2011年度地理B本試験[第1問]解説

全体の印象なんですが、勝者と敗者が明確となる残酷な試験のように思います。例年ならば、誰でも解ける「サル問題」と、誰も解けない「オニ問題」がたくさんあって、全体の平均点はそれで調整されていたもんです。サル問題が多い分、20点とか30点なんていう低得点者は少ないし、逆にオニ問題のせいで満点も取りにくい。でも、今年は違うんです。ストライクゾーンぎりぎりを狙った、きわどい問題が多いんです。ちょっとだけ特殊なネタを尋ねてきたり、わかいにくいグラフや表を用いていたり、ひとつマイナーな国を混ぜていたり、過去問に習熟していないと解きようがなかったり。一生懸命練習してきて、バットを思い切って振った人ならば、全てのボールをヒットにできるのに対し、中途半端なことしかして来なかった人は全部空振りしてしまう。「予想以上に高得点が取れちゃった」人と、「なぜか全然得点できなかった」人との差が大きい試験といえるでしょう。勉強した人が高得点を取って、勉強していない人が低い点にとどまる試験を何というのでしょう。「残酷な試験」ともいうかもしれません。いや、そうじゃないよね。「適切な試験」というのです。キミはこの適切な試験によって、選ばれた存在になることができるだろうか。心して解け!

 

第1問 自然環境の地域性というタイトル。内容としては例年通りのオーソドックスなものだけれど、タイトル名が目新しい。模試で使おうかな(笑)。

 

問1 [ファースト・インプレッション] 断面図問題。10B追でベタな断面図が出題されたが、それに準ずるもの。こうしたベタな断面図もこれからは勉強しないといけないかな。

 

[解法] これ、意外と難しいぞ。簡単なのはBぐらいだと思う。安定陸塊の平坦な地形が広がるオーストラリア大陸の西岸から中央部にかけての断面図は、全体として標高の低い1が該当。これは何とかわかる。

Aは難しいと思う。これってイラン高原だよね。オアシス農業が行われる乾燥国イランは、高原の国でもある。山麓の地下水を、離れた集落まで地下水路で導き、伝統的な灌漑農業が行われている。「イラン=高原」は絶対に知っておかなくてはいけない。でもそれだけでは判定できないのだ。

もっと混乱するのはCD。北米大陸と南米大陸は、いずれも西部に新期造山帯の急峻な山脈が通り(ロッキー山脈とアンデス山脈)、大陸中部から東部にかけては平原が広がり低地となっており、山地があっても標高は比較的低い(アパラチア山脈とブラジル高原)。要するに、似ているっていうことなのだ。これ、難しいぞ。

なので、あえて違っている点を強調しておこう。それは、ロッキー山脈とアンデス山脈の、大陸を通過している位置なのだ。

 

[最重要リンク] 2010年度地理B追試第1問問2。南アメリカの断面図が登場している。アンデス山脈は海岸に沿っている。

 

[ここが新しい!] 断面図そのものはよく出題されるんだが、今回ちょっと難しかったのは、ロッキー山脈の位置。決して海岸沿いではなく、ちょっと内陸寄りの部分。この点が、海岸に沿っているアンデス山脈とは異なる。ロッキーとアンデスの差異に注意。

 

[今後の学習] 断面図問題は比較的難しい。しかし最近はとくに出題例も多いので研究しやすいともいえる。

出題される可能性が最も高いのは、インドの北側。インド半島~ヒマラヤ山脈~チベット高原~クンルン山脈~タリム盆地~テンシャン山脈~シベリア。標高4000mを越える高山が並ぶ。

さらに本問で北アメリカの、昨年の追試でアフリカ、オーストラリア、南アメリカの断面図も目で覚えること。ポイントは新期造山帯と古期造山帯の標高差。

 

 

問2 [ファースト・インプレッション] 土壌の問題。最近のセンターでは必ず1問は土壌が出題されている。授業でも取り上げやすいし、模試も作りやすいので、ボクとしてはうれしい傾向(笑)。

 

