2024年地理B追試験[第3問]解説

<第3問>

 

[13][ファーストインプレッション]図をしっかり見ればわかる問題なんじゃないかな。特別な知識はおそらく不要でしょう。ゆっくりと時間をかけて丁寧に解こう。

 

[解法]図を見ながら、それぞれの文章を読解する。

選択肢1について。「海岸線が入り組んでおり」はまさにその通り。船が多く見られ「船着場」と「停泊地」もその通りだと思う。正文でしょう。

選択肢2について。「急勾配」とあるが、図の地域は平坦であり(地平線も見える)傾斜地はないよね。勾配は緩く、誤り選択肢となる。

選択肢3について。「軍事上の重要な拠点」はわからないけれど、ここでは「城壁」がキーワード。最近は「進撃の巨人」や「キングダム」などのマンガ・アニメで、壁で囲まれた都市の様子はイメージしやすいよね。こちらの図の都市にはそういった壁は存在しない。誤り。

選択肢4について。「中央広場」や「放射状・同心円状の街路」はみられないんじゃないかな。直線状の道路がいくつも走行し、どちらかといえば碁盤目状に近い街路区画となっている。誤文ですね。なお、中央広場を起点とする放射・同心円状の街路がみられるのは、政府機関を中心としたモスクワの都市区画。

 

 

[14][ファーストインプレッション]図を見る限り、他市区町村への通勤率と65歳以上人口の割合には反比例の関係がありそうだけど。おそらくどちらかの指標に注目すれば十分に解ける問題ではないかと推測します。

 

[解法]3つの都市の特徴を把握しよう。おそらく「(大都市圏内の)都心部」、「(大都市圏内の)郊外」、「大都市圏外」の3つのキャラクターが明確だと思う。共通テスト地理でよくみられるパターン。

 

まずアについて。「県庁所在都市」であり、「商業施設」や「行政機関」が集中するので「都心部」のキャラクターだろう。CBD(中心業務地区)が形成され、周辺地域から多くの通勤者が集まる。昼間人口の多い地区。

さらにイ。こちらはアの都市に接するとある。都心部に接するのは「郊外」だね。Aの都市を中心とする大都市圏の郊外に位置し、都心部に通勤する人々が住む。昼間人口は夜間人口より少ない。

そしてウ。「都市から遠い」とあり、こちらは「大都市圏外」と考えていいね。都心部であるAには通勤できないところ。仕事もないので若年層が転居しこの町を去る。老人が取り残され、過疎化が進んでいる。老人が多いが、彼らは他の都市へと通勤しないので、昼間人口と夜間人口の差はほとんどないと考える。

 

さぁ、これを頼りに解いてみよう。ウについては「65歳以上人口の割合」がわかりやすいと思う。これが最も高いCがウに該当するね。

さらに郊外がわかりやすいと思う。都心部へと通勤者が多く、つまり「他市区町村への通勤率」が高い。Aがイに該当し、3が正解。

 

さらに深掘りしていくと、Cは他市町村への通勤率が低い。高齢者が多く、そもそも通勤する人も少ないのだろうが、若者も小規模な事業所であったり、町の役場だったり、地元で働く人が多いんじゃないかな。他の大きな都市(Aのような)で働くならば、この町を出てしまうよね。

 

おもしろいと思ったのはA65歳以上人口の割合。こういった大都市圏の都心部では、居住環境の悪化(老朽化など)や地価の高騰で人口が流出し、(もともとの人口が多いこともあって)人口減少地域になることが多く、新しい住民が入ってこないこともあり、古くからの住民つまり高齢者が中心の住民構成になることが多かったのだが、それも1990年代までの話なのだろうか。1990年代以降はバブル崩壊による地価の下落があり、さらに規制緩和(タワーマンションの建設など)による再開発もあり、新しく住宅がつくられた。富裕層や若い世代を中心に転居してくる人々が多く、都心への人口回帰が明確にみられるようになった。現在(21世紀)はむしろ都心部だからこそ若年層が多く、高齢者の比率は低い地区も珍しくない。とくに東京特別区部にはこういったエリアが目立つね。このAという都市もその一つだろう。

