2013年度地理B本試験[第1問]解説

2003年地理B本試験

平均点は54点と、新課程導入以降では最低。難度が高い問題が多かったというよりも、意図不明の悪問が多かったという印象。問題作成者のレベルが低かったのだろうか。

そうはいっても、悪問とはいえこれもれっきとしたセンター試験の問題であり、受験生の運命を決定付けてしまうものなのである。本年度の地理選択者は運が悪かったと思ってあきらめるしかない。

前年度より平均点が12点下がっただけでなく、偏差の幅も小さくなったので、成績上位者においては20点くらい得点が下がった者が多い。前年度最も多かった得点帯は80~85点の間であったのに、本年度は60~65点の間に多くの受験生が集中している。とりあえず60点が一つの目安になるのではないか。

 

2003年地理B本試験[第1問]

 「自然環境と生活」というジャンル自体はセンター試験でよくみかけるものであり、とくに違和感はない。ただし問題の内容はちょっと厳しいものが多く、ノーミスで乗り切ることはほぼ不可能。本年度の大問としての難易度については、この第1問はかなり難しいレベルだと思う。超悪問の第3問を除けば、それ以外の4つの大問の中では最も難度が高い。

というわけでここでは2~3問のロスは最低限覚悟しておかなくてはいけない。問1は地形図が苦手な者にとっては解答不可能ではないか。問2はまだしも難易度が低いので解けるはず。問3も何とかできるかな。問4は考えればできる良問。問5も何とか集中して解いてほしい。問6もじっくりグラフを読めば、できなくはない。問7や知識が問われるだけに、わからない者には解けない。問3・問5・問6あたりで得点を拾うことができるといいんだが。

それにしても、問1でいきなり地形図というのはいくらなんでも意地が悪いだろう。センター試験開始直後にこんな地形図をみたらかなり絶望する。目の前が真っ暗。もともとセンター試験のしょっぱなの問題というのはこのように変な問題が多く、非常にとっつきにくい。受験者を惑わせようという作為的なものすら感じてしまう。これに対抗する策として、第1問は飛ばして、第4問や第5問から取り掛かるというクセをつけておくといいだろう。第4問と第5問は地理Aとの共用問題である。地理A自体は知識問題が多く難しいのだが、この第4問と第5問については地理A地理Bの最大公約数的な問題が選ばれているからか、意外に難易度が低い。とくに本年度でいうと第4問。第5問は地形図もあり、これまたとっつきにくいので(それでも第1問問1問2よりはずいぶんと簡単だが)、第4問から取り掛かるとスムーズに進めたと思う。

 

問1 写真判定問題。地理B本試験では初の出題だけにかなり特殊な感じがする。

過去の出題例は、00B追第4問問1、99B追第3問問2、99A追第2問問4など。地理Aでの出題を除いて、地理Bで出題された2例は難易度も高い。追試だから仕方ないとはいえ、センターレベルでこの出題はちょっときついなという印象だった。本年度の問題は、山岳を撮影した写真ということで99B第3問問2と類似し、撮影の方向を矢印で示しているという点において99A追第2問問4と類似している。旧課程では90本第1問問5で出題。これも難易度は高い。<br>

というわけで、僕の個人的な考えかもしれないが、こういった写真判定問題は難しい。そもそも白黒印刷のセンター試験においてこういった出題のされ方をされても、写真が不鮮明であってどうしても解きにくくなってしまうのは当然なのだが、それに加えて、わざと狙っているのか、選択肢もあいまいだったりする(その点、地理Aの出題は非常に明確で、しかしそれがゆえに逆に簡単すぎて参考にすらならないのだが)。<br>

さらに今回はこれがしょっぱなの問題。まさか実際のセンター試験で真っ正直に第1問問1からストレートにやる者もほとんどいないとは思うが、それにしても最初の問題からこんなの出されたりしたらかなりテンションが下がってしまうよね。いくら何でもイジワルすぎるな(涙)。

本問については後回しにすることが賢明だと思う。さらにいえば、この問題に手をつけないのがベストなのかもしれない。難しいし、あいまい。無理に解いて時間をロスしたり、精神的に追い詰められるよりも、最初から開き直って、無駄なことはしない方がベターなんじゃないか?とくに地形図問題を苦手をしている諸君!

という感じで、いきなり冒頭から無責任な発言が飛び交ってしまったが(苦笑)、問題の解説としてこれではあまりに不親切なんで、ちゃんといきましょう。

まず写真をジッとながめる。これしか手がかりがないんだから、まず見つめるしかない。「V山山頂付近を撮影した」わりには、写真の中央から山頂が左側にずれているのだが、何か意味があるのだろうか。しかし図1をみる限り、全ての矢印が真っ直ぐにV山の山頂(「2839」と書かれている三角点が山頂だろう)に向かっているので、写真1における山頂の位置のずれについては、とくに気にすることはないのだろう。

というわけで、さらに写真を見つめると、最高峰であるV山の山頂から右手の方向に2番目の頂ともいえる小高い丘が存在しているようだ。ちょっと微妙だけどね。V山頂から緩やかな斜面を下りていって、それがほぼ水平となって、さらにわずかに盛り上がった頂へとつながる。そこから右はしばらくの間は下り坂になっているようだが。この2番目の頂は地形図においてはどこに当たるのだろうか。写真を見る限り、V山の標高とあまり差はないようだ。地形図の中から、V山頂に次ぐ、標高の高い点を探してみよう。まず候補として挙げられるのが、V山の南東、Cからの山道上に位置する「2671」の標高点。ただしV山頂とは標高差が150m以上あるので、ちょっと不審。ではさらに候補として挙げられるものとして、V山頂の北方、Bからのルートが折れ曲がった位置にある、小さな閉曲線。標高こそ書かれていないがこれが山頂の一つであることは間違いない。この地点の標高は?東側にある「2697」が参考になるだろう。そこからこの山頂までをたどってみると、2本の計曲線(太い等高線。この地形図は25000分の1なので、等高線間隔は10mごと、計曲線間隔は50mごと)を通過している。このことから、標高は「2760」を若干上回る程度ではないかと想像できる。これならば、V山との標高差は80m程度であり、先ほど候補に挙がった「2671」よりは可能性が高い。

この地形図の範囲で、「2760」を上回る山頂はV山以外には見当たらないので、写真1におけるV山の右手に連なるふくらみは、山頂「2760」に該当するとみていいのではないか。

ということで、ここで一気に正答の候補として選択肢2が急浮上してくる。

さらに検討を続けよう。仮に答が2だとして、それが果たして適切なのか。矛盾するところはないのか。写真1をもう一度しっかり見てみよう。手前を左上から右下に向かって、尾根(尾根というのはわかるかな?周りよりも高く、見晴らしがいい地形のこと。折り紙の山折りの部分を想像するといい。尾根線について問われている問題は、97B本第4問問2問3、00B本第5問問2など)が下っているようだ。

この尾根の部分は図1の地形図においてどこに当たるのか。尾根とは山頂から等高線のふくらんだ方向に下りていく線である。左右より高く、見晴らしのいい山道になることが多い。本図においては、A―Vのルート、B―Vのルート、C―Vのルートは全て尾根線をたどる山道である。

