たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

2023年共通テスト地理A[追試験]解説

<第1問>


[1]

正距方位図法は「中心点」からの距離が正しく示される。FGの距離は、図中ではDEと長さが同じであるが、実際にはわからない。


[2]

Kは陰影から判断するに、蛇行する河川の中の地点。旧河道とは、かつて河川だったところが干上がって陸地になったところで、河底の形に沿った凹地となる。Kは旧河道。

Lは河川に沿った微高地となっている。わずかに盛り上がった地形。洪水時に河川から排出された土砂が、河川の周囲に堆積した。自然堤防である。

河川からみて、自然堤防の背後に広がる低地を後背湿地という。水田が広がる。Jは後背湿地。


[3]

これは1が違うんじゃないかな。「谷」には見えないのだが。

図の上の方にある「馬籠」の「馬」という文字に等高線が掛かっているよね。これを南の方にたどってみよう。この等高線、しばらく南に進んでから大きくカーブし、図の北東から入り込んでくる道路に沿って、ぐるっと回り込んでいるよね。この土地は大きく「北東で高く、南西で低い」のだが(これについては選択肢2の説明で触れている)、この等高線は高所から低所に向かって「凸」となっており、ここに尾根(折り紙で言えば山折り)が形成されているのがわかる。馬籠の集落(博物館や郵便局がある)は、この尾根の先に連なっている。

逆に谷になっているところを探そう。まずは南東側。図の中央の南部に「湖」みたいなところがあるよね。

「堰(せき)」の記号がみられる。河川に堰をつくり、その上流側に「ダム湖」のような湖がつくられているのだ。それを上流側にたどってみよう。「馬籠」という文字のすぐ右側の太い線の重なりが河川なんじゃないか。橋の記号がみられないが、道路と立体的に交差しており、ここに橋があることが想像される。河川にそって「谷」が形成されている(というか、むしろ「谷があるので河川が形成されている」のだが、意味はわかるよね)。

さらに北西側。「614」の標高点がある。これを取り囲む等高線が「610」で、その外側が「600」m。ちょっと太い線になっているのがわかるかな。さらに一つ外側が「590」mの等高線。これを辿ってみよう。最初は東南東の方向に向かい、実線を越えた辺りで大きくカーブし、進路が南西から南に変化している。この箇所は、低所から高所に向かって等高線が「凸」となっており、谷になっているのがわかる。先ほどの実線はおそらく小さな河川だろう。下流側に辿っていくと、水田の中を分流しており、用水路として利用されているのだろうか。

このように馬籠を挟んで南東側、北西側の両方に谷がみられる。馬籠集落は標高600m程度の高所に位置しているのではないだろうか。谷ではなく、これが誤り。


2;図の北部に「650」の等高線があり、中央部に「614」の標高点。全体的には北が高く南が低い地形であることがわかる。また、北東部には等高線が密に描かれ、険しい地形であることが想像され、南西部には「田」の土地利用記号がみられ、土地が低くなっていると思われる。旧街道(馬籠の集落が沿う。博物館や郵便局がみられる、北東から南西に向かう道路)も、北東が高く、南西が低いのだろう。

3;これは河川を探してみよう。色のついた道路(これが国道)に並行した、薄いグレーの色がついている(ように見える)帯が河川。「418」付近で橋になっているのがわかるよね。その南側にも橋がある。「妻籠」の集落が並んでいるのが旧街道であり、この集落がかつての「宿場町」だろう(いくつもの四角形がみられる。博物館や郵便局、記念碑などもあるね)。河川が流れている部分が谷であり、土地が低くなっているところ。集落が位置するのは、西側に傾いた斜面の上。正文。


[4]

4;さすがに「地震発生を事前に予知」することはできない。緊急地震速報は、地震の発生を知らせるもの。振動の伝播には時間を要し、地震発生時には遠方地域へと即時に緊急地震速報を伝えることによって、実際に振動が始まる前に多少なりとも準備することができる。


[5]

これ、難しいね。初見では間違える可能性が高い。

実はポイントは「洪水」であり、どういったところが危険なのかは、じっくり考えないといけない。この地域って、沿岸部は海岸線が直線化されているところが多く、とくに港になっているような箇所もあるよね。沿岸のほぼ全域が「埋め立て」によって造成されているのではないか。コンクリートによってしっかりと固められ、護岸されている。実はこういった地域って、やや高くつくられており、標高が「0m」なんていうことはない。もちろん極端な高所ということはないが、標高は数m程度の土地であり、多少の高波には耐えられる。

