2013年度地理B本試験[第1問]解説
<2013年度地理B本試験第1問問1>
[インプレッション]
さあ、いよいよ2013年度のセンター試験の解説に取りかかります!ボクはセンター直後には問題は見ない。見てしまったら、やっぱり自分なりに分析してみたくなるじゃない?まだこれから生徒に直接会う可能性もあるし、あるいはこうしたネット上で情報をアップする場合もある。その際に「終わったこと」であるセンター試験についてごちゃごちゃ言うのは「今さら何を言うとんねん」的なことになる。生徒の国公立の志望も固まり、センターのことも忘れてきたであろう2月に 入ってようやく「解禁」となるのです。
さて、実際の問題に目を通してみよう。最初の問題(第1問)は必ず冒頭に図<<を伴うものであり、その図がその年度の問題全体の「顔」となるほど重要なものである。ボクも過去何十年かの問題は、本試追試地理A地理B含め頭に入っているわけだが、その認識の仕方っていうのはやっぱり第1問冒頭の図なんだよ ね。その試験の象徴である。
で、その図なんだが、ちょっと驚いた。っていうかすごく興味深かった。地球の風系を示したモデル図であり、まるで理科(地学)の問題なんだよね。このパ ターンってボクが作った模試にはしばしばあるものだから、まるでうちの予備校の模試みたくなってるんですが(笑)、もちろん理科的な思考が重要とされるセ ンター地理においては当然しかるべき問題なわけです。
この地球の風系の話題は1学期の前半に勉強するもので、生徒の中にはかなり忘れてしまっている人も多かったんじゃないかな。冬期講習では強調して扱った部 分なんで、講習さえ来ておいてくれたら何とかフォローはできていたとは思うんだが。地球の風系だけではなく、風系の季節的な移動まで踏み込んだ、教科書的 な勉強だけでは解答できない問題の代表例ですね。
[解法]
地球の風系に関する問題。地球と大気圏を示したこの断面図は見慣れておいて欲しいところ。っていうか自分で描けるようにしておいて欲しいな。
正文判定問題なのでちょっと難しい(3つの選択肢についてそれぞれ誤りを指摘しないといけないので。誤文選択問題はその手間が1つで済むので負担が少ない)のだが、理科的な問題であり、科学的・論理的に思考しやすいので、さほど難易度は高くないと思う。
本来なら選択肢の文章を先に読んでから解き方を考えるべきだが、せっかく図がおもしろいので、図自体を解析していこう。
まず赤道に注目。太陽から受け取る熱量が大きいため、大気の状態が不安定となる。地表付近の空気が暖められ、強い上昇気流を生じている。これが赤道低圧帯(熱帯収束帯)。
上空(というかほとんど宇宙だけど)に上った空気は、高緯度側へと移動する。やがて密度を増し(*)「重く」なった空気は下降気流となり、上空から地表付 近へと移動する。これが下降気流であり、このような動きがみられる大気の帯を中緯度高圧帯(亜熱帯高気圧)という。北緯30度、南緯30度付近である。
中緯度高圧帯は下降気流である。ここから低緯度方向、高緯度方向に空気が吹き出すのだが、前者が貿易風、後者が偏西風。貿易風は緯度30度付近から赤道方 向のエリアで卓越する風であり、偏西風は緯度30度付近から極方向のエリアで卓越する風。いずれも転向力(地球の自転によって生じる力。詳細は今回は関係 ないので省略)の作用によって、北半球の偏西風は南風から西風に変化し(南西風)、北半球の貿易風は北風から東風に変化する(北東風)。南半球の貿易風は 南風から東風に変化し(南東風)、南半球の偏西風は北風から西風に変化する(北西風)。
北極に注目。太陽からの受熱量が極少である。低温となった空気は収縮し、密度が高くなる。極高気圧である。ここから周囲に向かって風が吹き出す。これを極 風(極東風)といい、(やはり転向力の作用によって)北半球では北東風、南半球では南東風となる。なお、極高気圧においては空気の動きは下降気流となる。
