2013年度地理B追試家[第3問]解説

<2013年度 地理B 追試験 第3問>

 

[13][インプレッション]この話題だとモンゴルは鉄板だな〜。

[解法]ア;「馬」といえば「モンゴル」。

イ;ナンは小麦を原料とするもので、南アジアの少雨地域(インド西部、パキスタンなど)。

ウ;東南アジアは魚介類を料理に盛んにつかっているね。ナムプラーもタイのもの。③が正解。

[ひとこと]モンゴルの問題っていうか、一般常識的な料理の問題だったね(笑)

 

[14][インプレッション][13]に続いてタイとインドが登場してるね。センター地理で問われる国名は限られている。

[解法]サウジはイスラム教。1日5回の礼拝、聖地の巡礼がキーワードになるのはよく知られてるね。④が正解。

[ひとこと]宗教の教義が問われるのは珍しい。むしろイスラム教でよく登場するのは豚を食べないっていうネタだけどね。

参考までに。①がインド。カースト制度(あるいは最近はジャーティというべきだろうか。いずれも「階級」という意味です)。ところで、「ヒンドゥー教によってカースト制度が規定されている」と考えている人もいるかも知れないけれど、厳密には違う。そもそもカースト制度の方が古くて、その後からヒンドゥー教が成立している(牛を神聖視する考え方も同様)。だから、ヒンドゥー教、カースト制度、牛の神聖視はいずれもインドの伝統文化として、どれが最も大きな位置を占めているとかそういうことでなく、それぞれが並立しているイメージを持っておくのが正解。

②がイスラエル。ユダヤ教の考え方。

③が仏教。男子には出家の義観がある。信仰に男女の区別がなく、誰にでも礼拝や巡礼が求められるイスラム教(選択肢④の内容ですね)とは違っていることにも注意してみよう。

 

[15][インプレッション]最近よく見るパターンの問題だなぁ。でも家屋以外の部分を写真から読み取る問題なんじゃないかな。

[解法]これ、ちょっとわかりにくい。家屋だけでは判定が難しい。っていうかそもそも家屋以外で判定する問題なんじゃない・

カでは背後の急峻な山脈に注目する。新期造山帯の険しい山地がみられるのはMのアンデス高原。

キは右手後ろの樹木に注目。これはヤシだろうか。熱帯気候のLに該当。

クは手前の人物に。黒色人種(ネグロイド)だろう。サハラ以南のアフリカのNが該当。③が正解。

[ひとこと]実は地形、植生、人種の問題っていうのがおもしろい。

 

[16][インプレッション]ドイツの都市であるが、先入観は持たない方が良さそう。図をじっくり見て解いてみよう。

[解法]①が誤っているんじゃないかな。ドイツの都市には旧市街が保全されているものもあるけど、この都市についてはそうした例には当てはまらないみたいだね。街路網は変化している。

[ひとこと]旧市街が保存されている例が出題されると思ったらこっちかい!?意表は疲れたかな。思い込みで解かない方がいいね。

 

[17][インプレッション]「成長・衰退・再生」っていうのがいいね。オーソドックスな良問ではあるけれど、ちょっと雰囲気が個性的。

[解法]言葉の定義は確実に。スプロール現象は郊外における無秩序な開発。「大規模なニュータウン」は計画的に建設されるものであり、これには該当しない。

[ひとこと]文章読解問題と思いきや、実は用語問題だったりして。この第3問ってちょっと変わった問題が多いな。

 

さらに。スプロール現象ってちょっと捉えにくいものだよね。センターで出題された場合には「郊外における乱開発」と考えればいいし、ポイントも「郊外←→都心部」、「乱開発←→計画的」みたいな部分に注意すれば解答できるのでそんなに厄介でもないんだけど、でも、実際にどういうことかって考えたら、かなりイメージしにくい。

スプロール現象とは実は経済用語なのだ。広い範囲に住宅地が点在していたら、それぞれに対し道路を作ったり、下水道や電線などの整備を行わなければならない(インフラ=生活基盤)。これってかなり無駄なことだと思わない?だから住宅地を一カ所に集めて、それに対しインフラを整備してあげたらいい。そうなると効率的な都市計画ができるから、鉄道やバス路線、学校などの公共機関などさらに整備する余裕が生まれるかもしれない。スプロール現象によって自治体や企業が無駄にお金を使わざるを得ない状況は避けるべきなのだ。

この考え方を徹底しておくと、スプロール現象の反対語をつかみやすいんじゃないかな。ボクの個人的な見解としては、「スプロール現象」の反対の概念として「ニュータウン」が該当すると思っている。そして、本問がその典型例なわけだ。

郊外に出かけた時に、大規模な住宅地を見つけ、その周囲にきれいな道路が整備され、バス路線(あるいは鉄道の駅)も設けられている様子を観察しよう。スプロール現象を防ぎ、(経済的な観点で)効率的な「まちづくり」がなされている。

 

[18][インプレッション]久々にボリュームというか迫力のある問題に出合った感がある。これ、問題解くのにかなり時間も手間もかかるけど、作った人の方こそかなりの時間も手間もかかってるよね。価値ある問題です。

[解法]表の意味を読み取ろう。

「食料品店への近接性が低い世帯人口」ってつまり「買物に不便なところに住んでいる人口」ってことだよね。全国で「263」万人が該当し、三大都市圏に「83」万人、それ以外に「180」万人。83+180=264

で、263万人のうち「122」万人が65歳以上人口。日本全体の約5分の1が高齢者である現在だが、この「買物不便人口」については半分近くが高齢者(122÷263=0.46)。高齢者は自家用車を持っていないなどの理由で買物が不便になっていたりするのだろう。

このことをふまえて選択肢をみていく。

①について。「中心市街地での生活環境の悪化が問題となっている」っていうのがよくわからないんだが、しかしここに下線がないということは、ここは正しいってことだよね。問題はそれより前の部分。でもこれってとくに否定はできなくない?たしかに郊外に移転する施設は多く、それが都心部の生活しにくくさにつながっているような。正文としておきましょうか。

②について。これは上ですでに説明しているね。40%以上は占めています。

③について。三大都市圏では「自家用車所有率が高い」のだろうか?地価が高く、公共交通機関も発達している東京都や大阪府は全国でもとくに自家用車保有率が低い地域である。三大都市圏で相対的に「買物不便人口」が少ないのは、人口密度が高いため商店が徒歩圏内にあったり、そうでなくとも公共交通機関を使えば容易に買物に出かけられる環境にあるからだろう。これが正解。

④はもう判定する必要はないが、たしかにそう言えるだろうね。

[ひとこと]表の読解は実はさほど必要でなかったんだね(笑)。でもボクは好きな問題です。