2015年度地理A追試験解説

2015年度地理A追試験

[1]日本時間1月3日15時。旅行先の時間1月3日2時。時差は13時間で日本の方が進んでいる。日本とイギリス(グリニッジ標準時)の時差が9時間で日本の方が進んでいるので、旅行先とイギリスを比べた場合、イギリスが4時間進んでいることになる。経度15度で1時間の時差。旅行先は、西経60度の地点。イが正解。

[2]まず気温年格差から。低緯度のメキシコシティは気温年格差が小さい。1月と7月の気温の差がないクがメキシコシティ。

シアトルとラスベガスの判定は降水量。コロラド川流域の乾燥地域に位置するラスベガスは降水量の少ないキ。暖流に面し多雨となるシアトルはカ。

いかにも地理Aといった気候判定問題。地理Bの雰囲気ではないかな。

[3]Bが正解。Aのメキシコ湾やCのペルシャ湾は有名だと思う。Dのサハリンを必ず知っておこう。ロシアに日本やアメリカ合衆国が協力することで、油田やガス田の開発が行われている。

[4]これがよくわからないんだよなぁ。サのアイスランドでいいと思う。違ったらごめんなさい。むしろ、君たちが知っておくべきは、中国(最大の水産物輸入先。ウナギなど)、ベトナム(養殖のエビ)、チリ(養殖のサケ・マス)の3つ。

[5]写真がないのでスイマセン。モロッコの風景とか興味あるんだけどね。

[6]へのタイは仏教。他はイスラム教。ハはアルジェリア、ヒはイラン、フは中央アジア地域。

[7]①が違うんじゃないかな。たしかに行政界はあるのだ。「ー・・ー・・ー・・ー・・ー」は市郡界。でも、これって「谷」じゃなくて「尾根」だよね。「1711」の山頂を探してみよう。そして、等高線に囲まれた部分を赤く塗ってみる。どうかな、そこから北北東に向かって行政界が伸びているわけだけれど、これって等高線の膨らんでいる方向に向かって下りていないかな。これは「尾根線」なのだ。

[8]X;位置情報を得るのでGPS。Y;人工衛星からの写真。リモートセンシング。Z;コンピュータに情報を入力。GIS。

[9]こうした問題はとりあえず今のデータから。2010年の値がほぼゼロの④は、軽工業製品の綿織物でしょう。逆に最も高い①は自動車。とくに①については、1980年代にピークだったことからも自動車であることが確実。残った②と③だが、現在の値は同じ。過去を振り返ってみると、なるほど、②は1980年代以降に伸びてきた品目であり、③は1960年代の高度経済成長期の値が大きい。高度経済成長期は「重厚長大産業」の時代であり、日本各地に製鉄所が建設された時期でもある。③が鉄鋼で、②が半導体等電子部品。

[10]フィリピンが最大のポイント。かつて日本はフィリピンから多くの木材を輸入していたが、結果としてフィリピンの森林面積は大きく減少した。フィリピンの値が大きい方から小さい方へ、イ→ア→ウの順。東南アジアの地位が低下し、北ヨーロッパからの輸入が増えている。

[11]函館とは北海道の都市。ロシアとのつながりが強いことは想像できるだろう。②が正解。他はよくわかりません。③が川崎っぽいなぁ。石油コンビナートとかあるし。①が大阪、④が境だとは思うんだけどね。そもそも境って鳥取県西部の港なんだけれど漁港として有名で、貿易港としては規模が小さいと思う。木やコルク製品がたまたま上位にランクインしているけれど、量が多いっていうほどでもないんじゃないかな。

[12]「残高」っていうのがよくわからないのだが、わからんものは無視しましょうか(笑)。直接投資については「工場」を具体的に考える。つまり日本企業の工場がどの地域に多いかっていう話なわけだ。全体的に最も高い値となっている①を素直に選んだらいいと思うよ。よくわからんけど。

[13]①について。移民の流れは「1人当たりGNIの低い国から高い国へ」。日本はそもそも1人当たりGNIの高い国なので、外国への移民はない。

②について。域内のヒトの移動の自由が実現しているのはEU(パスポートがいらない)。ASEANはその限りではない。

③について。正解。1970年代のキーワードはオイルショック。原油価格高騰により、オイルマネーが西アジアの産油国に流れた。建設ブームが到来し(なお、製造業ではないので注意。西アジアで自動車工業が興ったわけではない)、周辺の低所得国から労働者が流入。

④について。日本への観光客は中国や韓国からが中心。

[14]この問題いいなぁ。ハラル(ハラール)が登場。ハラール肉とは、イスラム教徒のために正しい処理がなされた肉のこと。イスラム地域であるアラブでは羊の肉がよく食されているが、ハラル処理された肉である。Bがサに該当。この場合の宗教とはイスラム教のこと。

