2006年度地理B本試験[第3問]解説

2006年地理B本試験[第3問]

 

問1

[講評]あからさまなプレートテクトニクスの問題でちょっとセンター試験っぽくないかも。しかし海溝の位置はそもそも非常に出題率の高い話題であるし、難しくはない。海嶺にしても05年に取り上げられているし、地理Aでは位置も問われている。そういう意味では非常にオーソドックスな問題といえる。

 

[解法]日本付近に多いものが「海溝」。Bがウに該当。プレートの「狭まる境界」という言い方もぜひ知っておこう。

アイスランドを知っておくといい。これはプレートの「広がる境界」である海嶺(大西洋中央海嶺)上に形成された地形(火山島。しかし決して激しく噴火するような火山ではなく、溶岩台地といった方が適切)。よってAがイに該当。「割れ目に沿ってマグマ」とはまさにアイスランドのこと。

消去法によってCがアに該当。プレートが横にずれる断層については、センターレベルでは知る必要はない。

 

[関連問題]海溝・海嶺ともにその位置が出題されることが多い。

05B本第1問問1参照。海嶺の位置が図に示されている。おそらく本問への直接の伏線となった問題だと思う。センター試験の連続性というものがここでもみられる。

01B本第1問問1参照。東南アジアのスマトラ海溝が問われている。またフィリピン海溝も取り上げられている。

03B本第5問問2参照。太平洋の周囲に海溝がみられることが問われている。

02B本第1問問1選択肢1参照。アイスランド島がプレートの境界に位置することが述べられている。

02A追第1問問3参照。インド洋西部海溝の位置。

 

[今後の学習]プレートテクトニクス理論自体あくまで仮説に過ぎず、例えばシステムなどのような突っ込んだ話題まで出題されることはないだろう。今回のように、どこに何がある?といったような表面的な事柄だけ知っておいたら十分。

まず簡単なセオリー。「海溝とはプレートの狭まる境界で、海嶺とはプレートの広がる境界」。この2つを混乱させて出題されることが多い。「狭まる」「広がる」という言い方を必ず知っておくこと。

それから分布域について。「海溝は主に太平洋周辺、海嶺は各大洋の中央に近いところ」。とくに日本周辺には海嶺はみられず、海溝のみが存在することを知っておく。海溝の分布は、日本・フィリピン・ニュージーランド・南米・アラスカの周辺海域など太平洋沿岸地域を中心として、さらにインドネシアのスマトラ島沖やカリブ海のプエルトリコ周辺のように一部はインド洋や大西洋にもみられる。

海嶺は、最も代表的なものとして大西洋の中央部を縦断する大西洋中央海嶺を必ず知っておこう。この上に火山島(激しい爆発をするわけではないので溶岩台地といった方がいいだろうが)のアイスランド島が乗っていることはあまりに有名。そもそも南アメリカ大陸とアフリカ大陸はかつて陸続きだったといわれており、ここを境界として2つの大陸に分裂していったという地球の歴史がある。これ以外にも、太平洋東部やインド洋西部にも海嶺がある。

さらに発展としてこのようなセオリーを頭に入れておくといい。「プレートの狭まる境界にみられる地形は海溝と褶曲山脈。プレートの広がる境界にみられる地形は海嶺と東アフリカ大地溝帯」。

海洋プレートと大陸プレートがぶつかっている境界部には海溝がみられる。例えば日本海溝は、海洋プレートである太平洋プレートが、大陸プレートである北アメリカプレート(東日本が含まれる)の下にもぐりこむことによって形成されている。それに対し、大陸プレート同士がぶつかる境界部には褶曲山脈がつくられる。例えば世界最大のヒマラヤ山脈は、ユーラシアプレートとインド・オーストラリアプレートという2枚の大陸プレートが衝突する部分に形成された巨大な褶曲山脈である(なおこういった褶曲山脈には火山は存在しないので知っておくといい)。

プレートの広がる境界が海底にある場合には海嶺となる。地下のマントルで形成されたプレートが一旦上へと持ち上げられて、両側に広がっていく。新しくプレートが生まれるところなのだ。これに対し、そういったプレートの生まれる部分が陸地にある場合にはこれは地溝となり、君たちは東アフリカ大地溝帯のみを知っておけばいい。一枚のプレートであるアフリカ大陸であるが、最近になって両側へと開いていくような動きがみられる。遠い将来にはアフリカは2つに分裂し、この間に海洋が生じるはずである。

