2015年度地理B本試験[第2問]問3 解説

問3 [インプレッション] ん、これは園芸農業の問題なのか?オランダの農業が問われているんであって、他の国はどうでもいい。オランダは園芸農業の国で、とくに集約的な農業が行われている。「集約」をキーワードにして考えていけばいいんじゃないかな。

「農業人口1人当たりの農業生産額」と「農地1ヘクタールあたりの農業生産額」。こういった指標については、割合であることが非常に大事。前者については「農業生産額÷農業人口」であり、つまり農業人口が相対的に少ない国において、この値は高くなる。後者については、「農業生産額÷農地面積」であり、農地が狭い国においてこの値は高くなる。これが大原則。
さらにツッコンで。ホイットルセー農牧業区分で園芸農業があるんだが、これは極めて「集約的」な農業形態。この場合は集約やもちろん土地集約のことをいい、狭い面積から極めて高い収量を得ることがこの農業の最大の特徴。園芸農業については、野菜栽培を中心とした近郊農業(野菜って高価格でしょ)を考えればいいのだが、世界でみるとオランダが園芸農業の代表的な地域になるのだ。国土が狭いので、それをできるだけ有効に使おうってことなんだろうね。その証拠に、オランダはあれだけの農業国でありながら、穀物(小麦)の生産は極めて少ない。価格の安い穀物の栽培は放棄して、値段の高い野菜や花卉、乳製品や肉類の生産に特化する。オランダってしたたかな国だわなぁ。
以上より、農地1ヘクタールあたりの農業生産額が極めて高い④がオランダ。

[アフターアクション] オランダの特殊性そして園芸農業の特徴。園芸農業とは、穀物以外何でも作る農業形態なのだが、たしかにオランダは穀物の自給率がわずか30%に過ぎないのだ。
ちなみに、①〜③は、①がアメリカ合衆国、②がイギリス、③がマレーシア。
①のアメリカ合衆国は粗放的な農業形態で農地1ヘクアール当たりの農業生産額が小さい。しかし、企業的な省力化が進んでいるので、農業人口1人当たりの農業生産額は大きい。
③のマレーシアはアジアの国で、集約的な農業が行われているため、農地1ヘクタール当たりの農業生産額は比較的高い。しかし家族経営の零細的な農業経営であるため、農業人口1人あたりの農業生産額は極めて小さい。
イギリスはその中間。