たつじん先生の共通テスト(センター試験)地理解説!楽しく勉強していきましょう

1999年度地理B追試験解説

1999年地理B追試験

地形図地獄!地形図問題が多いだけでなく、そのバリエーションもかなり多く、地形図問題の博覧会。しかも手ごわい問題が並ぶ。とはいえ、難度が高い問題が並ぶということは、かえってここでは得点に差は生まれないということ。みんなできなければ同じこと。地形図問題以外で易問が多いので、平均点もそれほどヤバイことにはなっていないはず。

 

第1問 この回の試験は第1回から第3回が比較的難しくて、第4問・第5問は簡単という傾向がはっきりしている。第1問については、問1がやや難しく、問2はかなりの難問。問3は必ずゲット(っていうか、ここでしっかり得点しておかないとキツイ)。問4・問5・問6は厳しいな。

3問ロスは覚悟しないといけない。問1を2つとも落とすとしんどいかな。

 

問1 降水量と流量がともに示された複合的なグラフが出ていてややこしい。基本的には降水量で見ていくのがいいだろう。

問題文参照。5つの河川の名称が登場。マイナーな河川も混じっており手こずりそうだが、図1の世界図に全て位置が示されており、それが大きなヒントになっている。

さらに問題文を読んでいく。「中流域における降水量と流量」とある。それぞれの河川の中流域について具体的にとらえていかなければいけない。

アマゾン川について。赤道直下の熱帯地域である。

コロラド川はどうか。上流域はロッキー山脈の険しい山々であるが、中下流域は降水量が少なそうだ。

シャリ川はアフリカに位置する。サハラ砂漠の南側のサヘル地帯というところだろう。ここはステップという草原が広がる地域。雨季乾季のはっきりとした気候がみられる。

レナ川は冷帯地域を流れる。寒冷な地域であり、降水量は多くはなさそうだ。流量については、冬季凍結の影響がどのように作用するかがポイントとなる。

ロアール川は西ヨーロッパの河川。一年を通じ偏西風の影響を受けるため気候の変化が小さい。降水量の季節的変化も少ないだろう。

このことを念頭において問題を解いていく。

西ヨーロッパの河川であるロアール川の判定が容易だろう。偏西風が吹き込み、さらに海洋からの影響も強い気候であるので、降水量の変化は少ない。3が該当するとみていいだろう。流量の変化は多少あるようだが、冬季に多いのはロアール川の水源が南ヨーロッパにあり、この水源および上流域では夏季少雨・冬季湿潤の地中海性気候がみられることと関係あるのではないか。そう考えればとくに矛盾はない。

次にアマゾン川。降水量が多く、それに伴い流量も大きいグラフを選択する。1が該当。降水量の変化が大きいものの。少ない時季(8月くらい)でも100ミリ以上の降水はあるわけで、これなら乾季というわけでもないだろう。年中湿潤な気候がみられる熱帯地域である。年間降水量は示されていないが、グラフから判断して、2000ミリ以上降っているんじゃないかな。これはかなり雨が多い。

流量はなぜか、雨の少なめの時季に水量豊かで、降水量と反対のパターン。何でだろう?アマゾン川の源流はペルー国内のアンデス山中に発し、非常に広大な流域面積を誇っているが、水源や上流域での降水の多少と関係あるのだろうか。よくわからないが。

シャリ川中流域は雨季乾季のはっきりした気候と推測できるので、2が該当するだろう。流量の変化も大きいようだが、とくに考慮しなくていいかな。

レナ川の最大の特徴は寒冷地域を流れていることだろう。こういったところを流れている川は、春季・初夏季の水量変化が大きい。4が該当するだろう。6月の流量が極端に多い。シベリアの氷解は遅い。春と初夏が一気にやってくる。それが6月。この時期に水量が増加するのは融氷期と一致しているからである。

残った5がコロラド川。代表的な外来河川(湿潤地域に水源を持ち、乾燥地域を流れる川)であり、その中流域では降水量がかなり少ない。

 

問2 こりゃ難問か?バングラデシュの首都名を知らなくてはいけない。

誤りは2。この国の首都はダッカである。図でみる限り、ダッカは台地のふもとにあり、山地ではない。

1;南西モンスーンは夏季の季節風。温暖で水分をたっぷりと含んだ風が吹きつけ、南アジアは雨季に入る。200キロ以上内陸であっても海抜10メートルに達しないところが広がっており、水没の危険性があるかもしれない。

3;図では稲の種類までは示されていないのだが。例えば標高のとくに低いところでは浮稲が植えられているかもしれない。通常の低地では普通の水稲が栽培されているのでは。

4;インド洋で発生する熱帯低気圧がサイクロン。低気圧による海面上昇を高潮というが、標高の低い海岸地区でとくにこの災害のおそれがある。

サイクロンに類する言葉として台風やハリケーンがあるが、前者は北東太平洋地域、後者は米国周辺で、それぞれ発生する熱帯低気圧の名称である。

高潮と対照的な言葉として津波がある。津波は海底地震によって発生する高波であり、海底を波動が伝わっている間は海面には何の変化もみられないのだが、それが陸地に達した瞬間、巨大な水柱が沿岸を襲う。バングラデシュのような遠浅の三角州海岸では波動エネルギーが拡散されるので巨大な津波は発生しない。リアス式海岸のような深い入り江こそ、エネルギーが一点に集中するので被害は甚大となる。それにそもそもバングラデシュの近海は地震の発生域でもない。

 

