<2025年/共通テスト[地理総合・探究]追試験・第2問解説>

<2025年地理総合第2問問1>


正解;③


Aの矢印を前方に伸ばし「視線」を定めよう。左奥に海が広がっているように見える。一方の右側は小高い陸地である。

①~④の写真の中央に縦線を入れてみよう・左側が海で右側に標高の高い陸地が見えるのは③だけである。これが正解。


他はちょっとわからないんですよね。。。いずれも左側に陸地が見えており似ているんです。②には左右に高架の道路が横断しているような(写真の左手にはっきり見える)。これが西瀬戸自動車道だとするとBが②なのかな。答えに関係ないしどうでもいいかな。



<2025年地理総合第2問問2>


正解;⑥


これは全くわからない。とりあえず次のように考えました。一応正解はできたけど。。。


ゆっくり解いていこう。まずは橋をチェック。1988年に開通したのが岡山・香川県間の瀬戸大橋(以後「瀬戸大橋」)。さらに1998年に兵庫・徳島県間の鳴門海峡大橋(以後「鳴門大橋」)が開通。同時期に兵庫県の本州部分と淡路島を結ぶ明石海峡大橋もつくられ、本州~淡路島~徳島が陸路でつながった。1999年には広島・愛媛間のしまなみ海道(以後「しまなみ」)も開通。以上の3つの経路が本州四国連絡ルート。


表で取り上げられているのは1995年と2015年。1995年の段階では瀬戸大橋のみ開通。やがて鳴門大橋としまなみが開通し、2015年にはその影響が現れているはず。


さらに表の交通手段を確認すると「幹線バス」と「幹線旅客船」がある。船ってかなり珍しいね。一般的に利用されているものなのだろうか。なおいずれも「通勤・通学目的を除く」とある。となると主に観光目的なのだろうか。観光客が船やバスを使って四国を訪れる。


ただ、ここでちょっと考えるのだが、四国へのルートは幹線バスと旅客船だけなのだろうか。というかこれらはむしろ特殊なものなのではないか。例えば瀬戸大橋は鉄道も通っていたはず。鉄道での観光旅行はひろく見られるものだと思う。


そして一般的な傾向としてやはり最大の交通手段といえば自動車である。世界のほとんどの国や地域で旅客輸送量や貨物輸送量が最大のものは自動車である。人々は自動車で移動し、そして荷物も自動車で運ばれる。


本問については「自動車」の代表例としてバスが登場しているが、むしろバスって特殊なんじゃない?最も多く利用される自動車は「自家用車」だよね。個人個人が所有する自動車に乗って本州から四国へと橋を渡る。


さらに言うならば航空機(飛行機)だって重要な移動手段だよね。とくに関東地方のような遠隔地から四国を訪れる場合は飛行機を使うことが多いと思う。


つまりこの表については取り上げられているのは2つの交通手段だけだけれど、実は「隠れキャラ」として自家用車や鉄道、航空機も含まれているということ(タクシーもあるかな?でもタクシーは少人数だと思うので考慮に入れなくていいでしょう)。このことを頭に入れて考えてみよう。


まずは総数に注目。全体的にみてFの数って他の県に比べて少ないと思わない?そもそもの訪問者が少ないことも考えられるけれど、例えばこの県に行く一般的な手段としては航空機がメジャーなんじゃないか。空を飛んでくるのだから橋の存在は関係ない。四国の中で最も遠く、航空機での移動がベターな県として「高知県」がこれに該当すると考える。


ちょっと強引だけれどもこれは仕方ない(涙)。本問は本当に難しい。何を目安に考えていいのか全くわからない。だからある程度はカンで解き進めていかないと収拾が付かなくなる。この時点で間違っていたならば(つまりFが愛媛県や徳島県だったなら)諦めるしかないな。そもそも無理な問題なのだから(苦笑)。


次いでGとHを判定。ここで最も気になる数字って何だろう?それはGの「5130」という数字。これ、他に比べて圧倒的に大きい。これだけ多いのはちょっと異常なぐらい。


それどころか、Gにおいては2つの交通手段の合計が1995年には「218+5130」で約5500であるのに対し、2015年には「725+909』で1500ほど。かなり人数が減っているよね。これはどういったことなのだろう?


四国への訪問者数自体が大きく減少したとは考えられないので(香川県などでは1995年から2015年にかけて増加しているではないか)、G県を訪れる人々の交通手段が他へと入れ替わったということだろう。その交通手段って?これについては先ほども指摘したよう、最もメジャーな交通手段である「自家用車」なんじゃないか。とくに旅客船の数字だけを注目したら5130から909に急減している。失われた4000はどこに行ったんだ???


