たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

1997年度地理B追試験解説

1997年地理B追試験

新課程導入初年度でもあり、それに追試験ということもあって、それほど重視しなくてもいいのかもしれない。やや知識問題が多いような印象もあるし、中学レベルの知識がそのまま問われているところも多い。でも群馬県の農村ネタみたいな思考問題としておもしろいものもあったりして注目度は高いね。地形図問題も、溜池の判定は無理としてもそれ以外はいい問題がそろっている。個人的には嫌いな回じゃない。

 

第1問 自然環境に関する大問。普通はこのネタって思考問題が多いんだが、ここではむしろ知識が中心となる印象。でもそれだから悪いっていうわけでなく、むしろ植生や土壌についての知識を求める問3や問4は良問に属すると思う。逆に思考問題である問1や問6の方が解きにくい。ややあいまいな問1はともかくとして、問6に至っては解答不能である。

問6以外は全問正解を狙ってほしい。問5がちょっとやっかいかも。

 

問1 変わった問題やな。ちょっと解きにくい。

図1参照。まず1・2・3・4・5の5つの地域に大別したと思われる。さらにその中をa・b・c・dなどに細分したようである。

ではまずに1・2・3・4・5の分け方について。この基準はどこにあるか。赤道周辺の低緯度地域に5がみられる。そこから高緯度に向かうにつれ、2、3、4の地域が分布し、最も高緯度に1がみられる(ただし1の分布は北半球のみ。南半球にはみられない)。ほぼ緯線に平行に区分されているので、これを「気温」と考えるのは容易だろう。

大きな区分である1~5の基準がわかったのだから、この時点で正解を1としていいだろう。この選択肢によると、アルファベットの小文字は地形や降水量を表しているようであるが、それについても一応検討してみようか。

5は、細かい区分がないのでコメントなし。熱帯雨林地域のようだ。

4はa・b・cに細分されている。このうち、アフリカ北部やオーストラリア西部などにみられる4aはとくに乾燥した地域(つまり砂漠)の分布に対応しているようだ。4bや4cはその周囲にあって、ステップ気候やサバナ気候を表しているようだ。はっきりしないが。

3aは地中海沿岸にあるので、地中海性気候を表しているのか。米国太平洋岸やオーストラリア南西部、アフリカ南西端、チリ中央部など、まさに地中海性気候の地域と一致している。3bは日本を含む地域。温帯でもとくに降水量が多い地域に対応しているようだ。3cと3dは内陸部にみられるので、これらはやや降水量が少ないことを示しているのではないか。

2aは西ヨーロッパに分布し、温帯の中でもやや冷涼な気候を表していると考えられる。2b・2c・2dはよくわからないが、いずれも冷帯気候に対応。

1aは寒帯のツンドラ、1bは大陸氷河かな。

 

問2 植生の問題。結構珍しいんちゃうかな。とりあえず「地中海性気候=硬葉樹」が頻出。これだけ知っておけば何とかなる!?

樹木は「針葉樹」「落葉広葉樹」「常緑広葉樹」に大別される。冷帯地域は主に針葉樹、熱帯は常緑広葉樹。温帯はこれら全てが存在する混合林である。

特徴ある植生としてぜひ知っておいてほしいのが「硬葉樹」「照葉樹」。ともに大きな区分としては常緑広葉樹に含まれる。

硬葉樹について。常緑広葉樹の一種。オリーブやコルクがし、月桂樹などが代表的な例。地中海性気候と対応する。夏季の乾燥に耐えるように、葉は細く硬い。過度の乾燥を防ぐ形になっている。樹皮なども硬く、水分を体内に蓄える。樹高も低い。

照葉樹について。常緑広葉樹の一種。ツバキや茶(ちなみに茶はそもそもツバキ科の植物である)が代表例。中国南部(華南)から西日本一帯が照葉樹林帯である。夏季とくに湿潤となる気候に対応している。葉の形状は丸みを帯びており、表面がつややかに照り輝いているのが最大の特徴。

問題に戻ろう。地中海地域の3aは硬葉樹林帯、華南や日本の3bは照葉樹林帯となり、正解は1。

ちなみにCの「長草草原」というのはサバナ地域にみられる。図1においては4cの地域かな。サバナを日本語に訳すと「疎林・長草草原」のこと。つまり、まばらに樹木がみられる草原地帯のこと。ライオンやゾウなど四本足の動物があちこちにみられる野生の王国サバンナを思い浮かべてほしい。

 

問3 土壌の問題。問2の植生より頻出であり、確実に答えてほしい。ただしこのように名称だけを問う問題っていうのは珍しいかな。

簡単にまとめておくんで参考にしてね。

(成帯土壌)気候帯に沿って広範囲に分布する土壌。

ラトソル;湿潤土壌。熱帯。肥沃ではない。赤色の酸性土壌。ボーキサイトなど多く含む。

砂漠土;乾燥土壌。砂漠に分布。アルカリ性土壌。

ポドゾル;湿潤土壌。冷帯。肥沃ではない。灰白色の酸性土壌。

チェルノーゼム;半乾燥土壌。冷帯・ステップ気候区。肥沃な黒色土壌。黒海北岸ウクライナからカザフスタン北部へと分布。

プレーリー土;半乾燥土壌。温帯・ステップ気候区。肥沃な黒色土壌。北米五大湖南岸コーンベルトから米国中央部の小麦地帯にかけて分布。

(間帯土壌)地殻運動や火山活動などによって局地的に形成された岩石が風化して形成されたものや、氷河による侵食・堆積作用によって集積したものなどがある。狭い地域に分布。

レグール土;玄武岩の風化土壌。黒色。綿花土。インド半島(デカン高原)に分布。

テラローシャ;玄武岩などの風化土壌。赤系統の色。コーヒー土。ブラジル高原南部に分布。

テラロッサ;石灰岩の風化土壌。赤系統の色。地中海沿岸のオリーブ栽培地域と分布地域が一致する。

レス(ヨーロッパ);大陸氷河によって削られ、その外縁部に積み重ねられた肥沃な腐植土が風によって辺り一帯に散布されたもの。黄色い風積土壌。ハンガリー盆地が有名だが、ロンドン盆地やパリ盆地にも同様の土壌はみられる。

レス(中国);ヨーロッパレスと同じく肥沃な風積土壌であるが、こちらの成因は大陸氷河とは全く関係ない。

以上より、4のレグール土の分布はインド半島(図1でみると4bに分類されている)に限られているのでこれが誤りとなる。

ちなみにパンパ土というのは、その名の通りパンパに分布する土壌と考えていいだろう。パンパというのはウルグアイからアルゼンチン東部にかけてみられる広大な草原。牧場として多くの牛や羊が放牧されているが、小麦やトウモロコシなどの栽培もさかん。