注目するべきは、C―Vルートの途中にある小高い丘。CからVに上っていくとして、まず最初に小さな丘を越える。標高は2550~60mくらいであろうか。それを通り過ぎ、さらに進むと、等高線数本が閉曲線となっており、あたかも指紋のようになっているところがある。この部分の中心の等高線は2630mと思われるのだが、小さな丘のような地形であるとみていいだろう。この丘の頂点(つまり2630mの等高線の内側)に立って、北東の方向を見渡してみよう。2の矢印があるね。その先端付近に向かって、等高線がふくらんでいるのがわかるかな。2630の丘の頂点から、この等高線のふくらんでいる方向に下りていってみよう。この線が尾根である。左右より高く、まさに折り紙の山折りのような形になっていることが想像できるだろうか。これが先ほど写真で確認した、左後方から右前方に向かって画面を横切る尾根線である。

さらに写真をじっくり見てみよう。この尾根線の背後に大きく斜面がえぐり取られたような、横幅の広い谷があるのがわかりだろうか。ちょっとみにくいんだが、何とか確認してほしい。まるでアイスクリームの山を巨大なスプーンで上から下に削り取ったような。

この巨大な「えぐれ」は地形図から読み取れるだろうか。立体的に地形図を眺めるというテクニックが必要となるのだが、ここは色を使って見やすくしてみよう。

まずVからCを通過してさらにふもとへと下りていくコースを赤く着色してみよう。さらに先ほど指摘した2630の丘から2の矢印先端方向に向かっておりていく尾根線(等高線のふくらんでいる方向をたどっていく)に沿って、これも赤で塗る。

ここまで書いた2本の赤線は「えぐれ」の南側の尾根線である。さらに北側を取り囲むように走る尾根線も確認してみよう。

V山頂に注目。ここから北方向に、尾根線を伝って下りていく。まずB―Vコースにしばらく沿って進むことになる。小さな閉曲線にぶつかる。2760mの等高線である。ここで一旦ストップ。山道は右に折れるのだが、これに沿っていくと尾根線からは外れてしまうようだ。尾根線はここから真っ直ぐ北北東の方向に向かっていく。そのまま2697という山頂を目指そう。等高線のふくらんだ方向に沿っていけば自然とそこに達することとなる。さらに2697の丘を越えたら、「2350」と書かれている数字めがけて下りていこう。ちょっとわかりにくいかもしれないが、この方向もまた等高線のふくらみに沿っている。そしてそのまま図の端まで、等高線のふくらみに注意しながら進んでいく。以上の線もやはり赤で色をつけておこう。

これで「えぐれ」を取り囲む尾根線を描くことができた。どうだろうか。赤は膨張色といって、盛り上がって見える効果がある。このように尾根線を膨張色で描くことは、土地の起伏の様子を視覚的にとらえる手助けとなる。かなり見やすくなったのではないかな。

尾根の反対語を「谷」という。尾根が左右ともに見晴らしのいい線であるのに対し、谷は左右を斜面で囲まれているため実に見通しの悪い線となってしまっている。水が集まりやすく、川が流れていることが多い。ここでは具体的な谷線の話は省略するが、とりあえずこの「えぐれ」の内部に小さな川が流れていることだけ確認しておこう。2の矢印の先端がある。そこからちょっとだけ目を北の方に移すと、いくつもの等高線を横切る細い線が見えないだろうか。これが川である。2320mくらいのところから、北東の方向に向かって流れていく。ここは周囲より低い谷線となっている。折り紙でいうところの谷折りの部分。雨水がここに集まり、川をなす様子を想像してほしい。

ここで再び写真1に注目。もちろんこの写真で、前述した小さな川の流れは確認できないものの、「えぐれ」の部分の奥に深い谷があることは想像できるのではないか。2の方向からカメラを構えてシャッターを切ったならば、この巨大な「えぐれ」が真正面に見えるはずである。写真1はまさにその「えぐれ」がはっきりと正面に見えている。

以上のような感じで解いてくれれば何とか正解までたどり着けたかな。でも、この問題はやっぱり難しいと思う。尾根線・谷線というその判定に習熟を要する事項が問題を解くカギである点は厄介。それに何といっても、写真の印刷が悪いよね(涙)。せめてもっと鮮明な印刷だったら、「えぐれ」がよりはっきりと見てとれるんだが。

 

問2 地形断面図問題。直線に沿って切ったのではなく、登山コースという曲線に沿った断面図ということでやや異色。こういったパターンは私大の問題でもほとんどみたことがない。

とはいうものの、問題としてそれほど取っ付きにくいということもないだろう。僕は新聞紙上に掲載された図(かなり縮小されて見にくかったが)でも解くことができた。実際のセンター試験を受けた君たちならば、もっと簡単に解けたはず。

地形断面図問題のポイントは両端の標高や断面の水平距離。01B追第3問問1ならば、北側や南側の標高、そして下に付された0マイルから3マイルの距離表示などが大きなヒントになる。本問についてもその考え方が利用できないものか。

問題文参照。4つの断面図はそれぞれ図1に示された点線の4つのコースのいずれかに該当する。ということは、C地点からのコースを判定するのに、消去法を用いることも可能(つまりAからのコース、Bからのコース、Dからのコースがわかれば、残りがCコースであることがわかる)であるということ。これは便利。また、点A~Dはスタート地点であるらしい。各図において、右端はV山の山頂であり、全て共通しているが、左端に関してはそれぞれがA~Dのいずれかの地点を示しているということになる。

で、ここでちょっとよく見てみよう。おもしろいことがわかる。この左端の標高が、1・2・3・4の間で微妙に違っているのだ。どう?君たちは気がついていたかな。これを利用すれば、ある程度は選択肢をしぼることができるはずだし、うまくいけばそのまま正解までたどり着けるかもしれない。

ということで、A・B・C・Dそれぞれの地点の標高を調べてみよう。まずこの地形図の縮尺確認。問題文より25000分の1であることがわかる。つまり等高線間隔は10mごとで、太い線で表される計曲線は50mごと。

Aについて。すぐ南に「2578」の山頂がある。それを取り囲む閉曲線は2570mの等高線だろう。その下が2560、さらに下(この線は太い線なので計曲線)は2550、Aの標高は2540mと判断できる。

Bについて。Bの北側に「2450」の数字が書かれているのでその計曲線の標高がわかる。Bはそれより標高が等高線4本ほど高いところに位置。2490mと考える。

Cについて。Bの南に接する等高線(計曲線)は2500mを表している。このことから、Cは2520m。

Dについて。これはかなりわかり辛い。すぐ下に「2480」という数値があるので、おおよそ2500mくらいではないか。

以上のように、各地点の標高を調べてみた。これを手がかりにしてみたいんだが、どうかな。とはいうものの、それぞれの点の標高差は小さくかなり微妙でもあるし、それにDに至っては数値自体があいまい。これではヒントとして使えないかな(涙)。

というわけで、ここまで細かい数字を挙げてきて今さらいうのも何だが、このスタート地点の標高を読み取るという作戦はボツである。すまん!でもとにかく、点の標高を具体的な数字として把握することは、地形図問題にとっては非常に重要なアプローチであるので、今後もこれに懲りずにチャレンジしてほしい。

