2025年地理総合[本試験]解説

<2025年地理総合・本試験解説>


(第1問・第2問は探究との共通問題です)


<2025年地理総合[第3問問1]解説>


正解;①


①;東北地方では南北に走行する山脈に沿って火山が分布。太平洋側の沖合にはプレートの狭まる境界である海溝がみられる。太平洋プレートが北アメリカプレートの下に沈み込んでいる。なお、図から判別できるように北海道と関東以北の本州は北アメリカプレート上の地形である。

②;中国・四国には活火山は少ないのは確かだが、紀伊半島から淡路島、四国の中央を横断する巨大な断層がみられる(中央構造線=メディアンライン)。この断層では九州まで達し、過去には兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)や熊本地震が発生している。いずれも直下型(内陸直下型)地震。中央構造線はプレートの内側にある断層で、海溝や海嶺のようにプレート境界と一致するものではない。このことは図からも想像できるだろう。

③;図から判別できるように中部地方以西の本州や九州、四国はユーラシアプレートに乗る。日本列島南方には南海トラフが走行し、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートとの狭まる境界である(トラフとはやや小規模な海溝)。

④;海底地震で津波が生じる。遠隔地の沿岸にもその影響が及ぶ。東シナ海で仮に地震が発生し津波が総じたとしたら、近接する南西諸島には間違いなく津波被害が生じるだろう。



<2025年地理総合[第3問問2]解説>


正解;⑥


まずウは冬の降水量が多く多雪地域であることがわかる。日本海側に位置し、北西季節風の影響で雪が多いと考えられるaが該当。なおaに近接するニセコ地区が2025年地理B本試験の地域調査の問題で取り上げられている。気候グラフも登場しているので参考にしよう。

さらに残ったアとイだが、イは全体的に降水量が少ない。上昇気流の作用が弱く大気中の水蒸気量も少ない冷涼なbだろう。とくに1月の降水量が少ないが、これは冬の北西季節風の風下側斜面であり、雲が生じにくいことが理由だろう。7月の降水量の多さは梅雨による。

残ったアがcである。6月の降水量が多く、これも梅雨だろう。梅雨の時期は北日本のbより早い。7月の降水量の少なさは日本が広く太平洋高気圧(小笠原気団)によって覆われることによる。8~9月は台風の襲来がみられる。



<2025年地理総合[第3問問3]解説>


正解;③


まず(カ)の判定。これは3D画像から直接判定できるのでは?画像の中央には多くの狭く区切られた階段状の土地利用がみられる。これは棚田(ライステラス)だろう。「地滑り」とはいわゆる土砂崩れであるが、高所から土砂が流れ込み、森林が埋め尽くされ、土砂に覆われた緩い斜面となる。こういった土地は果樹園になりやすいとは思うのだが、画像を見る限り明らかに棚田と言えるだろう。図を見ることが大切。

さらに(キ)だが、こういった土砂崩れはいわゆる「地盤がゆるむ」ことによって生じる。例えば大雨が降ったような状況を想像してみよう。大量の水が地面に染み込むことによって地盤が緩み、土砂が一気に低所(谷間)に流れ込む。土砂崩れつまり地滑りである。

土地が含む水の量が増えることによって地滑りが生じやすい。地下水があふれる状態、つまり地下水位が高くなることが危険サインである。


(参考)地下水位が高い、あるいは低いとはどういう意味か?

これについては井戸を掘ることを想像してほしい。井戸を深くまで掘らないと水が得られない場合、これは「地下水位が低い」ということになる。水が得にくい台地上ではこういった状態になりやすい。

逆に井戸を掘ってすぐに水源に達し浅く掘るだけで十分ならば、これを「地下水位が高い」となる。氾濫原や三角州、干拓地などがこれに該当。



<2025年地理総合[第3問問4]解説>


正解;③


①;Bの方が等高線に囲まれており、周囲より高い地形であることがわかる。

②;Cは河川の上流側に当たり標高は高い。低地に比べれば浸水は浅い。

③;津波タワーは津波の際の避難場所となる。もちろん可能ならばより標高の高い丘陵地に逃げるべきだが。

④;自然災害伝承碑がないからといって津波の心配がないと言えるだろうか?Fはそもそも低地であり、さらに波の力が集中しやすい湾奥であり、津波被害は大きいと予想される。



