共通テスト試行試験(2018年)解説

たつじんオリジナル解説[試行試験(平成30年)]            

 

[1][解法]上から見た図(図1)だとちょっとわかりにくいんですよね。細長い島が砂なのか、山なのか。

ただ、図2を見ればそれが明らか。こちらは斜め上空から立体的に描かれており、この島が「山」であることがわかる。中央に尾根が通り、海岸線に平行した山だったと思われる。それが沈降して、このような形状の海岸線となる。

同じ沈降地形であっても、海岸線に垂直の方向に尾根が伸びる場合にはリアス海岸になる。三陸海岸にみられるような、ノコギリ状の海岸線。こちらは海岸に平行した方向に尾根が伸びていたため、尾根(稜線)部分だけが水面上に残ることで、図1のような地形となった。アについては「平行」でいいだろう。

さらにイについては文章に注目。「雨水や河川など」により「形成された谷」とある。これ、もちろん「侵食」だよね。水の力によって地形が削られ、深い谷となった。火山活動や地震など地殻変動を伴う、地球内部からの力を「内的営力」というのに対し、風雨による侵食や堆積など、地表の外側からの力を「外的営力」という。イは「外的」となり、③が正解。

なお、このような形状の海岸を「ダルマチア式海岸」という。ダルマチアとは、クロアチアの沿岸部のことで、細長い島が海岸線に沿って数多く並ぶことで、複雑な海岸線を形成している。リアス海岸と同様に、河川の侵食と土地の沈降によるものである。

[難易度]★

[コメント]ダルマチア式海岸は、共通一次、センター試験を通じて初めて登場(クロアチアの海岸線が美しいという話題はちょっとだけ出たことはあるけれど)。ただし、ダルマチア式海岸についての知識が問われているわけでもなく、そこは無問題かな。それよりGISを使った問題である点が興味深い。これからはこのパターン、多そうだね。

 

[2][解法]これ、結構難しいね。Aの判定は簡単なんだけれど、火山と震央の判定がちょっと悩む。

とりあえずA〜C、カ〜クの対応から考えていこうか。火山活動や地震は、プレートの境界に沿って生じることが多い。AからCの地域はいずれも海溝すなわちプレートの狭まる境界がみられ、この位置を考えればカ〜クの判定は容易。とくにわかりやすいのはBかな。日本列島はプレート境界に沿って形成された弧状列島であり、とくに東日本の太平洋岸には陸地と平行して日本海溝が走行している。さらに南の延長線上には伊豆・小笠原海溝、マリアナ海溝と続き、北には千島・アリューシャン海溝が連なる。図の東部を南北にjとkが並ぶカがBと判定していいだろう。

さらにC。範囲内のやや東部を北北西から南南東に伸びるスマトラ島、そして南部に東西に走るジャワ島。これらのインド洋側の沿岸に沿ってプレート境界がみられ、海溝が形成されている(スンダ海溝)。スマトラ島北部のプレート境界は2004年に発生した巨大地震(マグニチュード9.1)のスマトラ島沖地震の震源地となり、沿岸に津波被害を及ぼした。島の並びから海溝を考え、さらに火山や震源と対応させる。Cがキである。

よって残ったAがク。これはちょっとわかりにくいかな。Aの範囲の北部にキューバ島やエスパニョーラ島(ハイチとドミニカ共和国)、プエルトリコ島があるが、ここから南米のベネズエラに向かって島々が並び、弧状列島となっている。クの図の東部にjやkが連続している部分があるが、この弧状列島に沿ったもの。

さて、ここからは火山と震源について。日本付近を示したカで考えてみていいと思うんだよね。日本列島には多くの火山が存在している。北海道には多くのカルデラ湖がみられ、これらはもちろん火山。東北地方にも。中央を縦断する奥羽山脈の秋田県側と山形県側にはいくつも有名な火山はある。岩手県でも地熱発電も行われているね。関東地方から中部地方にも浅間山や富士山などの火山がみられ、さらに九州にも阿蘇山や桜島がある。海溝はプレートの狭まる境界t海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込む)と一致するもだけれども、それと並行するように、やや大陸側に火山が並んでいる。カが日本周辺のBの図だったね。プレート境界である海溝に沿って震源が集中し、それより大陸側(本図の場合、東側)に海溝と平行して火山が並んでいる。jを「震源(震央)」、kを「火山」と考えるとしっくりくるんじゃないかな。

インドネシア周辺のCを表したキもわかりやすい。北西から南東に伸びる海溝と震源が一致し、その北東側にあるスマトラ島やジャワ島に火山が並んでいる。以上より⑥を正解とする。

なお、ク・Aについてはとくに考慮する必要ないと思う。クの東部に連なっている火山は弧状列島の島々であり、この位置に小さな島々が弓なりの形で並んでいることを地図で確認しておいてもいい。また、西部は中央アメリカ海溝とそれに平行する火山。やはりここでも「海溝の大陸側に火山が並ぶ」パターンがみられる。

[難易度]★★

[コメント]Aを答える問題だが、Bがカであること、Cがキであることを特定し、消去法でAがカであることを判定するという形になると思う。それだけAは特殊な地域。

震央と火山の判定については、日本の形をきちんと意識すること。例えば日本の東北地方に注目してみると、プレート境界は太平洋の沖合だが、火山は奥羽山脈の秋田県や山形県に多い。海溝からやや離れて火山帯が平行している様子を考える。

 

[3][解法]1月と7月の降水量が示されているが、シはいずれもほぼ降水がみられず、年間を通じて少雨気候であることが想像される。スも1月と7月の降水量にほとんど差はなく、こちらは年間を通じて湿潤な気候になるのだろう。注意して欲しいのはサで。一見すると雨季(1月)と乾季(7月)の明瞭な気候であるように思えるのだが、少雨である7月ですら月降水量は80ミリほどに達し、決して乾季というわけではない。降水量に季節ごとの差はあるが、年間を通じて湿潤であると考えていいと思う。

まず、わかりやすいシから考えよう。Fに注目。ペルーの沿岸部であるが、寒流の影響によって大気が安定し、降水がほとんどみられない。砂漠気候となっている。シの文章を参照すると、「降水がほぼ記録されていない」ことからFと判定されている。これは正しい。しかし問題はその理由である。「低地の気温も低く、雲が発達しにくい」ことは間違いではない。寒流によって地表面付近の大気が冷やされ密度を増し、上昇気流が生じない。その理由である「高い山脈の風下側に位置する」についてはどうだろう。なるほど、たしかにこうした理由で降水量が少ない地域が南アメリカ大陸にもある。アルゼンチン南部のパタゴニア地方である。偏西風帯に位置し、太平洋側から吹き込む西風が卓越している。海洋からの湿った空気はアンデス山脈西麓の風上側斜面に豊富な降水をもたらすものの、乾いた風が風下斜面側へと吹き下ろし、アルゼンチン南部は少雨となり、乾燥気候がもたらされる。Fの地域の少雨の原因ではないので、シの文章は誤りである。

残る2つについて考えていこう。サとスを比較すると、いずれも年中湿潤と考えられるものの、年間の降水量についてはサの方が多いと思われる。EとGのうち、より多雨であるのはどちらだろうか。アマゾン低地の熱帯地域に位置するEの方が、ラプラタ川エスチュアリーに近い温帯地域のGより年降水量が多いとみていいのではなだろうか。サをE、スをGと判定する。

文章をみても、サがE、スがGとされているので、ここまでは正しい。問題となるのは、サとスの文章における「理由」の部分である。まずサから。「北東貿易風と南東貿易風の収束帯」とある。これ、「熱帯収束帯」だよね。「赤道低圧帯」ともいう。赤道付近に形成される空気の帯で、低緯度地域に多雨をもたらす。7月を中心とした時期(北半球の夏)やや北半球側に、1月を中心とした時期(南半球の夏)はやや南半球側に、それぞれ移動し、それぞれの半球の低緯度地域の雨季の原因となるものだが、Eのようなほぼ赤道直下の地点ならば、年間を通じてこの影響を受けると考えられるだろう。サは正文である。重ねて言うが、サで7月の降水量が少ないように見えるが、それは1月と比べてそう思えるだけであって、月降水量は80ミリほどであり、多雨と考えるべき。熱帯収束帯のもたらすスコールに見舞われるのだ。

さらにスについて。日本(本州から九州)の地球の裏側にほぼ位置しており、日本と同じような気候がみられると思っていいんじゃないかな。日本では「寒気と暖気の境界に生じる前線」の影響は強いよね。梅雨前線が例。Gにおいても同様の状況が考えられ、スは正文と考える。以上より③が正解。

[難易度]★★★(ランダム正誤判定であるので、解答が困難である)

[コメント]3つの文のうち、誤りがいくつ含まれているかわからない「ランダム正誤判定問題」である。これ、難しいよね。選択肢が4つある誤文判定問題ならば、正誤のバランスは「3+1」であり、正文判定問題ならば同じく「1+3」である。ある選択肢の誤りを指摘すれば、他の文が正しいことが明確になるのが御分判定問題であり、正文判定問題も似たものである。それに対し、このランダム正誤反対はある選択肢の正誤を判定したところで、他の選択肢についての正誤は類推できず、それぞれ別個に考えていかないといけない。部妙な選択肢が含まれていた時に大変困るわけだ。今後はこうした形式での出題が増えることが予想される。本問に典型的なように「何となく正しいように思えたら「正文」である」、「確実に誤っている場合のみ「誤文」とせよ」という意識を持つといい。性善説ではないが、基本的に文章は正文であると思って読んでいい。よほど明確に間違っている場合のみ、それを「誤文」とし、どちらか悩んだら「正文」のままにしておけばいい。

 

[4][解法]変な問題。普通に③が正解なんじゃないの?まず①は誤りだね。日本ならば35℃という数字が目安となるだろうけれど、西アジアの低緯度乾燥地域では35℃は夏の気温としては普通(むしろ低いぐらい)だろうし、逆にヨーロッパでは30℃でも十分、いつもの年より猛暑といえるかも知れない。「世界の様々な地点」について一つの数字を基準にしてはいけない。

