2019年地理B追試験[第5問]解説

2019年地理B追試験第5問

 

比較地誌。毎回この大問は難問も多い(地誌だから特殊な知識が問われるということではなく、純粋に「難問」。地理の先生でも解けない問題が含まれることが多い大問)ので、2問ロスは覚悟しないといけないかな。

とりあげられているのは、島国つながりでキューバとマダガスカル。同じ島国つながりでフィリピンとニュージーランドが取り上げられたことも。

 

<2019年地理B追試験第5問問1>

 

[インプレッション]図を見て解くだけの考察問題と思いきや、いやいやなかなかこれは手強いぞ。僕は一瞬わからなかった。かなり解答に困窮した。みんなはスムーズに解けたかな。

 

[解法]キューバとマダガスカルが問われている。図1で位置を確認しよう。ともに低緯度に位置する島国であるが、キューバが北半球、マダガスカルが南半球という違いがある(これが最大のヒントになっているのだが、みんなは気づいたかな)。

では選択肢を検討していこう。

まず①について。「貿易風」とある。貿易風は低緯度の一帯で卓越する風(恒常風・惑星風)だね。日本のような中緯度地域では偏西風の影響がみられるが(*)、低緯度のキューバやマダガスカルに影響を及ぼす風は貿易風で間違いない。正文。

さらに選択肢④がおもしろい。マダガスカルは図からわかるように、南北に山脈が走行している島である。さて、このような地形に東寄りの風(貿易風は東寄りの風だね)が吹く場合、どういった降水パターンがみられるだろうか。マダガスカル東方の海上より湿った風をはらんだ貿易風が、島の中央の山脈に当たる。高度を上げた空気は雲を結び、山脈の風上斜面側に大量の降水をもたらす。貿易風は恒常風であり、年間を通じ吹く風であるので、この東岸地域も季節を問わず多雨がみられることになる。

一方で、この風は水分を使い果たした状態で山脈の駆け下り、風下斜面側には乾いた空気が流れ込むことになる。西岸においては常に少雨気候がみられる。蒸発量の関係で乾燥気候となることも(乾燥とは「降水量<蒸発量」)。選択肢④についても納得だろう。

ただ、本問は実はこういったところがポイントになっているのではない。冒頭でも述べたように、そう、ポイントは「北半球と南半球の違い」なのだ。選択肢②をみてみよう。「熱帯低気圧」という言葉があるね。台風やサイクロン、ハリケーンがこれに当たる(**)。低緯度海域で発生した低気圧が、渦を巻きながら成長し、周辺地域へと豪雨や暴風の被害を与える。さぁ、日本では熱帯低気圧つまり台風のシーズンっていつだ?台風の発生と成長のためには海水温が高いこと(27℃以上)が求められるが、夏から秋がその発生時期だよね。海水(液体)は暖まりにくいが冷めにくいので、秋ぐらいまで水温が高い状態が保たれているのだ。

このことを頭に入れて選択肢②を読んでみる。なるほど、「6〜11月」とはまさに夏から秋の時期にジャストミート。これ、絶対に正しいでしょ?北米に近いキューバではハリケーン、インド洋に面したマダガスカルはサイクロンだけど。同じ熱帯低気圧。「夏」がキーワードなのだ。これも正しい!

 

んんん???果たしてそうか???

 

熱帯低気圧が発生するのは夏から秋。でもそれは「6〜11月」なのか?

 

もちろん、それは正しい。そう、北半球ならね。

 

南半球は、、、逆じゃないか!?!?

 

本問は難しい。僕もこれに気づくにはかなりの時間を必要とした。南半球で熱帯低気圧が発生するのは、彼らの夏から秋にかけての時期である「12〜5月」なんだよね。これ、当たり前のことすぎて、かえって見逃してしまう。誰でもわかることだからこそ、実は誰にもわからないのかも知れない。時間をかけてゆっくり取り組まないと、これ、解けないよ。あまりにもセンター試験的な「難問」だったと思う。

なお、選択肢③については検討の必要はないと思う。正直、これは判定できない。たしかに緯度的には熱帯に思えるのだが、温帯や乾燥帯が一部含まれている可能性もある。高山はないようなので、(標高が高い分だけ寒冷になることで生じる)冷帯や寒帯はないとは思うんだが。

