たつじんオリジナル解説【1996年度地理追試験】

たつじんオリジナル解説【1996年度地理追試験】                 

<第1問;日本の気候>

問1 正解は②。

ハイサーグラフの見方は大丈夫かな?こういった簡単なグラフでしっかり練習しておこう。

東京は最暖月平均気温25℃、最寒月平均気温5℃。さらに全体として雨が多いのは夏を中心とした時期で、とくに梅雨の6月と台風の9月が多雨となる。その一方で、冬の降水量は少ない。以上を踏まえて、②が東京。

①がホノルル。ハワイの州都で熱帯気候がみられる。年間を通じて気温が高い。降水量の季節による変動は大きいようだ。

③がロンドン。冬の気温は比較的高いが(東京と同じぐらい)、夏は冷涼であり最暖月平均気温も20℃に達しない。降水量の変化は少ない。

④がナポリ。イタリア半島に位置する都市で鹿児島市と姉妹都市になっている(火山が目の前にあるのだ)。典型的な地中海性気候がみられ、最暖月である7月の降水量が少なくなっている。全体として冬の方が降水量が多い。グラフの大まかな傾きが、東京とは反対になっていることを目でとらえよう。

問2 正解は④。

中緯度地域における気温年較差は「西岸<東岸<内陸部」の順。海陸の比熱差によって、内陸部で寒暖の差がとくに大きくなっているのは理解できるね。さらに、東岸と西岸を比較した場合、西岸は沿岸を寒流が流れているため、気温の上昇が抑えられている。また東岸は季節風の影響により、冬は北よりの風、夏は南よりの風が卓越するため、寒暖の差が大きくなる。西岸でとくに気温年較差が小さくなり、東岸はさほどでもないことを理解しよう。

以上のことを踏まえてグラフを参照する。西岸でとくに小さく、内陸部に極めて大きい値がみられる④が正解。

よかったら、西端のリスボンで気温年較差が10℃程度、東端の東京で20℃程度(最暖月平均気温25℃、最寒月平均気温5℃だったね)ということも知っておきましょう。使えるよ!

問3 正解は④。

「乾燥」っていうのがミソ。乾燥とは「降水量<蒸発量」の状態で、反対が湿潤(こちらは「降水量>蒸発量」)。蒸発量は気温に比例するので、気温が高い地域は蒸発量が多く、それなりの降水量があっても乾燥する可能性がある。逆に寒冷な地域では蒸発量が少ないので、少しでも雨が降れば湿潤となる。アイスランドは高緯度に位置する寒冷国。この国が乾燥となることはよって、島内に多雨地域と少雨地域がみられるところ。北半球の偏西風帯に位置するイギリスは、島の西部で多雨となり、東部で少雨となる。同じく偏西風帯(南半球だが)のニュージーランドも島の西部で多雨、東部で少雨。貿易風帯のマダガスカル島は東部で多雨、西部で少雨。風上側斜面で降水量が多いことを考えよう(地形性降雨)。

ただ、ここからは蒸発量について考えないといけない。イギリスやニュージーランドは比較的緯度が高く、平均気温も低い。蒸発量が少ないのだから、島内に少雨地域があるからといって、それがすなわち乾燥を意味しない。イギリスとニュージーランドは前全域が温帯気候に含まれているのだ。

これに対し、低緯度であり平均気温が高いマダガスカルでは蒸発量も多い。島内の少雨地域である西岸では「降水量<蒸発量」のバランスとなり、乾燥気候が現れる。ステップや砂漠となる地域があり、乾燥に強い樹木がみられるのも特徴。正解はマダガスカルである。

(参考)資料によっては、マダガスカルは全域が熱帯気候(熱帯雨林気候の東岸、サバナ気候の西岸)に区分されることもある。個人的にはそちらの方が正しいと思うのだが、本問の場合、そうした説を採用してしまうと「解答なし」となってしまうので、「マダガスカルの西部は乾燥地域」と考えて妥当だろう)。

問4 正解は②。

ちょっとややこしかったかな。モンスーンと季節風は同義。Cの南アジアとDの東南アジアはいわゆるモンスーンアジアに含まれ、季節風の影響が強い地域。夏はインド洋からの南西風、冬は内陸部からの北東風が卓越。