<2025年地理総合[第4問問1]解説>


正解;①


アは建物の底部が地面から持ち上げられている(高床)。建物の熱が地面に伝わらないような作りになっている。このような建物は永久凍土層がみられるシベリア内陸部にしばしばみられる。気温年較差が大きく、また冬の降水量がほとんどない(高気圧の発生)Aが該当。

イでは雪がみられる。日本列島の日本海側だろうか。冬の降水量が多いBが該当。なおシベリアなど高緯度の寒冷地域では雪が降らないことを考えてほしい。君たちの中には「寒ければ寒いほど雪が降る」と勘違いしている人もいるんじゃないかな?たとえば本州の日本海側地域(北陸地方)は世界有数の豪雪地帯だが、気候区分で考えれば「温帯」に該当する。決して寒いわけではないよね。大気中に水蒸気が豊富であることが雪の降る条件の一つであり、極めて低温である(気温が低いと飽和水蒸気量が小さくなる)シベリア内部では雪は降らない。

ウも高床だが、こちらは水域から杭が立てられその上に木造の家屋が作られているのがわかるだろうか。こちらは熱帯地域の特有のもの。とくにこれららは杭上家屋とも呼ばれるもの。雨季になると川や湖が増水するが、家屋を持ち上げているため浸水の懸念がない。

気温が高い熱帯地域は低緯度に分布。地球が地軸を傾けた状態で太陽の周囲を公転していることを考えると、高緯度地域で季節ごとの受熱量の違いが大きくなるのに対し、低緯度地域では年間を通じて受熱量に大きな変化はない。気温年較差は小さくなる。Cがウに該当する。7月が雨季、1月が乾季となっているが北半球の熱帯(低緯度地域)だろう。



<2025年地理総合[第4問問2]解説>


正解;②


1990年に何が起こったか?1980年代に日本は世界最大の自動車生産国となったが、バブル景気の高賃金を背景に国内で低賃金の単純労働力を得ることが難しくなり、その多くを外国からの出稼ぎに頼ることになった。しかしこの時点では外国人の単純労働者の受け入れが法制化されておらず、無秩序な外国人の流入に悩まされることになる。

よって1990年に移民法(出入国管理法)が改正されることになる。日本にルーツを持つ外国人(日系人)に限り、国内での単純労働への就業および滞在が認められるようになった。

このためこの時期より日系人の流入が顕著となるが、とくに増加したのはブラジル人だった。ブラジルには世界最大の日系人社会があり、「日本にルーツをもつブラジル人」が多かったため、国内のブラジル人人口が急増している。


さらになぜブラジルに日系人が多いのかについても考えてみよう。それは過去に推進されていた移民政策による。昭和初頭から日本から海外へと多くの農民が移民として送り出されていた。日本は貧しく土地を持たない農民が海外へと活路を求めたのだ。ハワイのサトウキビ栽培、北米大陸へのバナナ栽培、そして南米のコーヒー栽培など。彼らは農業労働者として働き(日本では原則として土地を持たないと農業を営めない。それに対しブラジルでは大土地所有制が取られており、土地を持たない農民たちが雇用され大農園で農業労働者として働くケースが多かった)同時に社会的地位も高めていった。やがて現地で結婚し子どもをもうけ、日系人社会は大きくなっていく。ブラジル南部のサンパウロ(コーヒーで知られる大都市)は世界最大の日系人コミュニティがつくられている。なお、日本から渡って行った移民一世は生涯にわたって日本人(日本国籍を有する)が、彼らの子孫である移民二世や三世はブラジル国籍を得る「ブラジル人」である(この辺りは日本と国籍についての考え方が違っているね)。日系ブラジル人はもちろんポルトガル語に習熟し、日本語は話さない。


こういった日本とブラジルをとりまく2つの状況を考えた場合、カとキの判定は容易であるが(もちろんキがブラジルである)、EとFはどうだろう?これについては実数で考えることがベストだろう。


Eについて考えるならば、2000年の段階で7.5万人であり、20年後には5万人ほどとなっている。この減少率を考えるといつしかその値はゼロとなってしまうかもしれない。それに対しFは2000年の段階で25万人という大きな値であり、それが2020年には20万人程度となっている。減ってはいるがその度合いはEよりは緩やか。


