2006年度地理B追試験[第5問]解説

2006年度地理B追試験[第5問]

センターの地誌問題っていうのは、意外と「海」をテーマとした問題が多い。過去にも地中海やインド洋、北海、大西洋などがテーマとされたことがあった。さらには南極を中心とした問題もあったので、ここで北極海周辺の地誌が問われたことは妥当である。しかし、どうにもこうにも問題の質がヤバいんだよね。どうしてもこの地域で地誌を作りたかったからか、強引な設問が目立つのだ。しかも過去問とのリンクの度合いも低い。

問1なんかは僕はすごく好きなんだが(おそらく作問者は、この問1を作りたかったからこの地域をテーマとした大問を作ったんだろうな)、問2問4はあいまいな文章正誤問題だし、問3問6はちょっと特殊すぎるでしょ。問5にしても決してつまらない問題ではないんだが、難易度は高いと思う。この大問については、あまり高得点は期待しない方がベターなんじゃないかな。

問1 [講評] これはいい問題ですね。絶対に得点すること!

[解法] 北極圏の南限はバルト海の奥にあるボスニア湾の湾奥を通過する。Cが正解。

なお、北極圏とは、白夜(太陽が一日中地平線の下に沈まない状態。夏至を中心とした時期に生じる)や極夜(太陽が一日中地平線の上に出て来ない状態。冬至を中心とした時期に生じる)となりえる最大範囲のこと。その南限は、北緯66.6度の緯線と一致している。もちろん南半球には南極圏も存在し、こちらの北限は南緯66.6度の緯線と一致している。

なぜ66.6度なのか?それは地球の自転軸が公転面から23.4度傾いているからさ。っていうか、この説明は文字だけではできないので、詳細はパスです(ごめん!)。

[学習対策] 結局ポイントになるのは自然地理なんだよ。サイエンスなわけだ。地球と太陽の関係を理解し、白夜と極夜の生じるシステムを考えよう。

ちなみに、北極圏を語る際に非常に重要となる都市名はナルビク。ギリギリ北極圏に位置し(北緯67度ぐらい)、6月下旬の数日間のみ白夜となり、12月下旬の数日間のみ極夜となる。ただし暖流の影響によって冬であっても凍結しない不凍港であり、スカンジナビア北部で採掘される鉄鉱石の積み出し港として重要である。このネタは問3でも登場します。

問2 [講評] 妙な問題なんだよな。厄介な問題だと思う。正文指摘問題なので、4つの選択肢のうちの3つの「誤り」を指摘しないといけないのだが、それぞれ難易度が高く、正解を導くのはなかなか厳しい状況。とくに選択肢1などはオーロラというかなり特殊なネタを含んでおり正誤判定が困難。

センター試験の問題は1問3点であることが多いのだが、例えば誤文指摘問題ならば1つのネタだけわかれば比較的容易に解答を得ることができるのに、本問のような正文指摘問題は3つのネタを使って始めて解答に達することができる。「1ネタ3点」じゃなくて、「3ネタ3点」つまり「1ネタ1点」。こりゃあまりにも効率が悪いよね~。

[解法] 1 「北極圏では(中略)期間があり」までは絶対的に正しいのだ!でも「オーロラ」がよくわからないんだよなぁ。ただ、オーロラって明るい空では見えないよね。やっぱり暗くないといけない。北極圏の夏っていうのは白夜なわけで、当然空は明るいよね。そんなんでオーロラが観測できるわけはないっていうのが本選択肢のツッコミどころなのだ。

2 これは簡単。「北半球の寒極」はシベリア内陸部のオイミャコンという町なんだけれど、この都市名なんて関係なくて、冬に最も気温が下がるのは「沿岸部」ではなく「内陸部」であることだけ理解してほしいのだ。固体の比熱は小さく、液体の比熱は大きい。この差によって、内陸部では「暖まりやすく、冷めやすい」気候が生まれ、沿岸部では「暖まりにくく、冷めにくい」気候がみられる。「北半球で観測された最低気温」ももちろん内陸部である。