注目はB。ここは沿岸を寒流のベンゲラ海流(海流名は重要ではない)が北上し、大気が安定。降水量が少なく、乾燥地域となっている(海岸冷涼砂漠)。あきらかにCやDとは違った気候条件となり、モンスーンがみられない地域としてはBが該当する。

問題はAなのだが、ギニア湾岸地域はモンスーンアジア以外で季節風がみられる代表的な地域。夏には海洋からの風が卓越し、極めて降水量が増える。冬は大陸内部から乾いた風が吹き出し、降水量が少ない。ただ、この地域のモンスーンが話題とされた例は、センター史上この問題のみ。とくにチェックする必要はないだろう。

問5 正解は①。

時雨は冬の雨であり、「5〜10月」には該当しない。

<第2問;水>

問1 正解は④。

Bはシベリアの寒冷地域。こういった地域では冬季は凍結し、河川流量は極めて少なくなる。春(というか初夏かな)に一気に融氷し、河川水は極大となる。こうした傾向が明確な④がBの河川流量。

なお、寒冷地域については「雪」のイメージはもたないように。極めて寒冷で大気が収縮、気圧が上昇するため雲はできないのだ。日本列島の日本海側は世界的な豪雪地帯だが、よく考えたら「冷帯」ではなく「温帯」地域だよね。シベリアのような冷帯地域では冬の降水量は極めて少なく、とにかく「凍る」のだ。

他は判定の必要はないが、参考までに。Aは地中海性気候地域であり、③に該当。Cはモンスーンの影響で雨季と乾季が明瞭で、①に該当。Dは赤道煮」近く、年間を通じて熱帯収束帯の影響が強く、スコールに見舞われる。②に該当。

問2 正解は③。

ワジは涸れ川。たまに出題されるので、ぜひ知っておこう。乾燥地域にみられる河川で、通常時は表面に水は流れない。③が明らかに誤りなのはわかるだろう。地表に流水が見られるのは一時的な豪雨の時のみ。

問3 正解は④。

富士川の方が急。

問4 正解は②。

①;たしかに都市部においてゲリラ豪雨がしばしばみられるが、洪水の理由はむしろ上流部での豪雨によって河川流量が急激に増加することにある。

③;工業用水を大量に使用すれば地下水は減少し、地下水面は「低下」する。

④;農業用水の取水量は減少しているが、生活用水や工業用水としての利用は増加しているので、むしろ水は足りなくなっている。

以上、消去法により②が正解。ちょっと①の選択肢が怪しいんだけどね。ま、より都市化が進んだ現在ならば①も正解にしていいんじゃないかな。ゲリラ豪雨の頻度は以前よりケタ外れに増えている。

問5 正解は②。

中央アジアのアラル海は、流入する河川の水量が減少することによって湖面の縮小が生じ、消滅の危機にある。流域で綿花の大規模な栽培が始まり、灌漑用水として河川水が過剰に使われたからである。

こういった知識がなくても十分に解けるだろう。誤文は②。湖水が減少すれば塩分濃度は高くなるはず。

①、②、④の文章はそれぞれしっかり読んでおこう。漁業や農業(塩分が農地に飛散し、農業に適さない土地となる)への影響が大きい。

<第3問;氷河地形>

問1 正解は②。

ケスタは構造平野(安定陸塊)にみられる地形であり、氷河とは関係ない。①;山麓の斜面が氷河によって削られてできた椀状の凹地。圏谷。

③;山頂周辺が氷河によって削られ、峰が尖ったかたちで取り残されたもの。

④;氷河によって削られた谷を、その断面の形状からU字谷という。河川の侵食によるものがV字谷。

問2 正解は④。

レスは風積土壌。ヨーロッパのレスは、大陸氷河の末端にたまった土砂のうち目の細かいものが、さらに風によって周辺に散布されることで形成された。ハンガリー盆地やロンドン、パリ周辺に典型的にみられ、小麦など穀物栽培に利用される。

中国のレスは、風によってモンゴル高原に集められた細砂で、黄河の流れによって華北平原へと運ばれ、こちらも穀物栽培に利用されている。

①の泥炭は北海道、②のポドゾルは冷帯気候、③のラテライトは熱帯地域。

問3 正解は②。

最終氷期は今から数万年前の時期であり、高緯度地域の広い範囲が大陸氷河(氷床)によって覆われていた。ヨーロッパの北半分(アイルランド島、スカンディナビア半島)、カナダとアメリカ合衆国北東部(五大湖周辺)、ニュージーランド最南部、南アメリカ大陸最南部など。低緯度のカスピ海は該当しない。

