2015年度地理B本試験[第2問]問2 解説

問2 [インプレッション] どうだ、ガチガチやん。統計そのまんまだって!パーム油出るって言ってるやろ?ケニアはお茶だよ。完璧だな(笑)

[解法] ガチガチの統計問題。ここまでストレートなパターンは珍しいとも言えるんだが、だからこそ統計をしっかりマスターしておかないとね。
アはパーム油。マレーシアで覚えておくのがベターに思う。マレーシアは、植民地時代には天然ゴムのプランテーションが作られたのだが、独立後はコスト高(マレーシアは1人当たりGNIが何気に高い国なのだ)や樹木の老化などによって天然ゴム栽培は停滞し、プランテーションの主な作物は油ヤシへと転換された。油ヤシから採取した油脂がパーム油で、石鹸や洗剤の原料、食用油、さらにバイオ燃料などに利用される。近年とくに生産が拡大した農産物加工品である。
イは茶。ケニアだけ知っておいて。赤道直下の高原国で、サバンナ(熱帯草原)が広がる。茶はこうした小高い高原や丘陵地で栽培されるものなのだ。
ウは天然ゴム。タイが1位であることはベタに知っておこう。アマゾン低地原産であるけれど、東南アジアにおける生産が現在は圧倒的。
以上より、正解は⑤。

[アフターアクション] 天然ゴムではマレーシアで生産が減少しているというネタがしばしば登場するのでぜひ知っておこう。
イギリス人の手によって当時植民地だったマレーシアにプランテーションが開かれ、天然ゴムの栽培が始まった。天然ゴムは樹液を採取するために労働力が必要であり、当時足りない労働力を補うために中国やインドから多くの移民も流入している。
しかし、マレーシアは経済発展により経済レベルが向上した。つまり1人あたりGNIが上昇し、賃金水準が上がったため、天然ゴムの生産もコスト高になった。このため採算性に合わない天然ゴム栽培は打ち捨てられ、より省力化が図れ、ようするに「儲かる」油ヤシへと植え替えが進んだ。
マレーシアではプランテーションの作物が天然ゴムから油ヤシへと変化したのだ。この結果、ゴムの生産は減少しているものの、パーム油の生産は拡大している。