 

問2

[講評]断面図問題。どうも今年はこのパターンがずいぶん目立つんだが。実はこれ、案外と難しい気がするんだが、みんなスムーズに解けたのかな。

 

[解法]インド北部にみられるヒマラヤ山脈は最高峰のエベレストが標高8000mを超えるなど、世界で最も標高の高い山岳地域。このことをまず目安として考えるのだが、たしかに①~④まで全てに標高6000mに達する急峻な地形がみられるので、ここまでは適当。

ただしその位置や範囲が異なってくるんだよなぁ。①はどうだろうか。いくら何でも山岳地域の範囲が広くないか。断面図から類推するに、北緯50°ぐらい(イギリスやイルクーツクとほぼ同緯度)から標高の高い地形が始まっているようだ。さすがにこれではないだろう。②も違うよね。これも北緯50°辺りが急峻で逆にインド方面がなだらかな地形。消去しましょう。

残るのは④のみである。標高6000mに達するヒマラヤ山脈やそれに匹敵するチベット高原とクンルン山脈。その北側(P寄り)は標高が低く、これがタリム盆地。そしてその北方で再び標高が上がり、4000mを越える高山があるが、これがテンシャン山脈などの知っておくといいだろう。古期造山帯であり、普通なら侵食が進んだ分だけなだらかな山容となるのだが、この山脈は違う。侵食された後に、近年になって激しい断層活動によって大きく持ち上げられた断層山脈なのだ。それゆえ両側は切り立った急崖となっており、まさに見上げるほどに高い「天の山」となっているのだ。

 

[関連問題]直接的な関連問題、というかはっきりいってほぼ同じネタが出題されているものとして02B本第3問問1があるので参照してみよう。本問のP-Qのラインはおおよそ東経85度の経線なのだが、この02年の方では東経80度に沿った断面図が取り上げられており、これはほとんど同じと思っていいだろう。チベットやヒマラヤ山脈が重要なヒントとなっている点も共通している。両方の断面図を比較してほしい。そしてとくにこの南アジア地域の断面図が非常に特徴的なものであることも確認してほしい。

他の断面図問題も挙げておこう。

04B追第2問問1参照。赤道の断面図。経度0度の位置を指摘するのだが、大西洋の幅の狭さやアフリカ大陸の形状などがポイントとなっている。

05B本第3問問2参照。中国の断面図。チベット高原の標高の高さ(イ)とその北側の低さ(ア)。

さらに、本問を解くうえで最も重要なポイントはヒマラヤ山脈とチベット高原の存在であることは間違いないわけだが、05B追第1問や00B本第5問のようにほぼ大問全体にわたって大きくこれらの地域が扱われたこともあり、非常に重要性の高い地域である。本問と最も関連性の高い問題としては93本第1問問7がある。古い問題だが興味深いので参照してみよう。図4を参照すると、c(ヒマラヤ山脈)が最も標高が高く、b(チベット高原)やc(クンルン山脈)も高峻な地形。その北側のタリム盆地の標高は低いが、a(テンシャン山脈)は断層活動によって持ち上げられた山塊であり、古期造山帯ながら標高は高い。

これ以外にも、03B本第1問問3や02B本第3問問5など、チベットやヒマラヤの自然環境がカギとなる問題は多い。

 

[今後の学習]これが本当に悩むんだよなぁ。どうしたもんだろう。もちろん「地図帳を普段から持ち歩き、小まめに目を通しておきなさい」なんて

しかしそんな風に「地図を見る」なんて学習法をしていたらキリがないし、効率も悪い。う~ん、どうしたもんんなのかなぁ。ヒマラヤやチベットは出題率も高いし、これを知っとけとしか言えないなぁ。

 