問4 正解は②。

あいまいな問題。

①について。南半球で暖流の影響が強い地域としてニュージーランドがあるが、ここはむしろ氷河があった地域であり、「氷河が拡大しかなった」は不正確、

③について。こちらも偏西風の影響の強い場所の一つがニュージーランド。氷河は形成されている

④について。アンデス山脈を考えてみよう。南半球の中・低緯度で標高の高い地域。標高4000mを超えるような高原には山岳氷河が発達した。

判定が困難な問題であるが、消去法で②を正解とみていいだろう。

問5 正解は③。

大陸氷河は、2万年前には全陸地の30%を覆っていたのだが、これは現存する氷河の面積の3倍にあたる。ということは、現在の大陸氷河は全陸地の10%に相当することになる。これが全て融けると、「50〜60m」の海面上昇が生じる。

2万年前から現在まで、全陸地の20%分の大陸氷河が融けたことになる。50〜60mを2倍して、「100〜120m」が正解である。

<第4問;東アジアの農業>

問1 正解は、中国が①、日本が⑤。

農業就業人口は1人当たりGNIと反比例する指標。1人当たりGNIが最も高い日本が⑤、次に高い④が韓国となる。両国は森林面積割合が高いことも重要だが、韓国だけでなく朝鮮半島全体が森林に覆われている。②が北朝鮮となる。また、モンゴルは半乾燥の国土をもつ「草原の国」。「牧場・牧草地」の割合が高い③がモンゴルとなり、消去法で①が中国。

現在とやや数値は異なるが解答は十分に可能。とくに土地利用についてはぜひ知っておこう。

問2 正解は①。

東南アジアや南アジアは米の輸出地域であるが、日本や韓国など東アジアな工業が発達した地域であり、米は十分に栽培されているものの、基本的に輸出されていない。

②;台湾は工業化が進み(コンピュータ部品の世界的な生産国)、経済レベルが向上。バナナの生産と輸出は減少している。

③;中国は世界最大の米の生産国であるが、国内需要は急増しており、米の一部を輸入に依存している。

④;日本は世界有数のトウモロコシ、大豆の輸入国であるが(アメリカ合衆国から輸入)、食料以外にも飼料用として多く使用されている。

問3 正解は①・⑤。

①;中国の華北平原を流れるのは黄河。

⑤;Iは中国の華南地域。多雨地域であり、綿花の栽培には適さない。中国最大の綿花栽培地域は北西部のウイグル。

問4 正解は③。

日本海側で値が高い。水田単作地帯である。雪が多いため果樹栽培には適さないが、河川流域の沖積平野に恵まれ水田が広がっている。

①;北海道で割合が高い。

②;関東地方(近郊農業など)の割合が高い。

③;平野に恵まれた関東地方の割合が高い。

<第5問;資源と環境>

問1 正解は②。

先進国は、1人当たりの一次エネルギー消費量が大きく、とくにアメリカ合衆国は「ムダ遣い」大国である。①と②が先進国であり、そのうちアメリカ合衆国が①となるので、日本は②に該当。

③と④については判定の必要はない。中国の値は大きく変化し、現在は1人当たりの一次エネルギー消費量がやや高くなっている(もちろん、アメリカ合衆国や日本には及ばないが)。

問2 正解は③。

特殊な問題だが、知っておいてもいいかも知れない。

大きく減少しているエは「二酸化硫黄濃度」である。石炭を燃焼した際に二酸化硫黄は排出されるが(石炭に不純物として硫黄が含まれている)、日本では脱硫の技術も進み、さらに法律による規制も厳しいことから、火力発電所や製鉄所からの排煙に硫黄酸化物はほとんど含まれていない。

ア〜ウは判定の必要がはい(というか、アとイなどほぼ同じ数値であり、判別は不可能)。

問3 正解は②。

長く石炭は日本の動力源として産業を支えていたが、高度経済成長期に海外から安価で高品質の石炭(多雨である日本の石炭は湿っているため、質は低い)が輸入されるようになると、国内の丹田の多くは閉鎖されるようになり、石炭の自給率は一気に低下した。高度経済成長期の初期には値が高かったものの、1990年には大きく低下している②が石炭に該当。現在は国内に炭田は存在せず、自給率は0%である。