これ、分かるよね。そう、今まで船で愛媛県を訪れていた人たちが自家用車を使うようになったということ。そしてこれは間違いなく「橋」が開通したことの影響だよね。それまでは橋がなかったので船を使うしかなかったのに、橋ができたことで自家用車で四国を訪れることが可能となったのだ。


G県については「1995年には橋を利用することが困難だった」ことと「2015年には橋による影響が極めて大きい」ことを考える。ここで問1の図1の上の図を見て、ルートを書き込んでみよう。まず岡山県と香川県を結び瀬戸大橋を描く。1995年の段階で開通しているのはこれのみ。そして1998年と1999年に残る二つのルートも開通。兵庫(本州~淡路島)と徳島県、広島県と愛媛県の間にもそれぞれ橋を描いてみよう。2015年にはこの影響がみられる。


さて、どうだろうか? 1995年の段階で移動に船が盛んに使われていたにも関わらず、2015年にはその数が急減している県ってどこだと思う?例えば徳島県ってその位置から考えて、大阪府など近畿地方との関係性が強いように思えるんだよね。大阪市から徳島県に人が移動することを考えてみよう。大阪市から船で徳島県に向かう経路はたしかに存在するだろう。でも、大阪市から岡山県を経由し瀬戸大橋を渡って香川県から徳島県に入る経路もかなり有効なんじゃないかな。「船に乗る」という手間を考えると、自家用車の移動は便利であり、多少は遠回りになるかも知れないがこの程度の距離ならば許容範囲なんじゃないかな。自家用車による「近畿地方~瀬戸大橋~徳島県」の経路は一般に使われていると思う。


それに対し愛媛県はどうだろうか?瀬戸大橋から遠く、その影響は小さいと思う。愛媛県と交流の深い県はやはり広島県だろうか。しまなみ海道がつくられたことからも両県の関係性はわかる。しまなみ海道がつくられる以前、広島県の人が愛媛県を訪れる際にはどういった経路を辿るだろうか。自家用車で移動することを想定すれば、広島から岡山に移動し瀬戸大橋を渡り香川から愛媛に至る経路が考えられるが、さすがにこれは遠まわりすぎないか。時間や交通費(ガソリン代や高速代)のロスが大きすぎる。瀬戸内海を挟んで目の前なのだから船が使われるケースはかなり多かったのでは。我々が想像する以上に旅客船による移動って一般的だったんじゃないか。5130という飛び抜けて大きい値は、橋ができる以前の島外からの訪問者の数としては納得の範囲。これが愛媛県なんじゃないか。残ったHが徳島県で正解は⑥。


というわけでとりあえず答えは出たのだが、まだまだ自信はない。さらに細かい数字に注目して確証を上げていく。


幹線バスに注目。どの県も1995年から2015年にかけての人数を増やしている点については共通している。ここで注目するのは徳島県(と思われる)のHの値。2015年になって急増している。これはやはり関西との関係性なんじゃないか。従来の瀬戸大橋に追加されて、近畿地方と直接繋がる鳴門大橋が建造された。淡路島を経由するこちらのルートが幹線バスの経路として利用されたのではないか。もとより人口が多い近畿地方であるので、この利用者数も多いはず。これは納得の数字。


その一方で旅客船については2484から81と急減している。これについてはそのまま自動車(幹線バスや自家用車)に置き換わったと思っていいんじゃないか。やはり近畿地方と四国を直接結ぶルートの開通の影響は大きいね。かつては大阪港と徳島の港を結ぶ連絡船の運航が盛んだったのだろうが、それも便数がかなり減ったと思われる。


どうだろうか。とくに矛盾したところはないので、正解は改めて⑥となる。それにしても本問は難しい。というか、普通の入試問題のレベルを超えているよね。でも僕はそれがいいと思っているのだ。君たちはこうした過去問を解いて、すぐに「ポイントはどこですか?」って聞いてくるけれど、そもそもこの世に問題を解決するためのポイントなんて存在しない。ポイントなんてものは思考停止を招くだけ。問題を解くためにそのポイントだけを知っておけばいいっていうのは君たちの思考を奪うものでしょ?君たちは自分で考え、自分で工夫して、自分でいろいろな気づきを得て、自分でいろいろな失敗をして、そしてその上で初めて「正解と思われる答え」に達するのだ。ポイントだけ覚えるなんて、考えることを放棄することはしてはいけない。問題を解くという行為はそんなに単純化されたものではないし、より重層的で複雑でそして美しいものなのだ。思考の美しさに出会う、そんな機会として「問題を解く」という行為を大切にしてほしいし、その過程においてこそ君たちの成長があるのだと思う。いいか?ポイントなんてないんだぞ?


