2024年地理B追試験[第5問]解説

<第5問>

 

[25][ファーストインプレッション]これは簡単なんじゃないかな。平均点調整用の誰でも解ける問題って感じ?

 

[解法]断面図の判定。まずC。途中に「丘陵」を通過している。台地に比べれば険しい地形と考えていいんじゃない?ギザギザな断面がみられるイがCになるだろう。

さらに断面図ではウがちょっと気になる。全体に平坦な地形なのだが、●に近い方に一段下がった凹地がみられるよね。これって何だろう?Aではほぼ全体が「台地」であるのに、●に近いところでちょっとだけ「低地」を通過しているよね。この低地の部分が先ほどの凹地に当てはまるんじゃないかな。ウがAになる。

残ったBがアになるけれど、全体が台地ではあるが、西南西から東北東に向かって少しずつ傾斜して下がっている様子は、周辺の山地・丘陵と低地の配置から十分に想像できるね。これ、小学生や中学生に解かせてみたいよね(笑)

 

 

[26][ファーストインプレッション]

いかにも共通テストの典型的な形式の問題であり、内容はとくに地理総合・地理探究に対応しているような雰囲気があるね。こういった問題を確実にゲットしよう。

 

[解法]

まずEの判定。現在ではなく過去の話。1960年代といえばそれなりに古い時代だよね。昔の森林の利用法として「薪炭材」や「肥料」として利用するのは一般的なことだったろうね。電気やガスがさほど普及していなければ燃料として木材を使うのは当たり前であったし、化学肥料がなければ堆肥としても利用された。

住宅向けの規格化された建材としての利用は、当時もあったかもしれないが、これはむしろ現在の利用法だろう。スギやヒノキなどの針葉樹じゃないかな。それにこれらの木材資源は現在でも建築材として重用されているし、「1960年代頃まで」っていうわけでもないと思う。

 

さらにFの判定。雑木林がどのように利活用されているか。先ほどは住宅用の建材としての利用は現在もあり得るとして説明したけれど、よく考えたらこれはちょっと違うよね。たしかに建築用にスギやヒノキなどの針葉樹が植林されることがある。でもこれは大都市圏から離れた山間部であり、東北地方や紀伊半島などが重要な建築用の木材の産地として知られているね。このような東京近郊の人口の多い地域で、雑木林においてそういった建築材供給の役割があるのだろうか。

 

雑木林は多くの種類の樹木が茂り、そこにはもちろん虫や鳥など小動物の豊かな生態系がある。近隣住民にとってはリクリエーションなどの憩いの場になっているのではないか。「草刈りイベント」などはその一つの例だよね。bが該当するんじゃないだろうか。

 

最近の雑木林の利用法については、いわゆる「里山」だよね。生活空間のすぐ近くにあり、一部には人の手が入っているものの、自然環境がよく保全され、そこには豊かな動植物の生態系がみられる。人々の学びや癒しの空間となっている。これはbが該当するんじゃないかな。「参加者の雑木林への関心を高める」ことこそまさに学びであり、癒しであると思うよ。

Aはどうなんだろうね。基本的に外来種の侵入は生態系にとって好ましいことではない。

 

 

[27][ファーストインプレッション]写真と図が用意されており、煩雑な印象を受けるが、こういった問題こそシンプルに解けてしまったりもの。文章だけ検討すればあっさり解けるんじゃないかな。

 

[解法]文章に注目。まず選択肢1から。埼玉県は両県より北にあり、冷涼であることは間違いないだろう。正文でしょう。選択肢2について。おっと、これは計算しないといけない。「1経営体あたりの生産量」なので、生産量を経営体の数で割ってみよう。ただ、これは簡単な計算になるね。鹿児島や静岡にくらべ経営体の数は1桁違うだけだが、生産量は2桁違う。埼玉県の方が零細農家が主となっているということ。

さて、選択肢3はよくわからない。図を見る限り、「一番茶」の摘み取り時期は埼玉県が最も遅いようだが。「開始時期を早めるため」とあるけれど、実際には早まっていないのだから、これが誤りなんじゃないかな。選択肢1でもあったように埼玉県が最も冷涼なのだから、その分だけ茶の成長が遅く、摘み取り時期も遅くなって当然だろう。というか、そもそも摘み取り機械の導入によって時期を早めることができるのだろうか?機械によってまさか気候に影響を与えるわけにもいかないだろうし。これが誤文で答えでしょう。