問3 地形の問題。ヨーロッパの地形は「北で緩やか、南で急峻」で頭にインプットしておく。

ヨーロッパ北半分の主な地形は、安定陸塊(平原)と古期造山帯(丘陵)。全体になだらかな地形となっており、河川の流れも緩やか。内陸水運が発達する。

ヨーロッパ南半分には多くの新期造山帯による急峻な山岳が連なる。河川の流れは急となり、河川や運河を利用した交通はあまりみられない。

(おまけ)ヨーロッパ北半分で唯一、急流がみられるのがノルウェー。とはいえ、ここも山地に海が迫っているから急流となるだけで、山地が急峻というわけでもない。

(おまけ2)フランス北部・イギリス・オランダ・ドイツなどで内陸水運がさかんな理由としては前述の地形の影響が大きいが、さらに気候の影響もある。一年を通じ偏西風が一定に吹き続けるため、降水の変化が小さく、河川の渇水期がない(最大流量と最小流量の比を河況係数というが、この値が1:1に近くなる)。水量が一定に保たれていることも船舶の通行には好都合。これに対し、南ヨーロッパでは夏季に北上してくる中緯度高圧帯の影響で少雨となり、河川流量も少なくなる。これではスムーズな航行は保障されない。

問題に戻る。候補の3つの河川を図で確認。テムズ川とライン川がヨーロッパ北半分の川、ローヌ川が南半分。

X・Y・Zの文章に注目。ポイントは「自然」に関するキーワードを探すこと。地形や気候に関すること。農業でも構わない。こういった自然に関するキーワードは長い年月をかけても変化することが少なく、信用に値する。それに対し、「人文」キーワード(民族や宗教など)や「社会」キーワード(鉱工業や都市、貿易など)は、所詮は人間の手によるものであり信用できるものではない。

よって本問においても、自然地理的なキーワードを最優先で確認していく。Xの「やや急流」、Y「緩やかな流れ」、Z「勾配が緩やか」に注目。

この時点で、Xがヨーロッパ南部を流れるローヌ川であることがわかる。

YとZは地形からは判定しにくいので、それ以外の部分をヒントにする。一番わかりやすいのはYの「炭田」かな。それに「大工業地帯」も加えて考えてもいい。炭田はルール炭田であり、大工業地帯もルール工業地帯である。巨大な炭田上に立地したヨーロッパ最大の重工業地帯で、ライン川の水運を利用した鉄鋼業が中心。この程度は中学レベルでも登場すること。あるいは単に「ドイツ=ヨーロッパの工業の中心」あるいは「ドイツ=石炭」っていう知識だけから解くことも可能(つまりルールの名称を知らなくても解けるわけだ)。いずれにしろ、特別な知識を用いているわけではない。問題文をていねいに読んでいけば解答にたどりつく。

君たちに求められているのは「高度な知識」なのではなく「高度なテクニック」なのだ。スマートに問題を解くテクニックなんてクールやな。

 

問4 コロラド川に関する知識問題であるが、さすがにこれは無理。捨て問だろう。

誤文は3。サンフランシスコをロサンゼルスに改める。コロラド川という有名ではない川が問われている点で異色。知識問題である点で異色。サンフランシスコやロサンゼルスなど都市名がカギとなっている点で異色。

しかしそれにしても北アメリカを代表する川ならばミシシッピ川だろうし、それ以外にも有名は川がいくらでもある。では、それらの河川を差し置いて、なぜコロラド川が堂々主役の位置に躍り出たのか。そのカギとなる言葉は「外来河川」。乾燥地域を貫く河川で、付近の人々の生活を支える。センター試験は外来河川に関する問題が実に多い。コロラド川も、ロッキー山脈の湿潤な地域を水源に持ち、砂漠など乾燥地域を貫き太平洋に注ぎ込む外来河川。わざわざこの川が出題されるには確固とした理由があるのだ。

 

問5 ナイル川の出題はもちろん多い。世界最長の河川であるだけでなく、外来河川としても重要。古代エジプト文明の発祥は、砂漠の人々がナイル川の豊かな流水を管理し利用するために力を合わせたことにその由来がある。

ここではナイル川に建設されたダム(その名称をアスワンハイダムという)の功罪について問われている。

「功」の面について。とにかく洪水がなくなったこと。耕地整備がなされ、灌漑設備が充実し、農業の生産性が上昇した。穀物やナツメヤシの栽培だけでなく、綿花など商品作物の栽培もさかんに行われている。

「罪」について。洪水による肥沃土壌の供給がなくなったため、化学肥料の使用量が増加した。灌漑により農業生産が上昇した反面、過剰な灌漑によって塩害(土壌の塩性化)が進行している地域もある。寄生虫を媒介するカタツムリが、洪水によって死滅しないため、風土病が蔓延する。土壌が河口まで運ばれないため、三角州が縮小。養分が海に届かないため、沿岸での漁獲が不振となった。

以上の点を考慮して、選択肢を参照してみよう。

1&2;ダムの建設により洪水は起きにくくなった。

4;綿花生産が増加は正しい。しかし「モノカルチャー化が進行」がおかしい。モノカルチャーから多角化が世界の流れ。わざわざ不利なモノカルチャーを推し進めるわけがない。

消去法により3が残る。

 

問6 アマゾン川は可航河川。とくに複数の国にまたがり、沿岸国の自由航行が認められている河川を国際河川というが、アマゾン川はそれに該当する。ペルーが水源、ブラジルを貫き大西洋に注ぐ。

というわけで4が誤り。内陸部まで航行できるのだから、土砂が河床にたまったという事実はありえない。

1;熱帯雨林の植生をセルバということだけ知っておいてもいいかも。

2;国際河川アマゾン川中流の貿易都市マナウス。天然ゴムの原産地であることを押さえておきたい。

3;アマゾン流域は道路の開通とともに進行した。

 

第2問 非常に変わった大問。ジャンル的にどう区分すべきなのか。ノンジャンルの総合問題的であるところがおもしろい。いろいろな問題が含まれていて、この作成者はなかなかのテクニックを持っているなって感じ。革新的なことはいいことだ。

問1が用語を直接問う問題でありちょっと厳しい。問2以降はクセのある問題が並ぶが、ノーミスでクリアしてほしい。前述のように総合的な理解を求める問題が並んでいるので、解いていて楽しく思えてきたらベストなんだが。