緯度60度付近には前線が形成されている。これを寒帯前線という。低緯度方向からの暖気(偏西風)と高緯度方向からの寒気(極風)とがぶつかると、暖かい 空気が冷たい空気によって冷やされ、その境界面に薄い雲が生じる。これが前線。この緯度帯では湿った気候がみられる。空気の動きは上昇気流であり、そのた め寒帯前線のことを高緯度低圧帯ともいう。
(*)赤道一周は約40000kmであるのに対し、緯度25度付近の一周は約35000km。40000kmから立ち上った空気が、35000kmの範囲 へと押し込まれることをイメージしよう。体積が小さくなるので密度が増す。つまり重くなるので、空気はバランスを崩し下降する。下降気流が卓越する緯度 25度付近の気圧は高くなる(中緯度高圧帯の形成)。
以上の基本的な理論を参考にして、1、3、4の選択肢の文を検討していこう。
まず1から。「北極と赤道付近は、いずれも高圧帯となっている」とある。ここは太陽からの受熱量が大きい地域で上昇気流が卓越。「低圧帯」である。誤り。
3について。「北緯30度付近から高緯度側へ向かう大気の流れは、極東風とよばれる。」とあるが、極東風は誤りで「偏西風」である。
さらに4。「北緯30度付近では下降気流が卓越」は正しい。しかし次の「湿潤」はどうだろうか。湿潤とは「蒸発量より降水量が多い状態」のことで、降水量 が多い地域(例えば、赤道低圧帯によりスコールに見舞われる赤道直下など)や蒸発量の少ない地域(例えば、気温の低い高緯度地域など)では湿潤となりやす い。湿潤には「乾燥」という反対語が存在し、乾燥は「降水量より蒸発量が多い状態」のことで、気温が高く降水量が少ない地域では乾燥しやすい。北緯30度 付近は高圧帯が形成され、降水量は少ない。緯度的に考えても気温は十分に高いだろう。湿潤は誤りで「乾燥」が正しい。
よって残った2が正解となる。2についてはこの図から判定できる内容ではなく、問題としてはどうかと思うのだが、また他の機会で解説するので、今回は省略。
[ひとこと]
地理を理系的な思考で捉える。
<2013年度地理B本試験第1問問2>
[インプレッション]
これ、すごく難しいんですけど!?土壌の問題は例年必ず一つずつ出題されている。ただ、その難易度が例年少しずつ上昇しており、今や土壌に関する問題の難問度の高さは全ジャンル中でも際立っている。とくにこの問題は気候区分や緯度にまで言及しており、さらに混乱の度合いが高まる。もっとも、ケッペンの気候区分が問われているような印象も受けるが、何度も指摘しているようにケッペンの気候区分は(あれだけ教科書では強調されているにもかかわらず)センター地理ではテーマとされない。本問にしても気候区分にこだわると逆に失敗する。サバナなどの用語を気候区分とは解釈せずに「植生」として考えることが必要となってくる。サバナにしても「サバナ気候」を考えてはダメで、「サバンナ」つまり熱帯草原(キリンとかゾウがいる感じね)をイメージすることが大切。
[解法]
まず土壌について考えよう。土壌には気候帯に沿って広い範囲に分布する成帯土壌(温帯の褐色森林土や冷帯のポドゾルなど)とピンポイントに局地的に分布する間帯土壌(レグールやテラローシャなど)があるが、今回は成帯土壌に限定されている。
大まかに気候帯と土壌との対応を下にまとめた。
気候帯 | 名称 | 化学的特性 |
熱帯(熱帯雨林・サバンナ) | ラトソル | 湿潤土壌(酸性) |
乾燥帯(砂漠) | 砂漠土 | 乾燥土壌(アルカリ性) |
乾燥帯(年降水量250mm程度のステップ) | 栗色土 | 乾燥土壌(アルカリ性) |
乾燥帯(年降水量500mm程度のステップ) | 黒色土(チェルノーゼム・プレーリー土・パンパ土) | 半乾燥土壌(弱アルカリ性) |
温帯 | 褐色森林土 | 湿潤土壌(弱酸性) |
冷帯 | ポドゾル | 湿潤土壌(酸性) |
寒帯(ツンドラ) | ツンドラ土 | 湿潤土壌(酸性) |
各選択肢を検討。1について。「栗色土」と「ステップ」で妥当。2について。「砂漠土」と「無植生」で妥当(*)。3について。「ラトソル」と「熱帯雨林」で妥当。4について。「ラトソル」と「サバナ」で妥当。つまり、実は土壌は全て正しいのだ!
