2008年度地理A追試験解説

2008年地理A追試験 解説                                 

[第1問]

問1 図法に関する問題。地理Bでは出題されにくいと思う。問題そのものも簡単ではない。

問2 回帰線の意味について。これは重要だと思う。回帰線とは、夏至の日の正午の太陽高度が90度に達する緯度帯。地球が地軸を傾けながら太陽の周りを周回(公転)していることを考える。

問3 これも重要な問題。極圏の境界の線と、回帰線はセットで考えよう。極圏とは白夜や極夜(太陽が一日中地平線の上に昇らない)が観測される最大範囲のこと。

問4 東京(というか日本)がロンドンと9時間の時差にあることをぜひとも知っておこう。東京の方がロンドンより9時間早いので、東京で午前9時ならロンドンではちょうど0時となる。午後5時ならばそれよりさらに7時間遅れているのだから、かなり西の方ってことになるよね。

問5 この問題は不要でしょう。地理A特有の問題。

問6 対蹠点の話題は地理Bでもしばしば登場するので、そのイメージをビジュアルでつかんでおくべき。日本の反対側が南米アルゼンチンの沖合いっていうのは知っていても、具体的にどんな感じかわからないでしょ?

問7 これぐらいは簡単に計算できるようにしておきましょうね。

問8 ちょっとやっかいな問題だね。でも冷静に問題を読んでみよう。GISはよくわからなくても「標高」っていう言葉にしっかり反応できたらいい。

1;標高の低い部分がわかれば、水没範囲も特定できる。

2;山地や高原の標高データがあれば、断面図も推測できるだろう。

4;これ、ちょっと難しいかもしれないけれど、標高に関係する事項であることはわかる。

というわけで3が誤り。「標高」と「気温」はさすがに関係ないでしょ。

[第2問]

問1 あ、すいません。ボクの手元の原稿では印刷が悪くて全然わかりません(涙)。ただ、こうした交通ネタも地理Aの特徴ですね。

問2 これ、結構いいんじゃない?とくに選択肢3の内容を知っておこう。ネットの普及で、情報格差が生じている。

問3 出題意図がよくみえない問題。NAFTAであるし、域内貿易が多いのは当たり前でしょ。

問4 これちょっと気になるな。Zのマラッカ海峡が正解なんだけど、「世界最大級のコンテナ取扱量をもつ貿易港」がシンガポールであることがわかるかな。この海峡のキーワードは「狭くて浅い」こと。なお、迂回路についてはジャワ島の東に隣接するバリ島の東側を通る論ボク海峡が該当。ここは水深が深く、タンカーなど巨大船舶の航行がよりスムーズ。ただし遠回りになるので、燃料コスト的にはおいしくない。

問5 これいいっすね。がっちり行きましょう。「野菜は鮮度が重要」なので、消費地の近くで生産される傾向が強い。野菜は国内自給率が高く(選択肢1)、輸入する場合も中国のような近隣国が中心(選択肢2)。ただし、カボチャなど一部の野菜についてはニュージーランドやトンガのような南半球の国から輸入している。季節が逆であることを利用しているのだ(選択肢3)。選択肢4については、中国から安い野菜が多く輸入されている様子を考えよう。

問6 NAFTAに関する問題ではある。EUとNAFTAの違いについて、物(商品)だけでなく人(労働者)の移動も自由であるEUに対し、労働者の移動は厳しく制限されているNAFTA。米国からメキシコへの移動は難しくないが、メキシコから米国への労働者の移動は容易くない。

[第3問]

問1 地理Bとくに本試験ではオーストラリアの地誌問題はまず出題されない。逆に地理Aでは出題率の高い地域である。地理Aの問題を通して、オーストラリアを学習するのは有効。

まずこの問1は気候の問題だが、それを文章で表現しているのが珍しい。アが雨季と乾季の明確な低緯度であること、イが内陸部であること、ウが海洋性の気候であることなど考える。

問2 ベタな問題だがこうした問題を確実に解くことは大切。選択肢4のみちょっと悩むが、オセアニアでフィヨルドがみられるのはニュージーランド南端部のみ。

問3 非常に重要!大さん井(グレートアーテジアン)盆地に関する問題。地下水を利用している様子を考える。

問4 これは難しいっしょ(涙)。別に要らないと思います。Pが金に該当することだけ知っておいてもいいかな。オーストラリア南西部のパースは金の積出港として栄えた港湾都市。

問5 これも大切。とくに選択肢2。オーストラリアの先住民の例にアボリジニーがいるが、彼らは伝統的に狩猟・採集生活を営んでいた。そもそも羊や牛はヨーロッパ人がこの大陸に持ち込んだ外来種であり、オーストラリアに昔からいたわけではない。

問6 肉類そして牛乳・乳製品は食卓の西洋化と結びつく食材。もっとも「西洋的」であるオーストラリアで割合が高いものを考えればいい。なおペルーではイモ類の割合が高いが、これはジャガイモがこの地域原産であることと重ねて考えればいい。

問7 1人当たりGNIと第1次産業人口割合が反比例することを考える。

問8 この問題いいですね。アジア地域との関係性が年を追うごとに深まっていく。

[第4問]

問1 スイマセン!これも印刷が見にくいのでわかりません。。。

問2 人口密度に注目する問題。インドを中心とする南アジアの人口密度の高さが想像できますか。インドの人口規模(日本の約10倍)と面積(やはり日本の約10倍)から概算し、日本と同様の人口密度の高さであることを理解する。

問3 1人当たりのエネルギー消費量の高低は、原則として1人当たりGNIと比例する。しかし、エネルギー資源を産する国においてもそれなりに高い値になる。その様子がイメージできるか。いい問題ですよ。

問4 河川はよく問われるが、とくに外来河川が重要。本問でもナイル川が出題されている。長江のサンシャダムは地理Aでは2回目の登場。地理Bでも出題されるかもしれないので「長江=巨大ダム」とインプットしておくといい。

問5 結構難しいよ。普通は「針葉樹=パルプ」なので、パルプがキーワードになるのは冷帯地域に限定されており、本問のように熱帯林が取り上げられるケースは非常に珍しい。熱帯林にしても森林には変わらないので、パルプの原料にはなり得るのだ。サとCを結びつける。一方、スの「立ち枯れ」は酸性雨が原因。これはヨーロッパや北米、中国などでとくにみられる環境破壊であり、アマゾンのCは絶対に該当しない。

問6 国際機構に関する問題なので地理B的ではないね。よかったら選択肢4のネタだけは知っておいてもいいかも。ODA(政府開発援助)の用途は多様であるが、その中心的なものはインフラ(施設)整備である。道路や港湾、トンネルや空港などが建設される。政府「開発」援助であることを意識しよう。

[第5問]

問1~問6 地理Bと同じ

問7 こうした図を見るだけの問題って、実はややこしい問題が多かったりするんですが、本問はシンプルですね。大丈夫でしょう。