2010年度地理B追試験解説

たつじんオリジナル解説 [2010年 地理B 追試験]                                        

 

最初にお断り。ボクはこの解説を作る際に、答え合わせをしていません。もしかしたら答えが違っているかも!?その時は、たつじんでも間違えたんだから俺(私)が間違えても全然オッケイやなって感じで、諦めてください(笑)。

 

第1問 最初の大問が自然環境っていうのは当たり前のパターン。意外性なしです。

 

問1 [ファーストインプレッション] ベタな気候グラフの問題だね。Cが乾燥地域であること、Bが地中海性気候であることがわかればオッケイでしょ。ちなみに本問のようにほぼ同じ緯線に沿う複数の地点が出題の対象になることは多い。普通なら気温年較差(海洋性気候と大陸性気候の違いとかね)がポイントとなるんだが、本問は降水量がポイントになっている。ちょっと珍しい。

 

[解法] 気候グラフの判定。ベタですね。Aは微妙なので、確実なBとCを特定して、残りをAとする。まずCが確実。乾燥大陸オーストラリアの中央部に位置する。年間を通じ中緯度高圧帯の影響が強いので、少雨となるはず。ウが該当。

さらにB。緯度35゜一帯の大陸西岸には夏季乾燥型の気候がみられる。夏季(南半球なので1月を中心とした時期である)に南下する中緯度高圧帯の影響によって少雨、それ以外の時期は偏西風や寒帯前線の影響によって湿潤となる。アが該当。なお、この都市はケープタウン。名称を知っておいてもいいでしょう。

Aは消去法で。リオデジャネイロかな?正解は③。

 

[今後の学習] 地中海性気候がベタに出題されたので、チェックしておくべきかな。形式も内容もベタですね。

 

問2 [ファーストインプレッション] これもずいぶんベタなんだわ。断面図問題って結構難しいんだが、本問の難易度は低い。確実にゲットしましょう。問1のように、2つだけ特定して残る1つは消去法というパターンではなく、3つともチェックしておくべき。

 

[解法] まずEについて考えよう。南アメリカ大陸は、西端の太平洋岸に沿って新期造山帯のアンデス山脈が走っている。標高も極めて高く、クに該当。なお、クの東端には標高1000m程度の高原が広がっているが、これがブラジル高原である。コーヒーの栽培が行われている。

さらにFについて。高原大陸アフリカは全体として台地状の地形となっている。また東部に断層(東アフリカ大地溝帯)がみられることも特徴の一つ。カが該当。200m未満の低地の割合が低く、(南極を除く)5大陸中最も平均標高が高い。また、カという文字のやや右手に断層が走っていることも確認できる。

キがオーストラリアのC。オーストラリアで標高が高いのは、東部のグレートディバイディんぐ山脈だが、古期造山帯であるので、標高は低い。

 

[今後の学習] 全部大事だと思います。ぜひとも頭に入れておきましょう。

 

問3 [ファーストインプレッション] またしてもベタな(笑)。ただし、地理Bで海嶺の出題はあるが、これが「広がる境界」であることが問われた例はない。実は傾向としては新しかったりして。

 

[解法] 大西洋の中央には、巨大な(2列の)海底山脈が走っている。これが「海嶺」である。プレートの「広がる境界」であり、ここを境として東西にプレートが広がっていく。例えば、アフリカ大陸と南アメリカ大陸はかつては一つの大陸だったが、現在その間隔は広がりつつある。正解は④。海嶺上に形成された陸地の例として、火山島のアイスランドを知っておくといい。

 

[今後の学習] 海嶺としては最もオーソドックスな場所が出題されている。せっかくなので、インド洋中央海嶺や、太平洋東部海嶺なんかもチェックしておきましょう。

 

問4 [ファーストインプレッション] うわっ、エルニーニョ現象に関する問題。いや、これまでもエルニーニョ現象に関する問題はいくつもあったが、意外に思考力が問われる問題ばかりだった。本問はちょっと知識が求められている。やっかいな印象はあります。

 

[解法] よかったら赤道を引いておきまましょう。太平洋東部の低緯度一帯の海域は、通常時はペルー海流などの影響で水温が低く抑えられている。これが、なんらかの理由で水温が上昇し、水域内や周囲の陸地にさまざまな影響が生じる。エルニーニョ現象である。数年ごとに発生するといわれている。

エルニーニョ現象の理由にはさまざまな説があり、その中にはもっともらしいものもあるが、あくまで仮説なので考慮する必要はない。それよりもエルニーニョ現象すなわち水温上昇によってどんなことが生じるかを考えるべき。

水温が上昇することで海底から海面付近への湧昇流が抑えられ、栄養分が乏しくなることでプランクトンも減り、漁獲量が減少する。ただしそれまでは寒流の影響で地表付近の空気が冷やされ、上昇気流の生じにくい安定した大気の状態となりやすかったのだが、その作用がなくなり、不安定な降水量の多い空気の状態となる。「通常時=降水量が少なく、漁獲量が多い」に対し、「エルニーニョ現象時=降水量が増え、漁獲量が減る」ということ。

エルニーニョ現象と関連して発生するといわれているのが、太平洋西部の低緯度一帯の海水温が低下するラニーニャ現象である。東南アジア周辺の海域において海水温が低下するため、大気の安定によって降水量が減少し、干ばつなどの被害がみられる。またインドネシアなど森林国においては、空気の乾燥や、降雨による消火がないので、山林火災によって多くの熱帯林が失われることがある。正解は②。

 

[今後の学習] エルニーニョ現象はともかくとしてラニーニャって結構特殊。でもインドネシアの森林火災が過去問で出題されたことがあるので、ラニーニャと関連させて知っておきましょう。

 

問5 [ファーストインプレッション] 単語を答えるパターンで珍しい形式。ニュージーランドにフィヨルドとか意外だから実は難しい?下手に氷河地形のカールを知っておくと、日本に大陸氷河などなかったからこれを正解としてしまいそうなんだわ。

 

[解法] ニュージーランドの南端(おおよそ南緯45゜以南)は、かつて大陸氷河に覆われ、その沿岸はフィヨルドになっている。③が正解。

なお、カールも氷河地形なのだが、これが山岳地形であることに注意。氷河によって大きく椀状にえぐりとられた半円形の谷がカール。圏谷ともいう。大陸氷河はみられない日本であるが、山岳氷河は過去に存在し(*)その影響による地形も、高所を中心にみられる。北アルプスや南アルプスの山頂付近にはいくつものカールが存在する。

(*)最近の調査で、日本国内に現存する山岳氷河が発見されたそうだ。

 

[今後の学習] こういった出題形式は一般的ではないし、内容そのものも実は難しいので、重要な問題ではない。でも、カールが気になるんだよな。地形図問題でもしばしば出題されているし。椀状の半円形の谷、カールをぜひ知っておこう。

 

問6 [ファーストインプレッション] 意外とボクはこの問題が好きですよ(笑)。とくにサンゴ礁の辺りかな。サンゴ礁に必要なものは日光なのだ。

 

[解法] 解きにくい問題のような気がする。自然環境を問う問題において、農産物の名称が登場したら敏感にならなくてはいけない。本問の場合は「茶」と「ココヤシ」。とくにヤシは、油ヤシやナツメヤシなど種類が多く、慎重に考えること。本問には「湿潤」という言葉があるが、ナツメヤシはオアシス農業に対応する農作物(自給作物)であり、「乾燥」地域で栽培される。一方、油ヤシとココヤシは「湿潤」地域で栽培される油脂採取用の商品作物(プランテーション農業)である。だから、④は正しい。なお、ココヤシから得られた油脂はコプラという。これも知っておくといい。フィリピンでの生産が多い。

④の疑惑が晴れたので、改めて③の判定。ここでは「茶」が主役となっている。茶の栽培条件とは何だろうか。温暖で湿潤な気候が必要なのは言うまでもなく、そうした栽培環境は南太平洋の島々にもあるだろう。茶の場合、重要となるのは地形の方である。高原に適応する作物であり、「排水性の良い丘陵」が最も栽培に適する場所。問題の文章中にはそうした表現はない。これは疑ってもいいんじゃないか。文章には「雨季と乾季のある地域」とある。栽培条件として雨季と乾季が必要はものは何か。乾季を乗り切るために、雨季の間に体内に糖分を蓄える作物である。雨季と乾季がみられる代表的な国であるタイやキューバで栽培が盛んな作物だ。そう、これは「サトウキビ」だね。以上より③が誤り(正解)。

他の選択肢もおいしいので要チェック。①のサンゴ礁についてはその生育条件が重要。1つ目が水の透明度(日光が注ぐこと)、2つ目が塩水(川や湖にはできない)、3つ目が水温(低緯度の海域、暖流の影響)。とくにここでは1つ目の透明度に注目しよう。太陽光線が十分に届く、澄んだ海域。もちろん深海だと日光が到達しないので、浅いことも重要です。

