2000年度地理A追試験解説

たつじんオリジナル解説[2000年地理A追試験]

 

(カテゴリー1;地理A的な問題。単なる用語の意味を問うもの。民族宗教についての難問。意味不明の問題)6

(カテゴリー2;地理A的ではあるが、地理B的な解き方もできる。本来なら地理A的な知識問題としてつくられているのだろうが、地理B的な視点もある)1・4

(カテゴリー3;地理Bで出題されてもおかしくない。ただしその場合はちょっと妙な問題だなという印象は残る。地理B的な知識問題)2・5・7・11・15・16・17

(カテゴリー4;完全な地理B問題。思考問題になっている)3・8・9・10・12・13・14・18・19・20・21

 

第1問 現代文の問題があったり、また選択肢があいまいなものがあったりして、意外に苦しみそう。

 

問1 1;右上に漢字の看板が見られる。中国だろう。

2;これはよくわからない。人々の顔を見る限り、アジア系のようであるが。

3;つばの広い帽子はアンデス山脈。高原特有のきつい直射日光をさえぎる。

4;右上にアラビア文字がある。アラブ人国家ということでこれがエジプトだろう。パイプでタバコを吸う男性や、民族衣装をまとう女性などもみられる。

問2 ナショナルとは国家という意味なのだから、アラブナショナリズムとはアラブ国家主義ということだろう。アラブ民族から構成される国々が結束を固め、アラブ世界の利益を守っていくことではないか。

リード文参照。国際政治の話題の中でアラブナショナリズムという言葉が登場していることから、これが政治的なキーワードであることが推測できる。

1;OPEC(石油輸出国機構)の加盟国には、イラン・ナイジェリア・インドネシア・ベネズエラなど、非アラブ国家も含まれている。またOPECとは、原油の産出をコントロールし、価格を調整することを目的とし、(政治というより)経済に関する機構であるといえる。

2;イスラエルはユダヤ民族。ユダヤ民族とアラブ民族は非常に共通点が多いのだが、宗教が決定的に違う(ユダヤ教とイスラム教)ので、対立がきわめて激しい。かつてパレスチナの地に栄えていたパレスチナという国はアラブ系パレスチナ人の国である。ここに第2次世界大戦後世界中からユダヤ人が集結し、パレスチナ人を追い出した後、イスラエルを建国した。国を失い難民となったパレスチナ人たちは周辺のアラブ諸国へと逃げ出す。この不条理ともいえる国土略奪の歴史が、現在まで続くパレスチナ問題(ユダヤとアラブの対立)につながっている。

3;原油で栄えた国には、そうでない国から労働者が流入する。サウジもエジプトも同じくアラブの国であるが、富める国と貧しい国の差は存在し、まさに政治と経済とは全く異なるものなのだ。

4;これはよくわからない。地理の問題というより倫理の問題か。

以上より、4については不明瞭なのであるが、アラブ民族主義的なものとしては2を正解とするのが適当だろう。

問3 現代文の問題のよう。リード文をしっかり読むことが必要。

1;3行目。H氏は遊牧民のことをアラブと呼んでいる。

2;下から5行目。アラビア半島から渡って来た者をアラブと呼んでいる。

4;最後の段落。国際政治においてアラブという言い方をしている。

問4 イスラム教に関する知識。やや難しい。

1;正しい。2;モスク(イスラム寺院)に行くのは金曜日。3;成人男子だけではない。女性も含め、イスラム教徒は一生に一回メッカに巡礼する。4;豚肉は食さない。だからといって羊の肉だけを食べるわけでもないだろう。

イスラム教の主な教義について。コーランを聖典とする。一日5回メッカの方向を向いて祈りをささげる。一生に一回はメッカに巡礼。飲酒は禁じられている。豚は不浄のものとされ、食べるのはもちろん、飼育もされない。一夫多妻が許されている(4人まで)。

