしまうんですよね。今回はあえてこの注釈は見ない振りをしたけれど、「旅行」をキーワードにすればもっと簡単に解けた問題だったね。

 

【第5問問3】

[ファーストインプレッション]これがわからかなったんですよね。。。難しいな。かなり混乱した。何とか正解には辿り着いたのですが、とても曖昧な問題に思います。

 

[解法]図やグラフを用いた問題。文章も長く、問題の解釈には慎重を要する。考察問題ではあるが、だからといって簡単ではないと思う。じっくり取り組もう。

まず問題文の読解。浜田市には「まちづくりセンター」というものがあるそうだ。注釈によると「社会教育や生涯学習、協働の地域活動を推進する拠点施設」とある。他の市にはあまり見られないものだね。浜田市ではこういった公的な活動が活発でそれに伴って施設も多くつくられているのだろう。

さらに図3は人口分布を示したもの。いわゆるメッシュマップと呼ばれるものだが、方眼(網目)の一片は実際の何メートルを表しているんだろうか(横の3キロメートルの目印をみても、1片が1キロというわけでもなさそうだが)。それぞれの方眼の面積は同じなので、そこに住む人口を示すことで、「人口密度」もイメージしやすい(方眼の面積が1平行キロメートルならば、500人以上の方眼の人口密度も500人/平方キロメートル以上となる)。最小の値が「1~50人未満」になっているが、空白部も多い。この空白部は「1人未満」ということでつまり「0人」ということ。山間部で居住に適さない場所なのだろうか。

さらに下の図3ではコンビニエンスストアとまちづくりセンターの場所が示されている。これをみてちょっと驚いたのだが、まちづくりセンターの多さ。こんなに多いの???ほとんど人が住んでいないエリアにもあるじゃないか。「センター」という名前に惑わされるけれど、これは実際には「公民館」のようなものなのだろうか。

コンビニの分布はわかりやすい。多くがa付近の中心市街地に立地している。人口も多く、利用者も多いのだろう。コンビニは(問2でも取り上げたが)「最寄り品」を扱うもので、大都市圏(都心部・郊外)、大都市圏外を問わず、人(客)がいるところならばどこにでも立地する。人口集中エリアに多いのは納得。逆にいえば、人(客)がいないところにコンビニはできない。市街地を離れた地域にコンビニがみられないことにも納得。コンビニに限らず、スーパーマーケットも同じような立地パターンを示しているはず。

ポイントになっているのはbとc。これだけみるとあまり違いはないように思えるのだが、どうなのだろう。主要幹線道路など他の要素も示されているとイメージしやすいのだが、ここでは人口と施設の分布だけ。ただ、あえていえば、bの方が面積が広く、その分だけ人口も多いように思える。cは面積が狭い。コンビニはbが西部に1つのみ、cは北部に2つ。まちづくりセンターはbが5ヶ所、cが2ヶ所。こういった違いはみられる。

 

では図4を検討しよう。XとYがコンビニとまちづくりセンターのいずれかを示しており、サとシがbかc。aを確認してみようか。aはXもYもほぼ同じ割合。30%ほどの住民がそれぞれの1キロ未満の範囲に住み、残りの70%ほどの住民も3キロ以内には住んでいる。3キロを超える人はいない。図3で確認。なるほど、そもそもaの範囲は極めて狭く、3キロの範囲にほぼ地域の全体が収まってしまう。コンビニやまちづくりセンターの半径3キロの範囲に全ての人が住んでいるわけだ。

 

図4で気になるところはあるだろうか。いずれも「1キロ未満」の範囲は似たようなものなのだが、決定的に違うのは「3キロ以上」だよね。3キロ以上の範囲に多くの人が住んでいるのはXのイだけである。これ、何だろう?

