たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

2010年度地理B本試験[第1問]解説

2010年度 地理B 本試験 [解説}                                                

 

[ファースト・インプレッション]

まずこの問題冊子を手にして、個々の問題を解いていない状態での第一印象。ザッとみた感じでは、「おもしろくない問題だな」と。どの問題にもオリジナリティというか強烈なアクのようなものがなく、すらっと通り過ぎる感じ。でもそれが本来のセンター試験のあるべき姿なんだろうなとも思います。例年、多少は空気の読めない問題があって、受験生を戸惑わせていたのだけれど、今回はそういった問題は(ザッと流し読みした段階では)見当たらない。いつかどこかでみた問題ばかりっていうこと。「いつか」っていうのはこの数年のことで、「どこか」っていうのはもちろんセンター試験。つまり、過去問をガッチリ「覚えて」しまえば、全て「知っている」問題ばかりだったというわけだ。センター地理で問われる範囲なんて決まりきっているのだ。

 

2010年度地理B本試験[第1問]                                                   

 

「世界と日本の自然環境」っていうテーマ。これはたいへんオーソドックスだと思う。オーソドックスというのは、センター地理については最高の褒め言葉の一つ。センター地理っていう空気を読んで、的確な問題を出題するのは絶対的な「美徳」なのだ。

 

<2010年度地理B本試験[第1問]問1>

 

[講評] まずは大地形の問題。大地形っていうのはセンター地理で軽視されるジャンルであり、あまり勉強しても仕方ない。例えば、気候と農業がつながっていたり、経済と工業に関連性があったりなど、他のジャンルの勉強っていうのは、さらに他のジャンルの理解も助けるものだったりするんだが、大地形ジャンルは他との関連性が薄く、勉強のやりがいみたいなもんが小さいんだよね。地理が苦手な人は、思い切ってカットしてしまっていいジャンルだと思うよ、大地形に関しては。

しかし、一つだけ例外があって、それは「火山」に関するネタ。火山は分布する地域、しない地域がはっきりしているアイテム。火山の分布地域だけ覚えておけば解ける問題っていうのはものすごく多い。本問もその典型ではあるので、ちょっと心に留め置くといいだろう。

 

[解法] 「最も適当なもの」を当てる問題だからちょっとやっかいだね。4人中3人が「ウソ」をついているわけだから、3つの謎を解き明かさないといけない。3つの文の誤りを指摘することが必要になってくる。これは「適当でないもの」を一つだけ選ぶ問題に比べ、3倍しんどいっていうことだよ。

そのことを頭に入れて各選択肢をみていこう。

1;この文章、何げにキーワードが入っているんだよね。気づいたかな?それは「造陸」っていうやつ。ほら、世界の大地形って3種類に分かれるでしょ。「安定陸塊」「古期造山帯」「新規造山帯」に。このうち、安定陸塊だけが「陸」で、あとの二つは「山」だったりする。古期造山帯と新規造山帯が「造山」であるのに対し、安定陸塊だけが「造陸」なのだ。つまりこの選択肢1の文章は要するに「安定陸塊である」っていうことを言いたいだけなのだ。

Aに注目。南米大陸の東側半分(ブラジルを含む側ね)はかつて古大陸ゴンドワナランドの一部を形成していた大地。南アメリカ大陸、アフリカ大陸、マダガスカル、アラビア半島、インド半島、オーストラリア大陸、南極大陸はかつて一つの大陸であった。ゴンドワナランドは、6億年以上前の先カンブリア代に誕生した安定陸塊である。「A地域=ゴンドワナランド=安定陸塊=造陸」ということで、この選択肢はオッケイとなります。いきなりだけど、これが正解です。

2;「活発な隆起運動」が絶対的なキーワードです。単なる隆起じゃないよ。わざわざ「活発」ってついているんだから!これは新期造山帯のキーワードです。大陸プレート同士がぶつかって、巨大な褶曲山脈が押し上げられる。インドプレートが北へ向かって移動し、ユーラシアプレートにぶつかって形成されるヒマラヤ山脈、チベット高原がわかりやすい例。