問5 インドネシアは世界4位の人口大国。約2億人が居住する。イスラム教徒人口が1億7千万もいるイが該当。

バングラデシュはその人口の多さ(1億4千万人で世界8位)もさることながら、人口密度の高さに最大の特徴がある。ウが該当。

問6 1;問5を参照すればわかるようにイスラム教徒は1億7千万。たしかにこの数字は大きいものの、2億人の人口を考えればまだ国内には3千万もの非イスラム人口が存在していることになる。徹底的な改宗がなされているのか。そもそもそれが可能なのか。バリ島というヒンドゥー教がさかんな島も国内にはあり、観光で有名。

2;よくわからない。たしかに高温多湿ではあるが。

3;ブミプトラはマレーシアのキーワード。

4;これもよくわからない。

2と4の間でカンで当てるしかない。

問7 1;中国南部とは華南のことだが、かつてこの地から環太平洋地域とくに東南アジアに移民が流出した。かれらは華僑とよばれ、現在ではその子孫は現地の経済的リーダーとなるまでに成長している。正文。

2;オーストラリアの先住民はアボリジニーという有色人種。白豪主義の時代には迫害されたが、居住が認められていないとは言い過ぎ。誤文。

3;先住民インディアンはむしろ少数派となってしまったが、イギリス系白人、黒人、そしてメキシコからの移民(ヒスパニック)始め、実に多種多様な人種のサラダボウル。正文。

4;中国12億の人口のほとんどは漢民族。ペキン方言、シャンハイ方言、フーチエン方言、コワントン方言などさまざまなものがあるが、全体としては中国語である。ただし一部に少数民族も存在し、彼らには民族独自の言語を用いる者も多い。正文。

 

第2問 良問がそろっている。かなりの佳作。同じテーマを扱った98B本第5問と比べても、こちらの方が断然上。スマートで解きやすい問題ばかり。

 

問1 「南アジアに火山はない」というセオリーを利用。インド周辺にみられる△と●は火山ではない。つまり★が火山災害。インドネシアやメキシコなど環太平洋地域に多いのも特徴。安定陸塊であるアフリカにもみられるが、火山は一般的にみて新期造山帯に多いものの、実は世界中いたるところにあるのだ。南アジアを除いて。

バングラデシュに注目。三角州の上に国土が乗り、巨大熱帯低気圧サイクロンによる被害がとくに大きい国。この低平な国土に高潮に襲われたら莫大な死者が出る。インド東部に集中する●が風水害。

問2 津波とは海底地震によって発生するもの。津波を一般的な大きい波であると誤解している人もいるかもしれないが、それは即刻改めてほしい。海底地震が原因となって生じる波以外を津波とはいわないのだ。テレビや新聞でもこの定義を無視していることがあるので、少なくとも君たちは勘違いしないこと。

問3 火山は世界中の至るところにみられるが、主に新期造山帯に沿って分布する。石炭は古期造山帯の分布と一致する傾向が強いものであり、火山とは無関係。

1;ニュージーランド、インドネシア、イタリア、アイスランドなどで研究開発が進むがこれらはみな代表的な火山国。わが国でも東北地方や九州の火山地帯で地熱を利用した発電施設がみられる。

3;地学で勉強するような項目だろう。花崗岩のように火山活動によって形成された高級石材もある。

4;われわれ日本人にとっては「火山=温泉」というイメージは持ちやすいだろう。

問4 地震の直後は狭い範囲で、それから時間が経つごとにエリアを拡大していった。火災の延焼を考えればいいだろう。地震が昼食の準備で火を使う時間に発生したことも大きい。

問5 1;倒壊率の高い地域は、海岸に隣接してはいない。

2;液状化は沿岸部。

3;47年の図で白地になっている部分では倒壊率は高くない。逆に黒字の部分の倒壊率は高い。

4;47年を95年を比較して、陸地の部分が増えているのがわかるだろうか。沿岸部が埋め立てられて、人工的に土地が広げられた。「掘り込み式の港湾」ではなく、「埋立地」とするべきだろう。

ここで液状化について説明しておこう。地盤が水分を多く含んでいる場合、地震による振動によって水の分子が表面に染み出てきて、泥水があふれたような状態になる。河川沿いの低地などでみられる他、とくに埋立地において顕著である。図を参照すればわかるように、阪神淡路大地震の際には、とくに埋め立てられた海岸部や人工島においてこの被害が大きかった。