 

問4 1a地域は北極海沿岸地域。ツンドラ気候区である。夏季のみ表面の氷が解けて苔などが生育するが、他の時季は氷に閉ざされる寒冷な地域。よって3が正解。「アザラシ」は寒いところだろう。

 

問5 熱帯の低地地域。このような場所は熱帯雨林におおわれていると考えられる。焼畑農業が行われているだろう。

焼畑農業の特徴として挙げられることに「無畜」がある。熱帯雨林は湿潤で日陰も多いので、じめじめしたたいへん不潔な空間。雑菌や寄生虫が繁殖し、地上に動物は成育できない。4本足の動物ならばすぐに伝染病や寄生虫の犠牲となってしまうだろう。畜産物がいないどころか、労働力としての動物の飼育も許されないところなのだ。

というわけで3が誤文。

他の選択肢についてコメント。

1;まさに焼畑の説明。

2;キャッサバが重要。新大陸原産のイモの一種。自給的な作物。

4;この木の棒をハックというそうだ。そしてハックを利用した耕作をハック耕という。

 

問6 解答不能。

写真をみるとこの地域は明らかな乾燥地域。樹木はおろか草すら生えていないような印象。

1;河川の塩分濃度が高いわけがない。河川のような流水において、塩分濃度が高い水が流れているということはありえないだろう。乾燥地域の湖沼においては、蒸発量の大きさゆえに塩分濃度が高いところはあるが。

2;この写真を見る限り「年降水量が比較的多い」とは思えないのだが。

3;全然わからない。

4;西アジアでしばしばみられる地下水路。山岳部は地下水の豊富なところであり、そこから水路を引いて、灌漑に役立てることがある。集落はその水路の末端に集中する。

ただし、水路の途中から、あたかも井戸から水をくみ上げるように取水することはない。そんなことしたら、水路の出口の村は困ってしまう。それに、この地下水路ってその建設にはかなりの手間がかかっているわけで、その恩恵(つまり水のこと)を途中で横取りするようなことは決して許されない。

以上より僕は答を3にしてみました。しかし!答は実は2やねんなぁ(涙)。こりゃ全くわからんよ。そもそもこの写真を見て「年降水量が比較的多い」なんて思うか?普通?というわけで、解答不能です。。。

 

問7 地理Bではこういう写真判定問題は実は珍しい。でもこれは結構いい問題やと思うんで、確実に得点しよう。

1;北アフリカや西アジアの伝統的な町並みは迷路状街路という特色を持っている。よってこれが正解。類題は00A本第3問問6。ダマスカス(西アジア・シリアの首都)の市街図が取り上げられている。ごちゃごちゃした街路を持ち、あたかも迷路のよう。

2;これは日本の平安京か平城京かな。直行する街路を持つ整然とした計画された街路を持つ。中国の長安にならってつくったんだったかな。

3;キャンベラ。雪の結晶のような放射状の街路を持つエリアが複数つながっている。現代的なデザインとなっている。政治機能に特化した政治都市の代表的な例。人口規模は小さく、経済や文化の中心ではない。

4;ヨーロッパの伝統的な町並みのようである。都市を防備する城壁を持つことが多いが、この写真でもそれらしきものは見えるかな?よくわからないけれど。

 

第2問 ちょっと難しいかな。問1はマイナーな知識でありかなりきつい。問2は容易。問3も簡単な統計問題。問4は捨て問。問5は良問なので時間をかけてしっかり解く。問6は簡単。問7はなんとかなる。問8はやや難しいけれど、解けなくはない。

問1・問4ロスの2問ミスで乗り切ってほしいが、問8もきびしいかな(涙)。本大問を2問ロスに抑えるか、3問ロスしてしまうかで、全体の点数に大きく影響してくると思う。

 

問1 これは知識問題か?難しい。リード文より「農業の保護のため」って書いてある。っていうことは、保護の必要がないものに関してはそもそも輸入制限をかける意味がないわけで、このことが大きな手がかりとなりそうだ。4つの選択肢の内、日本国内での生産がなされていない(あるいは、それに等しい)品目はどれだろう。僕は「粗糖」であると考える。つまり砂糖のこと。

砂糖はテンサイからも精製することはできるが、主にサトウキビを原料とする。沖縄など一部の地域で栽培されてはいるが、その生産はかなり少ないはず。もともと国内産の割合は低く、輸入に頼っていたのではないかと思われる。

牛肉・オレンジの輸入自由化は1991年。これは知識として知っておいてもいいかもしれない。

リンゴは全然わからない。そもそも輸入量自体少ないような気もするんだが。01B本第5問問4参照。

 

問2 「野菜」の問題。野菜の特徴は新鮮さが求められるということ。

1;自給率がほぼ100%である。これは日本人の主食である「米」。

2;80%以上を自給している。これが野菜。新鮮さが求められるものであるので、輸入に頼る割合は少ない。

3;牛肉。問1とも重なるが、近年の輸入自由化によって自給率は低下した。冷凍技術の発達により世界的に貿易量が増えた品目である。

4;これは大豆。世界最大の食料輸出国米国からの輸入がとくに多い。

というわけで、食料自給率について簡単にまとめておこう。

米(100%)、小麦(10%)、トウモロコシ(0%)、大豆(5%)、野菜(80%)、肉類・果実(50%)。このうち、米・小麦・トウモロコシなど合わせて、穀物全体の自給率が約30%であることも知っておこう。

 

問3 小麦に関する統計問題。類題は00B追第3問問6。

まず小麦の生産順位を確認しておこう。1位・中国、2位・インド、3位・米国。人口大国である中国とインドが1位2位。米国では商業的に小麦栽培がなされている。

表1を参照。「生産量」に注目。表中で最大の1が米国であると考えられる。1は輸出量も多く、これが世界最大の食料輸出国米国と考えることは妥当。

2と3について。生産量が似ている。さらに輸出量も近い。(生産量-輸出量)でおおまかな国内消費量がわかるのだが、つまり2と3の消費量はほとんど同じと考えられるわけで、これは手がかりにはならないようだ。というわけでここでは「1ha当たり収量」に注目してみよう。別に断りはないが「耕地面積1ha当たり」という意味だと思う。とくにここでいう耕地とは、小麦畑に限定されるものだと思う。よくわからないがおそらくそうなんじゃないかなぁ。そう考えるのが最も普通だと思うよ。少なくともまさか国土面積に対する割合っていうわけじゃないとは思うんだが。でも実際はどうなのかわからないよ。こういったことはきちんと統計の中に書いておかないと。