Bのコンビニに注目してみよう(1つだけだからわかりやすいね)。これを中心に半径3キロメートルの円を描いてみる。bは比較的広い校区であるので、3キロの範囲に含まれないエリアは広く、とくに東半分のエリアは3キロ圏外とみられるね。そしてこの東半分のエリアにも比較的多くの人が住んでいる。「1~50人未満」ではあるけれど、それでも多くの四角が示されているね。3キロ以内にコンビニがない人たちって多いと思うよ。

Cはどうだろう。2ヶ所コンビニがあるけれど、ここでも3キロの円を設定してみよう。Cの南部地域は3キロ圏外となってしまう。しかしどうだろう?南部の「1~50人未満」の四角は20個ほどであり、さほど多くの人口がこのエリアに住んでいるともみられない。少なくともbの東半分のエリアの方が人口が多そうだね。

本問は「割合」を問う問題であり、人口の多い・少ないといった「実数」だけで決めるのはちょっと危ないのだが、でも、おおまかなイメージは掴めると思う。bの校区のほうがコンビニ3キロ圏外の人口が多く、割合も高いと思われる。どうかな。Xのシを校区bのコンビニとみていいんじゃないか。他に決定的な要因がないので、こう考えるしかないのだ。かなり自信はないけれど、4が正解なんじゃないかな。

 

Yがまちづくりセンターとなる。こちらは3キロ圏外に住む人はほとんどいない。市民にとってより利用しやすい施設ということだ。公共性が高いね。歩いて、あるいは自転車で気軽に訪れることができる。

 

というわけで問2と問3を問いてみたのだが、とても興味深い問題だったと思う。教科書的には「最寄り品」と「買い回り品」の対比であり、それらを取り扱う店舗の立地が取り上げられている。前者が「日用品・生鮮食料品」であり、人が住んでいればその近くに必ずその店舗がある。コンビニやスーパー。それに対し後者は高級品や耐久消費財であり、こちらは都心部に集中。デパートや家電量販店、ブランドショップを考える。都心部の特徴を問う問題は第2問問1問2で問われているね。

 

また過去問ではさらに「最寄り品」について内容を拡大して問われたこともある。コンビニやスーパーと同様、どこにでもあるものとして「公立小中学校」や「郵便局」があり、これらも全国津々浦々をカバーしている。日本の中でどの小中学校の学区にも属していないところはないし、近隣に間違いなく郵便局もある(郵政民営化となっても、やはり公共性は失われないのだ)。

 

先ほどの問2では「最寄り品」について、「毎日買い求める」食料品と、「月に一回程度しか買わない」衣料品との対比が問われていた。最寄り品の中にも性格の違いがあるのだ。衣料品についてはやや買い回り品的な傾向があると思っていいだろう。とくにそちらの問題の中では「ショッピングセンター」をイメージすることが求められていた。幹線道路沿いのショッピングセンターに自家用車で出かけ、衣料品を購入する(そしてそれはもちろん毎日のものではない)。

 

そしてこの問3では、生活に密着し「どこにでもある」はずのコンビニやスーパーが、実は「どこにでもあるわけではない」ことが問われていた。言われてみれば納得なのだが、改めてこのように文章として「法則化」するととても興味深いと思う。

コンビニもスーパーも「人が住んでいれば」そこに存在するものなのだが、さすがに採算が取れない場所には出店できない。極端に人口の少ない農村の過疎地域には。いくら「最寄り品」を扱う店舗であっても立地はみられない。

 

ではこういった人口が少ない地域でもあっても立地するものって何だろう?それは「採算を度外視」した施設だよね。人がいなくても、客がいなくても、そもそも利益を求めるものではないので、当たり前のように立地する。それが行政による「公的」な施設なのだろう。公民館のような機能を担うまちづくりセンターはその代表例だと思う。浜田市によって設置された施設であり、そこで働く人は公務員。何かを売って商売するわけではなく、1日の間に誰も訪れることがなくとも施設としての役割は果たしている。そうした公的な施設だからこそ、本当の意味で「どこにでも」立地できるということなのだ。先ほど挙げた例でいえば「公立小中学校」に近いものがあるね。本問でも小学校の学区が示されているが、学区と似たように、まちづくりセンターにもそれが担当する地区の範囲が決められているのかもしれない。