選択肢4はどうだろうか。なるほど、これはいわゆる「6次産業化」というものだね。産業は、第1次、第2次、第3次に分けられ、収益性が異なる。農業を中心とした第1次産業は自然界から直接的に生産物を得る産業であり、それらは一次産品と呼ばれるのだが、価格は安く収益性は低い。工業を中心とする第2次産業はそれらの一次産品を加工することで収益を上げる。これを「付加価値」をつけると言う。付加価値の分だけ価格は上がり、収益性は上がる。そしてさらに収益性の高い産業として、商業を中心とした第3次産業がある。金融業のようにお金を動かすだけで大儲けできるっていうのもどうかなって思うんだけど、でもそれが資本主義だから仕方ないですよね。誰かの作ったものを売る人間が一番お金持ちになるっていうわけだ。

このように、収益性は「第1次<第2次<第3次」であり、茶農家のような第1次産業は収益性が低い。要するに「儲からない」わけだ。でも、これを「儲かる」産業にするにはどうしたらいいか?それは、茶を加工して商品とし、それを市場に流通させ消費者に販売するという、第2次産業や第3次産業の要素を付け加えることだと思う。茶を作るだけ(そして農協に収めるだけ)ではダメ。加工して付加価値を付け、ブランド化するなどしてより高価格で売る。これによってこそ収益性が上がるね。第1次産業に第2次、第3次の要素を加え、より「収益性を高める」ことが可能であり、これを「6次産業化」と言ったりする。1と2、3を加えた産業ということだね。選択肢4は正文です。

 

 

[28][ファーストインプレッション]図や表が登場し、考察問題のようだが、簡単に解けるのだろうか。提示されている資料が多い問題こそ、実は簡単な問題が多かったりするのだが、簡単だからこそ確実に得点しないといけない。

 

[解法]東京大都市圏がテーマとされているようだね。埼玉県は典型的な郊外キャラクターを有するので、そのことは意識しておいた方がいいかも。

 

まずJを判定してみよう。「郊外における高速道路の整備」によって「Jの増加が抑えられる」とある。郊外の反対語は都心部であり、郊外の交通量が多くなれば、都心部に集まっていた自動車による交通渋滞が緩和されるとみていいんじゃないか。

 

選択肢タとチを確認。君たちは「都市圏」の定義がキチンとできているだろうか。都市圏は都市の影響範囲のことで、具体的には通勤圏を考える。都市圏は二重円で考えるとわかりやすく、中央の円が「都心部」、周辺を取り巻くのが「郊外」。「都市圏=都心部+郊外」の公式で頭に入れておこう。

都心部は「昼間人口>夜間人口」となるエリア。官公庁や企業のオフィスが集まる。デパートなど買い回り品を扱う商業施設も立地。周辺(郊外)に向かって放射状に鉄道網が整備されており、多くの通勤者や買い物客を集める。

郊外は「昼間人口<夜間人口」となるエリア。いわゆるニュータウンをイメージするといい。それまでは山地や農地だったところに新しく住宅地が開発される。都心部から鉄道の路線が伸び、都心部へと多くの人々が通勤をする。

 

タのキーワードは「大都市圏」。東京や京阪神、名古屋といった巨大な都市はその規模も応じた大きな都市圏を有し、それぞれ東京大都市圏、京阪神大都市圏、名古屋大都市圏と称される。もちろん性格は一般の都市圏と変わるところはない。都心部と郊外の組み合わせ。イメージとしては東京特別区部が都心部に該当し、そこから半径50キロメートルの範囲まで都市圏が広がり、埼玉県は郊外に含まれる。

一方、チのキーワードは「大都市圏の中心部」。つまり「都心部」だね。タが都市圏全体を対象としているのに対し、チは都心部のみに限定された内容。これをどう解釈するか?