(*)日本の気候に直接影響を与える風は「季節風」である。夏は南東季節風の影響によって太平洋側で降水量が多く、冬は北西季節風の影響で日本海側で降水量が多い。とはいえ、季節風はあくまで低い高度の地表付近を主に吹く風であり、上空では「恒常風(惑星風)」である偏西風が強い。航空機は、順風となる日本発アメリカ合衆国着の便の方が、逆風となるアメリカ合衆国発日本着の便より、所要時間が短い。また火山が爆発した場合、火山灰は偏西風に流され、山の東側へと降下する。

(**)厳密には熱帯低気圧のうち、巨大化したものを台風、サイクロン、ハリケーンと呼ぶのだが、センター地理ではその区分は厳密ではないので、まとめて考えてしまっていい。なお、熱帯低気圧とは温帯低気圧の反対語で、温帯低気圧が前線を有する(高緯度側に寒気、低緯度側に暖気があり、それらが交わることによって雲が生じている)のに対し、熱帯低気圧は前線を伴わず、つまり周囲が全て暖気である。興味のある人は調べてみよう。

 

[難易度]★★★

 

[今後の学習]問題そのものは要するに北半球と南半球の季節の違いっていう小学生でも知っているネタが問われたわけだが、それ以外の部分から重要なポイントを探っていこう。

まず貿易風について。偏西風の場合、イギリスやニュージーランド、チリ南部など、その影響によって山脈の東西で降水量が異なる例が多くみられる(西岸で多雨、東岸で少雨)のだが、貿易風は少ない。

その希少な例として、君たちは必ずマダガスカルを知っておくこと。南半球の低緯度に位置し、年間を通じ貿易風の影響を受けることで、風上斜面側である島の東部で多雨、風下斜面側で少雨となる。島の東岸で熱帯雨林が広がり、西岸ではやや降水量が少なく草原(熱帯草原であるサバナ)が主にみられる。

さらにキューバの気候。一応ケッペンの気候区分では全体がサバナ気候なのだが、これは意識しなくていいだろう。低緯度(北緯20°から北回帰線の間に国土が含まれる)で高温、さらに大陸東岸であり降水量も多い。ハリケーンの来襲も受ける。雨季と乾季のある熱帯気候はサトウキビの栽培に適し、アメリカ合衆国の資本家たちがさかんにキューバにサトウキビのプランテーションをつくった(これが反米感情の高まりへとつながっていくのだが)。

 

<2019年地理B追試験第5問問2>

 

[インプレッション]うわー、選択肢①の内容はこれまでずっと授業で言い続けていたネタだわ。こうしてセンター初登場なわけですね。ちょっと驚いた。っていうか、選択肢②もそうやんか。うわっ、ホンマに驚いてる。ぶっちゃけて言えば、かなり知識によった問題とも言えるけど、でも僕自身の受験指導のキャリアから見れば、それは決して意外な出題ではない。昨日今日地理を教え始めたビギナーにはできないやろけど、たつじんみたいな20年この業界で「同じこと」を繰り返し教え続けて来た人間からすれば、それは十分に出題が予想されていた範囲なのだ(すいません、ちょっと偉そうですね。反省します・涙)。難易度の高い捨て問と解釈するべき問題なのかも知れないけれど、少なくとも僕は「当然あるべき」問題だと思っている。いい問題だと、思います。

 

[解法]形式的には問1と完全に重なっている(長文の下線部の正誤判定。誤文指摘)ものの、アプローチは完全に異なる。問1が自然地理の一般的な内容だったのに対し、こちらはマダガスカルに関する知識がダイレクトに問われている。これは難しい。でも、地名や都市名が問われているわけではない。決して苦手意識を持つほどの問題ではないし、理系的な知識(そう、問われている内容は実は「生物」分野かのだ)を生かして解くことは十分にできた。

誤りは②だね。「バオバブの木」はマダガスカルの固有種。キューバではない。これが誤りとなる。

マダガスカルは選択肢①にあるように、安定陸塊に分類される地形。かつて地球上はたった一つの古大陸パンゲアが存在した。パンゲアが南北2つに分裂し、北はアンガラランド南はゴンドワナランドと呼ばれた。アンガラランドはシベリア高原として現在も残されている。ゴンドワナランドはさらに分裂し、南米、南極、インド半島、アラビア半島、アフリカ、そしてマダガスカルとなっている。