さて、ここからは違った方法で問題に当たらないといけない。地形の凹凸に目をつけていこう。

実は僕が新聞紙上でこの問題に挑戦した時は、具体的な標高なんで字が細かすぎてわからないので、最初からこの凹凸に注目して解いてみたわけだ。新聞の小さな図でも判別できたくらいなので、実際のセンター試験を目の前にした君たちにとってはかなり簡単だったのではないかと思けれどどうかな。

では図に戻って、各ルートについて検討していこう。

問題ではCからのルートに該当するものを選ぶことになっているので、そのCからみていこうか。

点Cの標高は先ほども述べたように、2520くらい。そこからVに向かって歩いていくわけだが、まず等高線を数本横切っている。そして太い線(計曲線)に到達しているので、この時点で標高は2550。そこから一旦は下りるようだが、この下りた高度はさほどでもなく、またすぐに2550の計曲線を横切って、さらに上方に向かっている。この小さなアップダウンを表している選択肢の図はどれだろうか。これだけではちょっとわかりにくい。

さらに進んでいこう。やがてもう一つ計曲線を越える。これは2600だろう。そこからさらに上ると、4本目の等高線は小さな閉曲線となっている。2640の等高線。このように等高線が閉じた曲線となっている場合、小高い丘として盛り上がっている地形である。つまりここに2640mをわずかに越える程度の標高の山頂が確認できるということ。ここを過ぎて、山道は下り坂となる。ただし等高線を1本だけ横切ると、再び道は上り坂となる。「2670」という山頂付近を通過しているようだ。この小さな丘を越えると、後は真っ直ぐに上り坂が続き、やがてV山の山頂に到達する。

以上のように、大まかではあるが、CからVに達するまでには、3つの山頂(というか小高い丘のような地形であるが)を通過するようである。このことに当てはまる図はどれだろうか。

ここで最も怪しいのが4である。具体的な標高を当てはめながら、つじつまが合っているかどうか確認してみよう。Cの標高は2520であるので、断面図の左端に「2520」と記す。まず最初の小高い丘、ここの標高は「2550」。さらに進むと、2つ目の山頂があり、ここは「2640」。そしてそこを一旦下ってからさらに上った3つ目の山頂は「2671」。そして最後、右端にあるV山の山頂は「2839」。これらの数値を記してから、1のグラフに付記されている100メートルの標高を表すモノサシでその間を測ってみる。どうだろうか。2つめの山頂と3つ目の山頂の高度差が、実際には30mくらいあるのに、ちょっとこの図では短すぎるような気もするんだが、全体としてはさほど不都合なところはないだろう。Cからのコースの断面として、最もふさわしいものは4であると推測する。

では、確認のため、他のルートについても検討していこう。

Aからのルート。まず大きな丘を越えるようだ。その頂の標高は「2578」。ただしそこを越えると、しばらくは下り坂が続く。最も低い点の標高はどれくらいか。2550の計曲線を越え、3本分だけ等高線を越える。4本目にあるのは、どうやら連続した線ではなく、破線なので、これは5mの標高差を表す補助曲線だろう。2515mと思われる。山道は一旦はこの補助曲線を越えて、その下まで行くので、山道の最低点は標高2510mと2515mの間ということになる。Aの標高が2540なので、このルートにおいては、スタート地点より標高の低い点を通過していることになる。これにあてはまる図を探してみよう。どうやら3が該当するようだ。断面図の左端より低い地点が途中にある。これがAからのルートを表しているのは間違いなさそうだ。

Dについて。ここはゴチャゴチャしていて判別しにくいな(涙)。でも何とかやってみよう。最初はずっと上り坂のようだ。そのうち「2608」と書かれた部分を通過する。どうやらここは等高線が閉曲線になっているようだ。つまり山頂であり、この部分だけ盛り上がっているのだろう。この丘を越えると、しばらくは急斜面が続き(等高線間隔が密である)、上り坂が連続する。2750の計曲線を越えた辺りで一旦、傾斜が緩やかになるようだが(等高線間隔が疎になっている)、とにかくV山頂までずっと上り坂が続いているようだ。1の図がこの動きに当てはまる。

Bについて。スタート直後からしばらくの間は等高線の間隔が疎であり、この山道はやや傾斜が緩やかなようだ。ただし、2650から2750の計曲線の間は、極端に等高線の密度が詰まっており、かなりの急勾配であると想像される。断面図がこのような動きになっているものとして、2がBからのルートに該当する。急斜面を上り詰めたら標高2760の閉曲線によって表される山頂に到達する。そこからはしばらくなだらかなようであるが、V山頂に達する直前ではやや急傾斜になるようだ。

この2の断面図と、問1の写真との関係がわかるかな。2760の点と、V山の山頂とを結ぶラインが(左右が反対になっているが)かなり似た曲線となっている。もっとも、2の図の方は、垂直距離が水平距離に対して誇張されて描かれているので(1の図に付記されたモノサシを参照してみよう。縦の長さは横の長さの3倍くらいに引き伸ばされているようだ)、写真1と2の図をそのまま重ね合わせても仕方ないけどね。

というわけで、問1と問2というのはお互いに関連した問題となっていたわけだ。問題自体は問2の方が楽なんで、まずこれを解いてから、それをヒントとして、問1を考えていくっていうのが実はいい方法だったんじゃないかな。

 

問3 高山地域の自然と生活に関する出題は98B追第5問などにみられる。ここではとくに98B追第5問問5に注目してみよう。選択肢3より「低緯度の高山地域では、高度の違いにより、異なる作物が栽培され、互いに作物の交易も行われている」。低緯度地域は気温の年較差は小さい。季節による気温の変化はほとんどないのだ。そのため、ある高度帯では年間を通じてトウモロコシの栽培に適した気温条件となり、またあるところでは同じように年間を通じてジャガイモの栽培に好条件であったりする。地域(というか高度帯)によって、獲れる作物が決まっているのだ。

01A本第2問問2参照。ここではコロンビアでみられる土地の高度に応じた農業についての問題がみられる。海岸に近い標高の低いところでは米やサトウキビなど温暖な気候に適した作物が栽培され、中腹のやや冷涼な高度帯ではトウモロコシや小麦が栽培されている。さらに高度が上がると、気温が低くなる分だけ降水量も少なくなり、農産物の生育には適さない条件となる。このような高山地域は樹木の分布もほとんどみられず草原地帯となっている。コロンビアとは南アメリカ大陸北部に位置する国であり、このような「低緯度で標高の高いところ」においては、高度差を利用した農業が行われていると考えていいだろう。

このことを手がかりにして、問題に戻ろう。高度差によって作物を作り分ける農業がキーワードになり、ウがアンデス山脈に該当する。チベット高原やヒマラヤ山脈はそれほど低緯度ではないので、ある程度気温の年較差はある。

ちなみにトウモロコシとジャガイモはこの地域原産。

(おまけ)ウの文章については「気温の日較差」も重要。気温の日較差が、年較差を上回るというのも低緯度地域の気候を表す大きなキーワード。とくに、地理Bではあまり出題されないが、地理Aではアンデス地域の伝統的な民族衣装であるポンチョが話題にされることも多く、この毛布のような厚手の布を身にまとう衣服はこの地域特有の昼の暖かさと夜の寒さに適応したものなのである。ポンチョについては01A本第2問問5の写真参照。

