2010年度地理B本試験[第3問]解説

2010年度地理B本試験[第3問]                                                 

 

資源・エネルギーのジャンルからの大問。新課程以降こうしたベタな感じの大問設定が毎回みられるが、今回もこのパターンに乗っかっているというわけだね。一部を除けば、内容・形式ともに目新しいものはない。いかに過去問に習熟しているかが問われるわけだ。やっぱり、少なくとも数年間分の過去問については、何回もやり直して、問題そのものを覚えてしまうことが必要なんだと思う。

 

<2010年度地理B本試験[第3問]問1>

 

[講評] 09B追でも石炭と原油の産出と輸入が問われた。もっとも、09B追は、1年後(つまり10年度のセンター試験が終わってから)まで公表されないことになっているのだが、個人的にゲットする方法はある。前年度の追試験の研究も必要ってことなのかな。さらにいえば、同じく09B追では複数題鉱産資源の統計に関する問題が出題されている。本問もその傾向に倣ったものであることは間違いない。

 

[解法] ベタに統計は知っておくべき。天然ガスの生産上位2カ国はロシアと米国である。とくにロシアを絶対に知っておこう。ロシアと米国が含まれているイが天然ガスの産出。これに対し、ウが輸出となる。こちらには米国は入っておらず、カナダとノルウェーが産出に比べランキングを上げている。米国は人口大国(3億人!)であり、その分だけ国内の消費量も大きくなるだろうし、逆に輸出にまわせる余裕(輸出余力)はほとんどなくなるであろうことを考える。一方、カナダやノルウェーは人口小国(それぞれ3000万人と300万人!)であり、輸出余力が大きいはず。このことからも、ウが輸出とみて妥当だろう。

残ったアが輸入量。天然ガスの世界2位の産出国である米国が、実は世界最大の天然ガスの輸入国でもあるのだ。先ほど「米国には輸出する余裕がない」と言ったが、それどころではなく、その産出量だけでは国内の莫大な消費をまかないきれないのだ。さすが世界最大の「ムダ遣い大国」である。

ちなみに、輸入については日本も入っているので、わかりやすいね。

 

[最重要問題リンク] 2009年度地理B追試験第5問問5。鉄鉱石と天然ガスの埋蔵量と産出量についての統計。だから天然ガスの産出量については2年連続で出題されたことになる。クリーンエネルギーとして天然ガスの重要性が高まっていることを反映しているのだろうか。

 

[今後の学習] ベタな統計問題っていうわけでもないよね。「産出量」「輸出量」「輸入量」が並べられているパターンっていうのはちょっと珍しい気がする。っていうか心当たりがないなぁ。

産出量についてはそのまんま統計を知っておくべきもの。

輸出量については、その国の人口やGNIの規模と関連させて、「どれくらい余っているか」を考えることが重要。

輸入量については、産出量の上位に入っていない国を重要視して考える。とくに資源ならば日本がランクインしているものは輸入量と思っていいよね。

 

<2010年度地理B本試験[第3問]問2>

 

[講評] ちょっと驚いています。ここまでベタに発電割合が出題されたことがあっただろうか。しかも登場している国がまたベタな国ばかりで。

とはいえ、こうしたベタベタな問題を確実に解くのも非常に大切なことであるし、それに実はロシアっていうちょっと特殊なところを問うているのも、センター試験にしばしば顔を出す「ひねくれた感覚」っていう感じがして、ボクは興味深く思っています。

最大のポイントは原子力発電。フランスが原子力発電の割合が高い国だっていうことはよく知られていることだと思うので、まずはそれを利用してフランスを特定する。そして、もう一つ「全く原子力発電が行われていない国」についてしっかり知っておくことが必要になる。もっとも、これは過去問に登場しているので、キミたちは絶対に知っているはず!二段構えの問題になっているのだぞ。心して解くように。

 

[解法] ベタな発電の問題。最大のポイントは原子力発電。

フランスが原子力発電に依存する国であることはよく知られていると思う。近年はヨーロッパ全体が脱原発の方向にあるものの、現時点では未だにフランスが原子力国であるのは事実。原子力の割合が極めて高い3をフランスとする。