さぁ、ここで目をBに移そう。この山脈って何だ?これはウラル山脈という山脈で、代表的な古期造山帯。ヨーロッパとシベリアを分つ巨大な山脈ではあるが、形成年代は今から2億~3億年前と古く、山頂付近は侵食が進み平坦となっている。誤り選択肢です。

3;「扇状地」というのは山地と平野の間に形成される河川による堆積地形であり、緩斜面が形成される。水はけのよい乏水地で、水田には利用しにくいが、畑地や果樹園がしばしば見られる。このことを頭に入れてCを見てみよう。

 

[最重要リンク] すごくわかりやすいネタ。「活発な隆起運動」っていうやつね。これは新期造山帯のキーワードであることを知っておいてもいいかもしれない。逆にいえば、安定陸塊や古期造山帯で「活発な隆起運動」っていう言葉が出てきたら、秒殺で切ってしまっていい。

その逆のパターンもあり、その例が2008年度地理B本試験第4問問1の選択肢1。

新期造山帯であるヒマラヤ山脈について、「激しい侵食作用によって標高が徐々に低下している」というもの。プレート同士が強くぶつかり合い、むしろ標高が高まりつつあるのが新期造山帯の特徴。よってこの選択肢は誤文である。

激しいとか、徐々に低下といえばちょっと言い過ぎのような気もするけれど、「侵食によって山頂付近がやや平坦な丘陵となっている」のが古期造山帯のキーワード。古期造山帯に属する山は日本に存在しないのでわかりにくいのだが、新期造山帯との山容の違いをイメージしてみよう。

また、同じ問題の選択肢2ではガンジス川のデルタについて問われている。これも本問と直接的に関連する部分。ガンジス川自体はさほど出題率の高いネタではないものの、河口に広がるバングラデシュは非常に重要な国。「ガンジス川河口=バングラデシュ=人口密度が高い=米作がさかん=三角州」っていうつながりで頭に入れておくといいだろう。

 

[今後の学習] 大地形ってやっぱり難問が多いと思いますよ。さらに本問の場合は「正文」判定なので、誤文判定問題に比べると難易度が高いのはどうしようもない。それに加えて、第1問問1っていうのはどの回においてもちょっとやっかいな問題が並んでいたりする。そういったいろんな条件があるので、本問が解けなかったとしても気にする必要はないと思いますよ(笑)。最初の問題で引っかかって、それが後に続く問題まで引きずってしまうことが最も怖いわけだから、割り切ってさっさと先に進んだ方がいいってことですよ。

それはともかくとして、問題自体の対策としては、やはり過去問重視の姿勢だけは大切にしてください。本問にしても、一見難しい問題とは思いますが、過去問で出題された話題ばかりなので、それなりの対策ができるはずです。

 

<2010年度地理B本試験[第1問]問2>

 

[講評] まともじゃないんだ!気候判定問題なんて、普通の雨温図を出題したらいいとボクは思っています。でもこんなちょっとひねくれた形式になっている。これってマジやっかいだよね(涙)。

でもキミたちは焦るなよ!形式は目新しくても、問われている内容はオーソドックスだぞ。外見でビビるな、本質を見抜け。

 

[解法] ポイントは2つあって、一つは「地中海性気候」、そしてもう一つは「数字」。地中海性気候に気づく人は多いと思う。でも、グラフの数字まで注目できた人は少ないはず。そしてその数字に注意しないと解けない仕掛けになっているのが、この問題の意地悪なところ。でも、やっぱり地理は数字の学問なので、グラフや表が出てきたら、数字そのものの大小に徹底的にこだわって考えることが非常に重要なのは当たり前なのだ。

Fの線上のアを「Fア」とし、同様に「Fイ」「Fウ」「Fエ」「Gア」「Gイ」「Gウ」「Gエ」とする。

「Fア」は典型的な地中海性気候がみられる地点であり、これに注目する。北上する中緯度高圧帯に覆われ7月を中心とした時期に少雨となり、偏西風や寒帯前線の影響を受ける1月を中心とした時期にはそれなりの降水がみられる。「Fア」の7月の降水量は極めて少ないと思われる。よって「Fの7月の降水量」の候補を、アが少雨(というか全く降水のない)である2と3に限定する。