 

問1 センター試験では極めて珍しいカタカナ言葉を問う問題。地理Aならばたまに見受けられるんだが。

2;ムラ-トとは黒人と白人の混血のこと。

3;メスチソはインディオと白人の混血。メスチソの割合が高い国の代表がメキシコ。

4;ワスプ(WASP)は米国のエリート階層。白人(ホワイト)・イギリス系(アングロサクソン)・キリスト教新教徒(プロテスタント)の頭文字をつなげたもの。ケネディとレーガンを除く米国大統領全員がワスプ階層に含まれるなど、米国の政治や社会の中心をなす。特権階級というほどではないが、一般に高学歴で有名企業に勤める。

よって消去法により1が正解。

 

問2 愛知県や神奈川県で円が大きいので単純に自動車工業と決めてしまっていい。

あるいはそれを知らなくても解けなくはない。90年代に入り、日系人に限り単純労働者であっても日本への入国・就業が認められることとなった。これにより急激に国内に増加した者がブラジル人。20世紀前半の時期を中心に日本からラテンアメリカなどに農業移民が流入したのだが、とくにブラジルに多かった。彼らが現地で国籍を取得し、さらに子孫を残したため、日本の血を引く(国籍は現地)日系人もとくにブラジルで多い。その影響で、近年国内に流入するブラジル人(というか日系ブラジル人)の数が急増した。

彼らが日本にやってくる理由。それはもちろん「金」。失業者にあふれ賃金水準も低い本国を脱し、仕事を探しやすく賃金水準も高い日本へとやってくる。彼らの就く職種はもちろん単純労働である製造業が中心となるのだが、それにしても一定の傾向がある。それについては選択肢を参照して考えよう。

3;資本集約工業であり、労働力を必要としない。わざわざ外国人の労働力に頼る必要はない。

2;労働集約工業ではあるが、知識(技術)集約の側面もある。単純労働者では作業しきれない。熟練労働者・専門労働者の力が必要となる。単純労働者として入国してきたブラジル人にそこまでの技術と知識はない。

4;労働集約工業。ただし価格の安いものであり、それほど儲かるものでもないんじゃないか。外国からの出稼ぎ労働者が率先して働きたがるだろうか。おおいに疑問。それにそもそも日本国内でせんい工業はそれほどさかんではない。かなり衰退している。せんい工業は中国など発展途上地域に移転してしまった。

1;労働集約工業で多くの労働力に依存する。自動車は価格の高い物であるし、これを製造することによって多くの利益が望めるのではないか。はるか地球の裏側からやってきた出稼ぎ労働者たちもこの仕事なら納得である。

 

問3 都市では必ずしも工業が発達してはいない。都市と工業は関係がない。

誤文は4。第2次産業就業者というのは工業労働者と考えていいだろう(日本国内には鉱業労働者はほとんどいない)。しかし「都市と工業は関係ない」のだから、大都市圏で第2次産業就業者割合が高いかどうかは不明。

1;ミカンは温暖な地域で取れる作物。ミカンに関する問題もしばしば出題されているので探してみるといい。ちなみにミカンの生産1位は愛媛県で2位は和歌山県。他にも九州の各県で生産がさかん。

2;これは人口密度を考えてみればいいだろう。北海道の方が土地に余裕がありそうな気がするね。ちなみに本州における農業従事者1人当たり農地面積は約1ヘクタール。北海道は約10ヘクタール。本問では「1人当たり農地」ではなく「1戸当たり耕地」に関する話であり、微妙に異なるが同じようなもんだと思ったらいい。耕地とは畑と水田のこと。農地とは耕地と果樹園と牧場を合計したもの。

3;「日照時間」なんていうとややこしいけれど、要するに太陽が照っている時間のこと、つまり晴れている時間。日本海側の冬は季節風の影響により雪雲に覆われやすく、くもりがち。晴れの日が少ない。逆に太平洋側は乾燥し、天気がいい。

4;第3次産業に改めるといい。都市とは商業やサービス業が発達し、金と情報が集まるところ。

 

問4 オーソドックスな地形図問題。

1;スキー場については97B本第1問問4参照。図2の中にいくつも存在している。「スキー場」って書いてあるからわかるんやけど、それ以外でもリフトが何本も走っているのが特徴的。リフトの地図記号(ホンマは索道っていうんやけどね。空中を走っているケーブルの意)を見ておくといい。直線に沿って、互い違いに▲と▼が描かれている。

問題にもどって、こちらの図2でリフトを探している。それらしき直線が85年の図の南端にみられるが、これは索道の記号ではない。送電線である。これも見ておくといい。

送電線については00B本第3問問1図1の97年の図がわかりやすい。北部に送電線が走っている。直線とそれをはさむように描かれた点々。

2;これは工場の地図記号を探す。

3;まず高速道路を探してみよう。図を横断するようにつくられている。道路の真ん中に点々が描かれているのは、有料道路を表す。山地部分ではほとんどトンネルの中だが、高下の辺りからトンネルの外に出る。「かみとの」と書かれたすぐ右下に道路が複雑になっている箇所があるが、これがインターチェンジだろう。

4;よくわからん。そもそもそんなに家屋の数も変わっていないようやし、少なくとも「温泉街」といえるようなものはできていないんちゃうかな。

以上より正文は3となる。

 

問5 なかなかおもしろい問題。「若者が移動する」というセオリー。

1;ブラジルには大土地所有制が残る。少数の地主が土地を独占し、自らは耕作を行わない。貧しい小作農が地主から土地を借りて農業を行うが、レンタル料を納めなくてはいけないので、自分の利益はごくわずか。地主は富み栄え、小作農は貧窮する。

ブラジルの農民のほとんどが小作農なので(農業労働者も小作農と同じ意味だろう)、都市へ流出する農民に小作農が多いのは当然。それに富裕な地主階級は都市に流入する必要がないだろう。