とはいうものの、いずれにせよ、2の国はこの値が大きいわけで(6.48トンもあり、他の国の2倍以上)、かなり土地生産性が高いといえる。このような土地生産性が高い農業形態を集約的というのだが、それは人口密度の高いアジアやヨーロッパの農業の特徴である。よって、選択肢より2がフランスであると考える(ヨーロッパの国はここだけ。米国・アルゼンチン・オーストラリア・カナダはいずれも新大陸の国々であり、土地生産性は低い)。また、(生産量)÷(耕地面積)=(1ha収量)であるので、1ha当たり収量と生産量から、耕地面積(前述のように、小麦畑だと思う。あるいは小麦だけでなく他の作物を栽培している耕地も含めているのかもしれないし、あるいは国土全体かもしれないが)が求められることにも気がついてほしい。生産量に対し1ha当たり収量の大きな2の国は、小麦畑あるいは耕地面積あるいは国土面積が狭い国と考えられるわけで、この点からもこれがフランスであると推測できる。

以降、3と4は判別不能であるが、一応ポイントだけ。

日本の小麦輸入先は、1位米国・2位カナダ・3位オーストラリアと知っておいてもいいだろう。よって3がカナダとなる。99B本第3問問5選択肢3参照。米国では冬小麦(5~7月収穫)と春小麦(8~10月収穫)が、カナダでは春小麦(8~10月収穫)が、オーストラリアでは冬小麦(南半球なので、10~12月収穫)が、それぞれ栽培されており、収穫時期がずれている。時期によって日本国内に流通する小麦の産地はことなるわけだ。君たちがセンター試験を受ける1月はオーストラリアで取れた新しい小麦が日本に出回っている。

4がアルゼンチン。日本はこの国からの輸入はない。

 

問4 難問。捨て問かな。確実に消せるのは4だけかな。

4;アジアの農業の特徴は、小規模で集約的。農業従事者の割合が高く、ていねいな農業が行われている。1人当たり収穫量が小さく、1ha当たり収穫量が大きい。つまり「労働生産性が低く、土地生産性が高い」。

さらに中学地理をしっかり勉強した者は2も誤りとできる。

2;小麦生産1位は北海道。それ以外では関東地方や九州など。

というわけで、あとは1と3が残るねんけど、ここからは確信がない(涙)。カンで解け。正解は1なのだ。

 

問5 かなりおもしろい問題。本年度の中ではベスト。表の読み取りと、郊外や地方の地域的特徴を関連させた複合問題である。

まず確実に消せるものから除外していこう。

3;「過疎化」が気になる。過疎とは、地域の社会的基盤が危うくなるほどに人口が減少してしまうこと。というわけで、この表の「人口」の欄に注目。年を追うごとに増加しているわけで、これは過疎ではない。

そもそも人口が3万もいれば(市としては小さいが)町としてはなかなかのもの。

4;「割合」と「実数」の違いを意識しなくてはいけない。「都市のサラリーマンが農業を始めるために多く転入」とある。人口はたしかに増えているし、その可能性はある。しかし肝心の農家数はどうだろう?「農家数」は減っている。また本選択肢にあるように、専業農家の割合は増えているが、では実数はどうなのだろう?1975年には農家数2159件に対し、専業農家割合20.7%。専業農家は447件。1990年には農家数1382件で、専業農家割合29.5%。専業農家は408件。つまりこの15年間で、わずかではあるが減少しているということ。農業のための転入者が多いとは考えられない。

というわけで、3と4の選択肢は比較的容易に消すことができるだろう。

さらに1の選択肢を検討してみよう。「青森県の津軽平野」である。このような「地方」で人口が増加するようなことがあるか。また「米が著しく減少」とある。これについては表を見てわかるように、正しいであろう。米の生産額は増加しているようだが(農業粗生産額と米の構成割合との積を求めてみればよくわかる)、これは日本全体の物価が上昇したことが大きな原因であるし、米作がさかんになったとはいえない。

個人的な考えなんだが、この選択肢がはっきりと誤文であると判定できる最大の手がかりは「青森県の津軽平野」という地域性だと思う。ここは日本最大のリンゴ産地である!このことはみんなも知っているだろう。ということは、農業は果樹園が中心であるはず。ここで1の農業粗生産額の構成比を見てみよう。果樹はおそらく「その他」に含まれるのだと思う。でも、その割合はわずか4.5%に過ぎない。これでリンゴ栽培がさかんであるといえるか。津軽に位置する町のデータとしてはおおいに疑問なのだ。

というわけで、2が残される。検討してみよう。「群馬県の南部」である。関東平野の北部に当たり、東京の大都市圏にはギリギリ入っているだろうか。「郊外」に位置すると考えていいので、人口が増加していることには納得。「大都市圏の拡大により近郊農業地域に変貌」についても疑問の余地はないだろう。統計をみても「野菜」の割合が急増している。東京に近いという立地条件をいかし、さかんに野菜が栽培されているのだ。新鮮なまま大消費地に送ることができるというメリットだけでなく、地価が次第に上昇してくる中で(東京大都市圏に含まれてきたのならば、地価も上がるだろう)米よりも収益性の高い野菜に転換していくのは採算の面を考えれば当然のこと。

農民が減って農地が減る。第1次産業人口割合が低下し、第3次産業人口割合が上昇する。そんな都市化著しい郊外の町の風景であろう。廃れていく農業ではあるが、野菜をつくることにより生き延びていく農家もなかなかしぶとく残っているわけだ。

 

問6 中学生でも十分に解ける問題である。こういう問題を落としてはいけない。とにかくこのように中学の問題が(しかも知識問題として)そのまま出題されることも例年のパターンなので、自信のない人は必ず中学の問題集をこなしておくこと。バカにしてはいけないよ。

1;リンゴの青森と長野、ミカンの愛媛と和歌山、ブドウとモモの山梨、サクランボの山形、日本ナシの鳥取。果実である。果実に関する統計は意外に頻繁に出題されているので注意しておくこと。

2;北海道が多いことから「乳用牛」と考えていいだろう。

3;関東地方に多い。ナスやキュウリの促成栽培がさかんな高知の値が高いのも興味深い。冷凍トラックを利用して首都圏に輸送する。

4;鹿児島や宮崎が多いので豚。これらの地域ではサツマイモの生産がさかんで(水はけのいい台地地形であるので。とくに桜島の火山灰が積もったシラス台地は有名。そのため逆に水田耕作には適さない)、それが豚の飼料となっている。

 

問7 木材の貿易に関する問題。

1983年のデータと1993年のデータが挙げられているが、ややこしいので新しい方を優先して考えよう。

「針葉樹」「広葉樹」という自然地理に関係あるキーワードに注目。針葉樹は冷涼な国に多く分布し、広葉樹は温暖な国に多い。表中の1と2は広葉樹が多いので温暖な国と考えられ、3と4は針葉樹の多さから冷涼な国と思われる。