一方で低い土地はむしろその内側。埋立地からみて、内陸寄りの土地であり、かつての海岸沿いの低地。水田などに利用されているところが多く、周囲に比べ低い土地になっているので、ひとたび水が入り込むとなかなかその水が排出されない。とくに河川沿いならば、河川の氾濫によって洪水の可能性がとくに高まっている。

そう考えると、キがちょっとヤバいんじゃない?これが「洪水」だと思うんだわ。とくにここでは「河川による洪水」とあり、河川から離れた埋立地は全く関係ないけれど、図の中央部を南から北へと流れ海に注ぐ河川においては、その周辺部が広く危険度「中」になっているよね。よく見ると図の最も西側の地域にも河川が確認でき、その周辺も危険度が比較的高い。キを「河川による洪水」とする。


カとキも判定が難しい。ただ、ここでちょっと思ったんだが、「地震の揺れ」がこのような限定的なエリアの中で場所ごとにそんなに違うのだろうか。このような狭い範囲ならば、どこでも揺れなど同じようにも思うのだが。ちょっとわからない。

だからここは「液状化」で判断した方がいいと思う。液状化現象は共通テストでよく問われるキーワードであり、振動によって土中の水分が地表面付近に押し出され、水が噴き出したり、土地が軟弱化したりすること。土壌中に水分が多く含まれている土地で生じる。干拓地や埋立地(さきほどは埋立地については洪水の被害は少ないとは言ったが、液状化についてはその反対。沿岸部でやはり水分が多い土地なのだ)、後背湿地や旧河道など。低湿な地形で液状化の危険性が高い。逆に液状化の被害から免れているのは高燥な地形。台地や山地、扇状地の扇央など。

そうなると気になるのは図の中央北部にある岬(半島)の先端にある「山地」の部分。「地形の起伏」の図では陰影によって、山地であることがはっきりと示されている。この箇所に注目すると、カでは空白となっており「低」なのだが、クでは「中」となっている。山地が高燥な地形で土壌中に水分が少なく、液状化の被害が生じないと考えるならば、カこそ「液状化」なのではないか。残ったクは「地震の揺れ」である。


[6]

Xはシ。家屋の周囲が樹木によって囲まれている。防風林である。日本海側の地域によく見られる。共通テストでも「カイニョ」として登場している。

Yはス。濃尾平野を流れる木曽川などの下流域には「輪中集落」がみられる。周囲を堤防によって囲まれた集落である。輪中集落の家屋にはスのような「水屋」を持つものが多い。建物を一段高いところに作り、浸水を防ぐ。人々の避難所となるだけではなく、家財道具が水浸しになるのも防ぐ。

Zはサ。ひさしを道路側に大きく張り出すことによって、大雪の際にも通路を確保する。


<第2問>


[7]

写真がないので、全くわからない~。Aはステップ草原(モンゴル)、Bは熱帯雨林(棚田もあるかも)、Cは寒冷地域。どんな楽器があるのかな???


[8]

Xはアイルランド。大陸氷河に削られた荒地が広がる。森林はみられず草地となっているため、国土の広い範囲が「牧場・牧草地」という区分になる。1について。偏西風の影響が強い。2について。樹木も乏しい地域であり、建物は石材や草でつくられる。

Yは北極海沿岸のツンドラ。3について。寒冷地であり断熱は必要。4について。これが誤り。家屋から排出される生活熱を地下へと伝えないために、底面を持ち上げたつくりとなっている。地下の氷の層(永久凍土層)が溶けると、建物が傾くなどの被害が生じる。寒冷地は大気が収縮し気圧が上がるので、一般に雲はできにくい(雪も降らない)。


[9]

アフリカ大陸におけるイスラームの分布は非常に重要。

アフリカ大陸では、サハラ砂漠の北(北アフリカ)は、白色人種系統のアフロ・アジア語族に分類されるアラビア語を使用する人々が居住(アラブ民族)。サハラ砂漠以南のサブサハラ(中南アフリカ)は、黒色人種系統の言語を使用する人々が居住。

北アフリカのアラブ系はイスラーム地域だが、イスラームの伝わった範囲はもっと広い。サハラ砂漠を超えてアラブ商人たちが都市を訪れたため、サヘル地帯(サハラ砂漠の南縁に沿う草原地帯)もイスラーム地域となった。「黒人イスラム教徒」の地域である。