日本では戦後すぐに行われた農地改革によって大土地所有制は廃止された。土地を持たなかった小作農にも、土地が分け与えられ自作農となった。このように、日本にはそもそも小作人がいないと考えられるので、都市へ流出する農民が自作農中心になるのは当たり前。

2;農村から都市に人口が押し寄せる。多くの発展途上国では都市の周辺にスラムとよばれる低級住宅地がみられ、それは日々拡大していく。それに対し、日本にはスラムはない。

3;発展途上国の都市にはストリートチルドレンがいるんやね。

4;「若者が移動する」。古今東西、発展途上国であろうと先進国であろうと、農村から都市に向けて人口が移動するのは仕事と金を求め。労働者が中心となるので、若年層・壮年層が主に移動する。老年層ではない。彼らはそのまま居場所にとどまる。

 

問6 いきなり貿易統計問題の登場。ブラジルの統計は重要なのでしっかり押さえておくこと。

ブラジルはコーヒーの生産と輸出において今だに世界1位の座を動かないが、だからといってコーヒーモノカルチャーというわけではない。工業化が進展し、むしろコーヒーに依存する割合は低い。

主な輸出品は機械類・自動車・鉄鋼などの工業製品。自動車の伸びもかなりのものだが、ここではとくに鉄鋼を知っておきたい。ブラジルは世界的な鉄鉱生産国。この豊富な鉄鉱を原料として鉄鋼が精製されている。

(ここで一言コメント)なぜか質問が多いのが「鉄鉱と鉄鋼の違いについて」。え、こんなん簡単やん!辞書引いたらいいんちゃうん?とは思うんやけどね、実際。でもそれではあまりに不親切だから答をいうと、鉄鉱っていうのは鉄の鉱石。つまり鉄分を含んだ石ということ。鉄鉱石ともいう。鉄山からはこの鉄鉱という状態で採掘される。その鉄鉱を、高熱で溶かし(この熱源としては石炭が使用されるのが一般的。鉄鋼業に石炭が必要とされるのはそのせい)鉄分を取り出し固めたものが鉄鋼。つまり製品としての鉄。銅鉱と銅、ニッケル鉱とニッケル、ボーキサイトとアルミニウムの関係。つまり「鉄鉱」は鉱物であり、「鉄鋼」は工業製品などに使用される鉄のこと。それにしても、どうしてこんな質問が多いんかな?僕はこんなこと全然気にしたことなかったけどな。だって漢字を見れば鉄鉱が鉄の鉱石であることは明らかやん!?君たちは地理の力の前に国語の力をつけなくてはいけない。

 

第3問

地形図地獄。実にさまざまなパターンの地形図問題がこれでもか!って勢いで君に迫ってくる。やる気も失せる。地形図はただでさえ時間がかかって嫌なのに、ここに登場する問題のいくつかは難度も極めて高い。正直、全滅も覚悟しないといけない!?

難しいのが問2。問6も問題の意味がつかめないだろう。意味不明のまま解くなら跳ばした方が時間の節約になる。

問3はゲットするとして、問1と問4でいかに得点を稼ぐか。時間がかかりすぎるのが一番怖いのだが。トータルで3問ミスなら御の字だろう。

 

問1 この地形図判読はそれほど難しくない。ここは確実に得点をゲットしてほしい。

1;94年の図。「札の元町」付近で道路が断裂している。「水無川」をまたぐ橋も当然存在していたのだろうが、それも失われてしまったようだ。97年では道路、橋ともに修復されている。また97年の図では海岸部分に垂直の壁で囲まれた人工的な感じのする陸地があるが、この部分が造成された埋立地なのだろう。

2;河岸段丘というのは侵食地形。河川の侵食作用によって形成される。河川の侵食作用は一般には、流れの急な上流域でみられるものなので、このような緩やかな傾斜の土地でみられるものではない。

94年の図参照。水無川の左岸の集落とはどこか。川の流れる方向に向かって左手なので、天神元町や札の元町などが該当するだろう。たしかに火砕流の被害は免れたようであるが、はたしてこれらが位置するのは河岸段丘の上だろうか。97年B追第4問参照。図2のa・c・dには河岸段丘がよく現れている。等高線の密な部分(段丘崖をよばれる急斜面)と疎な部分(段丘面とよばれるほぼ平坦な緩斜面)の組み合わせによる階段状の地形が河岸段丘。

3;97年の水無川の流路は94年のものとは異なる。「あんとく」駅や北安徳のいくつかの家屋が移転しているようだ。

4;水無川の右岸地域は住宅地となっているか。否、荒地となっている。

5;鉄道に注目しよう。94年の図では鉄道は途切れ途切れに描かれている。よくわからないが、これが運休の印なのではないか。それに対し、97年の図では鉄道は普通の連続した線によって描かれている。とくに運休しているとは思えんなぁ。

以上より1と3が正解となる。特別なテクニックを要する問題というわけでもなく、丹念に観察していけば解答にたどり着く。時間はかかるかもしれないが。

 

問2 これが難問。非常にわかりにくい。

まず写真1がどの方向から取られたものかを考えないといけない。案外これが難しい。

とりあえず手前に家屋があるんだが(しかしこの家々はもしかしたら灰や土砂に埋もれてしまっているんじゃないか。悲惨な光景だ・涙)、図2でそれが確認できるだろうか。う~ん、ちょっと厳しいかな。家屋らしきものはみあたらない。

では山頂付近の形に注目しようか。ほぼキレイな円錐形のように見える。左側斜面と右側斜面の勾配がほぼ等しい。このことを材料に図2参照。「平成新山」の山頂の標高が1400メートル以上あり、これがこの山の全体の主峰だろう(「普賢岳」の山頂は「1359」である)。