極めて古い時代に他の大陸と切り離されたため、動植物が独特の進化を遂げた。マダガスカルの動植物はこの島にしかみられない固有種ばかり。その中でもマダガスカル島特有のものとして、メガネザルの仲間やバオバブの木はとくに有名である。

選択肢③と④についてはとくに判定の必要はない。マダガスカルの先住民は東南アジアのマレー系。インド洋を越えてやってきた人々であり、米作の文化を持つ。マレー系の言語が使用されている。キューバは旧スペイン植民地であり、スペイン語が公用語。

 

[難易度]★★

 

[今後の学習]「マダガスカル=バオバブ」ってのはどうなんだろう?これ、常識なのかな。それとも生物で勉強する内容?地理のネタとしては特殊だったような気がするな。とりあえず、選択肢①と④のネタは確実に知っておこう。

っていうか、「ファーストインプレッション」だけど、今読み返したら偉そうで、感じ悪いな。すいません、みなさん、反省してますんで、今回ばかりはお見逃しを(苦笑)。

 

<2019年地理B追試験第5問問3>

 

[インプレッション]キューバのサトウキビについてはこれまでも頻出だったので、必ず知っておくべきだが、マダガスカルの米がちょっと特殊かな。難易度は高いと思う。

 

[解法]キューバではプランテーション農業が行われる。プランテーションといえば、翔ミンチ時代に欧米の宗主国によって作られるのが一般的だが(イギリスによるケニアの茶プランテーションなど)、キューバにプランテーションを開いたのは旧宗主国のスペインではなく、無関係のアメリカ合衆国。アメリカ合衆国は、独立したキューバを保護国とし、支配下に置いた。そして本国では栽培の困難なサトウキビについて、キューバでの栽培を始めたのだ。キューバは、熱帯であることに加え、雨季と乾季の明瞭な気候が見られ、これはサトウキビ栽培に適する。乾季を乗り切るために、雨季の間に当分を体内に蓄える作物がサトウキビなのだ。またサンゴ礁に由来する石灰質の土壌であり、水はけの良い土質もサトウキビの栽培には適している。これは沖縄と同じだね(なお、沖縄(当時の琉球王国)でサトウキビ栽培を始めたのは日本の薩摩藩。植民地のようなことをしていたわけだね)。

反米感情の高まったキューバでは、カストロやチェゲバラを中心とした青年たちによって革命がなされ、社会主義政権が成立する。アメリカ合衆国の勢力は追放され、プランテーションは国有化、そして同じ社会主義国であったソ連と接近していくのだが、それについては今回は細かい話は省略。とりあえず「キューバ=サトウキビ」と覚えておけば十分。キューバでこそ値が大きいアを「サトウキビ」とする。

なお、1961年から2014年の間に大きく生産量が減少していることにも注目して欲しい。キューバはサトウキビの栽培とその加工費である砂糖の輸出に国内経済が過度に依存するモノカルチャー国であったが、この状態を脱するために、現在は他の産業にも力が入れられている。とくに最近顕著になっているのがニッケル鉱の産出。キューバは世界最大のニッケル鉱の埋蔵量を有すると言われており、この産出と輸出が急増している。統計には、キューバの最大の輸出品目として「鉱石」と書かれているが、これはニッケル鉱のこと。「キューバ=ニッケル」はセンターでの出題例はないが、知っておいてもいいかも。ニッケル鉱で必ず知っておくべきは、ニューカレドニア島で産出されるという話題なのだが、今後は出題傾向も変わってくるんじゃないかな。キューバと、そしてフィリピンでの産出が現在は多い。

さて、話を元に戻して。。。

今度はマダガスカル。「米の形の島」で認識しておいたらいいかな。マダガスカルはマレー系の住民が住む国で、米作の文化がある。貿易風の影響で降水量の多い島の東部を中心に水田が開かれ、米が栽培されている。マダガスカルで値の大きいイが「米」。

よって正解は③。タバコは消去法でいいと思うよ。そもそも無視できるほどの生産しかないし。

 

[難易度]★★

 