[解法] 土壌は。単体として名称が問われることは少なく、その性質を理解しておかないと対応できないパターンが多く、生成の理由や適する作物名なども絶対に知っておくこと。ただし、本問についてはテラローシャやレグールなどの名称が登場してしまっているので、それに従って考えていけばいいんじゃないかな。「誤っているもの」を探す問題ではないので、それぞれの選択肢の内容そのものは正文なわけだし、細かいところは読まなくていいいかも。

イの場所をチェック。これ、ウクライナだよね。ウクライナは非常に重要な国なのだが、とりあえずその位置を「黒海」との関係で押さえておいて。黒海の北岸に接する国がウクライナなのだ。センター試験の地図問題って、大陸や地域の輪郭(海岸線や湖岸線)しか描かれないことが多いでしょ。だからそれらから離れた内陸の国や地域っていうのは出題の対象になりにくい。逆にいえば、輪郭に沿った国っていうのは実に問われやすく、黒海が目印になるウクライナっていう国もキミたちが絶対に知っておくべき国になるっていうことだ。

黒海北岸からカザフスタン北部、シベリア南部へとつらなる帯状の地域に分布する土壌は、黒土のチェルノーゼム。ロシアの湿潤地域と中央アジアの乾燥地域の間の半乾燥地域であり、厚く腐植が積もった肥沃な土壌となる。4が正解です。

「草原」は半乾燥ということ。大規模な「小麦」地帯となっており、ウクライナの農業形態を企業的穀物農業という。トウモロコシの栽培には温暖な気候が必要だが、ウクライナは北部ヨーロッパやシベリアに比べれば温暖な気候で、トウモロコシ栽培が不可能なことはないだろう。

1はエに該当。ブラジル高原の南部に広がるテラローシャはコーヒー栽培に利用されている。テラローシャ=ブラジルと覚えないように。ブラジルは広い国で、北部の熱帯雨林から南部のサバナまで気候は一様ではない。コーヒーの栽培地域は、ブラジルの最南部で、テラローシャの分布地域もそれと対応させて理解する。「テラローシャ=ブラジル高原南部」である。

2はウに該当。インド半島の西部は綿花地帯であり、レグールが分布する。これも、レグール=インド半島と覚えないように。綿花地帯はインド半島の全体ではなく、あくまで西部なのだ。インド半島西岸の都市ムンバイを絶対に知っておく。都市の出題は少ないセンター地理において、その都市名が問われる数少ない都市がムンバイなのだ。植民地時代にイギリス人によって開かれた港湾都市で、綿花の輸出がなされた。雨季乾季の明瞭な気候条件も綿花栽培に適している。ムンバイの背後がインド最大の綿花栽培地域なのである。「レグール=ムンバイの背後」と意識する。

3はアに該当。テラロッサは石灰岩土壌であり、地中海沿岸などに典型的に分布する。

 

[最重要リンク] 近年土壌の出題が連続している。毎年絶対に出ると思った方がいいんじゃないか。2006年度地理B本試験第3問問5の栗色土のように、マイナーなものまで出題されていて手強い。栗色土は砂漠の周辺に分布する土壌。

 

[ここが新しい!] 土壌の出題例は、性質のみが説明され名前が伏せられているパターン、名前だけが示されているパターンの2例があったが、今回の選択肢は名前と性質の説明と両方が述べられている。ノートに整理する時には便利だね。

 

[今後の学習]

土壌は必ず出るので覚え得だと思うよ。とにかくセンター過去問に登場するたびに書き出していってまとめよう。その際に、名称と分布地域だでなく、その特徴まで整理しておくこと。今回は名称と特徴がいずれも説明されていたが、特徴だけしか記されないパターンも多い。

 

 

問3 [ファースト・インプレッション] 昔はハイサーグラフなんて出て来なかったんだけど、今はむしろ普通だね。過去問でこの読み方だけは練習しておいて欲しいな。それはともかく、問われているのはサンフランシスコ。世界で最も気候が問われる都市。それだけに世界で最も妙な気候が見られる都市でもあるのだ。キーワードは地中海性気候と寒流の影響。

 