 

 

[15][ファーストインプレッション]おっと、写真がない。でも文章読んだらしっかり解ける問題だと思いますよ。解いてみましょうか。

 

[解法]それぞれの文章を検討していく。

1について。これは図をみないとわからないが、とくに間違っていないんじゃないかな。アフリカ系の文化の影響を受けているブルースについては、やはりアフリカ系の人々が多く住む地区において特に盛んになっているんじゃないかな。

2について。これも図の判定が必要。よくわからない。「西方と南方に拡大」というのがよくわからないのだ。誤っているとしたらここ。

3について。これも図をみないと。「過半数」っていうのがどうなのかな。。。

4について。これももちろん図を見ることが必要なのだが、ブルースが一般的なものとなり、アフリカ系以外の人々にも受け入れられてきたとすれば、この選択肢は正しい。とくに単に「増えた」なので、一つでも数が多くなっていたら正文だものね。3の「過半数」との違いは注意。

 

というわけで、結局図をみなければわからなかったわけですが(笑)個人的な推理としては最も怪しいのは3、次いで2。この2つのうちどちらかが誤文であり、答えでしょう。1と4はとくに間違っている部分はないと思うよ。

 

 

[16][ファーストインプレッション]アラブ首長国連邦はトレンドの国ですね。この10年間で最もよく出題された国であり、テストの常連。ドバイを考えてくれたらいいけれど、外国から多くの労働力が流入し、建設業に従事している。ドイツとギリシャはいずれもヨーロッパの国だけれど、規模が違うね。人口規模や経済規模に照らし合わせて考えればいいんじゃないかな。

 

[解法]特徴的な国はアラブ首長国連邦。西アジア・ペルシャ湾岸の産油国であり、豊かなオイルマネーを有する。経済レベル(1人当たりGNI)は極めて高く、高賃金の雇用に溢れる。ドバイがアラブ首長国連邦の都市なのだが、多くの都市施設がつくられ、建設の仕事が多いのがわかるよね。インドやエジプトなど周辺の低賃金(1人当たりGNIが低い)国からの出稼ぎ労働者の流入が顕著。これを考えると、人数が多いこと、そして労働者となる男性が多いことからカがアラブ首長国連邦になるんじゃないかな。なお、アラブ首長国連邦のような西アジア産油国は多くの外国人労働者を迎え入れているが、彼らには国民と同じような権利は認められず、社会保障なども十分ではない。

 

残ったキとクは、ドイツとギリシャの1人当たりGNIとGNIの違いを考えればいいんじゃないかな。ドイツの方が1人当たりGNIが高い(賃金水準が高い)ので出稼ぎ労働者が流入しやすい状況にある。同じくドイツの方がGNIが大きい(経済規模が大きい)のでより多くの雇用があり、多くの労働者が流入するであろう。人数が多いキがドイツで、少ないクがギリシャ。

 

 

[17][インプレッション]よくある問題ですね。とくに最近この手の問題がよく出題されているような。母数がそもそも大きい東京と大阪の組み合わせを考えることが基本だと思う。おっと、よくみたら年齢別の移動だね。これについても「若者が移動する」というセオリーを当てはめれば判定が可能だと思う。

ちょっと難しいのが、広島からみて、人口移動が多いのは東京なのか大阪なのかということ。人口や経済の規模は大きいが距離が遠い東京、人口や経済の規模は小さいが距離が近い大阪、広島にとってよりつながりが強いのはどちらだろう?ただ、本問は広島を特定すればいいので、東京と大阪はどっちがどっちでもいいんだね。そこは簡単かも。

 

