たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

地理総合サンプル問題[第3問]解説

<第3問問1>

[インプレッション]

「平成の大合併」とはまたマイナーなネタを。これ、教科書にあったかな?ちょっと記憶にないし、僕自身もこの話題についてはあまり知らない。でも問題自体は簡単に解けたので、基本的には知識は全く不要の問題。もちろん「関東地方がどこか」程度の知識は必要だけど、それは中学地理で十分に補えるよね。特殊な知識は用いず(むしろそれが邪魔になることも)、正確に図を読解することで正解に辿り着こう。

[解法]

図は後回し。問題文の各選択肢を検討。

1について。「80%以上」は関東地方に見られない?確かにその通り。正文。

2について。「人口増加率が0%以上の都道府県は三大都市圏以外にもある」のかどうか。日本全体の人口が2010年以降減少していることもあり、2023年現在人口が増加している都道府県はほとんどないけれど、当時は少しはあったのかな。それでも農村を中心とした地方は大きく人口が減少しているはず。国内で三大都市圏(東京大都市圏、名古屋大都市圏、京阪神大都市圏)以外で人口が増加している可能性があるのは「地方中枢都市」を含む県のみ。いわば「地方の首都」であり、その地方内の他地域から多くの人口が集中している。その典型例として福岡県があるね。地方中心都市である福岡市を含み、九州各地から人々が集まってくる。社会増加率が高い県。図を確認すると福岡県は「0%以上」であり、たしかに人口が増加している。正文。

なお、大都市圏の定義が曖昧なのだが、東京大都市圏については東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県を考えればよく、名古屋大都市圏は愛知県のみ(そもそも名古屋大都市圏は範囲が小さいので岐阜県や三重県は含まないとした方がいいと思う)、京阪神大都市圏は京都府・大阪府・兵庫県に加え、周辺の滋賀県・奈良県が該当するとみていい(これも和歌山県が微妙なのですが。。。ちょっと遠いかな)。都市圏は「通勤圏」の意味で、都心部に通勤する人々が住んでいる範囲。この3つについては規模が大きいので「大都市圏」という。東京大都市圏ならば、東京都特別区部が都心部とし、そこに通勤する人々が住む埼玉県や千葉県、神奈川県が都心部の周辺部であり、「郊外」と呼ばれる。

さらに3。「市町村合併率が 50%未満である都道府県は人口が減少していない」とある。なるほど、市町村合併を進める自治体は財政基盤が弱く、多くの自治体が集まることで行政を効率化し、財政負担を軽減するという考え方がある。そしてそういった自治体の多くは過疎化が進む。市町村合併がさかんな都道府県は、人口が減少していることが多いのだろう。だからこそ逆に「市町村合併率が 50%未満である都道府県は人口が減少していない」というセオリーが導き出されるのだ。しかし何事にも例外はある。ちょっと検討してみようか。左の図で「50未満」には北海道や山形県がある。しかし、こちらは右の図では「-6~-3」であったり「-6未満」であったりするじゃないか。これ、誤りだね。たしかに大都市圏には「50未満」の都府県がみられ、それらは人口が増加している(0以上)が、多様なパターンがあるってことだね。

この時点で正解は3となる。

一応4も確認。「中国・四国地方は,どの県も人口が減少していて,市町村合併率は 50%以上になっている」様子がわかる。左の図で「白」となっている県はなく、右の図で「黒」となっている県もない。

[雑感]

都道府県に対する正確な位置の把握は最低限必要。関東地方や福岡県など。さらに三大都市圏といわれた際にそれが具体的にどこに該当するのか答えられること。ただ、これらの学習はさほど難しいものではなく、中学地理の問題集を事前に解いておけば十分だと思う。共通テストでは高校地理の知識は必要ではないが、反面、中学地理の知識をしっかり固めておかないと得点はおぼつかない。

<第3問問2>

[インプレッション]

地形図問題ってほどでもないのかな。ちょっとぼんやりとした図であり、詳細を読み取るのはちょっと難しいかなって感じ。でも、問題を出す方もそんなに意地悪なわけじゃないし、漠然とした図だからこそ、問われている内容も簡単なんじゃないかな。

[解法]

地形図問題は図を見ないこと。問題文の選択肢を読み込み、そこから解答の見当をつける。

1について。「他県と境界を接する」のだから、県境を探せばいい。図の西部や南東部に見られるよね。何県なのかはわからないけれど、他の県と接しているのは間違いない。

2について。これ、「流域」ってめちゃめちゃ大事なキーワードなので、絶対に知っておくこと。「流域=集水域」であり、つまり雨水が流れ落ちる範囲のこと。たとえば世界最大の流域面積を誇る河川にアマゾン川ってあるよね。日本列島の面積の何十倍もの流域面積を持っている。ブラジルやペルーの広い範囲がそれに該当し、例えばペルーで降った雨もアマゾン川へと流れ込み、やがて大西洋に流出する。