①は木材。木材も石炭同様に自給率を大きく低下させたもの。木材の輸入が自由化されたこともあり、現在の自給率は20%程度である。

④は原油。国内での産出はそもそもさかんでなく、最初から自給率は極めて低かった。

問4 正解は②。

日本地理の問題。中学までの授業で勉強しているんじゃないかな。いわゆる四大公害病は以下の通り。

・四日市ぜんそく/大気汚染/石油化学コンビナートから排出される亜硫酸ガス

・水俣病/水質汚濁(海洋汚染)/化学工場から排出される有機水銀

・水俣病/水質汚濁「海洋汚染」/化学工場から排出される有機水銀

・イタイイタイ病(富山県神通川流域)/水質汚濁/鉱山から排出されるカドミウム

問5 正解は③

①;死亡率は低下している。とくに衛生条件の改善や医療の発達で乳幼児死亡率は大きく低下した。発展途上国でも経済成長に伴い出生率がやや低下したことで、かつてより人口増加の様子もやや緩和されている。

②;世界全体で食糧は余っているはずである。しかし、用途の問題(食用ではなく、飼料や燃料として穀物を消費する)、流通の問題(富裕層が過剰に食糧を消費し、貧困な人々は経済的な理由で十分に食糧を得られない)などにより、食糧不足に苦しむ人々はまだまだ世界には多い。

④;国際稲研究所はフィリピンにある。多収量品種であるIR-8はインドなど緑の革命を導入した地域に広まった。アメリカ合衆国は該当しない。

以上より、消去法で考え③が正解。

問6 正解は④。

「クリーンエネルギー」(*)である天然ガスの需要は高まり、日本でも消費量は伸びている。世界的な天然ガス産出国はロシアやアメリカ合衆国であり、日本の主な輸入先はオーストラリアやマレーシアなど。

(*)天然ガスは輸送時には液化されるが、その際に気体宙の不純物(硫黄など)が取り除かれる。燃焼効率が高く二酸化炭素の排出量が少ない。また、酸性雨の原因物質である硫黄酸化物も排出しない。

<第6問;日本の人口>

問1 正解は④。

この時期はいわゆる第二次ベビーブーム。終戦直後の1945〜50年頃に生まれた子どもたちは多かった(第一次ベビーブーム)。彼らが成人し、子どもをもうけた時期なのだ。

問2 正解は④。

日本では政府や自治体が人口政策を実施したことはない。

問3 正解は③。

給与に注目して欲しい。東京都は日本で最も1人当たりの県民総所得が高い都道府県である。経済活動活発で、要するに「給料」が高い。

他は、①が富山県。1住宅当たり延べ床面積がとくに高い県である。さらに④が群馬県である。100世帯当たり乗用車普及台数が多い。群馬県は福井県と並んで、この値がとくに多い県である。乗用車を購入できる十分な所得が各家庭にあり(工業が発達した県である)、それでいてバスや鉄道などの公共交通機関が発達していないので、住民の自家用車に依存する度合いが高い。②は消去法で広島県。

なお、「100人当たり加入電話数」は携帯電話が普及した現在は意味のないデータである。当時はそれぞれの世帯に一つずつ電話が設置されていたことを考えると、この値は一人暮らしが多い地域で高くなり(電話が1人に一台ということ)、大家族が多い地域では低くなる(例えば、5人家族で1台の電話ということ)。③の東京都は一人暮らしが多く、①の富山県は大家族が多い。この指標をそのまま「1人暮らしの割合」に入れ替えてしまってもいいだろう。

問4 正解は③。

ドーナツ化現象は、高地価の都心部から人口が流出し、広い郊外へと一戸建てを多くの人々が求める現象。誤りは③。面積が限られ、地価の高い都心部に工場が新たにもうけられることはない。

問5 正解は②。

「住宅都市」はいわゆるベッドタウン。大都市圏の周辺に位置し、都心部への通勤者が多い昼間の人口が少なくなる。

<第7問>

問1 正解は①。

Xは西経75度に位置。世界標準時(経度0度)であるロンドンより5時間遅れている。経度差15度で1時間の時差であることを意識しよう。Yは正解120度に近い。こちらは世界標準時より8時間遅い。XとYの時差は3時間であり、Yの方が遅れている。Xで12時ならば、Yで9時である。