[解法]人口移動に関する問題だが、人口移動は経済的な理由であり「仕事を求めて」人々は動く。そのため、主に移動するのは若年層であり、高齢層の人口移動は少ない。JとKを比較し、人数が多いJを2024歳と判定。

さらにサ~スだが、そもそもの人口規模が大きい東京都と大阪府こそ移動する人口も多くなるだろう。サとシの間の人口移動数が特に多くなっているね。サとスのいずれかが東京都と大阪府になると考え、残ったシが広島県となる。

 

 

[18][ファーストインプレッション]本試験ではほぼ見られなくなった宗教に関する問題。ただ、宗教とはいえ教義の内容ではなく、それを信仰する人の数という統計的事例が問われている点がいかにも地理っぽい。倫理や公民とは違うのですね。

 

[解法]キリスト教の人口に関する問題だが、そもそものその地域の人口を考えてみよう。選択肢はアフリカ、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ。人口規模については、南北アメリカ10億人を中心に、ヨーロッパはそれよりやや少なく(7.5億人)、アフリカはやや多い(14億人)と考えてみよう。ここでは北アメリカと中央・南アメリカが分けられている。北アメリカはアメリカ合衆国とカナダであり、前者が3.4億人、後者が0.4億人なので、4億人に満たない数字となる。中央・南アメリカは、10億人からこの数字を差し引き、6億人程度。

この時点で、キリスト教人口だけで7億人を超える1に該当するのはアフリカしかないと判断できるのだが。ヨーロッパは移民系を中心に比較的イスラームも多く、そしてもちろん無宗教も一定数存在する。

 

さらに確認してみようか。中央・南アメリカは「ラテンアメリカ」と呼ばれるようにラテン系のスペインやポルトガルの侵略を受けた地域。植民地支配の過程において宣教師が送られカトリック化がなされた。カトリックの布教については軍事的な意味合いが強く(当時のイエズス会はむしろ軍事組織としての性格がある)、先住民の支配には現地のカトリック化は必須だったのだ。カトリックの割合が特に高い2が中央・南アメリカ。

その一方で北アメリカは「アングロアメリカ」と呼称される。アングロとはイギリス系のことで(アングロサクソン系)、主にプロテスタントであるイギリスからの移民によって植民地支配が進んだ。プロテスタントの場合は積極的な布教が行われるわけではないが、そもそもヨーロッパからの移民で成り立っているアメリカ合衆国とカナダであり、祖先代々の宗教(つまりプロテスタント)が引き継がれた。人口規模が少ない(キリスト教徒が2億人程度。アングロアメリカは前述のように4億人弱)ことからも4が北アメリカと判定できる。

3と4については正教がポイントとなる。正教は主にスラブ系の人々によって信仰され、それ以外にもギリシャなど。当地の民族信仰と合わさり、ロシア正教、ウクライナ正教、セルビア正教、ギリシャ正教などとなる。これらの国々はヨーロッパ以外に植民地や影響圏を持たず、正教の範囲はほぼヨーロッパ内にとどまっている。3以外には正教はほとんどみられず、3がヨーロッパとなる。先ほども行ったように、ヨーロッパ全体の人口は7.5億人ほどであるので、(キリスト教徒の人口が5億人ほどであることから)イスラームや無宗教は2億人程度存在しているのだろう。

よって残った1がアフリカとなり、人口規模(キリスト教人口7億人、大陸の総人口14億人)からみても妥当だろう。アフリカは北アフリカのアラブ系の人々や、彼らと交易の関係にあったサヘル地帯の人々やインド洋沿岸の人々にはムスリム(イスラーム教徒)が多いのだが、熱帯アフリカ以南の人々はヨーロッパ諸国の植民地となったこともあり、キリスト教徒が多い。また、これら3宗派に含まれない伝統的なキリスト教が広まっている地域もあり、その信者も多い。エジプト南部のコプト派やエチオピアのエチオピア正教など。