問3

[講評]昨年ちょこっと名前だけ出てきて我々を慌てさせたケッペンの気候区分であるが、やっぱりそれが全然関係なかったことがこの問題によって立証された。ケッペンの気候区分に当てはめてしまうと、イルクーツクは違うけれど、エドモントンとモントリオールは同じ気候区に該当し、これに従って考えると解答不能となってしまうわけだ。むしろケッペンの気候区分など不要ですよ、っていうセンター作成者からのメッセージのような気すらして僕は痛快なわけです(笑)。

 

[解法]イルクーツクが重要。ここはシベリア高気圧の影響で冬季の降水量が極めて少ない。よってクがイルクーツクとなる。あるいは別解として、この地域に「北半球の寒極」となる場所があることを知っておいてもいいだろう。最寒月である1月の平均気温が最も低いことからクをシベリアのイルクーツクと判定してもいい。

モントリオールとエドモントンに関しては勘で解くしか仕方ないでしょう(笑)。海に近くて水蒸気の供給も十分にあるモントリオールは全体的な降水量の多いカに、ロッキー山中で海から隔絶されたエドモントンはやや降水の少ないキに、それぞれ該当する。またキの方がやや気温が全体的に低めのようだが、これはエドモントンの標高が高いからではないか(ロッキー山脈の存在)。

 

[関連問題]01B追第1問問2参照。ウラジオストクの気候グラフ。沿岸部ではあるがシベリア特有の気候パターンが現れている。冬季は内陸部からの季節風(もちろん乾いている)が卓越し、少雨である。

02B追第2問問6参照。「シベリア内陸部では、水蒸気量が少ないので、低温にもかかわらず降雪量が少ない」という記述がある。シベリアの冬の少雨の最大要因は、空気が収縮することによる高気圧の発生だが、もちろん海から遠く離れていて水分そのものの供給が少ないことも挙げられる。

05A本第1問問3参照。季節風の影響を受けるウラジオストクは比較的気温年較差が大きいことが取り上げら得手いる。もっとも、冬季に降水量が少ないということは問われていないが。

エドモントンとモントリオールの自然環境については過去に出題例はない。

 

[今後の学習]シベリアの冬の気候についてきちんと理解しておこう。温暖な偏西風も及ばず、海洋からも遠く離れたシベリアの内陸部においては典型的な大陸性気候がみられる。夏季の気温は比較的高いものの(意外に人口規模の大きな都市もあり、農業は十分に行われている)冬季は極端に低温となる。冷却された空気は収縮し、高気圧となる。上昇気流の発生は抑えられ、非常に雲の生じにくい大気の状態となるわけだ。世界で最も特徴的な気候(というか降水)パターンがみられる地域の一つでもあり、必ず知っておこう。

また、モントリオールとエドモントンの比較はどうしても難しいのだが、これはその場で勘で解くしかないということで(笑)。ま、出題者側もそんな感じで解かせようとしていると思うよ。

 

問4

[講評]難問だったのかな。ちょっと手こずった人が多かったみたいだね。まぁたしかにちょっと今までのセンター試験とは雰囲気は違うような気はするけれど、大ざっぱに解いてしまった方が案外簡単に正解できちゃうんじゃないかな。

 

[解法]エルニーニョ現象=水温上昇であることはいうまでもないよね。で、エルニーニョ現象の発生域は南米大陸西岸から太平洋東部海域の低緯度一帯。国名でいうならばペルーの沿岸からエクアドルのガラパゴス諸島付近まで。

このことが意識できていればさほど難しい問題ではない。選択肢④参照。「ペルーでは低温少雨」とあるが、これがおかしいんだ。ペルー沿岸部は寒流であるペルー海流の影響によって、低緯度のわりにはそもそも「低温」なのだ。さらにこれにより大気が安定し、降水量ももともと少ない。このようなペルー沿岸部における気候環境を理解しておけば、④を誤りと判定することは難しくないだろう。もともと「低温少雨」なペルー沿岸に、エルニーニョ現象が起これば、水温上昇に伴って海面からの蒸発量も増加し、降水量が多くなる。

選択肢①②③については検討の必要はない。エルニーニョ現象は先にも述べたように太平洋の南米大陸沿岸でこそ顕著な現象だが、これが世界各国のさまざまな自然現象にも結びつくわけで、①②③のようなこともあり得るのだなというぐらいに認識しておけばいい。とにかく④が決定的に違うということでこれを解答とすること。