3 これは正しいと思うよ。ツンドラとは、夏季にのみ氷雪が融解し、コケ類に覆われる寒帯地域のことだが、これについてはとりあえず「ツンドラ=高緯度の沿岸部」と覚えておけば十分なわけだ。そう考えると、この選択肢には誤っている部分が見当たらないわけだ。

4 「酸性雨」の性質や影響が問われている。酸性雨とは、主に薄い硫酸や硝酸を含む雨のことで、その原因は自動車の排気ガスに含まれている窒素酸化物や石炭を燃焼する際に発生する硫黄酸化物などである。本選択肢には「東アジアから飛来した大気汚染物質による酸性雨」とあり、たしかに中国内陸部は世界最大の酸性雨地域の一つである(*)し、その酸性雨(あるいは硫黄酸化物などの大気汚染物質)が偏西風に乗って日本上空などに流れてくるのも事実である。酸性雨の影響については、大きく3つの要素を知っておくべきで、これらが土壌に蓄積された場合には「樹木の立ち枯れ」を生じ、水域に蓄えられて「湖沼の生態系の破壊」が進行し、さらに石灰石や大理石を融解させる性質を持つことから「歴史的建造物の腐植」をもたらす。

ただし、2つの疑問点がある。1つは「アラスカのような遠隔地、しかも高緯度地域にまで中国から大気汚染物質(酸性雨)が流れてくるか」ということ。そしてもう1つは「酸性雨によって、永久凍土の溶解が進んでいるか」ということ。さぁ、どうだと思う?

1つ目の疑問。前述したように、中国の酸性雨やその原因物質は、偏西風に乗ってわが国の上空までやってくる。偏西風は緯度40~50度付近の中高緯度地域で卓越する風系であるが、アラスカのような極めて高緯度地域においてみられるものか。アラスカならば、寒帯前線や極風の影響が強いと思われ、偏西風の支配下にはない。中国からアラスカへと、つまり「東から西へと」大気汚染物質が運ばれる可能性があるだろうか。いや、ありえないだろう。

2つ目の疑問。高緯度地域で永久凍土(地下にみられる夏でも融解しない氷の地層)の範囲が小さくなっているのは事実だろう。しかしこの原因は「地球温暖化」によるもの。さらにその地球温暖化の原因は「温室効果ガスの増大」であり、この温室効果ガスの代表例は二酸化炭素であるので、二酸化炭素を排出するような「化石燃料の使用」こそがその原因として挙げられることとなる。「酸性雨」は関係ないだろう。

(*)中国内陸部のスーチョワン盆地は世界最大の酸性雨地域の一つ。石炭の使用量が多く、また環境対策も進んでいないので、石炭の燃焼に伴う硫黄酸化物の排出も極めて多い。

[学習対策]

それぞれの選択肢が重要なネタを含んでいるので、確認していこう。

1 「オーロラ」はどうでもいいので無視。北極圏では、夏には白夜(太陽が一日中沈まない)、冬には極夜(太陽が一日中昇らない)が観測されることを重要項目として知っておこう。

2 世界最低気温が観測されたのは南極大陸であるが、北半球での最低気温を記録したところはシベリア内陸部(オイミャコンという町)。ただし、ここは夏はそれなりに気温は上がるので(そもそも町があって人が住んでいるんだから、一年中寒いなんていうことはないのはわかるよね)、南極とは違う。気温年較差が大きい典型的な大陸性気候がみられる土地としてシベリアを知っておこう。

3 「ツンドラ=北極海沿岸」ということだけ知っておけばいいと思う。ツンドラについて深く問いかける問題は出題されていない。

4 まぁ、たしかに「酸性雨によって樹木が立ち枯れし、光合成が不可能になって、大気中の二酸化炭素濃度が上がり、地球温暖化が進み、永久凍土が溶解する」なんていう強引な論理も考えられるんだろうけれど、それはあまりにも無理があるよね。素直に「酸性雨=樹木の立ち枯れ、湖沼の生態系の破壊、建造物の腐植」と考え、それと直接的に関係ない選択肢は誤りとすればいいと思う。