Aは免税店なのでスが該当。Cはよくわからないや(笑)。

[15]これ、難しいんだよなぁ。人口規模も飛び抜けて大きい国や小さい国はないし、判定しにくい。とりあえずEUは基準になると思うんだよなぁ。EUはさっきの問題でも触れられていたけれど、国境の通過にパスポートがいらないほどで、ヒトの移動は自由である。外国への旅行Lも国内旅行と同じような感覚で行え、相対的に外国旅行者は多くなる。「外国旅行者送出数」が大きい①はEUで決まりだと思う。さらに④についても、送出は多くないけれど「外国人旅行者受入数」は多い。これもEUとみていいと思うんだよなぁ。①と④がイギリスかスペインのいずれか。おそらく、①がイギリスで④がスペイン。そもそもの人口規模が、イギリス>スペインであるため、イギリスの方が外国旅行者送出数は多くなると思う。さらに、ヨーロッパの旅行といえば地中海沿岸へのバカンスであり、スペインはそうした観光地を国土に含んでいる。多くのヨーロッパ人がスペインの海岸に出かけるイメージが持てれば、スペインが人口を超えるほどの外国人旅行者受入数であるのも納得だろう。

残った②と③が日本かタイ。これはもう勘で当てるしかないよ。日本の方が人口が大きいし、1人当たりGNIも高いし、旅行者が多いんじゃないかな。外国旅行者送出数が大きい②が日本、少ない③がタイとなる。これでどうだ!当たってるんやろか?

[16]標高3000メートルはかなり高いよ。新規造山帯。南部のみに新規造山帯が位置するBが正解。

[17]おもしろいなぁ。こうやって改めて並べてみると、ヨーロッパの気候って実に興味深い。まずアから。全体の気温が高いので、低緯度地域であると推測。地中海沿岸のGでしょう。夏季の降水量が少ないのも、この地域の特徴。中緯度高圧帯の影響なのだ。

イとウはともに年間の平均気温は12℃ぐらいになるのかな。イが最暖月24℃、最寒月0℃。ウが最暖月19℃、最寒月5℃。というわけで、もちろんここからは気温年格差に注目。大西洋に面し海洋の影響が強いFで気温年較差が小さくなると思われ、ウに該当。大陸内部のHは寒暖の差が大きく、イに該当。

[18]農業の問題。地理Bならもっと農業区分(ホイットルセー)を強調したものになるんだろうが、地理Aならこんなもんかな。でも、混合農業が問われている辺り、やっぱり地理Aでもホイットルセー農業区分は重要ってことだね。

Lはオランダ。園芸農業が主。穀物以外の野菜や花卉、乳製品や肉類など。②が該当。

Mはデンマーク。酪農地域である。④が該当。

Nはポーランド。混合農業地帯で、ジャガイモとライ麦の輪作、豚の飼育が行われる。③が該当し、これが正解。

Kはスペイン。オレンジの栽培に特色がある地域。まあ、地中海沿岸だし、オリーブとブドウでも間違いじゃないっしょ。①が該当。

[19]都市名が登場しているけれど、地図上の地域として捉えればいいね。

ビルバオはスペイン北部でフランス国境に近い。バスク地方であり、独自の言語が用いられている。スが該当。

ベルファストはイギリスの北アイルランド地方。プロテスタント(イギリス系)とカトリック(アイルランド系)の対立。サが該当。

ブリュッセルはベルギーの首都。ベルギーは北部はゲルマン系のオランダ語、南部はラテン系のフランス語。首都はバイリンガル地域。

[20]図がないので何ともいえないのですが。1人当たりGNIは確実に知っておくべきことであるし、人口密度はおおまかに面積に反比例と考えればいい。

[21]あれ、またポーランドだ!ポーランドは国土南部に古期造山帯が広がり、産炭地域となっている。石炭に依存する割合が高い国なのだ。火力メインの①が正解。酸性雨の被害も大きい。

②がドイツ、③がフランス、④がスイス。しかしこれもすごい問題だね。ドイツは2030年代を目処に脱原発を目指す国。スイスはすでに近い将来の原発の廃止を決定している国。フランスは現時点ではそういう動きはないものの、新設される原発はほとんどない。ヨーロッパ全体が、ゆるやかではあるけれど、脱原発の流れにあるのだ。その推進役ともなっているドイツとスイスを取り上げるところが何とも憎いなぁ。

[22]ありがちな問題だけど気をつけないと。EUでありながら、イギリスのように独自通貨(イギリスの場合はポンド)を使用している国もある。EU29カ国中、ユーロを使用するのは半分程度に過ぎない。