[解法] サンフランシスコの気候については、相対的なものとして他と比較して覚えるのではなく、絶対的なものとして数値まで頭に入れておくべきだと思う。

サンフランシスコは、「大陸西岸・緯度35度付近」という地中海性気候が現出する典型的な位置にある。夏季乾燥型の気候となり、これを1~4の中から探したらいい。

しかも寒流の影響が強く、最暖月の平均気温は20度に達しないという冷涼な気候に加え、年間の総降水量も500mmと少ない。とくに夏季の降水量は0mm!これより、2を正解とする。夏季の平均気温が17℃、冬季の平均気温が8℃。気温年較差は10℃に満たないという極端さ。日本と同じ緯度にありながら(つまり太陽から受け取るエネルギーは同じっていうこと)、全く違う気候パターンとなるのだ。驚きだね。

 

[最重要リンク] 2003年度地理B追試験第1問問2。サンフランシスコの気温と降水量を考えると解きやすい問題。図1において、Yの北から5つ目の点がサンフランシスコ。北緯35度に位置する点で東京と同じだが、大陸東岸の東京と西岸のサンフランシスコではむしろ正反対の気候パターンとなる。東京は、季節風の影響により気温の季節的変化が明瞭となり、暖流沿岸であるため年間の降水量も多い。サンフランシスコは、偏西風の影響によって気温年較差は小さく、寒流沿岸であるため年間の降水量も少ない。

東京は、1月5℃、7月25℃、年降水量1500mm

サンフランシスコは、1月8℃、7月17℃、年降水量500mm

図2において、ABPQの各図において北緯35度に沿って線を引いてみて、東京とサンフランシスコの気温と降水量について具体的な数値で比較してみよう。おのずと答えは求められる。

 

[ここが新しい!] プサンが温暖湿潤気候、パリが西岸海洋性気候、サンフランシスコが地中海性気候、モントリオールが冷帯湿潤気候というように、4都市がそれぞれケッペンの気候区分で明確に分類できるという点に注目。問題を作った人は、少なからずケッペンの気候区分が念頭にあったことは想像できる。この傾向は新しい。ただし、それでもあくまで地中海性気候を問う辺りは、過去の出題例を踏襲していて、実にオーソドックスでもあるのだ。原則としてケッペンが出題されないセンター地理であるけれど、もともと地中海性気候だけはたった一つの例外だったのだから。

 

[今後の学習]

ケッペンの気候区分が問われることはほとんどないが、地中海性気候だけは別物。なぜなら、「大陸西岸・緯度35°付近」という法則性がはっきりしているから。センター地理って、「なぜそうなるのか」っていう理由が問われる科目でしょ。北半球の緯度35°付近は、7月になると中緯度高圧帯が北上してきて、雨が降りにくい大気の状態となる。南半球の緯度35°付近も、1月になると中緯度高圧帯が南下してきて、やはり雨が降りにくい大気の状態となる。しかも、大陸西岸というのは寒流が沿岸を流れているので、そもそもあまり降水量が多くない。暖流の影響が強い大陸東岸で降水量が多いのとは対象的である。かくして、夏に雨が少ないという「異常な」気候がこの限定されたエリアに生まれるのである。

 

 

問4 [ファースト・インプレッション] 河川流量の問題。ありがちな問題と思って油断すること勿れ。今までの河川流量の問題とは全然違うぞ。非常に難問。っていうか、むしろ悪問の類かもしれない。過去に登場しているとはいえ、ミシシッピ川はキツいぞ。

 

[解法] この問題はオーソドックスな河川流量の問題ではない。河川流量の問題といえば、この2つがポイントとなっていた。一つは、寒冷地域の河川。シベリアやカナダの北極海に注ぐような河川においては、冬季は完全に凍結するものの(流量はほとんどゼロ)、春から初夏の融雪期においては、河川流量は一気に増大し、5月ごろにピークを迎える。もう一つは外来河川。過去にはコロラド川の流量が2回問われているが、乾燥地域を流れる外来河川の流量は年間を通して極小。今までの河川流量の問題は、みなこのパターンだった。