さぁここから判定しないといけない。2と3を区別しないといけないが、どこが違っているだろう。イは両方ともほぼ0mmで同じ。ポイントはウなんだよね。2では降水量が400mmに達し、極めて多雨である。400mmという数字には注目してほしい。どちらかといえば多雨である日本においても、東京の年降水量は1500mmであり、つまり1カ月当たりの平均降水量は100mm程度になるわけだが、ウでは400mmに達している。これはかなり降水量が多いっていうこと。一方、3でも降水はみられるものの、数十mm程度に過ぎない。どうかな、この違い。「Fウ」はどんなところだろう。地域名で言えばギニア湾岸、国名でいればコートジボワールやガーナがこの位置に該当する。ギニア湾岸、コートジボワール・ガーナといえば、当然出てくるキーワードは「カカオ」なわけだ。カカオの栽培条件は「高温多雨」。日本も温暖で比較j的降水量が多い国であるが、カカオの栽培条件はそんなものではない。極めて高温で、大変降水量が多い地域でこそ、カカオは栽培されうるのだ(*)。このことから考えて、3の数十mmっていうのはちょっとおかしい気がするのだ。400mmに達しようとする、極端に降水量が多い2が正解となる。

ウやエは北緯10°ぐらいに当たり、高日季(夏と同じ意味)には赤道低圧帯が北上してくる緯度帯。7月に赤道低圧帯のもたらすスコールによって多雨となると考えて妥当だろう。

(*)カカオと同様に「高温多雨」な自然条件をその栽培に必要とする農作物に、天然ゴムと油ヤシがある。この3つは「暑苦しいトリオ」として頭に入れておこう。

 

[最重要問題リンク] アフリカの降水量を「縦にとらえる」問題っていうのはスゴく多い。その一つの例として1997年度地理B本試験第5問問2を見てみよう。答えを先に言ってしまいますが、X1~X13は、アフリカ大陸を「縦にとらえる」D1~D13に対応します。

地中海性気候がみられるD1(X1)は、夏季の7月を中心とした時期には中緯度高圧帯の影響で少雨(乾燥)となり、冬季の1月を中心とした時期には偏西風や寒帯前線の影響で湿潤となっている。

やはり地中海性気候がみられるD13(X13)は、夏季の1月を中心とした時期には中緯度高圧帯の影響で少雨(乾燥)となり、冬季の7月を中心とした時期には偏西風や寒帯前線の影響で湿潤となっている。

本問の「Fア」がおおよそD1(X1)に対応し、「Gエ」が同様にD13(X13)に対応している点に注目しよう。

 

[今後の学習] 解法の部分では「Fの7月」しか判定しなかったが、他のものも見ていこう。

まず「Fの1月」はどれか。「Fア」が地中海性気候であることは既に述べた。1月の「Fア」では「それなりの降水量」がみられるのだ。それなりってどれぐらいだ?同じ地中海性気候のサンフランシスコの年降水量が約500mmであることは知っておいていいと思う。過去問でも何回か登場している。12で割れば、1カ月平均50mm程度になるよね。で、降らない時(7月)はほぼ完全な0mmになるのだから、単純に考えれば、降る時(1月)は100mmぐらいになると考えていいんじゃない?このことから、1を「Fの1月」とする。

3と4については、「Gエ」がやはり地中海性気候であることを意識してみよう。南半球の夏季である1月を中心とした時期に乾季となり、同じく冬季である7月を中心とした時期に湿潤となる。

このことから3が「Gの7月」、4が「Gの1月」である。

 

さらに注目してほしいこと。っていうかむしろこちらが本題といっていいかもしれない。それは「風系の季節的な移動」である。地球では大気の大循環によって赤道低圧帯や中緯度高圧帯、寒帯前線などの気圧帯が緯度ごとに形成されている。それらが、北半球が夏となる7月を中心とした時期には全体的に北上し、南半球が夏となる1月を中心とした時期には全体的に南下する。

