1997年度地理A追試験解説

たつじんオリジナル解説 1997年地理A追試験

 

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第1問 大問全体の出題意図が不明。とりあえず食事や生活などに関する問題を出しておけということか。僕でもわからない問題だらけなので、君たちが解く意味もないだろう。以下の解説はあくまで参考。

 

問1 北緯40度は日本の東北地方(秋田県の男鹿半島・八郎潟付近)を通過するので、これが目安となるだろう。

日本がわかりやすい。札幌のみ北で、新潟、東京、金沢、鳥取、福岡は南。

ヨーロッパはスペインを北緯40度が通過し、アムステルダム(オランダ)、ウィーン(オーストリア)、ロンドン(イギリス)、パリ(フランス)は北。ローマ(イタリア)は微妙か。

中国・華中のシャンハイ、東南アジアのマニラ(フィリピン)、南アジアのカトマンズ(ネパール)は南。

ソウルは韓国の首都であるが、朝鮮半島においては北調整と韓国の国境はほぼ北緯38度に沿っている。それより南側であるので、やはり「南の国」である。

また、テヘランはイランの首都で、東京とほぼ同緯度であることが特徴。これも南。

同じくベイルートは西アジアのレバノンの首都だが、これも南。

以上より、3つとの南であるのは5となる。北と南が混在するのが、2・3・4・6。よって残った1が北となる。ローマについては北緯40度のやや北に位置しているのだろう。

問2 1;インドの料理はカレーのように香辛料を豊富をつかうことに特徴がある。味噌や醤油でなない。2;朝鮮半島のキムチは白菜など冬野菜が中心。4;パスタは小麦。3が正解。

問3 「暖房」が必要なのは南の国ではないだろう。これが正解。

問4 1;高温で腐敗しやすいため、大量に作り置きはしない。2;油脂や香辛料を多く使う。3;生食もなされる。

 

第2問 国際的な人口移動というテーマ的にも、そして考えて解く問題が多い点も、地理B的な佳作。

 

問1 日本の人口を知っておいて、それから計算する。

問2 1位の韓国・北朝鮮は在日の人々も多く、その数は圧倒的。それに次ぐ国を考える。グラフをみると近年とくに増加してきた印象だが、実は82年の段階でも韓国・北朝鮮に次いで2位であり、昔から日本にたくさんの人々が住んでいたことがヒントになる。歴史的に関わりの深い国であろう。

問3 重要。90年代に入り国内のブラジル人の数が急増したが、これは法律の改正によるもの。それまでは外国人単純労働者の入国・滞在は禁止されていた(単純労働とは専門労働の反対語。特別な資格や技能がなくても行える作業を中心とした仕事。とくに日本語に慣れていない彼らは機械組立工場などで働くことが多かった)。しかし実際には多くの外国人が入国しており、それは不法なのだが、彼らの勤勉な労働に依存する中小工場も製造業を中心にかなりの数になった。このような現状をふまえて、完全とはいかないまでもある程度の制限を設けて、外国人の単純労働者としての就業を許すようになった。その制限とは「日系人」ということ。日系人(日本人の血を引く外国人。国籍はもちろん外国のものであり、彼らの多くは日本語はしゃべれない)に限って、日本国内での単純労働への就業目的であっても入国・滞在を認められるようになった。

これにより日系人人口の多い国からの出稼ぎ者の入国が急増し、とくに最大の日系人社会を有するブラジル人の流入が顕著になった。

問4 これも非常におもしろい。問3でも扱われた外国人労働者をとりまく状況を考えることによって解答可能となる。

1;人の流れは貧しいところから豊かなところへ。アフリカ・アジアの発展途上国から、高賃金と仕事を求めて、アラブ産油国のような金持ち国へと出稼ぎに行く。

2;これについては不明。このような国もあるかもしれないが。

3;これはその通り。原油によって経済が潤う。それにより仕事が集まり、労働者も集まる。

4;これはどうだろう?日本であっても外国人が国籍を取るのは容易なことではない。かつては移民を多く受け入れてきた米国やオーストラリアでも国籍の取得は厳しい(永住権や市民権の取得は比較的容易であるがそれでもかなり制限されている)。そういった状況を考えれば、アラブの国であっても国籍の取得がさほど容易とは思えない。