ただ、ここで考えて欲しいんだが、いくらアマゾン川が巨大であっても、ブラジル全域を流域としているわけではないのだ。ブラジル南部にはパラナ川という川が流れていて、これはアルゼンチン側に流れていって、やがてラプラタ川と合流する。ブラジル北部に降った雨はアマゾン川へと流れる一方で、南部に降った雨はパラナ川からラプラタ川へと注ぐ。つまりブラジルは南部に関してはラプラタ川の流域であるということ。

これに照らし合わせて考えてみよう。上越市において、日本海へと流れ出る河川が「関川」一つだけだったら、その全域が関川の流域ということになる。逆に他に一本でも河川があれば、その周辺はその河川の流域であり、複数の流域が上越市内に存在するということ。さぁ川を探してみよう。おっ、早速あったよね。図の西の方、合併前の市町村境界の点線が南北に走行しているが、その東側に沿って河川らしき流れが。印刷がつぶれてしまって名称までは確認できないが、「●●川」って書いてあるのはわかるんじゃないかな。上越市内に関川以外に日本海へと流れる河川が存在する。全域が関川の流域に含まれるわけではない。誤文。

さらにc。これはシンプルに「右」か「左」かを聞いているだけだよね。河川の下流側に向かって右が右岸、左が左岸。ちなみに僕は左右盲なので左右の判定が瞬時にできないんだけど(かなり考えないといけない。考えても間違うことがあったりします・笑)君たちは大丈夫だよね。上信越自動車道側のICは「左岸」にあります。誤文。

以上より正・誤・誤の4が正解。

[雑感]

ちょっとヤバいと思ったのは流域かな。流域って概念を曖昧にしている人って多いと思う。共通テストではしばしば問われるキーワードではある。こういった「テストによく出る言葉」を過去問の中から探し、その定義を確固たるものにしておこうね。

<第3問問3>

[インプレッション]

これは悩んだ(涙)。写真なんて、似たような写真がどこでも撮れるんじゃないの???判定、めちゃくちゃ難しいよ。

[解法]

2つの地区の人口構成に関する問題だが、写真判定を伴っているのが難しい。どうにも判定できなんだわな。

とりあえずわかりやすい人口の方から。

AとB、要するにどっちが「栄えて」いるかってことなんだよね。どうかな?Aは北陸自動車道が地区内を通過し、さらに海岸に沿う大きな国道(数字は読み取りにくいが1桁かな。これは全国を網羅する主要国道の一つでしょう)にも接している。直江津港も近く、原料や製品の輸送には便利。そして直江津駅も近隣に存在し、市街地が広がっているエリアとみていいんじゃないかな。それに対しBは山地と平野の間に位置し、全体的に農村なんじゃないかって想像できる(あくまで想像だけど。Aも十分に農村っぽいんだけどね)。国道は一応通っているが、あまり大きなものではなさそうな。ベタな言い方になっちゃうけど、「Aの方がBより栄えている」ってみていいんじゃない?

まずグラフから判定しよう。eは全体として増加している。こういった大都市圏外の地方において人口が増えるってのは普通ありえない。日本国内の人口増減については社会増加(社会増減)をメインで考える(人口増加=自然増加+社会増加だよね)。社会増加は流入と流出の差。つまりeの地域は流入人口が多いということ。とくに1990年代に急激な人口の上昇がある。後から説明されるけれど、この時期に「産業団地」がつくられたんじゃないかっていう想像は(後付けになっちゃうけど)できなくはない。