このパターンを、Fに当てはめてみよう。1は1月なので風系が南下している時期。通常(春や秋)は北緯25°付近(「Fイ」付近)に位置している中緯度高圧帯が南下し、北緯10°付近(「F3」や「F4」付近)を影響下に収める。イだけでなく、ウやエでも降水量が少なくなっていることについて、中緯度高圧帯がこの緯度帯まで下がっていることを考える。

逆に2は7月の図なので風系全体が北上している。やはり通常は北緯25°付近に位置している中緯度高圧帯が、北緯35°付近(「Fア」付近)まで北上し、この緯度帯に少雨気候をもたらす。2においてアの降水量が少なくなっていることを読み取ろう。

なお、イは年間を通じて中緯度高圧帯の影響が強いため、1月も7月も降水量はほとんどらみられない。

さらに赤道低圧帯についてもその移動をイメージしよう。通常は赤道付近に位置する上昇気流の帯が赤道低圧帯だが、7月を中心とした時期には北上し、北緯10°付近にまで移動する。2の図において、ウやエの降水量が多くなっているのはこの影響が大きい。

逆に南下する様子もイメージしよう。4の図において、アやイの降水量が多くなっている。1月は風系が南下する時期であるが、赤道低圧帯も南半球側へと移動し、南緯10°付近は多雨となる。

 

<2010年度地理B[第1問]問3>

 

[講評] 植生の問題。植生ネタ自体はそんなに珍しいものではないけれど、写真を使った問題っていうのはあまり出題例は多くないかな。ただし、いずれも典型的な植生の景観であるので、この問題を通して慣れておくことが大事。

 

[解法] カは「熱帯雨林」、キは「針葉樹」、クは「砂漠」。どうかな、判定できるかな。

カについては密林になっていることも大切だけど、さまざまな樹高のさまざまな種類の木々がみられることこそ重要。これを「樹層が複雑」というんだけど(こんな言葉は覚えなくていいですよ・笑)、高温多雨で植物の成長力が旺盛な熱帯においてはこのような森林がみられるのだ(*)。

逆にキについては、同一樹種になっていることに注目。「樹層が単純」あるいは「単純林」または「純林」というわけだが、これが針葉樹の特徴。っていうか、これを「タイガ」というのだ。タイガって言葉だけ知っていてイメージがない人は、この写真でインプットしておくといい。日射量が弱いので、日が当たりにくい低木は繁茂せず、どの木もほぼ同じ高さで「日光を分け合っている」のだ。

クが砂漠っていうのはどうかな。ちょこちょこ植物らしいものが点在しているが、地面全体を覆うほどではない。このような「表面を覆う植生が存在しない」状態を砂漠というのだ。砂漠というと、細かな砂が一面に広がった土地を想像する人がいるが。それは「砂丘」という。砂漠とは植生を表す語で、地形を示す語でないことに注意する。

あとはJ~Fに当てはめていけばいい。Jはカナダの冷帯地域。こういった地域の植生は針葉樹である。キに該当。

Kは米国とメキシコの国境付近。降水量が少ない地域であることは想像できるだろうか。砂漠の植生がみられるとしても不思議ではない。クに該当。

Lは低緯度で赤道に近い。年間を通じて赤道低圧帯の影響が強く、スコールに見舞われる。植生は熱帯雨林になるだろう。カに該当。

(*)もっとも、いくら植物の成長力が旺盛であっても、肝心の土壌が肥沃ではない(ラトソル)なので、農業が豊かに行われるわけではない。

 

[最重要問題リンク] 写真を使った植生の問題って少ないんだよね。

2007年度地理A追試験第1問問7がその数少ない例。ここでは「北極圏の島」「バイカル湖のほとり」「アフリカ中南部」の3つの地点が示され、それぞれ「ツンドラ」「サバンナ(サバナ)」「タイガ」の3つの写真のいずれか該当するかという問題となっている。

タイガに関しては本問と同じなので、とくに問題はない。ちょっとやっかいなのはツンドラとサバンナで、とくにツンドラは見慣れていないと判定困難だと思う。地面を覆うコケがツンドラなんだけど、地図帳や資料集で一応確認しておいてほしいな。地理A追試験の過去問って手に入りにくいと思うんで。