さらに②についても。マングローブは特定の種類の樹木の名前ではなく、熱帯の汽水域(塩水と淡水が混ざった状態)に分布する様々な樹木の総称。河口付近の淡水と海水が入り交じったところにみられる。こうした地域の多くは干潟となっているが、そのため生態系も豊かであり、マングローブ林に生息する魚介類など生物も豊富。近年はこのマングローブ林が伐採され、エビ養殖池に開発されてしまうこともあるが、それにより失われてしまう生物種の多さが問題となっている。

 

[今後の学習] ボク的には選択肢①のサンゴ礁の問われ方が気に入っているんだが(笑)、やはりこうした問題で重要となるのは農産物と自然環境の関係。「ナツメヤシ=高温乾燥」、「油ヤシ・ココヤシ=高温多雨」、「茶=排水性の良い丘陵」、「サトウキビ=雨季と乾季」のような特徴を捉える。なお、南太平洋の国でサトウキビの栽培に特徴があるのはフィジー。旧イギリス領で、インドから奴隷が運び込まれサトウキビの栽培が始められた。現在でも、先住のフィジー人と、インド系住民との間で対立が生じている。ちょっとマイナーなネタなんで、知らない人は知らなくていいですよ。

 

 

第2問 奈良県ですかっ!ボクは2009年度の模試で奈良県をテーマとした地域調査の問題を作ったんで、的中っちゃあ的中だね(笑)。ま、こんなん的中しても意味ないけどね。それにしても、アスカさんとヤマトくんでしたか。そうなんだよね、奈良なら当然この名前を考えるべきだったのだ。う~ん、こちらは的中せず。惜しかったです。

 

問1 [ファーストインプレッション] 奈良市の気候は以前に問われたことがある。尾鷲市も日本で最も降水量が多い都市なので、頻出。大阪市っていうのが意外なんだわ。その意味は考えていかないと。基本的には年降水量で問いたらいいと思う。でも1月の最低気温っていうのが意味深なんだよね。年間霧日数はどうでもいいんじゃない?(笑)

 

[解法] ちょっと悩むところだが、尾鷲に注目しよう。紀伊半島の南東岸に位置する尾鷲市は、夏季に太平洋から湿った季節風が吹き込むことによって、極めて多雨となる。日本で最も年間の降水量が多い都市となっている。イが該当。日本全体の平均年降水量が約1500mmなので、3922mmってとんでもなく雨が多いっていうこと。

これに対し、アとウの降水量は変わらない。だから他のデータで行きましょう。1月の最低気温に注目すればいいと思う。内陸部に位置する奈良市は、ちょっとした大陸性気候みたいなものなので、気温年較差が大きい。「海」という水分が近くにないため(水の存在は温度を保持するのだ)、夏季は大きく気温が上昇し、冬季は極端に寒冷となる。このことから冬により寒くなるウが奈良市と考えていいんじゃないかな。

残ったアが大阪市で、正解は②。ところで大阪市の1月の最低気温は、なぜか3都市中最も高くなっている。これってどうしたことだろう?おそらくヒートアイランド現象じゃないかな。大地はアスファルトに覆われ、高層ビルが林立。さまざまな産業や多くの人口が集中し、発する熱量も大きい。大阪市内は周辺にくらべ気温が高くなる。それがこの「2.5」という高い数値に現れているのでは。

 

[今後の学習] 尾鷲は覚えておいていいと思うよ。降水量が極めて多い。ヒートアイランド現象は特に意識しなくてもいいけれど、3都市中で奈良市が最も冬に寒くなることはチェックしておこう。内陸部であるので冬に特に寒冷となる。

 

問2 [ファーストインプレッション] 良い問題だと思います。本試験の方にも、こうした統計地図が取り上げられただけに、今後はこの形式の問題が増えるかも。新しい傾向です。ボクも模試でこうした問題を作りたいですね。

 

[解法] ①;「階級区分図」はぜひ知っておこう。地理はこうしたさりげない日本語が大切だったりする。地図を国や都道府県、市町村のようなエリアに分け、色や模様の違いによって「割合」の高低を表す。割合とは、ある指標を他の指標によって除することによって求められる統計数値。人口密度(人口÷面積)、人口増加率(変化した人口÷元の人口)など。人口や小売業販売額のような「実数」は表さない。

②;ドットマップは「実数」を表す統計地図の一つ。とくに「絶対分布」を表すことを知っておこう。絶対分布とは、分布量と分布位置がはっきりしていること。

③;奈良市の人口密度は「1000~2000」であるのに対し、西側に隣接する市町村は「2000以上」。高くなっているので、この選択肢が誤り。

④;これは正しいですね。

 

[今後の学習] ③が正解(誤り)だったので、言葉を知る必要はなかったものの、「階級区分図」や「ドットマップ」(そして「絶対分布」も)などのキーワードは知っておいた方が良さそうですね。

 

問3 [ファーストインプレッション] 平坦な地形である奈良盆地であるが、それでも問題を解くポイントは、選択肢②と選択肢③の堤防や河川の流れる方向など、土地の高低。選択肢①にしても土地利用記号がポイントになっている。やっぱりセンター試験の地形図問題は、立体視と土地利用記号が大切ということ。

 

[解法] ①;防風林ならば、一列に針葉樹林(広葉樹林の場合もある)が並んでいる。カの範囲にはそうしたものはみられない。これが誤り。正解は①。

②;キの北の方に橋があるので、これより河川の流れを確認。単なる1本の線になっているのでわかりにくいけど、しっかり目でとらえよう。そして、キの範囲においては、両側に「土の斜面」の組み合わさった堤防が見える。堤防の表現に注意。土が盛られているんだね(盛土)。

③;定番の問題。標高を表す数字を探す。左上に「「61」とあり、右に「63」とある。水は標高の高い方から低い方に向かって流れるので、「東から西」である。

④;2万5千分の1の地形図なので、500mなら2cmである。だいたいそれぐらいなんじゃない?長さが出題されるっていうのは珍しいけど、ないことではない。

 

[今後の学習] オーソドックスな問題であり、さほど心の準備はいらないだろう。土地利用記号を探し、土の崖の意味を理解し、標高を数字から読み取る。長さを測るのがちょっと面倒なので、慣れておいた方がいいかな。

 

問4 [ファーストインプレッション] 「土地利用の変化」を調べているわけだ。それならば土地利用記号がポイントになりそうなもんだか、そうでもないみたい(笑)。そうはいっても、「溜池」、「宅地化」、「インターチェンジ」、「工業用地」などおいしいキーワードが満載なので、問題としてはなかなか優れていると思う。③の鉄道の選択肢が、いかにも鉄道マニアの先生が作った感じがしておもしろいけど、鉄道マニアって謙虚な人が多いから、おそらく③は解答ではない(つまり誤文)なんじゃないかな。地形図を見ないで、選択肢の文章だけ見て、おそらく①が答えっぽいなとボクは感じました。奈良は新興住宅地が多いエリアだしね。どうなんかな。さて、地形図を見て、問題を解いて見ましょう。

 

[解法] ①;「北」という字の右上に溜池がある。69年の段階でも溜池のままのようだ。あれ、これは違っているんや。誤文でした。

②;道路がぐるぐると回っているような箇所があれば、それが「インターチェンジj。地形図問題にしばしば登場しているので、過去問でチェックしておくといい。69年に新設されている道路にはこうしたものはみられない。(24)という数字があるが、これは国道24号線ということ。道路がグレーに塗られているのは国道を表す。なお有料道路は道路の中央に点々が描かれているのだが、この図でははっきりしないかな。

③;鉄道は駅を探しましょう。「うねび」駅から東西に伸びる桜井線に注目。さらに「やぎにしぐち」駅から南北に伸びる鉄道も確認。この2つは古い時代からここにあったようだ(「やぎにしぐち」駅は新しいようだが)。しかし69年の図にはもう一つ鉄道がある。「やまとやぎ」駅を中心として東西に伸びる路線。これこそまさに新たに敷設された鉄道である。③が正解!