残る3カ国についてはエネルギー資源に関する統計を意識する。ロシアには原油と天然ガスのキャラクターがある。原油の産出2位、天然ガスの産出1位である。オーストラリアについては石炭のキャラクターがある。石炭産出上位は中国と米国であるが、輸出量においてはオーストラリアが首位である。またオーストラリアにとっても石炭は重要で、輸出品目のトップはやはり石炭になっている。カナダにはそういったキャラクターはない。

このことから、ロシアでは原油や天然ガスを使用しての、オーストラリアでは石炭を使っての、それぞれ火力発電が盛んではないかと推理する。2と4がロシアかオーストラリア。この時点で1はカナダとなり、除去される。1については水力発電がメインのようであるが、たしかにカナダには水力発電のイメージがある(*)。

いよいよ最後の段階。2と4を判定しよう。いずれも火力主で、一部に水力発電が行われている点は共通。たった一つの違いは原子力発電なのだ。原子力発電については、フランスのように割合が高い国も知っておくべきだが、それとは逆に「全く行われていない」国も知っておく方がいい。「原発なし」のキャラクターを有する国で重要なのは3つ。それはイタリアとオーストラリアとニュージーランドである。イタリアは新期造山帯に属する火山国で、地震や火山爆発などの自然災害による原発事故のリスクを考えれば、原発が建設されないことも納得。オーストラリアやニュージーランドは、原子力兵器の持ち込みの許されない「非核」地域。このため、原子力を利用した発電も行われていない。

このことから原子力が含まれていない4がオーストラリアとなり、消去法で2がロシアとなる。

なお「地熱・新エネルギー」については今回は考慮の必要はない。例えばオーストラリアは安定陸塊と古期造山帯からなる国であり、火山の存在が重要となる地熱発電は当然行われていないが、太陽熱や風力など他の新エネルギーによる発電は多少は行われているのだろう。

 

(*)今回は外れ選択肢ということで水力発電についてのコメントは控えましたが、せっかくなのでちょっとだけ。国内の発電のほぼ全てを水力に依存する「水力100%」の国として知っておくのは、ノルウェー・ブラジル・ニュージーランドの3か国。共通点は「十分な降水量・山がちな国土・凍らない河川・低い人口密度」の4点。ブラジルについては、アマゾン低地を考えると山がちとはいえないが、南部のブラジル高原は標高1000m程度の丘陵であり、こちらで水力発電がさかんになされていることを想像しよう。ニュージーランドは年間を通じて牧草が生育できる温暖な気候環境が特徴の国であるし、ノルウェーが偏西風や暖流の影響によって凍結しない国であることもよく知られているね。

それに対し、一般に水力のイメージがありながら、決して水力だけに依存していない国として重要なのが、カナダとスウェーデン。ともに冬季は寒冷となり水域が凍結してしまうため、冬の間は水力発電が困難である。その間の電力を補うために、原子力発電もさかんに行われているのだ。カナダとスウェーデンについては「水力主・原子力従」の国として知っておこう。

ちなみに、日本はなかなか興味深い国で、先ほどの「十分な降水量・山がちな国土・凍らない河川(本州以南)」という条件までは満たしているが、人口密度については極めて高い。水力発電に適した自然環境を有している

 

[最重要問題リンク] センター地理というのは「あること」より「ないこと」が重要となる場合がある。原子力発電にしてもそういった傾向はあり、「原子力発電が盛んな国」であるフランスと同様あるいはそれ以上に重要な要素として「原子力発電が行われていない国」であるオーストラリアを確実に知っておくことが大切となる。

08年度地理B本試験第2問問2がその問題。ここでもオーストラリアが取り上げられている。問題そのもののポイントは石炭であり、オーストラリアが石炭に依存する国(世界最大の石炭輸出国なのだからそういったキャラクターは当然意識するべきだろう)

 

[今後の学習] 複数の統計を複合的に使用し、さらに過去問で取り上げられたネタをしっかり利用して解くっていう非常にスマートな問題。たしかにベタな問題ではあるけれど、それは表面的な話で、実はすごくテクニカルなんだなと、解法を書き終わった今になって思っている。

とくに今回問題を解くための最大の決め手となったのは、原子力発電の有無。発電に特徴がある国は限られているので、確実に整理しておきましょう。

 

<2010年度地理B本試験[第3問]問3>

 

[講評] ちょっとヤバい空気。いきなり文章正誤問題が飛び込んで来て、しかも「レアメタル」なんていうセンター初出のワード。もしかしたら難しいんじゃないか、すごく解きにくい問題なんじゃないか、っていう嫌な予感が頭をかすめる問題ではある。