 

[今後の学習] 写真を使った植生の問題は今後も出題される可能性がある。ビジュアル的に理解しておくことが必要。

カの熱帯雨林については、多種類の樹木が密生していることがポイントとなる。

キの針葉樹林については、純林であることがポイント。

クの砂漠については、一部に植物がみられるものの、全体として植生がみられないことがポイントとなる。

 

<2010年度地理B本試験[第1問]問4>

 

[講評] これもやっかいな形式の気候判定問題だな。素直に普通の雨温図を出せばいいと思うんだけどね、ボクは。でもこうしたちょっと変わった形式の出題がこれからは増えるのかな、ちょっとした新傾向。

ポイントになるのはシベリアに近いTだね。イルクーツク(バイカル湖の南岸に接する都市)に近いので、気候もそれに近くなる「ほぼイルクーツク」である都市なわけだが、その特性を暴くのが最も重要。

 

[解法] 過去問でイルクーツクやハバロフスクといったシベリア南部の都市が何回が問われたことがある。最寒月の平均気温が-20℃に達する極寒の世界(っていうはシベリア中央部ならもっと寒いけどね)。それに対し、実はシベリアは夏は十分に気温が上がり、農業もさかんに行われていたりする。典型的な大陸性気候がみられることを考え、気温年較差が極めて大きい4を「ほとんどシベリア」のTと考えよう。気温の年較差が40℃であるが、これについては最寒月平均気温が-20℃、最暖月平均気温が20℃って考えるといいと思う。

さらにVについて考えよう。北海道の札幌の気候は知っておくといい。最暖月平均気温25℃、最寒月-5℃、年降水量1000mmという数値。グラフを参照し、年降水量1000mm、気温年較差30℃に近い3が北海道に該当する。具体的は数字で覚えてしまっていい。というか、覚えてしまおう。いろいろ使える。

残った1と2がSとUに該当する。気温年較差は20℃弱とほぼ同じ値である。気温年較差と緯度の関係を考えた場合、低緯度地域では気温年較差が小さく、高緯度地域では気温年較差が大きいという科学的な原則がある(*)。他の2地点に比べて低緯度にあるSとUが、気温年較差の小さい1と2に該当するということは、まさにこの原則に合致している。

1と2の違いは降水量である。1は2500mm、2は500mmに満たない。さぁどう思う?Uは台湾だが、沖縄に近い。沖縄(那覇)の年降水量の目安は2000mmである。Uの降水量を推測するに、2000mmぐらいって考えるのが妥当だと思うよ。ってことは、2500mmならあり得るけれど、さすがに500mmってどうだろう?ちょっと考えにくいんじゃないかな。このことから1をUとする。

残ったSが1。これ、具体的にどこかわかるかな?ここは中国南西部でインドに接するチベットという地域。低緯度であるので気温年較差はもちろん小さくなる。降水量については、インド洋からの湿った空気が、ヒマラヤ山脈によって妨げられるので、水分がこの地域まで届きにくい。チベットが少雨地域であることはぜひ知っておこう。農耕は行われず、ヤクが遊牧されているのだ。

 

(*)このセオリーは「緯度と気温年較差は比例する」という言い方で頭にインプットしておこう。地球が地軸を傾けて公転しているために、季節ごとの昼と夜の時間のバランスが、緯度によって異なることを考える。例えば赤道上の地点では、年間を通じて昼と夜が12時間ずつなので、気温年較差が生じない。それに対し、高緯度地域では夏は昼の時間が極端に長くなり、冬は夜の時間が極端に長くなるので、季節ごとの太陽エネルギーを受け取る量に大きな違いがあり、これが気温年較差を大きくする要因となっている。

 

[最重要問題リンク] 緯度と気温年較差の関係ってすごく重要だと思う。1998年度地理B追試験第5問問1参照。赤道直下の地域では気温年較差は生じず、緯度が高まるごとに寒暖の差が生じる。