国籍を与えるっていうことは、政治に参加する権利を与え、年金などの生活面の保障も充実させるってことだよね。これを貧しい国からやってきた外国人に無制限に与えたらどういうことになるだろう。少人数なら構わないだろうが、決してそうはいかないね。どんどん発展途上国から人々がやってきて、自分にも国籍を与えろと主張するに違いない。貧しい国に生まれてしまったことは彼らの責任ではないのだが、それでも彼らには生まれた国で生活を全うするという義務は存在する。それは世界の厳しい現実ではあるよ。

問5 思考試験として出来はいいし、またこういった設問を通して受験生に世界で行われている民族差別に対する問題意識の啓発を試みている点も高評価。

アメリカインディアンの保留地は国土西半の少雨地域に偏っている。乾燥の度合が激しいところもあり、農業に適する土地ではない。

かつては北米大陸全体に居住していたアメリカインディアン。とくにその数が多かったのが現在の米国東部の豊かな環境に恵まれた地域。ヨーロッパからの移民(主にイギリス人)によってその地は占領され、アメリカインディアンたちは西へと追われていく。彼らはイギリス人に囚われ、不毛な国土西部の土地へと閉じ込められる。

問6 政治経済とひとまとめの言葉でくくられてしまうと、政治と経済とは似たもののようにとらえられてしまうが、むしろこの2つは反対語とでもいえるものである。たとえていうなら、政治は建前、経済は本音。口では平等や権利の重視なんていうおいしい言葉を並べ立てるが、本音は金が欲しいだけ、人を蹴落とし自分だけがいい生活をしたい。

選択肢3参照。ちょっと考えてみればこの文章が明らかに不審であることに気付く。政治的な平等によって、果たして経済的な平等が実現するものなのか。選挙権や教育の機会を与えられたりして政治的平等は成ったかもしれない。しかしそれが直接的に経済的な平等につながらないことは明らかだろう。依然として白人と黒人という偏見や社会的差別は残るだろうし、そのことは職業選択や企業活動などの経済的な側面にも大きく影響するはずだ。貧富の差が縮まったとはとても思えない。むしろ資本主義社会が成熟すればするほどに、富は一部の富裕層にさらに集中し、社会の底辺で貧困にあえぐ者に救いの手は伸べられない。

1・2;これはまさにその通り。アフリカから主に綿花労働力として運ばれてきた。

4;これは知識として知っておく必要はないだろう。ただしこの文で説明されている状況に納得できればいい。奴隷解放によって黒人たちは自由を得た。つまり仕事を選択する自由も得たということだ。より賃金の高い仕事を求めるのは当然のこと。たとえばこのまま南部の農場で働き、綿花労働者として暮らしていくのもいいだろう。しかし製品の値段が安い綿花をつくったところで賃金はたかが知れている。そこで彼らはより高い賃金水準を求めて他の仕事を探すこととなる。それは自動車工業。北部(五大湖沿岸など)では自動車工業が成長し、そこで大量の雇用が発生した。単価が高い自動車の製造ならばより高い賃金が保障されることになる。これにより、南部から多くの黒人労働者が北部デトロイトなどの自動車工業都市へと移動した。

問7 考えれば充分解ける。カリフォルニア州は米国太平洋岸のメキシコに隣接する州。この州の位置はしばしば聞かれるので必ず知っておくこと。メキシコはかつてスペインの植民地だった歴史を持ち、スペイン語が公用語である。カリフォルニア州はメキシコからの移民の流入が顕著。かれらはヒスパニックとよばれ、英語を理解しようとせず、スペイン語だけで生活する。

このことからカリフォルニア州で教育にスペイン語が採用されたと考えるのは当然のことだろう。よって正解は1。南部の街ロサンゼルスでも人口の何割かはヒスパニックから構成されているそうだ。メキシコ化が進む米国である。