図2参照。最も西の国であるセネガルは、この「サヘル=黒人イスラム教徒」の典型的な国。そしてその東に位置する内陸国のニジェールも同じ。Fがイスラームであることはわかるだろう。

一方のEがキリスト教だが、これにはいくつかの種類がある。中央に位置するコンゴ民主や最南部の南アフリカ共和国のように、ヨーロッパ人の植民地支配においてキリスト教が布教された国が多いのだが、北東部のエチオピアは例外。ここは、キリスト教が発生した当時に、迫害された信者たちが西アジアからアフリカ大陸へと逃げ延び、この地で信者を増やした。エチオピアで信仰されるキリスト教のエチオピア正教は、古代キリスト教とも言うべき存在であり、ヨーロッパのキリスト教(カトリック、正教、プロテスタント)より古い歴史を持つ。

さらにアフリカ東部に注目しよう。大陸の東海岸に位置する国はタンザニア。キリスト教が布教されたが、インド洋に面する沿岸部はイスラーム地域である。アラビア半島からインド洋を渡って多くのアラブ商人たちが訪れる中、港を中心にイスラム教が広がっている。小さな島国はモーリシャスだが、ここもやはりインド洋交易の拠点だった港を有する。こちらはインドからの商人が訪れ、移民も多かったことからヒンドゥー教徒が多い。

インドからアフリカ大陸へとやってくる船は、季節風を利用している。夏の風は南アジアに向けて南西から吹き込み、この風がアフリカからインドへと移動する帆船にとっては追い風となる。冬の風はユーラシア大陸内部からの風であり、北東風である。こちらはインドからアフリカへの船にとって追い風となっている。このような季節風を利用して、インド洋交易が行われていた。サは季節風である。

貿易風は年間を通じ一定方向から吹く惑星風(恒常風)の一つであり、季節風に比べると交易には利用しにくい(名前は貿易風なんですが。。。)。


[10]

タはフランス。小麦は中国でも生産は多いが、中国は小麦は麺や饅頭に加工され食されるので、パンは該当しない。パンはヨーロッパを中心とした食文化(ただ、実は1人あたりのパンの消費量が最も多い国は西アジアのトルコなんだそうだ)。ベトナムは旧フランス領であり、その影響を受けている。

東南アジア各国の旧宗主国は重要なのでまとめておこう。フィリピン(スペイン→アメリカ合衆国)、ベトナム・ラオス・カンボジア(フランス)、タイ(独立を維持)、ミャンマー・マレーシア・シンガポール・ブルネイ(イギリス)、インドネシア(オランダ)、東ティモール(ポルトガル)。

チはJ。東南アジアは日本と同様に魚介類を中心とした食文化を有する国。魚を発酵させた魚醤が調味料としてよく用いられる。なお、トマトは新大陸(南米)原産の農作物であり、世界に広まったのは大航海時代以降。東南アジアで「伝統的」に食されているわけがない。


[11]

ヨーロッパの観光は「北から南」。冷涼な夏を避け、地中海沿岸のリゾートに多くの人々が出かける。「国際観光収支」がプラスとなっているQが南ヨーロッパのスペイン。

PとRがイギリスかドイツだが、ここはRのアメリカ合衆国に注目すればいい。同じ英語圏として、アメリカ合衆国からイギリスへの来訪者が多いのではないか。Rがイギリスとなり、残ったPがドイツ。


[12]

4について検討しよう。ヨーロッパは高緯度であるため、夏と冬の昼の長さの差が著しい。そのため、夏の間は時間を1時間早めるサマータイムが導入されている。日中の時間を有効に使おうという試みだ。例えば、学校に登校し、そして帰宅する。しかし、まだ太陽は高い。そこで再び外出し、スポーツや買い物などに時間を使う。一日を「2倍」楽しめるわけだ。

以前、日本でもサバーマタイム制の導入が検討されたことがある。低緯度の日本では夏と冬とで昼の長さにさほど差がないので、サマータイムは採用されなかったが、その目的の一つに「経済効果」がある。一日を2倍使うのだから、その分だけたくさんのお金を使うことになるよね。これによって経済が活性化し、経済効果が得られるというわけだ。もっとも、十分なお金の余裕がなければ、「一日を2倍」楽しむことはできないけどね。ただ、人間の活動量が増えるのだから、当然そこで消費されるエネルギーも増加する。自動車で出かければガソリンの消費は増えるだろうし、もちろん電気もたくさん使うよね。サマータイムで人々の行動が活発化することは、決して「消費電力を抑える」ことにはならない。ヨーロッパはもちろんエネルギー利用については脱炭素を志向したり、再生可能エネルギーの普及に積極的であるなど、環境保護の先進地域ではあるが、それはサマータイム制とは無関係である。