④;「耳成山」の北に接して果樹園があり、さらに田も見られる。69年の図参照。とくにここは工場にはなっていないようだ。誤文。

 

[今後の学習] まさか鉄道が正解という珍しいパターンの問題でした!そういうところが追試なのかな(笑)。インターチェンジだけ知っておくべきでしょう。

 

問5 [ファーストインプレッション] これ、結構難しいぞ!ん、そうか、図5も参考にするのか。むしろこの図5の方を重視することで解答に近づく気がする。

 

[解法] 道幅の広い道路が見られるシはともかくとして、サとスの違いがよくわからない。これが最大のポイントになりだそうだ。とりあえず簡単そうなシから判定してしまおう。L、М、Nから最も太い幹線道路に接しているNがシと思われる。ちなみにやや太い黒線で囲まれたグレーの部分は建物かな。Nの円の右上にかかっている。家屋が密集している地域ではないので地価が安く、敷地面積の広い建物がみられたりする。

そして、LとМの判定。これがなかなか迷うんだわ。Мは建物が密集しているところ。薄いグレーの部分は建物を表している。それに対し、Lは整然と家屋が一軒一軒建ち並んでいる。どちらが特徴的だと思う?ボクはやはりLに注目するわけだ。これ、いかにも郊外のニュータウンって感じじゃない?最近になってつくられたって感じの。

で、それを確かめるべく、過去の地形図である図5を参照する。1925年の図では、Lの地域は農地となっており、家屋はみられない。1969年(つまり高度経済成長期)には新たに住宅が建設されており、まさにニュータウンだろう。「近鉄団地」と書かれている。このように比較的新しい住宅地と考えるべきがこのLであり、写真でいうらならば、同じような建物が整然と並んでいるサが該当する。正解は②。

スはМなのだが、これも検証してみよう。図5も参照すればわかるのだが、Мのエリアは古い時代から建物が多く見られた旧市街である。伝統的な町並みも残っているのではないか。写真スってちょっと古くさい感じがしない?伝統的な旧市街地の風景なのだ。

 

[今後の学習] この解説文は第1問問1から順番に作っていて、今の段階ではこれ以降の問題をほとんど見ていないのだが、とりあえずここまでではこの第2問問5がベストの問題です。これ、いいなぁ。新興住宅地の町並みを判定させるなんて、なかなかいいじゃない?写真だけじゃなく、図4と図5を連動させるなんて味なマネもしてくれる。本問が解けた人は、かなりセンター試験のセンスがあると思うよ。本番もその聡明な推理力で「犯人」と突き止めてください。キミの推理センスがいかにセンター試験に向いているかを確かめるリトマス試験紙的な問題だと思います。

 

問6 [ファーストインプレッション] これがさらにおもしろい。思考問題として質がかなり高いと思う。センター地理で最近話題になりつつある「古いニュータウン」の特徴を問う問題。新傾向って言ってもいいんだが、それより時代を反映したコンテンポラリーな問題と解釈しましょう。

 

[解法] こうした「3点どめ」の問題を解く場合に考えることは、2つの組み合わせを確実に処理し、残る1つは消去法で解くという方法。3つの指標が与えられているわけだが、分かりやすいもの2つを考え、残る1つは無視する。

というわけで、ボクが考えるに、最も簡単なのは「農業就業者数」である。高度経済成長期に急激に低下し、それから現在にかけても減り続けているもの。これは大丈夫だと思う。問題は残る2つ。これが結構やっかい。でも年号に注目すればいいと思う。1970年から2000年までの比較的長い範囲を扱っている。橿原は奈良県に含まれ、「郊外」的な特徴を有しているわけだが、それにしても30年という長い年月の間に、他の日本国内の地域と同様に、高齢化は進んでいるのではないか。とくに「人口」の伸びは近年ゆるやかになってきている。新たな住民の転居が少ない以上、そこに住んでいる人々は徐々に年齢を重ねていくのみ。「65歳以上人口」については増加していることを考える。

以上、2つの指標に絞って考えてみよう。

農業就業者数は簡単。、減り続けているものを選択。、チが該当。

そして65歳以上人口である。これについては増加し続けているものを選べばいいのではないか。「人口」を見る限り、橿原市の人口が急増したのは1970年代まで。おそらくこの時期にニュータウンが建設され、若い世代を中心に多くの人々が転入してきたのではないか。しかし1980年以降、人口増加の伸びは鈍化する。新たな住宅地開発は進まず。転入者も少ない。1970年に30代で転居してきた若い世代も、2010年の現在では高齢者の仲間入りをする。ニュータウンが「オールドタウン」になっていくのだ。これを考えれば、タとツを比較して、現在も数値が上昇しているタが65歳以上人口と考えて妥当だろう。正解は⑥。

ということはツが小学校児童数なのだ。言われてみればなるほどなぁと思うデータ。1980年までは極めて多くの児童がいるわけだが、現在は大きく減少し、その数もわずか。これには2つの理由が考えられる。一つがニュータウンとの関係。1970年代までに新興住宅地の開発が相次ぎ、若い夫婦が多く転入したことで、小学生の数も増える。他の地域で生まれた子供たちが引っ越してくるだけでなく、橿原市で生まれた子供たちも小学生となる。しかし、彼らが小学校を卒業するころになると、ニュータウンは次第に「オールドタウン」となり、子供たちが少なくなってしまう。ニュータウンにおいてはこのように特定の世代に人口が偏ってしまうという問題が生じており、橿原市における小学生の数の時期による不均衡などはその最も顕著な例なのかもしれない。

さらにもちろんもう一つの理由は、日本全体における少子化。1970年代から80年代の初めに小学生だった世代は、いわゆる第2次ベビーブーマーたち。終戦直後の第1次ベビーブームに生まれた年代の子の世代に相当し、いわゆる「団塊の世代」とよばれる第1次ベビーブーマーたちほど極端ではないものの、70年ごろに生まれた世代もかなり多い。1970年代から80年代に小学生が多いのも納得だね。っていうか、今の少子化ってこんなにヤバかったんだ、って改めて子供たちの少なさに驚愕するデータでもあるよね。

 

[今後の学習] これも問5に引き続いてすごくいい問題です。問5とはまた違う部分の頭を使うっていう感じで、問5ができた人でもこちらはかなり悩んだんじゃないかな。でも、解き方は上で説明した通り。2つの組み合わせについて徹底きてに考えていって、残りは消去法でいい。農業を真っ先に考えるんだ、っていうヒラメキがあれば、解答にたどりつけたんじゃないかな。

ちなみに解法では触れませんでしたが、各グラフのタテ軸の数字のとり方がそれぞれ異なっているのがおもしろいと思った。1970年と2010年をくらべると、タは4倍になっていて、地は5分の1になっていて、ツは1.2倍になっている。こういった点もヒントになったかもね。

まぁ、ホント、この「古くなっていくニュータウン」の問題はネタとしてすごく熱いものなので、ぜひ意識しておいてほしいな。「高度経済成長期に郊外の開発が進む→若い世代が転入してくる→それから40年が経過→ニュータウンにおける高齢化が問題となる」という流れ。現にかつて郊外の代表として高い人口増加率を誇っていた奈良県であるが、現在の人口増加率はむしろ低くなっているんだよね。「オールドタウン」の問題は、21世紀の日本における新しい課題なのだ。

 

 

第3問 世界の第1次産業っていうざっくりとした大問。第1問も自然環境だったんで、こちらもやや自然に偏った感じがして意外なんだが、そこをどう上手く経済地理に結びつけて問題にしているかがちょっと興味深いですね。もちろんこうした「産業」に関する問題は統計が非常に重要になってくるので、そこも注目していこう。

 

問1 [ファーストインプレッション] あれ、これってボクが去年つくった予想問題と同じじゃない?ま、的中といえば的中なんですが、当たり前過ぎておもしろみに欠ける問題ともいえるのかな。

 

[解法] 漁業生産額の上位国は、中国やペルー、チリなど。日本も比較的多い。Cが該当。

輸入と輸出については日本に注目すればいいだろう。わが国は世界最大の水産物輸入国である。中国からはウナギ、ロシアからはタラやニシン、インドネシアからはエビなど。Aが輸入となり、残ったBが輸出。正解は⑥。

ところでペルーの輸出がよくわからないんだよね。本来ならフィッシュミール(魚粉)の輸出が多いはず。米国抜けに輸出され、家畜の飼料となる。魚そのものでなく、加工品なのでカウントされていないのかな?

 

[今後の学習] 統計を確認。漁業生産量についてはチリなど意外な国を知っておく。貿易については日本が最大の水産物輸入国であることをチェック。

 

問2 [ファーストインプレッション] チーズが来た、チーズが来た、チーズが来た!酪農ネタでチーズが登場したことはあったけれど、正面切ってチーズが話題になったのは初めてじゃないかな。ちょっと意外。でもそれ以上に注目なのは、インドと牛乳の関係。昨年の追試でもインドにおける牛乳の生産が上昇した「白い革命」が話題となっていた。ちょっと昔ならば、「宗教的な理由でインドでは牛肉を食さない」っていう問われ方が多かったんだが、最近は「インドでは動物性蛋白源として乳製品が重視される」っていう出題のされ方。インドにはなぜ牛がたくさんいるんでしょう。それは牛乳をとるためなのです。これが意識できているかどうかっていう素晴らしい問題。

 

[解法] インドと牛の関係が重要。インドでは、牛を神聖視するヒンドゥー教の影響によって牛肉を食さないっていうでしょ。あれ、嘘だよ(笑)。高温多雨なインドにおいては肉は腐りやすいので、そもそも獣の肉を食べる習慣がないのです(日本もそうでしょ)。ただし、農作業の使役用として重宝したり、糞を燃料や建築材料にできるので便利だったり、さらに貴重な動物性蛋白源の摂取減として牛乳を得られたりなど、牛の存在自体は非常に重要だったりする。このことを理解する。Eが牛乳。

残る2つについては、「チーズ=酪農」と結びつけることができたらいいと思う。酪農国としてクローズアップされるのはデンマークだけど、デンマークは小国すぎてさすがにこうしたデータには登場しにくい。でもドイツやオランダ、フランスなどデンマークの周辺国がランクインしているよね。Gがチーズとなります。正解は③。

なお、牛肉については企業的牧畜と結びつける。オーストラリアでは冷凍船の就航以来(肉を新鮮な状態で大消費地であるヨーロッパに運ぶためには冷凍設備が必須)、肉牛の放牧が一気に広まった。新大陸の企業的牧畜の国が多く含まれているFが牛肉なのは何の問題もないでしょ。