 

再度、会話文に戻ってみよう。「郊外」に高速道路が整備されている。ここを通る自動車の量は増えることが想像される。タの文章では「都市圏」すなわち「都心部と郊外」の話であり、郊外で増えているのならば、たとえ都心部で交通量が減ったとしても、都市圏全体ではプラスマイナスゼロなのだから「現状維持」になるよね。都市圏(東京大都市圏)全体の自動車の交通量は変化していない。

それに対し、チはあくまで範囲が「都心部」に限定されている。郊外を通行する自動車が増え、その分だけ都心部の交通量が減って、渋滞が緩和されることはもちろんあるだろう。都市圏全体ではなく、都心部における変化のみに言及したチこそ、Jに該当するに相応しい文章となる。

 

さらにKを考えてみよう。「臨海地域」の高速道路は1999年までにつくられた古いものが多く、2000年以降の変化は少ない。一方で環状道路沿線地域(入間市も含まれているね)は、とくに千葉から埼玉を経て神奈川に至る環状の高速道路は2000年以降につくられたもの。21世紀に入り、高速道路の延伸によって社会的状況が大きく変化していることが想像される。

表を確認。大規模物流施設の総数はsで1530、tで990。sが1.5倍ほど多いが、これは決定的な判断材料とはならない。ポイントは内訳。sは1530のうち、1140すなわち8割近くが古い時代から立地していたもの。2000年以降に新設されたものは390で、2割程度。それに対し、tは古いものが6割弱を占めてはいるが、新しいものも4割強あり、sに比べれば新設された大規模物流施設の割合が高いとみられる。

 

どうだろうか?アマゾンなどネット販売の普及によって大規模物流施設が増設されているのは納得なのだが、それにしてもsとtでは明確な違いがある。それまでは高速道路の整備が進まず、こうした物流の拠点の立地には不利だった郊外地区において、新しく千葉から神奈川までをつなぐ高速道路が完成した現在は、その周辺に多くの物流施設がつくられるようになった。580という少なさ(もともとあったものは少ない)、4割という割合の高さ(全体の990に対し、4102000年以降に設けられたもの)から、tを郊外の環状道路沿線地域と考えて良く、このような郊外地域において近年どのような変化が生じているかを考える適切な資料となる。

 

 

[29][ファーストインプレッション]うわー、これは見にくい図だな。。。考察問題ではあるだろうけれど、肝心な図が判読しにくいのならば、かなり厄介な問題になってしまうね。

 

[解法]まずはXとY、どちらが古く、どちらが新しいかを判定してみよう。図には都県界と市町界が示されているが、これについてはXもYも変化はないよう。「森林」に注目するしかないかな。森林については過去から現在にかけて少しずつ減っていることが想像される。都市化が進む郊外において、山地や農地、そして森林は住宅地などに開発されている。どうだろうか?微妙ではあるけれど、Yの方が森林が多いと思えないかな?細かいところだけれども、Yの図の東端の中央よりやや南、鉄道沿いの地域(駅もあるね)は森林になっているが、Xに目を移すと、この箇所の森林がほぼ消えている。中央から西方に向かう大きな森林地帯にしても、YからXを比較するとややその範囲に「欠け」が生じているようだ。面積が縮小している。これより、Yが古い時代でXが新しい時代となる。2016年はXである。

 

さらに建物用地と農地を比較してみよう。こちらも、減少しているのは農地であり、増えているのは住宅地を始めとする建物用地だと思う。どこで比べたらわかりやすいかな。全体定にマがYからXにかけて、縮小傾向にあるような気がする。面積が明らかに小さくなっていないだろうか。これを農地とみていいんじゃない?

 

もう片方のミが建物用地となるが、とくにXではほぼ全面がミとなっている。郊外地域は都市化が進み(都市化とは単に人口が増えることと考えてほしい。「人口が増える=建物が増える」とも言えるね)、ニュータウンに代表される住宅地が次々と開発された様子を考えてみよう。これでとくに不自然な点はないね。建物用地がミとなり、正解は2だね。

 

 

[30][ファーストインプレッション]問題文に「最後に」ってありますが、丁寧にこんなこと断らなくていいのにね(笑)図を複数用いた典型的な考察問題なんじゃないかな。ある程度は一般常識が問われることになるけれど、よほどひねくれた感性を持った人以外は十分ストレートに溶けるんじゃないかな。地理はなんやかんや素直な問題が多いと思うよ。