[今後の学習]「キューバ=サトウキビ」っていうのは絶対に知っておいて欲しいんだよね。「解法」でも述べたけれど、「アメリカ合衆国系のプランテーションが、革命後に国有化された」ことは非常に大切。

ただ、それ以上に注目して欲しいのは、サトウキビの生産が急激に減少していることなのだ。サトウキビモノカルチャーから脱し、ニッケル鉱石の輸出こそ主産業に育成しようとしている。多角化が目指されているのだ。

 

<2019年地理B追試験第5問問4>

 

[インプレッション]変わった問題ですね。マイナーな国も含まれていて。国ごとのデータというより、一般的な経済(1人当たりGNIの高低)、自然環境(農地面積割合)の問題として取り組んだ方がいいんじゃないかな。

 

[解法]ちょっと読み取りにくい図だね。こういう問題は、「国」より「指標」に注目するのがコツ。

この表には3つの指標が取り上げられているね。縦軸が「公的支出に占める公衆衛生の割合」、横軸が「農地面積割合」。そして円の大きさが「1人当たりGNI」。

 

ん、待った!!!

 

1人当たりGNIって割合じゃないですか。「高低」で表される。それをこうした円の大きさのような「大小」で示すのは適切ではない。う〜ん、このグラフの醸し出す違和感ってこんなところにあったのか。

 

でもしゃあない。文句を言っても始まらないので、これで解くしかない。

さて、まずは1人当たりGNIを見ていこう。①>ニュージーランド>日本の順。①ってめちゃくちゃ1人当たりGNIが高いじゃないか。これ。北ヨーロッパのアイスランドと思っていいんじゃないかな。北欧の国はいずれも1人当たりGNIが高い。ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク。いずれも人口が少なく、GNIはわずかだが。アイスランドもその仲間だね。

さらにこのグラフを見ると、1人当たりGNIが高い3か国がいずれも「公的支出に占める公衆衛生の割合」が高く、「農地面積割合」が狭い。先進国であり公衆衛生への関心が高い反面、農業には力が入れられていないってことなのかな(最も、北欧にはデンマークという農地面積割合が極めて高い(50%以上)の国もありますが)。ひとまず一つは決定。

さらに1人当たりGNIに注目していくと、③>ジャマイカ>スリランカ>②>④の順。ただ、この順位付けに意味はないかな。いずれも1人当たりGNIが低い発展途上国ということになる。

よって他の要因に注目するしかない。され、それはどこだろう?問題ではキューバを答えさせようとしている。では(アイスランドを除く)他の2つの国とは決定的に異なるキューバのキャラクターっ何だ???

 

そう、それは「社会主義」だね。たまたま今年キューバが社会主義でることをテーマとした問題を模試で作ったところだったので、それを紹介してみよう。

 

問題 次の表2は、いくつかの国におけるGDP(国内総生産)に占める公的教育支出の割合と高等教育(大学・専門学校以上)の就学率を示したものであり、①〜④はカンボジア、キューバ、スウェーデン、日本のいずれかである。キューバに該当するものを、図2中の①〜④のうちから一つ選べ。

 

表2

 

GDPに占める公的教育支出の割合(%)

高等教育の就学率(%)

12.8

41

7.7

62

3.6

63

1.9

13

統計年次は2016年、キューバのGDPに占める公的教育支出の割合のみ2015年。『世界国勢図会』により作成。

 

解けたかな?以下は解説。

 

解説 まずは高等教育の就学率に注目。1人当たりGNIの高い先進国において、この値が高い傾向がある。日本とスウェーデンが②と③のいずれかである。

残った①と④が発展途上国のキューバとカンボジアだが、ここではキューバが社会主義国であることに注目しよう。社会主義は「平等」を中心理念とし、基礎的な教育に関しては経済的な水準を上回る普及が図られている。このためキューバはGDPに住める公的教育支出の割合が高い。①がキューバとなり、残った④がカンボジア。

 

どうかな?極端なデータでホンマかいな?と思ってしまうのだが、福祉国家として名高い北欧のスウェーデンよりも、キューバの方が「〜公的〜」の割合が高いのだ。これには驚くんじゃない?