[23]現在の数値に注目すればいいと思う。出生率と死亡率の差が人口の自然増加率。人口増加については自然増加と社会増加の双方を考えるべきだが、大陸別の人口については(人口の国際的な移動は全体からみればわずかな割合である)自然増加のみを考慮すればいい。「2005~2010」の値を注目し、自然増加率の高い順に並べると、①>②>③>④である。

人口増加率は、「2%;アフリカ 1.5%;南アジア・ラテンアメリカ、0.5%;東アジア・アングロアメリカ、0%;日本・ヨーロッパ」であり、アジアについては1.5%の南アジアと0.5%の東アジアの平均として、1%と考える。4地域を同じく人口増加率(自然増加率)の高い順に並べると、アフリカ>アジア>アングロアメリカ(北アメリカ)>ヨーロッパであり、①がアフリカ、②がアジア、③が北アメリカ、④がヨーロッパとなる。

[24][25]①が誤り。ヒスパニック(メキシコ系移民)や中国からの移民はとくに増加している。

②も誤り。インドではたしかに子供を二人までという家族計画が政府によって呼びかけられているが、徹底しているわけではなく、人口増加率は相変わらず高い。農村における労働力不足は当然生じない。

[26]これ、難しいな。そもそも「微小粒子」っていうのがわからない。ただ、セネガルがポイントなんだわな。「安全な飲料水を利用する人口の割合」が100%である①と②が先進国であるドイツとオーストラリアであることは間違いない。でもその2カ国でも「微小粒子状物質の大気中濃度」が20と7で結構違う。これってどういうことなんだろう?

で、ここで思ったわけだ。残る③と④がセネガルとインドだよね。同じく発展途上国であるこの二つの国の間でもかなり数値が違っているわけだ。両国の違いって何だ?それは「乾燥の度合い」なんだわ。多雨で国土の広い範囲が湿潤であるインドに対し、セネガルはサヘル地帯の乾燥国。例えば雨の多い国ならば、空気中に微粒子が舞っていたとしても、雨によって洗い流されてしまう。逆に雨が降らない国ならば、砂塵などが舞い上がった際に、いつまでも空気中に浮遊することになる。中国の黄砂を考えてみたらいいんじゃないかな。砂漠化が進む中国内陸部の黄土高原。風によって舞い上げられた細かい黄砂が、風に乗って日本に到達し、もやがかかったような空気となる。雨が降ると黄砂は地面へと落ち、例えば自動車の上などでは泥としてこびりついてしまう。乾燥している国の大気で微小粒子濃度が高く、雨が多い国ではその値は低いと考えるのが自然じゃないかな。①がオーストラリア、②がドイツ、③がセネガル、④がインドと考えるとつじつまが合う。

[27]新大陸のアルゼンチンでは商業的な農業が行われ、小麦など穀物がさかんに輸出されている。穀物自給率は100%を越え、④がアルゼンチン。一方、米の自給率は高いものの小麦やトウモロコシは輸入に依存する日本、商品作物の生産が優先され(プランテーション農業)自給作物の生産は十分でないナイジェリア、フランスやドイツなど他のヨーロッパ諸国から小麦を輸入しているイタリアは、いずれも穀物自給率が100%を下回っている(ナイジェリアが重要!)。

①~③の判定。①はいも類の割合が高い。ナイジェリアは焼畑農業の国でキャッサバの生産が多く、タピオカに加工され食されている。また熱帯雨林の気候環境を有し、家畜の飼育はさかんではない(肉類の供給が少ない)。①がナイジェリア。

②は穀物自給率がとくに低い。上述のように日本は米の自給率は100%近いが、小麦は15%程度、トウモロコシはほぼ0%であり、平均して約30%となる。②が日本。

残った③がイタリア。ヨーロッパの国であるだけに、日本に比して肉類や牛乳・乳製品の割合が高い。

しかし、アルゼンチンの穀物自給率250%って凄いな!そんなに人口が少ない国でもないんやけどね。

[28]②が誤り。国際的に水産資源が管理されていることは間違いないが、さすがにマグロ類の貿易が禁止されていることはない。将来的にはもちろんわからないのだが。

というわけで、選択肢②より、他の選択肢について「正文」であることの方が大事。①について、日本では遺伝子組み換え農作物の栽培が禁止されているが、アメリカ合衆国からはそういった農作物が輸入されている。ただし、それを使用した場合には製品に表示が義務付けられてている(しかし、レレストランなどで使用された場合にはその限りではない)。

④について。トウモロコシが例。穀物に使用されるトウモロコシがアルコール燃料となり、価格の上昇が懸念される。

[29]~[34](地理B参照)