 

[解法] レアメタルなんていう言葉は知らない。だから、個別の問題ではなく、一般化してしまえ。レアメタルという一部の特殊な金属についいて言えることではなく、地球上にある全ての鉱産資源に当てはまることを考えてしまう。

そうなると3の選択肢が気になるわけだ。「減少傾向にある」っていうやつ。どうなんだろうか。誤りを探す問題なので、それっぽい言葉を探すことも重要で、確かに「減少」には「増加」っていう反対語もある。世界中の工業生産が増加し、生活水準が上昇する現代社会において「地下資源の採掘が減少傾向にある」と考えられるだろうか。雰囲気だけで考えていい。これはちょっとおかしいなと見当つけてほしい。3を誤りとしよう。

 

[最重要問題リンク] レアメタルは初登場!内容的にも、直接的な関連を感じる問題はない。変わった問題ですね。

 

[今後の学習] どうなんかな。過去に出題例がないパターン。ちょっと厳しいかなっていう感じもあるけど、解いてみると意外と簡単に解けたんじゃないかな。こうした問題を、文章のニュアンスを読み取りながら、正解を導き出すっていうのは決して困難じゃないと思う。でも、そのためにはやっぱりセンター試験の問題に習熟していないとダメなんだ。センタ-試験の問題を何回も解きまくって、その雰囲気みたいなものを自分の中に取り込んでください。

 

<2010年度地理B本試験[第3問]問4>

 

[講評] そもそも工業を分類する際のキーワード「資本集約型工業」と「労働集約型工業」は超重要語句なのだが、このようにはっきりと明文化されて出題されたケースはめずらしい。これをキッカケとしてこの語句の登場が今後増えるかもしれないので、注意しておきましょう。

 

[解法] とりあえず工業立地。原料立地型の工業をベタに覚えてしまっていいと思う。代表的な原料立地型の工業は、セメント工業(石灰石を原料とする)とパルプ工業(木材とくに針葉樹を原料とする)の2種類。いずれも原料より製品の方が重量が小さく(*)、輸送する前に加工してしまった方がコストを減らせるのだ。以上より、カは「原料産地」となる。

なお、「消費市場」に立地する工業としては、ビール工業をぜひとも知っておこう。ビールは、原料である大麦などが軽くて運びやすいのに対し、製品のビールは重くなってしまう。消費地である大都市周辺にビール工場は多い。

さらに資本集約型工業と労働集約型工業の違い。資本集約型工業は「資本」が重要視される工業のことで、大規模な工場施設を必要とする。製鉄所を必要とする鉄鋼業や、石油化学コンビナートの化学工業などがこれに該当する。一方、労働集約型工業は「労働力」に大きく依存し、機械工業や繊維工業が該当。電気機械や自動車の組立や、衣服の縫製には労働力が必要になってくるというわけだ。なお、この2つについてはお互い反対語であることもしっかり意識しておくべき。つまり、資本集約型工業は労働力をあまり必要とはせず、労働集約型工業に大規模な工場は原則として必要ではない。

このことから考え、キは「衣服製造業」となる。「安価な労働力を重視」することについては、1人当たりGNIの低い発展途上国(中国など)に多くの衣類工場が進出していることを考えればいい。

「石油化学工業」は資本集約型工業であり、該当しない。

(*)これを「重量減損」といい、セメント工業とパルプ工業のことを「重量減損型の工業」ともいう。

 

[最重要リンク] さまざまな問題が挙げられるが、ボクはこれが好きです。

97年度地理B本試験第3問問3。

先進国Aから発展途上国Bへと工場が進出するわけだが、その業種は労働集約型工業に限られ、とくに単純労働によって生産されることが条件となる。

正解は2である。「衣料品・家庭用電化製品」とあるが、衣服の縫製や電気機械の組み立てなどは典型的な労働集約型工業であり、専門的な技術を必要とするものではない。

 

[今後の学習] ベタな問題だね(笑)。工業立地の基本的なパターンがわかれば一発で解ける。工業立地の問題は数あれど、最も簡単な問題の一つじゃないかな。特別な対策は不要でしょう。

 

<2010年度地理B本試験[第3問]問5>

 

[講評] これも最近よく見る出題パターン。こういった世界全図においてはあいまいに全体を見てしまいがちだが、一つ一つの国をしっかりとらえて、個別に考えていく姿勢が重要。生産順位と結びつけよう。