一方でfは継続的に減少。これは日本の農村では一般的にみられること。人口が流出しているのだろう。安塚ほどではないが、過疎化が進んでいるのかも知れない。

Aをe、Bをfと判定してみる。

さらに表の判定。先ほども言ったように人口増加地域は「流入」が多く、減少地域は「流出」が多い。日本の市町村の人口増減は社会増加(社会増減)で考える。さらにここで考えるセオリー。「移動するのは若者である」。これは絶対的なことだね。人口移動の原因は1人当たりGNIつまり賃金と雇用の差による。雇用がなく賃金の低い地方から、雇用が豊富で賃金の高い都市部へ人口が移動する。この際に移動するのは働き手(労働者)であり、それは仕事を求める若年層なのだ。人口増加地域は若年層の割合が高く、相対的に高齢者は少ない。逆に人口減少地域は若年層が流入することで、老年人口割合が跳ね上がる。人口増加地域がA、人口減少地域がBと考えられ、前者が老年人口率の低いイ、後者が老年人口率の高いアとなる。正直、両者の値(27.0%と31.5%)にはほとんど差がなく、これを材料に判定していいのか悩むところだが、他に手がかりがないので仕方がない。一応、生産年齢人口が働き手(労働者)の数と比例するものと考えれば、たしかに人口が増加し若年層の流入が考えられるAで生産年齢人口割合が高いことも重要な要素となるのだが、59.7と55.3の差って、27.0と31.5の差よりさらに微妙だからね。

最後に写真。実はこれでめちゃめちゃ悩んでしまった。Kにみられる真っ直ぐな道路が気になるんやなぁ。目立った道路があるのってA地区の方だからね。たしかにBにも道路はあるんだが、こんなに立派なものなのだろうか。でもAの方が市街地だから、Aを通過する道路ならばそれに沿って多くのロードサイドショップがみられるかもしれないし、このように道路の周りに「どこまで行っても田んぼ」みたいな風景はないかもしれない。

それに比べればjの方が都市化(人口が増えること=住宅が増えることを「都市化」というのです)が進んでいるし、こちらをAと見るのは妥当なんだろうか。ここに送電線がみられるので、地図で送電線の記号を探してみたのだが、それっぽいものも見つからず。5万分の1や2万5千分の1の地形図ならば送電線の記号ってあるんだけど、この地形図には表されていないみたい。やっぱりここは「産業団地」という言葉がキラーワードになっていると言えそうだよね。直江津港や直江津の市街地に近いA地区には産業団地が1990年代につくられ、その時期に多くの人口が流入し、住宅が建てられた。このような状況が一番想像しやすいと思う。jをA、kをBとみるのが妥当なんじゃないかな。

[今後の学習]

人口増減のグラフはともなく、年齢別人口構成の表や写真の判定は微妙すぎるよね。それでも小さな手がかりを見つけて、それにすがって答えに辿り着くしかない。写真については「産業団地」という説明が決定的なものだったと捉えることができるけれど、それにしても地図中にもその産業団地を示しておいてくれないと、判定に困ってしまうのだ。

<第3問問4>

[インプレッション]

これ、変な問題なんですよね。図6における▲が一箇所しかない。▲で判定するのが困難なので、結局■と●で考えないといけない。問題としての完成度が低い気はするよ。

[解法]

いわゆるシャッター通りの問題だね。それにしてもかつてはデパートまであって栄えていた駅前の商店街が、あっという間に商店がつぶれていってシャッター通りになってしまうのだから、日本の地方都市の闇は深いよ。

「メモ」に忠実に解いてみよう。「駅前」では昔は「中心商店街」には「デパート」なd様々な施設があった。しかし現在は「閉店」した店が多く、買い物に困るほど。駅前のスーパーは1979年に「営業あり」だったのに2020年には「営業なし」になってしまったのだろう。駅前にある●がこういったスーパーに該当。今や駅周辺の商店街はシャッター通りになっているのだろう。

さて、君たちにここで質問だが、なぜこういった閉店が相次いでしまったのだろう。それは明確だよね。郊外におけるロードサイドショップの存在。自家用車の普及により人々の行動の範囲は広がり、大きな変化が生じた。従来の駅前商店街から、郊外の主要幹線道路沿いに新設された大型店舗へと買い物客は流れた。とくに買い物の足が自家用車となったことで、大きな駐車場を有する郊外型ロードサイドショップが購買の中心となっていった。依然として鉄道やバス路線の中心は従来の市街地であり、そこには商店街が存在するのだが、人の流れが変化した現在、多くの店舗は閉鎖し、シャッター通りがみられるようになった。これが日本の地方都市でほぼ例外なく生じている事象なのだ。

図を参照。図の東部と西部をそれぞれ北から南へと貫く幹線道路が存在し、それに沿っていくつもの■がみられる。広大な駐車場を備えたロードサイド型のショッピングセンターだろうか。1979年には存在しなかったが、2020年には地域の人々の購買活動の中心となっている。

▲は一箇所しか存在しないし、考慮しなくていいだろう。

[今後の学習]

こういった商業活動の変化に関する問題も東大入試の得意とするところ。地理総合/探究の対策としては、東大の問題の分析が重要なんじゃないかってガチで思った。これに沿った教材、作ってみようかな。