さらに②。今年のデータだけではわからない。過去と比較しないと。

そして④。人間の主観や感覚で判断するのはやっぱり適切とはいえないんじゃないかな。

妙な問題だけれども、①・②・④は確実に消せるので、③が残される。

[難易度]★★(当たり前過ぎて逆に答えにくいんじゃないかな)

[コメント]妙な問題。簡単なんだけれど、答えにくいような気がする。言われたら当たり前だが、だからといって確信をもって③を答えとはしにくい。「何となく」解くタイプの問題だね。こういうの苦手な人、多そうだな。

 

[5][解法]小地形の問題。平野は大きく「侵食平野」と「堆積平野」に分けられ、侵食平野には「構造平野」が含まれ、堆積平野には「海岸平野」、「洪積台地」、「沖積平野」が含まれる。

海岸平野とはかつて浅い海底だった部分が隆起して陸化したもの。海岸沿いの砂浜海岸を伴う細長い低地となり、関東平野の太平洋岸(茨城県や千葉県の沿岸部)が代表例。

洪積台地とは、洪積世(約1万年前。日本の場合、縄文時代に該当)に低地だった部分が隆起し、標高数十メートルの小高い地形となったもの。関東平野の内陸部(下総台地、武蔵野台地など)に汎くみられる。なお、最新の学習指導要領ではこの言葉は削られ、単に「台地」とされている。とはいえ、洪積世の地殻変動によってつくられたことは大切なので、意識しておこう。

さらに沖積平野とは、沖積世つまり現在、形成されている(形成されつつある、と言った方がいいか)平野。主に河川の侵食・運搬・堆積作用によってつくられたもので、「扇状地」、「氾濫原(自然堤防帯)」、「三角州」が沖積平野に含まれる。扇状地は山地と平野の間に形成された緩斜面で、水はけがよいため水田には利用されにくいが、畑や果樹園となる。氾濫原とは河川の中下流にみられる低湿地。一部に自然堤防という微高地がみられる。三角州とは、かつて浅海だった部分に土砂が堆積し陸化したもの。低湿な地形が広がり、水田として利用される。

まずRに注目する。山麓に位置するPは「崖」によって河川沿いの低地とは区別されている。どうだろうか、これは「台地」に位置するとみていいんじゃないかな。「水が得にくい」ことは間違いないと思う。こうした小高く水の乏しい場所を、低湿に対して「高燥」というが、まさにその典型の土地だろう。農業用水を導く水路など整備するまでは水田を開くことはできず、集落の立地も遅れた。ツに該当する。なお、ここで「形成年代が古く」とあるが、QとRがともに「沖積平野」である(これについては後述)ことと関連させよう。Pは洪積台地という地形なのだが、上述のように、かつて低地だった部分が洪積世に隆起して台地になった。これに対し、沖積平野であるQとRはそれ以降の時代(つまり沖積世)に形成されている地形。Pが古いことは確かなのである。

その沖積平野に区分されるQとRだが、やはり違いはある。まずQに注目しよう。Qの上流側に(上空からみると)扇形の地形がみえるのがわかるかな。これが扇状地。山地から平野に出ると、河川の流れが緩やかになり、その場所に(目の粗い)土砂が堆積する。主にレキ(目の粗い土砂。砂利、小石)からなる勾配の緩い斜面である。扇状地の最上部が「扇頂」、土砂が堆積している扇状地の本体が「扇央」、そしてその末端で平野との境界が「扇端」。どうだろうか、Qは扇端に位置する地点である。チに該当するのは明らかだろう。「砂やレキが堆積して形成された」のはまさに扇状地。扇央においては水が地下に浸透する(伏流水)が、扇端付近で湧水となり、この一帯に集落が自然発生する。Qとチとみていいだろう。

以上より、残ったタがPとなるのだが、これには異存はないかな。Rは河川の中下流に広がる氾濫原に位置する。氾濫原は全体には低地であり水田が広がるが、河川沿いには洪水の際に運ばれた土砂が堆積する微高地が形成されている。自然堤防である。やや目の荒い土砂からなっている自然堤防は水はけがよく、洪水の際も水没しない。古い時代より集落が自然発生した。「河川の近くの砂などが堆積した微高地は古くからの集落や畑などに」って、自然堤防についてそのまま説明されているね。また、河川からみて自然堤防の裏側に広がる広大な湿地が「後背湿地」。自然堤防を越えて氾濫した河川水がこちらへと流れ込み、なかなか水が引かない。選択肢の文章の後半では、この後背湿地について説明されている。

[難易度]★★

[コメント]地理Aでよくあったバターンなんだけど、だからといって内容は地理A特有というわけでもなく、地理Bでも良問といえるクオリティの高さ。僕は好きですね。

 

[6][解法]災害の問題ではあるが、各地域の面積や経済規模(GNI)、人口、さらには災害の種類やその対策がいかに進んでいるかなど、多様な側面を考える必要がある問題。

ナに注目してみよう。アフリカの値が圧倒的に低い。これは何だろうか。ニは全体的にバランスがいいようだ(災害に関して「バランスがいい」とは不謹慎な言い方だが、ご容赦のほどを)。ヌではアジアに圧倒的に集まり、他の地域とくにヨーロッパでは(ナやニに対して)値が小さい。

まず面積を考えた場合、オセアニアを除く各地域の面積は比較的バランスが取れている(ヨーロッパにはロシアが含まれるので、他地域に比べ狭いというわけではない)。地球上全体で平均的にいろいろな災害が生じていると考えれば、最も各地域のバランスがとれているニを「発生件数」とみるのは問題ないだろう。

さらにナについて。アフリカでは世界全体の2割の災害が発生しているのに対し、ナについてはわずか1%。これは経済規模を考えればいいのではないか。経済規模すなわちGNIだが、アメリカ合衆国を含む南北アメリカや、EUを主とするヨーロッパで規模が大きく、アフリカではわずかである。大きな災害が発生したとしても、アフリカでは経済的な打撃は小さいものにとどまるのではないか。ナを「被害額」とする。

残ったヌが「被災者数」だろうか。アジアが圧倒的な割合を占めているが、世界人口の6割以上を占めるアジアだからこその数値であろう。東アジアや南アジアはとくに人口が多く、インドを中心とした南アジアはとくに人口密度も高い。ひとたび災害が発生すれば多くの人的被害が生じるのは納得であろう。

その反面、ヨーロッパの値が極端に低いのは興味深い。先進地域であり、災害対策が進んでいることがまず考えられる。人的被害は最小限に抑えられ、さらに経済的な被害もさほど大きいものではない(発生件数が13%であるのに対し、被害額は12%)。さらに災害の種類もあるだろう。「自然現象に起因する災害」にはいろいろなものが考えられるが、やはり熱帯低気圧、地震(ときに火山活動を伴う)、干ばつが代表的なものだろう。ヨーロッパはこれらの懸念が少なく、せいぜい洪水や土砂崩れ、寒波など比較的軽微な災害が主なのではないか(もちろん、これらの災害でも被害者は出ているわけで「軽微」というのは不適当であるが、あくまで問題を解くうえでの便宜上の言い方なので、重ねてご容赦あれ)。

その一方で、熱帯低気圧(サイクロンや台風)、火山災害や地震災害そしてそれにも伴う津波被害が大きいとみられるアジアで、発生件数に対して被害額および被災者数が大きくなっている点は興味深い。低湿地に家屋が広がる、耐震構造の整備されない建物が多いなどの人為的な要因も大きいだろう。

以上より、ナが「被害額」、ニが「発生件数」、ヌが「被災者数」で正解は③である。

[難易度]★★

[コメント]むしろ近年(2016年以降)の内容と傾向をふまえた、センター試験らしい問題となっている。試行試験を俯瞰しても、平成29年より、こちらの平成30年の試験の方が従来のセンター試験の内容を踏襲しているように思われる。新テストは、むしろかなりセンター試験に寄った内容および傾向になることも予想される。

 

[7][傾向]模式図は示されているが問題内容に直接関係はないので、いきなり表1の読解から始めていこう。

「埋蔵量」が試験に問われることはそもそも珍しい。センター試験でもあまりなかったし、私大や国公立二次でもほとんど問題とされない。よって埋蔵量中心でみるのは確実な解答法とは言えないだろう。

ただ、問題文をみると「埋蔵量を年間産出量で除した」ものが可採年数とある。なるほど、バケツ満タンの水(これが埋蔵量)から、コップで一杯ずつすくっていって(これが年間産出量)、どれぐらいでバケツの中から水がなくなるか(可採年数)ということなのだな、と。埋蔵量と可採年数の関係から年間採掘量が類推できるではないか。

もっとも興味深いのは①。埋蔵量は極めて大きい。それでいて、可採年数は他の地行くと比べて極端に長いわけでもない。例えば②は①に比べて埋蔵量は半分以下だが、可採年数は倍近い。いかに①で年間産出量が多いかわかるわけだ。①については「西アジア」と考える。サウジアラビアやイランなど、ペルシャ湾岸の産油国がこれに含まれる。石炭の埋蔵量が極端に少なく、さらに可採年数が極めて長い(すなわち産出量が極めて少ない)ことも納得である。

さらに注目は③である。例えば②と比較した際に、いずれの資源についても埋蔵量に対して可採年数が小さく、年間産出量の多い地域であることが分かる。とくに石炭は可採年数が長いように見えるが、既に表中でオープンになっている欧州とアジアを除くと、埋蔵量は圧倒的であるのに、可採年数は相対的に短くなっている。②と比較しても埋蔵量は20倍近いのに、可採年数は3倍に達しない。産出量はかなり多い。