ただし現在では、このスペイン語教育は、これによりヒスパニックがさらに英語を理解しようとしなくなるおそれがあるので、廃止されているようだ。

問8 カタカナ言葉を問う知識問題であり、地理A的である。答はジャズ。

ただし地理Bでもジャズという音楽が話題とされたことはある。99B本第3問問4選択肢3参照。これは米国南部の都市ニューオーリンズについての記述だが、この文章にある「独自の大衆文化」の一つが、アフリカ文化と米国南部の文化の融合したジャズという音楽形態である。港湾でありかつて黒人が多く運び込まれたこの街を中心とする地域は全米でもとくに黒人の人口割合の高い地域。アフリカにルーツを持つ文化が生まれた。

 

第3問 第2問同様、良問が並ぶ。地理A的なのは問6。問2が難問かもしれない。

 

問1 「海外在留邦人」というのは、外国に住む日本人ということ。基本的には外国に住みながらも国籍は日本である者に限定されるのだが、表をみると「永住者」も含まれており、その定義はややあいまいなものになっているようだ。永住者の中には、現地の国籍をすでに取得している者も多いだろう。

こういった問題で常にキーワードになるのは「留学生」の数である。留学生が多く送られているのは主に先進地域。とくに日本の場合は外国語としては英語が普及しているので、英語圏への留学が多い。このことをヒントに考えると判断が容易な国がある。

まず最初に「総数」に注目。1はかなり多く、この国は日本との関わりがとくに深く、さらに国自体の規模も大きいのではないかと想像できる。2や3も比較的多い。4や5は人数が少なく、これらの国々は日本と関係が薄いか、小さい国と考えていいだろう。この「総数」から得られる手がかりを頭に入れておこう。

では総数を確認したので、ここで「留学生」に注目しよう。表中に「留学生・研究者・教師」を合わせた割合が示されているので、これを検討してみる。1と3においてこの値がとくに高くなっている。2・4・5についてはほぼゼロであり、極端な差があるので判断に迷うことはない。

このことより、1と3は米国とイギリスであると考えられる。先進国であり、さらに英語圏でもある両国には、日本からの留学生が多く滞在しているのだ。ここからは絶対数に注目する。人数が多い1を、日本と交流がさかんで人口自体も多い米国と判断し、残った3をイギリスとみる。

ここからは「永住者」に注目しよう。かつて日本から多くの移民が海を渡ってブラジルへと向かった。国籍を取得するなどして、永住する者が多い。このことより「永住者」の割合が高い2と4が南米の2か国アルゼンチンとブラジルに該当すると考える。さらに総数に注目すれば、2が人口規模の大きいブラジルであると判断できる。

残った4がシンガポール。日本と関係が深い国であり、もっと日本人が多そうな気もするが、何しろこの国は規模が小さい。人口は500万人に満たないのだから、その中で2万人も日本人がいるっているのはむしろかなり多いともいえるわけだ。

問2 原則として、自国との関係が深い国に対してODAを供与する傾向が強い。

アルジェリアは位置的にフランスに近く、かつての宗主国・植民地なので、現在でも重要な関係にある。よって3がアルジェリア。

パプアニューギニアはオーストラリアに近いので、4が該当。

フィリピンはかつて米国の植民地であったという歴史もあるが、現在はやはり日本との関係性が深いので、2と考える。ODAとは政府「開発」援助という名前でもわかるように、道路や港湾などの整備など施設の開発・建設に用いられることが多い。道路をつくり、港湾を設け、そして工場が進出しやすい条件を整えているということなのだろう。

残った1がエジプトとなる。

問3 問2の解説でも述べたように、ODAは政府「開発」援助である。

問4 1;正文。中国では全人口の9割を占める漢民族に対し一人っ子政策が実施されており、人口増加率を抑えている。ただし少数民族には適用されていない。

2;誤文。緑の革命はその導入に多額の資本投下を必要とする。そのため財力のある金持ちのみがその利益を独占し、貧しい小作農には行き渡らない。貧富の差は拡大する。富める者はさらに栄え、貧しい者はさらに貧する。これが資本主義というもの。

3;誤文。小麦の方が多い。

4;誤文。イギリスやフランスでは農業の合理化が進む一方、イタリアなど後進的な農業地域は未だに小規模で生産性の低い農業が行われている。

問5 原油の方が石炭より先に枯渇するといわれている。知識問題ではあるが、これくらいのことは中学でも学習するのではないか。

問6 マーストリヒト条約はEUの結成。ここはワシントン条約に直す。このような国際政治に関する出題は地理A特有のもの。

 

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