<第3問>


[13]

模式図がないので、ア~ウ、A~Cの判定のみ。最もわかりやすいのは南半球のC。南半球の低緯度地域に位置し、1月(南半球なので夏)を中心とした時期には南下する「熱帯収束帯」の影響で多雨(スコール)となり、7月(南半球なので冬)には北上する「亜熱帯高圧帯」の影響で少雨となる。アが該当。

インドシナ半島においてはインド洋に面する西岸(ミャンマー)が重要。Aの地点である。夏に南西から季節風が吹き込み、海岸と並行する山脈にぶつかることで極めて大量の降水がもたらされる。地形性降雨である。逆に冬は内陸からの北東風が吹き出す。乾いた風が卓越し、ほとんど降水はみられない。ウがAに該当する。インド半島西岸のムンバイ付近の降水パターンとほぼ同じである。

残ったイがBに該当。こちらも雨季と乾季がみられるが、Aほど極端ではない。


[14]

4について検討しよう。綿花の栽培地域は主に乾燥地域。開花期(収穫期)には乾燥した気候が必要。綿の花が雨で湿ってはいけない。成長期は灌漑によって水が与えられる。全体として湿潤な気候がみられる東南アジアでは綿花栽培は盛んではなく、ケの河口付近の低湿地も水田が広がる稲作地帯。


[15]

写真がやや判別しにくいが。。。

Pは大河川の河口の低湿地であり、水田が広がる(問2のケの川と同じ)。シが該当。

Rのカリマンタン島はマレーシアとインドネシアにまたがる。熱帯雨林気候のもと、近年は油ヤシ農園の造成が拡大している。サが

ヤシっぽく見えるんだが。。。Rはサが該当。

よってQがスになるのだが。これ、何なんだろう?コーヒーなのかな。ベトナムはドイモイ政策による市場経済化によって、近年輸出用作物の生産に力が入れられている。コーヒーはその一つで、とくに輸出量が多い。


[16]

東南アジア諸国の宗教はマスト。

フィリピン(カトリック)、インドシナ半島[ベトナム・ラオス・カンボジア・ミャンマー・タイ](仏教)、マレー半島と島嶼部[マレーシア・ブルネイ・インドネシア](イスラーム)、東ティモール(カトリック)。シンガポールは多民族国家であり、それぞれ民族の宗教が信仰されている。

選択肢の国のうち、わかりやすいのはタイだろうか。仏教国であり、「仏」に関する祝祭日が多いチがタイ。

さらにタにはクリスマスに関する祝祭日があり、キリスト教徒が多いことがわかる。フィリピンに該当。なおフィリピンには比較的ムスリムも多く、イスラームに関する祝祭日もある。

残ったツがシンガポール。中国系が多数を占めながらも、マレー系やイギリス系、インド系など多様な民族から構成されている。インドに関連する祝祭日(ヒンドゥー)があるのも象徴的。


[17]

東南アジア諸国の1人当たりGNIもマスト。

このような4つのグループに分けて考える。

[高い]シンガポール(中継貿易)・ブルネイ(天然ガス)

[やや高い]マレーシア(先端産業も発達)・タイ(自動車工業)

[やや低い]インドネシア(石炭・天然ガス)・フィリピン(出稼ぎ)・ベトナム(社会主義)

[低い]ラオス(内陸)・ミャンマー(軍事政権)・カンボジア(内戦)


これにより、4が「1人当たりGNI」となる。シンガポールとブルネイは小さいので判別ができない。ラオスが「中」となっており、「低」のベトナムより高い値になっているが、ラオスは人口小国であり、計算上「1人当たり」の値はややベトナムより高い。


また、ここで考えてほしいのは各指標の関係。1人当たりGNIと相関関係にある指標は何だろう。ここは「第1次産業就業者の割合」に注目してほしい。1人当たりGNIは賃金水準の目安であり、この値が高い国では(賃金の低い)農業に従事する人の割合は低い。「1人当たりGNIと第1次産業就業者の割合」は反比例する。1から3のうち、4と「ひっくり返った」形になっているのはどれだろう。ミャンマーで「高」、マレーシアで「低」となっている3が該当するのではないか。これが正解。他は判定の必要なし。


[18]

東南アジア諸国の人口もマスト!