 

[解法]「この地域で今後生じると予想される問題」が問われている。選択肢を検討していこう。

選択肢1から。「空き家の増加」である。なるほど、この地域では今後は人口が減少し、空き家が増えていくのだろうか。逆にこの地域に転入してくる人もいるはずである。そういった人たちのために、賃貸物件をいかに効率的に紹介するかがカギとなりそうだ。「家主と入居希望者のマッチング事業を展開する」は、まさに効果的な取り組みだと思うよ。正文だね。

 

さらに選択肢2。「高齢者医療体制の逼迫」も今後生じるだろう。高齢者の数が増えること、そしてそれに対して十分な医療体制が整わない。高齢者1人当たりの病院の数が減ってしまう(言い換えれば、一つの病院がケアするべき高齢者の数が過剰となってしまう)。病院の数を増やすのが最も適切な対策となるが、それは簡単にはできないことだろう。「近隣地域の病院と連携して医療体制を構築する」ことはとても重要なことだと思う。これも正文でしょう。

 

選択肢3。「地域コミュニテイの衰退」も当然生じるべきことだろう。高齢者は増える一方で、全体の人口は減少することが予想される(おっと、グラフを見るのを全く忘れていたけれど、図5をみれば将来的な人口の減少がいかに深刻かはよくわかるね)。とくに高齢者が増えるのだから、若い世代の減少こそ著しい(こちらは図6の人口ピラミッドからよくわかる)。そうした場合に、地域の交流を維持するような住民の活動はどうなるだろうか。まさに地域コミュニティの衰退が進んでいくのだろう。その対策としてここで挙げられているのが「生涯学習と福祉の機能を複合した施設を整備する」ということ。なるほど、これはいいアイデアのような気がするね。「生涯学習」なのだから主に高齢者向けということになるが、まだまだ学習意欲の高い人たちなのだから、高齢者とはいえ元気だよね。こういったみなさんが新しい人間関係を構築し、それが地域交流の活性化にフィードバックされたら、それは地域全体にとって大きな利益だよね。さらに「福祉」ともある。さらにお年寄りになって、積極的にこういった学習に参加できないとしても、福祉という観点から地域での「助け合い」が深まれば、やはりお年寄りにとって暮らしやすい町になるんじゃないかと思う。すでに若い世代がほとんどいないことを想定したような内容だけれども、今は65歳以上の人でも元気な時代。生涯学習や福祉によって、その地域に住む人々の交流が活発になれば、厚い地域コミュニティは復活するんじゃないかな(もちろん、若い世代でも生涯学習や福祉は大切なことだよね)。正文でしょう。

 

というわけで最後の最後に選択肢4。こういった考察問題は選択肢4が正解の場合が多いが、この問題もそうだったのかな。文章を確認しよう。挙げられている問題点としては「年少人口の減少」がある。高齢化が進み、老年人口割合が上昇すれば、相対的に若年層の割合は下がり、出生率も低下する。年少人口率は下がるだろうし、地域全体の人口も減少しているのだから年少人口そのものも大きく減ってしまうね。一方で高齢者は増えるのだから、典型的な「少子高齢化」がニュータウンを多く抱える郊外の埼玉県でもみられるようになったということだろう。

 

この解決のために提唱されていることが「小規模な公園を撤去して防災拠点を整備する」とある。これはどういったことだろうか?たしかに、災害時の避難所として大きなスペースを利用することは大切だけれども、これが少子高齢化対策になるのだろうか。むしろ子育てのためには近隣に多くの公園があった方が子供を遊ばせやすいし、好ましいことなんじゃないか。公園の数を減らすことは、むしろ少子化対策とは反対向きのことだよね。というか、そもそも防災拠点をつくるために小規模な公園を無くすってどういうことなのだろう?具体的なイメージも湧かないし、それは誤ったことだよね(例えば、公園をつぶしてその跡地に津波タワー(津波の際に避難できる高い塔のような施設)を作るっていうのが具体的な例として思い浮かぶけれど、それは特殊な例だと思う)。むしろ、小規模でもいいから多くの公園をつくって、子育てがしやすい街づくりをすることが大切なんじゃないかな。この選択肢が誤りだね。