それならば、どこがポイントになるのだろうか。アフリカにはステップと呼ばれる草原地域はあるし、南アジアにもインド西部からパキスタンには砂漠が広がる。東南アジアにはもちろん熱帯雨林も広がるし、南アジアに熱帯草原つまりサバンナは当然みられるだろう。
では、どこが違うんだ?最後の切り札、「赤道から北緯20度までの範囲」という地域指定しかポイントがないのだ!
図で確認していこう。赤道はわかるよね。シンガポール〜アフリカ中央部〜南アメリカ大陸北部を通過する。そして「緯線は20度間隔」という注釈を参考にして、そのエリアを確認する。そうするとどうだろう?ボクはインドに注目するのだ。先に述べたように南アジアは確かに乾燥地域は存在するのだが、それはインド西部からパキスタンにかけて。北緯20度までの地域にそれは該当するだろうか?インド半島の西岸にしても、ムンバイの気候(**)を考えればわかるように、降水量は多い。この地域が乾燥しているとは思いにくいし、「無植生」つまり砂漠とは思えないのだ。「砂漠土」も分布せず、2が誤りとなる。これ、難しいや。
ちなみに、ボクがちょっと気になった部分。今さりげなく流してしまったけれど、選択肢4が気になる。南アメリカ大陸の赤道から北緯20度の間の植生について、赤道直下は熱帯雨林でいいのだが、北緯30度に近いベネズエラ北部などは典型的な熱帯草原となっている(サバンナ)。この地域の熱帯草原のことを特別に「リャノ」と言ったりする。これ、良かったら地図帳で確認しておいてください。オリノコ川っていう川があるんだが、この流域の低地がリャノと呼ばれている。牛などが飼育されているのだが、雨季には増水し一面が水浸しになるので、家畜はやや小高い丘などに移動し、水没を免れるのだそう。リャノはかつて一回センター試験に登場している地名なので、今後も出題されるかもしれない。
「リャノ=熱帯草原」とインプットし、熱帯草原をサバンナ(サバナ)と考える。
(*)「無植生」とは砂漠のこと。表面を覆う植生がみられない状態を砂漠という。砂漠を地形用語(例えば一面が砂で覆われているような地域)と勘違いしている人がいるが注意するように。砂漠は植生(植物)用語である。「植生なし」を砂漠という。
(**)雨季と乾季の違いが明瞭だが、年間を通じると降水量は多い湿潤気候。ムンバイの気候グラフは重要である。季節風の影響が大きい。
<2013年度地理B本試験第1問問3>
[インプレッション]
ずいぶん雑な気候グラフ(笑)。それにしてもこのように気温のグラフだけが示され、降水量が省略されているパターンって結構珍しいと思う。気候グラフを考える際に降水量を重視してしまう人がしばしばいるが、それは誤り。気温の高低を中心に考えるべきなのだ。太陽から受け取る熱量を考え、それに大陸性気候と海洋性気候の違いを加味する。さらに風や海流、標高などさまざまな要因を合わせ、各地の気温を想像しよう。
[解法]
緯度が近い3地点の気温判定。原則として緯度が近ければ、太陽から受け取る熱量もほぼ等しいため、気温も大差ないものとなる。ややB地点が高緯度のようであるが、AやCと際立って違いがあるというほどでもないだろう。
ただし、本問についてはサンフランシスコ(A)やシカゴ(B)が問われている時点で、思考問題というより知識問題である。アメリカ合衆国においてこの2つの都市は、具体的な気温の様子を絶対に知っておくべき都市なのである。
まずサンフランシスコ。一般的には地中海性気候と覚えられる都市であるが、ポイントはそこではない。海洋性気候がみられそもそもの気温年較差が小さいことに加え、沿岸を寒流(カリフォルニア海流)が南下し、夏季の気温の上昇が抑えられている(*)。最暖月平均気温はせいぜい17℃までしか上がらない。イがAに該当。なお、最寒月平均気温も8℃ほどで、ほぼ同意度に位置しながら東京(最暖月平均気温25℃、最寒月平均気温5℃)とは大きな違いがある。
さらにシカゴ。ここは日本の札幌を考えたらいい。札幌は最暖月平均気温25℃、最寒月平均気温−5℃。とくにこの−5℃というのが重要で、北海道の湖沼や港湾は冬になると凍結するのだが、シカゴが近接する北米五大湖も同様に冬季凍結する。アがBに該当する。ところで「シカゴ=札幌」っていうイメージはつかみやすいんじゃないかな。ともに農業の街であるし、周辺の農業地域から農畜産物が集まっている様子を考えてみよう。
(*)一般に寒流はクーラーを想像する。夏の気温が冷涼となる。
[ひとこと]
気候は数字を覚える!