 

【第5問問4】

[ファーストインプレッション]地形図と写真を組み合わせた問題と思いきや。実は文章だけで解けちゃう問題なんですよね(笑)

 

[解法]

文章を検討してみよう。選択肢1から。地の文から「港」であることはわかる。港ならば「内湾」であり「波が穏やか」であることは当然だよね。外海に面していて波が荒ければ港にはならない。これは正文でしょう。

さらに選択肢2。「古くからの街道」とある。江戸時代ぐらいから古い道がこの辺りにあったのかな。旧街道ってやつだね。「大規模な再開発」とある。ん?これはどうなんだろう?せっかくの旧街道ならば風情もあるし、そこをつぶして新しい道路、しかも「モータリゼーション」ということは自動車が走行しやすい幅の広い幹線道路にするってことかな?さすがにそれはないんじゃない?仮にそういった道路が必要だったとしても、この旧街道と並行する形でバイパス道路をつくればいいわけだし。っていうか、そういった例こそ多いよね。これが誤りでしょう。答えになります。

というわけで選択肢3と4はとくに読む必要もないかな。新しい施設をつくるために海を埋め立てたり、丘陵地を掘り下げたり盛土をしたりするのは一般的に行われていることだと思う。

 

地形図と写真を見る必要のない「地形図問題」でした(笑)

 

【第5問問5】

ファーストインプレッション]図がちょっとややこしい印象を受けるけれど、こういった問題こそ得てして解答が簡単だったりするんですよね。本問はどうなんでしょう?

 

[解法]文章から検討。「瀬戸内海・大阪(当時は大坂かな)」から「北海道・東北・北陸」に向かう経路で(タ)が運ばれていたとある。タは瀬戸内海・大阪の特産品であり、北海道・東北・北陸では得にくいものってことだよね。選択肢は「米・昆布」、「砂糖・塩」の2組。瀬戸内海や大阪方面で産するものはどちらだろう?逆にいえば北海道や東北、北陸とは縁遠いものはどちらだろう?

 

ここで大きく「北」と「南」に分けてもいいんじゃないかな。瀬戸内や大阪方面が南、北海道などが北。砂糖についてはサトウキビから抽出されるものであり、これは南の産物とみていいと思う。タにふさわしいのは砂糖だろう。さらにいえば、塩も気になる。これって瀬戸内地方でさかんに作られているものなのだ。瀬戸内海には浅い海底が広がり、その多くは干拓地となっている。浅い海に堤防をつくり、内側を排水して新しく土地を造成するのだ。この土地はやがて水田に転用されるところもあるのだが、塩田として利用されることもある。海水を天日で乾かして塩を得る。海が浅く、晴天日数の多い瀬戸内地方では塩が名産品だった(赤穂浪士で知られる赤穂藩は塩の生産で栄えた藩だったんですよね、なんて「忠臣蔵」のネタを出してみました・笑)。南方の砂糖に加え、瀬戸内海の塩。これが交易品として北国に送られていた。タは「砂糖・塩」が該当する。

なお「米・昆布」についてはどうかな。平野や大河川に恵まれ、さらに雪解けの水も豊富。新潟県や山形県、秋田県は米の産地として有名だし、それは江戸時代も同じだったんじゃないかな(ちなみに北海道は品種改良米が普及した現在こそ日本有数の米どころになっているが、江戸時代はさすがに米の栽培はできなかったと思うよ)。そして「昆布」が決定的。昆布の産地ってわかるかな。これ、北海道のものだよね。東北地方でも一部に産地があり、北日本のものであることはみんなも知っているんじゃないかな。昆布を使った料理ってなぜか沖縄で名物だったり、あるいは関西のだし(出汁)としてカツオや椎茸より昆布が多用されていたり、料理としては西日本や南日本のイメージもあるのだが、その生産地は間違いなく北日本。「米・昆布」については逆に北海道・東北・北陸から瀬戸内海・大阪方面に送られたものなんじゃないかな(図のKルート)。