<第3問問5>

[インプレッション]

典型的な地域調査の問題と言えるのかな。サについては調査方法が問われている。冷静に考えれば難しくない。シはそこから考察される対応策の提案。これも常識的な範囲で解ける。知識は必要とされていないが、思考力そしてこういった問題に対する経験値(要するに「慣れ」だね)が求められる。

[解法]

安塚地区の状況。過疎化が進むことで商業施設だけでなく、さまざまな施設が消え去っているようだ。

まずサから判定しよう。町役場や警察署の立地変化を観察。いずれも地図記号が存在するから、新旧の地形図を判定すれば明確だよね。nが該当。国勢調査は基本的に「人口」に関する統計を考えていい。5年ごとに全国民に対して行われる人口に関する調査。

さらにシでは過疎化問題に対する方策を提案しないといけない。問題点は何だろう?それは文章の中にあるよね(現代文の問題みたい。読解力が必要になるのだ)。「買い物に限らず、医療機関など地区外にある様々な施設を利用しにくくなっていることが問題」とある。「利用しにくい」とはどういうことか。つまりそこを「訪れることが難しい」ってことだよね。交通機関が十分ではないのだ。そもそもバス自体がさほど便利なものではないけれど、そのバスですら不採算などが理由で(人口が少なくなれば利用する人も減る)路線が廃止になっている可能性がある。高齢化が進めば自家用車の利用もおぼつかなく、こうした地域では「交通弱者」の問題がとりわけ深刻なものとして浮かび上がってくる。これを解決できる方策としては、やはり「交通手段の確保」だよね。qが該当。しかし、これにしても具体的には「乗合タクシー」の利用が提案されているが、主にコスト面で実現は難しいんだろうね。

なお、もう一つの方策として「地区外への生産年齢層の移住」とあるけれど、これは全く意味がわからないよね。そもそも過疎の村には生産年齢層が少ないのだから。これ、僕は思うんだけど、この試験の最終チェックの段階で文章が改変されているんじゃないかな。「地区外への住民の移住」あるいは「地区外への高齢者の移住」だったんじゃない?過疎の村だからといって、その村を閉鎖してしまってはいけない。そういった心情的な部分でこの選択肢は「誤り」になるんだけど、でも、本当にそうなのかな。過疎地域に人々が住むならば、こういった購買活動や交通手段の問題だけでなく、例えば手紙一つ届けるにしても莫大なコストがかかってしまう。道路整備も必要だし、市役所の人が定期的に訪れるなどの行政サービスも必要なのだが、例えば住民1人のためにそんな「無駄」が許されるだろうか。

実は過疎問題の解決って本当に簡単で、住民を全て転居させればいい。要するに「廃村」にしてしまえばいいってこと。住民は、駅前の高燥マンションに入居してもらえば、全ての施設は徒歩圏にあるし、介護や医療の負担も小さい。孤独死のリスクもほとんどない。大幅なコスト削減となり、おいしいことだらけ。かつての村落は自然に戻せばいい。住民も一回都市部の生活に慣れてしまえば、農村に帰りたいなんて思わなくなるよ(いずれにせよ、近い将来老人ホームに入る人が多いんだし)。

でも、これってちょっと人道的というか心情的には認めにくいことだよね。過疎の村をいつまでも保全するために莫大なコストをいつまでも消費しつづける。利用者の少ない施設を作り、ほとんど誰も住んでいない地域の道路を整備し続ける。

僕は、ちょっと残酷なことを言うかもだけど、こういった「廃村」は考えるべきだと思う。とくに日本は人口減少社会。都市部でも空き家が増えてくるかも知れない。転居へのハードルは下がっている。いつまでも昔のものを残したいという気持ちはわかるけれど、それ以上に世界は猛スピードで変化しており、我々は新しい課題に常に直面する。できることは一つ一つ解決していくべきなのだ。過疎化問題は、実は簡単に解決できる。

[今後の学習]

サとシで内容や傾向が全く違う問題なのだが、いずれも難しくない。サのような問題は過去にも多く出題されており、過去問研究による経験値のアップが大切。シについては、こういった社会問題を自分自身の問題として捉える広い視点が必要。いろいろな問題に対し、どういった解決方法があるのだろう。常にそういった社会的事象にアンテナを張っておかないといけない。それからもちろん国語力。文章読解が重要な問題であり、地理というより現代文って感じなのかな。僕はこのような文章読解力が問われる問題は嫌い。地理の問題じゃなくて、現代文の問題じゃないか。国語ができる受験生がそのまま地理でも高得点を取るだって?それは意味があることなのか?ただ、共通テスト以降、このように国語力が問われる機会は増えている。ま、仕方ないのかな。僕も「猛スピードで変化する世界」に対応していかないといけないのかな。