 

[解法] 「自動車(四輪車)生産台数」「自動二輪車生産台数」「粗鋼生産量」のうち、キミたちが絶対に知らなくてはいけないのが、「自動車」と「粗鋼」。

自動車についてはぜひ上位10カ国全部知っておいてほしいが、本問については日本と米国が上位を占めることさえ分かれば何とかなるだろう。スが自動車。なお、自動車についてはカナダとスペインも重要で、両国については最大の輸出品目になっているほど。カナダには米国から、スペインにはドイツやフランスから、国境を越えて工場が進出しているのだ。カナダ、スペインにもスでは円が描かれていることを確認しておこう。

さらに粗鋼について。これは1位中国、2位日本、3位米国である。サが該当する。中国と日本だけでは迷うので、サでは大きな円が描かれ、シでは空白となっている米国がポイントになっているのは言うまでもないだろう。他にはドイツや韓国、ロシアなども重要な粗鋼生産国となっている。

残ったシが自動二輪車。これについては完全に消去法でいいと思う。いろいろと理屈はつけられるだろうが、あまり考えなくてもいいかな。

なお、この問題については、「粗鋼=鉄鋼業=資本集約型工業=資本力の大きい先進国」「自動車・自動二輪車=機械組立工業=労働集約型工業=労働賃金の低い発展途上国」という考え方はちょっとキツい。具体的な工業品目名が示されているので、それに関する統計順位を最優先で考えてほしい。

 

[最重要問題リンク] 形式は異なっているものの、本問と同様に自動車と粗鋼の生産統計が問われたものに、02年度地理B本試験第2問問1がある。

自動車生産上位5か国として、米国・日本・ドイツ・フランス・スペインが挙げられ、粗鋼生産上位5か国として、中国・米国・日本・ドイツ・ロシアが挙げられている。

 

[今後の学習] マジ、統計一発です!

 

<2010年度地理B本試験[第3問]問6>

 

[講評] スンマセン!これ、ガチで間違えました(涙)。これ、反則でしょ。無理だわぁ。ま、ボクに解けないんやから、キミたちも解ける必要はないです。こうした「悪問」も含めてセンター試験ということで。

 

[解法] 「精糖」が最も簡単です。砂糖の原料となるのは、主にサトウキビ。亜熱帯性の作物であり、中国では華南地域で栽培されている。サトウキビは切断した断面から菜汁が滴り落ち、保存に適さない作物である。よってサトウキビ産地でそのまま砂糖に加工される。精糖業は原料立地と考えていいだろう。よってサトウキビ産地の華南で数値の大きい3が精糖となる。なお、3については東北区のような冷涼な地域でも精糖が行われていることが読み取れるが、こちらはテンサイと思われる。テンサイは冷涼な地域で栽培されるカブの一種で別名「砂糖大根」とよばれる。冷涼な地域における重要な砂糖の原料である。

次が「銑鉄」。中国は世界最大の鉄鋼生産国であり、もちろん銑鉄の生産も多い。ここでは「銑鉄=鉄鋼業」と考えて解いていこう。

鉄鋼業の立地条件といって最初にピンとくるのは「臨海立地」。原料の輸入に適した臨海部に製鉄所が建設され、輸入された鉄鉱石や石炭を利用して鉄鋼生産が行われるパターン。日本の鉄鋼業といえばこれを考えるのが一般的。もちろん中国においても臨海部に多くの製鉄所が設けられているのはわが国と同様。

しかし、中国の鉄鋼業についてはこの臨海立地だけを考えるのは危険。近年鉄鋼生産の中心が臨海部に移ったのは確かであるが、資源の豊富な中国のこと、まだまだ内陸部の原料産地でも鉄鋼生産がさかんに行われている。鉄山や炭田の位置を考え、そこでも製鉄業が成り立っていることを考えなければいけない。

さぁ、ここでボクは思うわけです。最も分かりやすい原料立地型の鉄鋼地域はどこか。かつての中国の製鉄業の中心は、「3大鉄鋼基地」といわれるアンシャン、パオトウ、ウーハン。アンシャンはリャオトン半島の付け根に位置する鉄山付近に立地する鉄鋼都市。パオトウは黄河流域の内モンゴル自治区に位置する鉄鋼都市。ウーハンは長江中流に位置する鉄鋼都市で、ターイエ鉄山に近い。これらの都市で現在でも鉄鋼生産が行われていることを考え、その位置を図で確認していこう。明なに内陸部のパオトウやウーハンはちょっとわかりにくい。「リャオトン半島」という目印がかはっきりしているアンシャンが最もわかりやすいはず。図でアンシャンに注目し、そこに大きな円が描かれているものが「銑鉄」の可能性が高い。