 

[今後の学習] 良い問題ですね。すごく好きです。インドの牛乳は絶対にチェック。さらに「チーズ=酪農=北部ヨーロッパ」、「牛肉=企業的牧畜=新大陸」の組み合わせ。ホイットルセー農牧業区分も必須アイテム。

 

問3 [ファーストインプレッション] これも良い問題だと思います。でも問2ほど深みはないかな。ただし、深くない分だけ解き易い。正解率は高いでしょ。

 

[解法] 「用材=先進国」、「薪炭材=発展途上国」である。①と③が先進国、②と④が発展途上国。カナダと日本が①と③に該当するわけだが、生産量の多い①をカナダとみて良いでしょう。②と④は不問。

 

[今後の学習] とくに問題とするべきところのないオーソドックスな問題だと思います。用材と薪炭材の区分を明確に。

 

問4 [ファーストインプレッション] 見慣れない問題。難しいぞ!基本的にセンター試験の問題は過去問の焼き直しばかりなのだが、これは難しい。しかも絶対数ではなく、指数なのか。絶対数ならば、フランスの小麦生産の多さや、面積そのものが日本より広いことをヒントとすればいいんだが。指数(つまり過去からの変化の度合い)ならば結構悩みそうな気がするぞ。

 

[解法] 難しそうな予感プンプンなのだ。ちょっとビビるな。

ただ、日本について当たり前のことを考えていけばいいんじゃないかな。日本では食料自給率の低下が問題となっている。トウモロコシはほぼ全部を輸入に依存しているし、小麦の自給率も10%程度と低い。米だけは95%と高い割合を維持しているが、それでも1975年の段階から比べれば減少しているだろう。食生活の洋風化が進んだことにより米の消費量(供給量)そのものが減少しているだけでなく、1970年代からスタートした生産調整(減反政策)の影響によって生産量は落ちているはず。

これに対し、フランスってどうだろう?フランスが含まれるEUにおいては共通農業政策が実施され、農業振興に成功している。とくに小麦の自給率は上昇し、ヨーロッパ全体でみても小麦の輸出地域となっている。近年はむしろ小麦の生産過剰が問題となっているほど。

以上より、Kをフランス、Lを日本とみていいだろう。農業国として進化するフランスと、農業が失われていく日本。

ではアとイの判定は?Lについては大きな差はないので、Kに注目しよう。アにおけるKの値は急上昇をみせているのに対し、イでは微増である。耕地面積と穀物生産量ということは、アとイの関係は土地生産性と重要な関連性があると考えていい。土地生産最は、耕地面積当たりの生産量の大小によって判定されるもので、「収穫量÷耕地面積」という式が重要。

アと耕地、イを生産量と考える。Kの値に注目しよう。耕地が大きく広がったのに、生産量はほぼ横ばい。これ、土地生産性は下がっているってことだよね。共通農業政策の下、農業が保護されているEUの中心的な農業国フランスでそんなことがありえるだろうか。逆にアを生産量、イを耕地とする。耕地はほとんど増えていないのに、生産量は急増している。土地生産性が上昇しているということだ。こちらの方が妥当じゃない?よって④がフランスとなる。

もう一度アに注目して、フランスにおける穀物生産量が大きく増加している様子も読み取る。ヨーロッパは世界的な農業地域なのだ。生産過剰の問題も生じているが、それでも穀物の生産が最重要課題とされている。

一方、Lが日本。食生活の洋風化によって(要するにパンやパスタを食べているということ)、米の消費量が減少し、それに伴って生産も停滞した。先に述べたように減反政策の影響もある。日本の農業の行く末は、暗いな。

 

[今後の学習] ちょっと解くのに難儀しました。正解は確認していないけど、これで当たっていると思うよ。日本において、FTA(自由貿易)が推進され、農業が斬り捨てられようとしている。でも、それは正しいのか?世界最大の経済規模を誇るEUが、最優先課題としているのは実は農業なのだ。経済のために農業を犠牲にするというのは間違っていると思う。むしろ、金儲けは諦めてでも、日本固有の食文化は守っていかなければいけないんじゃないか。

 

問5 [ファーストインプレッション] 珍しい語句問題。しかも、アグリビジネスっていう言葉は国公立二次・私大の入試ではよく問われるんだが、センターでは初登場ですね。どんなもんかな。

 

[解法] センター初登場のアグリビジネスだけど、実はこの問題はアグリビジネスの問題ではない(笑)。正解は②。「国営農場(ソフホーズ)」や「集団農場(コルホーズ)」は旧ソ連のキーワードなので、全然関係無い。また「自給的」っていうのもおかしいんじゃないかな。そもそもアグリビジネスには「農業関連企業」っていう注釈がある。「企業的」な農業て「商業的」でしょ。「商業的」と「自給的」は反対語。だから「企業」に「自給的」っていうのはおかしいわけ。

 

[今後の学習] 言葉時代の意味は問われていない。農業における重要なキーワードの一つである「企業」にどれだけ君たちが反応できるかどうか。「企業」なんだから「自給」じゃないでしょ、みたいな。

 

問6 [ファーストインプレッション] シンプルで当たり前の問題。ボクも同じ問題はよく模試で作ります。

 

[解法] 大豆を当てるっていうのがおもしろい。実は大豆ってセンターではほとんど出題されないんですよ。でもキミたち大丈夫でしょ?大豆については「コーン+大豆=ブタ」、コーンベルトで行われている混合農業を考えればいい。トウモロコシと大豆が輪作され、ブタなど家畜の飼料とされる。混合農業地域は、かつてコットンベルトと呼ばれていた南部(南東部)にまで拡大しているものの、やはりコーンベルトに該当する五大湖南側の地域が大事でしょ。

正解は②。一番大きな円が描かれているのが、「ギルバート・グレープ」(必見!)や「フィールド・オブ・ドリームス」で有名なアイオワ州。その東へとイリノイ州、インディアナ州、オハイオ州と続き、いずれも大きな円が示されている。代表的なコーンベルトの州としてこの4つの位置をチェックしておこう。

①が冬小麦。年間降水量500mmの等値線に沿う企業的穀物農業地域。最も大きな円が描かれているのがカンザス州。

③が綿花。コットンベルトと呼ばれていた南部(南東部に該当)と、テキサス州やカリフォルニア州。とくにテキサス州をチェックしておこう。収穫期に乾燥した気候を必要とする綿花は、灌漑農業と相性がよく、地下水を利用したセンターピボット農業がみられるテキサス州などへと栽培地域が拡大している。

④がジャガイモ。寒そうでしょ(笑)。

 

[今後の学習] コーンベルトの位置を確認。混合農業地帯であり、とくにアイオワ州はトウモロコシ、大豆、ブタ、すべて全米1位の農業州。米国で1位ってことは、世界で最も農業が盛んな地域ってことだよ。

 

 

第4問 都市に関する大問は新課程導入以降、絶対に出題されている。今回もそのパターンにならったもの。都市構造や都市圏に関するネタが一般的だが、時々都市名が問われていたりして、そこがちょっと気になるか。でも難しい都市名が登場したとしても、追試だから出題されてるだけなんやって、開き直ったらいいでしょう(笑)。

 

問1 [ファーストインプレッション] ちょっと特殊な都市名が問われているが全く問題ないでしょう。セントルイスに関する知識は全く必要ではなく、消去法で確実に正解にたどり着いてください。

 

[解法] 消去法で解きましょう。シアトルとロサンゼルスは重要なので、これらは知らんとどうしようもない。シアトルとロサンゼルスは沿岸を流れている海流の影響が非常に大きい都市。シアトルは沿岸を北上する暖流の影響が強い都市、降水量が多く、周囲は森林地帯となっている。水力発電が盛んでアルミニウムの精錬も行われている。一方、ロサンゼルスは沿岸を南下する寒流の影響が強い。降水量が少なく、晴天日数が多いことから航空機の組立や映画産業などが立地。以上より、シアトルが①、ロサンゼルスが③となる。

残るは②と④だが、ここでは②の「非居住地域」に注目。まさか米国の中央部のセントルイスが非居住地域なわけはなかろう。グリーンランド沿岸部のツンドラ地帯に該当するキーワードであると思われる。②がかーナック。

消去法で③が正解。

 

[今後の学習] シアトルとロサンゼルスが重要。暖流と寒流の影響を考える。

 

問2 [ファーストインプレッション] インチョン初登場!しかし、当然出題されてしかるべき都市名だと思うよ。一回だけの登場だけど、ぜひ知っておこう。

 

[解法] インチョンに注目しよう。韓国北部の沿岸部に位置する都市で、内陸部の都市であるソウルの外港的な機能を持っている。とくに最近では空港も建設され、アジア航空交通の拠点となっている。Aがインチョンである。なお、ハブ空港の「ハブ」というのは、自転車の車輪の中央にある車軸のこと。ここから多数のスポークがタイヤに向かって出ているわけだが、この形状が、空港を中心に多くの航路が設定されている様子に例えられている。

