2017年地理B共通テスト試行調査解説[第3問]

<2021年共通テスト第1日程・第3問問1[13]>

 

[インプレッション]このパターンの問題は1998年にも出題されているのだが、その際は老年人口について、その割合が7%となる年と14%になる年が取り上げられていた。今回は21%まで登場。20年後の問題って感じがするね。なお、老年人口割合が7%に達すると「高齢化」社会、14%だと「高齢」社会、21%で「超高齢」社会。日本はすでに超高齢社会に入っているのはみんなも認識していることだと思う。

 

[解法]老年人口割合については人口増加率と対応させて考える。人口増加率が高い国は出生率が高く、年少人口割合が高い。相対的に高齢者の数は少ない。

 

地域(大陸)別の年人口増加割合を一覧にしてみよう。

 

2.0%;アフリカ

1.5%;南アジア

1.0%;ラテンアメリカ

0.5%;東アジア・アングロアメリカ

0.0%;日本・ヨーロッパ

 

原則として1人当たりGNIに反比例するが、一部に例外も。中国は1人当たりGNIは約10000ドル/人で高くはないが、年人口増加率は世界平均より低い。一人っ子政策は現在は廃止されているものの、それが施行されていた時代に生まれた現在の20〜30代の人口が少なく、そのため新生児も少ない。

アメリカ合衆国は1人当たりGNI約60000ドル/人だが、先進国としては年人口増加率が高い。移民の流入が多く、社会増加率が高い。また、移民の多くを占めるヒスパニックが、宗教的な背景(カトリックは中絶と離婚を禁じる)などで出生率が高いことが原因。

 

表にはないが、オーストラリアと西アジアも例外であり、1人当たりGNIが高い高所得国であるが、人口増加率も世界平均を上回る高率となる。ベースとなる人口(人口増加率の分母はその地域の総人口である)が少ないため、ちょっとした人口変動によって増加率の値は際立って高くなる。両者ともに人口増加地域であるが、この「分母の小ささ」によって、発展途上地域と同じほどの高い人口増加率を有している。

 

さて、上記の年人口増加率の表を参照しながら、選択肢の4つの国の年人口増加率を考えてみよう。カナダは「アングロアメリカ」であり、0.5%。中国は「東アジア」であり、こちらも0.5%。日本は0%。「ヨーロッパ」のフランスは0.0%。

 

人口増加率が老年人口率と反比例することを考えると、現状で老年人口率が高いのは日本とフランスの2カ国。図1を参照し、2020年の値が21%に達している①、2000年代初頭に21%を超えた③の2カ国が、日本かフランスのいずれかになる。

 

一方で、②と④は2020年の段階ではまだ21%に達していない。②が21%に達するのは2025年、④は2030年を過ぎると予想されている。いずれも人口増加率は低くない。

 

ただ、高齢化の進行の度合いが違うのだ。②は7%に達したのが1950年より前、そこからゆっくりと高齢者の割合が上昇し、14%が2000年過ぎ、21%は前述のように2025年。それに対し、④の急激な高齢化の進行は顕著。2000年にようやく7%に達したと思えば、20年ほどの間に14%、そしてさらに10年で21%に達すると予想されている。日本も急激な高齢化を果たした国であるが、それに匹敵するだろう。

 

どうだろうか?老年人口率は年人口増加率に反比例するわけだが、その年人口増加率は1人当たりGNIと反比例する。ということは「老年人口率は1人当たりGNIに比例する」というセオリーが成り立つわけだね。1人当たりGNIは所得水準であるのだが、社会の成熟度を示す指標であると考えてもいいと思うよ。先進国で高く、発展途上国で低い。経済成長により先進国へと転換する過程で、医療水準が上がり、衛生環境や栄養状態が改善されることで、長命化が進み平均寿命が伸びる。今までは小さな病気や栄養不良によって失われていた命が永らえることにより、高齢者は増える。社会の成熟によって老年人口割合が上昇していくイメージが持てるだろうか。

 

そうなると、急激に高齢化が進行する④は、急激な1人当たりGNIの上昇すなわち経済成長がみられるということ。この国こそ、中国と判定していいのではないか。一方で、緩やかに高齢化が進んでいる②がカナダ。移民によって成り立った若い国であり、高齢化(7%)になった年代も新しい。現状では中国より老年人口率は高いようだが(2020年の値を図から読み取ると、②は17%、④は12%である)、やがて両者は逆転するだろう。カナダは「いつまでも若い」国であるのに対し、中国は「急に老けた」国となる。