問2 正解は④。

ポイントは3つ。まず図の西端にみられる「海溝」。沿岸に際立って深い切込み状の部分があるが、これは海溝である。海溝は中央アメリカ(メキシコ)や南アメリカ大陸の沿岸にはみられるが、アメリカ合衆国の沿岸には存在しない。この時点でAを候補から外す。

さらに陸地の最も西側に極めて急峻な山脈が確認できる。標高が5000mを越え、新期造山帯の中でもとくに高い山々である。大陸の最も西側に沿って山脈がみられるのは、南アメリカ大陸のアンデス山脈である。北アメリカ大陸のロッキー山脈も同様に大陸西部を縦断する山脈であるが、こちらはアンデス山脈ほど海岸に沿っているわけではない。やや内陸部を走行している。やはりAは除外される。

そして東部の丘陵も重要。図の東部は平坦な低地となっているわけではなく、やや小高い地形となっている。Aの東部には古期造山帯のアパラチア山脈が走行し、丘陵状の地形であるという条件は満たしているが、ここまでの考察ですでにAは選択肢から外れているので、ここはそれ以外の選択肢について考える。Bの東部のユカタン半島は平坦な地形なので適合しない。またCの東部はアマゾン川の下流域で、低地が広がっている。やはり適合しない。

一方、Dはブラジル高原の南部である。ブラジル高原は安定陸塊に含まれる地形であるが、標高1000m程度の丘陵状の地形となっている。これより、④が正解になる。

参考までに、距離にも注目しておくといいだろう。図の下の目盛りより、陸地(標高0mより上の部分)は3000kmほど。赤道一周は40000kmであるが、その10分の1程度。360度で40000kmなので、3000kmならば経度差30度ほどだろうか。Dの線はその条件も満たしている。Bはちょっと短すぎる気がする。Cは長さ的にはちょうどいいが、上述のように東部が低地なので誤り。Aは全く違う。

問3 正解は③。ブラジル北部のアマゾン低地にはセルバとよばれる常緑広葉樹の密林が広がる。焼畑農業によって伝統的なイモ類の栽培など行われている

①;北アメリカ大陸の企業的牧畜地域はアメリカ合衆国の西部。図でいえば、「②」と書かれている付近。カナダは該当せず、誤文である。

②;サトウキビな熱帯・亜熱帯の雨季と乾季のある気候に適応。アメリカ合衆国ならば南東端のフロリダ半島。イはプレーリーとよばれる地域であるが、サトウキビが栽培できるような気候環境ではない。

④;ブラジルの中部から南部はブラジル高原が広がりサバナ気候となっている。熱帯草原や灌木林が広がる荒れ地であるが、近年は大豆やトウモロコシの栽培地域となっている。ただし、ゴムやジュートは熱帯の低地に適応する(極めて高温多雨の生育環境が必要)作物であり、ブラジル高原では不可。

問4 正解は④。

aのように12〜翌1月が収穫時期であるのは南半球の冬小麦。南半球の初夏に刈り取られる。アルゼンチンが該当。

bはアメリカ合衆国。国土中央部が冬小麦(5〜7月に収穫)、北部が春小麦(8〜10月に収穫)。収穫期が両者にまたがり長期間となっている。

cはカナダ。春小麦であり、晩夏・秋に収穫。

dについては考慮しなくていい。

問2 正解は②。

西インド諸島とはアメリカ合衆国の南東側、カリブ海に面する島々。ジャマイカやハイチではアフリカ系住民が多数を占め、ドミニカ共和国ではムラート(アフリカ系とヨーロッパ系の混血)がほとんど。ジャマイカは旧イギリス領、ハイチは旧フランス領であり、ともに奴隷海岸から多くの黒人奴隷が連れて来られた歴史がある。ドミニカ共和国は旧スペイン領でスペイン人の入植がみられたが、ハイチと国境を接しており、アフリカ系の人々も多く、やがて混血が進んだ。

問6 正解は③。

①はカナダ。森林資源が豊富で紙類の輸出が特徴的。

②はアメリカ合衆国。航空機の世界最大の生産国。

④はチリ。銅鉱の産出と輸出で名高い。

消去法で③がメキシコ。現在は機械類や自動車の輸出も多いが、しかし原油と野菜・果実は主要輸出品目の1つである。