これより、インドネシアは1と2のいずれかであろう(1と2はインドネシアかマレーシア、3と4は米国かカナダであると考えられる)。

ここからは「素材」と「加工材」に注目。素材は原木の丸太であり、こちらは輸送の手間がかかる。それに対し、加工材は枝や樹皮など取り除き板の状態にしたものと考えられるので、こちらはより軽量となり運びやすい。この輸送コストの差を考えよう。遠距離を運ぶ場合、近距離輸送に比べて、素材のままで運搬することは不利である。つまり、近距離の国ならば原木のまま輸送する割合が大きく、遠距離の国ならば加工材としての輸出割合が高くなると考えられる。

このことを表中の1と2に当てはめよう。素材の輸出が多い1がマレーシア。加工材の輸出が多い2がインドネシア。日本は近距離のマレーシアからは丸太の輸入が多く、遠距離のインドネシアからは加工済みの板の輸入が多い。

という解説をすると毎回クレームをつけてくる生徒がいるんやなあ。「インドネシアは国の政策として、丸太の輸出を禁止している。だから加工材(合板)の輸出が多くなる。マレーシアはそういう政策をとっていないので、原木のままの輸出が多いのだ」って。加工してから輸出することを徹底すれば、材木の流通ルートも整備され、無秩序な伐採も抑えられるかもしれない。また国内の産業(この場合は製材業)も保護されるので、インドネシアにとっては実に好都合。このことを授業で僕が扱わないから、文句を言う者もいる。では、逆に聞くけれど、加工材の輸出に利点があることはわかったが、ではなぜマレーシアはそれをしないのだろうか。インドネシアだけが行っているのはなぜ?

どうかな?このことについて明確な回答を君は用意できるかな。いや、おそらく理由はあると思うよ。でもそれは調べなくてはわからないことであり、そんなことは今ここで知るべきことではない。

このマレーシアとインドネシアの差異を、経済的な原則と結びつけて考えることが君に必要なのだ。君がこの問題から学ぶことは、インドネシアの政策についてじゃない。経済原則がいかに世界を支配しているかということなのだ。遠いところからは輸送コスト節約のために、加工してから輸送するのだっていう、誰でもわかるシンプルな法則がここでも当てはまるのだということに、小さな感動をする。僕は少なくともそうだ。おもしろいと思う。この世界はほんのささいなシンプルな法則によって回転しているのだ。その断片がこんなところからも伺える。とてもおもしろいじゃないか。

さらに付け加えるならば、マレーシアとインドネシアの経済格差を挙げてもいい。インドネシアの方がより低コストである(1人当たりGNPが低い)。だからインドネシアで製材してしまうことは、マレーシアで同様のことをするよりかなり得なわけだ。マレーシアだと人件費もやや高い。もしかして日本に持ってきてそこで全自動の機械でも使って製材した方が安くつくのかもしれない。ここにも経済原則が顔をのぞかせているわけだ。無理矢理こじつけただけだけれども、あながちまるっきり見当はずれということでもないかもよ!?

輸送費と労働費の法則は3と4の判定にも使える。遠距離で経済レベルの低いカナダから加工材を多く輸入し、近距離で経済レベルの高い米国から原木を多く輸入する。米国とカナダの距離はほとんど同じだけれども、どちらかといえば米国の方が遠いよね。これもこじつけではあるけれど、ここでも法則が当てはまることをおもしろがればいい。何て単純ですばらしい世界じゃないか。

問8 経済に関する問題。自由化が進む現代社会の中で、国有化が進むことは普通ありえない。とくに日本のような高度に資本主義が発達した社会においてそんなことがあるか。このことから4を誤りとする。離村者が林地を手放すことはあるだろう。山村を捨て、都市に出て仕事を探す。その際、自分が持っていた農地や林地は誰かに売り払ってしまうだろう。たとえそれが安い額だったとしてもタダよりはマシである。いずれかの農家や不動産業者の手に渡るのだろうから、それが国有林となるとは考えられない。私有地(私有林)となるはず。

実際に、国有林の面積割合は減少している。国有林が民間に売却され、私有林になるところが多いそうである。これは自由な資本主義経済を掲げる国としては当たり前のことやね。国ではなく、民間が経済を動かしているのだ。

 

第3問 新課程の、しかも地理Bの問題としてはやや奇異な印象を受ける。ジャンル(集落を取り上げている!)にしても、設問にしても(地名や歴史的な知識が問われている)、地理Bの問題としてはやや特殊といわざるを得ない。とはいうものの、新課程導入初年度の追試験ということで、そう神経質に考えることはないだろう。

問1と問2が難しい。問3は容易。問4や問6は中学レベルの知識なんだが。問5はなんとかこなしてくれ。問7も選択肢が極端なのでカンでも正解できると思う。2問ロスで抑えたいところだが、3問ロスは覚悟かな。

 

問1 ちょっと難しいと思う。せめて誤り選択問題だったら。

選択肢4の判定が最も簡単。タウンシップ制の農村や屯田兵集落は散村形態。平和な時代であり、防御機能を優先させる必要がない。開拓に有利な(耕地を自宅周辺に設けることができる)散村となった。

さらにちょっと勉強している者なら選択肢1も除外できる。歴史的な事柄を尋ねているのだが、「ローマ」ではなく「中国」の誤り。平城京や平安京は古代中国の都の形状を真似てつくられたもの。中学の歴史の授業で習うことなんじゃないかな。でも、決して「地理」的な話題ではないし、ちょっと厳しいと思う。類題も新課程導入以降は見当たらない。

というわけで、4と1は外せるのだが(1は厳しいかな)、残りの2と3については全く不明。

2;まず2について。「円村」に関するネタは初出だし、もちろんこれ以降も出題されていない。今回がたった一回の出題例。「環濠集落」も同様。ともに外れ選択肢として言葉だけ登場している例はいくつかあるが、その内容についての知識が問われているわけではない。というわけで全くわからないのだが。

ただし、環濠集落は濠(ほり)を周りにめぐらせた集落という意味だろう。この集落が奈良時代にさかんにつくられた(奈良盆地に多いということはこの地域が栄えた奈良時代を中心とした時期につくられたということだろう)ことを考えると、この集落は防御機能を主としてつくられたものなのではないか。奈良時代は古代に属し、治安も悪い危険な時代である。そもそも濠っていうのは、外部の敵から内部を守る際に設けるものだ。これが祭礼用だとは思えない。