これに該当する地域はどこだろうか。選択肢は北アメリカ、中・南アメリカ、アフリカである。ここでクローズアップされてくるのは、やはり「資源大国」であるアメリカ合衆国だろう。アメリカ合衆国はエネルギーの自給率については100%を割り、とくに原油については世界最大の輸入国となっているが、それは経済規模が大きく、各エネルギーの消費量が莫大なものであるからであって、産出量自体は極めて大きい。原油産出は上位3つに入り(中国やロシアと並ぶ)、天然ガスは世界最大レベル(ロシアと並ぶ、石炭についても中国が圧倒的であるものの、インドやインドネシアと並んで2番手グループを形成している。③を北アメリカと判定する。

さて残ったのは②と④である。いずれがアフリカで、いずれが中・南アメリカだろうか。実はここからが極端に難しい。埋蔵量と可採年数のバランスから年間産出量を類推してみると、石油と天然ガスにはさほど差がなく、石炭のみ④の方が多い。

他の手がかりがないので、これで考えるしかない。南アフリカ大陸は古期造山帯の分布がほとんどみられず、石炭の算出は少ない地域である。唯一。コロンビアにおいて石炭が重要な輸出品目の一つにはなっているのだが、貿易額そのものが小さい国であり、世界的にみれば石炭産出国として重要なわけでもない。

一方、アフリカ大陸では南アフリカ共和国が世界的な石炭産出国の一つである。南東部のドラケンスバーグ山脈は古期造山帯であり、炭田が分布している。アフリカ大陸で石炭産出に特徴がある国は他にはないのだが、これだけで判定してしまっていいのではないか。②と④を比較し、いずれも埋蔵量は少ないものの、現時点で産出量が多い(つまり可採年数の短い)④をアフリカ、石炭産出の少ない②を南アメリカと判定するしかない。苦しいが、他に何の手がかりもないので、これが精一杯の解答。で、答えをみたら、一応正解みたいね。

[難易度]★★★

[コメント]②と④に絞ってからめちゃめちゃ悩むんだよね、これ。厳しいなぁ。一応「南アメリカは石炭が採れない」だけを判断基準にしてみたけれど、それでは心もとないんだよなぁ。ただ、統計は非常に面白く、これを使っていろいろと議論ができそう。アクティブ・ラーニングに適した教材ではあるよね。

 

[8][解法]問題自体は極めてシンプル。統計的事実を文章正誤問題の形にて問うている。

誤り(正解)は②。原油の最大の輸入国は、アメリカ合衆国。世界最大の経済規模(GNI)を有し、原油の消費量は莫大。原油産出量も多い(世界3位)が、輸入量も多い(世界1位)。なお、原油輸入量2位は中国。中国もやはり経済規模が大きい国で、産出量も多い(世界4位)が輸入量も多い。

他の選択肢についてはとくに問題ないだろう。参考までに解説しておく。

選択肢①について。鉄鉱石の産出上位国で知っておくべきは、中国、オーストラリア、ブラジル。ただし中国は国内消費量が莫大で、むしろ輸入国である(輸入量世界1位)。輸出余力があるのはオーストラリアとブラジルであり、輸出量1位2位はこの2カ国で占められている。

選択肢③について。これはとくに問題ないでしょう。農業、工業、商業すべての産業分野において大規模化は図られている。

選択肢④について。「増加率」である点に注意。もともとの消費量が少ないのだから、増加率は高くなる。[12]の問題でも、増加率(2010年の指数)が高いのは中国やインドなどの発展途上国。

[難易度]★

[コメント]形式は目新しいが、問われている内容は従来と同様。また統計的事実を文章正誤問題で問うパターンもセンター試験ではよく見られた。難易度は低いが、こうした問題で差がつくので、しっかり対応して欲しい。

 

[9][解法]なるほど、これはおもしろい。非常にわかりにくい図であるが、その解釈も含めて設問として成り立っているのだから、そこは文句をつける部分ではない。こうした抽象的な図とそれを説明する文章や表を総合して考える。

まず図2から解析していこうか。鉄鋼生産国とあるので、例えば日本だろうか。日本にも石炭山地(北海道や九州北部など)や鉄鉱石産地(岩手県釜石)に製鉄所がさかんだった時期がある。図には貿易港をもつ都市も示されている。現在はこうした臨海部に輸入原料に依存した製鉄所が設けられている。

資源輸出国については例えばオーストラリアがある。国土に炭田と鉄山が分布し、石炭と鉄鉱石の産出量が多い。しかし、国内では鉄鋼業は発達せず、貿易港から日本などに輸出されている。

さらに表2について。鉄鋼を1トンつくるためにどれぐらいの石炭と鉄鉱石が必要かという表である。100年前は「鉄鉱石<石炭」のバランスだった。鉄鋼をつくるためには、石炭の燃焼による高温で鉄鉱石を溶かし、鉄を取り出さないといけない。いずれも鉄鋼生産のためには非常に重要な原料である。

さて、ここでちょっと考えてみよう。1901年の段階ならば、石炭産地と鉄鉱石産地、どちらに製鉄所を設けた方がコストを安く抑えられるだろうか。1トンの鉄鋼をつくるために必要は石炭は4トン、鉄鉱石は2トン。石炭を鉄鉱石産地まで運べば4トン分の輸送量となるが、鉄鉱石を石炭産地までなら2トンで済む。なるほど、石炭産地に製鉄所を設けた方が輸送コストはかからないわけだ。初期の製鉄所は「炭田立地」型となりやすい。

そうしたバランスが崩れ始めてくるのが1930年。石炭の燃焼効率がよくなったのか、製鉄技術が上がったのか、必要とされる石炭の量が急減し「鉄鉱石>石炭」のバランスとなった。今度は石炭を運んだ方が安くつくよね。従来の石炭立地型の鉄鋼地域の有利性が失われていく。

しかし、それより大きなムーブメントとして、そもそも両方とも輸送してしまえばいいじゃないかという考え方が主流となってくる。輸送というか「輸入」というべきか。例えば日本の炭田は坑道掘りである。地下深くの層に含まれている石炭を、坑道によって掘り進む。コストが高いし、何と言っても危険を伴う。図2の下部の文章にもあるように「1970年代以降、坑道掘りは産出量が減少」したのだが、とくに日本では1960年代の高度経済成長期に主なエネルギー源が石油(原油)へと変化し、国内の炭田は次々と閉鎖していった(現在はゼロ)。新たな製鉄所は輸入に適した臨海部へと設けられ、鉄鋼生産に必要な石炭と鉄鉱石はオーストラリアなどから運ばれた。

以上のことを意識して図3を解析していこう。最もわかりやすいのはイではないだろうか。製鉄所が港湾都市の周辺に集まり、臨海型の製鉄所であることがわかる。原材料は輸入に依存しているのであろう。これが最新の形であり「2000年前後」である。

おもしろいのはイの段階でも内陸部に一つだけポツンと製鉄所が残されていること。旧式の製鉄所であろうし、やがては消えていくのだろう。

ただ、アとウに注目してみると、イの内陸部の製鉄所に関しては、アでは存在しているのに対し、ウではその姿がない。ウが最も初期の形であり、やがてアのように製鉄所が分散、最後にそのほとんどが臨海部へと立地移動を起こしたという流れが見えてくるのではないか。つまり、最も古い段階がウであり、それに続くのがア、最後がイというパターン。

なぜ最初にウのように一箇所に製鉄所が集まっていたかといえば、それは炭田が存在していたからではないか(図2の上の図が対応しているのだろうか、よくわからないが。たしかにこの位置に石炭産地がある)。

ただし、1960年の段階では、輸送コストの関係からすでに鉄鉱石産地に製鉄所をつくった方が有利となる。なるほど、鉄山付近へと製鉄所が移動している(こちらも図2の上部の図と対応している)。

そして最後には臨海部へと製鉄所が集まる。なるほど、やはり図2の上部の図をみるに、資源輸出国では安価な露天掘りにて鉄鉱石や石炭が産出されている。坑道掘りの従来の資源よりはるかに安い値段で鉄鉱石や石炭が得られるのではないか。そうした安価な資源を貿易することによって、国境を越えた生産活動が成り立っている。正解は⑤ですね。

[難易度]★★

[コメント]

たいへんおもしろい。これ、アクティブ・ラーニングにめちゃ適しているよね。坑道掘りが高く、露天掘りが安い。鉄鋼生産に必要は石炭と鉄鉱石のバランスが変化する。製鉄所が石炭産地から臨海部へと移動する。さまざまな要素が含まれ、理論的に考えることができる。これらの資料を用いて、鉄鋼業はいかに変化していったかを論じるような、そんな授業展開を考えての設問である。素晴らしいと思います。

 

[10][解法]工業化や経済に関する文章正誤問題。正文判定問題であるので、3つの「誤り」を指摘しよう。

まず選択肢①。ここでは「輸出指向」と「輸入代替」という言葉がポイントになっている。最初に結論から言っちゃえば、これ、順番が反対なのだ。2つの語を入れ替えることによって正文となる。工業化初期の段階が「輸入代替」、それが発展して「輸出指向」となる。例えば工業化がみられない発展途上国があるよね。それまでは全ての工業製品を輸入していた。しかし、これでは赤字ばかりがふくらんでしまう。そこで、とりあえず自分でできる工業については自分の国でがんばろうっていうことになる。「輸入」する代わりに、つまり「代替」することを目的として、工業生産を始めるということ。もちろん発展途上国で十分な資本や技術もないので、この段階の工業は軽工業が中心になることが多い(例外あり。後述)。外食に頼っていた人が、それでは出費がかさんで仕方ない、ということで簡単な料理を自炊するようになるって感じかな。