(おまけ2)高度差を利用した農業はアンデス山脈周辺にだけみられるものではない。そもそも「低緯度で標高が高い」ということが重要なのだから、アンデス以外でもその条件にあてはまるところならば必ず成立しているはずである。その典型例がケニアなど東アフリカ。ここは大地の裂け目(東アフリカ大地溝帯)にあたり、地殻変動も激しい。その影響で火山や急峻な高山なども分布し、比較的標高の高い地域となっている。古い問題ではあるが、91本第1問図1のg・hはアフリカ大陸を赤道で切った断面であり、この図をみても東アフリカ地域の標高の高さが確認できる。また、00B追第2問問6選択肢2でもアフリカ低緯度高山地域が話題とされている。では、ここで90追第5問問4を参照してほしい。「赤道直下に位置するケニアの主な作物について、海抜高度による栽培範囲」が出題されている。

ではさらにチベット高原とヒマラヤ山脈南面について考えていこう。

まずそれぞれの位置を確認していこう。ヒマラヤ山脈は有名なので知っているだろう。インドの北部、中国との国境に連なる山脈であり、世界最高峰エベレスト山など超8000メートル級の山岳が連続する。アルプスヒマラヤ造山帯(新期造山帯)に属する巨大な褶曲山脈で、日本とは異なり火山が分布しないという特徴がある。93本第1問問7参照。図4中、cがヒマラヤ山脈に該当。説明文はY。「中生代以前には海であったが、新生代第三期以後の造山運動の結果、第三期末から第四期に急速に隆起して山脈が形成された」とある。つまり、比較的新しい時期に形成された山脈であるということ。

ではこの山脈の南面とは具体的にどこのことだろう。国名を挙げるとすれば、ネパールが該当する。実はこのネパールという国、小さな国でありながら、最近のセンター試験で毎回のように登場してくる超頻出国なのだ。ほとんどレギュラー化。作問者でネパールの専門家でもいるのだろうか。

ネパールの出題例をみてみよう。00B本第5問はネパールをテーマにした地域調査問題。リード文や問3・問4などからネパールの位置と形がうかがえる。01B追第4問問5参照。ネパールの食料事情について。ネパールは内陸国であり、gy貝類の摂取が少ないことがポイントとなる。02B本第3問問5参照。ネパールの紙幣は3であるが、背後の雄大な山並みがポイントとなっている。ヒマラヤ山脈であろう。

このように頻出のネパールであるが、とくにネパールについて特殊な知識が求められているわけでもなく、良問がそろっているといえる。とりあえずネパールについてはヒマラヤ山脈の南側斜面に位置する山岳国であることさえ知っていれば解答可能。

では次にチベット高原について。ヒマラヤ山脈の北側に広がる標高4000メートル級の高原地帯。かつてはここにチベット国が独立国として存在していたが、現在は中国の一部として併合されている。93本第1問問8参照。d地域がチベット高原に該当。選択肢1が正解。「寒冷・乾燥気候に支配されており、湖も数多く見られる」。高原であるので(しかも緯度は北緯30度くらいであり、さほど低緯度とはいえない)、寒冷な気候となる。周囲を高峻な山脈にさえぎられていることもあり、降水量は少なく乾燥している。湖が多く分布しているが、乾燥した気候によって(降水量が少なく、蒸発量が多いので)その大半が塩水湖となっていることも知っておくといい。

以上より、アとイの文の判定をしていこう。決定的なキーワードはイの「急斜面」だろう。高原地形であるチベットは、決して平坦な地形というわけでもないだろうが、かといって「急斜面」という言い方も不自然だと思う。標高の低いところは針葉樹、高いところは氷河がある、というようにかなり高度差がみられる地域のようであるので、これを「ヒマラヤ山脈南面」と考えていいだろう。

つまりアが「チベット高原」である。「高山ツンドラ」「永久凍土」などの表現からこの地域が全体的に寒冷であるとこがうかがえ、さらに「羊」「干上がった」などがキーワードとなって、ここが乾燥した気候に支配されているのだと判断できる(羊は乾燥地域の家畜)。

こんな風にして問題自体は解けるのだが、それにしてもかなりイジワルな問題だと思う。それはイの文中の「ヤク」の存在。僕はどうしてもこれに引っかかってしまってね、かなり悩んでしまった。通常ならばヤクはチベットのキーワードとして登場してくるはずなのだから。

93本第2問問2参照。ウの動物がヤク。水牛の仲間で、チベット高原で遊牧されている家畜である。これは図1においてはC地域に分布している。C地域=チベットであり、まさにヤク=チベットと考えることによってこの問題は答えられるわけだが。

遊牧に関する問題は、その地域でどんな家畜が遊牧されているのか、ということがポイントとなることが多い。北極海沿岸の寒冷地域ではトナカイ、アンデス山脈ではリャマやアルパカ、モンゴルでは馬、そしてチベットではヤク。

だから本問についても、文章イの「ヤク」という言葉を見た瞬間、これをチベット高原に関する記述だと思い込んでしまうということが十分ありえる(っていうか、僕は最初にそう思い込んでしまった)。ただしヤクについては、チベット高原を中心に分布するというように考えなくてはいけないのだろう。ヒマラヤ山脈はチベットに隣接するので、ここにヤクがいても別におかしくないわけで。

とにかく「ヤク」という言葉より、「急斜面」に注目して正解を導かなくてはいけない。ちょっと辛い問題ではあるなぁ。

 

問4 うまい問題。非常によくできている。思考問題としてスマート。悪問だらけの03年の中では貴重な美しさを誇る。

センター試験の問題は原則として国名にこだわって考えてはいけない。ここでも「スイス」と書かれているが別にスイスに限った話ではなく、世界中の山岳地域にみられる現象として考える。「山岳氷河」については、かつて何回か話題とされている。98B本第5問問4選択肢4参照。日本の高山の一部にも山岳氷河はみられるが、河川の流量に影響を及ぼすような大規模なものはない。00B追第2問問6選択肢2参照。アフリカ最高峰キリマンジャロは赤道直下に位置する標高6000mに達する火山である。低緯度であるが、山頂付近には万年雪や氷河(山岳氷河)がみられる。

山岳氷河とは、大陸氷河ほど巨大なものではなく、高峻な山岳地域にのみ分布する局地的な氷河のことである。アルプスなどヨーロッパの高山だけでなく、キリマンジャロやアンデスの高山地域にも、万年雪とともにみられる。

この山岳氷河が図のように縮小している。100年前には山岳の中腹辺りまで氷河におおわれていたものの、現在ではその範囲がより標高の高い地域に限定されている。この原因として考えられるものは何だろうか。これは「地球温暖化」による影響と考えていいだろう。気温が高くなったため、氷が解けてしまい、氷河の面積が減ったのだ。

選択肢1~4のうちから、地球温暖化と最も密接に関係する事項を探してみよう。それぞれ国名や地域名が書かれているが重要ではない。むしろこれにとらわれすぎてはいけない。それらを除去して文章を読んでいこう。

1;「森林限界の低下」。これはどういう意味か?よくわからないのでパス。

2;「外壁石材の風化」。関連問題は99B本第1問問5選択肢3「石造建設物の溶解」。酸性雨とは薄い硫酸や薄い硝酸を含んだ雨。強い酸性を示すため、石灰(炭酸カルシウム)は分解されてしまう。建築石材として石灰岩が利用されることが多いのだが、それらは酸性雨によって溶けてしまう。「風化」というのは風や水によって侵食されてしまうことだが、たしかに酸性雨によって失われる石灰分も多いだろう。