 

さらに(チ)についても判定しよう。浜田地方の陶器である石見焼が東北地方や北陸地方に送られたのだそうだ。図からみて、日本海側の各地で石見焼が確認されていることがわかる。選択肢は「海路」か「陸路」。これ、どうなんだろうね。確認された地点のほとんどは海岸に沿っている。港町へと運ばれたことが想像されるし、おそらく船舶を使った海路による輸送だったんだろう。チには「海路」が該当し、正解は3。写真からではよくわからないけれど、この陶器がそれなりに大きなものだったなら陸路で運ぶならば、当時の道路の状況(もちろん舗装はされていないよね)から考えてみて破損する可能性は大だったんじゃないかな。船での輸送も決して100%安心とはいえないけれど、陸路に比べれば割れるリスクは低いと思うよ。

 

というわけで、どうだったかな。この問題のポイントの一つは「昆布」だったね。「昆布の産地ってどこだったっけ?そう

北海道じゃないか」ってことを知っていると、解くのがさらに簡単になった。やっぱ普段から家の手伝いとかして、率先して料理をつくるみたいなことをしていると問題が解けるわけですよね。地理は「机にしがみついてガリ勉している」人の科目ではなく、「日々を楽しむ生活者」の科目なんです。

 

【第5問問6】

[ファーストインプレッション]地理総合・探究にもつながるような問題。こういった問題に慣れておくことが2025年以降のテストをスムーズに解くための経験値になる。

 

[解法]P~Sをそれぞれ対応させていこう。まずPであるが、「地域文化」がキーワードになっているね。過疎の村において若者がいなくなってしまうため、それまでに行われていた祭りなどの行事が失われてしまうことになる。このような貴重な文化を保全するための努力は当然必要。選択肢3の「伝統行事」がポイントになりそうだね。Pは3が正解。

他の選択肢も検討しようか。Qについて。ここには「利便性」とある。過疎化によって困るのはやはり高齢者のみが取り残されること。高齢者の多くは自家用車の運転も困難で交通弱者となる。かといって公共交通の整備は十分ではない。それどころか、かつて存在していたバス路線であっても人口減少による不採算によって撤退を余儀なくされることもある(問3参照。公的施設のまちづくりセンターは人口が少ない地区にもみられるが、収益を目的としたコンビニは立地しない)。住民はタクシーを利用することになるが、それではお金がかかりすぎる。その場合、複数の人たちで共同でタクシーを依頼し「相乗り」をすることで1人当たりの支払いを抑えることが有効な手段になる。このような「乗合タクシー」の運行は、バス路線が廃止された農村においては重要かつ低コストな交通手段となる。

Rはどうだろうか。これは現在最も重要なことと思われる。ブロードバンドやWi-Fiなどのネットインフラを整備し、農村においてもオンラインで仕事できる環境を用意する。住民が転居あるいは亡くなるなどして空き家となった建物をリフォームし、オフィスに転用することもできるだろう。リモートでの仕事が一般的となった現在、「サテライトオフィス」によって業務を行う企業は増えてきているんじゃないかな。4に該当。

Sでは「地域産品」とある。第一次産業が中心である農村や漁村だからこそ、そこで得られる農産物や水産物をブランド化し、全国の消費者のニーズに訴えることは大切だよね。これは2に該当。

 

簡単ではあるけれど、とてもおもしろい問題だと思う。こういった問題を簡単に「できた!」と片付けるのではなく、身近な問題として「具体的にはどういったことが考えられるだろうか」とさらに意識を高め、考えを深めて欲しい。それこそが地理の本質的な学習なのだ。