やがて技術水準もあがり、工業製品の大量生産に成功し、あるいは重工業化も進む。国内のマーケットが小さい場合、そうした工業製品が余ってしまうよね。だから、今度は外国のマーケットを対象として、つまり「輸出」を目的として工業化を推し進めることになる。これが「輸出指向」型。韓国や台湾などのアジアNIEs、東南アジアの国々など、この「輸入代替→輸出指向」という過程によって工業国への道を歩んで言った。韓国やマレーシアって人口が少なく、つまりGNIが小さく、国内市場(マーケット)の規模が小さい。工業生産力が国内需要を満たしてしまい、必然的に輸出指向型の工業化政策を取らざるを得ない。この際には、選択肢の文にもあるように「外港資本の導入」もなされただろう。「輸入代替→輸出指向」ベクトルが絶対的であり、逆方向はありえない。①は誤りとなる。

(参考)国内市場が大きい国の場合は、重工業カが進んでも「輸入代替」型の工業化政策を継続する国がある。インドとブラジルがその典型例。インドでは、国営企業と民間企業との混合経済体制がとられてきたが、1970年代には既に日本企業(スズキ)と合弁にて自動車メーカーが設立され(スズキ・インディア)、国内市場向けに生産活動が活発になった。ブラジルも鉄鋼業や機械工業が発達したが、それらは主に国内市場向けであった。人口が大きく市場が大きい(GNIが大きい)ため、輸入代替型工業であっても生産性を上げることができたのだ。しかし、外国企業との競争がないなどの理由で生産が停滞し、経済成長率が下がる。市場開放によって外国資本を導入し、電気機械や自動車などを輸出産業として成長させようとする。つまり「輸出指向」型工業への転換である。グローバル化と国際分業が進み、国境線の意味が薄れる現在、世界の全ての国は輸出指向へと舵を切っているのだ。

選択肢②について。そのグローバル化と国際分業がポイントになっている。かつての世界貿易は、先進国が工業製品を輸出し、発展途上国が原材料や食料品を輸出する「垂直貿易」と、先進国同士が完成した工業製品を輸出し合う(例えば日本からアメリカ合衆国へと自動車が、アメリカ合衆国から日本へとコンピュータが)「水平貿易」によって、説明しつくされるものだった。しかし、21世紀の世界においてはグローバル経済化が進み、発展途上国の工業化が当たり前のものとなった。むしろ高賃金の先進国では「産業の空洞化」が深刻になるほどで、中国や東南アジアが世界の製造業の中心地とも言えるほどに成長している。

そうした中で、東アジア・東南アジアの貿易が減少しているだろうか。例えば、先進国と東アジア・東南アジア地域との貿易は間違いなく増加している。工場が進出し、生産活動を行い、製品を輸出している。これに対し、「東アジア・東南アジア域内の貿易額が減少した」という箇所はどうだろう。そもそも発展途上地域であっても経済規模が大きくなる(GNIが大きくなる)のだから貿易額自体は増加して当たり前だろう。さらに言えば、ここでは「国際分業」がキーワードとなる。ある国で部品をつくり、ある国ではそれを組み立てて完成品とする。技術レベルや賃金水準が多様であるからこそ、それぞれの国が協力しあって、地域全体の工業化が促進される。古い時代ならば国境を接する国は必ず対立した。領土争いであり、直接的に武力が行使される。しかし、21世紀の現在、もやはそうした対立は時代遅れである。経済連携をし、共同で産業振興を図った方がお互いにとって利益が高いのである。まさに時代は国際分業である。「域内」の貿易額こそ極めて増加していると考えるべきだろう。

というわけで、選択肢④の内容にも既に触れてしまっているね(笑)。国際分業が世界の工業のキーワードなのだ。とくに東南アジアのように、狭い地域にさまざまな経済レベルの国が近接している場合、国際分業は有利となる。シンガポールで技術開発し、マレーシアの熟練労働者の技術によって部品を製造し、タイやインドネシアなど賃金水準の安い国で組み立てる。もちろん日本や台湾などからの電子部品の輸入も多いだろう。タイには日本企業が多くの自動車製造工場を進出させている。インドネシアのように資源の豊富な国もある。「原材料から最終製品」まで、国境を越えた分業によって工業化が進展している。

[難易度]★★

[コメント]非常にスマートは問題だと思います。僕は好きですね。正文選択問題なので、3つの誤文を指摘しないといけないのですが、そのいずれもがスマートな解法によって判定できるのです。

選択肢1は「輸入代替」と「輸出指向」という相反する言葉を入れ替えることで誤文が正文に訂正され、選択肢2は先進国と発展途上国とを対比することがポイント、選択肢3は「経済格差は拡大する」という現代の高度に資本主義化する世界の大原則が問われています。また、正解選択肢が4というのもいい。否応なく全ての選択肢を熟読しないといけませんもんね(笑)。いい問題です。

 

[11][解法]試行試験ってこうした「極めて普通の問題」っていくつか含まれているよね。このパターンは継続されるのだろうか。

発電に関する問題。水力と地熱、バイオマスが問われている。最も重要なのは「地熱」。地熱発電は火山地域で行われるわけだが、そもそも地球上の火山の分布は限られているわけで、地熱発電国も同様に限られる。

表2参照。アメリカ合衆国と中国はカ〜クのいずれでも上位にあるのでポイントとはならない。他の国で考える。そうするとなるほど、非常に特徴的な火山国が並んでいるものが一つあるではないか。フィリピン、インドネシア、ニュージーランドはいずれも環太平洋地域に位置する国で、国土のほぼ全域が火山帯に属する。アメリカ合衆国とメキシコも(国土の全体ではないが)太平洋沿岸には火山が分布している。カが「地熱」。

しかし、フィリピンやインドネシアのような発展途上国、ニュージーランドのような人口小国がランクインしていることには驚かされる。そもそも発電量はGNIの規模に比例するものなのだが(よって、GNI世界1位2位のアメリカ合衆国と中国が発電量でも上位にあるのは当然)、そうした「小国」の発電量が多いということは極めて特殊なことなのだ。いかに地熱が特殊な発電方式かということがわかるし、火山という「資源」に恵まれた日本という国は実に幸運な存在であるのだ。もっと地熱発電を広げるべきだと僕は思うよ。

さらにクが水力。代表的な水力発電国といえばブラジルもあるんだが、キにも含まれているからこの国はヒントにならない。やはりカナダとロシアに注目しよう。カナダは、水力・原子力主の国。化石燃料の産出も多いが、それらは主に輸出され(石炭は日本へ、原油はアメリカ合衆国へ)、発電はそれ以外の発電方式に依存している。ロシアについては世界的な原油・天然ガス国であり、全体としては火力発電量が多い国であるが、日本にとってはアルミニウムの重要な輸入先として知られているね。ロシアの水力発電量が大きいことは十分に推測できる。バイカル湖の湖水やそこから流れ出る河川水が利用される。

消去法により残ったキがバイオマス。アメリカ合衆国(大豆とトウモロコシ)とブラジル(サトウキビ)が重要。なぜか日本もランクインしているのだが、バイオ燃料は輸入しているのかな。

[難易度]★★

[コメント]地熱発電を可能とする条件は火山の存在。火山活動がさかんな地域でのみ地熱発電は可能なのだが、そもそも地球上で火山が存在する場所って少ないよね。

「新期造山帯=火山」と考えてはいけない。新期造山帯であっても火山がみられない場所はいくらでもある。火山分布については以下の通り。

「環太平洋地域(オーストラリアは除く)」、「インドネシア」、「イタリア」、「アイスランド」、「東アフリカ(アフリカ地溝帯。キリマンジャロなど)」、「カリブ海」、「ハワイ諸島」である。

そして、地熱発電国に有利である、国土の広い範囲が火山帯に含まれる国は。フィリピン、インドネシア、ニュージーランド、アイスランド、イタリア、そして日本なのである。ちなみに日本を除く5か国は「原子力発電を行っていない」国なのです。日本の原発政策は世界基準でみれば「異常」なことなんだけどね。

たしかに日本では「温泉が枯渇するんじゃないか」、「火山の多くが存在する国立公園の自然が損なわれるんじゃないか」という意見もあり、地熱発電には慎重であることは事実。しかし、フィリピンやインドネシアのような発展途上国でも発電量が多く、他の電源(水力など)が利用できるアイスランドやニュージーランドでも開発がさかん。なぜ、日本だけが取り残され(そして、リスクの大きい原子力発電を推進するのか)ているのか。ちょっとみんなにも考えてみて欲しいな。

 

[12][解法]縦軸が「1人当たり二酸化炭素排出量」、横軸が「1990年を100とした指数で表した2011年の二酸化炭素排出量」であり、感覚的にちょっとつかみにくい。ただ。もう一つ表されているデータがあり、それが円の大きさで示される「二酸化炭素排出量」。これ、わかりやすいんじゃない?「割合」より「実数」の方が捉えやすいのは統計の鉄則。なるほど、これでそれぞれの国名がわかるわけか。

ただし、問題自体は、具体的な国の判定を不要とする。まず選択肢①から。「環境問題への対策が遅れており」はよくわからないが、図より、サが「1人当たり二酸化炭素排出量」が8カ国中最高となっているのがわかる。正文。

選択肢②。こちらも「急激な工業化」はわからないが、「2011年の二酸化炭素排出量」の指数が8か国中最高であり、「1人当たり二酸化炭素排出量が増加」しているのは間違いない。これも正文。

選択肢③はどうだろう。「再生可能エネルギー」の代表歴は太陽光や風力など、なるほど、これらの発電方式は化石燃料に依存する従来の火力発電に比べれば二酸化炭素をほぼ排出しないと考えていい。少なくとも「1人当たり二酸化炭素排出量」は低下するだろうから、位置は「下」へ移動する。「電気自動車」にしても、化石燃料による火力発電で得られた電力を動力源とするならば、二酸化炭素排出量の削減には寄与しないが、しかし現在は再生可能エネルギーによる発電が主流になりつつある時代である。ガソリン車より電気自動車の方が二酸化炭素排出量が少ないとみていいだろう。これが誤りとなる。