ちなみに、一般に「熱帯」っていうでしょ?低緯度の気温が高い地域のこと。教科書なんかでは「最寒月平均気温が18℃以上であること」が熱帯気候の条件となっているけど、実はこれは違うんですよ。だって18℃ってメッチャ中途半端じゃないですか(笑)。

熱帯の定義は「気温年較差が気温日較差より小さいこと」なのです。例えば東京ならば、気温年較差が20℃ほどであるのに対し、気温日較差はせいぜい10℃ぐらい。晴れた日ならばもう少しあるかもしれないけれど、曇りの日や雨の日ならば昼も夜もさほど気温は変わらない。我々が生活する範囲では、一日の気温の差の方が、季節による気温の差より小さいのは当たり前。

でも熱帯はこれが逆転するのだ。気温年較差は10℃にも満たないのに対し、昼と夜の寒暖差はそれを超える。低緯度地域は、我々が感じるような季節感はないけれど、一日の中で気温変化が激しく、服装にも気を遣わなければいけない。

気温年較差については、そういったはっきりとしたイメージを持っておこう。

 

[今後の学習] 「解法」の説明の細かさからみても、この問題がいかに複雑な様相を持った重要性の高い問題かが想像できると思う。ホント、この問題の説明だけで1時間かける価値があると思う。形式、内容ともにすばらしい問題です。

ただし、ボクは思うんですが、気候についてはシステム(緯度と気温年較差の関係、海洋性気候と大陸性気候、地形性降雨など)で考えるのが重要とはいえ、本問については「シベリアの気温」や「北海道の気候」について、具体的な数字で考えるのが大切と思うわけだ。センター地理は覚える部分は少ない科目ではあるけれど、それは地名やカタカナ用語についてとくに言える話で、「数値」については実は結構覚えなくてはいけないし、それを用いて解く問題もたいへん多い。

とりあえず気温年較差については、「低緯度で10℃未満、東京で20℃程度、北海道で30℃程度、シベリアは40℃以上」っていう具体的な数値で覚えておくべき。

 

<2010年度地理B本試験[第1問]問5>

 

[講評] 毎年必ずといっていいほど出題されるのが「土壌」。とくに本年はチェルノーゼムについて問う問題もあったので、2問分が出題されているとみていい。また、本問登場の褐色森林土、ポドゾル、ラトソル、さらにチェルノーゼムはいずれも成帯土壌で、気候と土壌との関係がセンター地理では重要視されていることがよくわかる。

 

[解法] サは消去法でいいと思う。日本の本州は温帯だが、温帯の土壌はとくに覚える必要はないので、他の2つをしっかり確認し、サは残りでいい。

では土壌について説明。しっかり読んでね。

土壌は「成帯土壌」と「間帯土壌」とに分けられる。成帯土壌は気候のはたらきによって形成された土壌で、気候帯に沿って広い範囲に分布するもの。間帯土壌は母岩の影響を受けるなどして生成された土壌で、ピンポイントに局地的に分布する。

 

今回は成帯土壌のみ説明します。

成帯土壌はさらに「湿潤土壌」「乾燥土壌」「半乾燥土壌」に分けられる。湿潤土壌は酸性となり、乾燥土壌はアルカリ性、半乾燥土壌は弱アルカリ性となる。

湿潤土壌としてキミたちが絶対に知っておくのは、熱帯に分布する「ラトソル」と冷帯に分布する「ポドゾル」である。

ラトソルは高温多雨な自然環境の元で形成されるもの。高温であるため、微生物の活動が活発で、有機物がすぐに分解されてしまい、腐植に乏しい土壌となる。多雨であるため、土中の栄養分が流出してしまう。同じく多雨であるため、土中の金属が酸化してしまう(酸化鉄、酸化アルミニウムなど)。この酸化した金属のため、赤色の土壌ともなっている。

ポドゾルは低温で蒸発量が少ない自然環境に対応する。低温であるため微生物の活動が抑えられ、植物が腐らないため、腐植が生成されない。蒸発散の作用が小さいため、水分が地下へと浸透し、その際、土中の色素を溶脱し、土の色を灰白色に変える。

