1999年度地理A追試験解説

2009年度地理A追試験 解説                                 

[第1問]

問1 前年に続いて南回帰線に関する問題。「南回帰線=12月後半に正午の太陽高度が90°になる」という鉄板ネタだけでなく、その位置まで絶対に知っておく。

問2 地理Bでは出題されないかな。

問3 火山ネタ!超重要。火山の位置は確実に。ヨーロッパではイタリアやアイスランドぐらいしか火山がないのでPは除外。「南アジアに火山はない」のでQも外れる。古期造山帯にも火山はみられず、Rも消える。正解はSのニュージーランドだが、この国で地熱発電が行われていることも知っておこう。

問4 ベタだけど重要!モンスーンの風向は、東アジア(日本付近)と南アジアについて知っておく。東アジアは、夏季に南東風、冬季に北西風。南アジアは、夏季に北東風、冬季に南西風。

問5 めずらしい問題。ノーチェックでいいでしょう。参考までに「黄砂=黄土高原」であり、黄河の上流域となる。黄河は外来河川であり、出題率が高いので、黄土高原は知っておいてもいいかも。

問6 必ずしも「アラブ=イスラム教徒」ではないが、北アフリカは典型的なアラブ・イスラム地域。

問7 変わった問題。地理Bでは出ないとは思うんだが、知っておいてもいいかも。

問8 それぞれ1枚の2万5千分の1地形図と5万分の1地形図を比較した場合、5万分の1地形図の方が収める範囲は広くなる。

「詳細な起伏」については、2万5千分の1地形図の方が等高線間隔が細かく(10mごと)描かれているため、小さな標高差まで表現できる。5万分の1地形図の等高線間隔は20mごと。

[第2問]

問1~問6 地理Bと同じ

問7 これ、いい問題だと思いますよ。野菜のキーワードは「鮮度」。中国のような近隣国からの輸入が多いのです。Xは鉄板。ただし、YとZの判定は難しいかな。

[第3問]

問1 いい問題。いずれもオーストラリアの数値が高く、これでは判定できない。天然ガスはインドネシアが最重要。他の2つは難しいのだが、米国から輸入されているウがポイント。米国で「余っている」ものって何だろう?

問2 これもいいですね。ボクなら金額で判定しちゃうかな。自動車と船舶の判定はそうでもないけど、鉄鋼と半導体の判定はキツいな。

問3 これもいいなっ。この大問って良問だらけじゃないですか。経済レベルつまり1人当たりGNIで思考する習慣がついていると考えやすい。Aの相手国は先進国だらけ。Bには発展途上国も混ざっている。「先進国から学び、発展途上国へ教える」というベクトルの向きが重要。金額の大小も、先進国である日本は世界に「指導する」立場なのか「指導される立場」なのかを考えたら納得できる。Xについては、そんな先進国日本に「指導する」国であるのだ。どんな国だろう。

問4 これもスゴくいい問題だぞ!日本は米の輸入国であるけれど、それはGATT(現在のWTO;世界貿易機関)のウルグアイラウンドとよばれる会議によって、米が強制的に輸入されるようになったから。これを「ミニマムアクセス(最低輸入量受け入れ)」と言って、このためわが国の米の自給率は95%となっている。国内消費の5%分がミニマムアクセスに当たり、これを主に米国から輸入しているのだ。米を輸入する理由は「国内需要を満たせなくなった」からではなく、2が誤り。選択肢4も誤りっぽくてスゴく悩む難問ではあるけれど、ボクは好きな問題です。

なお、米の輸入については、べらぼうに高い関税(価格の7倍!)が設定されており、決して「自由化」されているわけではないことも知っておこう。

問5 これもいいんじゃない?問4ほど難しくないのであっさり解けるでしょう。

問6 これもいい問題だなぁ。フィリピン人やブラジル人が増加しているという現代日本の状況がこうしたちょっとしたデータからでもわかるんだね。問題そのものは図を見るだけだけれども、何だかそうした世相みたいなものが読み取れるのだ。

問7 結局この第3問っていう大問は近年まれにみる大傑作だってことがわかった。この問題もバリバリいい。他国に比べ海外からの移民(出稼ぎ労働者)を受け入れる比率の低い「

鎖国」国家が日本なのだ。しかも、その少ない外国人にしても、国内の工場でこき使うために入国させているってことだよ。メッセージ性の強いすばらしい問題だと思います。

[第4問]

問1 雰囲気のいい問題ですね。オーソドックスで答えやすくていいでしょう。

問2 朝鮮半島っていう狭い範囲の気候グラフ。狭い範囲だからこそ、単に「北で寒く、南で暑い」と考えていいでしょう。

問3 都市を問う問題。こうした「3点止め」ってよくあるよね。

問4 これはいい問題ですね。経済に対するセンスを持っておかないと。

問5 第1次産業人口割合に注目。1人当たりGNIと第1次産業人口割合は原則として反比例。

問6 地理A特有の問題ですね。サのチマチョゴリは知っておきましょう。朝鮮半島の伝統的な衣装。スはベトナムなんですが、後ろの女性が着ている白くて長いワンピースみたいな服に注目です。これはアオザイというもの。ベトナムの女性の服装です。

問7 オンドルの話ですね。地理Aにはしばしば登場する話題。

問8 変な問題ですね(笑)。1が正解と思うねんけど間違ってるかなぁ?

[第5問]

問1 そもそも死亡率って、出生率ほど各大陸間の差が大きくないんですが、その「微妙な」差であっても、こうして図にするとはっきりするんですね。問題そのものは図をみるだけの問題。地理Bでもありそう。

問2 雰囲気で解けそうな問題ですね。ただ、選択肢2の内容は重要だと思います。東西ドイツ統一の1990年以降、旧東ドイツ地域から旧西ドイツ地域へと多くの労働者の移動がみられたドイツ。21世紀に入り、ポーランドやチェコなど新規EU加盟国となった旧社会主義諸国からの人口流入も顕著なものとなりました。EU内の経済格差(西が豊かで東が貧しい)が、新たな問題を生じていることを理解しましょう。

問3 これ、すごくいい問題じゃない!?実は09A追ってかなり傑作の回なんじゃないかって気がしてきたぞ。ポイントは2つ。ナイジェリアを代表例とするアフリカ諸国におけるモノカルチャーの様相。商品作物の生産に主眼が置かれ、穀物を中心とする自給作物については輸入に依存している。さらにもう一つは焼畑農業の特徴。ナイジェリアは世界最大のキャッサバ生産国であり、主に焼畑農業が営まれている。焼畑農業の特徴の一つが「無畜」であることは重要。家畜が存在しないのだから、飼料としての穀物の利用もみられない。この2つのトピックを用いて解く問題となっています。いいですね!

問4 発電の問題。これもスゴくいい。地熱発電が火山国に限定されているのはよく知られていること。ここでは水力発電に注目しよう。水力発電の割合が高い国としてノルウェーやブラジルを知っておくべきだが、これらは絶対量としてもそれなりに大きい。とくにノルウェーは人口規模が数百万人に過ぎない小国であるが、水力発電量は世界ベスト10位に入るとは驚き!風力発電がドイツやデンマークでさかんであるのは地理Bでも出題されている。

問5 ネタはODAだけど、ポイントはそれ以外の部分。解きやすい問題ですね。

問6 アフガニスタンについては米国が軍隊を送っている点、インドネシアについては日本と経済的なつながりが深い点、ガーナについては旧イギリス領である点など、それなりにキャラクターが立っている。適切な問題ですね。