 

[関連問題]エルニーニョ現象について。

01B追第3問問5参照。エルニーニョ現象発生時の海水温と風の変化について。風については水温差が気温に影響を及ぼし、それが気圧差を生み風向や風力に作用することを想像すればいいので、とくにエルニーニョ現象についての知識が問われているわけではない。ここでは「エルニーニョ現象=海水温上昇」ということだけをしっかり知っておけばいい。

ペルー海流については04B本第1問問3で出題されている。ペルー沿岸を寒流が北上。

リマ(ペルー太平洋沿岸に位置する首都)の気候グラフは、01A本第2問問1と99B本第4問問2で出題。緯度のわりに低温(低緯度で標高が低いのに、最高気温が20℃そこそこというのはやはり冷涼とみていいだろう)、そして少雨(というか全く雨が降らない!)。

 

[今後の学習]どうかなぁ?最近環境問題ジャンルからの出題がとくに増えているので、このエルニーニョ現象についても突っ込んで知っておくべきなのか?しかしそもそもその原因自体はっきりしていないので、突っ込もうにも突っ込みようがないのも事実。ここではとにかく「水温上昇」ということだけ知っておくこと。南米大陸の太平洋沿岸低緯度一帯はペルー海流の影響でもともとの水温は低いのだ。しかしペルー海流の影響が弱まるんだか何だか知らないけれど(笑)結果的に水温が上がって、それに伴い降水量も増加するので、そういった結果の部分だけ知っておけばいい。

っていうかさぁ、そもそもエルニーニョ現象に関する問題で、インドネシアとかオーストラリアとか東アフリカが問われると思う?いや、そりゃね、問題文には確かに「エルニーニョ現象にともなって」とあるけれど、センター試験レベルの問題で、そんな特殊な事例が問われるわけはないわな。僕なら「エルニーニョ現象?あ、ペルーしか話題にならないに決まってるやん。ほな④が正解」っていう感じで解答してしまうよ。それでいいやん(笑)。

 

問5[講評]まさか栗色土なんて問われるとは思わなかったなぁ!これは私大入試でもまずにお目にかからない。まぁ他の2つの土がわかればいいんで、栗色土にそんなにこだわることはないんだが、それにしてもセンター試験でこれまでにない出題パターンであることには間違いない。

 

[解法]成帯土壌というのは気候帯に沿って広い範囲に分布する土壌のことで、その地域の気温や降水量などの条件によってさまざまな土壌が生成されるわけだ。

まず基本的に押さえておきたいのがこの3つ。「熱帯=ラトソル。乾燥帯(砂漠気候)=砂漠土。冷帯=ポドゾル」。いずれも農業に適さない土壌である。このうち、ラトソルとポドゾルは湿潤地域に分布するという共通点があり、それゆえ酸性土壌となる。砂漠土は反対に乾燥地域に分布するためアルカリ性土壌となる。ラトソルは酸化した金属(鉄やアルミニウム)が含まれているため赤色の土壌となり、ポドゾルは色素の溶脱作用が進み灰白色の土壌となる。砂漠土は色は問われない。

そして同じく成帯土壌としては半乾燥土壌に分類される黒色土も重要。年降水量500mm程度の半乾燥地域に分布し、成帯土壌としては珍しく極めて肥沃となる。植物の生育によって(主に草原であるが)腐植土が厚く表面に層を成しているのだ。植物すら生育できない砂漠の砂漠土、降水量が多いために腐植が流されてしまう熱帯のラトソル、低温であるため植物が腐らない冷帯のポドゾルなどとは全く違った条件であることを意識しよう。この黒色土に分類されるものが、ウクライナのチェルノーゼム、北米のプレーリー土、アルゼンチンのパンパ土である。

以上の4種類が成帯土壌としては重要。これ以外のものは名前と大まかな分布域だけ知っておけばいい。温帯に分布する土壌が褐色森林土。日本の土壌はこれ。弱酸性の土壌である。ヨーロッパや北米などの温帯地域でも一般的にこの土壌が分布する。極周辺などのツンドラ地域に分布するものがツンドラ土。ツンドラとは「苔」の意味であるが、夏季のみ地表の氷雪が融解し、地面が蘚苔・地衣類によって覆い尽くされるのだが、この土壌がツンドラ土。