<2013年度地理B本試験第1問問4>
[インプレッション]
西インド諸島に関する問題。マイナーな地域ではあるんだが、授業では意外と強調している部分でもあるんで、何とかなったんじゃないかな。
[解法]
海溝の位置っていうのは結構出題されたりもするんで、絶対にチェックしておくべきなんたよなぁ。原則として海溝は太平洋の外縁部。日本からフィリピン、ニュージーランド、南米など。ただし2つほど例外があって、一つはインドネシアのスマトラ島やジャワ島の南岸に沿う海溝で、これはインド洋に含まれる。もう一つはカリブ海の西インド諸島にみられるもので、こちらは大西洋。Mの地域はこれに該当しているね。「海溝」をキーワードとして4が正解。
なおここでは「島弧」にも注目。島弧というより弧状列島といった方がおなじみかな。海溝に並行するように火山の活動が活発となり、それに沿うように島々が円弧状に居並ぶ。千島列島から日本列島、南西諸島など日本の形状を考えればいい。海溝・火山・弧状列島の組合せ。西インド諸島の島々もそれと似ているとは思わない?選択肢4の文章は、そのまま日本にも当てはまるのです。日本周辺の島々と西インド諸島の相似性にも注目しよう。
J(アイスランド)が2。大西洋中央海嶺上に形成された火山島。こちらは「海嶺」であり「海溝」ではないことに注意。
Kは1。温暖な海域にはサンゴ礁(隆起サンゴ礁)の島々が多く、そうした土地は標高が低いため、海面上昇の影響を受けやすい。ツバルやソロモン諸島など。
L(メキシコ湾沿岸)は3。北アメリカ最大の油田地帯。油田に位置する都市としてニューオーリンズがしばしば出題される。
[ひとこと]
海溝の位置は重要!
<2013年度地理B本試験第1問問5>
[インプレッション]
エスチュアリーの登場っていうのがちょっと厳しいかな。とくにこの文章のエスチュアリーの説明は難しい。エスチュアリーについては「三角江」という言い方で覚えるべきで、河口付近が沈降し、ラッパ状の入り江となったもの。水深が十分であり、天然の良港が立地しやすい。ロンドンという巨大な港湾都市を有するテムズ川のエスチュアリーが有名ではあるが、他にはブエノスアイレス港の面するラプラタ川のエスチュアリーなど。
[解法]
カはフィヨルド。氷河の侵食谷(その断面の形状からU字谷と呼ばれる)に海水が浸入することで形成された細長い入り江をフィヨルドという。かつて氷河に覆われていた高緯度地域特有の地形である。ここでは南アメリカ大陸南端のRが該当。
クは三角州(デルタ)。河川の運搬した土砂(主に目の細かい砂泥)が沿岸の浅海に堆積することで陸化する。QとSが選択肢となるが、Sはエスチュアリー(三角江)であり、三角州には該当しない。よってQが該当。
[ひとこと]
三角州と三角江は対比される対象である。
<2013年度地理B本試験第1問問6>
[インプレッション]
この形式の設問、去年も登場しているのだが、あいまいで解きにくい。あまり好ましいものではないな。たまたまある作問者が2年続けて担当しており、その人の趣味でこういう形式の問題が作られただけなんだろうと、とりあえず考えている。来年度もこのパターンがあったら厳しいな。
[解法]
そもそも「自由地下水」っていう言葉が聞き慣れないもの。地学ならば自由地下水と被圧地下水の定義には触れてもいいと思うんだが、地理のレベルで自由地下水を強調していいものだろうか。