もう一つの都市としてはイスタンブールを知っておくといい。これこそ非常によく出題される都市名なので、知っている人も多いんじゃないかな。トルコ西部の国内人口最大都市で(首都ではない)、海峡を挟んで市街地が広がっている。下関市の姉妹都市であり、関門海峡大橋にならった巨大な橋も建設されている。「二つの異なる文化圏」というのはヨーロッパのキリスト教文化圏と、西アジアのイスラム教文化圏のことであろう。イスタンブールはBである。

よって正解は③。ロッテルダムというのはユーロポートが位置する都市。ライン川の河口の巨大港湾。

 

[今後の学習] インチョンは初登場であるが、「ソウルの外港」、「ハブ空港」というキーワードでぜひとも知っておこう。イスタンブールは最も出題率の高い都市。古い時代にはキリスト教の中心地として栄えた歴史もあるが、現在はトルコ最大都市として、多くのモスク(イスラム教の礼拝所)も有名。

 

問3 [ファーストインプレッション] おっと、これも都市に関する問題?と思いきや、都市は関係ないですね。

 

[解法] 正解は②。イタリアは資源の産出国ではない。イタリア半島の足の裏に当たるタラントに製鉄所が建設されているが、これは原料立地型ではなく、臨海立地型。原料の鉄鉱石や石炭は輸入に依存している。イタリアは、その細長い形状、新期造山帯の山がちな国土と火山の存在、そして資源に恵まれないことなど、日本との共通項が多い。でも日本では原子力発電が盛んなんだけど、イタリアには原発はないんだよね。、ここが微妙に異なっています。

 

[今後の学習] 都市名が出題されても、都市名にとらわれずに解くテクニック。

 

問4 [ファーストインプレッション] びっくり!今回の追試の中で、最も解説しにくい問題の一つ。授業テキストには使でないかな。

 

[解法] 難しいんだよ。だからここは「反対語」にこだわること。②に注目すると、「高層集合住宅」という言葉がある。なるほど、人口密度の高い東京においては、地価が高いこともあって、高層のマンション建設が活発になっているのは納得できるわけだ。で、この「高層集合住宅」の反対語を探すと、①にそれがあるんだわ。そう、「一戸建て住宅」っていうやつ。さぁ、これについてどう思う?

シンガポールは都市国家であり、狭いエリアに多くの人口が密集する人口過密国。こういった国で、敷地面積を広く必要とする一戸建て住宅の整備が進むか。そこに「人口の大半」が住んでいるなんて。②で述べられる東京と同じように、人口密度の高いシンガポールでもやはり高層マンションの建設が進んでいるのではないか。「一戸建て」と「高層集合住宅」を反対語として捉えることによって、考えやすくなるはずだ。①が誤り。

で、①が正解だと思ってみると、なるほどおもしろいパターンがみられるんだわ。それは各選択肢の文末から読み取れるニュアンスのようなもの。①は「大半を占めるようになった」、②は「不足もみられる」、③は「減少した」、④は「行われるようになった」。どうかな。②とか④ってちょっと意味が弱い気がしない?③は反対語として「増加した」っていう言い方があるから強い印象だけど。で、正解の①についてはわざわざ「大半」っていう数値的な条件まで出しているわけでしょ。①の文章の、意味付けの強さっていうのが興味深いわけだ。こうした文章のニュアンスまで読み込む練習をしましょう。

ところで、④を誤りとした人が多かったんじゃないかな。まぁ、フィリピンのマニラは当然スラムがひどい都市ではあるけれど、その一部ではこのようあn再開発も行われていると解釈してください。でも、全体の1%に満たない狭い範囲の話だと思いますよ。この文章でも「行われるようになった」と書かれているんであって、「完全に行われて、スラムはなくなった」と書かれているわけでもないでしょ。ごく一部の話ならば、こうしたこともあるんじゃない?そんな感じで考えましょう。

 

[今後の学習] ファーストインプレッションでは「授業で取り上げにくい」と思ったけれど、解法を書いていたらちょっと考えが変わりました。全く答えがわからなければ、反対の表現を持つ語に注目しろってセオリーが最もはっきりと現れた問題の一つですね、これって。一戸建てには集合住宅って反対語があり、言葉を入れ変えるだけで誤文ができてしまう。なかなか文章読解問題として興味深いものになっています。悪くないね。

 

問5 [ファーストインプレッション] 今回ボクが最も苦しんだ問題の一つ。悩んだ。傾向として新しいわけじゃない。よく見るような問題なんだわ。でも、頭の中の引き出しをひっくり返してみても、過去問でそっくりそのまま引用できるようなネタが引っ張り出せないのだ。問題を解くカギは必ず過去(過去問)の中にある。でもそれがわからないのだ。悩んだ。

 

[解法] 難しい印象。だから4つ全てを特定するのではなく、解答を求められている印西市だけ当ててしまう。それなら何とかなるかもしれない。ポイントは印西が典型的な郊外っていうことなのだ。しかもただの郊外ではなく、都市圏の外周部に近い新興住宅地ということ。東京都心からの距離で考えれば、八王子も鎌倉もそう変らないかもしれない。でも印西には「ニュータウン」という表現もみられ、開発の時期が新しいことがわかる。地価も安く、伝統的な町並みも存在しない、典型的な新興住宅地なのだ。

で、やっぱり「地価の安さ」がポイントでいいと思うよ。地価が安いのだから店舗の面積も余裕を持ってつくることができる。「1事業所当たり売り場面積」が本tも広い③をスバリ正解としてしまっていいんじゃないかな。「大手資本によるチェーン店」なんていう表現もあり、大きなドラッグストアやホームセンター、電気量販店みたいなものを考えることができる。広い駐車場を備えた大型店が多いのが郊外の特徴でしょ。

他も一応考える。④が中央区でいいと思うよ。地価が高いので1事業所当たり売り場面積」は大きくない。でも都心部に位置するため買い回り品(高級品など)を扱う店舗が多く、1事業所当たり年間商品販売額は大きくなる。

都心部より店舗の面積が狭い①って何だ?これ、おそらく鎌倉だと思う。伝統的な市街地で、狭く込み入った街路を持っているため、一つ一つの店が狭くなってしまうんじゃないか。

残った②が八王子。本来なら郊外の代表的な都市であるのだが、さすがに印西市よりは古い時代から栄えたんじゃないかな。旧来の小規模な店舗に加え、郊外の大型店もあり、①~④の中では最も中途半端な②が正解。

 

[今後の学習] これ、難しいと思います。正解は③といったけれど、もしかしたら違っているかもしれません。ボクは答えは見ない主義なので(笑)。こうしたグラフが与えらえている問題では、縦軸と横軸、両方の指標を参照するのではなく、どちらか一方だけ(本問の場合は「1事業所当たり売り場面積」の方だけ)見れば解けるものも多い。やみくもに雑多な指標に目を通すのではなく、確実なもの一つに集中して考えるのも有効なのです。

 

問6 [ファーストインプレッション] めんどくさい?でもこうした問題って実は簡単な問題が多いから確実にゲットしましょう。図を見れば正解できるはず。

 

[解法] ボクはこうした問題はまず最初に文章の方をみて、あらかた正解の見当をつけてしまう。それから改めて地図をみたりするわけだ。今回もそうしました。で、ちょっと気になったのは、「武家地は整然とした格子状の街路」というところ。格子状の街路って平安京とか平城京とかでみられるアレでしょ。武家を関係ないんじゃない?それより、こうした城下町に多くみられる街路のパターンっていうのは、T字路とかカギ型街路ってやつでしょ。T字路にすることで、待ち伏せして攻撃することができる。カギ状の道とすることで見通しが悪くなり、敵の突進を防げる。防衛を重視した街路の形状になるのが城下町の特徴なのだ。②が誤りです。

で、改めて地図を見てみよう。たしかにそうなっているね。

 

[今後の学習] 地形図問題では先に選択肢をみて、ある程度答えの見当をつけてから解くっていうのは有効な方法ですよ。活用してください。

 

 

第5問 ここで地誌問題かぁ。今年は南米だって!南米は新課程になってから、地理Bだけでも2006年本試験、2008年追試験と取り上げられ、今回で 3回目。出過ぎでしょ!?