乾燥土壌には砂漠土がある。降水量が少なく、過度な蒸発作用があるため、土中の塩分が地表面まで持ち上げられ、塩害の被害も大きい。そもそも植物がみられない(砂漠とは「植生なし」の意味である)ので、腐植もできようがない。

ここまで、湿潤土壌のラトソル・ポドゾル、乾燥土壌の砂漠土は、いずれもやせた土壌である。ラトソルは高温多雨であることによって、ポドゾルは低温であることによって、砂漠土は少雨であることによって、それぞれ腐植が形成されない。

では、逆に腐植が形成されやすい環境条件とは何だろう?暑過ぎず、寒過ぎず、雨が降り過ぎず、降らな過ぎない気候環境。そう、全てにおいて中途半端な状態であることが肥沃な土壌の形成される絶対条件となるのである。それはどんな気候か?それが「半乾燥」なのだ。

半乾燥土壌は、極端な高温あるいは低温にならないという気温条件に加え、年降水量は約500mmというやや少雨の自然環境で形成される。そういった気温・降水量の元でこそ、肥沃な腐植が生成され、半乾燥土壌は黒色の土壌となる。これを「黒土」といい、チェルノーゼム、プレーリー土、パンパ土がこれに該当する。チェルノーゼムは黒海北岸ウクライナから東方の帯状の地域に分布する。プレーリー土は北米中央平原に分布する。パンパ土はアルゼンチン東部を中心としたパンパとよばれる草原地帯に分布する。いずれも小麦の大規模な栽培がみられ、農業区分は企業的穀物農業となっている。

 

熱帯・・・湿潤土壌・ラトソル

冷帯・・・湿潤土壌・ポドゾル

年降水量約500mm・・・半乾燥土壌・黒土

乾燥帯(砂漠)・・・乾燥土俵・砂漠土

 

以上の4種類の土壌を意識すること。問題に戻り、「高緯度」である樺太は冷帯と考えられ「ポドゾル」が該当、「低緯度」であるルソン島は熱帯と考えられ「ラトソル」に該当。1が正解。

なお、褐色森林土とは温帯の土壌で、日本や西ヨーロッパもこの土壌。

 

[最重要問題リンク] 成帯土壌について気候帯と対照させて考えることが重要。98年度地理B本試験第5問問5参照。「ラトソル=熱帯」「熱帯=南アメリカ」から「ラトソル=南アメリカ」を導く。なおアフリカも熱帯であるが、砂漠気候も広くみられ、砂漠土もそれなりに分布しているはず。

 

[今後の学習] 土壌を覚えるコツっていうのは、カタカナ言葉である土壌名を先に覚えるのではなく、それは後回し。樹形図を描きながら、分類することで整理していく。

土壌を成帯土壌と間帯土壌に分ける。成帯土壌を湿潤土壌と乾燥土壌と半乾燥土壌に分け、それぞれラトソル・ポドゾル、砂漠土、黒土に分類する。ラトソルは高温多雨であるため、ポドゾルは低温であるため、砂漠土は少雨であるため、いずれもやせた土壌であることを考え、それに対し腐植土が豊かなに形成された黒土が肥沃であることをイメージする。さらに「半乾燥気候=年降水量500mm」であることをふまえ、チェルノーゼム、プレーリー土、パンパ土という3種類の黒土の分布地域を考えよう。

間帯土壌は今回は説明しないが、レグール土(インド半島に分布する黒色土壌。綿花栽培に利用)、テラローシャ(ブラジル高原南部に分布する赤色系の土壌。コーヒー栽培に利用)、テラロッサ(石灰岩の風化土壌でカルスト地形に分布)、レス[ヨーロッパ](大陸氷河の末端に集積。ハンガリーなど)、レス[中国](黄土高原から黄河によって運搬。華北平原)の5つを知っておくべき。

 

<2010年度地理B本試験[第1問]問6>

 

[講評] これ、ちょっと難しいと思う。こうしたベタな小地形が登場することは今までも無くは無かったものの、その形成理由にまで踏み込んだ問題っていうのは実は少ない。やっかいだなぁ。どうしたもんかな。

 