地層ってみなさんわかります?地面の下に土砂がいくつもの層を成して積み重なっている様子。たとえばケーキを想像してください。スポンジの部分があり、その上にクリームが乗っていて、さらにその上にスポンジ、さらにクリーム、そしてスポンジみたいに、段々に重なっているよね。地面の下にそういった層があることを考える。
で、スポンジは目の大きな土砂(レキや砂利など)からできている地層と考え、ここは目が粗い分だけ水を含むことができる(目の大きなザルは水を通すよな〜って考えてくれたら十分)。透水層という。逆にクリームは目の小さな土砂(泥や粘土など)からできている地層と考え、こちらは水分を通さない(ビニールとかゴムシートとか考えてみよう)。不透水層という。
で、土中に地下水が含まれているのだが、一番上のスポンジの層に含まれているものが自由地下水。下はクリーム(不透水層)によって支えられており、その上に水が乗っている。クリームを挟んだ下のスポンジに含まれているのが被圧地下水。こちらは上下をクリームによって遮られていて、他に逃げ場がない。同じスポンジの層(透水層)の中を横方向に移動するだけ。
これだけ読んでみても、被圧地下水って特殊ってわかるでしょ?土中に閉じ込められた地下水っていうこと。つまり一般的な地下水は自由地下水であり、わざわざ「自由」って断る必要もない。被圧地下水だけ強調しておいて、それ以外は全部普通の地下水つまり自由地下水と考えればいいっていうこと。
このことを頭に入れてaとbの文を確認していこう。
Xの地域はイラン高原。ここはオアシス農業地域で伝統的な灌漑農業が行われている。オアシス農業で栽培される作物はナツメヤシが主であるが、小麦も栽培される、とくにイラン高原は小麦の原産地でもある。カナートと呼ばれる地下水路が用いられていることはよく知られているだろう(*)。山麓の地下水を、遠方の集落や耕地へと導いている。aは正文とみていいのではないだろうか。なお、ここで「自由地下水」という言葉が登場しているのだが、上でも述べたように特殊な意味はない。考慮しなくていいだろう。
Yの地域はオーストラリアの大さん井盆地。オーストラリアを人間の上半身に例えると、左胸すなわち心臓の部分に当たる。ここは傾いた斜面に被圧地下水が含まれている。井戸を掘り抜くことによって地下水が得られ、それが周辺での家畜飼育に利用されている。企業的牧畜地帯である。ただしここからがポイント。企業的牧畜で飼育される家畜には2種類あり、それは牛と羊(どうでもいいがなぜこの問題では両者ともカタカナになっているのだろう?)。牛はより湿潤の度合いが高い地域で飼育され、オーストラリアにおいては例えば北東部のグレートバリアリーフに沿う一帯で主にみられる家畜は牛である。ここは暖流の影響によって降水量が多い。羊はより乾燥の度合いが高い地域で飼育され、ステップ地域など。羊は乾燥に耐える家畜なのである。
このことを考えると、そもそも環境条件が異なる牛と羊が同じ地域で飼育されている点に疑問を感じる。大さん井盆地は降水量の少ない地域である。「ウシ」は飼育されていないと考えるべきだろう。誤文。
ホイットルセー農業区分に関するワードは非常に重要。ここでは農畜産物。オアシス農業ならば小麦、企業的牧畜ならば牛と羊である。
(*)ちなみにカナートという言葉自体は問われていないことに気づいただろうか。カタカナ言葉はセンター地理では重視されない。
(**)ステップ地域とはいえ、温帯や冷帯に近いステップと、砂漠に近いステップとがある。前者ならば肥沃な土壌を利用しての企業的穀物農業地域となり、後者ならば大規模な草原を利用しての企業的牧畜地域となる。
[ひとこと]
自由地下水のような普段聞き慣れない言葉がキーワードになることは有り得ない!