 

さらに戦争の影響も考えよう。第二次世界大戦(太平洋戦争)の戦場となった中国では民間人にも多くの死者が出た。「当時の若者」が死んでしまったため、70年後の現在、高齢者の数は相対的に少なくなっている。中国の高齢化の進行は遅かった。

 

しかし、戦後に生まれた(さらにいえば、一人っ子政策導入以前の)現在40代や50代の人たちの人口は極めて多く、彼らが「高齢者」となる10〜20年後、中国の高齢化は加速度的に進行する。急激な超高齢社会の到来によって、現状では老年人口割合は「アメリカ合衆国>中国」であるが、近い将来それは逆転し「アメリカ合衆国<中国」となる。先進国以上に高齢化が顕著な国となり、やがて人口そのものが減少することが予想されている。日本、韓国も含め、東アジアは人口減少地域となるのだ。

 

[アフターアクション]こういう問題を解いていていつも思うんだが、65歳という高齢者の基準に何の意味があるのだろう。たしかに生物としては65歳という年齢は「終わって」いる。もはや子どもをつくる年代ではないし、子育ても終わっている。人間という生物の繁栄には全く関係ない年代であり、「生物は遺伝子の箱舟」と考えるならば、

 

 

<2021年共通テスト第1日程・第3問問2[14]>

 

[インプレッション]これ、難しいなぁ。今回の共通テストの中では例外的に「感覚的」に解くことが求められている問題かと思う。ただ、逆にいえば、手がかりが少ないシンプルな問題だからこそ、素直に考えて国を当てはめていけばいいんじゃないかな。候補国に北欧が含まれていることは最大のヒントになると思うよ。

 

[解法]女性の労働力率に関する問題。一般に、女性の労働力率は1人当たりGNIに比例する。1人当たりGNIは「平均所得」である。女性が全く仕事をしていない国より、女性が社会に出てたくさん稼いでいる国の方が、1人当たりGNIが高くなるのは当然だろう。

 

候補の3つの国を比較して、フィンランドは北ヨーロッパに位置する国で1人当たりGNIは極めて高い(もちろん、人口が極めて少ないという理由もあるのだが)。アメリカ合衆国はもちろん1人当たりGNIは高いね。それに対し、韓国は先進国には一歩足りない国であり(1980年代は新興工業経済地域と呼ばれた)1人当たりGNIは30000ドル/人程度。女性の社会進出がさほど進んでいない状況を考え、最も女性の労働力率が低いウを韓国とする。

 

なお、「20代前半で高く、20代後半から30代にかけて低く、40代になって再び上がる」という「M字」の曲線のパターンは日本とも共通している。日本も同様に、高校や大学の新卒女性の労働者率は高いものの、結婚や出産を契機に退職し、30代を子育てに費やすことで、この年代の労働力率が一時的に下がっている。子育てが一段落し、40代になると再就職やパートタイマーなどで再び働き始める。

 

残った2つの判別は難しい。でも、難しいからシンプルに考えてしまっていいと思うよ。っていうか、それしかない。手がかりが少な過ぎる。アとイは20代まではグラフの動きが重なっている。30代以降で明確な差異が生じ、アで高く、イで低い(とはいえ、ウよりは高いが)。どうだろうか?北ヨーロッパでこそ福祉政策や社会保障制度が手厚く、女性にとっても働きやすい社会環境あ整備されているとみていいんじゃないだろうか。この手の国の典型としてはスウェーデンがよく登場するが、フィンランドも同じ北ヨーロッパの国であり「福祉国家」という点においては同じカテゴリーと考えていいだろう。スウェーデンでは産休時における所得補償があり(会社に在籍したまま長期休暇を取れる。その間の給与は、勤務していた時と同じだけもらえる)、さらに男性の育児休暇も一般的、託児所も多く設けられているなど、出産や子育てのしやすい女性が尊重された社会が実現されている。フィンランドでこそ女性の労働力率が高いと考えられ、アに該当。④が正解。

 

ちなみに。。。

 