 

問1 [ファーストインプレッション] なるほど、ありがちなネタばかり。ヤバくないでしょ。

 

[解法] ①;これはめちゃありがち。ペルー海流ですね。寒流であり、高緯度から低緯度に向かって流れています。正文。

②;ん、これちょっとやっかいじゃない?ツンドラって「コケ」の意味で、北極海沿岸などにみられる植生。極めて寒冷で、年間を通じほとんど雪氷にとざされているが、短い夏の間だけ地表の氷が解け、コケが繁茂する。一部ではトナカイの遊牧なども行われているが、ほとんど人が住めるような場所ではない(第4問問1でグリーンランドが「非居住地域」とされている点に注目しよう)。ただ、このツンドラって、高緯度地域だけではなく、低緯度であっても標高の高い高山地域ならば見られなくはないんだよね。気温が低いのが大原則なので、B山脈のような険しい山脈の山頂付近ならばツンドラが広がっていてもおかしくはない。高緯度と違って、季節的な変化はないから、年間を通じてコケに覆われているような荒涼とした土地を考えらたいいと思う。これも正文。高山では、ツンドラや万年雪・山岳氷河がみられる、として頭にインプット。

③;三角江ってしばしば登場しているね。キミたちが絶対に知らないと行けないのは、テムズ川に面するロンドンだけど、このラプラタ川に面するブエノスアイレスも重要。「首都であり、大都市であり、巨大港湾都市である」というパターンは実はロンドンとブエノスアイレスだけなのだ。正文。

④;カタカナ言葉は本来重要ではないけれど、植生に関する言葉は例外。さっきも「ツンドラ」って登場したでしょ。この「パンパ」も重要。詳しく知る必要はないが、ウルグアイからアルゼンチン東部に広がる温帯・半乾燥草原のことで、本図の場合、Cを中心としたエリアに該当する。Dだとちょっと南すぎるね。これが誤りです。Dのエリアは、パタゴニアといって砂漠地帯となっている。偏西風の風下斜面側に当たり、太平洋からの湿った風がアンデス山脈によってさえぎられてしまい、年間を通じて少雨となっている。大陸東岸に存在する、地球上でも希少な砂漠である。

 

[今後の学習] ②で間違えた人が多かったんじゃないかな。「ツンドラ=北極海沿岸」とまる覚えしておくと間違ってしまう。南半球でもアルゼンチンの南部にはツンドラ気候の場所があるし、上でも述べたように低緯度でも標高の高い山頂付近ならばツンドラ地帯となっていることがある。かつてキリマンジャロの山頂に雪があるっていうネタも出題されているほど、この低緯度で標高が高い部分の気候・植生条件は出題されやすい。注意しておこう。

 

問2 [ファーストインプレッション] ホイットルセー農業区分(正確には農牧業ですが)そのまんまの問題(笑)。しっかり解こうね。

 

[解法] 文章を読みほどく。おっと、①で「プランテーション農業」なんていう言葉がある。ホイットルセー農業区分を意識する問題なんじゃないか。②にも「集約的稲作農業」とある。まさにホイットルセー農業区分。でもちょっと待てよ。集約的稲作農業ってアジア式稲作農業のことでしょ。これが南米で見られるわけはない。しかも「生産物の多くが輸出」っていうのは商業的な農業形態ということ。アジア式農業は自給的であるし、この点でも相違している。②が誤り。

③と④はどうでもいいが、一応ポイントを。Rはどこだろう。ここで地図を参照(実はこの時点で初めて図をみました)。Rはブラジル高原に該当。これ、重要なので、色でも塗って目に焼き付ける。安定陸塊の高原で、標高は1000m程度と決して高くはない。コーヒー栽培に適し、南部のテラローシャという土壌が分布している地域は世界的なコーヒー栽培地域となっている。ブラジル高原の中央部には計画的に建設された首都ブラジリアが位置し、周辺は日本など外国の協力もあり開発によって農地が開かれている。ここが「カンポセラード」という草原であることは知っておこう。また大豆についてもブラジルが世界2位の生産国であることを統計で確認しておく。

 

[今後の学習] ホイットルセー農業区分だけなのです!

 

問3 [ファーストインプレッション] 必須の貿易統計。しかも3つともメジャーな国。絶対に落とすな!ブラジルは南半球最大の工業国であり、メキシコはNAFTA加盟国として米国との関係が重要、ベネズエラはOPECである。

 

[解法] それぞれ重要性の高い3か国である。表1参照。「原油」が2か国に含まれているが、アにおいては最大の輸出品目になっているのに対し、イでは3位。イとウはいずれも上位輸出品目が「機械類」と「自動車」になっているが、イは「原油」、ウは「鉄鉱石」の輸出に特徴がある。

まずアがポイントになるだろう。原油が最大の輸出品目である点において、アはOPEC加盟国であることをイメージする。ベネズエラである。

さらにイとウ。いずれも工業国であるようだが、ここは3位以降の「原油」や「鉄鉱石」に注目。鉄鉱石については、ブラジルは世界最大の埋蔵量を誇る国であり、産出量も世界有数(っていうか1位です)。ウがブラジルと考えていいだろう。「肉類」も含まれているが、ブラジルは牛の飼育頭数において世界1位であり、肉類の生産も多い。あれ、このネタちょっとデジャブーだぞ。さっきも同じ話題を見た気がする。そうだ、第3問問2じゃないですか。ここに牛肉の統計があって、しっかりブラジルが2位にランクインしている。同じネタは同じ回の試験に問われるという、実は結構ありがちなパターン。

よって正解は④。残ったイがメキシコですが、ここは原油に注目して、メキシコ湾岸油田を考えよう。世界3位の原酒産出国である米国の最大の油田地帯がメキシコ湾岸。メキシコも当然重要な原油産出国であり、その多くは米国へと輸出されているのだ。

 

[今後の学習] とりあえずOPECは知っておきましゅう。南米ではベネズエラ、アフリカではリビア、アルジェリア、ナイジェリアが出題されやすいのは、やっぱりOPECだから。原油モノカルチャーの国々なのです。

でも、実は最もキミたちに気付いて欲しいのは、上でも述べたデジャブーなんだよね。デジャブーは既視感といって、一回見たような気がするっていうやつ。センター地理は同じネタの問題ばかり出るので、そもそもデジャブーだらけなんです。しかも同じ回の問題ですらデジャブーがある。これを有効に利用しない手はないでしょ(笑)。

 

問4 [ファーストインプレッション] 首都の位置になるというちょっと珍しい問題。しかも標高が問われるのは初めてじゃない?やっかいだなと思いきや、ブラジリアを特定するのだから何とかなるかな。ブラジル高原の標高の問題。すなわちコーヒーの問題でもある。

 

[解法] ブラジルの首都ブラジリアはブラジル高原に位置する。図1におけるRの範囲がブラジル高原。ブラジル高原は南部でコーヒー栽培がさかんであるが、コーヒーの栽培環境が標高1000m以上の高原であることを考える。ブラジル高原の標高も1000m程度であり、ブラジリアもその高度に位置する。正解は②。

 

[今後の学習] ブラジリアはぜひ知っておきましょう。国内に2つの巨大都市があり、内陸部に人工的に政治機能に特化した都市が建設されたことはオーストラリアと共通する。ブラジル高原の標高が約1000mであることも重要。

 

問5 [ファーストインプレッション] ファーストインプレッション中のファーストインプレッション。ここまでベタな人種・民族の問題は地理Bでは珍しい。でもちょっと注意したら、それぞれの国の人口規模を必要もあったりして、そういう意味ではいかにも地理B的。なるほど、うまくつくってありますね。

 

[解法] 南米の人種・民族の基本。アンデス高原のペルーとボリビアは先住民インディオの割合が高い。かつてインカ帝国が栄えていた両国である。大西洋に面するアルゼンチンとウルグアイはヨーロッパ系白人が大半を占める。ラプラタ川のエスチュアリー(三角江)に面する港湾を有する。

ペルー・ボリビア、アルゼンチン・ウルグアイ、これらの中間に位置するチリとパラグアイは混血の割合が高い。インディオと白人の混血であるメスチソによって構成される2カ国である。

このことだけを知っておけばいいと思うよ。本問もそんな感じだし。ここはペルーに注目しよう。ペルーは先住民の割合が高い。ペルーはカに該当。

キとクはちょっと悩む。でもここにおいしい指標があることに気づく。それは「現地日系人の総数」である。キューバは社会主義国でもあり、位置的にも日本からは行きにくいカリブ海の国。日系人が多いとは思いにくいんだよね。それに対し、太平洋に面し、かつて古い時代に日本からの農業移民が多かったと思われるのがメキシコ。日本人の移民というとブラジルが有名だけど、本問にもあるようにペルーにも多かったし、米国のカリフォルニア州にも少なくない日本人が移住した。そのカリフォルニア州に隣接するメキシコも重要な日本人移民の受け入れ国の一つであったことは想像に難くない。その日本人の子孫である日系人の人口が多いキがメキシコ、ほとんどいないクがキューバとみていいだろう。

っていうか、そもそもの国のサイズで考えてみていいと思うよ。メキシコは人口1億人を有し、世界11位の大国。これだけ規模の大きな国なのだから、17000人ぐらいの日系人はいてもおかしくないでしょ。それに対し、キューバはよくわからないけれど、メキシコよりは人口は少ないはずだし、日系人の数もそれに比例して少ないはず。

本問については、とにかく「ペルー=インディオ」は鉄板ネタだが、メキシコとキューバの判定については「何となく」でいいと思う。でも「何となく」だからといって完全にヤマカンで解くのではなく、一応考慮にいれるべき要素として「人口規模」を考えてみようよ。国にとって最も重要はやっぱり人口なのだから。そしてメキシコは日本に次ぐ人口規模を有する大国なのだから。

 