で、ぶっちゃけテストで問われるのはここまでだよ。本問では栗色土まで問われているけれど、それは消去法的に答えられたらいいと思う。スカンジナビアの冷帯地域にはポドゾル、フランスなど中部ヨーロッパの温帯地域には褐色森林土、残ったアフリカは栗色土という感じで。ちなみに栗色土は砂漠周辺の地域に分布します。年降水量250mmぐらいで、ちょっと短い草原っていう感じのところに。意外と肥沃な土なのかもしれないけど、そもそもの降水が少ないのでやっぱり農業に利用されるわけではないわな。

 

[関連問題]土壌の問題は例年1題ぐらいずつコンスタントに出題されている。

まずは成帯土壌に関する問題。気候帯に沿って広い範囲に分布。

05A本第1問問5参照。旧ソ連における成帯土壌の分布を問うもので、本問との類似性が大きい。北極海沿岸のツンドラ土、冷帯の広い範囲に分布するポドゾル、温帯地域の褐色森林土、黒海北岸から帯状に広がる黒色土のチェルノーゼム、それよりやや降水が少ない地域の栗色土、そしてシルクロード沿いの砂漠には砂漠土。成帯土壌はこのようにほぼ緯度帯に沿って帯状に分布することを知っておこう。

03B追第3問問1参照。温帯の褐色森林土、冷帯のポドゾル、そして北米中央部のプレーリー土が出題の対象。なお栗色土は名前だけ登場しているが、特に問われているわけではない。

02B追第1問問2参照。キはラトソル、クはポゾゾルの説明。色や化学的特性によって判別すること。

01B本第3問問4選択肢①参照。ツンドラ土はツンドラ地域。

98B本第1問問2参照。企業的穀物農業と黒色土壌の分布は結びつく。Pのプレーリー土、Rのチェルノーゼム。なおQにもこれらと同種の肥沃なパンパ土が分布している。

98B本第1問問7参照。「地力の低い酸性土壌」とある。これは熱帯地域に分布するラトソル。

98B本第5問問6参照。熱帯のラトソル、乾燥帯の砂漠土、冷帯のポゾゾル。それぞれ、熱帯=南アメリカ、乾燥帯=オーストラリア、冷帯=北アメリカと結びつける。

さらに間帯土壌について。母岩の影響を強く受けるもので、局地的に分布。

05B追第3問問2参照。ドナウ川に沿うハンガリー盆地に分布する肥沃な土壌レス。

05A本第2問問3選択肢②参照。レグール土について。インド半島に分布する黒色の土壌で、これは玄武岩が風化したものである。

03B本第1問問5参照。クの文章でハンガリーのレスが説明されている。

03B本第1問問7参照。黄河の作用によって華北平原に運搬された黄土(レス)について説明されている。

02B追第1問問2参照。カはレグール。

01B本第2問問4選択肢③参照。ハンガリー盆地のレス。

98B本第1問問1参照。Xの「水はけのよい肥沃な土壌」というのはレグール土のこと。

97B追第5問問4参照。地中海沿岸地域にはテラロッサ(石灰岩の風化土壌)。

 

[今後の学習]栗色土まで出ちゃったからには、土壌は結構細かいものが出題されることを覚悟しておいた方がいいのかもしれないなぁ。とりあえず一気に覚えるのはしんどいやろから、今日のところは成帯土壌だけは完璧にしておこう。必須はラトソル、砂漠土、ポドゾル。そして半乾燥土壌(それゆえに肥沃土である)の黒色土グループ、つまりチェルノーゼム、プレーリー土、パンパ土。これらよりワンランク重要度が落ちるものとして褐色森林土。最後におまけ的に知っておくのがツンドラ土と栗色土。どうかな?なんとなくこんな感じで重要度ごとに分類しておけば、頭に入れやすいでしょ?