今回は候補の3カ国がいずれも経済レベルの高い国ばかりで(1人当たりGNIの世界平均は10000ドル/人。3カ国中最低の韓国でも30000ドル/人あるので、すべて「先進国」かそれに近い国と考えていい。先進国では第3次就業人口率が高く、女性が就く仕事も商業や金融、サービス業などの第3次産業になるはず。よって「女性の労働力率=女性の社会進出の度合い」と考えた。

 

これが、発展途上国や昔の日本など第1次産業就業人口割合が高い国の場合は事情が異なる。女性の労働といっても、実際には、家族の農作業を手伝っているだけの場合がある。東南アジアや中南アフリカの低所得国で、意外なほど女性労働力率が高くビックリするのだが、これは別に女性がさかんに社会進出しているわけではなく、農業の労働力。

 

なお、インドやイラン、アラブ圏では女性の地位が低く、女性労働力率は全般的に低い。これは農業労働力についても同様で、例えばインドは第1次産業就業人口率が高い国なのだが、女性の労働力率も低い。農業にすら従事していないということ、女性の地位が不当に低く抑えられている。

 

 

<2021年共通テスト第1日程・第3問問3[15]>

 

[インプレッション]写真の雰囲気、わかるかな。共通テストの問題もそろそろカラー印刷にするべきなんじゃないだろうか。モノクロでは得られる情報に限界がある。

 

[解法]「写真1のような形態の集落」とあるのだから、「形態」に注目するべきなのだ。どうだろう?やや大きな建物が中心にあり、それを囲むように環状の街路がみられる。明確ではないが、一部に放射状の街路もあるようだ。

「分布する地域」について考えよう。カ「開発の歴史が新しく、村落が計画的につくられた地域」とある。どうなのだろう?「計画的」が気になるが。たしかにこうした環状の街路区画を有する都市はいくつかみられる。モスクワやキャンベラなどがその例。しかし、モスクワは政府機関を中心に計画的に街路区画がもうけられた都市であり、キャンベラは20世紀になって計画的に建設された都市。ただ、どうだろうか。写真の都市はモスクワやキャンベラのような大都市ではなく(キャンベラは際立って人口の多い都市ではないが、それでも数十万人の人口を有している)、一つの「村」という雰囲気。中央の建物を中心に円形に家々が集まっている。「円村」という形態。

 

ただ、ここで注目して欲しいのは、「外円」の部分。現在は取り壊されているようだが、このような円村の場合、周囲に壁がつくられていたのだ。防御用のこの壁を「囲郭」といい、このような村を「囲郭村」と呼ぶ。「外敵への備えが必要」であったということで、分布する地域についてはキが該当する。

 

さらに形態の利点については、aは否定できるのではないか。写真を見る限り、家屋が密集し、「各農家の近くに耕地が集まっている」わけではないよね。おそらく耕地は村落から離れた場所にある。囲郭の外側。人々はわざわざそこまで出かけていって農業を行わないといけない。でも、これは仕方ないよね。時代は古く、いつどこから敵が襲ってくるかわからない。普段なみんなで集まって暮らし、村の外周には壁を建設する。そういった時代だったのだ。aは除外され、残ったbが該当。キ・aの③が正解。bには「教会や広場があり」とあるが、この円村の中心の建物は教会っぽいよね。「農業や社会生活などで共同作業を行いやすい」については、単に人々が集まって暮らしているということを示している。とくに深い意味はないと思うよ。

 

おまけです。

 

カ「開発の歴史が新しく、村落が計画的につくられ」ており、「各農家の近くに耕地が集まっており、耕作や収穫の利便性が高い」ものして、散村形態の集落がある。最近では2016年地理B本試験第3問問4に写真を伴う問題が問われているので、確認しておくといいだろう。富山県の砺波平野の散村で、ここでは「耕地の区画や道路の多くが直線状に整備され」、「各農家の耕地が自宅の周囲に配置されている」とある。

 

 

<2021年共通テスト第1日程・第3問問4[16]>

 

[インプレッション]都市人口率の問題って珍しいんですけどね。1人当たりGNIと対応させて考えるのが基本です。その都市人口率と文章の説明を組み合わせる問題になってるね。国名は全く登場しない。なるほど、地理がいかに「丸覚え」型の暗記から解放された科目かってことがわかる。

 

[解法]都市人口率のグラフである。都市人口率は1人当たりGNIと比例する傾向があることを意識しよう。ある国の人口(総人口)は、都市人口と農村人口に分けられる。都市人口を総人口で割った値が都市人口率であり、農村人口を総人口で割った値が農村人口率。都市人口の定義が国によって異なるので、厳密な指標とは思わないが、それでもある程度の当該国の経済発展を示す指標としては有効だろう。