3;「湖沼生態系の破壊」。酸性雨の影響により湖沼の酸性度が上がり、生物の住みにくい環境となる。プランクトン、水草、魚などさまざまな動植物が死滅してしまうだろう。

4;「低地水没の危機」。関連問題は99B本第1問問3。地球温暖化による海水面上昇によって、マーシャル諸島のようなサンゴ礁の島々は水没の危機に見舞われる。標高が低いため、たとえ1メートルの海水面上昇であっても国土の大半が失われてしまうのだ。とくにその被害の深刻な国としてインド洋の島国モルディブがあるが、これは00B本第2問問4選択肢2で登場している。たとえ島国でないとしてもバングラデシュのような低地国(この国は巨大な複数の河川が形成した三角州の上に乗っている。99B追第1問問2)ならば、海水面上昇の影響は大きい。

以上より、地球温暖化と直接関係あるものとして選択肢4を選ぼう。それが最も適当だと思われるものの、地球温暖化の原因は主に大気中における二酸化炭素割合の上昇によるもので、その二酸化炭素の発生原因として化石燃料(石油や石炭など)の大量使用による工業化を挙げるとするならば、同じく工業化(工場から排出される硫黄酸化物などにより酸性雨が生じる)に原因を持つ選択肢2や3も正解といえるのかもしれない。とはいえ、選択肢4が正解としてそのものズバリなわけでもあるし、ここではそれらは考慮するべきではない。素直に4に丸をつける。

(おまけ)選択肢1について若干解説を加えておこう。とくに重要ではないが。

森林限界という言葉は問3にも登場しているね。イの文章の中間部「夏は森林限界より高い場所までヤクの移牧が行われている」。とりあえずこの部分以外でも森林限界が話題とされているものがいくつかあるので紹介してみよう。

00B第3問問4。図3は夏のアルプス山脈を描いたもの。4の範囲は谷底の低地であり、村落が分布している。3の部分は樹林帯となっており、ここは降水量も比較的多く、冬季であっても氷に閉ざされるようなことはないので、順調に木が生育している。2の部分はアルプとよばれる草原。やや降水も少なく、冬季は氷結することもあるので、樹木は生育しない。夏季は豊かな草地となり、アルプとよばれるこの牧草地は夏の間だけ家畜が連れてこられる放牧場所として利用されている。1の白い部分は雪や氷を表している。万年雪や山岳氷河が、たとえ夏であってもそこに残っている。<br>

この図をみればわかるように、森林は山地の途中までしか生育していないね。寒冷であり、そして降水も十分でない高山には樹木がみられない。森林がみられる範囲ギリギリのラインを森林限界というのだ。

01A本第2問問2参照。図3においてはAが放牧地になっている。Bは通常の耕作地であり、ここはおそらく温暖で降水も少なくないと思われるので森林もみられるだろう。AとBとを分ける標高3000メートルのラインが森林限界である。コロンビアのような低緯度地域であっても、標高3000メートルを越えるような高山では気温・降水が足りないため、樹木が生育しにくいのだ。<br>

ちなみに雪線という言葉を知っておいてもいいと思う。標高が高いため、気温が一年中を通じほとんど0℃未満であるので、万年雪や山岳氷河に覆われている高山地域がある。この境目となる標高を雪線という。赤道直下では標高5000~6000mくらいになるだろうし(標高100mごとに気温が0.55℃下がるのだから、低地の気温が30℃くらいまで上がったとしても標高5000~6000mを越える高山は氷点下となる)、やや高緯度の地域ではせいぜい2000~3000mくらいであるかもしれない。

ではここで問題に戻るが、「森林限界の低下」とは一体どういうことなんだろうか。例えばコロンビアにおいて、森林限界が3000メートルから2000メートルに低下する、というようなことを具体的に考える。もしそうなってしまったとしたら、その原因は何だろう。気温の低下ではないか。地域全体が寒冷となってしまったため、これまでは適度に温暖であった(そして温暖であるということは、大気中の水蒸気量もその分多いので降水も豊かということになる)標高3000メートル近くの高度帯において、もはや樹木が生育できるような気温・降水条件でなくなってしまったということだろう。気温が下がり、そして気温が下がった分だけ降水が減ってしまい、森林限界はより標高の低いラインに移動していくのである。<br>

以上より、地球規模の森林限界の低下が、もし起こるとすれば、それは「地球寒冷化」によるものであり「地球温暖化」ではないということになる。どうかな、納得できたかな。というわけで、選択肢1は除去できる。

 

問5 スイスをモチーフとした問題。スイスはおそらくセンター試験初登場なのではないか。ちょっと記憶にない。

とはいえ、本問にしてもスイスに関する知識を問うものではなく、この国から流出する3本の河川に関する問題となっている。

3本の河川について図中の位置とその説明文との組み合わせによる問題は、99B追第1問問3で登場。形式的に似ている。

では、図3を注目し、それぞれの河川の特徴について簡単にとらえていこう。Qはスイスから北方向に向かって流れ出す。北ヨーロッパの平原地帯を流れる河川だろう。ヨーロッパ北部は平原(安定陸塊)や丘陵(古期造山帯)から成る比較的緩やかな地形。河川の流れも緩やか。このことは99B追第1問問3で、河川名を特定する際の大きなポイントとなっている。

このことを意識しながら、カ~クの文章を読んでいく。「緩やか」という表現はないか。北ヨーロッパ平原へと流出するQ川のキーワードは「緩やか」にあるはず。しかし、その言葉はない。そもそも河川の勾配や傾斜の様子に関する言葉は見当たらない。

というわけでここで一旦行き詰ってしまう。視点を変えてみよう。カ~クの文章では農作物の名称がさかんに表されているようだ。カ「牧草地」、キ「ブドウ」、ク「小麦」「トウモロコシ」。これら農作物のうち、ヨーロッパ北部でみられないものはどれか。暖かい地域でのみ栽培されるものはどれか。

まずトウモロコシが該当。トウモロコシの栽培北限はヨーロッパ中央部。イタリアやルーマニアなどヨーロッパの南半分に位置する国では栽培がさかんであるが、ドイツやイギリスなどではみられない。フランスにおいても、北半分の地域には分布せず、その栽培地域は南半分の地域。フランスのほぼ中央部をトウモロコシの栽培限界のラインが横断している。このことから、Q川の説明文としては、まずクが適当でないことがわかる。

さらにブドウにも注目。栽培北限はフランス北部パリ盆地。おっと、ということはスイス付近はブドウの栽培範囲に入っているわけで、Q川沿岸でもドイツ南部の範囲ならばブドウの栽培はみられると考えておかしくはない。

では、ここからは気候に関するキーワードに注目してみよう。カやクには気候に関する記述はない。それに対してキでは「冬には降水量が多いが夏には乾燥する」と述べられており、これは大きな手がかりになりそうだ。このような降水パターンがみられる地域はどこか。それは緯度35度から40度にかけての大陸西岸地域、いわゆる「地中海性気候」のみられる地域である。

ケッペンの気候区分はセンターでは出題されないものの、この地中海性気候だけはその特徴とこの気候がみられる地域を知っておいてもいいだろう。地中海性気候の出題例を挙げておく。