キューバはもちろん発展途上国で、1人当たりGNIも8000ドル/人程度。中国と同じぐらいの低さで、スウェーデンには遠く及ばない。

でも、国家(政府)が国民を支えるという意識は先進国並みに(むしろそれ以上に)高いのだ。社会主義とは言っても実際には激しい競争社会となっている中国やインドもあるし、独裁国家となってしまっている北朝鮮もあるので、こうした公的サービスへの高い意識が全ての社会主義国にあるわけではない。しかし、キューバこそ典型的な社会主義国であり、それが「公的」の値の高さに現れているのだと思っていいだろう。

なお、もう一つ代表的な社会主義国としてベトナムがあり、ドイモイ政策による市場開放化は進むものの、やはり公的な意識は強い。かつて(経済レベルは低いものの)ベトナムの就学率・識字率が先進国並みに高いというデータを用いた問題がセンターでは出題されている。特別な国ということだろう。

 

以上より、どうかな。キューバはどれなんだろう?そう、一つ目立つ国があるじゃないか。先進国並みに「公的支出に占める公衆衛生の割合」が高い国が。③こそ、キューバなのである。

 

残った②つはよくわからないが、フィリピンって極端に1人当たりGNIが低いわけではない(3500ドル/人。東南アジアではタイより低く、インドネシアと同じ。ベトナムより高い)。一方、マダガスカルは後発発展途上国の多いアフリカの国である。これは1人当たりGNIが低そうだ。また、問題文の注釈に注目して欲しいのだが、「経営耕地外にある採草地・放牧地を含む」とある。なるほど、「牧草地」か。

土地利用で牧草地とあった場合には、基本的にはステップというか短草草原を考えて欲しい。乾燥気候における草原であり、湿潤地域には見られない(湿潤地域では森林となってしまう)。マダガスカルは、南半球の低緯度地域に位置し、年間を通じ貿易風の影響下にある。風上斜面側の東部では多雨となり水田耕作も行われるのに対し、風下斜面側の西部では少雨気候となり、やや乾燥した土地となる。砂漠とはならないが、半乾燥の草原が広い面積を占めている、どうかな?「やや乾燥=草原=牧草地=農地」ならば。マダガスカルでその割合が高いことは納得なんじゃない?④をマダガスカルと判定し、残った②がフィリピン。フィリピンは日本同様に山がちの地形であり、耕地として利用できる範囲は限られている。

 

[難易度]★★★

 

[今後の学習] 嫌いな問題じゃない。丁寧につくられた力作だとは思う。ただ、ギリギリ悪問だったかな。これで難易度が低ければ、まだ納得もできるんだが、難しいからね。捨て問というわけではないんだが。こちらもギリギリって感じかな。

解法でも述べたように、割合である1人当たりGNIを円の面積という実数で表したことは大きなマイナス要素。また、他の2つの指標も。あえてこれを取り上げた理由がわからない。「公的〜」は社会的指標であり(なるほど、1人当たりGNIには比例しているようだ。キューバを除いて)、「農地〜」は自然的指標。テーマも絞り切れていないな。

そもそも「島嶼国」というくくりもよくわからない。島であること以外に共通点ってないし、比較できるような部分もない(だから本問は難しかったんだが)。変な問題だなって気がします。力作とは思いし、苦労して丁寧につくられている雰囲気はあるんですが、ギリギリ悪問&捨て問かなぁ。ま、「キューバ=理想的社会主義国家」ということで。

 

でもそんなキューバも2015年にそれまで断交していたアメリカ合衆国と国交が回復し、悪い意味で自由主義経済の洗礼を受けてしまうこともあるかもしれない。

 

<2019年地理B追試験第5問問5>

 

[インプレッション]おっと、モーリシャスなんていう国名があったりしてビックリするんですが(どこやねん???)、全体としてはメジャーな国も多く考えやすいんじゃないかな。基本的には距離の近さ、それから植民地の問題でしょう。

 

 

[解法]人口移動の問題。出国者数と入国者数が国別に示されている。こうした問題は「実数」に注目することも大切で、国の規模と比例したりする。でも、キューバとまだガルカルでは規模(人口およびGNI)にどれぐらいの違いがあるかもわからないよね。今回ばかりは実数に注目しても仕方ないかな。