もちろん横軸についても「右」ではなく「左」になるはず。再生可能エネルギーや電気自動車のさらなる普及がみられる2030年や2050年は、それぞれの国の位置がより左に移動し、1990年のレベル(100)まで戻っている可能性もある。「右上」ではなく「左下」。

この時点で選択肢④の判定は必要ではないが、一応参考までに。スとセについては、1人当たり二酸化炭素排出量が小さいことから人口大国の中国(ス)とインド(セ)だろうか。確かに④のようなことは言えるかも知れない。だからこそ、選択肢③で言っているような対策を取らないといけないのだが。

ちなみに、すでにちょっとだけ述べているが、それぞれの国も明らかにしておこう。最も二酸化炭素排出量が大きいスが中国、それに次ぐサがアメリカ合衆国。サとシの間の、3番目に大きいのがロシアで、セがインド。シはおそらく日本でしょう。シの横に並んでいるのがドイツ。なるほど、日本やヨーロッパは比較的環境対策が進んでいる。サの中に含まれる小さな円がカナダ。逆にこちらは人口3500万人の小国ながら、相対的に環境負荷が大きい。

残った一つ(サとスの間に一つだけポツンと浮かんでいる国)がどこか全くわからなかったのだが、伸び率が高く発展途上国と考えられ、さらに1人当たりの値がロシアと同じ水準であり、エネルギー資源が余っている国(だからこそ無駄遣いしてしまうのだ)とも考えられる。調べてみたら、これ、イランだったんですよね。なるほど、って感じはします。

[難易度]★(知識が重視されない考察問題。こういう問題を「簡単」に問いて欲しいのです)

[コメント]非常におもしろい。新テストを特徴づける問題の一つだと思います。サ〜セの国名がブラインドになっている点、そしてそれらの国名がわからなくても十分に解答できる点。グラフ上の位置の移動については、数学的な思考が必要とも言える。地理的な知識ではなく、思考力が試されているのです。地理ってとかく「旅行」のための科目と思われているけれど、実は全然そんなことないんだわね。理系的な、数学的な思考が根底にある。

 

[13][解法]宗教別人口の問題だが、人口しか資料がないのが厳しい。ポイントはヒンドゥー教。インドで主に信仰されている宗教はヒンドゥー教であり、その信者は総人口の8割に達する。その一方で、ヒンドゥー教は民族宗教の枠にとどまり、インド以外の信者は少ない。インドの総人口が14億人であるので、その80%すなわち10億人ほどがヒンドゥー教徒人口とみていい。Bが該当。

他の2つについては感覚的に解けるんじゃないかな。プロステスタントはキリスト教の宗派の一つで、信者は主にゲルマン系に限定される。イギリス(6000万人)、北欧諸国(それぞれ500〜1000万人程度)、ドイツ(8000万人)、カナダ(3500万人)、アメリカ合衆国(3億人)がゲルマン系の国でプロテスタントが優勢ではあるが、人口の全てがプロテスタントを信仰しているわけでもない(例えば、アメリカ合衆国のヒスパニックはカトリックである)。信者数はさほど多くないことが想像され、Cに該当。

最大のAがイスラム教であるが、インドネシアやパキスタン、バングラデシュなどの人口大国で信者が多い。インドも総人口の2割程度はイスラム教徒であり、それだけで数億人の規模。

カトリックとプロテスタント、東方正教を合計した「キリスト教」こそ世界最大の宗教であるが、イスラム教徒もそれに次ぐ多さを誇っているのである。

[難易度]★

[コメント]宗教・宗派別の人口は学習の盲点になっていたいんじゃないかな。知らない人も多かったと思う。インドの人口の多さを意識すれば確実に解ける問題ではあるので、しっかり得点して欲しいところ。

 

[14]「解法」宗教・宗派の伝播について。キリスト教の宗派については、ヨーロッパの地域、言語と対応させて押さえておくといい。

ヨーロッパの北西部(イギリスや北欧)は「ゲルマン系・プロテスタント」、南西部(フランスやスペイン)は「ラテン系・カトリック」、東部(セルビアやロシア)は「スラブ系・東方正教」。

もちろん例外はあるけれど、最低限これだけ知っておけばいい。もちろん2が誤り。東方正教は主に「スラブ系」である。

他の選択肢は検討の必要はないが、③がおもしろい。「イスラム教は商人の宗教である」ことを印象づけておこう。イスラム教は三大宗教の中で最も新しく、経済の概念を含んでいる。商人の間に広がり、彼らが交易路としたシルクロードや海のシルクロード(南アジアからインドネシアを結ぶ)の都市に伝えられた。本問では「アラビア半島や北アフリカ」とあるけれど、もちろんこの地域は言うまでもなく、より広い範囲で信仰されているわけだ。

[難易度]★

[コメント]宗教ジャンルを苦手にしている人は多いけれど、これぐらいのネタは軽々とクリアしてほしいな(笑)。新テストだからといって、宗教ジャンルの問題が難化しているわけではない。これまでと同様に、むしろ基本的なことしか問うていない。

 

[15][解法]気候グラフ問題ではあるけれど、かなり変わっている。従来の白地図で地点を示すパターンではなく、環境条件を説明した文章との組合せを問うている。

先に気候グラフから見ていこう。Kは気温が高く、降水量が極端に少なく、砂漠気候と思われる。強い乾燥がみられる。Lは比較的温暖な気候に対し、降水量は夏が少ないパターン。夏季乾燥、冬季湿潤ということで地中海性気候である。Mは冬の気温に注目しよう。−10℃にまで低下し、地面は凍結する。冷帯気候である。夏の気温は高く、さらに降水も多く、農業は十分に行うことができる。

表に注目。最もわかりやすいキーワードは「日干しレンガ」だろう。泥を天日で乾かしただけであり、水には弱い。ほとんど降水のみられない乾燥地域の建材である。ウがKに該当するはず。

さらにイには「木材」とある。地中海性気候の植生は「硬葉樹」。背丈が低く、幹も細く硬いオリーブなど。建築材料には適さない。これに対し、冷帯気候の植生は「針葉樹」。太く長く、まっすぐに幹が伸び、さらに加工もしやすい。建築材料として重用されている。冷帯のMと対応すると考えていいだろう。

残ったLがアである。前述のように地中海沿岸地域では木材は建築材料としては用いにくい。石灰岩や大理石など石材が豊富な地域であり、それらを用いた家屋が多くみられる。

[難易度]★★

[コメント]内容的には難しい問題ではないけれど、形式がおもしろいね。気候グラフと文章を対応させている。キーワードを拾う技術が問われている。

 

[16][解法]形式は目新しいが問われている内容はオーソドックス。正解は①だね。高温の乾燥地域においては、熱された外気の侵入を禦ぐために、窓や扉は数が少なく、狭くつくられている。

他の選択肢については検討の必要はないだろう。②についてはよくわからない。屋根を平らにすれば風通しがよくなるのか。むしろ風は通らない方がいい。熱風なのだから、温度が上がるだけ。

③では「病害虫」や「疫病」とあるが、こうした乾燥地域においては病害虫や疫病の心配はない。熱帯の高温多雨の地域でこそ、不衛生な環境となり病害虫や疫病の懸念がある。

④については、そもそもこの程度の樹木では風よけにならないだろうと思うのだが、それ以前の問題で「季節風」が違うと思っていい。季節風がキーワードとなるのは東アジア〜東南アジア〜南アジアのモンスーンアジアであり、降水量が多い地域。夏に海洋から吹き込む季節風の影響で多雨となる。

他にも、アフリカのギニア湾岸(コートジボワールやガーナ)の沿岸部も季節風が生じる地域であるが、こちらこそ降水量が多い。季節風が多雨をもたらすものであることを考えれば、乾燥地域には該当しないことがわかるだろう。

[難易度]★★

[コメント]カードを用いた部分が形式的には目新しいが、内容的にはオーソドックス。正文問題なのでちょっと難易度が高いが(誤文を③つ指摘する必要がある)、選択肢①の内容については必ず知っておくべきことでもある。

 

[17][解法]これ、ちょっと難しい?トウモロコシの原産地はマストだけど、そこからの伝播経路については想像しないといけない。歴史に基づく思考があれば大丈夫なんだろうか。

まず原産地から。新大陸とくに中南米原産の作物については必ず知っておくこと。イモ3種(キャッサバ・じゃがいも・さつまいも)に加えて、熱帯作物であるカカオと天然ゴム、そして温暖な地域で栽培されるトウモロコシ。このことから原産地はpとなり、選択肢は①と②に限定される。

問題はここからで、q、r、sにそれぞれ別個に伝わっていったのか(選択肢①)、まずqへと伝わり、それから他の場所へともたらされたのか(選択肢②)。ただ、これについては歴史的な事実を鑑みればいいのではないか。新大陸である中南米を植民地とし支配したのはイベリア半島の2か国(スペイン、ポルトガル)。まず彼らが、当時インカ帝国で栽培されていたトウモロコシを旧大陸ヨーロッパへと紹介し、そこからユーラシアやアフリカの広い範囲へと広まっていったのではないか。旧宗主国の人々が植民地から新しい農産物を持って帰ってきたということは十分に想像できる。これより、②を正解とする。

[難易度]★★

[コメント]変わった問題とは思うが、解答困難というほどでもないだろう。従来の知識と思考で十分に解くことはできる。

 

[18][解法]おもしろい問題だね。文章読解力(とはいえ、簡単なものだけど)が求められている。

まずカについて。「食文化」は「画一化」されている、とある。世界全体で同じ味ということを考えれば、ファストフードのハンバーガーショップが該当するんじゃないかな。Uを選択。

さらにキについて。要するに、日本人が何を食べているかということ。そしてその食べている中味がいかに他の地域(とくに欧米)と似てきているかということ。これについてはXが該当するんじゃないかな。そもそも日本人は1人1日当たりカロリー摂取量が非常に少ない国。モンスーンアジアの米作国は、肉類や油脂類の摂取が少なく、ヘルシーな食生活を送っているのだ。しかし、食卓の欧米化によって肉類や油脂類の摂取も増えてきてそれに伴いカロリーも増加している。Xのように、食事のカロリー量と内訳を調べ、それを欧米と比較することで、「食文化の画一化」は十分に説明できるのではないかな。Xを選択し、正解は③。