02B本第5問問1。Aのグラフはローマ(イタリアの首都。イタリア半島中部に位置し、典型的な地中海性気候がみられる)。夏季の降水が少ない。

02B追第3問問2。2と3のグラフはイズミルに該当。地中海に面する都市イズミルは地中海性気候であり、夏季乾燥する。

02A本第1問問4。カのグラフは南半球の地中海性気候を表し、これはFの都市(アデレード)に該当。オーストラリアでは大陸南岸の中部から西部にかけての地域で地中海性気候がみられる。

00B追第5問問1参照。Xの降水パターンは地中海性気候。

97B追第5問問5参照。夏季に降水が少ない2が地中海性気候。

以上のように、気候グラフを用いる問題ではとくに地中海性気候が問われる傾向が強い。

問題に戻る。北に向かうQ川の沿岸において、南ヨーロッパで典型的にみられる地中海性気候が分布するはずがなく、消去法によりカが残る。

ではさらにカについて考察していこう。まず「酪農」に注目。これはホイットルセー農業区分によって分類される農業形態の一つであり、乳牛の飼育が最大の特徴。牛乳の保存や輸送に適したやや冷涼な気候が必要であり、ヨーロッパでは北部で典型的にみられる農業形態。よって、北ヨーロッパ平原へと流れていくQ川沿岸で酪農が行われているとみて矛盾はない。さらに「集約度の高い」という言葉にも注目。これは土地生産性の高いていねいな農業形態を示すキーワードであり、具体的には農地1ha当たり収量が大きいことを表す。ヨーロッパは全体的にみてていねいな農業が行われている地域であるが、その中でもとくにオランダの土地生産性が高い。土地生産性の高さは原則として、人口密度に比例すると考えてほしい。狭い土地に多くの人が住んでいれば、わずかな農地でも無駄にすることができず、ていねいで集約的な農業形態がみられることとなる。ヨーロッパの人口高密度国といえば筆頭にオランダがあげられる。4万平方キロの国土に1500万人の住民。人口密度は400人/平方キロ近くに達する。混み合った人口を支えるため、土地を有効に使用する「集約度の高い」農業が行われている。

以上より、Q川の下流に位置する国としてオランダが特定できれば、カの文章の他の部分も納得がいくはずである。「花卉」栽培はこの国の特徴的な農業である園芸農業でしばしばみられるもの。「低湿地」という言葉もあるが、これもオランダが干拓によって国土を広げてきた国であることと結びつけて考えよう。堤防によって仕切られた干拓地の多くは海抜0メートル未満の低湿な地形となっているはずである。

(おまけ)オランダの農業形態といえば「園芸農業」を思い浮かべるのが一般的。園芸農業とは、穀物など収益性の低い作物の栽培は避け、野菜や花卉そして果実(もっとも、オランダは冷涼な国であるのでもとより果実の栽培はほとんどみられないが)や肉・乳製品など商品価値の高い作物の生産を優先するものである。これに対し「酪農」は乳牛の飼育に特徴があり、乳製品の生産などもさかんな農業形態。オランダに関しては、「酪農的な要素も大きい園芸農業」の国であると解釈してほしい。商業性の高い農業が行われている中で、野菜や花卉の栽培がさかんなことと同様に、乳牛の飼育も行われている。

次いで、PとRの判定。これがなかなか難しい。ともにヨーロッパ南部の温暖な地域を流れている河川と思われるので、栽培される作物の種類に大きな差はないだろう。トウモロコシやブドウの栽培が一般的にみられるところを流れているはずだ。

というわけで、ここではとくにP川が西ヨーロッパを流れ、R川が東ヨーロッパの方向へと向かっていることを最大の手がかりとして考えよう。

キとクの文章に注目。キのポイントである「冬には降水量が多いが夏には乾燥する」「ブドウ」についてはすでに考察した。さらにクの「小麦やトウモロコシ」についても、小麦はヨーロッパ全体で栽培されているのに対し、トウモロコシはヨーロッパ南半分でのみ栽培されていることだけ確認しておく。しかしここまでの材料ではPとRを特定できない。

というわけで、実は最大のキーワードである「黒色で肥沃な土壌」に注目する必要性が出てくる。

この土壌って一体何のことだろう。そもそもヨーロッパにおける肥沃な土壌とは?98B本第5問問6参照。図3において、Cのグラフがヨーロッパに該当する。ヨーロッパにおける肥沃な土壌の割合の低さに驚くかもしれない。豊かなイメージがあったのに!?よくぞここまで肥沃土に恵まれず、あれだけ密に集中した人口を養えるものだ。このハンデを克服するために、中世のヨーロッパ人たちは三圃式農業という土地を休ませながら地力を保全する農業形態を生み出したり、やせた土でも十分に生育できるジャガイモが新大陸から持ち込まれるとそれが急速に普及したりした。

話を元に戻そう。ヨーロッパの肥沃な土壌の割合は低い。ただし、01B本第3問問4を参照してほしい。選択肢3に注目。「C付近には、氷河によって生産された細粒の土が風で運ばれて堆積したレスを母材とする肥沃な土壌が分布する」とある。これは正文なのだが、この文章に従ってヨーロッパの肥沃な土壌についてチェックしていこう。

図2参照。かつて氷河に覆われた地域が示されている。ヨーロッパではその範囲はスカンジナビア半島(ノルウェーやスウェーデンなどが位置する半島)、イギリス本島の大部分、そして北ヨーロッパ平原(ドイツやポーランド)などに及んでいる。この地域の土壌はやせている。氷河期以前はこの地域にも豊かに植物が繁茂しており、腐った植物が積み重なることによって形成された栄養分に富んだ土壌が表土をおおい尽くしていたわけだが、それらの肥沃な土壌は氷河期には氷河の侵食作用によって削られてしまった。

ただしその削られた腐植土自体は氷河の末端にまで運ばれ、堆積物として残る。それが風などによって周囲にばらかまれ、現在は肥沃な土壌として農業におおいに利用されている。彫刻刀で木の表面を削ることを思い浮かべてみよう。彫刻刀が氷河に当たり、木の表面が腐植土に当たる。彫刻刀に削られ、木の表面部分がはがされる(つまり腐植土がなくなってしまうということ)のと同時に、削りカスも周囲に散乱する。氷河によって表面の土が削られ、氷河の末端まで運ばれる様子を想像する。氷河におおわれていた地域の地力が乏しいのとは対照的に、氷河の端(ヨーロッパの氷河は大きく北から南に向かってゆっくり動いていたから、この場合は氷河の南端といった方が的確だろう)には肥沃な土壌が集積するのだ。

ヨーロッパにおいて肥沃な土壌は、以上のようなシステムで集積する。氷河の外縁に当たり農業のさかんな地域としては、イギリス南部(ロンドン周辺)、フランス北部(パリ周辺)、そしてハンガリー盆地が挙げられ、いずれにも肥沃な土壌が分布している。