まずはABの判定からするのが常道だが、カとキから考えた方が簡単っぽいな。カではアメリカ合衆国、カナダ、ドイツ、エクアドル、メキシコ。キではフランス、イタリア、アメリカ合衆国、モーリシャス、ホンコン、南アフリカ共和国。特徴的な国ってどこだろう?アメリカ合衆国は両国にライクインしているし、そもそも大国であるので世界ほとんど国で入国者数や出国者数が多くなるには当たり前だろう。これは無視して。さらに名前をよく知らない国もあるので、これも除外しないといけない。カで目立つのはやっぱりエクアドルかな。「赤道」の名を持つ南米の国だね。位置関係を考えるとキューバとの関係性が強そうだが、一方、キでは南アフリカ共和国がわかりやすい。これはマダガスカルと近い。これだけの理由で、カをキューバ、キをマダガスカルと判定する。

さらに出国者数と入国者数。注釈を参照するのはマスト。出国者数は「居住者による訪問者数」。キューバ人あるいはマダガスカル人がアメリカ合衆国など外国に出る。入国者数は「非居住者による訪問者数」。アメリカ人など外国人がキューバやマダガスカルを訪れる。

冒頭で本問については「人口移動」の問題であると言ったが、みんなは人口移動のセオリーを理解しているかな。そう、人口は「1人当たりGNIの高い方向に向かって動く」だったよね。1人当たりGNIの低い(経済レベルの低い)発展途上国の労働者が、豊富な雇用と高い賃金を求めて、1人当たりGNIの高い(経済レベルの高い)先進国へと移動する。キューバとマダガスカルの人々も、もちろん1人当たりGNIの高い国々へと移動し、仕事を探す。それが経済の原則である。地理は「経済」の科目でもあり、「原則」の科目でもある。

ABを比べてみて。先進国が中心であるのはどちらだろう?それは言うまでもないんじゃない?もちろんAだよね。キューバ人はカナダなどに、マダガスカル人はフランスなどに、それぞれ移住し労働に従事する。

人数の合計も「AB」である。キューバとマダガスカルは発展途上国であり、それだけ先進国へと向かう人の流れ(もちろん労働者)が多くなるのだろう。入国は主に観光なんじゃないかな。以上より正解は④となる。

なお、良問であるので、もっと詳しい部分まで解析しよう。人口移動で実は重要になるのは「植民地と宗主国」の関係。キューバの旧宗主国はスペイン。その影響でキューバではカトリックが信仰され、スペイン語が公用語とされている。同じくスペイン語を公用語とする国を表から拾うと、エクアドルとメキシコが該当。両国もスペインの植民地であり、言語はスペイン語。言語が同じことが交流のしやすさの一つの基準になる。エクアドルやメキシコからキューバを訪れる人は、出稼ぎというより観光だろうか。言葉が通じるっていうのはポイント高いね。

同様に、マダガスカルを植民地としていたのはフランス。こちらはマダガスカル人の行き先として首位にあり、出稼ぎ労働者が多く訪れている。フランス語が使えるというメリット。

 

[難易度]★★

 

[今後の学習]

中庸の難易度を持った良問だったと思う。本問を苦もなく解けたなら(本来そうあって欲しいけどね)、安定した「センター地理」力を有しているとみていいんじゃないかな。そうした「リトマス試験紙」的な問題。

 

と思ったら。。。間違えました(涙)

 

ドヤ顔で「リトマス試験紙的な問題」とか言っておきながら、その当人が間違えています。答えは②でした。。。

 

Aが入国者で、Bが出国者だって!?いや、全然わからんっ。

 

あえていえば数字かなぁ。たしかにAカの1位のカナダ「130万人」って多すぎるんだわ。キューバの人口もせいぜい数千万人程度だろうし(調べました。1100万人です)。それが1年に130万人もカナダに出稼ぎに行ってしまったら、国内に誰もいなくなってしまうよね。これはおかしい。この時点で気づかないといけなかった。

 

これ、移民や出稼ぎというより、純粋な観光客数なんだろうね。カナダみたいな寒い国からすれば熱帯のキューバは観光地として多いに魅力がある。キューバも多角化産業育成のため観光業に力を入れているんだろう。マダガスカルにも、フランスから多くの観光客。言葉が同じだから訪れやすいんだな。

 

う〜ん、難しかった。というか、解答不能の悪問でしょ、これは。観光なら納得できるんだが、それについての注釈がどこかに欲しかったな。すいません、面目ないです(涙)

 

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