このことからこの写真がいずれの方向から撮られたものかを推測することが可能。北から撮影したならば、平成新山だけではなく、普賢岳も視界に入るわけで、山容は円錐状には見えない。2つの峰が並ぶように見えるはず。南からも同様。

というわけで、写真は図の東側からか西側からか撮影されたに違いない。ただし西側から撮影したならば、1~4のいずれの地点も写真には収められないわけで、もちろんこれらが地点Xである可能性も消えてしまうので、東側からの撮影に限定される。また平成新山の山頂から東方に向かって、ゴツゴツした模様がみられる。これは「岩石」を表すのだが、おそらく火口から噴出した溶岩が固まったものだろう。写真でもこの溶岩らしき複雑なゴツゴツした地形が山頂付近に確認できるので東方から撮影したに違いないことがわかる。

この時点で候補が2と3に絞られる。写真1参照。「写真1」と書かれたところに君はいるわけだ。そしてそこから山容を正面に写真を撮り、その時、視界のやや右手側に地点Xがある。

で、ここからは悩むなあ(涙)。この時点でカンで正解をいずれかにしぼってしまえばいいよ。視界問題って00B追第4問問1のように、丹念に解いていけば必ず正解にたどり着くもんだと思っているんだが、本問についてはそうは言えないようだ。感覚的なものになってしまっている。写真1を参照し、溶岩の位置(やや右側に寄っている)や、手前に見える丘陵部分(写真の黒くなっているところ)の位置関係(左側が手前、右側がやや奥から大きく広がっている)などから推測するしかない。どうかな。いけるかな。捨て問かな?(涙)

 

問3 こういう問題ができるかどうかって意外と地理的センスと関係してると思う。

地形図からは時間的なものはわかり得ない。よって4が誤文。スピードの計算はさすがに不可能。地形図というのは航空写真に忠実に模写したもの(そもそも2万5千分の1の地形図は航空写真を元につくられているのだ)。

 

問4 1;鉄道を探してみよう。23年の図では描かれていないが、95年でははっきりと確認できる。何本かあるようだ。

で、ここからなんだが、この鉄道が低地を通っているかどうかの判定がちょっと辛い。図の左側から「けいおうほりのうち」駅に至る辺りは、すぐ北に河川が沿っていることから判断して、低地であるとは思う。でも「たまセンター」駅の辺りはどうかな。ここは23年の図では「落合」という集落があったところのようで、そこを見る限り、低地といってよさそうなんだが。しかし95年の図では「落合」の地名は台地の上にあるようで。ちょっと保留。

2;最近開発された住宅団地とは95年の図の右下にある「貝取」「豊ヶ丘」の付近に林立する建物のことだろうか。整備された街路が走り、長方形の建物(これが団地なのだろう)が並ぶ。この地域は23年の図では丘陵(等高線が幾重にも走っており、凹凸のある地形であることがわかる)であり、低地ではない。

3;大栗川の両岸は垂直の壁となっている。これはおそらくコンクリートで固められているのだろう。もちろん流路を固定し、護岸する目的で設けられたもの。

4;「たまセンター」駅付近を観察してみるといい。鉄道の下を通っている道路が何本も確認できる。

5;「工場」の地図記号を探す。見当たらない。「清掃工場」という文字はあるが、これは焼却場のことで、厳密な意味での工場にはあてはまらないだろう。本選択肢については「工場」を「住宅団地」と改めれば正文となる。東京郊外の住宅都市と思われる。

 

問5 「工事によって土砂が盛られた場所」ということで、70年と94年を比較し、標高が高くなっている点を1~4のうちから一つ選べばいい。ちなみに、本地形図の縮尺は25000分の1で、等高線間隔は10メートルごとである。

70年の図参照。この標高の判定がなかなか難しいのだが、とりあえず標高を表す数字を探してみる。そうすると点3のやや北側に「150」がある。この地点の標高を表すというより、この等高線の高さを表すもの。これを手がかりにしてみようか。

この150の等高線はやや太い線で描かれており、たどりやすい(?)と思う。しんどいけど、たどってみてくれ!

そうすると、明らかに点1だけがこの150の等高線の外側にあり、標高が低いことがわかる。等高線から判断するに、点1の高さは110メートルと120メートルの間。

94年の図参照。点1に注目。ある等高線の上に位置しているが、近隣に「139」の数字があるので、これは140メートルだろう。

70年よりも明らかに標高が高くなっている。このことから1が正解となる。

ポイントは1970年の地形図において、150メートルの等高線がわかるかどうかということ。なかなか難しいわけや(涙)。目を鍛えるしかないんやろね。

 

第4問 第3問までの難しさに比べればずいぶんとマシ。この大問から取りかかったらいいんじゃないか。問4がかなり難しいが、これはできなくて仕方ない。1問ロスで乗り切ろう。

 

問1 1;「新期造山帯」はニュージーランドのキーワード。「火山」「地震」は新期造山帯のキーワード。

2;ニュージーランドはイギリスの植民地だった。「自然植生」が著しく減少したかは不明。

3;オーストラリアは古い時代に他の大陸から切り離されているので、動植物が独自の生態系進化を遂げた。固有種の島。とくに有袋類はオーストラリア大陸特有のもの。

4;オーストラリア北部のインド洋に属する海域に発生するものがサイクロン、北東部の南太平洋海域で発生するものがウィリーウィリー。ともに「熱帯」低気圧。

というわけで、地形ネタ(選択肢1)、宗主国ネタ(選択肢2)などがあるが、結局は気候ネタ(選択肢4)がカギとなる。とくに大地形ネタっていうのはマスターするのにえらい時間がかかるんだが、このように実際のセンター試験においては全然重要視されていないので、とくに満点が取りたいわけじゃなかったら、どうでもいい分野ではある。

 