[難易度]★★

[コメント]カは簡単だが、キはちょっと悩むかな。カについては文章に準拠して考えれば確実に正解に辿り着く。逆にいえば、それなりの文章読解力が必要ということだが。それに対しキの方は、文章読解もさることながら、もう少し想像力というか、考える力が必要になっている。キがスムーズに解答できれば、たいしたものだと思うよ。

 

[19][解法]これはビックリ! ケッペンの気候区分が直接出題されている。これはセンター試験にはみられなかったパターン。

オークランドを含むニュージーランド全域は「西岸海洋性気候」に含まれる。これは、偏西風と暖流の影響が強い中・高緯度の沿岸地域にみられるもので、ヨーロッパの西岸地域が代表例(「西岸」の名前の由来)。他にはカナダからアラスカ州にかけての太平洋沿岸、南アフリカ共和港の南東部(南西部のケープタウンが地中海性気候であるのと対照的)、そしてオーストラリア大陸の南東部。③の都市はメルボルンだが、西ヨーロッパと同じような気候がみられ、酪農がさかん。ここが西岸海洋性気候に該当し、③が正解。

①はグレートバリアリーフに面する都市。サバナ気候である。熱帯で雨季と乾季が明瞭。

②は、①よりやや高緯度。日本の本州以南と同様の気候がみられる。温暖湿潤気候。

④はパースだが、「大陸西岸・緯度35°付近」の条件を満たす。地中海性気候である。

[難易度]★★★(従来のセンター試験で求められない知識が出題されたという意味で)

[コメント]今後はこういったケッペンの気候区分についても対策していかないといけないのかな。もちろん、問われそうなポイントは決まっているので、そこをピックアップしていけばいいわけだが。とはいえ、新しい指導要領は思考力や分析力が問われるものだったはず。意外な展開ではある。

 

[20][21][解法]形式がややこしいだけで内容は簡単だと思う(これ、この試行試験全体に言えることだけどね)。

堡礁について問われている。サンゴ礁の種類に3つあることはわかるかな。「裾礁」、「堡礁」、「環礁」である。裾礁が最初の状態。陸地に接した浅い海底にサンゴ礁が発達する。次が堡礁。陸地が沈降し、海岸から離れた場所にサンゴ礁が発達する。陸地とサンゴ礁の間の水域は「礁湖」と呼ばれる。最後の段階が「環礁」。さらに沈降が進み、サンゴ礁だけが海面上に残される。環状のサンゴ礁に囲まれて礁湖が形成される。

では、問題について検討していこう。まずAについて。オーストラリア大陸の東岸(北東岸)に多くの堡礁がみられる。正文だろう。また、これは「グレートバリアリーフ(大堡礁)」と呼ばれる地域であり、観光地としても有名である。gが対応。1つ目の正解は「A・g」の③である。

Bについてはどうだろう。「サンゴ礁分布の周辺域」とは図の斜線部のことであり、この部分にはサンゴ礁そのものは示されていない。ただ、これに近い東経120°〜180°、北緯10°付近の海域に集中しているのは環礁であり、堡礁はわずか。その一方で、南側の経度180°南緯20°付近には堡礁が多くみられたりして、実はさほど法則性はないのではないかな?どうも不明瞭な選択肢であるので、Bは保留ということにしておこう。

というわけでCの判定。なるほど、南アメリカ大陸の西岸にはサンゴ礁はみられず「サンゴ礁分布の周辺域」ですらほとんど及んでいない。これは正文である。ただ、ちょっと気になるのはこの文章が「堡礁」だけについて述べたものではないこと。サンゴ礁全体について述べている。まぁ、そこは気にしなくてもいいのかな?

そしてCに関連することがらはもちろんe。太平洋南東部には巨大なペルー海流が北上しており、南アメリカ大陸の西岸もその影響を受けている。この影響によって大気が安定し、沿岸の降水量が少ないことはよく知られているね。南極方面から冷たい海水が運ばれてくるのだからもちろん海水温は周辺の海域に比べ低い。もう一つの答えは「C・e」の⑦である。

なお、「湧昇流」とは海底付近から海表面へと上昇してくる海水の流れで、寒流に沿って発達している。海底付近の水温は冷たいので、一般に湧昇流がみられる海域はやはり周辺の海域より水温が低いと考えていい。

[難易度]★

[コメント]Cの内容はサンゴ礁全般に当てはまるものであり、「堡礁について」のみ当てはまるものではない。ここがちょっと引っかかったんだが、正解が2つと指定されているので、(Bが誤りである以上)Cを正文とするしかないものね。そのように正解の数が示されている分だけ、解きやすい問題だったとは思う。あまりスマートな問題とは思わないんだけどね。

 

[22][解法]写真の判定が重要な問題。まずKから考えてみよう。大きな屋根がみられ、多くの柱によって支えられている。奥まで素通しで見えるようだが、壁がないのだろうか、あってもわずかなのだろう。「一年中暑く湿度が高い」地域においては、樹木や竹、葉などを組合せこのような風通しの良い家屋がみられる。まず選択肢は①と③に絞られる。なお、ハズレ選択肢の「移動式」については、モンゴルや中国北部でみられるテント式の住居が代表例。ゲルあるいはパオと呼ばれるこの住居は、木材の他、獣皮などによってつくられている。

さらにLについて。これこそ写真から判定しないといけない。どうだろうか。地面から葉が突き出しており、これは樹木ではないね。イモ類とみて問題ないと思う。バナナならば樹木に実がなるのであり、こうした光景とはならないはず。正解は①である。

[難易度]★(写真が見やすいことが絶対条件だが)

[コメント]写真が重要なんだわなぁ。せめてもっと大きくしてくれたらいいのに。っていうか。カラーにするべきなんだわ。教科書や資料集がカラー印刷の現在、いきなりモノクロ写真見せられてもなぁ。

熱帯の高床式の通風性の良い家屋については。イラストは地理Bでも出題されたことがあるが、写真は地理Aだけだったんじゃないかな。

また農作物の写真やイラストについては、かつては全くみなかったが、最近よく出題されるようになっている。これ、要注意かもしれないね。今回はタロイモだったけれど、説明文にあるココヤシや、ハズレ選択肢のバナナについても写真・イラストをチェック。

 

[23][解法]ODAの問題。ODAは「政府開発援助」のことで、政府によって当該国の開発のために拠出されるもの。日本、アメリカ合衆国、ヨーロッパ諸国によってODAの供出目的「そして目的に応じた地域」に違いがみられる。

日本は「経済」が主目的。将来的に日本企業が進出しやすい基盤整備のために、東アジアや東南アジアの国々に供与される。長い間、最大の供与先は中国であったが、中国の都市が整備されることで最も得をする国はどこだろう?それは日本ではないか。道路や港湾がつくられ、インフラの整備が進んだ段階で日本企業が進出する。現在はインドネシアへのODAが多いが、近い将来、日本企業の進出が積極的に行われる。

アメリカ合衆国は「安全保障」が主目的。とくにイスラエルである。イスラエルは西アジアのユダヤ民族の国であるが、アメリカ合衆国の富裕層(銀行家など)にはユダヤ系が多く、同国との関係は経済面だけでなく政治的な支援にも及ぶ。西アジアではアラブ国家とユダヤ国家「つまりイスラエル」との対立が長く続き、戦争の被害拡大を抑え、地域全体の経済発展を促すことで政治的安定を目指し、アメリカ合衆国から多額の援助が行われている。

ヨーロッパは「旧植民地」への供与が目立つ。歴史的文化的に深い関係を有するアフリカやラテンアメリカ、アジアの発展途上国へと援助がなされる。フランスとアルジェリア、コートジボワール、スペインと南アメリカ諸国、イギリスと南アジア諸国などが主なところ。

さて、以上のことを大まかに頭に入れて問題に取り組もう。もちろんそのままの知識では解けない。とくに、本問で取り上げられているのは西アジア地域ではないため、アメリカ合衆国については別のアプローチで考える必要がある。

とはいえ、日本はわかりやすいかも知れない。,図2の範囲中に、日本が将来的に工場を進出させようとする国はあるだろうか?日本が「ただ」で援助をするわけがない。自国の企業が利用しやすいところに集中的に開発援助し、結果的に利益は自分で吸い上げてしまうのだ。オセアニアの島嶼国に関心のある日本企業があるだろうか。日本の供与額は極めて小さいと考えるべきなのである。カが日本。

さらにアメリカ合衆国であるが、西アジア地域へと集中的に供与しているわけだが、太平洋地域についてはそうした安全保障の問題はない。それならばどう考える?ヨーロッパの国と同じように「旧植民地」へと供与するパターンが主なのではないか。ここで、旧宗主国と旧植民地という関係だけではないが、表1の方に「旧宗主国または国際連合信託統治の旧施政権国」とある。なるほど、この施政権国も含め宗主国と考えていいし、ODAの供与についても強い関係性があるとみていいだろう。

というわけで、アメリカ合衆国の欄をみると「マーシャル諸島、ミクロネシア連邦」とある。この両国への供与額が多いと考えられ、キがアメリカ合衆国である。

残ったクガオーストラリアであるが、カ〜ク中、最も合計の金額が大きいのは、やはりオーストラリアとの距離の近さゆえだろう。距離が近いので経済的交流もさかんであるし、開発への援助も積極的である。さらにオーストラリの「旧宗主国・旧施政権国」はパプアニューギニアである。クではたしかにパプアニューギニアの値がとくに大きくなっている。

国名自体は図2に示されているので、その知識は問われない。純粋に、ODAの特徴(日本の場合は経済的な関係性が中心、欧米は旧植民地、さらに距離の近さも重要)がポイントとなった問題。