円村は全然わからないけどね。

というわけで実は2も誤りなのだ。消去法により3が正文。

中世というのは戦乱の時代。都市の商人たちは自分の身を守るために、その地域の領主の手から独立し、都市の自治を始めた。豊富な資金で都市の防御を固め(日本なら堀など。ヨーロッパでは壁など)、兵隊を雇って外部の勢力に対抗した。日本では堺が有名、ヨーロッパではハンザ同盟都市が有名。ハンザ同盟都市はドイツやバルト海沿岸にたくさんあるのだが、その代表的な例は問2にも登場するハンブルク。

 

問2 新課程の問題としては例外的な存在。地名・都市名が問われている。

1;元ネタは95本第2問問1。ここではエスチュアリーとよばれる地形が出題の対象となっている。「三角江」のことで、河口部分がラッパの形に沈降したもの。水深が十分であるので、天然の良港となる。リアス式海岸やフィヨルドのように急峻な地形が沈降したものではないので、平地に恵まれ大都市が立地しやすいという特徴がある。つまり後背地(背後の平野)が広いのだ。このように「良港+大都市」という実はかなり珍しい組み合わせが成立する点でエスチュアリーは貴重となる。

日本の重要港は、横浜・神戸・長崎などいずれも山地が海に迫った都市にあり、これは水深の深さが良港の成立条件として最優先項目であることと符合している(ちなみに東京港や大阪港は海岸線を埋め立てることによって成立したものであり、天然の地形として港湾に恵まれていたとはいえない。しかもともに貨物取り扱いにおいて、より人口規模の小さい横浜港や神戸港よりも、少ない額にとどまっている)。世界的に見ても、ナポリ・アルジェ・サンフランシスコ・リオデジャネイロ・シドニーなど、良港として有名なところはいずれも「坂の町」であり、斜面に市街地がへばりついている。

これと対照的なものとして知っておいてほしいのがエスチュアリーに立地した都市。ここは河口部分だけが沈降し、深い水域となり天然の良港となったので、その背後に広大な平地が広がることとなる。つまり「大都市でありながら重要な港湾」という一見矛盾するような都市が成立できるのである。その代表例はテムズ川沿いのロンドン。ロンドンはヨーロッパ最大の人口を持つ大都市の一つであると同時に、イギリス最大の貿易港を持つ。

それ以外のエスチュアリーの代表的な都市は、本問でも取り上げられているエルベ川河口のハンブルク(ドイツ)や、ラプラタ川河口のブエノスアイレス(アルゼンチン)とモンテビデオ(ウルグアイ)。

せっかくだからエルベ川について知っておくかい?チェコからドイツに流れる国際河川。河口のエスチュアリーに位置するハンブルクは中世の自治都市(ハンザ同盟都市という)で現在は造船などがさかん。

2;関連問題は98B追第3問問1。フランスの首都パリはセーヌ川の川中島であるシテ島を中心に成立した。旧課程時代は出題されていないネタであるが「パリ=セーヌ川」という組み合わせは比較的有名であるので、知っているべきということか。

3;ドナウ川自体センター試験にはほとんど取り上げられない。それに沿う都市名なんて、まさか問われるなんて思わなかった。しかもウィーンっていう都市はオーストリアの首都なのだが、このオーストリアという国がまたセンター試験に登場しない国の代表例。

国際河川(複数の国を流れ、沿岸国の自由航行が許されている河川)として重要なドナウ川沿いにはいくつかの国の首都が立地する。ウィーン(オーストリア)、ブラチスラバ(スロバキア)、ブダペスト(ハンガリー)、ベオグラード(ユーゴスラビア)。このネタは私大の問題ではよく出てくるんやけどね、やっぱりセンターの問題としてはちょっとありえないパターンかな。

以上より、消去法により4が正解。ミュンヘンはドイツの最南部でアルプス山脈に隣接する都市。ライン川はドイツ・スイス国境を水源とするが西方に進路をとり、ミュンヘンはその流域にも含まれない。

 

問3 奈良を当てるのだから容易かな。奈良市は奈良県の県庁所在地なのだが、「郊外」の特徴が表れる代表的な県。よって奈良市も「郊外」であると考える。

01B追第2問問1参照。東京の郊外である横浜市の昼間人口割合は低い(100%に満たない)。02B本第5問問6参照。大阪の郊外である宝塚市の昼間人口は夜間人口より小さい。

このように郊外の都市の最大の特徴は、都心へと労働力を供給する立場にあるということ。奈良市は大阪市の都市圏に含まれ、それはつまり通勤圏ということ。

以上より、昼夜間人口比率が100を下回る4が奈良市に該当。人口増加割合が高い(6.6%)であることも、4が郊外の市であると判断する手がかりになるだろう。

さらに表を参照していこう。「人口増加割合」は、郊外や地方中枢都市でとくに大きくなる。「昼夜間人口割合」は、都心や地方中枢都市で100%を超える。この2点がとくに重要。

「第1次産業人口割合」はよくわからん。都市では農業が発達しないので、原則として、この値は都市部で低いと考えていいのかもしれない。でもよくわからないし、このデータは無視しよう。

「工業出荷額」の大小は全く手がかりとならない。都市と工業は全く関係がない。このデータも無視。修正液で消すか、ペンで黒く塗りつぶしておくように(笑)。

「銀行の本・支店数」は経済に関する指標。都市では商業やサービス業が発達する。とくにその地方の中心的な役割を果たす都市(地方中枢都市)ではその傾向が強い。第3次産業人口割合も高くなる。

以上より、「銀行の本・支店数」のとくに多い2が、北陸地方(新潟県・富山県・石川県・福井県)の地方中枢都市である金沢市である。北陸地方の金はこの街に集まる。

1と3は判定不要。っていうか判定不能。

 

問4 これもかなり変わった問題。知らない人は全然知らない。地元の住民には有利やけどね。まあ、こんな問題もあるっていうことで我慢してね。

答は4。ほとんど全ての都道府県で、人口1位の都市と県庁所在都市は一致している。その極めて稀な例が、福島・三重・山口。そして埼玉(当時)と静岡。

福島県では県庁所在都市の福島市より、いわき市や郡山市の方が人口が大きい。同じく三重県では津市より四日市市や鈴鹿市の方が、静岡県では静岡市より浜松市の方が、山口県では山口市より下関市や宇部市の方が、それぞれ大規模な人口を持つ。埼玉県の県庁所在都市は浦和市であり、川口市など浦和市より大きな人口を抱える都市は存在する。しかし近年、浦和市と周囲の都市(大宮市と与野市)が合併し「さいたま市」と名称が変更。人口規模は100万人を超え、県内人口最大都市となった。

 