最後に。。。しかしよくよく見たらこの図ってどうもおかしくない?土壌って「点」じゃなくて「面」単位で分布するものだよね。図4ってどうも分かりにくいような気がするんだよね~。

 

問6

[講評]ほら、今回も来ました、ホイットルセー農業区分!いわゆる「ホイットルセー12人衆」を君たちはマスターしているだろうか。

 

[解法]Zの国(デンマークであるが)はバルト海に面している。バルト海沿岸でみられる農業形態は「酪農」である。選択肢④が正解。

選択肢①について。「混合農業」である。ヨーロッパにおける混合農業はジャガイモがキーワードの一つである。ドイツやポーランドにおいてジャガイモとライ麦を輪作し、豚を中心とした家畜を飼育する農業形態。

選択肢②について。「地中海式農業」である。ブドウがキーワードとなることが多い農業形態であるが、とくにヨーロッパにおいてはスペイン南部のオレンジやポルトガルのコルクガシもキーワードとなりやすい。「夏の高温乾燥」に耐えるように樹木栽培が基本となる。

選択肢③について。「遊牧」である。北極圏に近い冷帯や寒帯(ツンドラ地域)において営まれている。

 

[関連問題]ホイットルセー農業区分が問われた問題は多数あるのでその全てをここで紹介するわけにはいかない。「酪農」が取り上げられた例をいくつか挙げてみよう。

01B追第1問問3参照。「バルト海沿岸(リトアニア)」で営まれている農牧業は③の「酪農」である。

99B本第2問問5参照。ニューハンプシャー州とは北東部ニューイングランド地方に位置するのだが、ここは酪農地域に区分される。「乳製品」が生産されている。

99B本第4問問5参照。米国のグレートプレーンズ(中央平原)は酪農地域ではない。

なお、02B本第1問問5ではデンマークの農業について「国土の約7割を占める農地で畜産を中心とする農業が行われている」とあるが、これはあまり参考にしてはいけない。これに従うと、本問にしても答えがしぼりにくい。やはりここはホイットルセー農業区分を優先するべきなのだ。

 

[今後の学習]ホイットルセー農業区分は絶対に問われるから知っておかないといけない。とくに今回の問題ではその分布地域(デンマーク=酪農)が問われたわけで、ここではそれぞれの農業区分とそれがみられる地域とを一覧にしておこう。では、これが「ホイットルセー12人衆」だっ!

焼畑・・・高温多雨な気候環境つまり熱帯雨林。東南アジア、アフリカ中央部、アマゾン川流域。

遊牧・・・乾燥地域(ラクダ・羊が主だが、モンゴルなどでは馬も)、高山(チベット・ヒマラヤではヤク、アンデスではリャマ・アルパカ)、寒冷地域(トナカイ)。

オアシス農業・・・砂漠だが、水が得られる地域。外来河川や地下水路などの利用。

アジア式稲作農業・・・中国南半~東南アジア~インド東半。日本では本州以南。モンスーンアジアが中心。年降水量は1000mm以上が目安。

アジア式畑作農業・・・中国北半、インド西半。日本では北海道。年降水量は1000mm未満が目安。

酪農・・・バルト海沿岸、北米ニューイングランド地方から五大湖沿岸、ニュージーランド。

混合農業・・・ドイツ・ポーランドなど中部ヨーロッパ、米国コーンベルト。

地中海式農業・・・地中海性気候が現れる地域。地中海沿岸(南ヨーロッパ・西アジア・北アフリカ)、米国カリフォルニア州、アフリカ大陸南西端ケープタウン、チリ中央部、オーストラリア南西部など。おおまかに、緯度35°一帯、大陸西岸という共通項がある。

企業的穀物農業・・・主に新大陸の小麦地帯。北米中央部、アルゼンチンのパンパ、オーストラリアのマーレー川流域。しかし旧大陸でもウクライナのチェルノーゼム地帯は企業的穀物農業地域に区分される。

企業的牧畜・・・主に新大陸の年降水量が500mmに達しない地域。

園芸農業・・・人口過密はオランダや米国メガロポリス。商業的に果実などが栽培される米国のフロリダ半島やメキシコ湾沿岸。

プランテーション農業・・・アジアやアフリカの熱帯亜熱帯地域。ヨーロッパにより植民地支配された。これ以外ではキューバや米国南部(ただし現在は変化しているが)など。