[今後の学習] 人口で考えるのは大切だと思うよ。でも、せっかくだからメキシコを含む中央アメリカの人種・民族構成も覚えてしまおうよ。高原中央部にアステカ文明が栄えたのがメキシコ。彼らの子孫も多くのこされ、メキシコは混血(メスチソ)が過半数を占めながらも、比較的先住民の割合も高い。それに対し、カリブ海の島嶼部は先住民が死に絶えてしまっているため、先住民インディオやその混血であるメスチソがほとんど分布しない。とくに覚えておくべきはジャマイカとハイチ。ラテンアメリカとしては例外的にイギリスやフランスの植民地であった両国。奴隷海岸から黒人が送り込まれ、現在でも両国の人口のほとんどは黒人で占められている。

 

問6 [ファーストインプレッション] オリンピックとサッカーワールドカップが開催され、2010年代の主役になる国ブラジル。良い問題ですね。

 

[解法] 正解は③。「スペイン」ではなく「ポルトガル」。もっとも、両言語はかなり似てるんだけどね(笑)。小学生のころにロベルト本郷からポルトガル語を習ったキャプテン翼は、今はスペインのバルセロナで活躍しています。

 

[今後の学習] ③が答えなんだが、他の①②④の選択肢がおいしいんだわ。全部しっかり読んでおきましょう。とくに②のサトウキビからアルコールっていうネタが大事かな。

 

 

第6問 ラストの大問が「現代世界の諸問題」になることが多いのが最近の傾向。「世界」に「諸」だから、要するにどんな問題でもいいっていうこと。ノンジャンルでどんな問題が登場するかわからん。自然地理あり社会地理あり、思考問題あり、知識問題あり、そして良問あり悪問あり。ただ、全体的に難易度だけは高くなっているんだよね。第6問を後回しにして最後に問いたらいいっていうのは賢明な方法だと思うよ。

 

[ファーストインプレッション] 印刷が鮮明ではありませんが、大丈夫かな。とりあえず解いてみましょうか。

 

[解法] セオリーに基づいて考えよう。「1人当たりGNIと識字率は比例」、「1人当たりGNIと乳幼児死亡率は反比例」。これは絶対的なセオリー。例外は存在しない。よって「識字率と乳幼児死亡率は反比例」という公式が成り立つ。

さらに1人当たりGNIと人口増加率の関係を考えよう。中国のように、一人っ子政策を実施していることによって、1人当たりGNIが低いにも関わらず人口増加率も低い国も例外的にはあるが、一般的にいって両者は反比例とみていいと思う。つまり「1人当たりGNIと人口増加率はおおよそ反比例する」というセオリーが成り立つ。

 

ここまで整理しよう。便宜上、比例を「=」、反比例を「≠」、おおよそ比例を「(=)」、おおよそ反比例を「(≠)」とする。

 

1人当たりGNI = 識字率 ・・・(1)

1人当たりGNI ≠ 乳幼児死亡率 ・・・(2)

 

(1)と(2)より 識字率 ≠ 乳幼児死亡率 ・・・(3)

 

1人当たりGNI (≠) 人口増加率 ・・・(4)

 

(1)と(4)より 識字率 (≠) 人口増加率 ・・・(5)

(2)と(4)より 乳幼児死亡率 (=) 人口増加率 ・・・(6)

 

以上のように考えられる。どうかな。リアルにとらえることができるかな。

 

例えば(5)については、アフリカの多くの国は人口増加率が高いが、学校に通う子供の割合も低いので、識字率は低い、ということ。わかりやすいでしょ。さらに(6)について言えば、そうしたアフリカの多くの国では、底辺の長い人口ピラミッドになり、0歳から5歳の間に命を失う子供たちが多い、ということ。悲しい現実がそこにある。

これらのことを総合的に考えて、選択肢③を参照しよう。ここでは「女性」の識字率についてだが、男性も含めて全体の識字率と考えてしまってもいいと思う。さらにここでは「出生率」という言葉がある。出生率については人口増加率と比例する。これも例外はない。

 

出生率 = 人口増加率 ・・・(7)

 

とりあえず選択肢③の文章自体(つまり出生率の上昇が人口増加をもたらすこと)は間違いはない。では、問題は「識字率」との関係だ。

 

ここでポイントとなるセオリーは(5)。つまり「識字率と人口増加率はおおよそ反比例する」のだ。識字率が上昇して、人口増加率も上がることはセオリーに反する。よって③が誤り。

 

以上、わざと数学的(?)に説明してみました。このような統計数値を数学的に解釈するという技術は地理という学問に絶対必要なことだと思う。理系の諸君はこういうのおもしろいでしょ?文系くんにはチンプンカンプンだと思うけどね(笑)。地理が理系生徒のための科目というのはこうした側面があるからだ。

 

[今後の学習] 図は関係なかったですね(笑)。印刷を心配するまでもなかった。一方問題自体はすごくおもしろいよね。セオリーを組み立ていって、数学的に解析することができる。文系の人間が文系的な思考によって政治やら経済を動かしているから日本って国はダメなんだと思う。感情とか情緒が先走ってしまい、本質を見失う。ボクらは、数字を解析する能力を養うべきなのだ。

ボクはこの理論が好きなんです。学校を建てて、識字率を上げれば1人当たりGNIが上がる。1人当たりGNIが上がれば乳幼児死亡率が下がり、子供は死ななくなる。そう、学校を建てることが多くの子どもとお母さんたちの命を救うことになるのです。いいでしょ、こういうの。感情にしばられた文系的な思考より、よっぽど理論的で実践的だと思う。

 

問2 [ファーストインプレッション] ブラジルの問題って多いね。やっぱり次に来るのは「エコ大国」ブラジルの時代なのだ。

 

[解法] 正解は②。酸性雨の影響の強い地域としては、北ヨーロッパ~東ヨーロッパ、北米五大湖周辺、中国内陸部の3ヶ所。

酸性雨の発生原因は大きく二つ。

一つは石炭の燃焼による。石炭に含まれている硫黄分が燃焼し、硫黄酸化物を発する。これが空中の水分と化合し、硫酸となって、雨水の酸性度を上げる。

もう一つはエンジン。高温高圧のエンジンによって空気が酸化し、窒素酸化物を生じる。やはり空中の水分と化合し、硝酸となり、酸性雨となる。

前者は石炭の大消費地である工業地域周辺、後者は自動車の多い大都市内部で、それぞれ顕著な現象である。

選択肢②に注目。ブラジル北部のアマゾン低地は、そのいずれにも当てはまらない。ブラジル自体(というか南米大陸自体)、石炭の産出量は少なく、その使用量も少ない。中国内陸部のような過剰な石炭地域に見られるような酸性雨の被害は発生しないのだ。以上より、②が誤り。

 

[今後の学習] ブラジルの出題率が高いよね。第4問の地誌はもちろん、第1問の断面図とかこの問題とか。いずれも過去問に出題歴があり、さほど難易度は高くないものの、ちょっと注意しておきたいな。

 

問3 [ファーストインプレッション] おっと、今さっきブラジルがよく出るなぁって言ってたら、ここでも登場しているじゃない?しかも二酸化炭素排出の問題とは!エコ大国ブラジルの面目躍如ですな。でも問題となっているのはインドですね(笑)。インドだけわかったらいいから簡単かな。

 

[解法] 原則として、GNIとエネルギー消費量は比例する傾向にあり、エネルギー消費量と二酸化炭素排出量も比例する傾向にある。しかし、例外が多すぎて、そこまで徹底したものでもない。たとえば、GNIにおいては小国であるロシアが日本よりエネルギー消費量が大きかったり、石炭という燃焼効率の悪いエネルギー源に依存している中国は、エネルギー消費量において米国を下回っているのに、二酸化炭素排出量においては世界最大である。

でも本文は「指数」の問題なんだよね。1990年から2004年までの間、つまり14年間に何倍になったかっていうこと。①は2倍だし、④はむしろ減少している。

さらに言えば、①はGDP(GNI)も2倍となっている。高い経済成長を実現し、それに伴いCО2の排出も激増した国である。これをインドと考えていいんじゃないかな。もともと1990年時点でのGNIや二酸化炭素排出量も小さかったと想像できるしね。

他はよくわかりません。

ところで、上の文章でGNIって言葉をずっと使っていましたが、意味はわかりますか。1人当たりGNIとは違いますよ。以上。わからん人は自分で考えなさい。前者は実数で後者は割合です。

 

[今後の学習] GNIと二酸化炭素排出量は比例する傾向にある。「GNI=1人当たりGNI×人口」であり、GNIと1人当たりGNI、GNIと人口はそれぞれ比例する。つまり、1人当たりGNIと二酸化炭素排出量は比例し、人口と二酸化炭素排出量も比例する。1人当たりGNIも人口も大きい日本で二酸化炭素排出量が多いのは納得でしょ?もちろん日本より二酸化炭素排出量の多い国はいくらでもあるけれど、だからといって日本が無責任ではいけない。エコの意識は常に高く持っておきましょう。

 

問4 [ファーストインプレッション] 本年センター試験中、傑作中の傑作!ボクは日本の文化とか日本人の生活とか、そういったものが垣間見れる問題っていうのが地理の問題としてはベストだと思っているんだけど、本問はそうした問題の一つ。日本は食料を海外に依存するべきじゃないよ!日本には日本の生活文化があって、日本人という存在はその中で育まれてきたものなのだ。文化を西洋化するべきではない。だって、われわれの体を構成する元となっている「食べ物」は西洋人とは全く違うのだから。食べ物が違っているのだから、もはや違う「生物」なんだと思う。日本人は日本的なものを大切にするべきです。