2億5千万人:インドネシア

1億人;フィリピン・ベトナム

7千万人;タイ

5千万人;ミャンマー

3千万人;マレーシア

1千万人以下;カンボジア・ラオス・シンガポール・ブルネイ


人口が少ないのでYが「カンボジア・マレーシア」になる。

輸出依存度は「GDPに対する輸出額の割合」とある。GDPはGNIと同じ。シンガポールのGNIが小さいのはわかるだろうか。1人当たりGNIは高いが、人口が極めて小さいので、GNIも小さい。しかし中継貿易で成り立つ商業国家であり、貿易額(輸出額)は多いだろう。輸出依存度の高い国としてシンガポールが表中にあることを確認しよう。


そう考えると、まず人口、そして貿易の様子を想像することが輸出依存度を解く鍵になると思われる。注目するべきはインドネシア。この国は人口が極めて大きく、1人当たりGNIはさほど高くないものの、GNIの規模は東南アジア最大であることが想像される。一方で、タイはさほど人口が多くなく、GNIはインドネシアより小さいだろう。輸出依存度は、インドネシアで低く、タイで高いと考えていいのではないか。タイについては近年は自動車生産が急増し、世界10位にランクインしている。「アジアのデトロイト」とも称されている。この自動車が主に輸出されていることを考えれば(タイは国内市場(GNI)が大きい国ではないので、国内での販売が限定的だろう)、この国で輸出額が多くなることは十分に想像できる。輸出依存度も高いはずである。Xがインドネシアを含むマとなり、Zがタイなどのムである。


<第4問>


[19]

特徴的な国はタイである。タイは人口7000万人の中堅国。自動車工業などの工業が発達しているが、全体的に高温多雨で稲作を中心とした農業に適した国土を有している。「豊かな農村」が国土全体に広がっており、人口に占める農村の居住者は多い。第1次産業就業人口割合も工業国としては高め。

このことから都市人口率の低い(47.4%)のウがタイである。工業化による都市での雇用増加によって多くの若年労働者が農村から都市へと移動しており、都市人口の増加率も高い。

なお、首位都市は首都のバンコク。人口700万人で、産業や経済、工業活動、人口が過度に一極集中している。

イギリスとブラジルはともに都市人口率の高い国である。1人当たりGNIと都市人口率は比例するので、1人当たりGNIの高い先進国であるイギリスで都市人口率が高いのは納得だろう。1人当たりGNIの低い発展途上国であるブラジルは、本来都市人口率は低いはずなのだが、ラテンアメリカ地域は例外。ヨーロッパから入植者が流入し、植民地支配された時代に都市を中心に開発が進んだため、都市への人口集中が早い段階で進んでいた。

この2カ国の判定は首位都市の人口割合で考えるのがいいだろう。世界には多くの巨大都市(メガシティ)が存在するが、その人口の目安は1000万人。イギリスの人口最大都市は首都のロンドン、ブラジルの人口最大都市は商工業の中心であるサンパウロだが、いずれも人口は1000万人規模であるメガシティ。一方で、イギリスの人口は7000万人、ブラジルは2億人。首位都市の人口割合で考えるならば、この値が低いアがブラジル、高いイギリスがイ。

なお、都市人口の増加率についてはイギリスよりブラジルが高くなっている。これは発展途上国においてはとくに農村と都市との経済格差が大きく、それだけ都市への人口流入の勢いが大きいということだと考えよう(もっとも、ブラジルは「農村」に住む者はわずかであるが)。


[20]

この「問題」はスプロール現象。郊外における乱開発のことで、農地や林地の中に住宅地などが無秩序に散らばる。虫食い状の開発。住宅地が各地に点在しているため、それぞれに対し道路建設などのインフラ整備を行う必要が生じる。コストは高く、整備時期は遅れる。

スプロール現象と対立する概念が「ニュータウン」の建設。分散する住宅地を一ヶ所にまとめ、そこに対し集中的に投資を行う。道路や鉄道の建設、下水道や送電施設の整備、さらには学校や病院など公共性の高い施設の設置など。これにより都市施設(インフラ)の整備を効率的に行うことができる(コストの削減、建設のための期間の短縮)。現代の日本では、ニュータウン建設がさかんで住宅地の開発が計画的に行われることになり、スプロール現象の問題は軽減されている。