問2 暑いか寒いかだけで判定したらいい。図の地域は南半球なので、北で暑く、南で寒い。

表参照。それぞれの年間平均気温を算出してみよう。1は20℃くらいか。2は12℃くらいかな。3は19℃くらい?4は26℃くらいやね。すごく暑い。

図参照。最も南に位置し、最も冷涼な気候がみられると思われるクライストチャーチというところが2に該当するだろう。平均気温12℃っていうのも、ちょうどそれくらいじゃないかな。日本は東京で15℃、札幌で10℃が平均。東京と札幌の間くらいなら納得かな。

4も明らか。これがダーウィン。オーストラリア北部に位置し、かなり温暖な気候であると考えられる。沖縄の那覇が平均気温20℃であることと比べても、その暑さがわかるだろう。

1と3が悩む。平均気温に大きな差はない。

ここからは、大陸性気候と内陸性気候の違いによって判定しよう。大陸性気候は、暖まりやすく冷めやすいので気温年較差が大きい。暖まりにくく冷めにくい水に囲まれた海洋性気候では年較差は小さい。このことより、寒暖の差が大きい1が内陸部のアリススプリングス、季節による気温の差がそれほどでもない3がパースとなる。

横軸に示された降水量のデータはとくに使用しなくていいだろう。

このように気候(気温)判定問題は、緯度による気温の高低(暑いか寒いか)に主眼を置いて解いていく。それでもわからなければ、気温年較差のような他の手がかりも参考にして考えていく。

 

問3 単純に考えよう。かつての宗主国イギリスとの関係が疎遠となり、白豪主義を捨てて多文化尊重の流れにあるオーストラリアは、近年とくにアジア地域との交流が活発となってきた。位置的に近いんやから当たり前や寝んけどね(笑)。というわけで4が答。他はよくわからない。

 

問4 これはちょっと難問かな。

明らかな誤りは4。偏西風帯にあるニュージーランドは風上斜面となる西岸で降水が多く、風下斜面の東岸で少雨。羊はより乾燥した気候に適するので、東岸地域にて多く放牧されている。湿潤な気候を好む牛は西岸。

あとは判別が難しい。

正解は1。前述のように西岸と東岸とで降水量に差があるものの、乾燥気候というわけではない。気候の年変化の小さい海洋性気候ということもあり、一年を通じて牧草が緑の状態で生育できるのがこの国の利点。参考までに、国土面積に占める牧場・牧草地面積割合は45%でイギリスと同じ。

羊の方が牛より多いので2は誤り。

3の記述はオーストラリアに関すること。大さん井盆地における羊の放牧。

 

問5 統計がそのまま出題されている。確実に得点せよ。

1;オーストラリアからの主要輸出品としては鉱産資源がある。これは石炭。ちなみに現在は米国はもっとランクダウンしているはず。オーストラリア・カナダが1位2位であるとして押さえておく。

よっていきなり1が正解であるが、一応他の選択肢についても。

4は容易。インドネシアからの輸入品目としては、天然ガス・合板・エビが重要。いずれもセンター試験で登場している。

2と3の判定は困難。2が牛肉で、3が綿花。牛肉を食する習慣のないインドからの輸入品が牛肉であるわけはないので、それをヒントに考えるしかない。

 

問6 問4と同様の正文判定問題であるが、問4ほどは難しくない。

1;「マオリ」はニュージーランドのキーワード。ポリネシア系の民族であり、木彫細工などが得意。北海道の先住民であるアイヌの人々と共通点が多いんだそうだ。

2;これはカナダ。英語が主だが、ケベック州というところではフランス語が主に使用されているという多言語国家。これに加え、近年はイヌイットやアメリカインディアンの伝統文化の保護も積極的に行われるなど、多文化尊重の動きがある。

3;マレーシアの事例。マレー系:中国系:インド系=6:3:1。典型的な多民族国家である。主に都市に住み経済の実権をにぎるのが中国系(移住当初は華僑とよばれる。現在は現地人化して華人)の人々。マレー人は農村で経済的には恵まれない。

4;これがオーストラリア。白豪主義から多文化主義に転換。

 

問7 興味深い問題。

ア;エアーズロック。背後の風景からもわかるようにオーストラリアの中央部、大平原のど真ん中にある。アリススプリングスの近く。

イ;サンゴ礁の写真。これだけ見ても低緯度であることはわかる。この写真はグレートバリアリーフのものだろう。海岸からやや離れたところに発達する堡礁が何百キロにもわたってみられる。オーストラリア北東部の熱帯・亜熱帯海岸地域に分布。

ウ;高い山が見られるが、険しい地形の分布する新期造山帯国ニュージーランドではないか。山頂付近には雪のようなものも見られ、やや涼しい気候であることが推測される。

 

第5問 人口についての問題は難易度が低いものが多い。本大問もヤバくはない。問2と問8がかなり難しいのだが、他の問題は確実に解けるものばかり。ロスを2問までに抑えること。

 

問1 各大陸ごとの絶対的な人口分布を知っておくべきだろう。

便宜上、世界の総人口を56億と置く。7億人が8つの地域に住んでいると考える。

アメリカ大陸で7億人。北アメリカ(カナダと米国)で3億、中央アメリカ(メキシコなど)で1億、南アメリカで3億。

アフリカ大陸で7億人。

ヨーロッパとロシア周辺を合わせて7億人。ロシア周辺で2億(ロシア1.5億、ウクライナ0.5億)なので、ヨーロッパだけなら5億人となる。

残りの35億はアジアに集中。人口密度も高い。

オセアニアにはほとんど人が住んでいない。

以上より見当をつけていこう。判断材料は1990年の数値。

人口最大(30億人を超える)1がアジアに間違いない。人口規模が最も7億人に近い3がアフリカであろう。約3億人の5が北アメリカとなる。

ここからが問題。残るは2と4。人口は「498」と「448」で類似している。これらがヨーロッパ(5億人)か中央・南アメリカ(4億人)に該当。

これだけでは判断に迷うので、ここからは人口増加率を考慮しつつ解いていこう。

アフリカの年人口増加率は3%でとくに高い。それに次ぐのが、中央・南アメリカや南アジアで2%。世界平均(1.5%)よりやや低いのが、東アジアや北アメリカ、オセアニアの1%。そして日本・ヨーロッパ・ロシアでは人口は停滞し、その増加割合は0%。