問5 人口ピラミッドは底辺だけを見よ。全体の形に惑わされるな。

人口ピラミッドの底辺は「0~5歳」の子供の数を表しているのだが、つまり出生率と対応するものであると考える。出生率と人口増加率には密接な関係がある(おおよそ、比例すると考えていいだろう)のだから、人口ピラミッドの底辺の長さを見れば、人口増加率がうかがい知れるということ。

1930年から現在の日本は、順調(?)に人口増加割合を低下させ続けている。つまり出生率が下がり続けているわけで、人口ピラミッドの底辺の長さも次第に短くなりつつあるということ。

つまり最も底辺の短い4が最も最近の人口ピラミッド(1990年)となり、次いで短い1が1970年となる。

残った2つについては、底辺の長さにほとんど差異がないので判定は難しい。どちらかといえば、より長い(微妙な違いであるが)4が最も古い時期のもの、つまり1930年と仮定してみよう。というわけで、2が1950年とする。

で、ここからは底辺意外の場所にも注目していく。2と4のピラミッドの大きな違いは何か。それは2における左右のバランスだろう。「25~30」「30~35」の階層における男性の割合がとくに低くなっている。これはどうしたことか。

これを「戦争の影響」と考えていいんじゃないかな。1950年といえば、太平洋戦争(1941~1945年)直後の時期であるし、その傷跡も生々しい。兵隊として戦場に赴き、そこで若い命を散らせた20代の男性ってかなり多かったんじゃないか。1950年の25歳から35歳の男性は、1945年の段階での20代だったわけで、全人口におけるこの階層の割合の低さっていうのは容易に戦争と結びつけて考えることができるだろう。ちなみに1970年は45歳から50歳の割合が低く、1990年は65歳から70歳の階層がやや低いようであるし(ともに1と2の人口ピラミッドを参照)、戦争の影響は20世紀末期にも及んでいることがわかる。

 

問6 特殊な問題。人口の大きな都市を知っておかなくてはいけない。

1は百万都市が2つある(福岡市130万人、北九州市100万人)九州。2は広島(110万人)が人口最大都市の中国。3は仙台のある東北。とくに人口の大きな都市のない4が四国。

 

問7 おもしろい計算問題。

まずは問題文をしっかり読むことから始める。本問においては何を答えることが我々に求められているのか。

「過疎地域全体の人口が、日本の全人口に占める割合」を求めなくてはいけない。日本全体の人口は、1.25億人。では過疎地域全体の人口は?

問題文では過疎地域の人口密度が示されている(45人/平方キロ)。これを手がかりにその人口を求める手段はないか。

(人口÷面積=人口密度)であるので、(人口=人口密度×面積)となる。

つまり、(過疎地域の人口=過疎地域の人口密度×過疎地域の面積)である。このうち、過疎地域の人口密度の値は45で明らかなので、あとは過疎地域の面積がわかればいい。

ここで図3参照。黒地は過疎地域の市町村である。この図より、その面積を判定してみよう。日本の面積は38万平方キロ(これは人口とともに絶対に知っておかなくてはいけないデータ)。それを元に黒地部分の面積を推量してみると、おおよそ国土の半分くらいだろうか。というわけで、19万平方キロ。しかし19ではいかにも半端なので、20万に切り上げてしまおう。(過疎地域の面積=20万平方キロ)を先ほどの式に代入。

(45×20万=900万)となり、つまり過疎地域の人口は900万人と考えていい。これの、日本全人口に対する割合を求める。(900万÷1.25億=0.072)である。よって2の6.5%が近似値となる。

 

第4問 河川をテーマとした地形図問題。川の流れを見極めるパターンは非常によく出題される。問1は片方はわかるが、もう1つはわからない。問2以降は簡単だと思う。ただし時間がかかる問題が多い(特に問3)ようなので、時間を掛けすぎないで適当にやるということも重要。1問あるいは2問ロスで乗り切る。

 

問1 ちょっとやっかいな問題である。2問あるうちの1つは捨て問とするしかないかも。

1;天井川の判定。河床面の標高が周囲より高ければ天井川。

97B本第4問図2参照。中北付近の三角点の標高は「9.5」m。そのやや上を通過し、K・L川(2つの河川が合流しているので便宜上このような名称にする)方向に向かう等高線がある。これはおそらく標高10mを表していると思われる。ここで、K・L川に直交し「9.5」を通過する直線を引いてみよう。そしてその断面図を考える。K・L川の河床(川の水が通常の状態で流れているとして、その水面の標高)は10mの等高線より高いところを通過しているわけで、もちろん「9.5」より高い。これは天井川である。このように、断面図を描いてみて、河床が周囲より高いことが確認できればそれが天井川である。

問題に戻ろう。図1の場合、等高線がそれほどはっきり描かれているわけではないので、かなり苦労する。それでも何ヶ所か見つかるんじゃないかな。富士見橋の下方に「20」がある。そこからやや東方に「15.0」という点がある。どうかな?土手をはさんで、土手の外側の標高が内側(つまり河床と考えていいだろう)より低い。微妙ではあるけれど、一応、天井川とみなす材料ではある。これ以外にもいろいろあると思うんで探してみよう(僕はよくわからんけど・笑)。

2;大井川港の周囲は「直線と点々」によって囲まれている。これは「垂直の壁」の印であり、このような地形が天然のものである可能性は低いと思う。人工的な地形なのではないか。コンクリートでガチガチに固めた岸壁のようなものだと思われるので、「砂州によって形成された潟湖をそのまま利用」してはいないだろう。

ちなみに砂州というのは、浅い海底に土砂が堆積し陸地となったもの。潟湖というのは、砂州によって海から切り離されて形成された湖。北海道のサロマ湖など。塩水と淡水が入り混じったような湖水となる。

3;大井川港から北東に向かい針葉樹が一列に整然と並んでいる。これは「防風林」「防砂林」「防雪林」など。よくわからんが、少なくとも「防砂林」の可能性もあるわけで、本選択肢は誤りとは断定できない。よく見ると海岸線に点々が描かれており、これは砂浜海岸なわけで、ここから風などによって飛ばされてくる砂を防ぐための防砂林と考えるのが最も無難かな。

5;これはそのまま「新田」という地名を探せばいい。あるいは「新開」という地名。近世(江戸時代)に開発された新しい耕地は新田とよばれ、それに伴う集落を新田集落という。正方形・長方形の計画的な耕地の開発が特徴。よく見ると「九左衛門神殿」や「高新田」などの地名がみられる。

以上より、1・3・5が正文で、2が誤文となる。

4についてはよくわからん。「吉田町」と書かれている辺りに溜池のようなものがたくさんあるんだが。でもこれはよく見ると、周囲が「垂直の壁」によって囲まれている。溜池というよりプールみたいなもんだろう。それに灌漑用ならば溜池を囲むように水田が存在しなくてはいけない。ここは池ばかりであって、これが全て灌漑用溜池ならばいくら何でも多すぎる。実はこれはウナギ養殖用の池なんやなあ(涙)。でもそんなん全然わからんよね。この選択肢4については、消去法で誤文と判断するしかないよ。捨て問にするしかない。