これを踏まえて、図1を分析しよう。左から(1)、(2)、(3)、(4)とする。それぞれ日本における状況に当てはめてみよう。

(1)高度経済成長期以前。都市の発達のスピードは緩慢で、さほど人口も増加していない。土地にも余裕があり、まだ地価も安く中心都市でのみ人口が増加する。

(2)高度経済成長期の初期。地方から大都市圏へと人口が流入し始める。都市圏が拡大していく。従来の市街地の範囲(中心都市)でも人口は増加傾向にあるが、その外側に市街地が形成され、都市圏が拡大している。郊外における住宅地開発が盛んに行われるようになった。

(3)高度経済成長期の中期以降。さらに多くの人口が大都市圏へと流入。郊外ではより大規模に住宅地の建設が進み、人口増加率が極めて高い。鉄道や道路などのインフラ整備も行われている。一方で都心部の旧市街地では地価の高騰や居住環境の悪化によって旧来の住人たちが転出する。ドーナツ化現象が生じる。

(4)2000年以降。バブル崩壊によって都心部の地価が下落し、家賃も下がる。また再開発が積極的に行われることで、タワーマンションなどの集合住宅の建設も進む。都心部における人口増加率がとくに高い。「人口の都心回帰」である。


さてスプロール現象はどこで生じているのだろう。cとdは都心部であり該当しない。aは位置的には郊外のように見えるが、機能としては郊外ではない。郊外とはその居住者が都心部へと通勤することが条件。つまり都市圏の一部である。(1)の段階では都市圏の成熟はみられず、市街地の範囲は中心都市にのみ限定される。aから中心都市への通勤はみられない。

典型的な「郊外」であるbが該当。大都市圏への人口流入によって農地や林地に住宅地が建設されている。高度経済成長期の初期であり、法整備なども進まず、虫食い状の乱開発がみられるのであろう。スプロール現象である。


[21]

Fから判定。「東京大都市圏の周辺地域」とは郊外のことだろう。高度経済成長期にはニュータウンが盛んに建設され、人口増加率が高かったが、以降は人口流動が減少しとくに2000年以降は人口増加率も低い。初期に開発されたニュータウンには、最初の入居者が経年によって高齢化し、老年人口割合が極端に高いところもある。これは正文でしょう。

Gの判定。「若者が移動する」のが絶対的なセオリー。人口移動の原則は「1人当たりGNIの低いところから高いところへ」。高賃金と豊かな雇用を求めて、労働者となり得る若年層が移動する。このセオリーを考えるに、ここで述べられている「高齢者がマニラに住居を移す」ことはあり得ない。誤り。

Hの判定。「マニラ大都市圏以外の人口増加」ということは、つまり地方の農村での人口増加を考える。貧困なため、とくに出生率が高く(1人当たりGNIと出生率は反比例)、人口増加率が高い。もちろん農村の雇用は乏しく、賃金も低い。余剰となる労働力が多く発生し、彼らが仕事を求めて「フィリピン唯一の大都市」であるマニラ大都市圏に流入することは想像に難くない。正しい。


[22]

これはよくわからないんだけど、3が誤りじゃんじゃないかな。問題文には「交通渋滞解消」とある。市街地に入り込む自動車の数を減らすことが必要なんじゃない?ガソリン車を電気自動車に変えたところで、走っている自動車の数は減らすことにはならないんじゃないかな。

他の3つの選択肢はいずれも都市内を走行する自動車を減らすことになるよね。


[23]

表の読み取りが必須となる問題。

1;たしかに「バス」、「徒歩・自動車」の割合が大きく低下している。

2;鉄道は利用割合が小さいことは事実。1.3%、1.4%である。しかし「車内の混雑も少ない」はどうだろう?乗車率は図中で示されている範囲に限られるものの、いずれも200%を超えるかそれに近い値。極めて混雑している。これが誤りだね。

3;地下鉄は「都心部」の南部からさらに南の方向に伸びている。現状で都心部と周辺の郊外に位置する住宅地を結ぶ通勤の足となっているのだろう。「計画」の路線は市街地を北まで貫いている。

4;これは表の読み取りは無関係。交通渋滞は騒音や大気汚染などの都市問題も招く。


[24]

発展途上国のスラムの形成について理論を問うている。

Fは「余剰労働力」。農村はとくに人口増加割合が高く、多くの労働力が存在するが、十分な雇用(あるいは高賃金の仕事)は無い。Gは「スラム」。流入した労働力(若年層が多い)は失業者あるいは低賃金労働者となり、家賃を払う余裕もない。土地を不法占拠して、簡素な家屋を建て、そこに住み着く。スラムである。

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