[解法] 選択肢1は非常に重要。「岩石海岸」と「砂浜海岸」のように、岩と砂の地形を区別させる問題はセンター地理定番の一つ。ゴツゴツとして、海岸に沿って点々がみられるのは、たしかに「岩石海岸」。1は正しい。

さぁ、問題は3から。これがちょっと困ったもんなんだよね。まず図を見て、これが「海岸段丘」とよばれる地形であることを認識しないといけない。海岸段丘自体は過去の地形図問題でも出題されているからある程度は目で覚えておかないといけない。等高線の状態から、海岸に沿って階段状の地形が形成されていることを読み取ろう。沿岸部で道路が走っている部分が低地。そこから等高線が何本かみられ、急斜面となっていることがわかる。これを「段丘崖」という。「奥平部」という文字の部分まで3本の等高線がみられるので、この段丘崖の比高は約30mであることが読み取れる。ここから内陸部に向かって、ほぼ平坦な地形(とはいえ、等高線が疎らではあるが何本かみられるので、緩い斜面となっている)が広がっており、こちらを「段丘面」という。そしてさらに南には60mの等高線より高い部分が山地となっている。3については正文とみていいだろう。

さらに4について。段丘地形の形成理由は「隆起」である。川に沿った段丘を河岸段丘、海に沿った段丘を海岸段丘というが、いずれも土地の隆起によって形成されたもの。波の侵食によって平坦な部分と崖の部分がつくられる。その土地が持ち上がることによって平坦な部分は段丘面に、崖の部分は急斜面すなわち段丘崖となる。さらに侵食されることで、もう一つの平坦面と急斜面がつくられ、また隆起することによって段丘面と段丘崖は重層的となっていく。「段丘=隆起」は絶対に知っておくべき組み合わせ。よって4も正解。

というわけで、最後に残った2を検証してみよう。先ほど「海岸段丘は、土地の隆起と波の侵食によって形成される地形である」ことを説明した。そもそも海岸段丘を示す地形図において、「侵食」の反対語である「堆積」が登場するのはいかがなものか。堆積ならば、土砂が運ばれてくるのだから、このような岩石海岸ではなく「砂浜海岸」となっているはず。図をみる限り完全な岩石海岸であり、こうした地形が波の侵食によって形成されたと考えるのは妥当だろう。2が誤りである。「堆積」を「侵食」に改める。海岸が削り取られて、磯浜となったのだ。

 

[最重要問題リンク] ほぼ同じような地形が問われた例に2003年度地理B追試験第5問問3がある。岩石海岸が広がり、海岸沿いの低地に道路が走りそれに沿った家屋も点在。その背後に等高線が何本からみられ、数十mに達する斜面がある様子が伺える(段丘崖)。さらにその上にはほぼ平坦な土地が広がっており(段丘面)、耕地に利用されている。そしてそれより上には等高線が密となっており、山地地形であることがわかる。

この「海岸段丘」の様子をビジュアル的に理解しておくことが大切。ある程度、目を馴らしておいて、見た瞬間に海岸段丘であることを読み取ろう。なお、この2003年の方の図では、沿岸は岩石海岸だけでなく、一部に砂浜海岸もみられる。砂州もあるなど、波による侵食作用だけでなく、堆積作用も活発のようである。

 

[今後の学習] 今まではこうした小地形についてはその形成理由まではほとんど問われなかっただけに、今回の出題が例外的なものなのか、それとも今後のスタンダードになるのか、その予想が難しい。一応最悪の場合に備えないといけないので、「小地形&形成理由」のセットをいくつか知っておくべきだろう。

ここでは「岩石海岸」と「海岸段丘」が登場した。岩石海岸は波による侵食地形(*)であり、海岸段丘は土地の隆起と波による侵食である。キーワードで整理しておこう。

 

(*)なお、本図にははっきりとしたものは存在しないが、やはり波によって海岸が大きく侵食され、険しい崖のようになった地形もあり、それを「海食崖」という。岩石海岸も海食崖も要するに岩が露出したゴツゴツした地形であるが、これらが波の侵食によって形成されていることを理解しよう。

 

 

 

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