 

[解法] 1人当たりGNIと1人1日当たり食料供給熱量は比例する。つまり、経済的に豊かな人々は、それなりに豊かな食生活を送っているということ。飽食を極める先進国の状況とともに、アフリカの子供たちが貧困にあえいでいるという悲しい現実も想像しよう。アフリカの飢餓を救うためには、その国の経済レベル自体を上げないといけないということになるので、単なる食料援助では根本的な解決にはならない。

では選択肢の国々と表1の数値を参照しよう。もちろん注目するべきは1人1日当たり食料供給量。高い値の①と②、低い値の③と④の2グループに分かれる。さらに選択肢の国。米国、韓国、ニュージーランド、日本。どう?すべて1人当たりGNIの高い先進国とそれに準ずる国。発展途上国は一つもない。

で、ここで疑問が生じる。4カ国ともに経済的には恵まれた国であり、貧しい国は一つもない。それなのに、各人が摂取するカロリー量に差があるのだ。これ、何だと思う?ボクは結局「肉」を食べているかどうかだと思うんだわ。もちろん肉だけじゃなくて、油脂などふんだんに使った高カロリーの食品のことも考えるべきだし、それに何より食べる量そのものを考えてもいい。要するに「西洋化」した食生活はカロリーの摂取量が多く、不健康であるということ。

それに対し、米と野菜と魚中心の日本の食生活はいかにヘルシーでいかに豊かかということ。これほどまでに経済成長した国であるのに、このカロリーの少なさは異常なほど。つくづく日本っていう国のスゴさを感じますよ。日本の風土で育まれた、日本人の本当の意味での芳醇な食文化を感じます。①と②が完全に「西洋」である米国とニュージーランド、残った③と④が日本か韓国。

さらに「1人当たり医療関連支出」に注目。これってよくわからないんだよね。③と④を比べた時に、④の方が太っている人の割合が低いのに、支出額は大きくなっている。これってどうしてなんだろう。④の方がヘルシーな国なんじゃないのか。

ここでボクはピンとくるのです。この「支出」という数値、これはその国のヘルシーさを表すのではなく、要するに「物価」の水準を表しているだけなのでは。要するに、韓国と日本を比べて日本の方が1人当たりGNIは高いのだから、同じ医者にかかったとしても、支払い額は日本の方が高くなるはず。物価そのものが高いのだから、何でもかんでも韓国より日本の方が高いのだ。そう考えてみると妥当でしょ?③が韓国で、④が日本です。

 

[今後の学習] すごいと思わない?日本の1人当たりGNIは極めて高い。それなのに、1人1日当たり食料供給量は「とても」低いんだわ。経済レベルが高く豊かな生活をしているのに、摂取しているカロリー量は異常なほど低い。ボクは、これが日本の「文化」なんだと思う。米と野菜と魚を食べて作られてきた日本人の身体なんだと思う。豊富な降水量と温暖な気温、肥沃な土壌に加え、魚介類の豊富な海に囲まれた国が日本であり、われわれの文化はそうした自然の中から生まれてきた。過剰に肉や油脂を摂取せず、肥満の少ない健康的な身体が育まれたのだ。

そんなすばらしい文化に支えられた日本人であるはずが、これからFTAやTPPとやらで、自由化された農畜産物が国内に大量に流れ込むことによって、貴重な文化(文化とはカルチャーであるが、それは農業つまりアグリカルチャーの意味も含んでいる)を捨て去ろうとしている。なぜ我々は湿潤な日本の大地を放棄し、オーストラリアの砂漠で製造された米を食べなくてはいけないのだ。ボクにはよくわかりません。

この問題を作った人は、日本の食文化の芳醇さというメッセージを伝えようとしていると思うよ。別にボクは愛国心がある人間ではないけれど、でも日本の偉大さっていうのを感じずにはいられない。この美しい文化、われわれは守る必要があるんじゃないか。アメリカナイズされた肉食文化は、日本人のDNAを破壊するのだ。日本人は肥満になってはいけないよ。

っていうか、おそらく①が米国だと思うけど、男性の4人に3人が「太りすぎ」って!?これヤバいよ~。

 

問5 [ファーストインプレッション] エチオピアとカンボジアが登場している。この判別が難しい。何とかなるんだろうか。普通なら、東南アジアの国の方が、アフリカの国より経済レベルが高いと考えていいんだが、カンボジアは内戦に蝕まれた国であり、東南アジアの中では極端に経済レベルが低い国の一つ。エチオピアとカンボジアをどこで判定するかで非常に悩む問題になると思われる。

 

[解法] Cから特定しよう。Cは就学率が高い。子供たちがみな学校に行っているということ。識字率と1人当たりGNIは比例するが、もちろん識字率が高い国っていうのは就学率が高い国である。Cはもっとも1人当たりGNIが高い国であり、これがアルゼンチン。アルゼンチンの1人当たりGNIは5000$/人に達し、実は結構経済レベルの高い国なのだ。

で、いわゆる「普通の国」であるアルゼンチンは特定が簡単なのだ。

ここからが難しいんだわ(涙)。1人当たりGNIから考えようとしても、そもそもエチオピアとカンボジアってどっちが高くてどっちが低いんだ?それがわからん。だからここは出生率ベタベタでいくしかない。カンボジアって東南アジアの国だ。人口増加割合は高いかもしれないが、アフリカに位置するエチオピアには及ばないだろう。エチオピアは世界有数の高い人口増加率を持つ国であり、出生率も極めて高い(もちろん乳児死亡率も高いんですが)。Aをエチオピアと決めてしまっていいんじゃないか。Bがカンボジアで、正解は④。う~ん、自信ないな。

一応出生率意外のデータも参照しましょう。Bのおもしろいのは、学校に行きながら働いている子どもが多いっていうこと。これ、家の農業を手伝っているとかそんなんじゃないのかな。カンボジアの含まれる東南アジアは世界的な米作地帯であり、家族中心の零細経営による自給的な農業が営まれている。農家の子どもたちも多いだろうから、そんな子どもが家の仕事を手伝っているんじゃないか。

それに対し、エチオピアはコーヒー農園などプランテーション農業の国。労働者として働いているので、そうした子どもたちは学校にすら行けない。

「就労しながら就学する割合」と「就学のみの割合」を合わせた就学率については、Aは61.1%、Bは91.4%。エチオピアはそんな国なんだと思う。

 

[今後の学習] 調べてみました。カンボジアの1人当たりGNIは550ドル、エチオピアは220ドル。出生率はカンボジアが22.6パーミル、エチオピアがエチオピアが38.5パーミル。なるほど。カンボジアもかなり大変な国だが、エチオピアはそれ以上であるということ。

 

問6 [ファーストインプレッション] 「適当なもの」を選ぶ問題なので、3つの誤りを指摘しないといけない。しんどいね。でも重要な選択肢もあるし、がんばって解きましょう。あいまいな部分については「何となく」で解くという要領の良さも発揮しましょう(笑)。

 

[解法] 選択肢①が超重要!インドネシアはオランダ領であったがオランダ語は使用されず、独立後は公用語であるインドネシア語の全国への普及が図られている。インドネシアは、多くの人口、多様な宗教、1万を越える島々からなる複雑な国家である。その統一の礎として、共通言語(インドネシア語)の普及が徹底されているのだ。①は誤り。

他の選択肢についてはよくわかりません。っていうか、③って正しいんじゃない?多文化主義国家カナダは、英語使用人口が多数を占めながらも、東部のケベック州ではフランス語が公用語となっている。英語とフランス語を用いる多言語国家であり、③については正文としましょう。正解は③。ちなみに公用語以外の言語とは、イヌイットやアメリカインディアンの言葉など先住民の言語や、中国語など新たな移民の言語。

②と④はよくわからない。とくに②はちんぷんかんぷん。まぁ、知らない話題が出てきたら、それを「答えとして選ばない」ことが鉄則でもあるしね。無視しましょう。④については、最近フランスの学校で、イスラム教徒の女性が着るチャドルという服が禁止されたりしているんだよね。顔とか隠すのは良くないって。そういうことを言っているんじゃないのかな。

 

 

というわけで、以上、簡単ではありますが、追試の解説でした。最初にも言っているように、ボクは答えを見ていませんので、全然勘違いしているところもあるかもしれない。そこはゴメンです。果たしてボクは満点が取れているんでしょうか。

 

全体的には良問が揃っていると思います。地理の追試は、他の科目と違って、本試にかなり近いものになっています。むしろ良い問題が多いぐらい。難易度的にも大きな差はないと思うので、今ゲットした点数が本番の点数になる可能性は高いよ。ちょっと点数が足りなかったキミ、復習する価値はあると思うので、再チャレンジしてみましょう!

 

BY たつじん

鈴木たつじん公式サイト

センター試験・地理Bの学習のために、いろいろなアドバイスをしていきます。

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