問3 [講評] ちょっとこれ、ビックリなんですけど!?鉱産資源の分布の問題ってそもそも珍しいんだけど、実は最近しばしば出題されているからそこまで意外でもない。問題はその内容。スウェーデンの鉄鉱石ってセンターで問われたことはほとんどない(共通一次時代にはあるんだけどね)んで、まずこれにビックリするんだけれど、それ以上に驚きはアラスカの原油!これこそ完全に共通一次時代から通算して完全にセンター初出なんだわ。追試ならでは、っていうことで諦めるしかないのかな。予想できないし、全くお手上げの状態。

[解法] 鉱産資源分布の問題であり、近年出題例は目立つのだが、それにしても今回のネタは特殊なものが揃っていると思う。かなりやっかいなんだよなぁ。

それでも何とかなりそうなのが、スカンジナビア半島のウ。スウェーデンはヨーロッパ最大の鉄鉱石産出国であるという統計的知識はぜひとも知っておいてほしい(統計要覧でも確認しておいてね)。これが鉄鉱石。

ちなみにこれはスウェーデン北部に位置するキルナ鉄山とエリバレ鉄山を表している。ここで採掘された鉄鉱石は、鉄道によって隣国ノルウェーの港湾ナルビクにまで輸送されて、そこからドイツのルール工業地域などに向かって積み出される。スウェーデンにはバルト海に面するルレオという港湾都市もあるが、こちらは冬季は凍結してしまうので、鉄鉱石の積み出しには適さない。大西洋岸の不凍港と、バルト海に面する凍結する港湾との違いも知っておこう。

さぁ、鉄鉱石は解決した。問題はここからだ。アとイの判定に移る。でもこれは過去にも出題例はないし、全くわからないよね。答えを言います。アが「石油」、イが「ダイヤモンド」。ただし、ダイヤモンドについては知る必要なし。ここはアラスカ州の石油だけ知っておいて、イについては消去法で考える。

米国と原油(石油)の関係を知ろう。米国において原油の産出が多い州は、アラスカ州、テキサス州、カリフォルニア州の3つ。要するに、面積の大きな州で原油の産出が多いというわけだ。テキサス州のメキシコ湾岸が米国の産油地域としてとくに重要であるが、カリフォルニア州南部(ロサンゼルスでは石油工業が発達している)や、本問で問われているアラスカ州の北極海沿岸地域もぜひとも知っておこう。

ちなみに、アで採掘された原油は、アラスカ州を縦断するパイプライン(原油を運ぶ水道管みたいなもの)によって太平洋沿岸まで運ばれ、そこからタンカーによって積み出される。パイプラインの熱によって地下の永久凍土が融解したり、パイプラインが進路をふさぐことによって野生動物の移動がさまたげられたりするなどの問題も生じている。

[学習対策] 近年こういった資源の産出地域に関する問題がしばしば出題されている。

石炭・・・ドイツ西部のルール地方、米国東部のアパラチア山脈、オーストラリア東部のグレートディバイディング山脈。なお、南米では石炭は産出されないことを知っておこう。

原油・・・基本的にはOPEC加盟国。さらにノルウェーやロシア、メキシコなどが重要。

天然ガス・・・具体的な場所は不要。インドネシアを知っておく。

ウラン・・・具体的な場所は不要。産出第1位はカナダ。特徴的な国はニジェール。

鉄鉱石・・・ブラジルの北部と南部、オーストラリア西部など

銅鉱・・・チリ北部、アフリカ大陸中南部(ザンビアのカッパ-ベルト)。

銀鉱・・・メキシコとペルー。それぞれアステカ文明とインカ文明が、銀獲得を目的とするスペインの侵攻によって滅ぼされたことを知っておく。

金鉱・・・南アフリカ共和国、米国、オーストラリア(いずれも旧イギリス領で差別政策が行われたという共通点がある)。

ダイヤモンド・・・本問ではロシアが出題されているが、むしろ大陸にみるとアフリカの産出量が多いことを知っておくべき。

ニッケル鉱・・・国別ではカナダなどが産出上位だが、センターで出題暦があるのはオーストラリア東方海上のニューカレドニア島。サンゴ礁の美しい観光地として有名な島だが、ここではとくにフランスの一部分であることも知っておこう。