つまり、中央・南アメリカとヨーロッパの人口増加率は決定的に異なるわけだ。

これより、表中2と4のうち、1950年や70年からの人口の伸びが著しい4が中央・南アメリカとなり、そうでない2がヨーロッパとなる。

 

問2 ちょっと難しい。

1;インドの人口は10億で人口増加率は年間2%。中国の人口は12億で増加率は1%。このままのペースでいけば、数十年後に両国の人口は逆転する。

2;インド国内で、ヒンドゥー教に次いで多いのはイスラム教の信者。イスラム国であるパキスタンやバングラデシュに隣接することから想像する。

3;よくわからんが、インドの大都市でスラム化が進行しているのは間違いないだろう。農村から人口が押し寄せるものの、都市にはそれを受け入れるだけの余裕がない。カルカッタなどの都市名が誤っていることはよもやありえないと思う。

4;これは重要。頻出ネタ。「緑の革命」と称される農業改革が多くの発展途上国で行われた。とくにインドは穀物の輸入国から輸出国に転化するなど、大成功を収めた。ただし、この改革を実行するためにはある程度の資本投下が要求される。つまり灌漑設備を整え、化学肥料を使用するなど、金がかかるということ。稲も多収量品種米というものが導入されたのだが、一代種であるため毎回、種子を購入する必要性があり、やはり資本力が必要。「緑の革命」による利益は裕福な層だけが独占することとなり、貧しい者(土地を持たない小作農)などはかえって無理をして借金などに苦しむことすらある。自由な未来、それは貧富の差が拡大する社会ということ。

というわけで2が誤り。こりゃ難しいわな(涙)。ヒンドゥー教徒の人口が多いことは知っていても、その次にイスラム教徒が多いだなんて知るわけがない。センター問題としては不適当。しかしちょっと気になるんだが、センター試験においては「ヒンドゥー教」に表記が統一されていて、「ヒンズー教」と書かれているのは実に珍しい。資料集や統計、教科書でも表記は「ヒンドゥー教」になっているはず。この問題をつくった人って、ちょっとそういった約束事を無視している(っていうか知らない)よね。素人が問題を作ってはいけないなぁ(笑・いや、笑い事ではないぞ!)。

 

問3 発展途上国で出生率が高い。よって1がスリランカである。2・3・4の判定は難しい。そもそも候補3つ(スウェーデン・日本・フランス)がいずれも先進国なわけで、それほど出生率に大きな差があるわけではなかろう。

よって昔からの変化の様子に注目。最も特徴的な動きをしている2がポイント。第2次世界大戦以前は高率であった。しかし戦後とくに60年くらいから急激に出生率が低下した。この時期に経済が高度に成長し、急激な近代化を成し遂げた日本が2に該当するのではないか。

出生率の低下によって急激に高齢化も進行し、日本の出生率は世界最低レベルである。

2と3について。80年くらいに深刻な少子化に悩んだが、各種の福祉政策が功を奏し、出生率が上昇に転換したスウェーデンが2に該当。残った3がフランス。

 

問4 表をそのまま読んだらいい。3が誤文。

都市人口割合というデータは模擬試験などでは実によく出題されるのだが、実は本番のセンター試験ではほとんど話題にもならない。出てきても、本問のように都市人口割合についての知識は全く必要とされないパターンばかり。

 

問5 アはタイ、イがマレーシア。ウが韓国でエは日本。都市人口割合ではなく、1人当たりGNPに注目すれば容易。

統計年次は1994年であるが、現在とそれほど変わってもいない(でも不安やから、新しい統計で確認しておいてね)。

 

問6 都市人口割合なんてもんはセンター試験ではどうでもいいもんだが、こちらの人口集中地区あるいは人口集中地区人口というのは意外によく出てくる。理屈はさておき、この値は人口密度と密接な関係にあると考えておく。つまり、この2つの値は比例関係にあると単純にとらえれば十分。簡単でしょ?

表2参照。人口集中地区人口が「77.7」と高いのが人口密度が高い埼玉県(人口も多いし、面積も狭い。人口密度はかなり高いだろう)。

YとZは判定が難しい。よってここでは県庁所在地人口を比較してみよう。石川県か、福島県か。

石川県の県庁所在地は金沢市。北陸地方(富山県・石川県・福井県)の地方中枢都市であり、極めて重要。福島県の県庁所在地は。。。どこだ?っていうか知らないね(笑)。少なくとも金沢市ほどはメジャーな都市ではないっていうこと。福島県の県庁所在地ではあるけれど、東北地方の中心的な都市というわけではないし、人口規模もそれほど大きくないんじゃないかな。

(参考までに)95年の段階では埼玉県の県庁所在地は浦和市。人口は50万程度。現在は浦和市・与野市・大宮市が合併してさいたま市となり、県庁所在地となる。人口は100万を超える。

 

問7 ここまでくると国語の問題やな。スラムは「点在」しているのでCが該当。「鉄道沿いに広がる」低級住宅地はA。残ったBが高級住宅地。

しかしよくわからないが「スラム」っていうのはそもそも「低級住宅地」のこと。本問ではこの2つをわざわざ分けているのだが特別な意味があるのだろうか。本問におけるスラムとは「超低級住宅地」とでも訳すべきものなのかもしれない。前述にようにCが超低級住宅地ともいうべきスラムなのだが、この図だけみると面積は限られているものの、狭いところに多くの住民が住んでいると思われ、人口密度は極端に高いはず。相当ヤバイところだ。

 