 

1人当たりGNIは賃金水準(所得水準)である。一般に、第1次産業が最も所得水準が低く、第3次産業が最も高い。1人当たりGNIが高い国では、第1次産業就業者の割合が低く、第3次産業就業者の割合が高い。1人当たりGNIが低い国では、第1次産業就業者の割合が高く、第3次産業就業者の割合が低い。

 

第1次産業の就業者は主に農村に居住する。よって、1人当たりGNIの低い国では、農村人口の割合が高くなり、都市人口率が低い。逆に、第3次産業の就業者は主に都市に居住する。1人当たりGNIの高い国は。第3次産業就業者の割合と都市人口率がともに高くなる。

 

このことを頭に入れて図3を解析すると、Aは1人当たりGNIが高い先進国、Cは1人当たりGNIが低い発展途上国であることがわかる。Bについては数値が大きく上昇している。1人当たりGNIが急上昇し、工業化が進みつつある新興国と考えてみていいだろう。

 

文章を解析。こういった問題では文章全体を読んではいけない。キーワードのみをピンポイントで取り出す。サならば「工業化の進展が著しい」ことが特徴、シならば「最大の輸出品国はコーヒー豆である」ことからわかるように農業国であり、スは「第3次産業就業者の割合が高い」がもちろん最大のポイント。Aがス、Bがサ、Cがシになるね。

 

 

<2021年共通テスト第1日程・第3問問5[17]>

 

[インプレション]あれっ、さっきも似たような問題があったような。第5問を先に解説作っているんですが、そこでも福岡市を中心とした鉄道網沿いに人口密集地区があるっていうトピックが取り上げられていた。21世紀に入り、都市や人口流動において変化がとくに大きい。やっぱりこういう話題って出題の対象になりやすいのかな。

 

[解法]このパターンの問題は図を先に見るのは効率が悪いので、直接文章を検討する。あらかじめ入る言葉を予想してから図を検証するのが最善手。EとFの図の判定は後輪回しにして、先にXとYについて考えよう。

 

文章を読んでみよう。「大都市では、道路網や鉄道網の発達により」とある。これは納得できるね。「都市内部の人口分布は昼間と夜間で大きく異なる」。なるほど、都市圏構造をイメージしてみよう。都市圏(通勤圏と同じ)は、二重円で示され、中心部に近いエリアが「都心部」。オフィスが集まり昼間人口が大きい。外側が「郊外」。ニュータウンなど住宅地が配され、夜間人口が多い。

 

文章の後半では昼間人口と夜間人口のバランスについて記述されているね。「夜間人口100人に対する昼間人口を示す昼夜間人口指数」とある。夜間人口つまり常住人口なのだが、例えば都心部に人口10万人の都市があるとして、昼間は多くの通勤者が流入するので120万人となる。こういった都市では昼夜間人口指数が120となり、大きな値。一方で、郊外に同じく人口10万人の都市があるとする。都心部に通勤者があるため、昼間の人口が8万人ならば、昼夜間人口指数は80。これは低い値。

 

図4中のタとチを比較してみよう。タは鉄道網が密集しており、こちらが「都心部」であることがわかる。チはタから南方に伸びる鉄道上に位置する都市で、こちらは「郊外」だろうか。昼夜間人口比率はタ>チなので、Xにはタが当てはまる。

 

さらにEとFの判定もしてみよう。問題文に戻る。「いくつかの移動手段について、出勤目的の移動者数が多い地区間を線で結んだものであり、EとFは、自動車と鉄道のいずれかである」と説明されている。「主な鉄道網」を参考にすればいいね。都心部であるタへ向かっていくつかの路線が集中している。郊外から多くの通勤客を運ぶJRや私鉄の線路だろう(地下鉄は含まれているのだろうか。よくわからないが、当然大都市ならば地下鉄も通勤の足として利用されているはずで、都心部には地下鉄の線路網が張り巡らされているだろう)。タを中心とした移動者数が示されているFが「鉄道」と判定する。郊外から都心部に向かって、通勤者が流動しているのだ。

 