ボーキサイト・・・酸化アルミニウムのこと。熱帯の土壌に多く含まれている。オーストラリア北部が世界最大のボーキサイト産出地域だが、ぜひともカリブ海の島国であるジャマイカを知っておいてほしい。旧イギリス植民地で多くの奴隷が運び込まれたことにより黒人の人口割合がとくに高い国となっているが、現在はボーキサイト(アルミナ)の産出と輸出が重要となっていることを知っておこう。

スズ鉱・・・缶詰のメッキなどに使用される。南米のボリビア。

リン鉱・・・過去にはチュニジアが登場しているが、チュニジアを含む北部アフリカ一帯は重要。とくにモロッコ。地理Aではあるが、過去にナウルという太平洋上の島国が出題されたことがある。

問4 [講評] がんばっていい問題を作ろうとしているんだけどなぁ。そういった努力の後はうかがえるんだけど、いかんせん内容が特殊すぎて難易度が上がり過ぎている。1の「アネクメーネ」という言葉はセンター初出だし、2の交通ネタは地理Bっぽくない。3は過去問で南極周辺で似た様な事例が問われているゆえの出題だろうけれど、軍事ネタっていうのもやっぱり地理Bっぽくない。4も交通ネタ(しかも若干図法に関する話題も含まれているような)であり厳しいな。がんばって作っているんだから、もうちょっとどうにかならなかったものかなぁ。 

[解法] 各選択肢を検討していこう。

1 「アネクメーネ」はセンター初出。これは非居住地域のことで、寒冷や乾燥などの理由によって人々の生活が困難な地域を指す。まぁ、とくに重要な言葉でもないでしょう(笑)。それよりもここは「イヌイット」に注目してほしい。こちらはセンターでの出題率が高い。北米大陸の北極海沿岸からグリーンランド一帯に居住する先住民族のことで、エスキモーともいわれていた。現在でも伝統的な生活を送る者もいる。

2 これがよくわからないんだよな。図1を見る限り、太平洋(図の北側の海域)と大西洋(同じく南側の海域)を結ぶ航路を考えた場合、北極海を通過するのは非常に近くて便利だとは思うんだが。

3 これもよくわからない。でも、おそらくこれって南極条約の内容なんだよね。この文の通り、南極大陸については「非武装地帯」であることが定められており、どの国も軍事基地などを置くことはできない。しかし北極については、北極圏内に普通に米国やロシアの領土もあり、そういったところに軍事基地を設けるのは当該国の自由であるような気もする。どうだろうか。

4 これもわからん。手がかりがないから、とりあえず図を参照してみよう。日本(図の範囲からは外れているけど、どの辺りにあるかわかるよね)とヨーロッパを直線で結んでみて、おおまかな航空路を設定する。もちろんこの線にジャストで沿って飛行機が通過するかどうかはわからないけれど、おおよそのルートとしては間違っていないと思う。さぁどうだろうか?北極海上空というより、ロシア上空を飛んでいる時間が長いのではないだろうか。

以上より、正文(すなわち正解)は1となる。

[学習対策] やっかいな問題なんだよね。悪問と割り切るには、もったいない。ていねいに作られている印象はあるわけだ。問題としてはキツいし、取り立てて分析の必要もないとは思う。でも僕は決して嫌いになれないんだよな、どうしてなのかな。

問5 [講評] これ、難しいな。統計がガチンコで問われている問題だけど、判定が難しい。登場している国はカナダ、ノルウェー、ロシアとメジャーな国ばかりだけれども、決して漁獲量が上位に来るような国ではなく、さすがにここまでの統計はわからないよね。とりあえず考えてみましょう。

[解法] 表1の中で最も目立つ数値が、キ国における内水面漁業生産量の「1」だろう。内水面とは、河川や湖沼のことであり、キ国はつまり河川や湖沼そのものが少ないと考えていいだろう。この点より、面積的にも他の2国に比べて大きく劣り、さらに山岳国であるため河川の流れが急で短く、さらにとくに大きな湖もないと思われるノルウェーがキに該当する。そう考えてみると、キ国は輸出額が大きく、人口小国のノルウェーは国内消費量が小さいため、輸出にまわす分の水産物が多いのだなと納得できる。