<第3問問6>

[インプレッション]

さらに地域調査に関する問題。いわゆる「地理」って感じの問題には見えないけれど、僕はこれこそた地理の本質だと思う。今回のサンプル問題を解いて、みんな気づいたと思うけれど、地名や都市名なんか全然出題されていない。地図帳をみながら学ぶ科目ではないんです、地理は。地理は旅行の科目でもないし、観光の科目でもない。たまたま地理の先生に「旅行好き」の人が多く、そういった先生に「教えられてしまう」から地理の授業が旅行や観光中心となり、君たちに間違ったイメージが与えられてしまう。まずは「地図帳の呪い」を解きましょう。地理は地図帳を見ながら、地名や都市名を覚えていくだけの作業ではない。地理は数字の学問であり、統計学の側面を持つ。統計を用い、そこから様々な具体的な事象を分析し、抽象的な概念に落とし込む。常に因果関係のつながり(僕はこのことを「因果関係の鎖」と呼んでいます。因果関係の結びつきは鎖のように太く硬いものなのです)を意識し、問題提起し、そして解決法を提案する。本問はそういった思考のもとに作られた問題であり、地理の典型的な設問なのです。

[解法]

知識は不要。しっかり「思考」して解こう。一問一答式の早押しクイズではなく、時間がたっぷりと与えられ、いろいろ考えてからテーマに沿って解答する「大喜利」みたいなもんだよ。

まず「成果」。rから判定。「インフラストラクチャ」とは都市施設のこと。ここでは「上下水道」だね。タが該当。

さらにs。「行財政」とは聞き慣れない言葉だが、行政と財政のことなのかな。市役所が行う仕事について、より強化した形で行われることになったってことだろうね。「専門的な職員」を配置することも可能になる。チが該当。

そしてtについて。「知名度」と「イメージ」なんだそうだ。これは「特産品」なんじゃないかな。「上越」という名前を全国にアピールできる。

「課題」へと目を移し、uについて。「周辺に位置する旧市町村地区」ってわかるかな。例えば上越市の中心部である直江津駅周辺には多くの施設が集中し活性化するかもしれないけれど、B地区や安塚地区のような「周辺部」は顧みられることがなく、施設が無くなり、落ちぶれてしまうかも知れない。その「無くなる施設」の例がかつての市町村役場だと思う。中心市街地(直江津)に一つだけ市役所があれば、それで事は足りてしまう。ミが該当。

さらにv。小さな自治体の時は住民の数も少なく、一人一人が地方自治に直接関わっているという実感があったかも知れない。山間部の村ならば村長さんや村会議員の先生も身近な存在だったんじゃないかな。地元の祭りに顔を出したりして。でも、それが大きな自治体になったらどうだろう?市長や市会議員は遠い存在であり、直接しゃべる機会もない。住民からすれば自治体の活動そのものへの参加意識も薄れてしまうんじゃないかな。選挙区が改変され、さらに定数も減ったならば、「おらが村の議員さん」も存在しない。マが該当。

そしてw。これまでは小さな村であっても歩いていける範囲にいろいろな施設があったのかも知れない。例えば図書館などはそれぞれの自治体にあったはず。でも、小さな村がなくなり、村立図書館もなくなる。直江津の中心部に大きな図書館ができれば、本の種類も増えるだろうし、より価値の高い本を所有することもできるはず。しかし、問題はそこに行くまでの時間や手間、交通コストなどの負担だよね。気軽に訪れることができなくなり、そういった公共施設の利用が困難になる。ムが該当。

[今後の学習]

決して難しくないと思う。今回はサンプル問題だから必ずしも言えることではないかも知れないが、本問のように「時間はかかるが、必ず解ける」問題がラストに用意されていることが多々みられる。最初から順番通りに解いていると、最後の時間が足りない状況で、こういった「時間をかけるべき(そして絶対に正解すべき)」問題に取り組まないといけなくなり、焦ってしまって失点するケースがある。問題を解く順番を変え、地域調査の大問(多くの場合、最後の第5問)を先に解いてしまうという方法はかなり賢い。時間を気にせず解けるような序盤にこういった問題は解いてしまおうよ。時間の心配をする必要がある後半には、知識が重視される(だからこそ考える間もなく即答できる)第1問(自然環境)や第4問(地誌)にアタックするというのは、悪くない形だと思うよ。

表示:PC