一方で、Eが「自動車」。こちらは都心部は避け、郊外同士を結んでいる。都心部では交通渋滞が懸念され、自動車で移動することは非効率。整備された幹線道路が多い郊外においてこそ、自動車(通勤で使うことを考えれば自家用車と同じ意味だろう)は有効な交通手段となるのだ。①が正解になるね。

 

 

<2021年共通テスト第1日程・第3問問6[18]>

 

[インプレッション]よくある問題ですね。過去問をしっかり分析している人ならば楽勝の問題でしょう。

 

[解法]

みんなは「買い回り品」と「最寄り品」の違いってわかるかな。買い回り品は「選んで買う商品」の意味で、価格の高い高級品や家電製品など耐久消費財のこと。買い回り品を扱う店舗は、都心部に立地する。ターミナル駅の近くで広い範囲から多様な客を集め(商圏が広いということ)、さらに値段が高い商品を扱うため都心部の高地価にも耐える。一方、「最寄り品」は文字通り、身の回りの品のことで、日用品や生鮮食料品など。最寄り品を扱う店舗は例えばスーパーマーケットであり、これは人が住んでいる限り、どこにでも立地する。都心部や郊外を問わず、そして都市圏外(農村など)にも最寄り品を扱う店舗はそんざいする。

本問で問われている「コンビニエンスストア」は、最寄り品を扱う店舗の代表例であり、図で示されている範囲についても全体的にまんべんなく分布しているとみていいだろう(*)。

 

ただ、ここで興味深いのは、最寄り品の店舗と似た立地傾向を示すものが他に一つあるとうこと。それが「公立中学校」なのだ。公立中学校の学区によって日本全体はカバーされている。日本国内に、いずれの公立中学校の学区でもないという地域は存在しない。「どこにでもある」という定義を考えるならば、「公立中学校」もコンビニ同様「最寄り品」なのだ。

 

このような分布に最寄り品的な特徴を有するものには、スーパー、コンビニ、公立小中学校、郵便局、クリーニング店などがある。イメージとしてはいずれも徒歩や自転車で自宅から行くことができる。バスや鉄道に乗ってわざわざ出かける必要はないわけだ。スーパーで、10円や20円安い程度の特売品が売っていたとして、それを電車でわざわざ買いに行ったら運賃の分だけ損するでしょ?自宅の周辺に分布する店舗や施設に、歩いて、もしくは自転車で、訪れることをイメージしてみよう。

 

以上より、「コンビニ」と「公立中学校」は性格が似ているので、判定には注意が必要。でも、君たちならわかるんじゃないかな。地理が単なる暗記問題ではなく、生活に密着した科目であることが、この問題から証明されるね。

 

図参照。図の全体に分布するのがマとム。数こそ違うがほぼ図の全体を覆い尽くしているのがわかるね。いずれかがコンビニ、いずれかが公立中学校。ここで考えて欲しいのだが、公立中学校は学区を有する。ということは、公立中学校同士はある程度の間隔をもって分布しているはずで、狭いエリアに密集していることはない。そう考えてみると、マの方が公立中学校ぽいんじゃないかな。図の範囲には10ほどマがあるが、それぞれ広く間隔を空けて分散している。一方のムが図中に無数に分散し、一部は集中してみられるのとは対照的。こちらはコンビニでいいと思う。

 

おっと、ずっと置いてけぼりになっていましたが(笑)広域に存在しないミはビジネスホテルかな。「中心業務地区」に集中している。ビジネス目的でやってくる人々が滞在するとすらば、もちろん中心業務地区に近接している方が便利。さらに駅にも近く、交通の利便性を考えても、この地区に集まっていることは合点がいく。それにしても、中心業務地区・駅周辺に20ほどのビジネスホテルが集まっている。これ、実はかなり大きい都市なんじゃないかな。ビジネスホテルがこんなに多い都市って、なかなかのものだと思うよ。正解は②になるね。

 

(*)例えば、同じ範囲における人口分布や住宅立地の図も示されていれば、そちらを参考にすることも必要になる。大まかな人々の居住地域を判定し、そこに店舗があれば最寄り品であるし、逆に全く人口が分布しないエリアがあれば最寄り品の店舗も存在しないであろう。ただし、本問の場合、そうした人口分布や住宅立地に関するデータがないので、図の範囲の全体にまんべんなく人々の居住地域が広がっていると考えるしかない。つまり最寄り品の店舗の分布にも偏りがない。