 

問2 最も上流を探すということは最も標高の高いものを探せばいいのだが、それではよくわからないかな。図中のどこかに標高が書いてあるといいんだが、それも見当たらない。

というわけで、ここでは河川の侵食の様子から標高を推測するしかない。

標高の高いところでは河川の侵食する作用が強いため、深い谷を刻む。V字谷である。図2のbにおける谷の様子を想像してみてほしい。等高線はかなり密であり、深い谷を刻んでいることがわかる。a・c・dで見られるような川の流れに沿った低平な部分(河原に当たる部分)は、bにはない。bの河川は侵食作用がとくに活発であると考え、これが最も上流に位置すると判断する。

(さらに)bでは下方侵食のみが行われていると考える。垂直方向にのみ、大地が侵食され、水平方向には削られていない。それに対し、a・c・dでは下方侵食に加えて側方侵食も行われているようだ。下方侵食によって、山地の急斜面は形成される。しかし下方侵食がある程度落ち着くと、今度は河川は横の方向に侵食を始める。つまり、川幅を広げる方向に土地を削っていくということ。a・c・dは河原の部分が広くなっているが、これは川の流れによって横向きに侵食された結果。

ちなみにa・c・dはどれが上流でどれが下流かはわからない。いいやんな、わからんくて(笑)。

 

問3 1;低地というのだから、河川沿いの低平な地形を見る。そこに果樹園はあるか?

2;「段丘」とは階段状の地形のこと。急斜面とやや平坦な土地(あるいは緩やかな斜面)が組み合わさったもの。この急斜面を「段丘崖」、やや平坦な土地を「段丘面」という。

a参照。ここには段丘がみられる。YとXの間の等高線の密な部分が段丘崖。Xが段丘面。XからAにかけて再び斜面。

c参照。「小井平」の部分が段丘面。

d参照。河川からDに向かって進むと、段丘面に茶畑が開かれている。

3;「電力を多量に使用する」工業とは何だろうか。アルミニウム精製業であろう。現在の日本ではアルミニウム工業は1ヶ所を除いて衰退した。その1ヶ所にしても海岸沿いにある。原料のボーキサイトを完全に輸入に頼っているからである。こんな山間部にアルミニウムの工場があるわけがない。

ここでcの図を見る。一見「工場」に見える地図記号があるが、実はこれは「発電所・変電所」なのだ。

4;「寺院」や「墓地」の地図記号はわかるかな。

5;a・c・dでそれぞれ「茶」の土地利用記号を探してみよう。それぞれ段丘面に茶畑がみられる。茶はこのような水はけのよい小高い土地で栽培されるものである。

以上より、1は完全に誤り、2は正文と考えられ、3は誤り、5は正しい。よって解答は1と3。

ちなみに4については判定するまでもなく正文と考えていいだろう。d参照。「抜里」の集落を探す。その東に小高い丘がある(等高線が閉曲線になっているので、わかりやすいだろう)。茶畑は確認できるね。ここにある縦の棒の下に短い線がくっついた記号が「墓地」なのかな?って思う。

 

問4 縮尺はわかっているのだから(問2で「2万5千文の1」と述べられている)、あとは単純に等高線の数を数えたらいい。ちなみに2万5千分の1の地形図における等高線の間隔は10m。

 

問5 断面図の問題。よく出る問題なので、解くパターンを決めておくといい。

僕ならまず両端の標高を測る。図3ならば、左端と右端の標高を調べてそれを地形図に当てはめる。しかし、残念ながら図3では標高は全く表されていない。ただし、両端の比高(相対的な高さ)はわかる。左端の方が右端よりも低い。これだけでもヒントにはできるんじゃないか。

a参照。等高線の混み具合から、Aの方がA´より低いような感じがするんだが。ただしはっきりとしないのでとりあえず保留。

b参照。これは等高線がグチャグチャしずぎていてBの標高もB´もわからない。保留。

c参照。これも何となくなんだけれど、Cの方が高そうなんやなあ。どうかな。C´はたしかに丘の上にあるけれどそれほど等高線が密というわけではない。とりあえず保留。

d参照。これはDの方が低そうに見える。D´はかなり等高線の密な斜面上にあるし。どうだろう?これが最も図3の断面図に近いといえるんじゃないかな。でもこれだけでははっきりしないので、さらに検討していこう。

次の段階として河川を探す。断面図問題っていうのは、なぜか河川を横切っているものが多く、01B追第3問問1はその例。本問もa~dいずれの地形図においても河川(グレーに着色されているのでわかりやすい)が中央を流れておりこれが手がかりとなる。

断面図(図3)において河川を探してみよう。微妙にへこんでいる箇所を探せばいい。中央よりやや右に寄っているへこみが河川のようだ。

a参照。河川はA―A´のほぼ中央ではあるが、ややA´側に寄っている。これは断面図と一致する。

b参照。河川はB´に寄っている。ちょっとこれでは寄り過ぎていて、断面図の河川の位置とはずれていると思う。

c参照。河川はほぼ中央を横切っているが、それでもややCの方に寄っているとみていいだろう。これでは断面図とは適合しない。

d参照。ほぼ中央であるが、ややD´寄り。断面図と合致。

さらに突き詰めていこう。ここで僕が目をつけたのが、断面図における微妙な盛り上がり。河川を表していると思われるへこみと、左端(1250m)のほぼ中間地点。「茶畑」と「水田」の土地利用記号の間に挟まれたところがわずかに盛り上がっているのがわかるだろうか。これは地形図においてはどのように表されているか。ここで注目してほしいのはd。河川とD´の間に鉄道がみられ、それが盛り上がった地形のところを通っている。長い線に、虫の足のように短い線がたくさんくっついている。この短い線は斜面を表す。長い線の部分が高いところを示し、そこから短い斜面が降りているわけだ。僕はこのもようのことを「斜面の印」とよんでいるのだが、これがポイントになる場合って意外と多い。地形を立体視する時の重要な目安になる。

 

第5問 ヨーロッパ地誌。問1問2は知識問題であるが、それほど難しくない。問3以降も容易。全問正解を狙ってほしい。

 

問1 極めて珍しい!?小地形に関する問題。しかもその名称となる地理用語を問うている点も珍しい。

ただしこの問には完全に元ネタがある。

1のカルデラは阿蘇山に見られるもので、中学地理に登場。3のドリーネは石灰岩地形(カルスト地形)の表面にできる小さな凹地。98B本第4問問2選択肢4参照。ワジについては出題例なし。乾燥地域の涸れ川。日本にはない。