ここで考えてほしいのは日本からの農業移民の時期である。先ほど昭和初期から行われたと述べたがこれはもちろん現在は行われていないし、例えば昭和中頃に移住した人々がいたとして、彼れはすでに高齢者となっているはずだ。さらに言えば亡くなっているかたがたも多いだろう。現在のブラジルにおける日本人(在留邦人という言い方をするので知っておくといいだろう)は高齢者が中心であり、そして寿命をまっとうし次第に亡くなっている。人口はそもそもさほど多くないだろうし、そして減少率も高いだろう。2020年の5万人もそのほとんどが高齢者だとすればさらに数十年後にはその数はゼロとなってしまうのではないか。このことからEを海外在留邦人すなわち日本国籍を有し外国に住む人々の数と考えていいのではないか。


さらにベトナムについても検証するが、ベトナムは社会主義国であり1980年代後半にようやく市場経済を導入し始めた国(中国より遅く、インドよりやや早いタイミング)。いわば1990年代は「生まれたての赤ちゃん」のような社会状況である。現地に滞在する日本人が2600人であったとしても不思議ではない。工場や企業の進出はまだみられないだろうし、政府機関やマスコミなど一部の人々がベトナムに滞在していたに過ぎないだろう。それが20年後には10倍となっている。まさにベトナムは2020年代に大きく成長している国なのだ。もちろんブラジルも経済成長の著しい国であるが、その成長スピードは全く異なる(なおブラジルとベトナムの経済成長に関する問題は本年の他の問題でも登場している。地理の問題ってつくづくネタが重なるんやなぁって思ってしまうね)。


もう片方のFが外国籍を持つ日本国内の居住者数。ブラジル人が多いことは先ほど説明した。やや減少しているのは国内における自動車工業の停滞。一部の工場が海外移転(タイなど)するなど国内では自動車工場の閉鎖もみられる。必要な労働者の数は減少し、ブラジル人の中には母国に帰る者も少なくないだろう。なお逆にベトナム人の数は急増し、かつての数十倍の規模となっている。これについてはカの説明文が参考になるだろう。2000年代以降、ベトナムでは日本語を学べる学校が増えているそうだ。そのため日本語に堪能なベトナム人が多く日本に迎え入れられている。


<2025年地理総合[第4問問3]解説>


正解;④


2025年はメキシコの年だったね。メキシコに関する出題が異常なほど多かった。本問もその一つでここでは「メキシコ=スペイン語」が問われている。メキシコはかつてのスペイン植民地。銀が取れたことによってスペインはメキシコを狙い撃ちした。アステカ帝国へと宣教師を送り込みカトリック化を図る。先住民の「洗脳」に成功し、ごく少数の軍隊によって湖上の文明アステカは滅ぼされた。この際に水が抜かれてできた巨大な盆地に現在のメキシコシティの市街地が乗る。メキシコは旧スペイン領であり、スペイン系の混血が多く、スペイン語を使用しカトリックが信仰される。


①について。セネガルは西アフリカのsサヘル地帯の国。フランスに植民地支配され、プランテーションが開かれる。落花生(半乾燥の草原に適する)の強制栽培が行われ、自国の農業は衰退。現在は穀物をフランスから輸入。

②について。「新興国」という定義がよくわからないが(地理ではあまり出てこない)これはインドのことを指しているのだろうか。インドは世界最大の映画の制作本数を誇る国。インド半島ムンバイは映画の町。雨季と乾季が極端だが、乾季を利用して屋外での撮影が行われている。

③について。過去問で日本が韓国のコンテンツ(KPOPや韓流ドラマ)を輸入しているという話題が問われたことがある。


<2025年地理総合[第4問問4]解説>


正解;④


これはやっかいな問題だが、東南アジアについてとくに普及率の高い地域であることをぜひ知っておこう。早い段階から人口100人当たりの携帯電話契約数が100を超えていた(つまり「人口<携帯」)。

サとシにおける携帯電話の普及開始は日本と近い。一つだけ遅れているスが発展途上国のケニア。

サとシのうち、2005年には早くも「100」に達しているスが東南アジアのシンガポール。残ったシがアメリカ合衆国だが、比較的日本と動きが似ている。


過去にも携帯電話に関する問題でケニアが登場。その際は「固定電話の対する携帯電話の数」が圧倒的に大きい国としてこのアフリカの発展途上国が取り上げられた。これはもちろん「固定電話の普及率が極めて低い」から。固定電話の人口当たりの契約数が高いのは先進国。日本を想像してみればいいけれど、多くの家庭に固定電話が据えられているね。それに対し近年になってようやく発展し始めてきた国々では固定電話はほとんど見られない。むしろ固定電話をすっ飛ばしていきなり携帯電話を手にする人々が多い。電波塔一つ立てれば広い範囲がカバーされ、実は手軽な通信手段なのだ。