[難易度]★

[コメント]特殊な国名が登場しているが、地図から場所は判定できるので、とくに問題となっていない。このように複数の資料が提示され、それを参考にしながら思考する。従来のセンター試験でもみられた形ではあるが、新テストにおいてはさらにこの形式の問題が増えるのだろう。

 

[24][解法]表(統計)と文章を対応させて考えていこう。ニュージーランドとカナダはいずれも移民の受け入れ国である。ともに英語を主とする国であり、英語圏からの移民が多いことは間違いない。さて、Pであるが、カナダとアメリカ合衆国の関係を考えればいい。これはもちろん長い国境線を接し「地理的に近接している」ことが要因である。Pはスである。

さらにQであるが、「共通する国」とはどこだろうか。インドや中国、フィリピンがこれに該当するだろう。これについては「経済発展」をキーワードとしていいのではないか。インドや中国の富裕層は、発展途上地域である母国を去り、より快適な生活環境を求め、先進国に移住する。Qをシと考える。

さらにRであるが、カナダには「イラン」や「パキスタン」が含まれていることが重要。イランは厳格なイスラム教国であり(正式名称も「イラン・イスラム共和国」である)、そういった体制を嫌い、国外へと移住する人々もいる。パキスタンも同様である。カシミール問題など複雑な地域問題を抱えるなど、生活や治安の面でも決して恵まれた国ではない。Rをサと考えるのが妥当だろう。カナダはそうした特殊な事情をもった国からの移民を積極的に受け入れる政策を実施しているのだろう。

[難易度]★

[コメント]知識に偏らず、思考に基づいて解く問題となっている。考察問題として完成度が高いとも言えるが、内容的にはあまり興味を引くものではない。アメリカ合衆国からカナダへの移住が多いようだが、おそらく逆方向も多いだろうし(カナダからアメリカ合衆国)、人口移動の顕著な傾向とは思わない。中国についても、経済成長が移住者増加の大きな要素ではなく、やはり改革開放政策以降の経済のグローバル化によるものが大きいだろう。また、難民の受け入れについてはなるほどと思えるのだが、本問の中では単に「政策の違い」という言葉だけで片付けている。他の問題と違って、議論が盛り上がる余地がない(アクティブ・ラーニングに適さない)問題のように思える。

 

[25][26][解法]これ、おもしろいな。内容的には従来のセンター試験でも重要視されていた部分。しかも、かなり考えないといけないんじゃない?

①〜⑧のうちから「二つ」と指定されているものの、「送出国」と「受入国」に一つずつってわけでもないからちょっと大変。もしかしたら①〜④のなかに答えが二つあるかも知れず、逆に一個もない可能性もある。全ての選択肢をフラットに見ていかないといけない。

まず「送出国」の条件から見ていこう。労働者を送り出す国は経済レベルの低い国である。1人当たりGNIの低い発展途上国であり、賃金水準が安く、さらに雇用の機会も少ないことが一般的。②は絶対に正文とみていいと思う。仕事がないことが最大の出稼ぎの理由。さらに④も正しいのではないか。原則として1人当たりGNIと人口増加率は反比例する。経済レベルが低い国は多産となり、人口増加率が高い。本問では太平洋島嶼国が例示されて降り、具体的な人口増加率はわからないが、経済レベルは高くない国が多いだろうから、ある程度は類推できる。

そして、人口増加率が高い国は出生率が高く、つまり年少人口割合が上がる。相対的に老人の数は少なくなり、老年人口割合は低い。③の「少子高齢化」は決定的な誤りとなろう。日本国内の場合ならば、労働者を送り出す側すなわち人口流出地域では若年層の減少により過疎化が進む。まさに少子高齢化は深刻な問題なのだが、国際的な人口移動に関してはそれは不適当となる。「発展途上国=人口増加率が高い=少子高齢化は進まない」ということでまず③が誤りとなる。

さらに①はどうだろうか。これについては間違ってはいないと思う。発展途上国では農村においては飢饉や干ばつなど、都市においてはスラムなど、生活環境は決して恵まれていない。生活水準の向上を求めて、先進国へと移動する人口は多いと思う。

では⑤〜⑧について検討しよう。まず⑤は絶対的な要因であり、当然正文。「金が人を動かす」のである。人口移動の最も大きな要因は経済格差であり、賃金水準の低い国から高い国へと、雇用と高賃金をもとめて労働者は移動する。

さらに「多文化主義」はどうだろう。オーストラリアは長い間「白豪主義」政策を実施していたが、1970年代に多文化主義に転換した。「白色人種によるオーストラリア」が指向され、アジアなど有色の人々の移民は制限された。なるほど、多文化主義となった現在はオーストラリアにおいてアジアからの移民が主流となっている。かつての白豪主義のままではそういった人々の移民は許されなかっただろう。多文化主義は、近年の移民の増大の重要な要因である。正文とみていい。

そして「デジタルデバイド」である。一般的に情報格差を人口移動の原因とする考え方は聞かない。ただ、どうなんだろう?発展途上地域から先進地域への人口移動がセオリーなのだが、情報インフラの整備は発展途上国では滞り、先進地域でより発達する。情報格差が存在することは確かなのである。ちょっと難しいな、判断ができない。保留ということにしておこうか。

最後の「労働者不足」。これはまさに人口移動の要因の一つである。ある地域で「労働力>雇用」となると、労働者がそこから押し出される「プッシュの状態となり、ある地域で「労働力<雇用」となると労働者を吸引する「プル」の状態となる。とくにオーストラリアやニュージーランドは人口が少なく、「プル」となりやすい。これは正文とみていいだろう。

以上より、どこかに誤りってあったか???③は決定的に誤りとして、他にもう一つ。これ、めちゃめちゃ悩むんだが、他の選択肢が確実に正文であるので、「保留」にした⑦「デジタルデバイド」を誤りにするしかない。物理的・即物的な「雇用機会の多さ」や「賃金水準の高さ」が人口移動を誘発するのであって、情報格差があるからということで人々が農村を離れ都市へと流入するわけではない。そう考えると、たしかに⑦は誤りとできるような気がする。そう、あくまで「気がする」だけなんだが、曖昧だがこれを答えに選ぶしかない。他が全て正文なので、苦肉の策ではあるのだが。で、正解をみたら、③と⑦だったんだわ。良かった、これで正解なのか。しかし、決して納得できているわけではない。判断に迷う。悪問だと思う。

[難易度]★★(悪問ではあるが、何とかこじつけたら解答可能とは思う)

[コメント]何とも言えないなぁ。③はともかくとして、⑦を決定的に消すことはできない。ただ、意外にみんなは何となく⑦を誤りと判定して(あるいは他の選択肢を絶対に正文であると判定して)、正解を導いてしまう可能性が高いと思う。授業では使いにくいが(説明しにくいんだわ)、実は解きやすい問題なのかも。

 

[27][解法]地形図問題の一種なのだろうが、このパターンは珍しい。経路ごとの特徴(見える風景)について説明したもの。でも、解きやすいとは思うよ。

まずAはアだろう。日豊本線で大分市に向かうと、右手はずっと海である。別府市の間は平坦な土地の中央部を走行しているが、市境(—・・—・・—・・—)を越え大分市に入ると、左手に山(高崎山)が迫る。

さらにBはウかな。大平山などの高い山々(等高線が密になっているので、標高が高いことがわかる)が左手に見え、その山すそを大分自動車道は走行している。そこから次第に地形はなだらかになり、大分市に入ることには等高線もかなり疎となり、緩やかな地形を下る。

残ったCはイとなる。久大本線はしばらくの間、国道210号線に沿って進む(国道の記号も覚えておくといいね。「210」と書いてある)。さらにこの経路は「大分川」の流れともほぼ沿っており、「谷」と判定していいと思う。

[難易度]★

[コメント]とくに問題ないと思う。パターンとしては珍しいが、今後も似たような問題が問われる可能性はある。類題が作りやすいね。

 

[28][解法]オーソドックスな地形図問題。市街地を描いた新旧の地形図を比較するパターンは定番だね。ただ、新しい方の地図が問題で、これ、最近になってつくられたものだね。実際のものはカラー印刷で非常に読み取りやすいのだが、試験問題としてモノクロ印刷になってしまうとカラー彩色の美しさが災いして、実に見にくい図となってしまっている。これをどうやって読み取るかっていうのが、今後の地形図問題の課題ではある。

さて、問題に移ろう。この手の問題の解き方のコツとして、「先に選択肢をみて、答えの見当をつけてしまう」というものがある。偏見や思い込みは危険だし、全ての選択肢をフラットに見ていかないととんだ勘違いをしてしまうこともあるのだけれど、テストは無限に時間があるわけでもなし、解答時間の節約はしないといけないし、また長時間地形図とにらめっこをしていると疲労して集中力が落ちてしまう。要領よく、ポイントを絞って地形図を読解することで、得点率は必ず上がる。

というわけで、その選択肢から読んでみよう。

①「駅前から市街地中心部や海岸線に伸びる」とある。路面電車の箇所には下線部が引かれていないのだから、路面電車があることは確実。大きな駅(kの場合は大分駅)から市街地を結んでいるのは当たり前だろう。問題は「海岸線」であるが、これは検討しないといけないだろう。

②「フェリー発着所は、昔は『師範校』だった」とある。現在の地図でフェリー発着所を探し、昔の地図で『師範校』を探し、その場所を対応させる。これ、一番わかりやすいんじゃないかな。これから判定してみようかな。っていうか、フェリー発着所って港だよね。港って昔から港だったんじゃないかな。学校施設をつぶして港にするっていうのが意味がわからない。これが誤り選択肢っぽいんだけどな。

③「現在では一部は学校用地などになっている」とある。軍用地を探し、それが現在はどう変わっているかを調べる。軍用地って比較的広い場所を確保しているものだし、これをつぶして学校っていうパターンはごく一般的なもの。また、この選択肢は「一部」、「など」というようにずいぶん曖昧な(弱気な?)書き方になっている。この形が誤りであるケースってむしろ少ないんだが。