問題に戻ろう。クの文に注目。「黒色で肥沃な土壌」とある。肥沃な土壌ならばイギリス南部、フランス北部、ハンガリーの3ヶ所が上げられるが、このうち大陸から離れているイギリス南部は除外していいだろう。残るは2つだが、「黒色」というのはこの場合は何の手がかりにもならない。ヨーロッパの肥沃な土壌の色についての知識はない。さらに文章を検討してみると、「トウモロコシ」という言葉に突き当たる。これが最大のポイントになるだろう。先述のようにトウモロコシの栽培地域は限られている。ヨーロッパの南半分の地域だけだ。フランス北部のパリ盆地はトウモロコシの栽培限界の北側に当たり、気候が冷涼すぎる(ちなみにこの地域はブドウについては栽培限界の内側である)。ハンガリー盆地はどうか。緯度的に考えてパリ盆地より低緯度側に当たり、しかもヨーロッパのほぼ中央部に位置しているため、トウモロコシの栽培北限よギリギリ南側に位置していると考えられる。ここなら何とかトウモロコシの栽培は行えそうだ。大陸中央部なので内陸性の気候がみられるだろう。冬季は、海洋性のパリよりも寒冷になると考えられる。ただし夏季はかなり高温となるのではないか。トウモロコシなど一年生の穀物ならば、春に植えて秋に刈り取ればいい。冬季の気温は関係ない。緯度もさほど高くなく、海から離れているので夏季の気温も上昇すると思われるハンガリーで、トウモロコシの栽培が行われていると十分推測できる。

以上のように「肥沃な土壌」「トウモロコシ」からクの文はハンガリー盆地について説明したものであるとわかる。では、これははたしてP川に該当するのか、それともR川か。ハンガリーはスイスより東に位置する国である。スイスの東隣りがオーストリア、そしてさらに東がハンガリー。スイスからオーストリア方面に流れるR川こそ、ハンガリーへと注ぎ込む河川であると考えていいだろう。クはR川の説明である。<br>

消去法により、Pはキとなる。キの文章があきらかに地中海地域の自然環境について説明したものであるので(「冬には降水量が多いが夏には乾燥する」「ブドウ」などの記述による)、P川はスイスからフランス国内に流れ出した後、流路を左折させ、そのまま南ヨーロッパ方面に進んでいくのだろう。

というわけで、この問題については、それぞれの河川名をまず考えることは大変危険。っていうか、河川名を知らなくても解くべき問題。

僕は河川についての問題、しかもそれがヨーロッパを舞台としているのならば、地形的特徴(平坦な北部はなだらか、急峻な南部は急流)による勾配の違いについて問わなければいけないと思う。99B追第1問問3なんかはその典型となっている良問。それなのにこの03年の方はそんな風になっていないよね。これは問題制作者の不勉強といって差し支えないだろう。センター過去問の研究をして、より的確な作問をするべきだ。

まあ、それはともかくとして、勾配に関する記述はみられないものの、それ以外に自然地理に関するネタは豊富に取り上げられているわけで、それらを中心に考えていくことはできる。これはすばらしい点。社会地理(人文地理や経済地理)に関することよりも、自然地理に関することを優先して考えていくべきなのだ。

 

問6 直接的な類題として99B追第1問問1がある。ともに河川流量がテーマになっている。

99年の問題ではシベリア東部から北極海に注ぐ河川としてレナ川が登場している。03年では西シベリアのオビ川が取り上げられている。それぞれ異なる河川ではあるが、ともに寒冷地域を流れる河川としての類似点は多いと想像できる。

99年の問題参照。レナ川に該当するものは選択肢4のグラフである。1月から5月までの流量に比べ、6月は急増し、その水量は年間を通じても圧倒的に多い。このようになる理由は何か。これは誰でもわかるね。もちろん雪解けの影響。

とくに「6月」っていうのが最大のキーポイントになると思う。日本の寒冷地域とくに北海道なんかでもこのような流量パターンになるわけだが、それでも流量が増大するのは4月くら。この時期が雪解けの季節に当たる。それと比べて、レナ川やオビ川などとくに寒冷地域を流れている河川の場合は、融雪期が若干ずれる。「春の雪解け」がむしろ「初夏」ともいえる時期にずれこむわけだ。シベリアの大地は4月はまだ寒冷。6月くらいになってやっと雪と氷が解け、そして河川の流量が急激に増加するのだ。

以上のことを頭に突っ込んで、問題を解いてみよう。図4のY川(前述のようにこの河川はオビ川という名称。ただし問題を解くうえで河川名は考える必要はない)は、寒冷地域を流れるため、融雪・融氷期が初夏にまでずれ込むだろうと想像される。つまり6月くらいに河川流量がいきなり大きくなっているものを探す。1は該当しないだろう。6月の流量は他の月に比べて大きくない。1月など冬の時期の流量が多いことより、この河川は冬季凍結しないと思われる。4も該当しない。6月だけでなく、年間を通じて流量が多く、これも凍結するような河川とは思えない。

以上より2と3が残る。ここからが難しい。6月の流量が大きいという点において、両方のグラフは共通している。さあ、どちらが正解なのだろうか。

ここでもう一度、Y川のようなシベリア地域の河川において初夏の流量が極大になる理由を考えてみよう。それは「雪や氷の融解」による。ということは、冬の間は完全に凍結しているとみていい。凍結した河川で水が流れるのだろうか。否、そんなことはない。流れていたとしてもごくわずかな量だろう。

つまり、ここで考えるべきことは、寒冷地域の河川の最大の特徴としてはもちろん春季(あるいは初夏)の流量の多さであると同時に、冬季の流量の少なさも大きな特徴となるのだということ。もちろんこれは当たり前のこと。言われてみれば誰でもわかる。ただ、この「当たり前のこと」を利用して解答に結びつけるということは実は難しい。道具を用意することは簡単なのだが、その道具を使いこなすことは難しいのだ。

当たり前のことだからこそ慎重に考えること、このことが極めて重要なのだと思う。センター地理Bの問題としてもそうだし、そして君たちが来年になって大学で勉強を始める時にもそのことを実感するはずである。

選択肢2と3のグラフを比較してみよう。高緯度のY川なので、5月くらいから次第に流量が増し、そして6月以降にピークを迎えると考えられる。しかし5月や6月の流量は両グラフとも実に似ているので決定的な手がかりにならない。ここはむしろY川の「凍結」にこそポイントをしぼるべきだ。雪や氷にを閉ざされる時季、つまり冬季の流量は極めて少ないことが想像されるではないか。このことを表すグラフはどちらだろうか。答はおのずから明らかである。

過去問にほとんどズバリの類題があるし、問題自体も簡単なので、正解率も高いと思っていたのだが、意外とこの問題で引っかかる者が多かった。みな、2と3の選択で迷っているのだ。そういった者たちは「寒冷地域を流れる河川は5月や6月の流量が大きい」と丸覚えしているだけではないのだろうか。地理とは「点」の勉強ではない。「線」の勉強をしなくてはいけない。ポイントとなる事項のみを暗記するのではなく、因果関係を含めてシステムとして理解しないといけない。実際にテストに出るのは「点」の部分であるし、未熟な講師や参考書においては前後関係を省略して「点」だけを覚えさせようとする。君たちもそういった勉強法が正しいものだと錯覚する。つまり、ポイントを覚えることが高得点への近道だ、と。