ではカとクについて判定していこう。カは(海水面と内水面を合わせた)漁業生産量が大きく、クはそうでもない。その割にカは輸出額が小さく、クは輸出額が大きい。このことからカの方が国内での消費量が大きく、つまり人口規模が大きいと考えられ、クはその逆である。たしかに人口1億人以上のロシアと3千万人程度のカナダとでは、国内での消費量に大きな違いが生じるのも当然だろう。このことから、カをロシア、クをカナダと推理する。つまり正解は6。

で、これで本当に正解なのかな(笑)。よくわからないけど、とりあえず僕はそう考えました。っていうか、確認したら当たってた!

[学習対策] こういった問題では、選択肢の国のサイズに注目してしまうのがいい。ロシアは人口1億4千万人に達する大国であるのに対し、カナダは約3千万人の中堅国。そしてノルウエーは500万人に満たない小国である。このように規模に明確な差があるのだから、それを手がかりとして解くことは十分に可能だと思う。

例えば、カがロシアなのだが、生産量が大きく、輸出額が小さいことから、国内消費量が大きいことがよくわかる。

クのカナダにしても、生産量は少ないが、輸入が多いのだから、キに比べて人口が多いことは十分に推理できる。

最も小さいノルウェーについては、生産量は2番目に多いものの、輸出が最も多く、国内での消費量はさほど多くないのかなという気がする。

どうかな、ちょっと強引な気はするけれど、これでつじつまは合っているよね。

それからやっぱりノルウェーという個性的な国は重要だと思うんだよね。西側の大西洋岸をフィヨルドで区切られ、東側のスウェーデン国境にはスカンジナビア山脈が走る狭長な国土。平野が少ないのだから、大きな湖や長い河川は少なく、よってそういった内水面での漁業が発達しないことは想像できるんじゃないかな。キャラクターが異常に立った国であるので、注意が必要。

問6 [講評] 何だ!いきなりわけわからんエリアの都市に関する知識が問われているじゃないか。今までここまで特殊な問題があっただろうか???

だからこそ、それぞれの都市について知識に基づいて判断するよりも、文章の他の部分に目をつけて考えていかないといけない。決して「不可能」というレベルではないぞ。

[解法] サについてはノルウェー、シについてはフィンランド、スについてはロシアの都市であることをまず確認してから、P~Qの各文章を読み解こう。

Pについて。ここでは「400万」が最重要だと思うんだよね。400万人といえば、日本で最大の人口を持つ市である横浜市(340万人)より多い。かなりの巨大都市といえる。そもそもノルウェーは人口が500万人に達しないという人口小国のキャラクターを持つ国。そんな国に横浜を超える巨大都市があるだろうか!?フィンランドにしても同様。こちらも人口規模が大きくないだろう(北欧諸国なんてみんなせいぜい人口500万人程度でしょ)。大都市があるわけがない。そうなると自然と残ってしまうのはロシア。もちろん人口1億4千万人に達する大国。ここなら400万規模の都市がいくつかあっても不思議ではない。Pがスである。

Qについて。ここは「冬季にも氷結しない海域に臨む港湾都市」に注目。ノルウェーの沿岸は暖流のはたらきによって、冬季でも凍結しない不凍港となっている。素直にサを選ぼう。なお、バルト海など内陸部の湾に接するシやスは凍結する港湾となっている。

Rについて。これはお手上げ。消去法でシとするしかない。

[学習対策] 本当に妙な問題だと思う。とはいえ、このように特定のエリアの都市の判別がテーマとされる問題は追試でしばしば出題されるものであり、本試を受ける君たちにはあまり関係ないかもしれないのだが。

しかし問題内容は上でも説明しているように、都市の人口規模や「不凍港」というキーワードから十分に推理可能なものであり、決してお手上げの問題ではない。やっぱり作問者はかなり工夫して問題を作っているよなぁ。

それにしても、こんな風に都市についての知識を増やしていってもキリがないから、特別な対策はいらないと思う。それよりも、本問から得られる教訓として「北欧の国々は人口規模が小さく、せいぜい500万人程度」であることを知っておいたらいいかな。