④「区画整理された地区も、今では宅地化している」とある。そもそも「宅地化」っていう言い方が広い意味を含み、ガッチリとしたニュータウンができても宅地化であるけれど、家が少しでもできていればやっぱりそこは宅地化とみなしていい。大分市のような規模の大きな都市の周辺で宅地化が進むには当たり前であるし、そもそも「区画整理」しているわけだからね。家を建てる気マンマンでしょう。これは正文っぽいんだけどな。

では、ここで初めて地形図をみる。一番怪しい選択肢②から検討していこう。まず古い地図で「師範校」を探す。なるほど、海岸沿いにあるようだ。具体的にはどれが師範校なのだろうか。「師範校」の文字の右側にいかにも校舎っぽい建物が並んでいる。これがそうなんじゃないかな。

で、今度は新しい地図で「フェリー発着所」。なるほど、師範校とほぼ同じ位置に「フェリー発着所」の文字が。でも、具体的にはどこなんだろうね。「フェ」の左側に小さな船の形が描かれており、そこから北西に向かって点線が伸びている。これは「航路」を示している。フェリーがやってきて、接岸するのはこの岸壁なのだ。師範校の場所とフェリー発着所は一致しないとみていいんじゃないかな。やっぱり②が誤りだったのだ。

一応、他の選択肢についても検討する。まず①の路面電車。昔の地図を参照してみよう。

[難易度]★★

[コメント]上ではサクッと解いてしまった感じになっていますが、実はすごく迷った(笑)。最初から②が怪しいと思って解いていたのは間違いないのですが、「あれっ?師範校のところにフェリー発着所があるじゃないか」と迷ってしまった。で、他の選択肢を焦って検討してみたのですが、いずれも正しいぞ!と。仕方なしに再度選択肢②に戻って、なるほどよく見てみると師範校の建物と、フェリー発着所の岸壁は違っているじゃないかと、自信ない感じでしたが、②を正解にしてみたのです。結構難しいかも。

いずれにせよ、「路面電車」や「船着き場」、「航路」はよく地形図問題に登場するので、ぜひ知っておいて欲しいし、軍の施設が学校に転用されることもよくあるので、意識しておくといいと思うよ。

 

[29][解法]うわっ、おもしろい問題だな! 個人的にこの手の問題は大好き。模試でも結構このパターンの問題つくってたりするんだよね。「地理は数字の学問である」という真理がある。地理は統計学の側面があって、数字の解釈が極めて重要なのだ。本問はその典型。「数字の解釈」って意味、わかるかな。そう。「割合」と「実数」の違いだよね、これ。

先に答えを言ってしまいましょうか。③が誤りだよね。「1980年から90年代末にかけて、機械工業の大幅な伸びに支えられ、第二次産業人口割合も拡大した。」とある。「割合」についてわざわざ「拡大」なんていう言葉を使っているのも怪しいのだが(普通は「高くなる」とか「上昇する」だよね)、ここんとこチェックしてみようか。

図3参照。産業別人口を示しているのはこのグラフ。ただし、「割合」ではなく「実数」になっていることに注意してね。80年から90年代末にかけての数字の変化を読み取る。90年代末なら、2000年の統計でいいかな。第二次産業人口は、4.6万人から5.3万人に増加している。ここまではオッケイ。

ただし、割合となるとどうなんだろう?1980年の全体の就業者数はほぼ16万人。これが2000年になると20万人を越えている。割合を求めてみよう。

(1980年)4.6万÷16万=0.2875 29%

(2000年)5.3万÷20万=0.265 27%

微妙な差ではあるが、数値は確実に低下している。これをもって「拡大」とは言えるわけもない。このように③が誤りとなるのです。

非常におもしろいのは、②で「第二次産業人口は増加した」とこちらでは「実数」について記述しているっていうこと。②と③の内容の違いってキチンと認識できたかな。なるほど、1960年代から暫くの間、第二次産業就業者の数は増加の一途である。

①と④についても簡単に判定できるね。①については図4から「48.5+18.4」で計算すればいい。「66.9」%であり、これは全体の3分の2。④については図3より計算。1960の第三次産業就業者の割合は「4.3万÷9万」で「48%」だが、2015年の値は「15.9万÷22万」で「72%」。計算を面倒がらないように。

[難易度]★★

[コメント]とてもいい問題ですね。私がよく模試で作っていたバターン(笑)。計算しないといけないので生徒からの評判は悪かったですが、実際にこういう問題が出るわけだからね、やっぱ計算大事やで。それから「地理=統計学」なので「実数」と「割合」の感覚が必須。素晴らしい問題ですし、新しい学習指導要領の内容にも期待できるのです。

 

[30][解法]問題の設定がすごいね。保育所不足を考えることが果たして地理の範囲なのかって僕は思うわけですが、しかし重要なことでもあるし、こうして問題として取り上げる意味はあるよね。

図5の内容は非常に興味深い。いずれもなるほどなって思う。共働きが増えれば託児所の需要は増えるし、それ以前の問題としてそもそもの子どもの数が増えている地区もみられるが、そのバランスがわるく、ピンポイントに欲しいところに託児所が設けられないケースが多い。

まずDはキに該当するだろう。日本では、女性が結婚や出産を機に職場を離れ、子どもが成長したら再び仕事にする(パートタイマーや非正規が主だが)。それにしても、1995年にははっきりとしたM字カーブを描いていた女性の年齢別労働力率のグラフだが、2015年には「凹み」の部分もかなり浅いものとなっている。あからさまに専業主婦って少なくなっているんだね。女性の社会参画が活発化したのか、経済的理由から共働きする必要性が増したのか、あるいは未婚率が上がったからなのか。さまざまな理由があるのでしょう(そして、その理由を考えるのは公民科目にお任せして、地理では深く突っ込むことはありません)。

さらにEについて。これは「市外からの転入」がポイント。市内での人口流動ではなく、大分県内の市町村ごとの人口の変化が重要。カに該当するとみていいだろう。しかし、人口が増加しているのは大分市を含む2自治体だけ。これは日本のほとんどの道県に言えることで、道県全体としては人口が減少しているが、中心的な都市(ほぼ県庁所在都市と重なる)のみ人口が増加している。

残ったFがクになる。子育て世帯が「市の中心部」に集中していることを読み取る。なるほど、大分市役所がある市の中心部に「6歳未満」の子どもをもつ世帯が多くなっている。共働きあるいはシングルの家庭において、親が働いている時に小さな子どもあずかってくれる保育所の需要はこの地域で高いはず。

[難易度]★

[コメント]非常に興味深い。「保育所不足」が地理のテーマになるとは思えないが、たしかに本問ではそのことの解決手段などの考察が行われているわけではない。単に資料を読解し、事実をあぶり出すことだけが問われている。あくまで地理の範囲に限定した、非常に工夫された問題である。

 

[31][解法]先の[31]にちょっと似た感じもあるが、こちらの問題は変化の要因まで考える必要がある。地理でそんなことまで分析する必要があるのか?という疑問の声もあるかも知れないが、逆にいえば、それだけ1960年代から1970年代の日本社会の流れは非常に重要ということ。地理という科目は「歴史」ではないけれど、この時代に何かあったかは絶対に知らないといけない。

図7参照。1960年代から1970年代の前半までは全体に増加傾向にある。1975年の境に、総観光客数や日帰り客数は横ばいとなり、宿泊客数に至っては明らかに減少し始めた。

そして1990年代前半には、総観光客数と日帰り客数が急減した時期がある。

さて、これらの原因について選択肢をみていこう。まずサについて。「国民所得の向上」とある。「所得」といって真っ先にイメージされるのは国民総所得すなわちGNIなのだが、「GNI=経済規模」であり、日本全体の経済力が大きく増大した時期ということ。また、もちろんGNIが増大すれば、1人当たりGNIも上昇するわけだが、「1人当たりGNI=経済レベル。賃金水準。物価」であるので、国民一人一人の所得水準が向上することで、生活レベルも上がった。これ、「高度経済成長」の時期と思っていいんじゃないかな。すでに50年も昔の話であるし、君たち受験生にとっては「歴史」の話と感じるだろうけれど、地理においてもこの時代の経済成長が問われることは多く、常に意識しておこう。「1960年代=高度経済成長」であり、これがPに該当。

さらにシ。「石油危機」とある。これも高度経済成長と同じく、「地理で重要しされる歴史ワード」なのである。1970年代中頃、中東戦争(イスラエル[ユダヤ]と周辺アラブ諸国との戦争)に起因する原油価格高騰とそれに伴う世界的な経済パニック。日本でも、高度経済成長は終わり、低成長の時代へと移った。1970年代であるQに該当。

残ったスがRになる。「日本経済における急激な景気の変化」とあるが、1990年ごろであるので、いわゆる「バブルの崩壊」だろう。詳しいことは知らなくていいので、平成の頭にこうしたことがあったのだなという浅い認識さえあれば十分。

[難易度]★

[コメント]こちらは[31]のような単なる事実の羅列ではなく、その要因まで分析しようという、より深い考察が必要となっている。それだけ、「高度経済成長」と「オイルショック」は非常に重要だということ。バブル経済(1980年代)からのバブル崩壊(1990年頃)についてはおまけって感じかな。

 

<解答・配点>

 

[1]3 [2]6(4点) [3]3(4点) [4]3 [5]6 [6]3 

[7]4 [8]2 [9]5(4点) [10]4 [11]4 [12]3(4点)

 

[13]1 [14]2 [15]5(4点) [16]1 [17]2 [18]3(4点)

 

[19]3 [20][21]3・7(各2点) [22]1 [23]4 [24]6 [25][26]3・7(各2点)

 

[27]2 [28]2 [29]3 [30]3(4点) [31]1(4点) [32]3

 

他は各3点。

 

 

 

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