しかし、今回のこの問題。寒冷地域の河川も、外来河川も、登場していない。全て「普通の河川」なのだ。これ、ちょっとつらいよね。どうしたもんだろうか。

とりあえず解いていくけれど、まず明確に分かるのがキ。季節による流量差が大きいので、季節によって降水量に明瞭な差がある地域を流れる河川であろう。南アジアのK川が該当。モンスーンの影響によって、夏季(北半球なので7月を中心とした時期)に多雨となり、それ以外の時期に少雨となる。その様子が河川流量にも表れている。

さて、問題は残る2つ。これ、本当に難しいと思う。っていうか結局覚えておかんとどうしようもないのかもしれない。カがMに該当。4月の流量が多いが、この河川は冷涼な地域から温暖な地域へと流れる河川であり、上流部の雪解けが春先の流量増加の原因ともなっている。とはいえ、上で述べているカナダやシベリアの河川ほどには極端な変化にはなっていないので、わかりにくいっちゃあわかりにくいわな。

残ったクがL。これはアマゾン川なのだが、赤道一帯の低緯度エリアを主な流域とする河川で、この地域の降水量が多いことから、基本的に年間を通じて流量は大きい。それでも多少、時期による流量変化はみられなくはない。

 

[最重要リンク] 2007年度地理B本試験第1問問3。こっちが普通の河川流量に関する問題なのだ!外来河川であるコロラド川(M)は流量が少なくクに該当、寒冷地域のLは冬季凍結、初夏融氷なので、5月に一気に増水するカが該当。ミシシッピ川については消去法でいい。考慮する必要はない。でも、そう言っておいて今回メインに取り上げられてしまっているんだな。難しいな。

 

[ここが新しい!] 本当に新し過ぎるっていうか、そもそもこの問題を作った人は、センター試験っていうものがわかっているのか。上にも書いたように、センター地理で問われる河川流量は、寒冷地の河川と外来河川であって、本問に登場している「普通の河川」って問題にもならないのだ。形式だけ真似たっていう気がするんだよね。だから、センター過去問をしっかり反復演習してきた「正しい勉強法」をしてきた諸君にとっては、意外な落とし穴になってしまったはず。南アジアのKはともかくとして、残りの2つは厳しいな。

 

[今後の学習] 本問のポイントはとにかくMLの判定なのだ。とくにミシシッピ川の流量変化の形、覚えてしまっていいと思う。どうだろうか。とにかく本問は、「センター的」ではない問題なのだから、その対策も、暗記という本来センター的ではない方法によらなくてはならない。

 

 

問5 [ファースト・インプレッション] 本問をケッペン気候区分の問題ととらえるべきかどうかで悩むところなんだわ。そうとらえるべきならば、問題を解く際にケッペン気候区分の知識が必要となった初めての問題といえるし、これは非常に重要なこと。でも過去問の出題履歴と消去法で解く方法もあり、それを正当な解き方とするならば、実はケッペンは関係ないとも言える。どうなんだろうか。

 

[解法] 大地形っていうのは「覚えるだけ」だったりするんだよね。よく地理が地学と似ているっていう人がいるけれど、ボクはそうは思わないんだわ。むしろ、生物に近い科目だと思っている。ん、ちょっと言い方がまずかったかな。こう言い換えよう。地理の「理論で考える」というおもしろい部分っていうのは、生物と重なっているところが多い。一方、地理の「単なる暗記」というつまらない部分が、地学と重なっているような気がする。たとえば、地理の生物的な側面の例に植生があると思うんだが、植生の話題っていうのは、気候とか農業とかいろいろに膨らませることができて、ボクも授業をしていてついつい夢中になってしゃべりすぎてしまう(笑)。それに対し、地理の地学的側面の例として大地形ってあるんだけど、これって結局あまり話を広げる余地がないっていうか、それだけで単元として完結してしまうんだよね。他のジャンルとの関連性が薄いっていうか。しかも問われる部分って、「ここが新期造山帯、ここが古期造山帯」みたいに覚えるだけって部分が多くておもしろくない。いや、地学が覚えるだけの科目っていう意味じゃないよ。そうじゃないんだけど、地理の地学的な部分ってどうしても暗記に偏るっていう意味。