(最後にひとつ)ところで、僕はふと気づいたのだが、もしかして愛媛県への旅客移動ってもしかして本州以外からも多いんじゃないか?地図を見ると納得できるよね。九州とくに大分県と愛媛県って実は海を挟んで目と鼻の先だ。もちろん橋はかかっておらず陸路ではつながっていない。九州と四国との船舶による旅客輸送って実は普通に盛んであり、その船の到着先が愛媛県なんじゃないか?そうなると1995年の数字の大きさって納得できるし、現在(2015年)になっても他の県に比べ旅客船の値が909とかなり高いことにも納得。広島からの訪問者は自家用車を使うが、九州からは依然として船舶が重要な足となっているのだ。いろいろと「気づき」の多い興味深い問題だったけれど、それにしても難しい(涙)。よくわからないところが多い。とはいえ、瀬戸大橋をテーマにしたような問題が今後も出るとは思わないし、本問については復習もする必要ないからそのまま放置でいいんじゃないかな。頓智?で解くしかないなぁ~。



<2025年地理総合第2問問3>


正解;⑤


「1キロ当たり事業所数」は第3次産業に関連するインディケーター、「第二次産業就業者割合」はもちろん第2次産業、そして「1人当たり農業産出額」は第1次産業。


県都であり愛媛県の経済の中心である松山市は第3次産業が発達しているはず。商業活動が盛んであるだろう。松山市の値が「高」であるLが「~事業所数」。


さらにJとLだが、ここは日本の工業地域の分布を考えよう(中学地理の範囲だね)。高度経済成長期に臨海部を中心に大規模な工業施設が建設され太平洋ベルトを中心に工業化が進んだ。瀬戸内工業地域はその一つ。図1から分かるように愛媛県の東部は瀬戸内海に面している。瀬戸内工業地域の一部を構成しているとみていいだろう。どういった工業種が立地しているのかは分からないが、工業が盛んであることは十分に想像ができるだろう(実はこの工業種については問4で「答え」が出てしまっているのだ。問4の内容が明らかな問3のヒントになってしまっているんだが。。。これっていいのかな???)。東部で高位となっているJが「第二次産業~」であり、残ったKが消去法で「~農業産出額」。


なおKで高位となっている西部の市町村の多くが人口密度が低い自治体となっている。過疎化が進んでいるのだろうか。農業が主産業で所得が低く、商工業が発達しない。若年層を中心に人口が流出し、出生率も低くなる。



<2025年地理総合第2問問4>


正解;③


これ、問3の答えになってるよね(笑)。今治市ではタオル製造業が盛んなのだ。とくに全国におけるシェアは圧倒的。問3でJとKをj判定する際にこのヒントが使える。今治市で高となっているJが工業に関するインディケーターであることが分かる(つまり第二次産業就業者割合)。


まずPの判定。資料1の一つ目のグラフが参考になる。事業所数は減っているのだが、成案量は増えている。1事業所当たりの生産量が大きくなっているということ。これは事業所の規模が大きくなっているということ。零細な事業所は潰れてしまったか、大手に吸収されたか。「大型化」がキーワードとなってアが該当。イは該当しない。「作業工程の分業化」を「複数の事業所」で行うならば、一つ一つの事業所は小規模なまま存在していることにならないかな。細かい仕事を手作業で行うような熟練工の技術も大切なのだが、それは大量生産とは噛み合うものではない。


さらにQの判定。

これは右下のグラフを参照しよう。輸入品の割合が高まっている。1997年には40%が輸入品ということは国内産が60%あったということ。とくに今治産の割合は国内の半分を占めているのだから(左下のグラフ)、国内で販売されているタオルのうち30%が今治で作られたものだったわけだね。

でも現在は輸入品の割合が80%に達し国内産は20%。今治産タオルは国内産の半分を占めるが、全体のシェアでは10%に低下してしまっている。生産そのものも(上のグラフ)ピーク時である1990年と比較すると19年には4分の1ほどになっている。もちろんこれは安い外国産のタオルに圧迫されたから。国際競争力が低下してしまっているのだ。台頭してきたのはもちろん「発展途上国の産地」。安価な労働力を利用して低コストでタオルを作っているため価格競争に勝っている(これを「国際競争力が高い」といいます)。zが該当。