さぁどれだろうか。それは4である。4の最も北に描かれている小さな円がある。その一つ南側にちょっとだけ大きめの円があるよね。この円が描かれているのが「リャオニン(遼寧)省」で、南西に突き出したリャオトン半島が目印になる。アンシャン鉄山と鉄鋼都市アンシャンが位置する省であり、鉄鋼生産がさかんに行われているのだ。4が「銑鉄」となる。

残りは2つ。1と2である。これが「家庭用冷蔵庫」と「ビール」のいずれかである。実はここからの判定がかなりヤバいんだわ(涙)。っていうかマジでお手上げ。2って明らかに沿岸部じゃないですか。臨海部で成立しやすい工業って感じがするよね。どう思う?

逆に1は内陸部の工業って感じ。しかも経済レベルが低い地域に円が多く、安価な労働賃金水準を利用した工業が成り立っている様子が伺える。わかりやすいところに注目すると、スーチョワン省。1で最も西に位置する円があるでしょ。これがあるのがスーチョワン省なのだ。中国最大の人口規模を有し、その分だけ1人当たりの省内総生産が低い。安価で豊富な労働者が得られる地域であり、労働集約型の組立工業などが発達しやすい条件にある。

このことを意識して考えてみよう。っていうか、意識してはダメなんだ(涙)。ここまでの流れでいうと、1が労働集約型工業となり、機械組み立ての「家庭用冷蔵庫」であることが予想できる。何となくそういう感じするじゃない?

でもここで一発逆転があるのだ。ではビール工業は2かっていう話。いや、2じゃおかしいんだよ。だって2って一部の省にしか円が描かれていないじゃない?ビール工業って消費地立地型工業の典型例で、輸送コストがかかる(製品のビールって、原料の大麦などと比べて重いでしょ)ので、できるだけ「飲む人」が近い場所で醸造されるわけだ。だから2のように特定の省だけに偏って生産されているっていうのはどうも合点がいかない。円がない省に住んでいる人はビールを飲まないのかっていう話になってしまう。

どうなんだろ、やっぱりそれって考えにくくない?人が住んでいるところに町があって都市があって、そうした場所の近くでビールが作られているはずだ。人口分布にほぼ応じて、円が描かれている1がビールっぽいんだよ。そう、これが絶対にビールなのだ。それしか考えられない!

で、残った2が「家庭用冷蔵庫」でこれが正解。まぁ、家庭用冷蔵庫みたいに大きなものは、中国でもできるだけ(製品を輸出しやすいように)沿岸に近い省での組み立てがメインになるのかもしれない。まぁそう考えれば納得ではある。

でもやっぱりこれは後付けの理由なんだよね。最初からそうやって考えることができるかっていうとそんなことはない。ちょっと厳しいよなぁ。みんなはどう思います?ボクはガチで1で間違えました。「機械組立工業=内陸部」であったりとか、「スーチョワン省=賃金水準低い=組み立て工業に適している」っていう考え方をしたのです。難しいよね。仕方ないか。

 

[最重要問題リンク] たしかにこの問題と印象がカブることはカブるんだわ。2006年度地理B追試験第4問問5。中国におけるカラーテレビ、集積回路、紡績糸の生産。ここでとくに注目してほしいのはカラーテレビの生産を表すXのグラフなのだ。安価で豊富な労働力に恵まれたスーチョワン省での生産が多いよね。最大の円は華南のコワントン省(経済特区がいくつもあるのだ)だが、それに次ぐ大きさっていうのはなかなかスゴいでしょ。で、これを見て、本問の2の図つまり家庭用冷蔵庫の生産と比べて欲しい。どうかな、共通性ある?微妙な感じ?ボクにはよくわかりませんが。。。

 

[今後の学習] やっぱりこれ難しいよ。っていうか、考える手がかりの探しにくい「悪問」とみなしてしまっていいんじゃないかなと思う。実質的に解答不能であり、こういった問題も時々センター試験にはあるんやなって思ってください。