ちゅうわけで、まずはサ~スを地体構造別に分類してみよう。選択肢をみると、2つが安定陸塊で、2つが新期造山帯のもよう。新期造山帯の島っていうのは、日本列島に代表されるような複雑な形状と弓なりにつながった島々(弧状列島)というかたちになっていることが多い。この例にあてはめるならば、スのフィリピン諸島などは典型的な新期造山帯。環太平洋造山帯に属しているのだ。太平洋ではないけれど、セのカリブ海の島々も、その形状から新期造山帯と考えていいだろうね。環太平洋造山帯から派生して、大西洋側へも新期造山帯が枝分かれしている。以上より、選択肢の3と4がスとセのいずれかに該当し、答えを求められているシと、それからサについては、選択肢1と2のいずれかとなる。

で、ここからシを求めないといけないのだが、逆にサが判定できれば、1と2の残った方が答えになるのだから、さほど難しくないと思う。なぜなら、サの気候については最近のセンター試験で大きく取り上げられており、センター過去問に習熟しているキミたちならば、当然知っておくべきことだからだ。サの島はマダガスカル島。南半球の貿易風帯に位置し、年間を通じて東寄りの風を受け続ける(南半球の貿易風は南東風)。このため、風上斜面となる島の東岸では多雨気候が見られ、熱帯雨林が広がっているのに対し、風下斜面となる西岸では降水量が少なく、乾燥気候となる。西岸と東岸とで明らかに気候が異なっている1がサとなり、シは残った2が該当する。

なお、ステップというのは草原のこと。植生に関する言葉は知っておいた方がいい。熱帯の最も降水量が多いところの植生は「熱帯雨林」。やや降水量が少なくなると「サバナ(サバンナ)」になるが、これは長草草原・疎林のこと。さらに降水量が減少し、樹木が見られなくなると「ステップ」となり、これは短草草原のこと。最後は乾燥の度合いが高まり、植生が見られなくなるが、この状態を「砂漠」という。「熱帯雨林→サバナ→ステップ→砂漠」という変化を意識すること。なお、熱帯雨林とサバナが「湿潤」であり、ステップと砂漠が「乾燥」。湿潤とは「降水量>蒸発量」のこと、乾燥とは「降水量<蒸発量」のこと。マダガスカルは東岸で湿潤、西岸で乾燥する。

 

[最重要リンク] これしかないでしょう。マダガスカルは最近レギュラーのように登場してくる国。

2008年度地理B本試験第1問問6。マダガスカル(問題の中では名前は伏せられているが、知っておいていいでしょう)の風向と降水量の関係。東岸で多雨、西岸で少雨となることを読み取る。

 

[ここが新しい!] 全体的に目新しい感じがする問題。ケッペンの気候区分については、あえて無視する。これにこだわらずとも解ける問題であるのは、解法で説明した通り。それよりボクがおもしろいと思ったのが、島の形状と大地形の関係。「弧状列島→新期造山帯」は重要かもしれない。先ほど「大地形は暗記だ」とは言ったけれど、島の形状からそれが新期造山帯であることを読み取ることができるなら、それは暗記ではないものね。むしろ図を直接読み取る問題になる。

 

[今後の学習]

大地形については覚えなしゃあないから諦めてくれ(苦笑)。でもそんなに難しくないと思いんだよね。「安定陸塊」、「古期造山帯」、「新期造山帯」の3種類しかない。新期造山帯はアルプスヒマラヤ造山帯と環太平洋造山帯の2系統があるが、今回のセ(カリブ海)のように、島の形状(弧状列島)から新期造山帯であることを推測できるものもある。古期造山帯は出題される場所が決まっているので、オーストラリア東部、ヨーロッパ北部などを知っておけば十分だろう。

で、問題はケッペンの気候区分。でもこれにしても上で説明しているけれど消去法で考られる問題であり、しかもサ(マダガスカル)にしてもつい最近のセンター試験で大きく取り上げられている場所であるし、過去問に習熟していれば簡単だったと思う。特別な対策はいらないでしょ。過去問絶対主義で行きましょう。

 

 

問6 [ファースト・インプレッション] 変わった問題。たしかに昨年サンゴ礁について出題はされているんだが、まさかこうしたパターンとは思わなかった。でも「やられた」とは思わないんだよね。むしろ、この作問者はあまりセンターのことをわかっていないんじゃないかな。空気を読んでない問題だと思う。でも、問題としての出来不出来はともかくとして、実際にこうしてセンターに出題されてしまったんだから仕方ない。難しいとは思うよ。どうしたら解けるんだ?