問8 左側の写真をみるとヨーロッパ系の白人がいる。右側の写真には黒人がいる。

図4参照。サハラ砂漠より北の地域は主にアラブ系の住民が住み、彼らは黒人ではない。やや濃い肌を持つものの人種分類的には白人に属する。

よって選択肢は2と3にしぼられる。3の都市はラゴス。ナイジェリアの人口最大都市。ただしヨーロッパ系白人が一般的にみられるというわけではない。

正解は2のナイロビ。ケニアの首都。ホワイトハイランドとよばれる高原状の都市である。赤道直下でありながら、標高の高さゆえ常春の気候となり、ヨーロッパ人の居住に適する。とくにこの気候下ではアフリカ特有の病原菌を媒介するハエも成育せず、アフリカの風土病に対する免疫を持たないヨーロッパ人にとって好条件となる。ナイロビはイギリス人によって建設された都市で、近代的な景観を持つ。ヨーロッパ系白人もかなり住んでいるのではないか。

ケニアについての知識問ともいえるが、この時期なぜかケニアが頻出であったので、その傾向にならったものになっている。2003年にケニアが出るかというと、そんなことはないと思うで。

 

<2000年地理A追試>

第1問 

問1 北東貿易風の風上斜面側のCが多雨となりア。標高が高いBで冷涼となりウ。 

問2 明治時代から移民が開始された。4がハワイ系住民。1と3は不明。 

問3 地中海性気候がみられるカリフォルニア州でブドウ。フロリダ州はオレンジ、ハワイ州はサトウキビ。

問4 ハワイは米国の一部であるので、比較的仕事目的が多い。日本からハワイへは団体客が多い。

問5 商業的捕鯨は国際的に禁止されている。

問6 1;標高が高ければ酸素濃度は低い。3;大きな氷河地形はない。4;地熱発電は行われているかもしれないが、天体観測に電力はそれほど必要ではない。

問7 X;プレートの境界、火山がキーワード。Z;ボーキサイト。Yは消去法により決定。

第2問 

問1 北日本や日本海側で多いので、冬季の降雪を考える。

問2・問3・問4 図を確実に読み取る。

問5 フォッサマグナとは東北日本と西南日本とを分ける大地溝帯。新潟県から静岡県に達する。

問6 1;マレー人とインド人・中国人の住み分けは農村と都市であり、例えばインド人・中国人が主に居住する州などは存在しないわけで、州単位での独立運動はありえない。

2;近年、メキシコなどからやって来た人々である。

第3問 

問1 ア;先進国が中心。二酸化炭素など温室効果ガスの排出が多い国は主に先進国。イ;世界のほとんどの国が加盟。ウ;熱帯の国が中心。

問2 1;世界2位の産油国である米国と比べる。2;ポーランド・チェコスロバキア・ルーマニアをみる。3;米国と日本を比べる。4;米国をみる。

問4 丸太の輸出量で判断すればいいだろう。マレーシアで多い。韓国は日本と似たような数値になると想像する。

問5 1;増加に転じてはいない。2;長江のダムは未だ建設中。4;資源開発プロジェクトなどはあるが、都市開発はない。

問6 生活廃水の流入によりプランクトンが異常発生し赤潮となる。水中の酸素の急減などにより漁獲に大きな影響を与える。これは瀬戸内海など外洋とあまり関係ない閉ざされた海域で起きることで、とくに養殖に被害が大きい。遠洋漁業ではない。

問7 火力発電は化石燃料を用いる者で、二酸化炭素など排出する。

 

<2001年地理A追試>

第1問 問1 カツオのみ暖海魚。他は寒海魚。

問2 モルディブなどサンゴ礁の島々。

問3 「広がる境界」海嶺の位置は頻出。チェックしておこう。

問4 マダガスカルは旧フランス領であり茶の栽培はさかんではない。

問5 1;マスカット。砂漠。2;アンタナナリボ。南半球。3;アーメダバード。モンスーンの影響でとくに降水の多い時季がある。4;ナイロビ。ほぼ赤道直。高原に位置するため常春の気候となる。

問6 1;イスラム教。パキスタンやアラブの国々が該当。2;オペック。サウジアラビアとイラン。3;人口密度。インドやパキスタンなど人口大国。4;低所得国。産油国は除外されている。

第2問 

問1 容易では?変な問題。

問2 A;ネパール、ヒマラヤ山脈。B;フロリダ半島。マングローブ、湿地、ワニなど。

問3 ベルギーは多言語国家。フラマン語(オランダ語とほぼ同じ)とワロン語(フランス語とほぼ同様)。

問4 サンベルトとは北緯37度以南の地域。

問5 X;オリーブ油。Y;ジャガイモ。Z;ココナッツ(ココヤシ)。

問6 仏教が信仰されている。豚を食するのでイスラム教ではない。海岸に近い。茶道をしている女性の服装は朝鮮半島の伝統的衣装のチマチョゴリのように見える。

第3問 

問1 タイ(首都バンコク)はどの国の植民地にもならなかった。

問2 東京で15時ならば、同じ瞬間のロンドンは6時(9時間の時差がある)。これに12時間を加算すると、18時になる。

問3 ホーチミンは首都ではないから該当しないということか?よくわからない。

問4 1;需要がないということはないだろう。国内便で成田空港や関西国際空港に飛び、そこで国際便に乗り換えるのではないか。2;近年タイなどは観光客の伸びも多いようだ。3;在日韓国人は大阪府に最も多い。4;中国は最少で1、最大で71。ヨーロッパは最少で0、最大で135。5;よくわからないが消去法でこれが残る。

問5 Y;中国や韓国と同様、全地域から直行便がある。XとYは合計で判断。便数が多い方がオーストラリアだろう。

問6 1;スイスはEU未加盟。3;ヨーロッパで英語を公用語をしているのはイギリスとアイルランド。4;イギリスと大陸部のフランスなどの間には1時間の時差がある。

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