僕はそうではないと思う。地理とは、そして全ての学問が、「線」なのだと思う。原因があって、結果がある。そういった前後の流れを整理してこそ、勉強としての価値があるし、君たちにとってそれが悦びとなる。「Y川は寒いところを流れている」という情報だけをこの図から読み取り、「それならば冬季は凍結するはずだ。雪解けの時季との流量差が大きいのではないか」と推測する。そしてグラフを参照すると、確かに冬季の流量が極端に少なく、融雪季と思われる初夏の時季に一気に増水するものがある。それを素直に選択したらいい。

「ポイントの暗記」ではなく「思考のプロセス」こそが重要である。まだまだ頭の柔らかい君たちにとって、「ポイントの暗記」は苦痛でしかないが、「思考のプロセス」をたどることは、未知の世界への冒険のようにエキサイティングなはずだ。

 

問7 河川名を問う問題。難問だったと思う。そもそもこのような出題パターンってずいぶんと久しぶりなんじゃないかな。まず、数行に渡って説明文が書かれていて、その後に選択肢として地名(本問の場合は河川名)が並んでいる。このパターンはあまり記憶にないんだが。かつてリビアを問う問題でこんなのがあった。95本第7問問4参照。ただしこの問題ではリビアという国名ではなく、白地図上での位置を用いて質問されているので、03年の問題とは若干傾向は異なるが。<br>

というわけで極めて異例な問題。というか、作問者がセンター試験の出題パターンを知らなかったんじゃないかっていう疑念がわいてくる。しかも選択肢がなぜか5つあるし。ここまでくると、全然わけがわからない。

問題の文章からキーワードを拾っていこう。「山地を離れた」とあるので、水源部は山地なのだろう。しかしこれは当たり前のことなので手がかりにならない。「中流部で砂漠地帯を流れ」とある。湿潤地域に水源を持ち、乾燥地域を流れる河川のことを外来河川というが、この川はまさにそれに当たる。「多くの農業用水」が引かれているようだ。農業がさかんな地域を流れているのだろう。外来河川はこのように農業用水などに灌漑されることが多い。「標高1000メートルを超える高原地域にさしかかる」とある。中流から下流にさしかかるところの標高ですら1000メートルを超えているのだが、源流部の標高はかなり高いのだろう。数千メートル級か。「階段状に整えられた畑」はこのような山岳・丘陵地域ならば珍しいものではないだろう。農作物として「小麦」「綿花」「トウモロコシ」が栽培されているようだ。それほど寒冷な地域ではないのだろう。

ただしここまではさほど重要なキーワードはなかったような気がする。これだけはわからない。次の文章が最大のヒントとなる。「高原地帯を貫流することで、河川には多量の砂泥が流れ込み、それらは下流の平原部に堆積してきた」とある。これは具体的に何のことかわかるだろうか。

黄河という河川名自体は中学でも登場してくる一般的なものなので知っておいてもいいとは思うんだが、センター試験で黄河が問われたことはない(その詳細については後述)。そういう意味では本問はやや難しめの知識問題だったといえる。黄河は黄土高原を貫流している。そこで大量の砂泥が河川に流れ込むために、黄河はいつでも濁った色をしている。砂泥は下流の平野に堆積し、華北平原をかたち作る。この土壌は黄土とよばれる肥沃なもので、この地域は豊かな農業地帯となる。やや内陸部では綿花、平原中央から沿岸にかけての地域では小麦(冬小麦)、華北平原の南部ではトウモロコシが、それぞれさかんに栽培されている。

文章後半についても一応考察を。「流域における水需要の増加」とあるが、中国では人口はさほど増えていないわけで、ここでは工業用水の需要と考えていいだろう。伝統的なせんい工業に加え、近年は各種工業の発展もめざましい。「渇水期」とあるが、中国北部やシベリア高気圧の影響を受けて、冬季にはかなり降水量が少なくなる。このことを述べているのだろう。「河口部には三角州」とあるが、このような河川は他にいくらでもみられるので、手がかりとはしにくい。<br>

黄河の出題歴は地理B本試では初出。過去の参考問題は00B追第3問問4選択肢2くらい。これにしても黄河という河川名が直接問われたものではなく、あくまでペキンやテンチン付近(この地域を華北という)の代表的河川として黄河を考えろというもの。さらにダムの有無が問われているのだが、中国の河川でダムがキーワードとなるのは長江。現在建設中のサンシャダム。黄河も上流の山地部ではいくつかダムもみられるのだが、さほど大規模なものではなく、長江とは比較にならない。

その長江に関する問題が地理Aにあり、そこではまさに「ダムが建設中である」ということが最大のキーワードになっている。このように長江はセンター試験で最も出題頻度の高い河川の一つとなっている。

本問は消去法で解く問題ではなく、単に黄河に関する知識だけが求められており、センター試験的な傾向ではない。ちなみに他の河川についてはとくにどうでもいいのだが、一応解説を加えておくので参考にしてほしい。

2のナイル川はしばしば出題されている。何といっても世界最長河川なのだから出題されて当然なわけだが、それよりも外来河川として灌漑農業ネタ、あるいはダムが建設された河川としてその影響について考察させる環境問題ネタとして出題されるケースが多い。98B本第5問問7選択肢1など。

ボルガ川は初出。カスピ海に注ぐヨーロッパ最長の河川であるが、マイナーな川なんでノーチェックでいい。

マーレー川はどうかな~。重要ではないとも言い切れないんだが。センター試験で問われる河川は外来河川ばかり。乾燥地域を貫き、沿岸に住む人々に貴重な水分を提供する。実はマーレー川は一応、外来河川なのだ。そういう意味では重要だが、何とも判別しにくいな。

マーレー川に関する問題は98B本第1問問2選択肢4(誤文。つまりこれが正解)と00B追第1問問7選択肢3(間違い選択肢であり、解答には関係ない)。オーストラリアは、大陸東部を縦断するグレートディバイディング山脈によって、東の湿潤地域と、西の乾燥地域に大きく分けられる。マーレー川はその山脈の西麓から流れ出る河川であり、つまり乾燥地域を貫く。ただし流量は年間を通じて少なく、灌漑には利用しにくい河川であった。そこで大規模な開発としてスノーウィーマウンテンズ計画が施行された。山脈から東へと流下するスノーウィー川、この川は湿潤地域を流れるので水量は多いのだが流路が短く、すぐに海に達してしまうため、周囲で農業がさかんというわけでもない。そこでスノーウィー川からマーレー川に水を送るため、山脈を貫くトンネルが建設され、これによりマーレー川の水量は増加した。流域の盆地や平地は灌漑によって大規模な小麦地帯として開発された。<br>

このスノーウィーマウンテンズ計画自体はマイナーなものだと思うが、センター試験で出題例もあるので、知っておくべきことだとは思う。その点からすれば、今回、マーレー川が選択肢の一つとして登場したこともあながり的外れなことではない。

とはいうものの、この問題の作成者がこれら過去問を意識していたとはとてもじゃないが思えない。そういう人だったらいくら何でもボルガ川なんて知名度の低い名前は出さないだろうし、そもそも選択肢も5つにはしないだろう。どうせ気まぐれでマーレー川を選択肢に挙げただけだと思うよ。というわけで、個人的な見解としては、マーレー川がたまたま今回話題に上ったからといって、今後この川に関する問題が出題されるとは思わないな。ノーチェックでいいでしょ。

メコン川はメジャーな河川ではあるが、新課程導入以降の出題歴はない。