 

[解法] 結構お手上げ。日本で判定する。日本にみられるのは普通のサンゴ礁。普通のサンゴ礁っていえば、沿岸の浅瀬にサンゴ礁が広がっているパターンじゃない?Rをタとする。

で、後は全く分からないので、仕方ない。オーストラリアの「グレート・バリア・リーフ」で考えるしかない。オーストラリアの北東側の海域は暖流が流れ、サンゴ礁の発達も顕著。名前も「サンゴ海」だしね。とくにオーストラリア大陸の北東岸はグレート・バリア・リーフと呼ばれている。「大堡礁帯」という意味。ここに多数みられるPを堡礁とみていいんじゃない?名前しか根拠がないんだけど、そう考えるしか方法がない。チが該当。正解は5。環礁は消去法で。

 

[最重要リンク] サンゴ礁の問題で最も見事なものは、2003年度地理B追試験第5問問4。沿岸部にみられる「岩礁」の記号。これ、サンゴ礁なのだ。沖縄や鹿児島など温暖な海域において岩礁の記号がみられがら、サンゴ礁と考えていい。暖流の影響が強い日本の太平洋側においては、千葉県付近までサンゴ礁がみられる(サンゴ礁の北限は日本なのだ)そうだが、でもさすがにわずかだろうし、地形図で大きく取り上げられることはないね。この問題のように南西諸島や沖縄諸島の島にこそサンゴ礁が育つのだ。

 

[ここが新しい!] サンゴ礁の問題は、その成因が問われるパターンが今までの傾向だった。旧課程時代には、島が沈降するに従って、「裾礁→堡礁→環礁」の順に変化していくことが問われた。03年には、サンゴ礁が水がきれいな外海に形成されるもので、土砂の流入による水の濁りが大敵であることが出題された。そして昨年もそれに類する内容。「サンゴ礁はなぜできるか」といった部分が強調されていたわけだ。

それに対し今回の問題。どう?同じサンゴ礁の問題ではあるけれど、ずいぶんとつまらないと思わない?結局、「ある」か「ない」かだけが問われているのだ。問5でも説明したけれど、理論が出題されるセンター地理という科目で、ほぼ唯一その場所を覚えるだけのジャンルが大地形。問6のサンゴ礁もそれと同じようなものになってしまっているね。どうなんだろ、かなり特殊だし、今回限りの出題パターンのような気もする。

 

[今後の学習]

サンゴ礁の問題は、なくはないのだ。出題パターンを挙げてみよう。

一つ目は、「裾礁→堡礁→環礁」の変化。島が沈んでいくが、サンゴ礁だけは浅海や海面上に成長していく。

二つ目は、生育条件。塩水、日光、温度が必要。だから「海」にしかサンゴ礁は見られないし、日光が届く「透明度」は大切な要素。さらに低緯度海域でも寒流が流れていればサンゴ礁は生育せず、「暖流」が流れる海域にしばしばみられる。

三つ目は、地形図上の判定。上で述べた岩礁はその代表例。また隆起サンゴ礁といって、浅い海に形成されたサンゴ礁が隆起することによって島となるパターンが実は多い。「サンゴ礁=石灰岩」なので、そういった土地にはドリーネとよばれる石灰岩地形特有の凹地が見られたり、地下に鍾乳洞が発達したりする。

そもそもカルスト地形っていうのはもともとはサンゴ礁ですからね。長い年月の間に隆起し陸地になって、現在はセメント工業の原料となっている。沖縄やハワイ、フロリダ半島なんて、地味にセメント工業が立地したりしている。石灰岩の農業における特徴は排水性が良いこと。サトウキビの栽培には適しているんだが、水田には適さない。沖縄県は日本で最も米の生産量が少ない県(東京都と大阪府に次いで少ないから、「県」としては最下位なのだ)。

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