ところで、液状化という言葉が新聞をにぎわせたのが95年。そしてその5年後の00年にこういった形で試験に出題されることとなった。たしかに液状化とは時事キーワードであるかもしれない。それにしても5年の時間差があるわけで、受験生である君たちは新聞やニュースなどで最新の話題から遠ざかっているかもしれないが、とくにそれを気にすることはないだろう。

問6 都心と郊外の人口構成の違いをテーマとした問題。

一つ目。大都市で働く人の多くは、その郊外にある住宅地に住むことが多い。昼間人口は都心で高く、夜間人口(これを常住人口ともいう)は郊外で高い。このことより3の「夜間人口が少ないため」が誤りとなる。

もう一つ。人口が新たに流入し、新しい都市がつくられつつある大都市郊外は、若い世代が多く、老年人口割合は低い。それに対し、古い住宅が並び、若者は郊外に流出してしまう都心においては、老人が取り残されてしまう。このことから4が誤りとなる。「開発時期が新しいほど高齢者の比率が高い」が明らかに違う。

 

第3問 オセアニアの広い範囲を扱った問題は貴重。ポイントをとらえた問題が多いのでぜひともやってみよう。

 

問1 赤道を問う問題はしばしばみられるが、回帰線は初めて。中緯度高圧帯の影響により少雨地域が多いことが手がかりになるだろう。

問2 Aがミクロネシア。ミクロは小さいという意味。日本からの距離も小さい(つまり近い)と押さえておくといい。米国領グアムなど。

Bはメラネシア。メラとは黒いという意味(たとえば、メラニン色素とは黒い色素である)。ニューギニア島、ニューカレドニア島が該当する。

Cはポリネシア。ポリは多いあるいは広いという意味。ポリ袋やポリバケツにもこの語は用いられている。経度180°より東側の太平洋が該当するが、例外的にニュージーランドも含まれることを知っておこう。ニュージーランド先住民のマオリのキーワードはポリネシア系。

参考;ミクロネシア系民族も、メラネシア系民族も、ポリネシア系民族も、人種区分としては3大人種(白色・黄色・黒色)のいずれにも属さず、独自の特徴を備えている。ただし、ポリネシア系については海洋モンドロイドという別名もあるように、実はかなり黄色人種に近い。同一視する学者もいる。とくに冷涼な気候の中で独自の森林文化を培ったという共通点を持つマオリと北海道のアイヌは、見的な特徴も似ているのだそうだ。

問3 太平洋には多くの小さな島々があるが、必ず知っておくべきはニューカレドニアのみ。オーストラリアの東方に浮かぶニューカレドニアは観光の島。フランス領で美しい海岸が特徴。ただしこの島についてはむしろニッケルの産出こそが重要。加工が容易な伝導体であるニッケルは先端産業には欠かすことのできない希少金属(レアメタル)であるが、ニューカレドニア島は南半球最大のニッケル産地である。

このことから、Q・cの組合せがニューカレドニアとなる。

ハワイについては過去問でも登場しているし、有名な島でもあるので常識の範囲で答られるだろう。R・aが該当。

問4 風の吹き抜けがいい(というより、向こうまで丸見え!)家のつくり。かなり特殊である。

1;暑いから風通しがいい構造にする。

2;乾燥気候なら樹木は生育できない。写真には多くの樹木が写っている。

3;熱帯低気圧は、緯度10~20°の海上で発生し、そこから緯度20~30°付近にまで成長しながら移動し、大きな被害を及ぼす。とくに暖流が流れている大陸東岸で発生する。サモアはこの条件に当てはまっているようだ。

4;この付近にはプレートの境界(地図で海溝を確認しておくといいだろう。海溝はプレートの「狭まる境界」である)があり、変動帯となっている。地震は多い。

問5 これは見て比べるだけの問題。焦らないように。

問6 問題文にヒントがある。「イギリスの影響下」とある。

タイは独立を守り通してどの国の植民地支配も受けなかった。アルジェリアを植民地として支配した宗主国はフランス。

問7 二言語国家ベルギーは頻出。地理Aだけでなく地理Bでも問われているので必ず知っておく。

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