 

問2 これも特殊。山脈名を問うている。97B本第5問問3では砂漠名が問われているが、それと類似している。ただしそちらが容易な問題(まさかサハラ砂漠を知らない人はいないだろう)であったのに対し、本問はやや難しい部類に入るかも。

ピレネーはフランスとスペインの国境ともなる急峻な山脈。他のヨーロッパ南部の山脈と同様、新期造山帯に属する。

他はいずれもヨーロッパの北半分に位置する。低くなだらかな山容を持つ。

ウラル山脈はロシアのヨーロッパ部分とシベリアとを隔てる巨大な山地。

スカンディナビア山脈はスカンディナビア半島を貫く。ノルウェーとスウェーデンの境。ノルウェー側は氷河によって侵食されたU字谷が沈降したフィヨルド海岸となっており、山地が海に迫っているため(低い山容でありながら)急斜面となっている。このためノルウェーには短い急勾配の河川が多く、水力発電がさかんに行われている。00B追第2問問2選択肢3参照。

ペニン山脈はイギリスを縦断する。かつては石炭で栄えたが現在では閉山になっているものが多い。

 

問3 熱帯低気圧の問題って実は意外と多い。00B追第3問問4、99B追第4問問1選択肢4など。

緯度10~20度くらいの海上で発生し、発達しながら高緯度方向に移動し、緯度20~30度くらいの海岸地域に上陸。風雨や高潮の被害をもたらす。

台風を例にとれば、フィリピン海や南シナ海で発生し、進路を北にとり、華南や沖縄諸島、日本列島南部に上陸する。

ヨーロッパはそのほとんどが北緯40度よりも高緯度に位置するので、熱帯低気圧が来襲するとは思えない。ちなみにハリケーンは北米大陸における熱帯低気圧の呼び名。

 

問4 オリーブの栽培限界については00B追第5問問2で出題されている。図3において、オリーブの栽培地域の北限は3の線で表されている。地中海沿岸地域限定の作物である。統計も確認しておくといい。生産1位のイタリア、2位のスペインを始め、ほとんどの国が地中海沿岸国である。

1;沖積平野とは河川沿いの低地のこと。イタリア半島の付け根のパダノベネタ平野が沖積平野の代表例なので、地図で見てその雰囲気を目で味わっておくといい。ポー川という河川沿いに形成された平野。

世界的な沖積平野としてはガンジス川沿いのインド北部の低地(ヒンドスタン平原)が挙げられる。日本の平野の多くもこの沖積平野に分類される。名古屋を中心とする濃尾平野や、大阪を中心とする大阪平野などが代表例。前者は、揖斐(いび)・長良(ながら)川・木曽川などによって形成、後者は淀川によって形成。ちなみに東京を中心とした関東平野は低地よりも台地の割合が高く、沖積平野ではない。

図1の黒地部分はとくに川に沿っているわけでもなさそうなので、沖積平野には該当しない。

3;カナートはイランでの、フォガラは北アフリカでの、それぞれ地下水路の呼び方。山地付近の地下水をふもとの集落へと導水する灌漑施設。乾燥帯でみられるものであり、地中海性気候(温帯である)とは関係ない。

4;樹木は大きく「針葉樹」「落葉広葉樹」「常緑広葉樹」の3種類に分けられる。冷帯地域では主に針葉樹がみられ、熱帯地域の樹木の多くは常緑広葉樹。温帯地域にはさまざまなタイプの樹林が分布する。熱帯地域でも高原や高山では落葉広葉樹や針葉樹がみられることがある。

この3つの分類を頭に入れておいてから、さらに「硬葉樹」「照葉樹」という言い方も知る。ともに常緑広葉樹に属するもの。前者は地中海性気候の地域に分布するオリーブなどの低木のこと。後者については、華南から西日本一帯を照葉樹林帯ということを知っておくといいだろう。ツバキや茶などが照葉樹の代表。

図1の黒地は硬葉樹林の分布地域とほぼ一致しているようである。しかしこれは常緑広葉樹の仲間であり、落葉広葉樹ではない。

以上より2が正解。地中海沿岸地域には石灰岩がとくに分布する。石灰岩の風化土壌であるテラロッサ。石灰岩地形である鍾乳洞などで有名なスロベニアのカルスト地方。石灰岩を利用した白い壁の家々は地中海の青さとあいまって観光客を引き付ける。建築用材としての樹林に恵まれない地域でもあるのだ。

 

問5 珍しいパターンの問題。新課程になってケッペンの気候区分はまったく出題されていないのだが、この地中海性気候だけは例外的。02年ではローマの気候グラフが出題され、地理Aでもかつてケープタウンの気候・農業について問われたことがある。

もちろんここでは単純に地中海性気候を表すグラフを選べばいい。高日季(夏季)には中緯度高圧帯の影響によって少雨となり、低日季(冬季)には偏西風や寒帯前線の影響により湿潤となる。

 

問6 酸性雨についての類題は99B本第1問問5など。

地理Bの問題をスムーズに解くコツとしては国名にあまりこだわらない方がいい。本問などはその典型例。国名を外して考えてみよう。

1;酸性雨によって湖の魚が死滅する。酸性度が上がって、生態系が破壊されることもあるだろう。

2;酸性雨によって立ち枯れとなる。土質が過剰な酸性となってしまい、植物の生育に適さなくなることもあるだろう。

3;建物や彫刻が溶ける。これは石灰岩を利用した建造物が多い地中海沿岸地域でとくに深刻な現象かな。酸性雨に含まれているのは(ごく少量の)硫酸と硝酸。石灰岩と化学反応する。つまり、溶かしてしまう。

酸性雨と全く関係ないのが3。酸性雨は薄い硫酸あるいは硝酸。人体に触れてとくに影響があるものではない。選択肢1や2のように、湖水や土壌に蓄積されることによって初めてその化学的性質を変化させてしまうこととなる。

 

問7 酸性雨の影響が強い地域としては、ヨーロッパ北部・北米五大湖沿岸・中国などが挙げられる。

1;熱帯林の現象が深刻な地域。

3;砂漠化の進行が深刻な地域。

4;紫外線の放射量が多く、皮膚ガンなどへの影響が懸念される地域。人工的に作り出した物質フロンの影響で、南極上空にはオゾン層の巨大な穴(オゾンホール)がある。オゾンには太陽からの紫外線を防ぐ役割があるのだが、これが失われることにより地上にまで強力な紫外線が及ぶこととなる。ニュージーランドやオーストラリアでは、人々はサングラスが必須で、日光浴も制限される。

表示:PC